JPH05271907A - 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法 - Google Patents

孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法

Info

Publication number
JPH05271907A
JPH05271907A JP4337979A JP33797992A JPH05271907A JP H05271907 A JPH05271907 A JP H05271907A JP 4337979 A JP4337979 A JP 4337979A JP 33797992 A JP33797992 A JP 33797992A JP H05271907 A JPH05271907 A JP H05271907A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
color
metal
layer
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4337979A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Kubota
道雄 久保田
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanebo Ltd filed Critical Kanebo Ltd
Publication of JPH05271907A publication Critical patent/JPH05271907A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Decoration Of Textiles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物またはフ
ィルムを提供するにある。 【構成】 繊維構造物またはフィルム上の第一層に膜厚
100〜2000Åの金属膜を2種以上重ね合わせるこ
となく、かつ混合することなくマスクを用いて形成し、
その上の第二層に膜厚100〜5000Åの酸化錫膜あ
るいは酸化錫と錫の混合膜を有する事を特徴とする繊維
構造物またはフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた孔雀の羽根模様
を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、反射膜としてアルミニウム、金、
銀、銅、亜鉛、錫、ニッケル(以下Al,Au,Ag,
Cu,Zn,Sn,Niと記す)等の金属膜を被着し、
その上に透明膜として酸化アルミニウム(以下Al2
3 と記す)、酸化アンチモン、酸化チタン(以下TiO
2 と記す)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物膜を積層
したフィルムは提案されている。又、特開昭61−16
900号公報には、離型性ベースフィルム上に半透明金
属蒸着膜及び金属酸化物透明薄膜を形成した積層膜を少
なくとも1層設け、該積層膜の最上層の金属酸化物透明
薄膜の上に更に、反射率の高いAl、Ag等の反射膜及
び接着剤層を順次設けてなる虹彩光沢を呈する転写箔が
提案され、更に特開平3−82881号公報には、繊維
布帛の少なくとも片面に、該繊維布帛側から反射金属
膜、透明金属化合物膜、半透明金属膜を順次蒸着積層し
た干渉色を有する繊維布帛が開示されている。
【0003】しかしながら、これらはいずれも複数の層
を順次に蒸着作業等により積層するものであるから工数
の増加等によるコスト上昇のために商業的に不利であり
生産性にも問題がある。また、前記の積層フィルムは元
来フィルムを対象としたものであって、ファッショナブ
ルな装飾効果を奏する色彩異方性を備えた繊維構造物を
与えるものではない。例えば上記の転写箔は、それを織
編物等の繊維構造物に転写すると箔の厚みや接着剤など
により通気性を失い、手触り、風合が粗硬化して商品価
