JPH05339161A - IgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品 - Google Patents
IgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品Info
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- JPH05339161A JPH05339161A JP3065253A JP6525391A JPH05339161A JP H05339161 A JPH05339161 A JP H05339161A JP 3065253 A JP3065253 A JP 3065253A JP 6525391 A JP6525391 A JP 6525391A JP H05339161 A JPH05339161 A JP H05339161A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 病原性微生物に対する感染防御および抗アレ
ルギ−作用を有するIgAを食品などに添加することな
く、宿主の消化管内のバイエル板細胞等のIgAの産生
部位を刺激し、IgA産生活性を促進させてIgA産生
量を増加させ、優れた感染防御およびアレルギ−反応を
阻止するIgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品を
提供することを目的とする。 【構成】 乳由来の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイン由
来のグリコマクロペプチド(以下、GMPと記す)を有
効成分としたIgA産生促進剤、及び乳由来の乳脂肪球
皮膜,乳κ−カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGM
Pを含有した又は強化したIgA産生促進飲食品を開示
するものであり、宿主の消化管内バイエル板細胞のIg
A産生前駆B細胞を刺激して、消化管内においてIgA
の産生を活性させ、感染防御および抗アレルギー作用を
持つ食品を提供できることが可能となった。
ルギ−作用を有するIgAを食品などに添加することな
く、宿主の消化管内のバイエル板細胞等のIgAの産生
部位を刺激し、IgA産生活性を促進させてIgA産生
量を増加させ、優れた感染防御およびアレルギ−反応を
阻止するIgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品を
提供することを目的とする。 【構成】 乳由来の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイン由
来のグリコマクロペプチド(以下、GMPと記す)を有
効成分としたIgA産生促進剤、及び乳由来の乳脂肪球
皮膜,乳κ−カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGM
Pを含有した又は強化したIgA産生促進飲食品を開示
するものであり、宿主の消化管内バイエル板細胞のIg
A産生前駆B細胞を刺激して、消化管内においてIgA
の産生を活性させ、感染防御および抗アレルギー作用を
持つ食品を提供できることが可能となった。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、病原性微生物の消化管
の粘膜への結合の阻害およびアレルンゲン物質の消化管
壁への通過を阻止する作用を有する分泌型IgAの産生
促進活性を有する乳由来のIgA産生促進剤及びIgA
産生促進飲食品に関する。
の粘膜への結合の阻害およびアレルンゲン物質の消化管
壁への通過を阻止する作用を有する分泌型IgAの産生
促進活性を有する乳由来のIgA産生促進剤及びIgA
産生促進飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】幼児・幼動物の成長発育に対して完全食
である乳汁には、免疫グロブリン、補体、リゾチ−ムお
よびラクトフェリンなどの感染防御物質が含まれている
ことが知られている。
である乳汁には、免疫グロブリン、補体、リゾチ−ムお
