JPH05331618A - 薄膜作製方法および薄膜作製装置 - Google Patents

薄膜作製方法および薄膜作製装置

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JPH05331618A
JPH05331618A JP13834892A JP13834892A JPH05331618A JP H05331618 A JPH05331618 A JP H05331618A JP 13834892 A JP13834892 A JP 13834892A JP 13834892 A JP13834892 A JP 13834892A JP H05331618 A JPH05331618 A JP H05331618A
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JP
Japan
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substrate
thin film
film
chamber
microwaves
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Application number
JP13834892A
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English (en)
Inventor
Mutsumi Yamamoto
睦 山本
Jun Kuwata
純 桑田
Tomizo Matsuoka
富造 松岡
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面が酸化物で構成された基板表面に吸着し
た水分、さらには酸化物中に含まれる水分を脱離させ、
その後続けて真空中で所望の薄膜を製膜することによっ
て、下地からの水分の脱離による上部薄膜の局部的な剥
離を防止する。 【構成】 表面が酸化物で構成された基板3に対して、
真空中において当該基板表面にマイクロ波による誘導加
熱を施す、または当該基板表面をスパッタリングする、
または当該基板表面にECRプラズマを照射することに
よって酸化物表面に吸着した水分、さらには酸化物中に
取り込まれている水分を脱離し、その後当該基板3に真
空中において連続的に所望の薄膜を製膜する構成によ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパッタリング法や真
空蒸着法などの真空中で薄膜を製造する方法のうち、例
えば薄膜トランジスタ(以下TFTと略す)のゲート絶
縁膜やエレクトロルミネッセンス(以下ELと略す)素
子の発光層を挟持する絶縁膜にも用いられているような
酸化物を主成分とする薄膜上に各種薄膜を良質に製造す
るための薄膜作製方法および薄膜作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に一例として、一般的なTFT液晶
表示装置のTFT要部構成断面図を示す。このような構
造を持つTFTの製造工程は、まずガラス基板51上の
全面にスパッタリング法を用いて金属Taの酸化物(以
下TaOxと略す)で形成されたアンダーコート絶縁膜
52を製膜し、その上にCrゲート電極53を選択的に
形成する。ついで全面にスパッタリング法により室温で
TaOx第1ゲート絶縁膜54aを製膜し、その後化学
気相堆積法により窒化Si(以下SiNxと略す)膜で
形成された第2ゲート絶縁膜54b、アモルファスSi
半導体層55、パッシベーションSiNx膜56を順次
製膜する。ゲート電極53上以外のパッシベーションS
iNx膜56を除去した後、オーミックコンタクト層5
7、ソース、ドレイン電極用金属膜58を順次製膜す
る。オーミックコンタクト層57、ソース、ドレイン電
極用金属膜58を一括してエッチングしてソース電極5
8a、ドレイン電極58bを形成して図5に示すTFT
が完成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の構成
では、上述した製造工程の中で、特にアンダーコート絶