値を減ずるため、繊維製品には不適である。
【0004】一方、複数の薄層を積層する事なく、単一
の薄層で部分的に膜厚を異ならせて全面に虹彩色を顕出
したフィルムが特開昭60−32645号公報に提案さ
れている。このものは、部分マスキングを施しつつ蒸着
処理を繰り返すことによって膜厚を局部的に変えるた
め、単一層でありながらも結局工程の簡素化は達成され
ない。また虹彩色パターンは固定された単調なものであ
るのみならず、粗表面を有する繊維構造物に対して適用
しても同様の効果を奏しないものである。
【0005】また、金属酸化物以外の透明膜、例えばヨ
ウ化銅、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム(以
下これをCuI,MgF2 ,AlF3 と記す)等を用い
た例もあるが(特開昭60−2359号公報)、これら
の処理物では耐光性が悪く、サンプルを数日間放置する
と変色し色の黒づみや光沢低下が見られ、実用性に乏し
い。
【0006】更に特開昭59−23882号公報には、
ステンレス鋼上にスパッタリング、イオンプレ−ティン
グ及びプラズマCVD等を用いて窒化チタン薄膜を形成
し、更に耐食性を向上させるために窒化珪素で被覆した
二層膜が提案されている。これも窒化珪素の膜厚を変化
することにより光の干渉効果によるさまざまな色調が得
られる。
【0007】しかしながら、この方法により得られる色
彩は黄色系統が中心であり、窒化珪素の膜厚を変化させ
ても色彩のバリエ−ションに乏しく、この方法を用いて
も我々が要求しているファッション性豊かな色彩は、到
底得ることができない。
【0008】特開平3−287863号公報では、繊維
体を減圧下又は真空状態に維持し、不活性ガスの存在も
しくは非存在下に金属薄膜層形成処理を行い、次いで金
属化合物構成成分を含む不活性ガスの存在下もしくは非
存在下に金属化合物薄膜層形成処理を行うことを特徴と
する金属薄膜層と光透過性金属化合物薄膜とを備えた干
渉色を有する繊維体の製造方法が開示されている。
【0009】この方法では、第二層の透明膜として酸化
インジウムと酸化錫(以下SnO2と記す)の混合膜を
使用している。しかし、我々が目的としている優れた色
彩異方効果を発現させるためには、酸化インジウムはむ
しろ添加しない方がよい。そればかりか、使用するイン
ジウムは非常に高価であり、経済的にも非常に制限され
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、従来、金
属薄膜又は金属化合物薄膜を蒸着等により複数層積層し
て干渉色を顕出する多くの提案がなされているが、いず
れも工程が煩雑であって生産性、経済性等に問題を抱え
ており、またフィルムや金属ストリップを対象とするも
のが殆どであって、繊維構造物に対して興趣ある装飾性
を備えた色彩異方効果を与える満足すべき方法は未だ提
案されていない。本発明者らは、このような現状に鑑
み、従来技術の有する問題点を解消すべく鋭意研究した
結果、本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち第一の本発明は、繊
維構造物或いはフィルム上の第一層に膜厚100〜20
00Åの金属膜を2種以上重ね合わせることなく、かつ
混合することなくマスクを用いて形成し、その上の第二
層に膜厚100〜5000ÅのSnO2 或いはSnO2
とSnの混合膜を形成することを特徴とする繊維構造物
或いはフィルムの製造方法である。
【0012】第二の本発明は、第二層の金属膜としてA
lとAl2 3 の混合膜を形成することを特徴とする繊
維構造物又はフィルムの製造方法である。
【0013】本発明で言う孔雀の羽根模様とは、基板上
に異なる色彩を呈する円形、楕円形或いは不定型の模様
であれば特に限定しないが、好ましくは特定の大きさを
有する独立した模様がよい。即ち異なる色彩を呈する複
数個の単色の円形、楕円形或いは不定型でもよく、異な
る色彩を呈する円形、楕円形或いは不定型の多重形でも
よい。孔雀の羽根模様が異なる色彩を呈する複数個の単
色の円形、楕円形或いは不定型の場合、それぞれの形状
