JP2019199677A - 繊維シート - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維基材に対して、付着成分により光輝性及び色彩と共に、耐剥離性の高い模様をも付与することができる技術を提供すること。
【解決手段】繊維基材及び該繊維基上の付着成分を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/m以下である、繊維シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維シート等に関する。
繊維基材は、意匠性が要求される各種分野において利用されている。例えば、炭素繊維基材は、樹脂と共に複合材料(炭素繊維強化プラスチック等)を構成し、航空機のボディー等の比較的大型のものから、スポーツ用品、車の内外装材等の比較的小型の身近なものまで、幅広く利用されている。このため、繊維基材は、その意匠性を高めるために着色されることがある。
従来、繊維基材の着色は、染料や顔料等を含む塗料を塗布することにより行うことが一般的であった。しかしながら、繊維基材を塗料により着色する場合、光沢等の目視により認識される光学特性、繊維基材の凹凸等が損なわれてしまう。これらはいずれも意匠性に関わる重要な要素であるところ、着色により、その意匠性は寧ろ低下してしまうことになる。
一方で、繊維基材に対して金属を蒸着することにより、金属光沢を付与する技術が報告されている(特許文献1)。しかしながら、この技術では、目視で判別可能な模様を付与することができない。
特開第2013−043349号公報
本発明者は、模様付与技術について研究を進める中で、模様を付与できても、模様付与のために付着させた成分の剥離の問題が生じる場合があることを見出した。
そこで、この知見も踏まえた上で、本発明は、繊維基材に対して、付着成分により光輝性及び色彩を付与すると共に、耐剥離性の高い模様をも付与することができる技術を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、繊維基材及び該繊維基上の付着成分を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、繊維シートであれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する:
項1. 繊維基材及び該繊維基材上の付着成分を含み、且つ
国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、
繊維シート。
項2. 繊維基材と半金属層又は酸化物層とを含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記半金属層の半金属付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、項1記載の繊維シート。
項3. 繊維基材及び金属層を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記金属層の金属付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、項1記載の繊維シート。
項4. 繊維基材及び金属又は半金属の炭化物層を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記炭化物層の炭化物付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、項1記載の繊維シート。
項5. 繊維基材、金属層、及び半金属層、酸化物層又は炭化物層をこの順に含む、項1〜4のいずれかに記載の繊維シート。
項6. 前記半金属層、酸化物層又は炭化物層の厚みが140nm以下である、項2、4又は5に記載の繊維シート。
項7. 繊維及び該繊維上の付着成分を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、コーティング繊維。
項8. 複数の項7に記載のコーティング繊維を含む、コーティング繊維束。
本発明によれば、付着成分による、光輝性及び色彩と共に耐剥離性の高い模様をも有する繊維シート、コーティング繊維、コーティング繊維束等を提供することができる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.繊維シート
本発明は、その一態様において、繊維基材及び該繊維基材上の付着成分を含み、且つCIEによる色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、繊維シート(本明細書において、「本発明の繊維シート」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
<1−1.繊維基材>
繊維基材は、繊維又は繊維束を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。繊維基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、繊維及び繊維束以外の成分が含まれていてもよい。その場合、繊維基材中の繊維及び繊維束の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。繊維基材としては、例えば、織物(例えば、平織、綾織(斜文織)、繻子織等)、編物、不織布、紙等が挙げられる。これらの中でも、繊維表面が平坦で光の反射率が比較的高く、本発明の繊維シートの意匠性がより高くなるという観点から、好ましくは織物、編物等が挙げられ、より好ましくは織物が挙げられる。繊維基材は、シレー処理やカレンダー処理をしてもよい。
繊維基材の層構成は特に制限されない。繊維基材は、1種単独の繊維基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の繊維基材が複数組み合わされたものであってもよい。