よびラクトフェリンなどの感染防御物質が含まれている
ことが知られている。
【0003】ところで、乳汁中に分泌される免疫グロブ
リンである分泌型IgAは、強力な病原性をもつ微生物
の腸管粘膜への結合阻害および細菌毒素と特異的に結合
してその作用を不活化すること、アレルゲンとして作用
する食餌性の抗原と結合し消化管壁を通過することを防
止してアレルギ−反応を抑制すること等が知られてい
る。
リンである分泌型IgAは、強力な病原性をもつ微生物
の腸管粘膜への結合阻害および細菌毒素と特異的に結合
してその作用を不活化すること、アレルゲンとして作用
する食餌性の抗原と結合し消化管壁を通過することを防
止してアレルギ−反応を抑制すること等が知られてい
る。
【0004】また、分泌型IgAのない育児粉乳で育て
られた人工栄養児およびIgA欠損症の患者では、食餌
性抗原に対するIgG抗体が高頻度に出現し、アレルギ
−性の疾患や自己免疫疾患の発現頻度が高いことが知ら
れている。
られた人工栄養児およびIgA欠損症の患者では、食餌
性抗原に対するIgG抗体が高頻度に出現し、アレルギ
−性の疾患や自己免疫疾患の発現頻度が高いことが知ら
れている。
【0005】以上のように、IgAの優れた感染防御作
用が判明するにしたがい、感染防御やアレルギ−反応の
抑制効果を有するIgAを、IgA含量が人乳に比べて
少ない乳幼児用の育児粉乳等へ添加した飲食品の開発が
望まれていた。
用が判明するにしたがい、感染防御やアレルギ−反応の
抑制効果を有するIgAを、IgA含量が人乳に比べて
少ない乳幼児用の育児粉乳等へ添加した飲食品の開発が
望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、IgA
は供給が困難であり、高価であるばかりでなく、物性的
に不安定で、産業上で利用することはほとんど不可能で
ある。そのため、感染防御やアレルギ−反応の阻止成分
としてIgAを付与した食品は現在のところ未だ提供さ
れていない。
は供給が困難であり、高価であるばかりでなく、物性的
に不安定で、産業上で利用することはほとんど不可能で
ある。そのため、感染防御やアレルギ−反応の阻止成分
としてIgAを付与した食品は現在のところ未だ提供さ
れていない。
【0007】ところで、IgAの産生部位は、消化管粘
膜固有層等の粘膜下プラズマ細胞や、唾液腺、乳腺中に
存在しており、これらの産生細胞を非特異的に刺激する
IgA産生促進活性(IgA誘導能)を有する物質が確
認されている。
膜固有層等の粘膜下プラズマ細胞や、唾液腺、乳腺中に
存在しており、これらの産生細胞を非特異的に刺激する
IgA産生促進活性(IgA誘導能)を有する物質が確
認されている。
【0008】本発明者らは、特願平1−100282号
において、操作が容易で、大量に、短時間の間にIgA
誘導能を有する物質を検索する方法として、IgA産生
細胞を多量に含むパイエル板細胞を無菌的に培養し、被
験物質無添加群のIgA量に対する被験物質添加群のI
gA量の割合によりIgA誘導能を有する物質を選別す
る方法を提案している。
において、操作が容易で、大量に、短時間の間にIgA
誘導能を有する物質を検索する方法として、IgA産生
細胞を多量に含むパイエル板細胞を無菌的に培養し、被
験物質無添加群のIgA量に対する被験物質添加群のI
gA量の割合によりIgA誘導能を有する物質を選別す
る方法を提案している。
【0009】本発明は、病原性微生物に対する感染防御
および抗アレルギ−作用を有するIgAを食品などに添
加することなく、宿主の消化管内のバイエル板細胞等の
IgAの産生部位を刺激し、IgA産生活性を促進させ
てIgA産生量を増加させ、優れた感染防御およびアレ
ルギ−反応を阻止するIgA産生促進剤及びIgA産生
促進飲食品を提供することを目的とする。
および抗アレルギ−作用を有するIgAを食品などに添
加することなく、宿主の消化管内のバイエル板細胞等の
IgAの産生部位を刺激し、IgA産生活性を促進させ
てIgA産生量を増加させ、優れた感染防御およびアレ
ルギ−反応を阻止するIgA産生促進剤及びIgA産生
促進飲食品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係るIgA産生促進剤では、乳由来の乳脂肪球皮膜又