は同一であってもよく、異形であっていてもよい。又、
異なる色彩を呈する円形、楕円形或いは不定型の多重形
の場合、それぞれの多重形或いは1個の多重形内のそれ
ぞれの円形、楕円形或いは不定型の形状も同形であって
もよく、異形であってもよい。即ち、全体としての孔雀
の羽根模様の外観或いはファッション性を損なわない限
り、特に限定されるものではない。1個の多重形内の円
形、楕円形或いは不定型の多重形の数は、形成された孔
雀の羽根模様が外観を損なわなければ何個でもよいが、
好ましくは高々6個以下、更に好ましくは2〜4個であ
る。円形、楕円形或いは不定型の多重形の数が6個より
多いと、ファッション性を損なうばかりか、マスクの数
が多くなりすぎ、操業性低下、コストアップ、作業上の
煩雑さ等の問題が生じてくる。
【0014】孔雀の羽根模様の大きさは、目で判別でき
る大きさが好ましく、あまり大きすぎても小さすぎても
よくない。しかし、小さすぎてもその集合体が何らかの
色彩効果を発現すればよい。異なる色彩を呈する複数個
の単色の円形、楕円形或いは不定型又は異なる色彩を呈
する円形、楕円形或いは不定型の多重形の場合、隣接す
る互いの孔雀の羽根模様の大きさが、同形であってもよ
く、異形であってもよい。しかし、あまりにも大きさが
異なると、孔雀の羽根模様の外観或いはファッション性
を損う場合もあり、好ましくない。
【0015】異なる色彩を呈する複数個の単色の円形、
楕円形或いは不定型又は異なる色彩を呈する円形、楕円
形或いは不定型の多重形の場合、隣接する互いの孔雀の
羽根模様間の距離は、重なりあわない程度の距離を保つ
ことが好ましいが、本発明の目的、効果を損なわない限
り、孔雀の羽根模様の一部が重なりあってもよい。あま
り離れすぎていても、ある面積内での孔雀の羽根模様が
少なくなりすぎ好ましくない。
【0016】本発明で金属膜を形成する際にマスクを用
いる。このマスクの役割は、マスクを用いて金属膜の形
成部分とそうでない部分を作成し、2種以上の異なる金
属膜を重ね合わせることなく、かつ混合することなく形
成させることにある。マスクに使用するものは、マスク
による被着部分に金属膜が形成されず、かつ金属膜形成
時にマスクが破損或いは変形を受けないものであれば原
則として何でもよい。好ましくは切断、穴開け等、成形
容易な金属板或いは樹脂板等を使用するのがよい。本発
明で言う孔雀の羽根模様を形成させるためには、マスク
は2種以上使用することが必要である。
【0017】使用するマスクの形状、大きさ或いは数
は、作成する孔雀の羽根模様に合わせて選択すればよ
い。
【0018】本発明に使用する繊維構造物としては、
綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン及びナイロン、ポリ
エステル、アクリル等の合成繊維を含む公知の繊維より
成る織編物、不織布、繊維シート及び立毛布帛等のすべ
ての繊維構造物を言う。又糸の形状は、丸、三角、偏
平、U断面等公知のすべての形状が使用できるが、この
なかでも、偏平或いは三角断面を使用すると、色彩異方
効果が良好になる。好ましくはスルフォン酸基含有のカ
チオン可染ポリエステル(以下PETと記す)を少なく
とも一成分として用いると、金属膜との接着性或いは色
彩の発現が良好になる。
【0019】本発明に使用するフィルムとしては、PE
Tフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフ
ィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、アクリル系フィルム
等の公知のフィルムが挙げられる。
【0020】本発明に使用する金属膜としては、Al,
Au,Ag,Cu,Zn,Sn,Niなどが挙げられ
る。これらの金属の中では、Al,Au,Ag,Cuを
使用するのがよい。この中でも可視領域においてフラッ
トで大きな反射率を有し、好ましくは400〜600n
mの光反射率が30%以上、更に好ましくは40%以
上、特に好ましくは50%以上であり、かつ該波長にお
ける反射率差が好ましくは20%以下、更に好ましくは
