JPH05345378A - 難燃断熱材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸素指数２５以上のポリオレフィンからなる
発泡体１に、酸素指数２２以上のポリオレフィンからな
るエンボスシート２を接着して難燃断熱材とする。 【効果】 エンボスシートが難燃性であるため、エンボ
スシート沿いに火炎が広がる危険性が低く、また難燃断
熱材が燃焼する場合も、有毒ガスの発生が少ないので、
防災上優れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、難燃性を有する発泡断
熱材に関するもので、家電、建材、空調などの用途に用
いられる。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ポリオレフィンなどの樹脂から
なる断熱材としては、図１に示すようなシート状の発泡
断熱材、および図２に示すようなパイプ状の発泡断熱材
などが知られている。これらのものは、いずれもポリオ
レフィンなどの樹脂からなり、シート状あるいはパイプ
状に成形した発泡体１の表面に、同じくポリオレフィン
などの樹脂からなるエンボスシート２が接着されて構成
されたものである。

【０００３】この種の断熱材のうち、従来より広く市販
されている発泡断熱材には、発泡体１およびエンボスシ
ート２にいずれも可燃性の樹脂が用いられており、防災
上問題がある。このため、上記発泡体１として難燃性の
樹脂発泡体を用いた構成の断熱材が開発され、すでに市
販されている。しかしながらこの種の断熱材は、表面に
エンボスシート２が施されていないか、あるいは、表面
のエンボスシート２が施されているものの、エンボスシ
ート２は可燃性、あるいは塩化ビニルからなるものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】エンボスシート２が可
燃性であるような断熱材においては、発泡体１が難燃性
であっても、火源からエンボスシート２沿いに火炎が伝
わって広がるという問題がある。またエンボスシート２
が塩化ビニルからなる場合は、燃焼時、有毒な塩酸ガス
が発生する。また表面にエンボスシート２が接着されて
いない断熱材は、主に屋根用断熱材シートの用途で用い
られるが、一般的には発泡体１の保護上問題がある。

【０００５】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、表面にエンボスシートが施され、かつ難燃性の高い
断熱材を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の難燃断熱材は、
酸素指数２５以上のポリオレフィンからなる発泡体に、
酸素指数２２以上のポリオレフィンからなるエンボスシ
ートを接着することを前記課題の解決手段とした。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を、実施例に基いて詳しく説明
する。本実施例の難燃断熱材の基本的構造は、図１また
は図２で示した断熱材の例で説明した構造と同様であ
り、その共通部分には同一符号を付してその説明を簡略
化する。

【０００８】本発明の難燃断熱材が、従来の断熱材の例
と異なるところは、以下に説明するように、発泡体１お
よびエンボスシート２の材料として、酸素指数の高い難
燃性ポリオレフィンを用いた点である。

【０００９】このような難燃性ポリオレフィンは、ベー
スとなるポリオレフィン系樹脂（以下ベース樹脂と略記
する）に難燃剤を添加することにより得られる。

【００１０】上記ベース樹脂としては、低密度ポリエチ
レン（ＬＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、
直鎖状低密度ポリエチレン（Ｌ−ＬＤＰＥ）などのポリ
エチレン、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリブテン−１、
ポリ４−メチルペンテンなどのポリオレフィン、エチレ
ンーエチルアクリレート共重合体（ＥＥＡ）、エチレン
ー酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレンーアクリル
酸共重合体（ＥＡＡ）、エチレン−メチルメタクリレー
ト共重合体（ＥＭＡ）、エチレンーメチルメタクリレー
トーアクリレート共重合体（ＥＭＡＡ）、エチレンープ
ロピレン共重合体、エチレンーブテンー１共重合体、エ
チレンープロピレンージエン共重合体などのポリオレフ
ィン系共重合体があげられ、これらを単独で、または２
種以上を任意の割合で混合したものを用いることができ
る。

【００１１】また上記難燃剤としては、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物、モノアン
モニウムホスフェート、赤リンなどのリン系化合物、ハ
ロゲン系難燃剤、酸化アンチモンなどの無機難燃剤、お
よびトリクレジルホスフェート、塩素化パラフィン、各
種有機臭素化合物のような有機難燃剤が用いられるが、
有毒ガスの発生が少ない無機難燃剤が特に好ましく用い
られる。そしてこれらを単独で、または２種以上を任意
の割合で混合して用いることができる。上記難燃剤の添
加量は、上記ベース樹脂１００重量部に対して、２〜２
００重量部の範囲が好ましい。

【００１２】上記発泡体１の材料としては、酸素指数２
５以上、特に好ましくは酸素指数２８以上の難燃性ポリ
オレフィンを用いる。このように十分な難燃性を有する
発泡体を用いることにより、高い難燃性を有する断熱材
を得ることができる。

【００１３】さらに、本発明の難燃断熱材においては、
断熱性の高い断熱材を得るという観点から、上記発泡体
１として発泡倍率の高い発泡体を用いることが好まし
い。このような高倍率の発泡体は、電子線照射または有
機過酸化物添加により難燃性ポリオレフィンを架橋さ
せ、化学発泡剤で発泡させることにより得られることが
できる。この難燃性ポリオレフィンの架橋は、発泡に先
立ち、あるいは発泡と同時に行なわれる。

【００１４】上記電子線照射としては、リニアアクセレ
ータなどを用いた通常の方法で実施することができる。
上記有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイドな
どを用いることができ、難燃性ポリオレフィン１００重
量部に対して、０．５〜５重量部の範囲で添加すること
が好ましい。