縁膜52上に基板加熱をしないで製膜した膜が、後工程
の加熱処理される工程でアンダーコート絶縁膜52との
界面に剥離を生じるという現象が生じた。具体的には、
Crゲート電極53、またはTaOx第1ゲート絶縁膜
54aを基板加熱をしないで製膜すると、後工程の20
0℃以上の基板温度で製膜するSiNx第2ゲート絶縁
膜54bを製膜後に、前記各膜とアンダーコート絶縁膜
52との界面において気泡状の剥離が基板全面に生じて
しまう。
【0004】上記のような剥離が生じる原因は、酸化物
薄膜の表面に吸着された水分または酸化物薄膜内に取り
込まれた水分が加熱によって脱離するためであると考え
られる。例えばTaOx膜は、文献(大塩ら、信学技報
EID91-86,p17-22(1992))にも示されているように薄
膜内に水分を取り込みやすく、また加熱によって容易に
脱離する。そこで上記問題点を解決する一つの手段とし
て、酸化膜上に形成する薄膜を製膜する際に、200℃
以上の温度で基板加熱しながら製膜する方法が考えられ
る。しかしながら、例えばTaOx第1ゲート絶縁膜5
4aのように、基板加熱をしながら製膜するとリーク電
流が増加するなど薄膜の特性に悪い影響を及ぼす場合も
多く、結果的にデバイスの特性を悪化させる結果となっ
てしまう。またもう一つの解決手段として、酸化物薄膜
の製膜された基板を真空中で一定時間加熱して水分を脱
離し、冷却後大気に触れずに続けて所望の膜を製膜する
方法も考えられるが、この方法では基板の加熱、冷却に
長い時間が必要なため生産性が非常に悪い。
【0005】本発明は以上のような課題を解決するもの
で、良好なデバイス特性が得られる基板温度で製膜し、
かつ下地の膜からの水分の脱離が生じないで、生産性を
低下させない高スループットの薄膜作製方法および薄膜
作製装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、絶縁性基板または表面の少なくとも一部に
酸化物を主成分とする薄膜が形成された基板に、真空中
で基板表面にマイクロ波を用いた誘導加熱を施すか、ま
たは当該基板表面をスパッタリングするか、または当該
基板表面にECRプラズマを照射した後続いて大気に触
れずに所望の薄膜を形成する工程を少なくとも有する構
成と、所望の膜を製膜する前に基板表面に対してマイク
ロ波を用いた誘導加熱を行うことのできる手段、基板表
面をスパッタリングすることのできる手段および基板表
面にECRプラズマを照射することのできる手段のうち
少なくとも一つの手段と、上記基板上に、途中大気に触
れずに続けて所望の膜を作製することのできる手段とを
備えた構成とによる。
【0007】
【作用】上記構成により、基板温度を上昇させずに短時
間で酸化物表面に吸着した水分、または酸化物中に取り
込まれた水分の脱離をすることができ、所望の膜を薄膜
物性に最適な条件で製膜でき、かつ高スループットで製
膜することができるため、高品質の薄膜を下地酸化物界
面との剥離を生じることなく、高い生産性で作製するこ
とができる。
【0008】
【実施例】
(実施例1)図1に本発明の薄膜作製装置の第1の実施
例であるインライン型スパッタリング装置を示す。図1
を用いて本発明の薄膜作製装置について説明する。図1
において、1はロードロック室、2は基板ホルダー、3
は基板、4はガス導入口、5はゲートバルブ、6は前処
理室、7は基板加熱機構、8a,8bはガス導入口、9
a,9bは流量計、10はゲートバルブ、11は製膜
室、12は基板加熱機構、13はガス導入口、14は流
量計、15はゲートバルブ、16はアンロードロック
室、17a,17bはガス導入口、18は流量計、19
a〜19dは真空排気系、20はターゲット、21はカ
ソード電源、22はマイクロ波導入窓、23は電力計、
24はマイクロ波発振器である。本装置は、ロードロッ
ク室1、前処理室6、製膜室11およびアンロードロッ
ク室16の4つに分かれている。ロードロック室1およ
びアンロードロック室16は、前処理室6または製膜室
11を大気に戻さずに基板を出し入れするための予備排
気室である。ロードロック室1、前処理室6、製膜室1
1およびアンロードロック室16は、各室間ゲートバル