10%以下であるAlを使用すると最も好ましい結果と
なる。この場合、上品で淡色な赤から紫の多彩な色彩の
発現が見られる。
【0021】金属膜としてAuを使用すると、淡色な青
から緑色をベ−スとして、見る角度により多彩な色相、
色調を発現できる。又、金属膜としてAgを使用する
と、上品で鮮明な金色から緑、紫をベ−スとして見る角
度により多彩な色彩異方効果を与える。一方、金属膜と
してCuを用いると、見る角度により鮮やかな色彩と多
彩な色彩異方性を発現させうる。
【0022】本発明で金属膜としてSnを使用すると色
彩が悪くなるばかりか、色彩異方効果がほとんど発現し
なくなる。
【0023】金属の種類を変えることにより、それぞれ
異なった色相、色彩を発現しうるので、目的に応じて金
属膜の種類を選択すればよい。
【0024】金属としてAlを使用した場合、膜の構成
成分としてAl2 3 が混在していてもよい。Al中に
Al2 3 が混在するとAlの反射率が減少し色彩が淡
くなる。
【0025】Al中のAl2 3 の存在は、光電子分光
法(以下ESCAと記す)測定により確認され、Al2
3 に対応するピ−クは、Alのそれに比べて高エネル
ギ−側にある。(図4参照)
【0026】金属膜の膜厚は通常100〜2000Å、
好ましくは200〜1000Åである。金属の膜厚が1
00Åよりも小さいと、干渉効果が充分でなく、目的と
する優れた色彩異方効果を発現することができない。一
方、2000Åを越えると、金属膜が厚過ぎて色彩異方
効果の飽和が見られるばかりか、皮膜の剥離脱落が起こ
りやすくなる。又、経済的或いは作業上の煩雑さの問題
が生じ、耐久性或いは風合いの面に非常に大きな問題が
生じる。
【0027】本発明において使用する透明膜としてはS
nO2 あるいはSnO2 とSnの混合物(以下該透明膜
と記す)を用いる。該透明膜を用いると驚くべきこと
に、非常に優れた色彩異方効果が得られ、かつ従来のT
iO2 、Al2 3 等、他の金属酸化物では大きな問題
であった耐光性を改善する事ができ、しかも見る角度に
よって色が変化しても色の輝きが低下しない優れた色彩
異方効果を発現する繊維構造物又はフィルムが得られ
る。SnO2 /Snの比は1/1以上が好ましく、より
好ましくは3/1〜5/1である。SnO2 とSnの混
合物を用いると、SnO2 単独の場合よりも優れた色彩
異方効果が得られる。
【0028】SnO2 中のSnの存在は、ESCA測定
により確認され、SnO2 に対応するピ−クは、Snの
それに比べて高エネルギ−側にある。
【0029】該透明膜の膜厚は通常100〜5000
Å、好ましくは200〜2000Åである。該透明膜の
膜厚が100Åより小さいと干渉効果が充分でなく、目
的とする優れた色彩異方効果を発現することができな
い。一方、5000Åより大きいと、被膜が厚くなり過
ぎ被膜の剥離脱落が起こり、耐久性あるいは風合の面に
大きな問題が生じる。
【0030】本発明では、金属膜次いで該透明膜を蒸着
する前に、ジメチルシリコン樹脂、含フッ素アクリル樹
脂、ポリエ−テルポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ア
クリル樹脂等の透明樹脂及びそれらの混合樹脂を用いて
もよい。この場合、より濃色で、鮮明な色彩の発現が見
られる。
【0031】本発明方法による孔雀の羽根模様の繊維構
造物或いはフィルムの作成方法を以下に示す。本発明で
は2種以上の金属膜を重ね合わせることなく、かつ混合
することなく2種以上のマスクを用いてコ−ティング
し、金属膜による色彩の変化を発現させるものである。
まず、繊維構造物或いはフィルム上の第一層にマスクを
使用してAlとAl2 3 の混合物とAl以外の金属の
内から2種以上の金属を重ね合わせることなく、かつ混
合することなく形成する。その上の第二層に該透明膜を
形成すると金属膜の異なる部分で色彩変化が見られる。
これを図式化したものを図2、3に示す。
【0032】本発明により得られた優れた色彩異方効果
を発現する繊維構造物またはフィルムは耐光性、耐摩耗
性に優れているが、その表面に保護膜として屈折率1.