繊維基材を構成する繊維としては、特に制限されず、例えば合成繊維(例えばナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維等)、再生繊維(例えばレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート等)、植物繊維(例えば綿繊維、麻繊維、亜麻繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、アセテート繊維等)、動物繊維(例えば羊毛、絹、天蚕糸、モヘヤ、カシミア、キャメル、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、蜘蛛糸等)等の有機繊維; 炭素繊維(例えばPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノチューブ等)、ガラス繊維(例えばグラスウール、グラスファイバー等)、鉱物繊維(例えば温石綿、白石綿、青石綿、茶石綿、直閃石綿、透角閃石綿、陽起石綿等)、人造鉱物繊維(例えばロックウール、セラミックファイバー等)、金属繊維(例えば、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、鉄繊維、ニッケル繊維、銅繊維等)等の無機繊維等を広く用いることができる。
繊維の形態は、連続長繊維や連続長繊維をカットした短繊維、粉末状に粉砕したミルド糸等、いずれでもよい。
繊維は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
繊維束は、複数の繊維からなるものである限り、特に制限されない。繊維束を構成する繊維の本数は、例えば5以上、10以上、20以上、50以上、であり、一方で例えば50000以下、20000以下、15000以下、2000以下である。これらの上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。
繊維基材の厚みは、繊維の種類に応じて異なり得るものであり、特に制限されない。繊維基材の厚みは、例えば3〜500μm、好ましくは10〜50μmである。
<1−2.付着成分>
本発明の繊維シートは、繊維基材上に付着した成分(付着成分)を含む。付着成分は、繊維基材の有する2つの主面の少なくとも一方の表面上に配置される。
付着成分としては、例えば金属、半金属、酸化物等が挙げられる。付着成分は、層構造(金属層、半金属層、酸化物層)を構成し得る。以下に、これらの層構造について説明する。
<1−2−1.金属層>
本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材及び金属層を含む。金属層を含む場合、金属層は、例えば、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。金属層により、主に明暗の差による模様を付与することができる。
金属層は、金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属層は、金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属層中の金属量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属層を構成する金属としては、特に制限されず、例えば銀、アルミニウム、チタン、銅、ガリウム、亜鉛、銀、金、スズ、鉄、モリブデン、ニオブ、ニッケル、クロム、インジウム、ステンレス、ニッケルクロム合金、ニッケル銅合金、アルミニウム銅合金等が挙げられる。これらの中でも、例えば、衣料向けであれば、金属アレルギー反応の軽減や検針機による誤検出防止の観点等から、好ましくはチタンが挙げられる。
金属は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
金属層の厚みは、特に制限されず、例えば1〜200nmである。該厚みは、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは5〜100nm、より好ましくは10〜80nm、さらに好ましくは10〜60nm、よりさらに好ましくは10〜50nmである。
金属の付着量は、特に制限されず、例えば1〜100μg/cmである。該付着量は、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは2〜50μg/cm、より好ましくは4〜40μg/cm、さらに好ましくは5〜30μg/cm、よりさらに好ましくは5〜25μg/cmである。
金属層の層構成は特に制限されない。金属層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。また、金属層は、その2つの主面の一方或いは両方において、表面が酸化皮膜等の皮膜で構成されていてもよい。
<1−2−2.半金属層>
本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材及び半金属層を含む。半金属層を含む場合、半金属層は、例えば、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材、金属層、及び半金属層を含む。半金属層及び金属層を含む場合、半金属層は、例えば、金属層上に配置される、換言すれば金属層の繊維基材とは反対側の表面上に配置される。例えば、本発明の繊維シートは、繊維基材、金属層、及び半金属層をこの順に含む。半金属層により、主に色の差(色相と彩度の差)による模様を付与することができる。
半金属層は、半金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。半金属層は、半金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、半金属層中の半金属の含有量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
半金属層を構成する半金属としては、特に制限されず、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ホウ素、リン、ビスマス、セレン等が挙げられる。これらの中でも、化学的安定性と付与可能な色彩の選択幅の広さの観点等から、好ましくはケイ素、ゲルマニウム、ビスマス等が挙げられ、より好ましくはケイ素が挙げられる。
