JPH05331765A - 濃色効果に優れた色彩異方繊維またはフィルム - Google Patents

濃色効果に優れた色彩異方繊維またはフィルム

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JPH05331765A
JPH05331765A JP3255672A JP25567291A JPH05331765A JP H05331765 A JPH05331765 A JP H05331765A JP 3255672 A JP3255672 A JP 3255672A JP 25567291 A JP25567291 A JP 25567291A JP H05331765 A JPH05331765 A JP H05331765A
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JP
Japan
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film
fiber
color
resin
mixed
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JP3255672A
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Michio Kubota
道雄 久保田
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
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Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 濃色効果に優れた色彩異方繊維またはフィル
ムを提供する。 【構成】 2種以上の樹脂からなる混合樹脂の皮膜を有
し、(イ)混合樹脂が互いに非相溶性であり、かつ、エ
ッチング速度の異なる樹脂成分からなり、(ロ)混合樹
脂の皮膜が少なくとも2相に相分離しており、更に
(ハ)混合樹脂の皮膜表面の少なくとも一部に凹孔を有
する繊維及び/または繊維構造物上の第一層の反射膜と
して金属膜を、その上の第二層の透明膜として膜厚10
0〜5000Åの酸化錫膜あるいは酸化錫と錫の混合膜
を有することを特徴とする色彩異方繊維またはフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、濃色効果に優れた色彩
異方繊維またはフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】これまで反射膜として、アルミニウム、
金、銀、銅、亜鉛(以下これらをAl、Au、Ag、C
u、Znと記す)等の金属膜を、又、透明膜として酸化
アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化ジル
コニウム等の金属酸化物膜を有するフィルムは提案され
ている。又、フィルム上に上述の金属膜及び金属酸化物
膜を形成させたあと、更にこれらを積層させ、最上層に
反射率の高いAl、Ag等の反射膜やポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルの感熱型また
は天然樹脂、ポリビニルエーテルなどをベースフィルム
として粘着加工してなる感圧型の接着剤層を付与したも
のがある(特開昭61−16900号公報)。
【0003】しかしながら、これら従来方法はフィルム
への蒸着であり、かつ、前者の方法では、作業上の煩雑
さや経済的な問題はともかく、本発明者らが目的とする
優れたファッション素材となり得るすばらしい色彩異方
効果を有した繊維またはフィルムは得られない。後者の
方法は、やはり、高分子フィルムに関する蒸着であり、
ある程度の色彩異方効果は得られるが、我々が目的とす
る優れたファッション性を有する繊維またはフィルムに
到達しないばかりか、更に作業上の煩雑さや経済的な面
に大きな問題がある。
【0004】一方、繊維布帛の少なくとも片面に、該繊
維布帛側から反射金属膜、透明金属化合物膜、半透明金
属膜を順次積層させ、上層の半透明金属膜の膜厚を増加
させる(200Å以上)ことにより、干渉色を発現させ
た例もある(特開平3−82881号公報)。しかしな
