JPH05336938A - ニンジンジュースの高濃縮方法 - Google Patents

ニンジンジュースの高濃縮方法

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JPH05336938A
JPH05336938A JP4176053A JP17605392A JPH05336938A JP H05336938 A JPH05336938 A JP H05336938A JP 4176053 A JP4176053 A JP 4176053A JP 17605392 A JP17605392 A JP 17605392A JP H05336938 A JPH05336938 A JP H05336938A
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carrot
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喜郎 早川
Haruyuki Igami
晴之 伊神
Yasunori Yamada
康則 山田
Yukio Ishiguro
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ニンジンジュースからニンジン本来
の品質を保有するBrix30%以上の高濃縮品を継続して
安定製造することができる、ニンジンジュースの高濃縮
方法を提供するものである。 【構成】本発明は、パルプ質含量5%以上に調整したニ
ンジンジュースを、直列に接続された食塩阻止率90%
以上の膜モジュールを備える第1段ユニットと食塩阻止
率30%以下の膜モジュールを備える第2段ユニットと
へ、該第2段ユニットからの透過液を該第1段ユニット
に返送しつつ、一過式で流過させて、Brix30%以上に
逆浸透濃縮することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニンジンジュースの高濃
縮方法に関する。ニンジンジュースの高濃縮品が中間製
品として、また最終製品として広く利用されている。該
高濃縮品にはニンジン本来の品質(色、味、香等)を保
有するものであることが要請される。本発明はニンジン
本来の品質を保有する高濃縮品を継続して安定製造する
ことができるニンジンジュースの高濃縮方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、ニンジンジュースの濃縮方法とし
て一般に真空濃縮が行なわれている。ところが、この従
来法には、その条件によって程度の差はあるが、水を蒸
発させる相変換を伴うため、ニンジン本来の品質劣化が
避けられないという欠点がある。
【0003】そこで従来、相変換を伴わない、したがっ
てニンジン本来の品質を保有するニンジンジュースの濃
縮方法として逆浸透濃縮が提案されている。これには例
えば、搾汁してパルプ質含量を調整したニンジンジュー
スを同じ膜モジュールを備える1段のユニットへ一過式
で流過させて逆浸透濃縮する方法(特公昭59−538
24)、搾汁したニンジンジュースを異なる膜モジュー
ルを備える多段のユニットへ循環式で流過させて逆浸透
濃縮する方法(特開平3−21326)、搾汁したニン
ジンジュースから精密濾過や限外濾過で分離した濾液を
異なる膜モジュールを備える多段のユニットへ循環式で
流過させて逆浸透濃縮する方法(特開平3−5877
4)等がある。ところが、これらの従来法には、実際の
ところ、過大な操作圧力、雑菌による汚染、煩雑な操作
等により、ニンジンジュースからBrix30%以上の高濃
縮品を継続して安定製造することが難しいという欠点が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の濃縮方法では、ニンジン本来の品質
が劣化したり、或はニンジンジュースからBrix30%以
上の高濃縮品を継続して安定製造することが難しい点で
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、パル
プ質含量5%以上に調整したニンジンジュースを、直列
に接続された食塩阻止率90%以上の膜モジュールを備
える第1段ユニットと食塩阻止率30%以下の膜モジュ
ールを備える第2段ユニットとへ、該第2段ユニットか
らの透過液を該第1段ユニットに返送しつつ、一過式で
流過させて、Brix30%以上に逆浸透濃縮することを特
徴とするニンジンジュースの高濃縮方法に係る。
【0006】本発明では、ニンジンを破砕し、搾汁した
ニンジンジュースであって、そのパルプ質含量を5%以
上に調整したニンジンジュースを逆浸透濃縮する。ここ
にパルプ質含量は、ニンジンジュースを3000rpm×
10分間で遠心分離したときの全体に対する容積率であ
る。パルプ質含量の調整は、条件設定により搾汁の際に
同時に行なうこともできるが、確実を期するため、搾汁