ブ5,10,15で仕切られており、各ゲートバルブ
5,10,15の開閉により基板ホルダー2を各室間移
動することができる。また各室は各々独立に排気するこ
とができ、前処理室6と製膜室11は常に真空排気され
ているので、前処理室6、製膜室11内で基板面に水分
やガスが吸着して膜の品質を悪化させることはない。
【0009】前処理室6にはランプヒーターからなる基
板加熱機構7が備えられている。さらに本装置の最も重
要な点は、この前処理室6にマイクロ波発振器24が取
り付けられており、石英製のマイクロ波導入窓22を通
して前処理室6内にマイクロ波を導入することができる
構造となっていることである。したがって本装置では、
前処理室6において通常の輻射熱による基板加熱ができ
ると同時に、マイクロ波を用いた誘導加熱も行なうこと
ができる。前処理室6内へのマイクロ波の導入方法は、
本実施例に示したようなマイクロ波導入窓22から導波
管を通して導入する方法のほか、前処理室内にアンテナ
を設置し同軸ケーブルでマイクロ波を送る方法等幾つか
あるが、基本的にはどの方法を用いても同様な効果が得
られた。
【0010】マイクロ波を用いた誘導加熱とは、物質に
含まれる誘電分極した水分がマイクロ波によって大きな
誘電損失を示し、その結果水分の温度が上昇する現象で
ある。基板自体は水分を含まないので誘導加熱を行なっ
ても温度は上昇しないが、基板表面に吸着している水分
や基板に製膜されている薄膜中に含まれている水分はマ
イクロ波による誘電損失によって蒸発する。したがって
この方法を用いると、基板の温度を上げることなく基板
表面、または薄膜中から水分を脱離することができる。
【0011】製膜室11は、スパッタリング法により薄
膜を作製できる構造となっている。スパッタリング法と
しては、DC法、RF法等どのような方法も用いること
ができる。製膜中は基板が一定速度でターゲット20の
前を通過する構造となっており、複数の基板に連続的に
薄膜を作製することができる。また製膜室11内にもラ
ンプヒーターからなる基板加熱機構12が備えられてお
り、製膜中にも基板加熱を行なうことのできる構造とな
っている。
【0012】次に本装置を用いて薄膜を製膜する場合の
手順を簡単に説明する。まずロードロック室1において
ガラス等の絶縁性基板または表面に酸化物を被覆した基
板3を基板ホルダー2にセットする。ロードロック室1
を真空排気し、所定の圧力以下になったところでゲート
バルブ5を開いて基板ホルダー2を前処理室6内に導入
する。ゲートバルブ5を閉じた後、前処理室6にマイク
ロ波を導入して一定時間基板3の表面にマイクロ波を照
射し、絶縁性基板3の表面に吸着した水分や基板3に製
膜されている酸化物薄膜内に取り込まれている水分の脱
離を行なう。この際、製膜時に基板3の加熱をする必要
のある材料の場合には、基板加熱機構7を用いて基板3
の予備加熱を行なう。基板加熱機構7を用いない場合に
は基板3の温度上昇は殆ど生じない。マイクロ波の照射
を止めた後、ガス導入口8bより前処理室6内に製膜室
11で用いるスパッタリングガスと同じ成分のガスを導
入する。ガス導入後の前処理室6内は、ゲートバルブ1
0の開閉によって製膜室11内の圧力が変動しない圧力
に調整する。ゲートバルブ10を開いて基板ホルダー2
を製膜室11内に導入し、ゲートバルブ10を閉じる。
なおこの時製膜室11内は、予めガス導入口13よりス
パッタリングガスを導入してスパッタリングを行なって
いる状態にしておく。基板ホルダー2を一定の速度で移
動し、基板3がターゲット20上を通過して所定の厚さ
の膜が製膜されたら、ゲートバルブ15を開いて基板ホ
ルダー2をアンロードロック室16に導入する。この時
アンロードロック室16内には、予め製膜室11で用い
るスパッタリングガスと同じ成分のガスをガス導入口1
7aより導入し、ゲートバルブ15の開閉によって製膜
室11内の圧力が変動しない圧力に調整しておく。ゲー
トバルブ15を閉じた後、アンロードロック室16に大
気圧までガス導入口17bより不活性ガスを導入し、基
板3を取り出す。
【0013】本発明の薄膜作製装置の最も重要な点は、
基板上に薄膜を製膜する前に当該基板にマイクロ波を照
射する構造を備え、基板3表面に吸着している水分や基