がら、この方法では、特定の色しか発色しないか、或は
見る角度により発色の程度が大きく変わるものである。
又、干渉効果を得るために、反射金属膜、透明金属化合
物膜、半透明金属膜を積層構造(3層)にし、しかも、
最上層の半透明金属膜の膜厚を厚くしなければならず、
作業上の煩雑さや経済的な面、或は耐久性や風合いの面
に非常に問題がある。
【0005】更に特公昭59−23882号公報には、
ステンレス鋼上にスパッタリング、イオンプレーティン
グ及びプラズマCVD等を用いて窒化チタン薄膜を形成
し、更に耐食性を向上させるために酸化珪素(以下Si
2 と記す)で被覆した二層膜が提案されている。これ
も最上層のSiO2 の膜厚を変化させることにより光の
干渉効果による色彩変化が得られている。しかし、この
方法により得られる色彩は黄色系統が中心であり、Si
2 の膜厚を変化させても色彩のバリエーションが少な
いばかりか、我々が要求しているファッション性豊かな
さまざまな色彩は到底得られない。
【0006】また、金属酸化物以外の例えばヨウ化銅、
フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム等(以下Cu
I,MgF2 ,AIF3 と記す)の透明膜を用いた例も
あるが(特開昭60−2359号公報)、これらの処理
物では耐光性が悪く、またサンプルを数日間放置すると
変色し、色の黒ずみや光沢低下が見られ実用性に乏し
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、これま
では耐久性及び耐光性に優れ、かつ、金属膜及び透明金
属化合物膜の2層のみで優れた色彩異方効果を発現させ
た報告例はない。本発明者らは、このような従来技術の
有する欠点を改良すべく鋭意研究した結果、本発明を完
成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、2種以上
の樹脂からなる混合樹脂の皮膜を有し、(イ)混合樹脂
が互いに非相溶性であり、かつ、エッチング速度の異な
る樹脂成分からなり、(ロ)混合樹脂の皮膜が少なくと
も2相に相分離しており、更に(ハ)混合樹脂の皮膜表
面の少なくとも一部に凹孔を有する繊維及び/または繊
維構造物上の第一層の反射膜として金属膜を、その上の
第二層の透明膜として膜厚100〜5000Åの酸化錫
(以下これをSnO2 と記す)膜あるいはSnO2 と錫
(以下これをSnと記す)の混合膜を有することを特徴
とする色彩異方繊維及び/または繊維構造物である。
【0009】また本発明の第二は、2種以上の樹脂から
なる混合樹脂の皮膜を有し、(イ)混合樹脂が互いに非
相溶性であり、かつ、エッチング速度の異なる樹脂成分
からなり、(ロ)混合樹脂の皮膜が少なくとも2相に相
分離しており、更に(ハ)混合樹脂の皮膜表面の少なく
とも一部に凹孔を有する繊維及び/または繊維構造物上
の第一層の反射膜として金属膜を、その上の第二層の透
明膜として膜厚100〜5000ÅのSnO2 膜あるい
はSnO2 とSnの混合膜を有することを特徴とする色
彩異方フィルムである。
【0010】本発明に使用する繊維としては、綿、絹、
麻等の天然繊維、レーヨン及びナイロン、ポリエステ
ル、アクリル等の合成繊維を含む公知の繊維が挙げら
れ、これらの繊維からなる織編物、不織布、繊維シート
及び立毛布帛等の繊維構造物をも含む。
【0011】本発明に使用するフィルムとしては、ポリ
エチレンテレフタレート(以下PETと記す)フィル
ム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、
塩化ビニルフィルム、アクリル系フィルム等公知のフィ
ルムが挙げられる。
【0012】本発明において使用する繊維またはフィル
ムは、その表面上に互いに非相溶性で、かつ、エッチン
グ速度の異なる2種以上の樹脂からなる混合樹脂で、少
なくとも2相に相分離している皮膜を有し、これを低温
ガスプラズマによりエッチングして繊維表面の少なくと
も一部に凹孔を形成させて使用することを特徴とする。
【0013】本発明において、繊維またはフィルムの表
面に非相溶性を有し、かつ、エッチング速度の異なる2
種以上の混合樹脂の皮膜を有することが必要である。即
ち、混合樹脂が相溶性を示すか、或は、エッチング速度