したニンジンジュースを遠心分離や篩分け等に供して行
なうのが好ましい。
【0007】ニンジンジュースの濃縮においては一般
に、そのパルプ質含量が高いと、濃縮に伴って高粘性に
なり、高濃縮が難しくなるため、パルプ質含量をできる
だけ低く調整したものを濃縮している。例えば、前述し
た従来の真空濃縮ではパルプ質含量2〜3%程度に調整
したニンジンジュースを真空濃縮しているのが実情であ
り、また前述した従来の逆浸透濃縮(特開平3−587
74)では搾汁したニンジンジュースを精密濾過や限外
濾過に供して分離した濾液を逆浸透濃縮している。
【0008】ところが意外にも、パルプ質含量を種々変
えて調整したニンジンジュースを後述するような2段階
のユニットへ一過式で流過させて逆浸透濃縮すると、パ
ルプ質含量5%以上のニンジンジュースを逆浸透濃縮す
る場合にBrix30%以上の高濃縮品を継続して安定製造
することができるのである。本発明において、パルプ質
含量5%以上に調整したニンジンジュースを逆浸透濃縮
する由縁である。もっとも、パルプ質含量を余り高くす
ると、その逆浸透濃縮に際し、それだけ高粘性になり、
またそれだけ膜モジュール内の圧損も大きくなるので、
装置面及び操作面も考慮して、パルプ質含量は10〜2
0%程度に調整するのが好ましい。
【0009】そして本発明では、上記のようにパルプ質
含量を調整したニンジンジュースを逆浸透濃縮する。逆
浸透濃縮では、パルプ質含量5%以上に調整したニンジ
ンジュースを、直列に接続された食塩阻止率90%以上
の膜モジュールを備える第1段ユニットと食塩阻止率3
0%以下の膜モジュールを備える第2段ユニットとへ一
過式で流過させる。第1段ユニットから得られる濃縮品
を該第1段ユニットに返送したり、或は第2段ユニット
から得られる濃縮品を該第1段ユニット又は該第2段ユ
ニットに返送する循環式も考えられるが、このような循
環式を採用すると、単に装置構造が複雑になり、またそ
の操作が煩雑になるだけでなく、菌管理が難しくなっ
て、最終的に得られる濃縮品が雑菌により汚染され易く
なる。
【0010】また逆浸透濃縮では、第1段ユニットから
の透過液を廃棄し、第2段ユニットからの透過液を該第
1段ユニットに返送する。第1段ユニットには食塩阻止
率90%以上の逆浸透膜が装着された膜モジュールが装
備されており、かかる高阻止率の逆浸透膜を透過する液
中にはニンジン本来の有効成分が殆ど含まれてこないの
で、これを廃棄する。しかし第2段ユニットには食塩阻
止率30%以下の逆浸透膜が装着された膜モジュールが
装備されており、かかる低阻止率の逆浸透膜を透過する
液中にはニンジン本来の有効成分が含まれてくるので、
該有効成分を回収するためにこれを第1段ユニットに返
送する。第1段ユニットの膜モジュールとして食塩阻止
率90%未満のものを用いると、ニンジン本来の有効成
分が失われてしまい、また第2段ユニットの膜モジュー
ルとして食塩阻止率30%超のものを用いると、必要と
される透過液量が得られず、膜面積を大きくすることが
必要となるため、全体として膜モジュール内の圧損が大
きくなり、Brix30%以上の高濃縮品を継続して安定製
造することができなくなってしまう。
【0011】第1段ユニットに装備されている膜モジュ
ールの膜面積と第2段ユニットに装備されている膜モジ
ュールの膜面積との相互関係は任意に設定できるが、第
1段ユニットへのニンジンジュースの供給量、第1段ユ
ニットにおける圧損と濃縮度、第2段ユニットにおける
圧損と濃縮度、第2段ユニットから第1段ユニットへの
透過液の返送量、第2段ユニットから得られる濃縮品の
量と濃縮度等、これら全体のバランスを維持して、Brix
30%以上の高濃縮品をより良く継続して安定製造する
ためには、第2段ユニットの膜面積を第1段ユニットの
膜面積よりも小さくするのが好ましく、この場合、第2
段ユニットの膜面積を第1段ユニットの膜面積の10〜
70%にするのが更に好ましい。
【0012】図1は本発明の一実施状態を略示する系統
図である。第1段ユニット11と第2段ユニット12と
が直列に接続されている。第1段ユニット11には食塩
阻止率90%以上の膜モジュール21が装備されてお
り、また第2段ユニット12には食塩阻止率30%以下
の膜モジュール22が装備されていて、第2段ユニット
12の膜面積は第1段ユニット11の膜面積の10〜7
0%に設定されている。パルプ質含量5%以上に調整し
たニンジンジュースを第1段ユニット11と第2段ユニ
ット12とへ一過式で流過させ、この際の第1段ユニッ
ト11からの透過液を廃棄し、第2段ユニット22から
の透過液を第1段ユニット11に返送している。
【0013】図2は図1において第1段ユニットへ供給
するニンジンジュースのパルプ質含量を0〜20%で変
化させたときの第2段ユニットから得られる濃縮品の濃
度を例示するグラフである。ここでは搾汁したBrix8.