半金属は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
半金属層の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜200nmである。該厚みは、意匠性、耐剥離性等の観点から、さらには付着量差による色差が出やすいという観点から、好ましくは140nm以下、より好ましくは3〜140nm、さらに好ましくは4〜100nmである。
半金属の付着量は、特に制限されず、例えば0.5〜80μg/cmである。該付着量は、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは1〜50μg/cm、より好ましくは2〜35μg/cmである。
半金属層の層構成は特に制限されない。半金属層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。また、半金属層は、その2つの主面の一方或いは両方において、表面が酸化皮膜等の皮膜で構成されていてもよい。
<1−2−3.金属または半金属の酸化物層>
本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材及び酸化物層を含む。酸化物層を含む場合、酸化物層は、例えば、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材、金属層(及び/又は半金属層)、並びに酸化物層を含む。酸化物層並びに金属層(及び/又は半金属層)を含む場合、酸化物層は、本発明の繊維シートの最外層、例えば、金属層(又は半金属層)上に配置される、換言すれば金属層(又は半金属層)の繊維基材側とは反対側の表面上に配置される。例えば、本発明の繊維シートは、繊維基材、金属層、及び酸化物層をこの順に含む、或いは繊維基材、半金属層、及び酸化物層をこの順に含む、或いは繊維基材、金属層、半金属層、及び酸化物層をこの順に含む。酸化物層により、主に色の差(色相と彩度の差)による模様を付与することができる。
酸化物層は、金属または半金属の酸化物を素材として含む層である限り、特に制限されない。酸化物層は、該酸化物以外の成分が含まれていてもよい。その場合、酸化物層中の該酸化物量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
酸化物層を構成する半金属酸化物としては、特に制限されず、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、セレン等の半金属(好ましくはケイ素)の酸化物が挙げられる。より具体的には、半金属酸化物としては、AO[式中、Xは式:0<X≦n/2(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Aはケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、及びセレンからなる群から選択される半金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが半金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはケイ素が好ましく、半金属酸化物がSiO(式中、Xは式:0<X≦2を満たす数)であることがより好ましい。半金属酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
酸化物層を構成する金属酸化物としては、特に制限されず、例えばチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、ニッケル等の金属(好ましくはチタン、及び、アルミニウム)の酸化物が挙げられる。より具体的には、金属酸化物としては、AO[式中、Xは式:0<X≦n/2(nは金属の価数である)を満たす数であり、Aはチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、及び、ニッケルからなる群から選択される金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはチタン及びアルミニウムが好ましく、金属酸化物はTiO及びAlであることがより好ましい。金属酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
上記式中のXは、色調の調整の観点及び経時での色変化を抑制する観点から、好ましくはn/2.4以上n/2以下、より好ましくはn/2.3以上n/2以下、さらに好ましくはn/2.2以上n/2以下、特に好ましくはn/2.1以上n/2以下である。
Aがケイ素である場合、上記式中のXは、繊維シートの色調をより良好に調整できる観点から、1未満であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.5未満であることがさらに好ましい。
酸化物層の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜200nmである。該厚みは、意匠性、耐剥離性等の観点から、さらには付着量差による色差が出やすいという観点から、好ましくは140nm以下、より好ましくは3〜140nm、さらに好ましくは4〜100nmである。
酸化物の付着量は、特に制限されず、例えば0.5〜80μg/cmである。該付着量は、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは1〜50μg/cm、より好ましくは2〜35μg/cmである。
酸化物層の層構成は特に制限されない。酸化物層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。
<1−2−4.金属または半金属の窒化物層>
本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材及び窒化物層を含む。窒化物層を含む場合、窒化物層は、例えば、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材、金属層(及び/又は半金属層)、並びに窒化物層を含む。窒化物層並びに金属層(及び/又は半金属層)を含む場合、窒化物層は、本発明の繊維シートの最外層、例えば、金属層(又は半金属層)上に配置される、換言すれば金属層(又は半金属層)の繊維基材側とは反対側の表面上に配置される。例えば、本発明の繊維シートは、繊維基材、金属層、及び窒化物層をこの順に含む、或いは繊維基材、半金属層、及び窒化物層をこの順に含む。窒化物層により、主に色の差(色相と彩度の差)による模様を付与することができる。
