JPH05332891A - プラント監視装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過渡データの記憶保存に対して有効的な保存
処理を行い、効率の良いシステム運用を図る。 【構成】 プラントのプロセス信号を入力するプロセス
入力手段と、このプロセス入力手段により入力されたプ
ロセス信号の過渡変化を検出する過渡変化検出手段と、
この過渡変化検出手段により過渡変化が検出されたプロ
セス信号を過渡データとして保存する複数のデータエリ
アを有する過渡データ記憶手段と、過渡変化検出手段に
より過渡変化が検出された過渡データが予めデータ保護
要に設定されているとき、この過渡データを過渡データ
記憶手段に上書き不可の状態に保存し、過渡データ記憶
手段の全てのデータエリアに過渡データがすでに保存さ
れているとき、上書き可能な状態で保存されている最も
過去の過渡データに今回過渡データを上書して保存する
過渡データ保存処理手段とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、プラント状態を監視す
るプラント監視装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】プラント監視装置は、プラントの予防保
全として異常徴候を早期発見するとともに、異常発生後
の事後保全として異常の原因を迅速に究明することを目
的に、プラント内に発生する種々の過渡変化を検知する
ものである。そのために、プラント監視装置は、プラン
トの過渡変化を検知した場合、その過渡変化発生前後数
分間のプロセスデータを、自動的に記憶保存し、警報出
力すると同時に、オペレータが解析に必要な種々の監視
情報（警報レポート等）を出力している。これら突発的
な変化を検知する手法として、実効値監視およびピーク
値監視等が広く用いられている。

【０００３】一般に、このような過渡変化を検知する場
合、プロセス信号の突発的な変化およびびプラントの接
点信号等をトリガーとし、複数回分の過渡変化情報（以
下、過渡データという）を記憶することができるように
なっている。これは、過渡変化を検知した後、記録され
た過渡データについてオペレータの評価が必要であり、
評価作業中においても、次の過渡変化を検知した場合に
記録保存を可能にするためである。これらオペレータの
評価が完了すれば、次回の記憶保存のため、不要な過渡
データを消去している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来装置で
は、記憶保存されている過渡データが記憶可能な回数分
（Ｎ回）になると、保存回数的に満杯となり、次の過渡
変化を検知しても過渡データの記憶保存する場所がない
ため、過渡データの記憶保存ができないという不都合が
発生していた。そのため、オペレータは、過渡データの
解析評価後、不要になった過渡データの消去を常に行う
必要があり、迅速な解析評価を行うとともに、残りの記
憶保存回数等を確認しておく必要があった。これは、Ｎ
回分の過渡データが記憶可能なのに対して、システム運
用上常に数回分の過渡データを消去しておくことにな
り、データエリアの使用状況からも効率的にむだとなっ
ていた。

【０００５】また、プラントの過渡変化の中で、プラン
ト運転操作または試験に伴う変化についてもデータ確認
のため記録保存する場合があり、これら比較的プラント
異常検知とは関係ない過渡データが記憶保存されると、
記憶保存回数的に満杯になり、重要な過渡変化のデータ
が記憶保存されないことがある。そのため、場合によっ
ては、過渡変化監視対象のプロセス信号の見直し操作が
随時必要となり、オペレータにとって負担となる恐れが
った。

【０００６】本発明は、上記の問題を解決し、過渡デー
タの記憶保存に対して有効的な保存処理を行い、効率の
良いシステム運用ができるプラント監視装置を提供する
ことを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のプラ
ント監視装置は、プラントのプロセス信号を入力するプ
ロセス入力手段と、このプロセス入力手段により入力さ
れたプロセス信号の過渡変化を検出する過渡変化検出手
段と、この過渡変化検出手段により過渡変化が検出され
たプロセス信号を過渡データとして保存する複数のデー
タエリアを有する過渡データ記憶手段と、過渡変化検出
手段により過渡変化が検出された過渡データが予めデー
タ保護要に設定されているとき、この過渡データを過渡
データ記憶手段に上書き不可の状態に保存し、過渡デー
タ記憶手段の全てのデータエリアに過渡データがすでに
保存されているとき、上書き可能な状態で保存されてい
る最も過去の過渡データに今回過渡データを上書して保
存する過渡データ保存処理手段とを具備することを特徴
とする。