7以下のシリコン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、
アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ニトロセルロース及びそれ
らの変成樹脂等の透明樹脂層を形成すると、更に実用上
の耐久性が向上する。透明樹脂層の膜厚は通常0.5μ
m以下が好ましく、更に好ましくは0.3〜0.01μ
m、特に好ましくは0.1〜0.03μmである。
【0033】この中でアクリル酸エチル及び/またはア
クリル酸ブチルを主成分とする樹脂、例えば「エルコー
トEX−210」(根上工業社製、防水加工コーティン
グ樹脂の商品名)等を保護膜として用いると最も好まし
い結果が得られる。エルコートEX−210は、パラク
ロンCL−コンク(Paracron CL−con
c、根上工業社製、トルイレンジイソシアネート3モル
とトリメチロールプロパン1モルとを反応させたトリイ
ソシアネートの固形分75%酢酸エチル溶液の商品名)
及びカタリストC−46(Catalyst C−4
6、根上工業社製、30%の有機スズ化合物及び70%
のトルエンから成るエルコート用撥水シリコン用の架橋
剤の商品名)の架橋剤と併用するとより効果的である。
【0034】又、エルコートEX−210は、ポリマー
側鎖中に反応基として水酸基とカルボン酸基を有してい
る特殊なポリマーであって、パラクロンCL−コンク又
はメラミン系架橋剤及びカタリストC−46と併用し三
次元化することにより、耐水性、耐油性が格段に向上
し、特に接着性が非常に良好になるとともに、耐摩耗性
等の耐久性が飛躍的に向上する。特にこの樹脂を適用す
ると、他の樹脂に比較して色彩の劣化や変化が非常に少
なく、例えば、単色で見られる若干の色のくすみも本発
明の目的とする虹色干渉に対して実質的に影響を及ぼさ
ない。
【0035】本発明により得られる色彩異方効果を発現
する繊維構造物或いはフィルムを透明膜の方から走査型
電子顕微鏡で観察すると、繊維構造物或いはフィルムの
表面に粒状のものが見られる。これをX線顕微鏡解析で
観察すると、この粒状物は該透明膜が粒状に集合したも
のであることがわかった。この粒状構造の生成は粒子の
大きさや数に変化はあるが、殆どすべての繊維構造物或
いはフィルムに見られている。粒状構造の粒子の大きさ
は、通常0.2〜1.0μ、好ましくは0.3〜0.8
μであり、又、その数は通常100個/μm2 、好まし
くは高々50個/μm2 である。
【0036】金属層及び該透明膜層とは、真空中で真空
蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングあるいは
それらの応用技術にて積層することができる。その界面
は、原子オーダーにて組成が徐々に変化するものであ
る。
【0037】本発明でいう色彩異方効果とは、基本的に
光の干渉効果によって生じるものと思われるが、水上の
油膜やシャボン玉の色合やコンパクトディスクでの分光
現象とは、その大きさや色調、趣において根本的に異な
る。身近な例でいうならば、真珠の光沢を布一杯に広げ
たようなものである。しかも、見る方向によって各種自
在に色調を異にする。
【0038】
【発明の効果】本発明方法では、2種以上の金属膜を重
ね合わせることなく、かつ混合することなくマスクを用
いて形成するだけで、孔雀の羽根模様を人工的に発現さ
せることができ、かつ1種のみのマスクでは得られなか
ったさまざまな色彩を発現する形状、模様が得られる。
又、マスクの形状が非常に簡便でしかも連続操業化も可
能であるので、従来にはない優れた製造方法である。
又、透明膜として該透明膜を使用しているので、色彩異
方効果はもちろんのこと、耐光性、耐久性に優れたもの
が得られ、ドレス、インテリア品、装飾品或いはバック
等に応用すれば、従来得られなかった色彩鮮やかなもの
が作成できる。
【0039】
【実施例】色彩異方繊維構造物又はフィルムの耐光性試
験は、オートフェードメーター密閉式(FOL−HB)
にて紫外線ロングライフカーボンアークを使用し、バッ
クパネル温度72〜74℃、温度31℃、紫外線照射2
0時間の条件で行なった。評価は露光後、肉眼判定によ
り色彩変化の少ないものから「優」、「良」、「可」、
「不可」とした。
【0040】実施例1 真空蒸着装置により、一辺10cmのPET布帛を蒸着
源より15cm下方に配置し、系内の真空度を1×10
-5Torrに保ちつつ、該PET布帛上に図2(b),
(c)に示すようなマスクを使用してAl次いでCuを
それぞれ300Åずつ蒸着し、更にその上にSnO
2 (粉末をプレスした錠剤)を100、200Åで蒸着
した。尚、膜厚は蒸着源とサンプルとの距離と同距離の
位置に置いた膜厚センサーにより測定した。
【0041】実施例2 該透明膜としてSnO2 (粉末をプレスした錠剤)とS
n(粒状物)の混合物(SnO2 /Sn=4/1)に変
更する以外、実施例1と同様に行った。
【0042】実施例1と実施例2を比較すると、金属膜
及び該透明膜の膜厚が同一であれば同一色が得られる