窒化物層は、金属または半金属の窒化物又は窒化酸化物を素材として含む層である限り、特に制限されない。窒化物層は、該窒化物及び該窒化酸化物以外の成分が含まれていてもよい。その場合、窒化物層中の該窒化物又は該窒化酸化物の量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
窒化物層を構成する半金属窒化物としては、特に制限されず、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、セレン等の半金属(好ましくはケイ素)の炭化物が挙げられる。より具体的には、半金属窒化物としては、AN[式中、Yは式:n/100≦Y≦n/3(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Aはケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、及びセレンからなる群から選択される半金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが半金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはケイ素であることがより好ましい。半金属窒化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
窒化物層を構成する半金属窒化酸化物としては、特に制限されず、例えばAO[式中、XとYは、n/100≦X、n/100≦Y、かつ、X+Y≦n/2(nは半金属の価数である)であり、Aは半金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。半金属窒化酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
窒化物層を構成する金属窒化物としては、特に制限されず、例えばチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、ニッケル等の金属(好ましくはチタン、及び、アルミニウム)の炭化物が挙げられる。より具体的には、金属窒化物としては、AN[式中、Yは式:n/100≦Y≦n/3(nは金属の価数である)を満たす数であり、Aはチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、及び、ニッケルからなる群から選択される金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはチタンが好ましく、金属窒化物はTiNであることがより好ましい。金属窒化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
窒化物層を構成する金属窒化酸化物としては、特に制限されず、例えばAO[式中、XとYは、n/100≦X、n/100≦Y、かつ、X+Y≦n/2(nは半金属の価数である)であり、Aは金属元素である。]で表される化合物が挙げられる。金属窒化酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
窒化物層の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜200nmである。該厚みは、意匠性、耐剥離性等の観点から、さらには付着量差による色差が出やすいという観点から、好ましくは140nm以下、より好ましくは3〜140nm、さらに好ましくは4〜100nmである。
窒化物又は窒化酸化物の付着量は、特に制限されず、例えば0.5〜80μg/cmである。該付着量は、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは1〜50μg/cm、より好ましくは2〜35μg/cmである。
窒化物層の層構成は特に制限されない。窒化物層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。
<1−2−5.金属または半金属の炭化物層>
本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材及び炭化物層を含む。炭化物層を含む場合、炭化物層は、例えば、繊維基材上に配置される、換言すれば繊維基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。本発明の繊維シートは、一実施形態において、繊維基材、金属層(及び/又は半金属層)、並びに炭化物層を含む。炭化物層並びに金属層(及び/又は半金属層)を含む場合、炭化物層は、本発明の繊維シートの最外層、例えば、金属層(又は半金属層)上に配置される、換言すれば金属層(又は半金属層)の繊維基材側とは反対側の表面上に配置される。例えば、本発明の繊維シートは、繊維基材、金属層、及び炭化物層をこの順に含む、或いは繊維基材、半金属層、及び炭化物層をこの順に含む。炭化物層により、主に色の差(色相と彩度の差)による模様を付与することができる。
炭化物層は、金属または半金属の炭化物を素材として含む層である限り、特に制限されない。炭化物層は、該炭化物以外の成分が含まれていてもよい。その場合、炭化物層中の該炭化物量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
炭化物層を構成する半金属炭化物としては、特に制限されず、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、セレン等の半金属(好ましくはケイ素)の炭化物が挙げられる。より具体的には、半金属炭化物としては、AC[式中、Zは式:n/100≦Z≦n/4(nは半金属の価数である)を満たす数であり、Aはケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、ビスマス、及びセレンからなる群から選択される半金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが半金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはケイ素が好ましく、半金属炭化物がSiCであることがより好ましい。半金属炭化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
