JPH05337563A - 内面部に複数の溝を有する部品の精密仕上げ加工方法 - Google Patents

内面部に複数の溝を有する部品の精密仕上げ加工方法

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JPH05337563A
JPH05337563A JP3269027A JP26902791A JPH05337563A JP H05337563 A JPH05337563 A JP H05337563A JP 3269027 A JP3269027 A JP 3269027A JP 26902791 A JP26902791 A JP 26902791A JP H05337563 A JPH05337563 A JP H05337563A
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久夫 鈴木
Makoto Tsuda
誠 津田
Hisayoshi Kojima
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粗製品の内面部に内型をセットした状態で外
面部の全周をしごき加工して内面部を高精度に仕上げる
精密仕上げ加工方法を提供すること。 【構成】 粗製品のハウジング部軸直角断面を均等厚肉
部、均等薄肉部ならびに厚肉から薄肉への変化部に分割
して各部における面積しごき率を算出し、各部の面積し
ごき率の偏差が5%以内となるように外面部の全周をし
ごき加工する。又、しごき加工される粗製品が接触する
位置における外型内面部のしごき角度の平均値が2〜5
度以内であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内面部に複数の溝を有
する部品の内面部の精密仕上げ加工方法に関するもので
あり、特に利用部品の例としては、内面部に相手側ロー
ラと転動自在に係合する3条のローラ溝を有するトリポ
ード型等速自在継手の外輪の精密仕上げ加工方法があげ
られる。
【0002】
【従来の技術】トリポート型等速自在継手は図3に示す
構造を有し、その外輪1はカップ状のハウジング部1a
と軸部1bが一体に形成されている。図4は前記ハウジ
ング部1aの軸直角断面の形状を示しており、当該ハウ
ジング部1aの内面部には、3個の軸方向のローラ溝2
が120°の等角度間隔に形成されている。これらのロ
ーラ溝2の外縁は薄肉部3を、各ローラ溝2の中間は厚
肉部4を形成している。又、前記の薄肉部3と厚肉部4
を結なぐ肉厚変化部には一対の円弧状曲面5が向かいあ
った状態で形成されている。
【0003】前記円弧状曲面5は、スパイダー6に回転
自在に支持されたローラ7と転動自在に係合し動力を伝
達する役目をもち、円筒度、角精度(3個のボール溝の
振分け精度)に高い精度が要求される。
【0004】上述したローラ溝の精度を確保するための
従来技術による加工方法を2例示す。第1の例は、図5
に示すように厚肉部を有するハウジングの本体8と薄肉
部を構成するリング10を分割したもので、本体8の円
弧状曲面9を高精度に切削仕上げした後、本体8の外周
部にリング10を嵌合させたものである。この方法で
は、部品点数が多く切削工程を要する点でコスト的に問
題がある。
【0005】第2の例は、図6において厚肉部13と薄
肉部14を一体とし、仕上ったものとほぼ同一の形状と
寸法の内面部を有する粗製品の内面部に内型をセット
し、厚肉部の外面部分のみを内面に向ってしごき加工を
施こすか、又は、厚肉部の外面部分を主体的に、薄肉部
の外面部分は補助的に、内面に向ってしごき加工して仕
上げる方法で、同図にしごき加工前後のハウジング部の
軸直角断面の形状の変化をも示す。すなわち、しごき加
工前の外面部11は、しごき加工により12の形状とな
る。
【0006】この方法では、しごき加工により与えられ
る加工ひずみが厚肉部と薄肉部とで異なり、従って、し
ごき加工により発生するハウジング部の軸方向の伸びも
厚肉部と薄肉部とで異なり、この結果、円弧状曲面の精
度が低下しやすい。さらに厚肉部の厚みt′1の薄肉部
の厚みt′2に対する比率が大きい部品にこの仕上げ方
法を適用すると、薄肉部がしごき加工による厚肉部の変
形の悪影響を受け形状精度が低下するなどの問題があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、粗製品の内面部に内型をセットした状態で
外面部の全周を内面部方向に向ってしごき加工すること
によって内面部を高精度に仕上げる精密仕上げ加工方法
を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明において課題を解
決するための手段は、仕上げ形状を有する粗製品のハウ
ジング部軸直角断面を均等厚肉部、均等薄肉部ならびに
厚肉から薄肉への変化部に分割して各部における面積し
ごき率を算出し、前記各部の面積しごき率の偏差が5%
以内となるように外面部の全周をしごき加工することを
特徴とすることである。
【0009】又、本発明において課題を解決するための
他の手段は、ハウジング部軸直角断面が均等厚肉部、均
等薄肉部ならびに厚肉から薄肉への変化部に分割されて
いる仕上げ形状を有する粗製品のしごき加工において、
しごき加工される粗製品が接触する位置における外型内
面部のしごき角度の平均値が2〜5度以内であることを
特徴とすることである。
【0010】
【実施例】図1、図2が実施例を説明するものであっ