【０００８】

【作用】上記構成においては、過渡変化検出手段により
プロセス信号の過渡変化を検知し、過渡データ保存処理
手段によりその過渡データを過渡データ記憶手段に記憶
保存する。過渡データ記憶手段では、記憶保存するＮ個
のデータエリア全体をサイクリックに使用し、不要な過
渡データを記憶しているエリアへ上書き可能にすること
により、有効的なデータエリアの運用を行う。また、過
渡変化の種別（またはプロセス信号別）に重要度の情報
を予め設定しておき、この情報に基づいて、過渡データ
保存処理手段により重要な過渡データに対しては自動的
に上書きされないようデータ保護設定を行っている。

【０００９】このため、プラント監視装置内にある過渡
データをオペレータ操作により消去することなく、また
記憶可能数のＮ個分の過渡データを装置内に記憶保存し
たまま、プラントの過渡変化監視が可能となる。さら
に、過渡変化の種別に応じ、重要な過渡データに対して
自動的にデータ保護されるため、重要過渡データの上書
きによるデータ消去を防止することができ、かつプラン
ト運転操作または試験に伴う確認のための過渡データの
記録保存において、監視するプロセス信号の見直し操作
を必要とせず、プラントの過渡変化監視が可能となる。

【００１０】これらにより、効率良いシステム運用がで
き、オペレータの負担軽減が可能となる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を、添付図面を参照し
ながら詳細に説明する。

【００１２】図１は、本発明のプラント監視装置の一実
施例のブロック構成図を示したもので、プラント監視装
置１は、プロセス入力制御装置２を介してプラント３と
接続されている。

【００１３】プラント監視装置１において、４はプラン
ト３よりプロセス入力制御装置２を介してプロセス信号
を入力するプロセスデータ入力手段である。５はプロセ
スデータ入力手段４からプロセスデータを受け取り、実
効値監視またはピーク監視等の既知の手法により、過渡
変化判定のための判定値を計算する判定値計算手段であ
る。６は判定値計算手段５からプロセスデータと計算結
果である判定値等を受け取り、監視データとして時系列
的に監視データファイル７に保存する監視データ保存処
理手段である。８は判定値計算手段５によって計算され
た判定値と予め記憶されている判定情報ファイル９の信
号別警報レベルとの比較により過渡変化を検出する過渡
変化検出手段である。１０はプロセスデータ入力手段４
から過渡変化検出手段８まで、周期的に作動させ、常時
監視を実行させるための計時処理手段である。

【００１４】１１は、過渡変化検出手段８により過渡変
化が検出されたとき、監視データファイル７に保存され
ている一定期間の監視データを取り出し、過渡データと
して過渡データ記憶手段１２のデータエリアｎ（n=1,2,
…,N）に保存する過渡データ保存処理手段である。過渡
データ記憶手段１２のＮ個のデータエリアは保存順にサ
イクリックに使用され、過渡データ保存処理手段１１に
より過渡データの保存時点で、判定情報ファイル９に警
報レベルと同時に設定しているデータ保護情報に従っ
て、データの書き込み禁止操作が自動的に行われる。

【００１５】１３は過渡データ保存処理手段１１により
起動され、過渡データ記憶手段１２の対象となるデータ
エリアｎより、プロセスデータを取り出し、出力装置１
４へプロセスデータの変化を示す波形を出力する出力処
理手段である。また、出力処理手段１３は警報装置１５
へ、異常発生を示す警報信号を出力する。

