JPH053379Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、二種類の減速比を取り得る二速減速
型デフを取付けた車両の車速装置に関するもので
ある。

［従来の技術］ 大型車両において、大きな走行荷重の変動に応
じて普通の変速操作で、常にエンジンの最高出力
近くを使用可能とするために、この車両の終減速
機構として、一般の終減速歯車の後列に２列の歯
車対を追加し、二種類の減速比を取り得るように
構成した二速減速型デフが知られている。

従来、この二速減速型デフを取付けた車両の車
速装置には、車両の変速機の出力軸に設けたフレ
キシブルケーブルの回転から車速を検出して表示
する車速装置を用いて、上記ケーブルを途中で分
割してリダクシヨンギヤを介装し、デフの減速比
を高速側又は低速側のいずれかに切換えるときに
同時にこのギヤを切換えることにより、単一の車
速センサでデフの減速比に応じて二種類の車速を
計測かつ表示するものが知られている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、従来の車速装置はデフの減速比が細か
くなると、リダクシヨンギヤの構成が複雑にな
り、高い精度で車速を表示することが困難な問題
点があつた。

本考案の目的は、単純な構成で二速減速型デフ
の減速比に応じた車速をそれぞれ高精度に計測し
て表示する二速減速型デフ付車両の車速装置を提
供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するための本考案の構成を実施
例に対応する第１図に基づいて説明する。

本考案の二速減速型デフ付車両の車速装置は、
二種類の減速比を取り得る二速減速型デフ１０
と、このデフ１０の減速比を高速側又は低速側の
いずれかに切換えるシフトユニツト１１と、この
シフトユニツト１１を作動させる制御スイツチ１
５と、車両の変速機１８の出力軸の回転速度をパ
ルス信号により検出する車速センサ１９と、制御
スイツチ１５の制御信号及び車速センサ１９のパ
ルス信号を入力として車速を算出する計測部２０
と、この計測部２０の出力を表示する表示部２５
とを備えたものである。

［作用］ 計測部２０は制御スイツチ１５がオフ状態にな
ると、車速センサ１９のパルス信号を所定の比率
で分周して車速を算出し、反対に制御スイツチ１
５がオン状態になると、車速センサ１９のパルス
信号を分周することなく車速を算出して表示部２
５に表示する。

［実施例］ 次に本考案の一実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。

第１図に示すように、１０は二速減速型デフで
ある。このデフ１０の側部にはシフトユニツト１
１が取付けられる。このシフトユニツト１１には
エア管路１２の一端が接続され、エア管路１２の
他端はエアタンク１３に接続される。またエア管
路１２の途中には常閉の電磁弁１４が介装され
る。シフトユニツト１１は電磁弁１４が閉じてい
る状態ではシフトユニツト１１を作動せず、リア
アクスル１７を低速ギヤに噛合させ、また電磁弁
１４が開いた状態ではシフトユニツト１１を作動
してリアアクスル１７を高速ギヤに噛合させるよ
うになつている。電磁弁１４の制御入力には制御
スイツチ１５を介してバツテリ１６が接続され
る。制御スイツチ１５は変速機１８のチエンジレ
バー（図示せず）に取付けられる。

また、変速機１８の出力軸に車速センサ１９が
設けられる。この車速センサ１９は上記出力軸の
回転を光学的に検知して回転速度に応じた周波数
のパルス信号を送出する。車速センサ１９及び前
述した制御スイツチ１５の各出力は計測部２０に
設けられた分周回路２１の入力に接続する。分周
回路２１の出力はカウンタ２２を介してレジスタ
２３に接続する。レジスタ２３の出力はDA変換
回路２４を介してスピードメータ２５に接続され
る。

分周回路２１は、制御スイツチ１５がオン状態
のとき車速センサ１９から送出されたパルス数に
相応したパルス数をカウンタ２２に出力する。ま
た制御スイツチ１５がオフ状態のときには車速セ
ンサ１９のパルス信号の周波数を所定の分周比に
分周してカウンタ２２に出力するようになつてい
る。この分周比はリアアクスル１７の高速ギヤに
噛合したときの回転速度とリアアクスル１７の低
速ギヤに噛合したときの回転速度の比率に応じて
決められる。

このような構成の装置の動作を第２図の動作タ
イムチヤートにより説明する。第２図において、
各符号は第１図の×印で示した箇所の電気信号波
形である。

先ず、制御スイツチ１５がオフ状態のときには
電磁弁１４が閉じているためシフトユニツト１１
は作動せず、デフ１０のリアアクスル１７を低速
ギヤに噛合させて、車速「Ｓ」で走行する。この
とき車速センサ１９から送出されたパルス信号
は、制御スイツチ入力がロウレベルのため、分周
回路２１で所定の分周比で分周されて、所定のタ
イムスロツトの間だけカウンタ２２に取込まれ、
カウントされる。このカウント値はレジスタ２３
で格納され、DA変換回路２４でアナログ信号に
変換されてスピードメータ２５に表示される。

次に、同一の車速「Ｓ」で走行していて、第２
図に示す時刻t₁で制御スイツチ１５をオフ状態か
らオン状態に切換えて、電磁弁１４を開きシフト
ユニツト１１を作動させると、これまでデフ１０
の低速ギヤに噛合していたリアアクスル１７が高
速ギヤに噛合するようになり、車速は「Ｓ×α」
となる。この制御スイツチ１５がオン状態になる
と、分周回路２１の制御スイツチ入力はハイレベ
ルとなるため、車速センサ１９のパルス信号は分
周回路２１で分周されずにカウンタ２２に取込ま
れる。

この結果、シフトユニツト１１の切換えによる
リアアクスル１７の回転変化量が相応してカウン
タ２２におけるカウント値が変化するため、スピ
ードメータ２５は「Ｓ×α」の車速を表示する。

なお、上記例では車速センサとして光学検知式
のものを例示したが、スピードメータケーブルの
回転によつて回されるマグネツトによりリードス
イツチや磁気感応素子を駆動する方式のものでも
よい。

また、制御スイツチがオフ状態のときリアアク
スルを低速ギヤに噛合して車速センサのパルス信
号を分周回路で分周し、オン状態のときリアアク
スルを高速ギヤに噛合して分周しない例を示した
が、制御スイツチがオン状態のときリアアクスル
を低速ギヤに噛合して分周し、オフ状態のときリ
アアクスルを高速ギヤに噛合して分周しないよう
に構成してもよい。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案によれば、制御スイ
ツチの制御により車速センサの送出するパルス信
号の周波数をリアアクスルの回転変化量に応じて
変化するように構成することにより、二速減速型
デフ付車両の車速をデフの減速比に応じてそれぞ
れ高精度に計測して表示することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例車速装置の構成図。第
２図はその動作タイムチヤート。 １０……二速減速型デフ、１１……シフトユニ
ツト、１５……制御スイツチ、１８……変速機、
１９……車速センサ、２０……計測部、２５……
スピードメータ（表示部）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 二種類の減速比を取り得る二速減速型デフと、
   このデフの減速比を高速側又は低速側のいずれか
   に切換えるシフトユニツトと、このシフトユニツ
   トを作動させる制御スイツチと、車両の変速機の
   出力軸の回転速度をパルス信号により検出する車
   速センサと、上記制御スイツチの制御信号及び上
   記車速センサのパルス信号を入力として車速を算
   出する計測部と、この計測部の出力を表示する表
   示部とを備え、 上記計測部は上記制御スイツチからの制御信号
   に応じて、上記車速センサのパルス信号を所定の
   比率で分周して車速を算出するように構成された
   ことを特徴とする二速減速型デフ付車両の車速装
   置。