板3上に製膜されている薄膜中に含まれる水分を脱離
し、その後基板3に対して大気に触れることなく続けて
所望の薄膜を製膜することのできる機構を備えている点
である。したがって、装置構成は本実施例に限定される
ものではなく、例えばロードロック室1内にマイクロ波
を導入できる構成、すなわち前処理室6とロードロック
室1が一体となった構成や、製膜室11内にマイクロ波
を導入できる構成であっても本発明の基本的要件から逸
脱するものではない。
【0014】(実施例2)図2に本発明の薄膜作製装置
の第2の実施例であるインライン型スパッタリング装置
を示す。図1の第1の実施例と同一部分には同一番号を
付し、説明を省略する。すなわち第2の実施例の特徴は
前処理室6内での処理にある。すなわち前処理室6に
は、可動式のカソード電極25が取り付けられており、
先端部を基板3裏面に接触させることによって基板3に
高周波電力を印加できる構造となっている。前処理室6
に基板ホルダー2を導入後、カソード電極25を基板3
の裏面に接続すると同時に、ガス導入口8aよりスパッ
タリングガスを導入し一定の圧力に調整する。前処理室
6内の圧力が一定になったら、高周波電源26を作動さ
せて基板3に所定の高周波電力を供給する。基板3と基
板ホルダー2は電気的に絶縁されているため、スパッタ
リングは基板面に対して行われる。一定時間基板3の表
面のスパッタリングを行った後、高周波電源26を止
め、カソード電極25を基板3から離し基板面の処理を
終了する。
【0015】本装置の最も重要な点は、この前処理室に
おいて基板表面をスパッタリングすることにより、基板
表面に吸着している水分や基板上に製膜されている薄膜
中に含まれる水分を脱離することができる構造になって
いることである。この際のスパッタリングは、放電が安
定に持続し、かつ基板表面に著しいダメージを与えない
ような条件で行う必要がある。スパッタ電力は基板表面
の酸化物の種類によって異なるが、例えば表面がTaO
x膜が形成された基板であれば約1W/cm2以下であれば
基板表面のダメージはさほど強くない。放電時に導入す
るスパッタリングガスは、He,Ne,Ar等の不活性
ガスをはじめ、N2,O2等のガスも用いることができる
が、いずれの場合でもガス中に含まれる水分は1%以下
でないと十分な効果は得られない。またこの際の圧力
は、1×10-3Torr以上5×10-2Torr以下の
範囲で安定した放電が得られた。
【0016】基板3の表面のスパッタリングが終了した
ら、続いてガス導入口8bより製膜室11で用いるスパ
ッタリングガスを導入し、所定の圧力に調整してからゲ
ートバルブ10を開け製膜室11内に基板ホルダー2を
移動する。以降の過程は第1の実施例で説明した通りで
ある。また本実施例も上記第1の実施例と同様に、その
最も重要な点は、基板3上に薄膜を製膜する前に当該基
板3をスパッタリングできる構造を備え、基板3表面に
吸着している水分や基板上に製膜されている薄膜中に含
まれる水分を脱離し、その後基板3に対して大気に触れ
ることなく続けて所望の薄膜を製膜することのできる機
構を備えている点である。したがって、装置構成は本実
施例に限定されるものではなく、例えばロードロック室
内で基板3のスパッタリングを行える構成、すなわち前
処理室6とロードロック室1が一体となった構成や、製
膜室11でターゲットをスパッタリング前に基板面をス
パッタリング(逆スパッタリング)することのできる構
成であっても本発明の基本的要件から逸脱するものでは
ない。
【0017】(実施例3)図3に第3の実施例である薄
膜作製装置であるインライン型スパッタリング装置を示
す。この場合も前処理室6内での処理に特徴がある。す
なわち前処理室6内には、ECRプラズマ発生源が備え
られている。図3において、27は磁界発生装置、28
はマイクロ波導入窓、29は電力計、30はマイクロ波
発振器である。ECRプラズマ発生源は、図3に示した
ようにマイクロ波発振器24と永久磁石もしくは電磁石
よりなる磁界発生装置27からなる。磁界発生装置27
は、基板3の表面に対して磁界が発散磁界となるように
設計されており、ECRプラズマが基板3の表面に効率