【００１６】次に、上記構成のプラント監視装置１の作
用を説明する。

【００１７】図２は、プラント監視装置１において実行
されるプラント監視処理を示したものである。この図に
示すように、まず、プロセスデータ入力手段４によりプ
ラント３からプロセス入力制御装置２を介してプロセス
信号の全信号がサンプリングされる（１００）。つい
で、判定値計算手段５により、プロセス値の前回値と今
回値より実効値監視またはピーク監視等の既知の手法に
従い各信号の判定値が算出され（１０１）、監視データ
保存処理手段６によってプロセス値とその判定値が監視
データとして監視データファイル７に時系列的に保存さ
れる（１０２）。

【００１８】判定値計算手段５により判定値が計算され
ると、過渡変化検出手段８により１０３で示すような過
渡変化検出処理が行われる。すなわち、過渡変化検出手
段８は、判定値計算手段５から受け取った信号の判定値
を、判定情報ファイル９に予め設定されている当該信号
の警報レベルと比較して、信号ごとに判定値が警報レベ
ル以上か否かを判定する（１０４）。この判定がＮＯの
とき、その信号を過渡変化なしとし（１０５）、ＹＥＳ
のとき、その信号を過渡変化ありとする（１０６）。全
信号について上記判定が行われ（１０７）、この判定結
果に基づいて過渡変化を示した信号があるか否かを判断
し（１０８）、過渡変化を示した信号がある場合には過
渡データ保存処理手段１１を起動する（１０９）。

【００１９】過渡変化検出手段８の処理１０３が終了す
ると、計時処理手段１０により所定の監視タイミングで
プロセスデータ入力手段が起動され（１１０）、上記監
視処理が繰り返される。

【００２０】過渡変化検出手段８の処理１０３にて、過
渡変化を示す信号が検出されたとき、過渡データ保存処
理手段１１は起動され、図３に示すフローチャートに従
って過渡データ記憶手段１２への過渡データ保存処理を
行う。

【００２１】図３に示すように、まず前回保存したデー
タエリアｎ′により今回保存するデータエリアｎをｎ′
＋１とし（２００）、ｎが過渡データ記憶手段１２内の
データエリアの数Ｎより大か否かを判断する（２０
１）。Ｎ≧ｎならば（２０２）、データエリアｎが上書
き可能な状態か否かを判断し（２０３）、上書き禁止状
態であればｎをｎ＋１とし（２０４）、同様の判断を行
って順次書き込み可能なエリアを検索する（２０５）。
Ｎ＜ｎならば、ｎを１とし（２０６）、同様にして過渡
データ記憶手段１２の先頭のデータエリア１から順次書
き込み可能なエリアを検索する（２０３、２０４、２０
５）。ただし、検索の結果、全てのデータエリアが書き
込み禁止となっていた場合は、今回の過渡データは保存
不可となる（２０７）。

【００２２】このようにして決定されたデータエリアｎ
に対して、監視データファイル７より、対象となる時間
帯のプロセスデータを取り出し、過渡データ記憶手段１
２のデータエリアｎへ保存する（２０８）。ついで、過
渡変化現象のトリガーとなったプロセス信号ｉがデータ
保護対象になっているか否かを、判定情報ファイル９に
基づいてチェックする（２０９）。判定情報ファイル９
において、信号ｉに対して「データ保護有り」と設定さ
れていた場合には、今回過渡データを保存したデータエ
リアｎを書き込み禁止に設定する（２１０）。

【００２３】ここで、判定情報ファイル９の設定情報の
一例を表１に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】従来、プラント試験等で過渡変化を示すプ
ロセス信号については、通常「監視無し」に設定されて
いる。そして、プラント試験等に応じて記録保存が必要
な場合に「監視有り」に見直され、解析評価後、次の記
録保存のためデータをオペレータにより消去していた。
そのため、通常時は、記録回数の節約から重要な過渡変
化を示すプロセス信号のみが「監視有り」に設定されて
いた。しかし、表１に示すように、今回の判定情報ファ
イル９にデータ保護情報を設けることにより、プラント
試験等に応じたプロセス信号は、「監視有り」にしたま
まで「データ保護無し」にしておけば、記録保存するが
データが書き込み許可状態になっているため、オペレー
タの解析評価後、自動的に別な過渡データにより上書き
され消去される。これにより、プラント試験等に応じて
監視情報の見直しが不要となる。