が、色彩異方効果については後者の方が優れている。
【0043】実施例3 該透明膜の膜厚を300Åに変更する以外、実施例1と
同様に行った。
【0044】比較例1 金属膜の膜厚を80、3000Åに変更し、該透明膜の
膜厚を100Åに変更する以外、実施例1と同様に行っ
た。前者の場合、金属膜の膜厚が薄すぎて色彩異方効果
が良好でない。又、後者の場合、金属膜の膜厚が厚すぎ
て、色彩異方効果が良好でないばかりか、耐久性の面に
非常に問題があり、多少の摩擦により膜の剥離が起きや
すくなる。
【0045】比較例2 該透明膜の膜厚を80Å、6000Åに変更する以外、
実施例1と同様に行った。前者の場合、該透明膜が薄す
ぎて色彩異方効果が良好でなく、又後者の場合、色彩異
方効果が良好でないばかりか、耐久性に問題が生じ、多
少の摩擦により膜の剥離が起こりやすくなる。
【0046】金属膜としてAlを使用すると、Alの一
部が酸化されてAl2 3 になっていることがESCA
分析により判明した。(図4参照)
【0047】比較例3 透明膜をMgF2 、CuIに変更する以外、実施例1と
同様に行った。以上の結果を結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】実施例4 金属膜としてAgを追加し、該透明膜の膜厚を200Å
に変更する以外、実施例1と同様に行った。この場合、
実施例1の色彩にAgの色彩、金色が加わる。
【0050】実施例5 PET布帛をPETフィルムに変更し、該透明膜の膜厚
を100Åとする以外、実施例1と同様に行った。
【0051】実施例6 該透明膜の膜厚を400、500Åに変更する以外、実
施例5と同様に行った。以上の結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】実施例7 金属膜としてAgを追加し、該透明膜の膜厚を400Å
に変更する以外、実施例6と同様に行った。この場合、
実施例6の色彩にAgの色彩、金色が加わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一層に3種の異なる金属膜を形成し、第二層
に該透明膜層を形成した場合の孔雀の羽根模様を表すも
のである。
【図2】2種の異なる金属を使用し孔雀の羽根模様を作
成する工程を示したものである。
【図3】3種の異なる金属を使用し本発明の孔雀の羽根
模様を作成する工程を示したものである。
【図4】実施例1のPET布帛のESCA分析チャ−ト
図であり、75.6eVと72.6eVのピ−クはそれ
ぞれAl2 3 とAlに対応する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/83 D06Q 1/04 // B32B 9/04 7365−4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維構造物上の第一層に膜厚100〜2
    000Åの金属膜を2種以上重ね合わせることなく、か
    つ混合することなくマスクを用いて形成し、その上の第
    二層に膜厚100〜5000Åの酸化錫或いは酸化錫と
    錫の混合膜を形成することを特徴とする繊維構造物の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 繊維構造物上の第一層に膜厚100〜2
    000Åのアルミニウムと酸化アルミニウムの混合膜
    と、アルミニウム以外の少なくとも1種の金属膜とを重
    ね合わせることなく、かつ混合することなくマスクを用
    いて形成し、その上の第二層に膜厚100〜5000Å
    の酸化錫或いは酸化錫と錫の混合膜を形成することを特
    徴とする繊維構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】 フィルム上の第一層に膜厚100〜20
    00Åの金属膜を2種以上重ね合わせることなく、かつ
    混合することなくマスクを用いて形成し、その上の第二
    層に膜厚100〜5000Åの酸化錫或いは酸化錫と錫
    の混合膜を形成することを特徴とするフィルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 フィルム上の第一層に膜厚100〜20
    00Åのアルミニウムと酸化アルミニウムの混合膜と、
    アルミニウム以外の少なくとも1種の金属膜とを金属膜
    を重ね合わせることなく、かつ混合することなくマスク
    を用いて形成し、その上の第二層に膜厚100〜500
    0Åの酸化錫或いは酸化錫と錫の混合膜を形成すること
    を特徴とするフィルムの製造方法。
JP4337979A 1991-11-29 1992-11-24 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法 Pending JPH05271907A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34197091 1991-11-29