炭化物層を構成する金属炭化物としては、特に制限されず、例えばチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、ニッケル等の金属(好ましくはチタン、及び、アルミニウム)の炭化物が挙げられる。より具体的には、金属炭化物としては、AC[式中、Zは式:n/100≦Z≦n/4(nは金属の価数である)を満たす数であり、Aはチタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト、及び、ニッケルからなる群から選択される金属である。]で表される化合物が挙げられる。上記式中のAが金属元素である場合、繊維シートの色調を良好に調整できる観点から、Aはチタンが好ましく、金属炭化物はTiCであることがより好ましい。金属炭化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
炭化物層の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜200nmである。該厚みは、意匠性、耐剥離性等の観点から、さらには付着量差による色差が出やすいという観点から、好ましくは140nm以下、より好ましくは3〜140nm、さらに好ましくは4〜100nmである。
炭化物の付着量は、特に制限されず、例えば0.5〜80μg/cmである。該付着量は、意匠性、耐剥離性等の観点から、好ましくは1〜50μg/cm、より好ましくは2〜35μg/cmである。
炭化物層の層構成は特に制限されない。炭化物層は、1層からなる単層であってもよいし、同一又は異なる組成を有する複数の層であってもよい。
<1−2−6.測定方法>
上記酸化物又は窒化酸化物の酸化数Xに関しては、例えばAO又はAOを含む層の断面を、FE−TEM−EDX(例えば、日本電子社製「JEM−ARM200F」)により元素分析し、AO又はAOを含む層の断面の面積当たりのAとOとの元素比率からXを算出することにより、酸素原子の価数を算出することができる。
上記窒化物又は窒化酸化物の窒素化数Yに関しては、例えばAN又はAOを含む層の断面を、FE−TEM−EDX(例えば、日本電子社製「JEM−ARM200F」)により元素分析し、AN又はAOを含む層の断面の面積当たりのAとNとの元素比率からYを算出することにより、窒素原子の価数を算出することができる。
上記炭化物の炭素化数Zに関しては、例えばAC含む層の断面を、FE−TEM−EDX(例えば、日本電子社製「JEM−ARM200F」)により元素分析し、AC含む層の断面の面積当たりのAとCとの元素比率からZを算出することにより、炭素原子の価数を算出することができる。
<1−3.2つの領域>
本発明の繊維シートは、表面において、CIEによる色差値ΔE00が3以上である2つの領域を含む。
本発明の繊維シートにおいては、この2つの領域が模様を構成する。このため、各領域は、模様として視認される程度の広さであることが好ましい。この観点から、各領域の面積は、例えば1mm以上、1cm以上、4cm以上、9cm以上、16cm以上である。各領域の面積の上限は、模様として認識し得る限り特に制限されず、例えば100m、25m、1m、0.25m、0.01mである。また、意匠性の観点から、2つの領域は、規則的に又は周期的に配置されていることが好ましい。この場合に形成される模様の具体例としては、ストライプ、グラデーション、チェック、格子等が挙げられる。
色差値ΔE00は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上である。
色差値ΔE00は、CIEが規定する色差値ΔE00により求めることができる。具体的には、対象となる2つの領域について、それぞれ分光測色計(例えば、コニカミノルタ社製 CM−2500d もしくは、同等品)にて、(L*,a*,b*)を5回計測し、L*,a*,b*それぞれの値の平均値を算出する。2つの領域それぞれの平均化したL*,a*,b*の値から色差値ΔE00を求める。
本発明の繊維シートは、CIEによる色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下であることを特徴とする。なお、ここでいう付着量とは金属成分及び/又は半金属成分の単位面積当たりの付着量である。これにより、模様の判別性をより高く、且つ耐剥離性をより高くすることができる。
付着量の差を構成する成分は、繊維基材上の付着成分である。付着成分が1種の成分である場合(又は繊維基材以外の層が1種である場合)は、その成分(又はその層を構成する主成分)の付着量差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である。例えば、付着成分が、金属、半金属、酸化物又は炭化物のみである場合(繊維基材以外に金属層、半金属層、酸化物層又は炭化物のみを含む場合)は、金属、半金属、酸化物又は炭化物の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である。付着成分が2種以上の成分である場合(又は繊維基材以外の層が2種以上である場合)は、少なくとも1種の成分(又は少なくとも1層を構成する主成分)の付着量差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である。例えば、付着成分が、金属及び半金属(、酸化物又は炭化物)である場合(繊維基材以外に金属層及び半金属層(、酸化物層又は炭化物)を含む場合)は、金属及び半金属(、酸化物又は炭化物)のいずれか一方又は両方の付着量差が0.2〜25μg/cmである。
付着量の差は、模様の判別性の観点、耐剥離性等の観点から、好ましくは1〜20μg/m、より好ましくは2〜20μg/cm、さらに好ましくは2〜18μg/cmである。