て、図1は本発明における製品変化の説明図、図2は金
型の説明図である。図1は外周面が円形の粗製品から円
形の製品に仕上げるときのしごき加工前後の断面形状の
変化を示しており、中心線から左半分がしごき加工前の
断面形状を、中心線から右半分がしごき加工後の断面形
状を示す。ここで、製品の中点Kからの放射方向のハウ
ジング部軸直角断面を、厚肉部領域Z10、薄肉部領域Z
20及び厚肉部から薄肉部への変化部領域Z120とに大き
く分割する。
【0011】厚肉部の領域はしごき加工前後でZ10から
1に、薄肉部の領域はしごき加工前後でZ20からZ
2に、厚肉部から薄肉部への変化領域はしごき加工前後
でZ120からZ12に変化する。Z10,Z20,Z120
1,Z2,Z12の面積をそれぞれS10,S20,S120
1,S2,S12とすれば、厚肉部の面積しごき率は、数
1と示され、薄肉部の面積しごき率ε2、厚肉部から薄
肉部への変化部の面積しごき率ε12も同様である。
【0012】
【数1】
【0013】以上の面積しごき率を均一に又はその偏差
を少なく設定すれば、しごき加工によるハウジング部の
軸方向のひずみは各部で均一ないしはこれに準ずる状態
となり、しごき加工後の精度の向上が得られる。すなわ
ち、面積しごき率の偏差を抑えると、図10において、
厚肉部の伸び△1及び薄肉部の伸び△2の偏差が少なくな
り、しごき後の厚肉部−薄肉部間の引張り−圧縮が生じ
にくくなるために精度が向上する。
【0014】図14に、面積しごき率の偏差がローラ溝
2の内幅Pの精度に及ぼす関係をグラフに示す。面積し
ごき率の偏差を5%以内に抑えるとPの偏差は0.1m
m以内となり高精度のローラ溝を仕上げることができ
る。
【0015】又、しごき後の製品の高さH(図7)の全
周でのばらつきが少なく、しごき加工後の製品の取代2
1も少なくてよく、歩留りが従来の方法より向上する。
【0016】さらに粗製品の内面部、内型の外面部との
寸法が近接しているのは図1のE部のみであるため、粗
製品に内型を入れやすく、又、自動化もしやすい。
【0017】図2は本加工方法によるしごき加工工程の
金型の主要部を示しており、内型16、粗製品17、外
型18の関係位置を示す。前記内型16が移動型、外型
18が固定型の場合を示し、内型16を同図のA矢示方
向に移動させることにより、しごき加工が行われる。図
2とは逆に内型を固定型、外型を移動型としてもよい。
【0018】本発明方法のように外面部を内面に向って
しごく場合、外型の内面部18aは、入口が広く奥が狭
くなるような傾斜面とならざるを得ない。このため、し
ごき加工による軸方向の伸びを図7において製品の外面
側19でλ1、内面側20でλ2とすると、λ1>λ2とな
り、しごき加工後の外面部には引張り応力が、内面部に
は圧縮応力が残留し、しごき加工後の製品を型から取り
出すと図8に示す量eの反りを生じ内外面部の各部の精
度を悪くする。
【0019】特に、図1に示す厚肉部の厚みt1/薄肉
部の厚みt2が大となると、反りも大きくなる。しごき
加工に供する外型の中心線を含む断面における外型の内
面部の接線と該中心線のなす角θは、一般に、しごき角
度と呼ばれるが、θが大きい程、しごき加工時、外型内
面部から粗製品に働く圧縮主応力B(図2)の方向と、
軸心と直角の方向との角αも大きくなり、上述のしごき
加工後の伸びの、製品内外面での差が大きくなり残留応
力値も大となる。
【0020】以上についての実験値を、図1に示すロー
ラ溝の内幅Pについてt1/t2=5の条件下で、しごき
角度との関係を図15のグラフに示す。
【0021】平均のしごき角度が12°のときPの偏差
は0.1、平均のしごき角度が3.5°のときPの偏差
は0.04であり、しごき角度が小さくなる程、仕上り
精度も向上するが、特に、しごき角度が2〜5°の範囲
において仕上り精度が高いことが判明した。
【0022】しごき角度を小さくすると、図11におい
て内径面22と外径面24及び内部23のひずみの偏差
が少なくなり、加工による残留応力が小さくなるためで
ある。
【0023】しごき角度≦2°では、しごきダイスの深
さ(図12のH)が大となり、又、しごき時、材料とダ
イス間の摩擦力の悪影響が生じ不適当となる。
【0024】又、面積しごき率を均一にすることに対応
する従来技術として、板厚しごき率を均一にするしごき
加工法が存在しているが、以下に本発明と従来技術の明
確な差異を説明する。
【0025】図13のごとき肉厚の不均一な製品の内面
部をしごき加工により高精度にしごくには、しごき加工
後の残留応力を均一に抑える必要がある。このために
は、しごき加工前後の伸び率を全周にわたり均一にする
ことが必要である。すなわち、図13において数2とな
ることが望ましい。
【0026】
【数2】
【0027】ここで、プレス加工における体積一定則の
原理からは、 H0,H;しごき加工前後の高さ、 D0,D;しごき加工前後の外径寸法、 d0,d;しごき加工前後の内径寸法 とすれば、H(D2 −d2)=H0(D 2 0 −d 2 0)であ
る。δ=面積減少率(面積しごき率と同じ)とすれば、
数3となる。
【0028】
【数3】
【0029】従って、δを均一にすれば、数4は均一と
なり前述の数5の効果を得ることができる。
【0030】
【数4】
【0031】
【数5】
【0032】次に、D=φ100、d=φ60の製品に
ついて、板厚の減少量をいろいろと変えた場合に、板厚
減少率(板厚しごき率と同じ)と面積減少率とに違いを