が同程度であれば、本発明が提案するような凹孔を形成
させることはできない。
【0014】混合樹脂は本発明の目的に反しない限り2
種を越えてもよいが、ここでは、判りやすいように2種
の樹脂(A)及び樹脂(B)の場合を考える。樹脂
(A)及び(B)は互いに非相溶性であるが、良好な混
和性を有すること、樹脂(A)と(B)よりなる皮膜の
透明性、均一性、強度、耐久性が良好であることが好ま
しい。又、エッチング速度の小さい樹脂Aの屈折率が繊
維またはフィルム或は樹脂Bの屈折率より小さいことが
色彩の発現の点から好ましい。
【0015】(A)と(B)が混和性は有するが非相溶
性と言うことは、(A)と(B)とを混和したとき、良
好な混合物は形成するが、均一な相を形成せず、(A)
相、(B)相に相分離を生じる事を言う。混和性が良好
でなければ、ゲル化や増粘或は沈澱が生じ、(A)と
(B)との良好な混合樹脂は形成できず、良好な皮膜は
形成できない。ましてや、その上の第一層の反射膜とし
て金属膜を、第二層の透明膜としてSnO2 あるいはS
nO2 とSnの混合物を蒸着しても、良好な深色化され
た色彩異方繊維またはフィルムを得ることが困難であ
る。又、非相溶性であるとは、(A)と(B)の樹脂を
十分に混和させても、一体化せず相分離していること
で、これは、電子顕微鏡、光学顕微鏡で観察される。一
般的に言えば、(A)と(B)とを混和した場合、極端
に混合比が異なる時、混合比の大きいものが連続した相
(海成分)となり、混合比の小さいものが非連続の相
(島成分)となる。非相溶性がなければ(相溶性であれ
ば)、(A)と(B)は分子オーダーで均質となり、お
互いの特徴をなくすばかりか、耐熱性、物性、化学的安
定性に欠けたものとなる。
【0016】エッチング速度が異なるとは、例えば、低
温プラズマ中に混合樹脂の皮膜を有する繊維またはフィ
ルムを置き、プラズマエッチング処理を行なった場合、
非相溶性を示す各樹脂の相によりエッチング除去される
程度が異なり、エッチング速度の大きい樹脂層が除去さ
れて凹孔が形成される。プラズマエッチング速度の小さ
いものとしては、例えば、分子量の大きい飽和炭化水素
系樹脂、不飽和炭化水素系樹脂、ポリアミド樹脂、シリ
コン樹脂及び変性樹脂、パーフルオロエチレン系樹脂等
である。エッチング速度の大きいものとしては、セルロ
ース系樹脂及びそれらの誘導体、ポリエチレングリコー
ル、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フ
ッ素化アクリル系樹脂及びそれらの変性物、ポリウレタ
ン系樹脂等がある。エッチング速度が小さく、かつ、透
明性、皮膜形成性が良好で、更に屈折率の小さい樹脂を
一成分として使用した場合、濃色効果が特に良好とな
る。特に、シリコン系樹脂は皮膜形成性、透明性が良好
で、かつ、屈折率が小さいためにエッチング速度の小さ
い樹脂成分として特に好ましい。
【0017】2種以上の樹脂からなる混合樹脂の皮膜
は、繊維またはフィルムの重量あたり高々15重量%の
付着量が好ましい。好ましくは0.3〜7重量%、更に
好ましくは0.5〜5重量%である。15重量%を越え
ると、混合樹脂の皮膜が均一に付着せず風合の変化や樹
脂層の厚さによる風合の効果等の問題が生じやすい。一
方、0.2重量%より少なければ、樹脂皮膜が薄すぎて
皮膜の均一性の低下や耐久性の低下があり好ましくな
い。混合樹脂における(A)と(B)との比率(重量
比)は、好ましくは95/5〜20/80、更に好まし
くは90/10〜30/70である。
【0018】繊維またはフィルムの表面上の混合樹脂皮
膜は濃色効果発現の一つの要因である凹孔を有する。凹
孔は繊維またはフィルム上の一部分に存在すればよく、
必ずしも繊維全体またはフィルム全体に存在する必要は
ない。繊維またはフィルム上の凹孔の形状及び大きさ、
数は特に限定されるものではないが、例えば、大きさに
ついては凹孔占有面積で表せば、単位面積あたり通常5
0%以下、好ましくは5〜40%、更に好ましくは7〜
30%である。数については、通常1μm2 当り30個
以下、好ましくは25個以下、更に好ましくは1〜20
個である。凹孔の面積が50%を越えると、高濃色効果
に対しては効果が増加しないばかりか、耐摩耗性、光沢
等が低下し好ましくない。又、凹孔の個数については、
凹孔の占有面積、凹孔の大きさ等にも影響されるもので