付着量は、蛍光X線分析により求めることができる。具体的には、走査型蛍光X線分析装置(例えば、リガク社製走査型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusIII+もしくは、同等品)を用いて加速電圧は50kV、加速電流は50mA、積分時間は60秒として分析する。測定対象の各成分のKα線のX線強度を測定し、ピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、正味の強度が算出できるようにする。あらかじめ作成した検量線から、測定した各成分の強度値を付着量に換算することができる。5回分析を行い、その平均値を付着量とする。
<1−4.製造方法>
本発明の繊維シートは、繊維基材の表面に成分(例えば、金属、半金属、酸化物等)を付着させる工程を含む方法により得ることができる。繊維基材の表面に複数の層が存在する場合は、さらに、最外層の繊維基材側とは反対側の表面に別の成分(例えば、半金属、酸化物等)を付着させる工程を含む方法により、得ることができる。
前記付着は、特に限定されないが、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、パルスレーザーデポジション法等により行うことができる。これらの中でも、膜厚制御性の観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
付着量の差は、例えばロール・ツー・ロール方式の場合であれば、防着板による遮蔽、搬送速度の制御、出力の制御等により形成することができる。具体的には例えば、搬送方向に対し、垂直になる模様(TD方向のストライプ(MD方向に対して横縞)・グラデーション等)は出力の制御や搬送速度の制御により付与することができる。また、搬送方向に沿った模様(MD方向のストライプ(MD方向に対して縦縞)・グラデーション等)は、防着板による遮蔽等により付与することができる。更に、これらを組み合わせることで、格子やチェック等の模様を付与することができる。
2.コーティング繊維、コーティング繊維束
本発明は、その一態様において、繊維と該繊維に付着した成分とを含み、且つCIEによる色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/m以下である、コーティング繊維(本明細書において、「本発明のコーティング繊維」と示すこともある。)に関する。さらに、本発明は、その一態様において、複数の本発明のコーティング繊維を含む、コーティング繊維束(本明細書において、「本発明のコーティング繊維束」と示すこともある。)に関する。以下に、これらについて説明する。
繊維、繊維束、付着成分、色差値ΔE00、付着量差、製造方法等については、上記「1.繊維シート」の記載と同様である。
本発明のコーティング繊維においては、付着成分は、繊維表面上に配置される、換言すれば繊維の少なくとも一部(全表面積の例えば30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、通常100%以下)又は全部の表面上に配置される。
本発明のコーティング繊維及び本発明のコーティング繊維束からなる群より選択される少なくとも1種は、これのみで、或いは繊維及び繊維束からなる群より選択される少なくとも1種との組み合わせで、本発明の繊維シートを構成することができる。
3.用途
本発明の繊維シート、本発明のコーティング繊維、及び本発明のコーティング繊維束は、付着成分による、光輝性及び色彩と共に耐剥離性の高い模様をも有するものであるので、意匠性及び耐剥離性が高い繊維材料として、各種分野において利用することができる。
本発明の繊維シート、本発明のコーティング繊維、及び本発明のコーティング繊維束は、具体的には、例えばコート、ジャケット、ズボン、スカート、スポーツウェア、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、サポーター、靴下、タイツ、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、布団地、布団綿、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、マスク、フィルター、装飾布/生地、壁布、壁紙、フロア外張り等の繊維製品に利用することができる。
また、別の具体例として、本発明の繊維シート、本発明のコーティング繊維、及び本発明のコーティング繊維束からなる群より選択される少なくとも1種(以下、これらを総称して、「本発明の繊維材料」と示す。)、並びに樹脂を含有する、複合材料(本明細書において、「本発明の複合材料」と示すこともある。)として利用することも可能である。
本発明の複合材料は、本発明の繊維材料と樹脂を含有する限りにおいて、特に制限されない。好ましくは、本発明の複合材料は、本発明の繊維材料が母材である樹脂中に含有されてなる、繊維強化プラスチックである。
樹脂としては、特に制限されず、種々様々な樹脂を採用することができる。なお、樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン)、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルイミドやポリエーテルサルホン等が挙げられる。
本発明の複合材料は、常法にしたがって製造することができ、自動車(特に、自動車の内外装)、航空機、スポーツ関連製品(ゴルフシャフト、テニスラケット、バドミントンラケット、釣り竿、スキー板、スノーボード、バット、アーチェリー、自転車、ボート、カヌー、ヨット、ウィンドサーフィン等)、医療器具、建築部材、電気機器(パソコン等の筐体、スピーカーコーン)等を製造するための構造材料等、様々な用途において活用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)繊維シートの製造
(実施例1)
繊維基材として、ナイロン繊維が平織で織られた織物(Masuda社製「シルファイン・ブライトタフタTM3001」)を用いた。