【００２６】図３のフローチャートに示す上記処理によ
り、過渡データ記憶手段１２のデータエリアＮ個分に対
して、順繰り（サイクリック）に保存し、かつ、重要過
渡データについて自動的にデータ保護することができ
る。これにより、記憶可能数のＮ個分の過渡データを装
置内に記憶したまま、プラントの過渡変化監視が可能と
なり、重要過渡データの上書きによるデータ消去がなく
なる。

【００２７】このように、過渡データ保存処理手段１１
により上記データ保存が完了すると、出力処理手段１３
が起動され（２１１）、記録保存された過渡データ記憶
手段１２のデータエリアｎから、過渡変化を示すプロセ
スデータを取り出し、プロセスデータ波形を出力装置１
４に出力するとともに、異常を検知したことを知らせる
ため、警報装置１５への警報信号を出力する。

【００２８】以上の説明からも明らかなように、上記構
成のプラント監視装置においては、装置内に常に記憶可
能回数分の過渡データを記憶したまま、プラントの過渡
変化監視が可能となり、オペレータによるデータ消去操
作を軽減することができる。また、過渡データ記憶手段
内の全てのデータエリアが常に使用されていることか
ら、効率良いシステム運用を可能とする。

【００２９】また、判定情報ファイルにプロセス信号単
位のデータ保護情報を予め設定しておくことにより、過
渡変化の中で重要な過渡データに対しては、自動的に上
書き禁止状態で過渡データ記憶手段に保存することがで
きる。このため、プラント運転操作または試験に伴い監
視するプロセス信号の見直し操作をすることなく、プラ
ントの過渡変化監視が可能となる。

【００３０】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、重要な
過渡変化を示すプロセスデータについては上書き不可に
して過渡データ記憶手段に保存し、かつ過渡データ記憶
手段の全てのデータエリアに過渡データがすでに保存さ
れているときは、上書き可能なデータに保存順に上書き
して、データエリアをサイクリックに使用することによ
り、オペレータによるデータ消去操作などオペレータの
負荷を軽減することができるとともに、システム運用の
効率化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のプラント監視装置を示すブ
ロック構成図である。

【図２】図１に示すプラント監視装置のプラント監視処
理動作を示すフローチャートである。

【図３】本発明にかかる過渡データ保存処理手段の動作
を示すフローチャートである。

【符号の説明】

１………プラント監視装置 ２………プロセス入力制御装置 ３………プラント ４………プロセスデータ入力手段 ５………判定値計算手段 ６………監視データ保存処理手段 ７………監視データファイル ８………過渡変化検出手段 ９………判定情報ファイル １０………計時処理手段 １１………過渡データ保存処理手段 １２………過渡データ記憶手段 １３………出力処理手段 １４………出力装置 １５………警報装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラントのプロセス信号を入力するプロ
   セス入力手段と、 このプロセス入力手段により入力されたプロセス信号の
   過渡変化を検出する過渡変化検出手段と、 この過渡変化検出手段により過渡変化が検出されたプロ
   セス信号を過渡データとして保存する複数のデータエリ
   アを有する過渡データ記憶手段と、 前記過渡変化検出手段により過渡変化が検出された過渡
   データが予めデータ保護要に設定されているとき、該過
   渡データを前記過渡データ記憶手段に上書き不可の状態
   に保存し、前記過渡データ記憶手段の全てのデータエリ
   アに過渡データがすでに保存されているとき、上書き可
   能な状態で保存されている最も過去の過渡データに今回
   過渡データを上書して保存する過渡データ保存処理手段
   とを具備することを特徴とするプラント監視装置。