5%のニンジンジュースであって、そのパルプ質含量を
遠心分離で調整したニンジンジュースを、食塩阻止率9
5%で合計膜面積15m2のチューブラ型膜モジュールが
装備された第1段ユニットと、食塩阻止率20%で合計
膜面積9m2のチューブラ型膜モジュールが装備された第
2段ユニットとへ、200リットル/時で10時間、一
過式で連続流下させている。図2からも明らかなよう
に、パルプ質含量5%以上に調整したニンジンジュース
を逆浸透濃縮する場合にBrix30%以上の高濃縮品を継
続して安定製造することができるのである。
【0014】図3は図1において第2段ユニットに装備
されている膜モジュールの食塩阻止率を10〜40%で
変化させたときの該第2段ユニットから得られる濃縮品
の濃度を例示するグラフである。ここではBrix8.5%
でパルプ質含量10%に調整したニンジンジュースを、
食塩阻止率99%で合計膜面積15m2のチューブラ型膜
モジュールが装備された第1段ユニットと、食塩阻止率
10〜40%で合計膜面積9m2のチューブラ型膜モジュ
ールが装備された第2段ユニットとへ、200リットル
/時で10時間、一過式で連続流下させている。図3か
らも明らかなように、第2段ユニットの食塩阻止率が3
0%以下である場合にBrix30%以上の高濃縮品を継続
して安定製造することができるのである。
【0015】
【実施例】前述した図1の系統図にしたがい、下記の条
件下でニンジンジュースを10時間連続して逆浸透濃縮
した。ニンジン本来の品質を保有するBrix35%の高濃
縮品を継続して安定製造することができた。
【0016】条件 ニンジンジュース:Brix8.5%、パルプ質含量10
%、20℃。ニンジンジュースの供給量:300リット
ル/時。第1段ユニット:食塩阻止率99%の逆浸透膜
(PCI社製のAFC99)を装着したチューブラ型膜
モジュール、合計膜面積20.0m2。第2段ユニット:
食塩阻止率30%の逆浸透膜(PCI社製のAFC3
0)を装着したチューブラ型膜モジュール、合計膜面積
12.0m2。操作圧力:50〜70kg/cm2。第1段ユニ
ットの入口線速:1.01m/秒。第1段ユニットから
の廃棄透過液量:220リットル/時。第2段ユニット
の入口線速:0.52m/秒。第2段ユニットからの返
送透過液量:150リットル/時。
【0017】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、ニンジンジュースからニンジン本来の品質を保
有するBrix30%以上の高濃縮品を継続して安定製造す
ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施状態を略示する系統図。
【図2】図1において第1段ユニットへ供給するニンジ
ンジュースのパルプ質含量を変化させたときの第2段ユ
ニットから得られる濃縮品の濃度を例示するグラフ。
【図3】図1において第2段ユニットに装備されている
膜モジュールの食塩阻止率(%)を変化させたときの該
第2段ユニットから得られる濃縮品の濃度を例示するグ
ラフ。
【符号の説明】
11・・・第1段ユニット、12・・・第2段ユニッ
ト、21,22・・・膜モジュール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ質含量5%以上に調整したニンジ
    ンジュースを、直列に接続された食塩阻止率90%以上
    の膜モジュールを備える第1段ユニットと食塩阻止率3
    0%以下の膜モジュールを備える第2段ユニットとへ、
    該第2段ユニットからの透過液を該第1段ユニットに返
    送しつつ、一過式で流過させて、Brix30%以上に逆浸
    透濃縮することを特徴とするニンジンジュースの高濃縮
    方法。
  2. 【請求項2】 第2段ユニットの膜面積を第1段ユニッ
    トの膜面積よりも小さくした請求項1記載のニンジンジ
    ュースの高濃縮方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100356875C (zh) * 2005-07-08 2007-12-26 黑龙江大丰农业科技有限公司 低蒸发生产胡萝卜浓缩汁、无蒸发生产胡萝卜浓缩浆的加工工艺
CN113940398A (zh) * 2021-09-23 2022-01-18 同舟纵横(厦门)流体技术有限公司 一种胡萝卜汁浓缩的方法和浓缩装置

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