あるが、通常、30ケ/μm2 以下である。30ケを越
えると凹孔の大きさが小さくなったり、或は凹孔と凹孔
との間隔が小さくなったり、耐摩耗性、光沢の低下等が
見られる。
【0019】プラズマ処理による混合樹脂の皮膜への凹
凸形成には、(A)と(B)とではプラズマエッチング
速度が異なる必要がある。通常(A)よりも(B)の方
が1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好まし
くは2倍以上エッチングされやすくするために、皮膜成
分の内(B)相の方が優先的にエッチングがされる。即
ち、相分離し、かつ、エッチング速度が(A)の方が小
さいために、短時間で(B)のエッチングされた孔が形
成され、微小な凹孔が形成される。
【0020】繊維またはフィルム上に混合樹脂を付着す
る方法は、浸漬吸着法、即ち、樹脂分散液に含浸後搾液
し、しかる後に乾燥又は乾燥後乾熱処理、湿熱処理或は
高温湿熱処理のいずれかを行なう方法、或はコーティン
グ法即ち樹脂液をグラビアコーター等でコーティング付
与した後で前述の熱処理を行なう等、従来公知の方法で
行なうことができるが、浸漬吸着法が好ましい。浸漬吸
着法において繊維またはフィルムの表面への混合樹脂の
均一な皮膜を形成させるためには、混合樹脂の分散液中
の樹脂濃度を通常15%以下、好ましくは10%以下、
更に好ましくは0.1〜7%にする。又、分散液中の樹
脂の混合状態の安定性、分散安定性の向上の為には、界
面活性剤例えば通常用いられるカチオン系界面活性剤、
ノニオン系界面活性剤或はアニオン系界面活性剤を混合
樹脂量の50%以下、好ましくは20%以下程度添加し
てもよい。
【0021】繊維またはフィルム上への樹脂の付着量の
コントロールは分散液中の樹脂濃度、繊維またはフィル
ムへの分散液の付着率或は樹脂付着回数等で行なうこと
ができる。表面への混合樹脂の付着量は通常15%以
下、好ましくは0.2〜10%、更に好ましくは0.3
〜5%である。付着量が0.1%以下では、目的とする
凹孔の形成が充分でなく好ましくない。一方15%を越
えると、処理布の風合いが粗硬になるばかりか、他の加
工処理を行なうのに妨げとなる。
【0022】本発明方法では、繊維またはフィルム上に
加工剤付着後、低温ガスプラズマにより加工剤のエッチ
ング処理を行なう。本発明の凹孔は、上述のように相分
離した樹脂皮膜からエッチング速度の大きい成分が除去
されてできた凹孔であり、凹孔の形としてはいずれの形
も取り得るが、好ましくは、入口が小さく、奥で広がっ
た形状を取る。
【0023】本発明方法で用いる凹孔形成方法は、低温
ガスプラズマを用いたエッチングである。低温ガスプラ
ズマは、プラズマ中の電子温度がイオンまたは他の活性
原子の温度より充分高い非平衡プラズマを言い、該プラ
ズマを発生させる方法としては公知のいずれの方法も採
用することができる。使用するガスとしては、非重合性
のガス、重合性のガスいずれも目的に合致すれば使用可
能であるが、好ましくはAr、O2 、N2 、H2 、空
気、水、CO2 等の無機非重合性ガスであるが、C
4 、CF3 Cl、CF2 Cl2 等の有機性ガスでもエ
ッチング特性良好なものは使用可能である。これらのガ
スは単独でも、又は混合しても使用可能である。
【0024】ガス圧力は、エッチング挙動、エッチング
物の品質等に大きく影響するが、O2 ガスの場合、通常
0.2〜5Torr、好ましくは0.3〜2Torr、
更に好ましくは0.5〜1.0Torrである。0.2
Torr未満ではエッチング速度が遅く、凹孔が形成し
にくい。5Torr以上では酸化反応が活発になりす
ぎ、繊維表面の灰化、溶融等が生じる。又、N2 ガスの
場合、更に好ましくは0.6Torrであり、Arガス
の場合は通常5Torr以下、好ましくは0.2〜3T
orr、更に好ましくは0.5〜2Torrである。
【0025】プラズマエッチングにより形成される凹孔
及び/または凹凸は、プラズマ電子或は活性ガスが接触
する部分に生成し、編織物、不織布等の布帛及びフィル
ムでは表面部分に集中して生成しやすく、裏面或は内部
では生成しにくい。従って目的や用途に応じて、繊維ま
たはフィルムの形態或は処理面を適宜選択する。
【0026】印加する高圧は、直流、交流、高周波のい
ずれもが使用し得るが、プラズマ発生の容易さ及び安定