よく照射されるようになっている。ECRプラズマは、
ある圧力の下で次式が成立する時に効率良く発生する。
【0018】
【数1】
【0019】ただし、fは周波数(Hz)、eは電子の電
荷量(C)、Mはイオン種の分子量、そしてBは磁束密
度(ガウス)である。実際のプロセスでは、厳密に(数
1)を満たさなくても放電は発生する。具体的には、図
4に示した斜線の範囲内で安定した放電が持続した。放
電時の圧力は、5×10-4Torr以上5×10-2To
rr以下の範囲で安定した放電が得られた。放電時に導
入するガスは、He,Ne,Ar等の不活性ガスをはじ
め、N2,O2等のガスも用いることができるが、いずれ
の場合でもガス中に含まれる水分は1%以下でなければ
ならない。
【0020】前処理室6における具体的な操作を説明す
る。前処理室6に基板ホルダー2を導入したら、ガス導
入口8aより所定のガスを導入し一定の圧力に調整す
る。前処理室6内の圧力が一定になったら、マイクロ波
発振器30を作動させECRプラズマを基板3の表面に
照射し、基板3の表面に吸着している水分や基板3上に
製膜されている薄膜中に含まれる水分の脱離を行なう。
一定時間照射後、マイクロ波の発振を止める。基板3の
表面に対するECRプラズマの照射が終了したら、続い
て製膜室11で用いるスパッタリングガスをガス導入口
8bより導入し、所定の圧力に調整した後製膜室11内
に基板ホルダー2を移動する。以降の過程は第1の実施
例で説明した通りである。
【0021】本実施例も前記した第1の実施例と同様
に、その最も重要な点は、基板3上に薄膜を製膜する前
に基板3にECRプラズマを照射することのできる構造
を備え、基板3表面に吸着している水分や基板上に製膜
されている薄膜中に含まれる水分を脱離し、その後基板
3に対して大気に触れることなく続けて所望の薄膜を製
膜することのできる機構を備えている点である。したが
って、装置構成は本実施例に限定されるものではなく、
例えばロードロック室内で基板に対してECRプラズマ
を照射することのできる構成、すなわち前処理室とロー
ドロック室が一体となった構成や、製膜室でのターゲッ
トをスパッタリングする前に、基板に対してECRプラ
ズマを照射することのできる構成であっても本発明の基
本的要件から逸脱するものではない。
【0022】(実施例4)次に第4の実施例として、第
1の実施例に示した薄膜作製装置を用い、本発明の薄膜
作製方法によりTFT液晶表示装置を作製した場合を示
す。図5は、本発明の薄膜作製方法を用いた一例である
TFT液晶表示装置のTFT部概略断面図を示したもの
である。図5を用いて上述の構造を持つTFTの製造工
程について簡単に説明する。まず、ガラス基板51上の
全面にTaOxアンダーコート絶縁膜52を反応性RF
スパッタリング法により50〜200nmの厚さで製膜
し、その上に全面にDCスパッタリング法により室温で
Cr膜を100〜200nmの厚さで製膜後、Crゲー
ト電極53を選択的に形成する。ついで全面に反応性R
Fスパッタリング法によりTaOx第1ゲート絶縁膜5
4aを50〜200nmの厚さで、その後化学気相堆積
法により基板温度350℃で、厚さ200〜300nm
のSiNx第2ゲート絶縁膜54b、アモルファスSi
半導体層55、パッシベーションSiNx膜56を順次
製膜する。ゲート電極53上以外のパッシベーションS
iNx膜56を除去した後、オーミックコンタクト層5
7、ソース、ドレイン電極用金属膜58を順次製膜す
る。オーミックコンタクト層57、ソース、ドレイン電
極用金属膜58を一括してエッチングしてソース電極5
8a、ドレイン電極58bを形成して図5に示すTFT
が完成する。なお本実施例の製造工程においては、基板
上に付着したダストによる欠陥の発生をなくすため、各
製膜工程の前には必ず基板を洗浄する工程を入れてい
る。
【0023】上記TFT液晶表示装置の製造過程におい
て、本発明の1要件である薄膜作製方法を用いた結果絶
大なる効果が得られた点について、図1および図5を用
いてさらに詳しく説明する。
【0024】まず第1の点としてCrゲート電極53を
形成するためのCr膜の製膜過程について説明する。金
属Crターゲット20が取り付けられた、図1に示す構