は乳κ−カゼイン由来のグリコマクロペプチド(以下、
GMPと記す)を有効成分としたものである。
に係るIgA産生促進剤では、乳由来の乳脂肪球皮膜又
は乳κ−カゼイン由来のグリコマクロペプチド(以下、
GMPと記す)を有効成分としたものである。
【0011】また、本請求項2に記載の発明に係るIg
A産生促進飲食品では、乳由来の乳脂肪球皮膜,乳κ−
カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMPを含有した
又は強化したものである。
A産生促進飲食品では、乳由来の乳脂肪球皮膜,乳κ−
カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMPを含有した
又は強化したものである。
【0012】
【作用】本発明では、乳由来の乳脂肪球皮膜又は乳κ−
カゼイン由来のGMPに、IgA産生促進活性を見出し
て本発明を完成するに至った。即ち、乳由来の乳脂肪球
皮膜又は乳κ−カゼイン由来のGMPを有効成分とした
IgA産生促進剤及び乳由来の乳脂肪球皮膜,乳κ−カ
ゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMPを含有した又
は強化したIgA産生促進飲食品を開示するものであ
り、宿主の消化管内バイエル板細胞のIgA産生前駆B
細胞を刺激して、消化管内においてIgAの産生を活性
させ、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を提
供できることが可能となった。
カゼイン由来のGMPに、IgA産生促進活性を見出し
て本発明を完成するに至った。即ち、乳由来の乳脂肪球
皮膜又は乳κ−カゼイン由来のGMPを有効成分とした
IgA産生促進剤及び乳由来の乳脂肪球皮膜,乳κ−カ
ゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMPを含有した又
は強化したIgA産生促進飲食品を開示するものであ
り、宿主の消化管内バイエル板細胞のIgA産生前駆B
細胞を刺激して、消化管内においてIgAの産生を活性
させ、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を提
供できることが可能となった。
【0013】以上のように、本発明のIgA産生促進剤
及びIgA産生促進飲食品は、乳由来のものであるた
め、安全性、価格、供給のし易さ、扱い易さの観点から
良好な特性を有している。
及びIgA産生促進飲食品は、乳由来のものであるた
め、安全性、価格、供給のし易さ、扱い易さの観点から
良好な特性を有している。
【0014】尚、後述する実施例でのIgA産生促進活
性の測定は、前述の特願平1−100282号の方法に
よった。即ち、IgA産生細胞を多量に含む腸管免疫組
織の一つであるバイエル板細胞を無菌的に培養し、培養
液に乳より調整した各種の乳成分を添加して所定期間培
養し、該所定期間培養後の培養液中のIgA産生細胞よ
り分泌されたIgA産生細胞より分泌されたIgA量を
測定し、前記各種乳成分無添加群のIgA量に対する前
記各種乳成分無添加群のIgA量の割合によりIgA誘
導能(IgA産生促進活性)を測定したものである。
性の測定は、前述の特願平1−100282号の方法に
よった。即ち、IgA産生細胞を多量に含む腸管免疫組
織の一つであるバイエル板細胞を無菌的に培養し、培養
液に乳より調整した各種の乳成分を添加して所定期間培
養し、該所定期間培養後の培養液中のIgA産生細胞よ
り分泌されたIgA産生細胞より分泌されたIgA量を
測定し、前記各種乳成分無添加群のIgA量に対する前
記各種乳成分無添加群のIgA量の割合によりIgA誘
導能(IgA産生促進活性)を測定したものである。
【0015】本発明でいう脂肪球皮膜は、ヒト,牛,山
羊,羊,馬等の乳の脂肪球を覆っている皮膜であり、例
えば、牛乳の場合、直径は0.1〜10μm、皮膜の厚
さは10nmである。
羊,羊,馬等の乳の脂肪球を覆っている皮膜であり、例
えば、牛乳の場合、直径は0.1〜10μm、皮膜の厚
さは10nmである。
【0016】この脂肪球皮膜は、主に泌乳中の乳腺上皮
細胞膜の頂端膜に由来し、タンパク質と脂質だけで約9
0%以上を占め、そのうち約55%が脂質で有り、約4