性、均一性の点より低周波、高周波の印加が好ましく、
更に好ましくは数MHz〜数十MHzの高周波である。
【0027】高周波の出力は電極の単位面積当り通常
0.01〜5W/cm2 であり、好ましくは0.02〜
3W/cm2 、更に好ましくは0.04〜2W/cm2
である。処理時間は少なくとも数秒、好ましくは10秒
以上、特に好ましくは30秒以上である。出力が大きい
程処理時間は短時間でよいが、品質とコスト等との関連
で最適条件を選択する必要がある。
【0028】プラズマエッチング処理後、必要ならば水
洗浄、乾燥或は更に必要ならば金属皮膜接着性向上剤処
理や親水加工等を行なうことも可能である。
【0029】本発明に使用する金属膜としては、Al、
Au、Ag、Cu、Znなどが挙げられる。好ましく
は、可視領域においてフラットで大きな反射率を有する
Alを用いる。更に好ましくは、400〜600nmの
光反射率が30%以上、好ましくは40%以上、更に好
ましくは50%以上であり、かつ、該波長における反射
率差が20%以下が好ましく、更に好ましくは10%以
下である。金属の膜厚は、通常100〜2000Å、好
ましくは200〜1000Åである。金属の膜厚が10
0Åより小さいと、光の反射が充分でなく、干渉効果が
弱まり目的とする濃色効果に優れた色彩異方繊維または
フィルムが得られず、一方2000Å以上では、色彩異
方効果が飽和し、繊維またはフィルムへの金属被膜が厚
くなり過ぎ、風合の硬化が生じたり、皮膜が剥離脱落し
やすくなる。
【0030】本発明において使用する透明膜としてはS
nO2 あるいはSnO2 とSnの混合物を用いる。Sn
2 あるいはSnO2 とSnの混合物を用いると驚くべ
きことに、従来の酸化チタン、酸化アルミニウム等、他
の金属酸化物等では大きな問題であった耐光性を改善す
ることができる。又、金属膜及び透明膜の2層のみで虹
色干渉が得られ、しかも、見る角度によって色が変化し
ても色の輝きが低下しない色彩異方繊維またはフィルム
が得られる。
【0031】SnO2 膜あるいはSnO2 とSnの混合
膜の膜厚は通常100〜5000Å、好ましくは200
〜2000Åである。膜厚が100Åよりも小さいと干
渉効果が充分でなく、目的とする濃色効果に優れた色彩
異方繊維又はフィルムが得られない。又、5000Åよ
り大きいと皮膜が剥離脱落しやすくなり、耐久性や風合
の面に大きな問題が生じる。SnO2 とSnの混合膜の
SnO2 /Sn比は1/1以上、好ましくは5/1〜3
/1であり、SnO2 単独膜の場合よりも優れた色彩異
方効果が得られる。又、膜厚により色相が変化するの
で、目的に応じて膜厚を選択すれば良い。更に、繊維ま
たフィルムの位置によって50〜1000Å程度の膜厚
変化があれば、一層多様な虹色、多色効果を発現し、好
ましい。
【0032】本発明により得られた濃色効果に優れた色
彩異方繊維またはフィルムは耐光性、耐摩耗性に優れて
いるが、保護膜として屈折率1.7以下のシリコン樹
脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキ
シ樹脂、ニトロセルロース及びそれらの変成樹脂の透明
樹脂層を形成させると、更に実用上の耐久性が向上す
る。透明樹脂層の膜厚としては通常0.5μm以下が好
ましい。更に好ましくは0.01〜0.3μm、特に好
ましくは0.03〜0.1μmである。
【0033】金属膜とSnO2 膜あるいはSnO2 とS
nの混合膜とは、真空中で真空蒸着、イオンプレーティ
ング、スパッタリングあるいはそれらの応用技術にて積
層できる。その界面は、原子オーダーにて組成が徐々に
変化するものである。組成の変化は、X線光電子分光法
(以下これをESCAと記す)にて分析できるが、大体
30〜70Å程度の境界領域を経て変化する。
【0034】又、本発明により得られる濃色効果に優れ
た色彩異方繊維またはフィルムの表面の走査型電子顕微
鏡(以下これをSEMと記す)測定を行なうと、上記処
理を施した繊維またはフィルム上の第一層の反射膜とし
て金属膜を、その上の第二層の透明膜としてSnO2
あるいはSnO2 とSnの混合膜を形成させた後も、前
出の凹孔は観察される。しかも、色彩異方効果の大きい
ものは、上述の凹孔以外に、蒸着物質の粒状構造が観察
される。この粒状構造の粒子の大きさが好ましくは0.