造のスパッタリング装置のロードロック室1内の基板ホ
ルダー2に、アンダーコート膜52が製膜されたガラス
基板51をセットする。ロードロック室1内を真空排気
し、所定の圧力になったところでゲートバルブ5を開け
基板ホルダー2を前処理室6に導入する。前処理室6お
よび製膜室11はクライオポンプよりなる真空排気系1
9b,19cによって常に真空排気されている。ゲート
バルブ5を閉じた後、マイクロ波発振器24を作動させ
て前処理室6内にマイクロ波を導入する。適当な電力で
数分間ガラス基板51上にマイクロ波を照射した後、マ
イクロ波の発振を止めてガス導入口8aより前処理室6
内にArを導入する。この時製膜室11内には予めガス
導入口13よりArガスが導入され、ターゲット20に
対して0.5〜10W/cm2程度のDCスパッタ電力で
スパッタリングが行われている。したがって前処理室6
内に導入されるArガスの流量は、ゲートバルブ10を
開閉しても製膜室11内の圧力が変動しないような条件
に予め決められている。同様にアンロードロック室16
に基板ホルダー2を移動する際にも、ゲートバルブ15
を開けた時に製膜室11内の圧力が変動しないように、
ゲートバルブ15を開ける前にはアンロードロック室1
6に所定量のArガスをガス導入口17に導入し、一定
の圧力に保っておく。基板ホルダー2を前処理室6から
製膜室11に移動し、ゲートバルブ10を閉じる。基板
ホルダー2は製膜室11内を予め設定した一定の速度で
移動し、ターゲット20上を通過後には基板3上に所望
の厚さのCr膜が製膜されている。基板温度は室温とし
た。ターゲット20上を通過後ゲートバルブ15を開
け、アンロードロック室16に基板ホルダー2を移動す
る。ゲートバルブ15を閉じた後、アンロードロック室
16内に大気圧になるまでArガスを導入し、基板ホル
ダー2から基板3を取り出してCr製膜の工程を終了す
る。
【0025】次に第2の点としてTaOx第1ゲート絶
縁膜54aの製膜過程について説明する。TaOx膜の
製膜も図1に示した構成の薄膜作製装置を用いた。アン
ダーコート膜52上に所定のパターンのゲート電極53
が形成された基板51を基板ホルダー2にセットした
後、前処理室6でマイクロ波を用いた誘導加熱を行な
い、製膜室11に導入して薄膜を製膜後アンロードロッ
ク室16から基板3を取り出すまでの過程は、製膜室1
1においてArガスの代わりに所定の割合で混合された
ArとO2の混合ガスを用いる点、および製膜方法がR
Fスパッタリング法である点を除いては、上述のCr製
膜の場合と全く同様であるので説明は省略する。製膜室
11には金属TaもしくはTaOxよりなるターゲット
20が備えられ、反応性RFスパッタリング法によりT
aOx膜が製膜できるようになっている。製膜時のRF
電力は5〜30W/cm2、スパッタリング圧力は5×1
-4〜1×10-2Torrの範囲内とし、基板ホルダー
2は予め設定した一定の速度で移動し、ターゲット20
上を通過した基板3には所望の厚さのTaOx膜が製膜
されている。基板温度は、TaOx膜のリーク電流が小
さくなる条件である150℃以下とした。
【0026】以上のCr膜およびTaOx膜の製膜につ
いての説明は、基板ホルダー2を1台だけ用いた場合に
ついて述べたが、実際には、ロードロック室1の基板ホ
ルダー2が前処理室6に導入されたら、すぐにロードロ
ック室1を大気解放して次の基板3をセットし、順次前
処理室6、製膜室11、アンロードロック室16へと搬
送することにより、多くの基板に連続的に製膜を行なう
ことができる。
【0027】TaOx第1ゲート絶縁膜54aまで製膜
した基板3は、次にSiNx第2ゲート絶縁膜54bを
製膜する。SiNx第2ゲート絶縁膜54bは、基板温
度350℃で化学気相堆積法により製膜した。ここで、
前処理室6においてマイクロ波を用いた誘導加熱を行な
わないで製膜した従来の方法では、SiNx第2ゲート
絶縁膜54b製膜後Crゲート電極53とTaOxアン
ダーコート膜52との界面およびTaOx第1ゲート絶
縁膜54aとTaOxアンダーコート膜52との界面に
おいて、基板全面にわたって気泡状の剥離が生じていた