5%がタンパク質である。その他に糖脂質、糖タンパク
質、プロテオグリカン、各種酵素及び未同定の成分が含
まれている。
細胞膜の頂端膜に由来し、タンパク質と脂質だけで約9
0%以上を占め、そのうち約55%が脂質で有り、約4
5%がタンパク質である。その他に糖脂質、糖タンパク
質、プロテオグリカン、各種酵素及び未同定の成分が含
まれている。
【0017】脂肪球被膜は、乳を遠心分離して得られる
クリームに水を混合し、遠心分離することにより、クリ
ームを洗浄する処理を数回施してからチャーニングを行
い、更に通常はこれを透析、硫安分画、ゲル濾過、等電
点沈殿などの方法により調製するが、本発明のIgA産
生促進活性剤の原料としてこの画分を用いることが望ま
しい。
クリームに水を混合し、遠心分離することにより、クリ
ームを洗浄する処理を数回施してからチャーニングを行
い、更に通常はこれを透析、硫安分画、ゲル濾過、等電
点沈殿などの方法により調製するが、本発明のIgA産
生促進活性剤の原料としてこの画分を用いることが望ま
しい。
【0018】また、常法によるバター製造工程におい
て、乳を遠心分離して得られるクリームをそのままチャ
ーニングして得られるバターミルクを用いてもよい。こ
の方法ではクリームをチャーンで処理し、生じたバター
粒を分離した後に残る所謂バターミルク中に脂肪球被膜
が濃縮されるから、本発明のIgA産生促進活性剤の原
料としてこの画分を用いてもよい。また脂肪球被膜は多
くの酵素を含むので、加熱処理してこれを失活させるこ
とが必要である。
て、乳を遠心分離して得られるクリームをそのままチャ
ーニングして得られるバターミルクを用いてもよい。こ
の方法ではクリームをチャーンで処理し、生じたバター
粒を分離した後に残る所謂バターミルク中に脂肪球被膜
が濃縮されるから、本発明のIgA産生促進活性剤の原
料としてこの画分を用いてもよい。また脂肪球被膜は多
くの酵素を含むので、加熱処理してこれを失活させるこ
とが必要である。
【0019】熱処理条件としては、例えば62℃で30
分間以上の加熱、又は100℃以上の高温で短時間の熱
処理を行う所謂UHT滅菌処理に相当する加熱が適当で
ある。
分間以上の加熱、又は100℃以上の高温で短時間の熱
処理を行う所謂UHT滅菌処理に相当する加熱が適当で
ある。
【0020】脂肪球被膜の持つIgA産生促進活性は、
121℃30分間の加熱、トリプシンおよびペプシン処
理でも失活しないばかりでなく、pH2〜10でも安定で
ある。また、脂肪球被膜は乳成分であるため、安全性の
点では全く問題がなく、加熱処理操作を施した食品、錠
剤、粉末剤、ドリンク剤に添加して使用しても何ら問題
はない。
121℃30分間の加熱、トリプシンおよびペプシン処
理でも失活しないばかりでなく、pH2〜10でも安定で
ある。また、脂肪球被膜は乳成分であるため、安全性の
点では全く問題がなく、加熱処理操作を施した食品、錠
剤、粉末剤、ドリンク剤に添加して使用しても何ら問題
はない。
【0021】以上のように、安価、安全、調整法が容
易、熱に安定、トリプシンおよびペプシンなどの消化酵
素に対して安定、においや味の点でも全く問題のない乳
脂肪球被膜或いはバターミルク等の乳脂肪球を多量に含
む材料を食品等に配合させ、それらを飲食することによ
り消化管内のIgA産生前区B細胞を含むパイエル板細
胞を刺激して、IgAを増やすと言う従来にない方法を
用いて、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を
提供できることが可能となった。
易、熱に安定、トリプシンおよびペプシンなどの消化酵
素に対して安定、においや味の点でも全く問題のない乳
脂肪球被膜或いはバターミルク等の乳脂肪球を多量に含
む材料を食品等に配合させ、それらを飲食することによ
り消化管内のIgA産生前区B細胞を含むパイエル板細
胞を刺激して、IgAを増やすと言う従来にない方法を
用いて、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を
提供できることが可能となった。
【0022】また、本発明で言うκ−カゼインGMPは
ヒト,牛,山羊,羊,馬等の乳、それらの脱脂粉乳やカ
ゼイン中に含まれるκ−カゼインにレンニンを作用させ