繊維基材をロール・ツー・ロールで連続的に処理可能なスパッタ装置内に設置し、5.0×10−4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、高周波スパッタリング法により、繊維基材の表面上に金属層としてTi層を形成した。この際、TD方向で金属付着量が2段階で周期的に変化するように、防着板を設置し、金属付着量(=金属層厚み)が大きい領域(A領域)と金属付着量(=金属層厚み)が小さい領域(B領域)とが交互に並んだ繊維シート(MD方向に対して縦縞模様)を得た。
(実施例2〜3及び比較例1〜2)
金属付着量を変える以外は、実施例1と同様にして繊維シートを得た。
(実施例4)
金属層に代えて半金属層(Si層)を形成する以外は、実施例1と同様にして繊維シートを得た。
(実施例5〜6及び比較例3〜4)
半金属付着量を変える以外は、実施例4と同様にして繊維シートを得た。
(実施例7)
金属付着量を変える以外は実施例1と同様にして繊維シートを得た。該繊維シートの金属層表面上に、半金属付着量を変える以外は実施例4と同様にして半金属層を形成して、繊維シートを得た。
(実施例8〜10及び12〜13、並びに比較例5〜7)
金属付着量及び半金属付着量を変える以外は、実施例7と同様にして繊維シートを得た。
(実施例11)
金属層としてステンレス鋼(SUS310s)層を形成する以外は、実施例7と同様にして繊維シートを得た。
(実施例14)
半金属層に代えて酸化物層(TiO層)を形成する以外は、実施例7と同様にして繊維シートを得た。
(実施例15)
半金属層に代えて炭化物層(SiC層)を形成する以外は、実施例7と同様にして繊維シートを得た。
(2)測定・評価
(2−1)付着量(単位:μg/cm)の測定
付着量の測定には、リガク社製走査型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusIII+を用いて、加速電圧は50kV、加速電流は50mAにて分析した。測定対象の各成分のKα線のX線強度を測定し、ピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、正味の強度が算出できるようにした。測定における積分時間は60秒とした。あらかじめ作成した検量線から、測定した各成分の強度値を付着量に換算した。A領域、B領域のそれぞれを5回ずつ分析し、それぞれ平均値を各成分の付着量とした。
(2−2)厚み(単位:nm)の測定
各層の厚みは、蛍光X線分析により求めた各成分の付着量と一般的な密度(単位:g/cm)より求めた。具体的には、Siは2.329、Tiは4.506、SUS310sは7.900、TiOは4.26、SiCは3.16とした。
(2−3)色差値ΔE00の測定
国際照明委員会(CIE)が規定する色差値ΔE00により求めた。具体的には、A領域を分光測色計(コニカミノルタ社製 CM−2500d)にて、5回計測を行った。L*,a*,b*の値それぞれの値の平均値を算出した。同様にして、B領域の測定を行った。2つの領域それぞれの平均化したL*,a*,b*の値から色差値ΔE00を求めた。
(2−4)模様判別性の評価
模様判別性の評価は、白色灯にてサンプルを照らし、サンプル面に対して垂直方向に40cm離れた位置にて目視で評価した。評価者は10人とし、以下の基準にて判定した。
<判定基準>
◎:10人/10人が模様の判別が可能であると判定した。
○:7人/10人が模様の判別が可能であると判定した。
△:5人/10人が模様の判別が可能であると判定した。
×:0〜4人/10人が模様の判別が可能であると判定した。
(2−5)剥離性の評価
剥離性は、摩擦堅牢度試験(JIS L 0849II形)により評価した。
<評価基準>
◎:3.5級以上(DRY&WET)。
○:2.5級以上(DRY&WET)且つ3.5級以上(DRY又はWET)。
×:2.5級〜3.0級(DRY&WET)。
××:2.0級以下(DRYorWET)。
Figure 2019199677
Figure 2019199677
Figure 2019199677
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また、実施例1〜15の繊維シートの表面(金属層、半金属層、又は酸化物層表面)を目視にて観察した結果、繊維基材が有する風合いが損なわれておらず、表面模様が視認され、光輝性があった。

Claims (8)

  1. 繊維基材及び該繊維基材上の付着成分を含み、且つ
    国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、
    繊維シート。
  2. 繊維基材と半金属層又は酸化物層とを含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記半金属層の半金属付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、請求項1記載の繊維シート。
  3. 繊維基材及び金属層を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記金属層の金属付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、請求項1記載の繊維シート。
  4. 繊維基材及び金属又は半金属の炭化物層を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における前記炭化物層の炭化物付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、請求項1記載の繊維シート。
  5. 繊維基材、金属層、及び半金属層、酸化物層又は炭化物層をこの順に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維シート。
  6. 前記半金属層、酸化物層又は炭化物層の厚みが140nm以下である、請求項2、4又は5に記載の繊維シート。
  7. 繊維及び該繊維上の付着成分を含み、且つ国際照明委員会(CIE)による色差値ΔE00が3以上である2領域間における同一成分の付着量の差が0.2μg/cm以上25μg/cm以下である、コーティング繊維。
  8. 複数の請求項7に記載のコーティング繊維を含む、コーティング繊維束。
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