が、本実施例の薄膜作製方法および薄膜作製装置を用い
た結果、このような不良は皆無となった。図6に本実施
例の方法と従来の方法を用いて、SiNx第2ゲート絶
縁膜54bまで作製したデバイスの断面構造を比較して
示す。従来のマイクロ波加熱を行なわなかった基板で
は、図6(b)に示したように気泡状の剥離が生じてい
るが、本実施例の方法では、図6(a)に示したように
界面での剥離はまったく生じていない。図6(b)に示
したような剥離があった場合、図5に示したゲート電極
53の断線、またはゲート電極53とソース電極58
a、ドレイン電極58bの短絡等が発生し著しく歩留ま
りが低下するという問題が生じていた。しかしながら本
実施例の方法を用いることにより、生産性を全く低下さ
せることなく飛躍的な歩留まりの向上を果たすことがで
きた。なお、図6において、61が剥離部である。
【0028】さらに本発明の方法の優れた点は、基板温
度に制約がなくなることである。これまでの剥離防止の
対策として、製膜中の基板温度を上げることにより下地
酸化物薄膜からの水分の脱離を促し、積層構造が形成さ
れてからの界面での水分脱離を防ぐ方法を用いた。しか
しながら製膜中の基板加熱は必ずしも全ての薄膜にとっ
て最適条件とはならない。例えば、本実施例中に述べた
Cr薄膜は、製膜中に基板加熱を行なうとCr膜が僅か
に酸化されて抵抗値が高くなってしまう。また同じく本
実施例中に述べたTaOx膜の場合、基板加熱を行なっ
た状態で製膜した膜は、150℃以下で製膜した膜に比
べて1〜2桁リーク電流が大きくなってしまい、TFT
特性を悪化させる要因となる。このように製膜時の基板
温度は、製膜後の薄膜の特性に非常に大きな影響を及ぼ
す。したがって、本実施例に示した方法を用いることに
より、後工程での水分脱離の問題を考えることなく、製
膜する物質の特性が最も良くなる条件で製膜することが
できるため、高品質の薄膜を再現性良く、高い生産性で
作製することが可能となった。
【0029】以上の第4の実施例では、基板3を誘導加
熱する際に周波数2.45GHzのマイクロ波を用いた
が、マイクロ波の周波数はこれに限定されるものではな
く、水の分子が比較的良く吸収する範囲の周波数、具体
的には500MHz以上20GHz以下の範囲であれば、ど
の周波数でも同様の効果が得られた。
【0030】また上述の第4の実施例では、誘導加熱を
施す基板上に製膜された薄膜はTaOx膜であったが、
水分を吸着したり、薄膜中に水分を取り込み易い薄膜は
TaOx膜に限るものではない。したがって本発明の薄
膜作製方法および薄膜作製装置は、基本的には表面に水
分を吸着しやすい状態の基板、さらには薄膜中に取り込
む水分量の多い酸化物薄膜が製膜された基板上に所望の
薄膜を製膜する場合全てに有効である。
【0031】さらに上述の4実施例では、何れも前処理
後基板を大気に触れずに続けて製膜室11へと送ってい
るが、大気中を搬送しない理由は、大気中に含まれる水
分が基板表面に吸着して上述したような酸化物上に製膜
した薄膜の剥離現象が生じるためである。これに対して
湿度の非常に低い大気中を搬送させる方法も考えられる
が、湿度が30%以下になると基板表面が非常に帯電し
やすくなり、後工程で膜の静電破壊が生じる原因となる
ため適当ではない。
【0032】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明
は、所望の薄膜を製膜する前に、基板にマイクロ波を用
いた誘導加熱を施して表面から水分を脱離した後所望の
膜を製膜することにより、界面での膜の局部的な剥離の
発生を防止し、信頼性が高く特性の優れた薄膜を再現性
良く形成できる薄膜作製および薄膜作製装置を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における薄膜作製装置の
概略構成図
【図2】本発明の第2の実施例における薄膜作製装置の
概略構成図
【図3】本発明の第3の実施例における薄膜作製装置の
概略構成図
【図4】図3の第3の薄膜作製装置におけるECRプラ
ズマの発生範囲を示す図
【図5】本発明の薄膜作製方法により作製したTFT液
晶表示装置の断面図
【図6】(a)は本発明の薄膜作製方法によるTFT液