て得られる分子量約8,000の糖ペプチドであり、水
溶性で酸性領域においても可溶である。
ヒト,牛,山羊,羊,馬等の乳、それらの脱脂粉乳やカ
ゼイン中に含まれるκ−カゼインにレンニンを作用させ
て得られる分子量約8,000の糖ペプチドであり、水
溶性で酸性領域においても可溶である。
【0023】特に、GMPはチーズ製造の際のチーズホ
エー中に多量に含まれる成分である。また、GMPは乳
成分であるため、安全の点では全く問題がなく、加熱処
理操作を施した食品、錠剤、粉末剤、ドリンク剤に添加
して使用しても何ら問題はない。
エー中に多量に含まれる成分である。また、GMPは乳
成分であるため、安全の点では全く問題がなく、加熱処
理操作を施した食品、錠剤、粉末剤、ドリンク剤に添加
して使用しても何ら問題はない。
【0024】以上のように安価、安全、調整法が容易、
熱に安定、においや味の点でも全く問題のないκ−カゼ
インGMPを食品等に配合させ、それらを飲食すること
により、消化管内のIgA産生前駆体細胞を含むパイエ
ル板細胞を刺激して、IgAを増やすと言う従来にない
方法を用いて感染防御および抗アレルギー作用を持つ食
品を提供できることが可能となった。
熱に安定、においや味の点でも全く問題のないκ−カゼ
インGMPを食品等に配合させ、それらを飲食すること
により、消化管内のIgA産生前駆体細胞を含むパイエ
ル板細胞を刺激して、IgAを増やすと言う従来にない
方法を用いて感染防御および抗アレルギー作用を持つ食
品を提供できることが可能となった。
【0025】
(実施例1)脂肪分3.3%の牛乳1リットルを300
0rpmで15分間遠心分離してクリームを得た。これ
に水を加えて全量を4440mlにし、遠心分離すること
により洗浄した。同様の洗浄処理を更に3回繰り返した
後、チャーニングを行ってバターと脂肪球被膜画分とに
分離した。得られた脂肪球被膜画分を凍結乾燥すること
により、乾燥脂肪球被膜1gを得た。
0rpmで15分間遠心分離してクリームを得た。これ
に水を加えて全量を4440mlにし、遠心分離すること
により洗浄した。同様の洗浄処理を更に3回繰り返した
後、チャーニングを行ってバターと脂肪球被膜画分とに
分離した。得られた脂肪球被膜画分を凍結乾燥すること
により、乾燥脂肪球被膜1gを得た。
【0026】次いでこれを水に懸濁させ超音波処理を行
って被膜を破砕し、更に121℃で15分間加熱して脂
肪球被膜中の酵素を失活させ、IgA産生促進活性を測
定した。IgA産生促進活性の測定は以下に示す方法を
用いた。即ち、パイエル板をマウスの小腸から無菌的に
取り出し、ディスパーゼ(Dispase )溶液(1.5mgDi
spase/ml Joklik-modified MEM)に入れ、30〜40分
間、37℃で攪拌し、溶液中に出てきた単個細胞(sing
le cell )を回収した。この操作を4〜5回繰り返し、
遠心洗浄することにより、パイエル板細胞を得た。
って被膜を破砕し、更に121℃で15分間加熱して脂
肪球被膜中の酵素を失活させ、IgA産生促進活性を測
定した。IgA産生促進活性の測定は以下に示す方法を
用いた。即ち、パイエル板をマウスの小腸から無菌的に
取り出し、ディスパーゼ(Dispase )溶液(1.5mgDi
spase/ml Joklik-modified MEM)に入れ、30〜40分
間、37℃で攪拌し、溶液中に出てきた単個細胞(sing
le cell )を回収した。この操作を4〜5回繰り返し、
遠心洗浄することにより、パイエル板細胞を得た。
【0027】パイエル板細胞を5%牛胎児血清を含むイ
ーグル培地(Eagle MEM,日水製薬製)9.4g,200
mMグルタミン溶液10ml、100倍希釈のnonessential
amino acid 溶液(ギブコ社)を10ml、100mM sod
ium pyruvate溶液(シグマ社)10mlを1N NaOH
でpHを7.2に調整した培地に懸濁し、細胞数を2.5
×106 個/mlに調整し、その0.2mlを96ウエル平
底カルチャープレートにまいた後、各種濃度の乳成分を
入れ、5%炭酸ガス/95%空気の雰囲気下、37℃で
培養した。
ーグル培地(Eagle MEM,日水製薬製)9.4g,200
mMグルタミン溶液10ml、100倍希釈のnonessential