生じることをグラフにしたものが図16である。これで
分るように、板厚減少量の変化に対して両者の減少率の
傾向には明白な差異が生じている。従って、図13のご
とき肉厚の不均一な製品の場合は、板厚減少率を均一に
していても前述の数6のような本発明特有の効果を得る
ことは不可能となる。
【0033】
【数6】
【0034】本発明の精密仕上げ加工方法の利用が可能
な部品は、等速自在継手の外輪のような底付きの部品に
限らない。底なし部品の場合はしごき加工を図9のよう
に実施すればよい。
【0035】
【発明の効果】本発明は、内面部に複数の溝を有する部
品の精密仕上げ加工において、ほぼ仕上り形状を有する
粗製品の内面部に内型セットした状態で外面部の全周を
内面部方向に向って各部の面積しごき率の偏差が5%以
内となるようにしてしごき加工を施すことにより、加工
ひずみの偏差を抑え内面部の複数の溝を高精度に仕上げ
ることができ、形状精度を向上させることができる。
【0036】又、本発明は、実施例のように外周面が円
形の粗製品から円形の製品に仕上げるように、粗製品の
内面部と内型のクリアランスを薄肉部に大きく厚肉部に
小さく付与し、かつ各部の面積しごき率を均一にしてし
ごき加工を施すときは、内面部の複数の溝を高精度に仕
上げる効果のみならず、しごき加工が簡易となり金型費
も安価となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の精密仕上げ加工方法によるしごき加工
前後の軸直角断面形状の変化を示す説明図。
【図2】本発明のしごき加工用金型の主要部の説明図。
【図3】トリポード型等速自在継手の一部断面の側面
図。
【図4】トリポード型等速自在継手の外輪ハウジング部
の軸直角断面図。
【図5】従来技術における分割型外輪を主体とした加工
方法の説明図。
【図6】従来技術における厚肉部を主体とした加工方法
の説明図。
【図7】しごき加工後の軸方向の製品の伸びを示す説明
図。
【図8】しごき加工後に生ずる反りを示す説明図。
【図9】底なしの部品のしごき方法を示す説明図。
【図10】面積しごき率の偏差と精度の関係を示す説明
図。
【図11】しごき角度と精度の関係を示す説明図。
【図12】しごき角度としごきダイスの深さの関係を示
す説明図。
【図13】板厚変化量と板厚減少率ならびに面積減少率
との関係を示す説明図。
【図14】面積しごき率の偏差がローラ溝の内幅の精度
に及ぼす関係を示すグラフ。
【図15】t1/t2=5の条件下でしごき角度が図1に
示すローラ溝の内幅の精度に及ぼす関係を示すグラフ。
【図16】板厚減少率と面積減少率との違いを示すグラ
フ。
【符号の説明】
1 外輪 2 ローラ溝 3 薄肉部 4 厚肉部 5 円弧状曲面部 6 スパイダー 7 ローラ 10 リング 11 しごき前の外面部 12 しごき後の外面部 16 内型 17 粗製品 18 外型 19 製品の外面部 20 製品の内面部
フロントページの続き (72)発明者 津田 誠 神奈川県横浜市鶴見区大黒町6番1号 日 産自動車株式会社鶴見地区内 (72)発明者 小島 久義 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社横浜工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げ形状を有する粗製品のハウジング
    部軸直角断面を均等厚肉部、均等薄肉部ならびに厚肉か
    ら薄肉への変化部に分割して各部における面積しごき率
    を算出し、前記各部の面積しごき率の偏差が5%以内と
    なるように外面部の全周をしごき加工することを特徴と
    する内面部に複数の溝を有する部品の精密仕上げ加工方
    法。
  2. 【請求項2】 ハウジング部軸直角断面が均等厚肉部、
    均等薄肉部ならびに厚肉から薄肉への変化部に分割され
    ている仕上げ形状を有する粗製品のしごき加工におい
    て、しごき加工される粗製品が接触する位置における外
    型内面部のしごき角度の平均値が2〜5度以内であるこ
    とを特徴とする内面部に複数の溝を有する部品の精密仕
    上げ加工方法。
JP3269027A 1991-09-20 1991-09-20 内面部に複数の溝を有する部品の精密仕上げ加工方法 Expired - Lifetime JPH0775736B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3488944A1 (en) * 2017-11-27 2019-05-29 Tata Steel IJmuiden B.V. Process for the production of a can body by wall ironing

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3488944A1 (en) * 2017-11-27 2019-05-29 Tata Steel IJmuiden B.V. Process for the production of a can body by wall ironing

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JPH0775736B2 (ja) 1995-08-16

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