【００１５】上記化学発泡剤としては、アゾジカルボン
アミド、アゾビスイソブチロニトリル、Ｎ，Ｎ’−ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン、ｐ−トルエンスルホ
ニルヒドラジド、Ｐ，Ｐ’−オキシビスベンゼンスルホ
ニルヒドラジドなどがある。この化学発泡剤の添加量
は、用いる薬剤によって異なるが、上記ベース樹脂１０
０重量部に対して５〜３０重量部の範囲とされ、所望の
発泡倍率に対応して適宜選択する。

【００１６】このように難燃性ポリオレフィンの架橋と
発泡を組み合わせることにより、１５〜４０倍の発泡倍
率をもつ難燃性ポリオレフィンの発泡体を得ることがで
きる。 本発明の難燃断熱材に用いる発泡体１として
は、発泡倍率が２０〜３５程度のものを用いることが好
ましい。

【００１７】一方、エンボスシート２としては、上述し
たような方法で得られる難燃性ポリオレフィンで、酸素
指数が２２以上のもの、特に好ましくは酸素指数２３以
上のものからなる。さらにエンボスシート２としては、
このような難燃性ポリオレフィンに必要に応じ、紫外線
吸収剤、着色剤などの添加物を適宜添加したものを用い
ることができる。このような難燃性ポリオレフィンから
なるエンボスシートは、難燃性が高く、また燃焼する場
合も、有毒ガスの発生が少ないという性質を有する。

【００１８】上記エンボスシート２のエンボスの形状は
特に限定されないが、例えば、図３に示すようなピラミ
ッド型とすることが好ましい。そしてシートの自厚が５
０〜５００μｍの範囲で、エンボスの刻み深さが０．３
〜１．３mmの範囲であることが、発泡体の保護およびエ
ンボス加工上適当である。

【００１９】次に本発明の難燃断熱材の製造方法の一例
について説明する。本発明の発泡体１は、例えば、以上
説明したようなベース樹脂、難燃剤、化学発泡剤など
を、押出機内で混練するととともに１５０〜２２０℃の
温度に加熱し、架橋および発泡させるとともに、押出成
形する。このとき、押出機ダイスの吐出口の形状を、シ
ート状あるいはパイプ状などの任意の形状として、連続
した長尺サイズの発泡体とする。このようにして、直接
仕上がり形状の発泡体１に成形することができる。また
エンボスシート２のエンボス加工の方法は特に限定され
ず、通常の方法を用いることができる。

【００２０】また上記発泡体１とエンボスシート２を接
着する方法としては、特に限定されないが、例えば熱融
着、ホットメルト接着、接着剤などの方法を用いること
ができる。

【００２１】（実施例）表１に示すように、種々の酸素
指数を有する難燃性ポリオレフィンを用いて発泡体とエ
ンボスシートを作成した。ただし、発泡体としては、エ
チレンーエチルアクリレート共重合体をベース樹脂と
し、水酸化マグネシウムを難燃剤として添加したものを
用いた。またエンボスシートとしては、ＬＤＰＥをベー
ス樹脂とし、ハロゲン系難燃剤を難燃剤として添加した
ものを用いた。これらを表１に示すような組み合わせで
接着して、実施例１ないし実施例４のシート状難燃断熱
材を作成した。

【００２２】これらの難燃断熱材を、各々、厚さ１cm×
横５cm×縦２０cmの大きさの直方体形状に切断し、以下
のようにして難燃性試験を行なった。すなわち、図４に
示すように、難燃断熱材の下から火源を近づけ、１５秒
間接炎し、その後離炎し、離炎から１分後の残炎の有無
を調べた。ここで、離炎１分後に残炎がなく自消した場
合を「○」、残炎が１分以上あった場合を「×」とし
た。その結果を併せて表１に示す。

【００２３】（比較例）比較例として、表１に示すよう
に、酸素指数を変化させた発泡体とエンボスシートを作
成し、これらを組み合わせて、比較例１および比較例２
の断熱材を作成し、難燃性試験を行なった。発泡体とエ
ンボスシートを構成するベース樹脂および難燃剤の種
類、断熱材の大きさ、および難燃性試験の方法は上記実
施例と同様にした。その結果を併せて表１に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１の結果から明らかなように、酸素指数
２５以上の発泡体および酸素指数２２以上のエンボスシ
ートの組合せにより、難燃性の高い断熱材が得られる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の難燃断熱材
は、酸素指数２５以上のポリオレフィンからなる発泡体
に、酸素指数２２以上のポリオレフィンからなるエンボ
スシートを接着したものである。したがってエンボスシ
ートが難燃性であるため、エンボスシート沿いに火炎が
広がる危険性が低く、また難燃断熱材が燃焼する場合
も、有毒ガスの発生が少ないので、防災上優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかる発泡断熱材の一例を示す側面
図である。

【図２】 本発明にかかる発泡断熱材の一例を示す斜視
図である。

【図３】 本発明の難燃断熱材に用いられるエンボスシ
ートの例を示す斜視図である。

【図４】 本発明の実施例における難燃性試験の様子を
示す図である。

【符号の説明】

１…発泡材、２…エンボスシート

フロントページの続き (72)発明者 砂塚 英夫 東京都江東区木場１丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 渡邊 知久 東京都江東区木場１丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 酸素指数２５以上のポリオレフィンから
   なる発泡体に、酸素指数２２以上のポリオレフィンから
   なるエンボスシートを接着したことを特徴とする難燃断
   熱材。