amino acid 溶液(ギブコ社)を10ml、100mM sod
ium pyruvate溶液(シグマ社)10mlを1N NaOH
でpHを7.2に調整した培地に懸濁し、細胞数を2.5
×106 個/mlに調整し、その0.2mlを96ウエル平
底カルチャープレートにまいた後、各種濃度の乳成分を
入れ、5%炭酸ガス/95%空気の雰囲気下、37℃で
培養した。
【0028】培養中、毎日20μlのnutirient mixtur
e (5mlの50倍希釈MEM essential amino acid(ギブ
コ社)、2.5mlの100倍希釈MEM essential amino
acid(ギブコ社)、2.5mlの200mMグルタミン、お
よび35mlの炭酸水素ナトリウムを含まないイーグルM
EM(日水製薬社)を混合し、pHを1N NaOHで
7.2に調整後、更に7.5%炭酸水素ナトリウム溶液
7.5mlを加えた溶液)を加え、7日間培養し、培養上
清中に分泌されたIgA量を測定した。
e (5mlの50倍希釈MEM essential amino acid(ギブ
コ社)、2.5mlの100倍希釈MEM essential amino
acid(ギブコ社)、2.5mlの200mMグルタミン、お
よび35mlの炭酸水素ナトリウムを含まないイーグルM
EM(日水製薬社)を混合し、pHを1N NaOHで
7.2に調整後、更に7.5%炭酸水素ナトリウム溶液
7.5mlを加えた溶液)を加え、7日間培養し、培養上
清中に分泌されたIgA量を測定した。
【0029】(実施例2)脱脂乳を3回等電点沈殿させ
た得た酸カゼインより、ジットル(Zittle)らの尿素−硫
酸法(C.A.Zittle and J.H.Custer.J.Dairy Sci.,46:11
82(1963))で粗κ−カゼインを調製後、更にセファデッ
クス(Sephadex)G−150のカラム(2.6×95cm,6M
尿素を含む0.05Mトリス−塩酸緩衝液、pH 8.6)でゲル
(ロ) 化を行って、κ−カゼインを精製した。精製したκ
−カゼイン1gを水 100mlに溶解後、レンニン(シグマ
社、R7751)1mgを加え、30℃で30分間反応させた。次
いで、85℃で5分間加熱してレンニンを不活化後、室温
で反応液のpHを0.1 N NaOHで 7.0とした後、凍結
乾燥を行ってグリコマクロペプチド(GMP)を得た。
た得た酸カゼインより、ジットル(Zittle)らの尿素−硫
酸法(C.A.Zittle and J.H.Custer.J.Dairy Sci.,46:11
82(1963))で粗κ−カゼインを調製後、更にセファデッ
クス(Sephadex)G−150のカラム(2.6×95cm,6M
尿素を含む0.05Mトリス−塩酸緩衝液、pH 8.6)でゲル
(ロ) 化を行って、κ−カゼインを精製した。精製したκ
−カゼイン1gを水 100mlに溶解後、レンニン(シグマ
社、R7751)1mgを加え、30℃で30分間反応させた。次
いで、85℃で5分間加熱してレンニンを不活化後、室温
で反応液のpHを0.1 N NaOHで 7.0とした後、凍結
乾燥を行ってグリコマクロペプチド(GMP)を得た。
【0030】(実施例3)IgA量の測定は、抗IgA
抗体を用いたサンドウィッチELISA法により測定し
た(Yasui,H.,Mike,A.and Ohwaki,S. J.Dairy Sci. 72,
30-35 )。また、IgAの増加率は、次の計算式により
求めた。
抗体を用いたサンドウィッチELISA法により測定し
た(Yasui,H.,Mike,A.and Ohwaki,S. J.Dairy Sci. 72,
30-35 )。また、IgAの増加率は、次の計算式により
求めた。
【0031】
【0032】次の表1は牛乳より調整した全カゼインお
よびその主要構成カゼインであるαs1−カゼイン、β−
カゼインおよびκ−カゼイン、ホエータンパク質、プロ
テオース・ペプトンおよびGMPのIgA産生促進活性
を測定した結果であるが、κ−カゼインにはIgA産生
促進活性はなかったが、κ−カゼインをレンニン処理し
て調整したGMPと脂肪球被膜のみにIgA産生促進活
性が認められた。
よびその主要構成カゼインであるαs1−カゼイン、β−
カゼインおよびκ−カゼイン、ホエータンパク質、プロ