2〜1.0μ、更に好ましくは0.3〜0.8μと比較
的大きい。又、その数は通常100個/μm2 、更に好
ましくは高々50個/μm2 である。
【0035】表面の凹凸構造の干渉効果に及ぼす効果は
十分に解明されていないが、低温ガスプラズマにより優
先的に形成される凹構造の場合は、入口が狭く奥が深い
ため、入射光が凹孔の中にトラップされ、干渉効果が強
まり、本発明例のように濃色効果に優れた色彩異方繊維
またはフィルムが得られるものと推測している。繊維ま
たはフィルムの表面の凹孔が大きくかつ深い程、濃色効
果を発現するのに都合がよいが、色彩異方効果の点で
は、凹孔があまり大き過ぎても逆に色彩異方効果が飽和
に達し、優れた色彩異方繊維またはフィルムが得られな
い。
【0036】本発明により得られる色彩異方フィルム
は、フィルム上の第一層の反射膜として金属膜を、その
上の第二層の透明膜としてSnO2 膜あるいはSnO2
とSnの混合膜を蒸着して得られるが、透明なフィルム
を使用する限り、フィルム上の第一層にSnO2 膜ある
いはSnO2 とSnの混合膜を、その上の第二層に金属
膜を蒸着し、フィルムの方から観察しても優れた色彩異
方効果が得られる。本発明者らは、PETフィルムを用
いて上述の2種のサンプルを作成し、肉眼判定及びマク
ベス分光光度計により色彩評価を行なった。その結果、
両サンプル間の色彩の差異はほとんど見られず、また、
500〜600nm付近の最大吸収波長における反射率
の差も10%未満とさほど変わらなかった。フィルム上
の第一層にSnO2 膜あるいはSnO2 とSnの混合膜
を、その上の第二層に金属膜を蒸着すると、フィルムが
保護膜として作用し、皮膜耐久性の非常に優れたフィル
ムが得られる。
【0037】本発明のSnO2 膜あるいはSnO2 とS
nの混合膜の形成速度は、通常1.0〜50Å/秒、好
ましくは2.0〜20Å/秒で行なう。蒸着速度が50
Å/秒よりも大きいと膜厚の制御が困難となり、安定に
目的とする膜厚、即ち、目的とする色調を得ることがで
きない。一方、蒸着速度が1.0Å/秒よりも小さいと
蒸着時間が長くなり、作業の煩雑さや経済的な面に大き
な問題が生じてくる。
【0038】本発明でいうところの色彩異方効果は、基
本的に光の干渉現象によって生じるものと思われるが、
水上の油膜やシャボン玉の色合やコンパクトディスクで
の分光現象とはその大きさや色調、趣において根本的に
異なる。身近な例でいうならば、真珠の光沢を布一杯に
広げたようなものである。しかるに、見る方向や光の強
さ、光の波長によって、各種色調を異にする。
【0039】
【発明の効果】上述のように繊維またはフィルム上に樹
脂をコーティングすることによって、濃色効果に優れた
色彩異方繊維またはフィルムが得られ、しかも、皮膜接
着性が向上し、耐久性が向上することは非常に有用であ
る。又、本発明例では透明膜としてSnO2 あるいはS
nO2 とSnの混合物を使用しているので、耐久性、耐
光性に優れ、かつ、金属膜及び透明膜の2層のみで優れ
た色彩異方効果が得られ、しかも、見る角度が変化して
も色の輝きが低下しない。同時に、透明膜の膜厚や構造
を変える事により、基調となる色や色彩異方効果を任意
に変える事ができるので、ファッション性、経済性等、
どれを取っても従来のものに比べて比較にならない程優
れている。
【0040】
【実施例】
実施例1 アクリル酸エステル樹脂とアミノ変成シリコン樹脂の混
合樹脂の水分散溶液を重量比1:1になるように混合
し、次いで、ポリエステル(PET)布帛に重量当り1
%owfになるように常法により浸漬付着し、乾燥後1
50℃で熱処理を行ない固定した。
【0041】次いで、PET布帛を下記の条件で低温プ
ラズマによりエッチング処理を行なった。プラズマ処理
は、PET布帛のサンプルをアース側電極上へおき、ベ
ルジャー型プラズマ処理器内を1×10-2Torrまで
脱気後、O2 ガスを導入して0.3Torrに調節し、
13.56MHzの高周波を50Wの出力で印加して1
0分間処理した。
【0042】引き続いて、図3に示す真空蒸着装置によ
り、Al次いでSnO2 (粉末をプレスした錠剤)をタ
ングステンコイルに入れ加熱し、系内の真空度を1×1
-5Torrの状態に保ち、上述の樹脂加工及びプラズ
マ処理を施したか、或は、樹脂加工のみを施した一辺1
0cmのPET布帛を蒸着源より15cm下方に配置
し、その上に真空蒸着させた。尚、膜厚は蒸着源と布帛
と同距離の位置に置いた膜厚センサーにより測定した。
【0043】蒸着終了後、サンプルを取り出し、肉眼判
定及び反射率測定により色彩評価を行なった。反射率の
測定は、波長360〜740nmの範囲で測定した。色
彩評価の結果を表1に示す。
【0044】Al以外の金属(Au,Ag,Cu等)次
いでSnO2 を用いたもの、又、透明膜を変えたものを