JP3-341970 1991-11-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05271907A true JPH05271907A (ja) 1993-10-19

Family

ID=18350179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4337979A Pending JPH05271907A (ja) 1991-11-29 1992-11-24 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05271907A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013194297A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Seiko Instruments Inc 装飾部品、時計部品、時計、及び装飾部品の製造方法
EP2516695B1 (de) * 2009-12-22 2017-03-22 Gühring oHG Beschichtetes werkzeug
JP2019199677A (ja) * 2018-05-10 2019-11-21 積水化学工業株式会社 繊維シート

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2516695B1 (de) * 2009-12-22 2017-03-22 Gühring oHG Beschichtetes werkzeug
JP2013194297A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Seiko Instruments Inc 装飾部品、時計部品、時計、及び装飾部品の製造方法
JP2019199677A (ja) * 2018-05-10 2019-11-21 積水化学工業株式会社 繊維シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5683495B2 (ja) 柔らかな又は絹のような手触りを有する印刷可能多層シート及び該シートの製造方法
JP2001527018A (ja) 模様付けされコーティングされた物品及びその製法
WO1996020292A1 (en) Enhancement of optically variable images
CN1630587A (zh) 防伪元件及带有该防伪元件的防伪文件
PL190502B1 (pl) Płyta o regulowanej przepuszczalności promieniowania słonecznego, wielowarstwowa jednostka do oszkleń oraz sposób wytwarzania płyty o regulowanej przepuszczalności promieniowania słonecznego
CN203538527U (zh) 拉链用链齿
TW201924915A (zh) 包含局部層壓反射層的復歸反射物品
JPH05271907A (ja) 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法
JPH05214684A (ja) 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物またはフィルムの製造方法
KR100324085B1 (ko) 증착제품및그제조방법
US6322859B1 (en) Aesthetic enhancement of substrates
JPH08103982A (ja) 光輝性化粧シート
JPH05295680A (ja) 耐久性に優れた色彩異方繊維及び/又は繊維構造物又はフィルム
CN1313673C (zh) 回归反射织物及其生产方法
JPH05214514A (ja) 優れた色彩異方効果を発現する繊維構造物又はフィルム
JPH05195205A (ja) 色彩異方フィルム
CN102046394A (zh) 装饰用基材,特别是具有颜色效果的人造首饰石,和用于获得装饰用透明基材的颜色效果的方法
JPH05209367A (ja) 色彩異方繊維構造物またはフィルムおよびその製造方法
JP3183911B2 (ja) 色彩異方繊維及び/又は繊維構造物
JPH05186883A (ja) 孔雀の羽根模様を呈する繊維構造物又はフィルムの製造方法
JPH0693566A (ja) 濃色効果に優れた繊維及び/又は繊維構造物又はフィルム
JPH05331765A (ja) 濃色効果に優れた色彩異方繊維またはフィルム
JPH09211212A (ja) 再帰性反射布帛の製造方法
JP2931437B2 (ja) 繊維シート及びその製造方法
CN111867996B (zh) 涂覆有纹理化的非连续的无色或有色透明有机层、金属层和介电和/或粘合性覆盖层的透明基材