テオース・ペプトンおよびGMPのIgA産生促進活性
を測定した結果であるが、κ−カゼインにはIgA産生
促進活性はなかったが、κ−カゼインをレンニン処理し
て調整したGMPと脂肪球被膜のみにIgA産生促進活
性が認められた。
【0033】
【0034】(実施例4)以上のようにして、得られた
脂肪球被膜及びGMPを用いて、含有した食品を調製し
た。食品の成分は以下の組成のゼリー製品である。 ゼリー製品 液糖 300g カラギナン 18g リンゴ果汁 30g クエン酸 10g 水 720g 脂肪球被膜 2g 上記混合物を80〜90℃で溶解後、50〜60℃に冷
却した。次いで、カップに約100gづつ充填後、5℃
に冷却して脂肪球被膜入りゼリー製品を調製した。同様
にして脂肪球被膜の代わりに、GMP2gを使用してゼ
リー製品を製造した。
脂肪球被膜及びGMPを用いて、含有した食品を調製し
た。食品の成分は以下の組成のゼリー製品である。 ゼリー製品 液糖 300g カラギナン 18g リンゴ果汁 30g クエン酸 10g 水 720g 脂肪球被膜 2g 上記混合物を80〜90℃で溶解後、50〜60℃に冷
却した。次いで、カップに約100gづつ充填後、5℃
に冷却して脂肪球被膜入りゼリー製品を調製した。同様
にして脂肪球被膜の代わりに、GMP2gを使用してゼ
リー製品を製造した。
【0035】
【発明の効果】以上述べた通り、乳由来の乳脂肪球皮膜
又は乳κ−カゼイン由来のGMPに、IgA産生促進活
性を見出して本発明を完成するに至った。即ち、乳由来
の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイン由来のGMPを有効
成分としたIgA産生促進剤及び乳由来の乳脂肪球皮
膜,乳κ−カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMP
を含有した又は強化したIgA産生促進飲食品を開示す
るものであり、宿主の消化管内バイエル板細胞のIgA
産生前駆B細胞を刺激して、IgAを食品等に添加する
ことなく、宿主の腸管内においてIgAの産生を活性さ
せ、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を提供
できることが可能となった。
又は乳κ−カゼイン由来のGMPに、IgA産生促進活
性を見出して本発明を完成するに至った。即ち、乳由来
の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイン由来のGMPを有効
成分としたIgA産生促進剤及び乳由来の乳脂肪球皮
膜,乳κ−カゼイン又は該乳κ−カゼイン由来のGMP
を含有した又は強化したIgA産生促進飲食品を開示す
るものであり、宿主の消化管内バイエル板細胞のIgA
産生前駆B細胞を刺激して、IgAを食品等に添加する
ことなく、宿主の腸管内においてIgAの産生を活性さ
せ、感染防御および抗アレルギー作用を持つ食品を提供
できることが可能となった。
【0036】しかも、乳脂肪球被膜やκ−カゼインGM
P等は120℃で30分以上の加熱でもIgA産生促進
活性が失われないこと、水溶性であり、しかも酸性領域
でも可溶であること、またGMPは牛乳由来の物質であ
ることから安全性に優れたIgA産生促進剤及びIgA
産生促進飲食品を得ることができる等の効果を有するも
のである。
P等は120℃で30分以上の加熱でもIgA産生促進
活性が失われないこと、水溶性であり、しかも酸性領域
でも可溶であること、またGMPは牛乳由来の物質であ
ることから安全性に優れたIgA産生促進剤及びIgA
産生促進飲食品を得ることができる等の効果を有するも
のである。
フロントページの続き (72)発明者 永見 久美子 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内
Claims (2)
- 【請求項1】 乳由来の乳脂肪球皮膜又は乳κ−カゼイ
ン由来のグリコマクロペプチドを有効成分としたことを
特徴とするIgA産生促進剤。 - 【請求項2】 乳由来の乳脂肪球皮膜,乳κ−カゼイン
又は該乳κ−カゼイン由来のグリコマクロペプチドを含
有した又は強化したことを特徴とするIgA産生促進飲