作成し同様に評価した。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2 実施例1にて、プラズマ処理時間を変化させたPET布
帛にAlあるいはAgとSnO2 を蒸着した。結果を表
2に示す。プラズマ処理時間が長くなる程、最大吸収波
長が長波長側にシフトしており、又、L値が小さくな
る。
【0047】
【表2】
【0048】実施例3 PET布帛をPETフィルムとする以外は、実施例1と
同様に行なった。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】実施例4 SnO2 の錠剤とSnの粒状物を使用する以外、実施例
1と同様にして色彩異方PET布帛を製造した。ESC
A分析によればSnO2 /Sn=4/1であった。その
結果を表1に示す。
【0051】実施例5 真空蒸着装置により、Alの膜厚を300Åとし、Sn
2 の膜厚を100、200、300、400、50
0、600Åと変え、実施例1のように処理したPET
布帛上、またはPETフィルム上に蒸着速度1.0〜
2.0Å/秒、3.0〜5.0Å/秒、6.0〜8.0
Å/秒、>8.0Å/秒で蒸着した。膜厚が同一で、蒸
着速度が異なる2種または3種のサンプルの色彩効果を
実施例1と同様に行なった。その結果、膜厚が同一で、
蒸着速度が異なる場合、それらの色彩は変化しなかっ
た。又、蒸着速度が速くなる程、色調が薄くなる現象が
見られた。
【0052】実施例6 濃色効果に優れた色彩異方繊維またはフィルムの耐光性
試験は、オートフェードメーター密閉式(FOL−H
B)にて紫外線ロングライフカーボンアークを使用し、
ブラックパネル温度72〜74℃、温度31℃、紫外線
照射時間20時間の条件で行なった。色彩評価は、肉眼
判定と反射率の測定により行なった。紫外線照射前後の
サンプルの色彩の変化は従来のものに比べて小さいもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸化している樹脂皮膜を有する繊維の形状を
示すSEM写真である。
【図2】凹凸化していない樹脂皮膜を有する繊維の形状
を示すSEM写真である。
【図3】真空蒸着装置内の蒸着源、布帛(またはフィル
ム)、膜厚センサーの位置を表す図である。蒸着源と布
帛(またはフィルム)及び膜厚センサーの距離は同距離
である。
【図4】混合樹脂皮膜を有し、その上に金属の反射膜と
酸化錫の透明膜を有する繊維(A)及び繊維構造物
(B)の模式図である。
【符号の説明】
1 蒸着源 2 ポリエステル布帛(またはフィルム) 3 膜厚センサー 4 繊維 5 混合樹脂皮膜 6 金属膜 7 透明膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 10/02 D06Q 1/04 // C23C 14/54 8520−4K D06M 101:18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の樹脂からなる混合樹脂の皮膜
    を有し、(イ)混合樹脂が互いに非相溶性であり、か
    つ、エッチング速度の異なる樹脂成分からなり、(ロ)
    混合樹脂の皮膜が少なくとも2相に相分離しており、更
    に(ハ)混合樹脂の皮膜表面の少なくとも一部に凹孔を
    有する繊維及び/または繊維構造物上の第一層の反射膜
    として金属膜を、その上の第二層の透明膜として膜厚1
    00〜5000Åの酸化錫膜あるいは酸化錫と錫の混合
    膜を有することを特徴とする色彩異方繊維及び/または
    繊維構造物。
  2. 【請求項2】 2種以上の樹脂からなる混合樹脂の皮膜
    を有し、(イ)混合樹脂が互いに非相溶性であり、か
    つ、エッチング速度の異なる樹脂成分からなり、(ロ)
    混合樹脂の皮膜が少なくとも2相に相分離しており、更
    に(ハ)混合樹脂の皮膜表面の少なくとも一部に凹孔を
    有する繊維及び/または繊維構造物上の第一層の反射膜
    として金属膜を、その上の第二層の透明膜として膜厚1
    00〜5000Åの酸化錫膜あるいは酸化錫と錫の混合
    膜を有することを特徴とする色彩異方フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1996006216A1 (fr) * 1993-02-23 1996-02-29 Toray Industries, Inc. Produit de depot en phase vapeur et son procede de production
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