晶表示装置の部分断面図 (b)は従来の薄膜作製方法によるTFT液晶表示装置
の部分断面図
【符号の説明】
1 ロードロック室 2 基板ホルダー 3 基板 4 ガス導入口 5 ゲートバルブ 6 前処理室 7 基板加熱機構 8a,8b ガス導入口 9a,9b 流量計 10 ゲートバルブ 11 製膜室 12 基板加熱機構 13 ガス導入口 14 流量計 15 ゲートバルブ 16 アンロードロック室 17a,17b ガス導入口 18 流量計 19a〜19d 真空排気系 20 ターゲット 21 カソード電源 22 マイクロ波導入窓 23 電力計 24 マイクロ波発振器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 16/46 7325−4K 16/50 7325−4K H01L 21/31 C 29/784

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性基板または表面の少なくとも一部に
    酸化物を主成分とする薄膜が形成された基板の表面に真
    空中でマイクロ波を用いた誘導加熱を施した後、途中大
    気に触れずに続けて真空中で薄膜を形成する工程を少な
    くとも有することを特徴とする薄膜作製方法。
  2. 【請求項2】マイクロ波を用いた誘導加熱が、周波数が
    500MHz以上20GHz以下のマイクロ波を用いた誘導
    加熱であることを特徴とする請求項1記載の薄膜作製方
    法。
  3. 【請求項3】基板の表面に真空中でマイクロ波を用いた
    誘導加熱を施す代りに基板の表面を所定のスパッタリン
    グガス中でスパッタリングすることを特徴とする請求項
    1記載の薄膜作製方法。
  4. 【請求項4】基板の表面に真空中でマイクロ波を用いた
    誘導加熱を施す代りに所定のガス中でECRプラズマを
    照射することを特徴とする請求項1記載の薄膜作製方
    法。
  5. 【請求項5】酸化物を主成分とする薄膜が金属の酸化物
    薄膜であることを特徴とする請求項1,2,3または4
    記載の薄膜作製方法。
  6. 【請求項6】金属の酸化物薄膜がタンタル(Ta)、ア
    ルミニウム(Al)またはシリコン(Si)の酸化物薄
    膜であることを特徴とする請求項5記載の薄膜作製方
    法。
  7. 【請求項7】真空中において、基板表面にマイクロ波を
    用いた誘導加熱を施すことのできる手段、基板表面をス
    パッタリングできる手段および基板表面にECRプラズ
    マを照射することのできる手段のうち少なくとも一つの
    手段と、前記基板上に途中大気に触れることなく続けて
    薄膜を製膜することのできる手段とを少なくとも備えて
    いることを特徴とする薄膜作製装置。
  8. 【請求項8】基板表面にマイクロ波を用いた誘導加熱を
    施すことのできる手段が、基板表面に周波数が500M
    Hz以上20GHz以下のマイクロ波を用いた誘導加熱を施
    すことのできる手段であることを特徴とする請求項7記
    載の薄膜作製装置。
JP13834892A 1992-05-29 1992-05-29 薄膜作製方法および薄膜作製装置 Pending JPH05331618A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7776670B2 (en) 2006-06-16 2010-08-17 Toray Engineering Co., Ltd. Silicon thin-film and method of forming silicon thin-film
JP2012104703A (ja) * 2010-11-11 2012-05-31 Hitachi Kokusai Electric Inc 半導体装置の製造方法および基板処理装置
CN114855139A (zh) * 2021-02-04 2022-08-05 住友重机械工业株式会社 处理装置

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