食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3065253A JPH05339161A (ja) | 1991-03-07 | 1991-03-07 | IgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3065253A JPH05339161A (ja) | 1991-03-07 | 1991-03-07 | IgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05339161A true JPH05339161A (ja) | 1993-12-21 |
Family
ID=13281560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3065253A Pending JPH05339161A (ja) | 1991-03-07 | 1991-03-07 | IgA産生促進剤及びIgA産生促進飲食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05339161A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11263731A (ja) * | 1998-03-16 | 1999-09-28 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 感染防御剤 |
JP2007131550A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 免疫機能調節剤 |
WO2008016108A1 (fr) * | 2006-08-04 | 2008-02-07 | Snow Brand Milk Products Co., Ltd. | Agent de prévention d'une infection |
WO2010134384A1 (ja) * | 2009-05-20 | 2010-11-25 | よつ葉乳業株式会社 | 皮膚機能改善組成物 |
US9421219B2 (en) | 2012-03-02 | 2016-08-23 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Methods and compositions for preventing allergy and infection |
-
1991
- 1991-03-07 JP JP3065253A patent/JPH05339161A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11263731A (ja) * | 1998-03-16 | 1999-09-28 | Snow Brand Milk Prod Co Ltd | 感染防御剤 |
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AU2007279674B2 (en) * | 2006-08-04 | 2013-10-03 | Megmilk Snow Brand Co., Ltd. | Agent for preventing infection |
WO2010134384A1 (ja) * | 2009-05-20 | 2010-11-25 | よつ葉乳業株式会社 | 皮膚機能改善組成物 |
JPWO2010134384A1 (ja) * | 2009-05-20 | 2012-11-08 | よつ葉乳業株式会社 | 皮膚機能改善組成物 |
JP5679966B2 (ja) * | 2009-05-20 | 2015-03-04 | よつ葉乳業株式会社 | 皮膚機能改善組成物 |
US9421219B2 (en) | 2012-03-02 | 2016-08-23 | Matsutani Chemical Industry Co., Ltd. | Methods and compositions for preventing allergy and infection |
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