JPH05331352A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JPH05331352A
JPH05331352A JP16677492A JP16677492A JPH05331352A JP H05331352 A JPH05331352 A JP H05331352A JP 16677492 A JP16677492 A JP 16677492A JP 16677492 A JP16677492 A JP 16677492A JP H05331352 A JPH05331352 A JP H05331352A
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智恵 濱崎
Masaaki Motai
政明 馬渡
Motoo Iwata
元夫 岩田
Kenju Furuyama
建樹 古山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 難燃性、帯電防止性、耐光性、耐衝撃性およ
び成形品表面外観に優れた難燃性樹脂組成物を提供す
る。 【構成】 (a)ポリアミドエラストマー5〜50重量
%、(b)ゴム状重合体の存在下または非存在下に芳香
族ビニル化合物および必要に応じてシアン化ビニル化合
物を共重合してなる熱可塑性樹脂30〜94重量%、お
よび(c)ゴム状重合体の存在下または非存在下に芳香
族ビニル化合物および必要に応じてシアン化ビニル化合
物を共重合するにあたり、官能基を含むビニル化合物の
少なくとも1種を共重合してなる熱可塑性樹脂1〜20
重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量
%〕の合計量100重量部に対し、(d)ハロゲン化エ
ポキシオリゴマーおよび/またはハロゲン化エポキシポ
リマー3〜50重量部を含有してなる難燃性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止性、耐光性、
難燃性、耐衝撃性および成形品表面外観に優れた難燃性
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ABS樹脂などのスチレン系
樹脂は、成形加工性、物理的性質および機械的性質に優
れていることから、電気・電子分野および自動車分野な
どに幅広く使用されている。しかしながら、この樹脂
は、電気絶縁体であり、絶縁材料として有効であるが、
帯電した電気を漏洩することができず、表面にほこりが
付いたり、電子機器関係において帯電した電気が妨害を
与えるという欠点を有している。これらの欠点を改良す
る方法としては、一般的に帯電防止剤を練り込む方法が
知られているが、この方法では表面固有抵抗値が経時変
化し高くなるので、帯電防止効果が持続しないという欠
点を有している。
【0003】帯電防止効果の持続性を向上させる方法と
して、ポリエチレングリコールとポリアミドを主成分と
するポリアミドエラストマーをABS樹脂に配合する方
法が提案されている。この組成物は、上記帯電防止剤を
配合したABS樹脂に較べて帯電防止持続効果を飛躍的
に向上させたものであり、電気・電子分野、家電分野な
どに幅広く使用されている。しかしながら、使用用途に
よっては、安全性の面から難燃化が要求されるととも
に、日光や蛍光灯によって変色し難い、すなわち耐光性
に優れた材料が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、特定のポリマー成分
および難燃剤を用いることにより、難燃性、帯電防止
性、耐光性、耐衝撃性および成形品表面外観に優れた難
燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ポリア
ミドエラストマー5〜50重量%、(b)ゴム状重合体
の存在下または非存在下に芳香族ビニル化合物および必
要に応じてシアン化ビニル化合物を共重合してなる熱可
塑性樹脂30〜94重量%、ならびに(c)ゴム状重合
体の存在下または非存在下に芳香族ビニル化合物および
必要に応じてシアン化ビニル化合物を共重合するにあた
り、官能基を含むビニル化合物(以下「官能基含有ビニ
ル化合物」ということがある)の少なくとも1種を共重
合してなる熱可塑性樹脂1〜20重量%〔ただし、
(a)+(b)+(c)=100重量%〕の合計量10
0重量部に対し、(d)ハロゲン化エポキシオリゴマー
および/またはハロゲン化エポキシポリマー(以下「ハ
ロゲン含有化合物」ということがある)3〜50重量部
を含有してなる難燃性樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0006】本発明の(a)ポリアミドエラストマーと
しては、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポ
リエーテルアミドエラストマーなどがあり、ハードセグ
メントとしての炭素数が6以上のアミノカルボン酸もし
くはラクタム、またはm+n≧12のナイロンmn塩
(X)、およびソフトセグメントとしてのポリオール、
具体的にはポリ(アルキレンオキシド)グリコール
(Y)から構成され、かつエラストマー中に占めるX成
分の比率が10〜95重量%、好ましくは20〜90重
量%、さらに好ましくは80〜90重量%のものを挙げ
ることができる。 (a)ポリアミドエラストマー中に占めるX成分の比率
が10重量%未満では、(b)〜(c)成分との相溶性
に劣り、一方95重量%を超えると帯電防止性に劣り好
ましくない。
【0007】前記炭素数6以上のアミノカルボン酸もし
くはラクタムまたはm+nが12≧のナイロンmn塩
(X)としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエ
ナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン
酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸;
カプロラクタム、ラウロラクタムなどのラクタム類;ナ
イロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、
ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン1
2,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナ
イロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
【0008】また、ポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ール(Y)としては、ポリエチレングリコール、ポリ
(1,2および1,3−プロピレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ
(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキ
シドとプロピレンオキシドとのブロックまたはランダム
共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの
ブロックまたはランダム共重合体などが挙げられる。こ
れらのグリコール(Y)の数平均分子量は、200〜
6,000、好ましくは250〜4,000である。こ
れらのグリコール(Y)のなかでも、帯電防止性が優れ
ている点で、特にポリエチレングリコールが好ましく用
いられる。なお、本発明では、ポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコール(Y)の両末端を、アミノ化またはカル
ボキシル化してもよい。前記(X)成分と(Y)成分と
の結合は、(Y)成分の末端基に対応してエステル結合
またはアミド結合が考えられる。
【0009】この結合の際に、ジカルボン酸やジアミン
などの第3成分を用いることができる。このジカルボン
酸としては、炭素数4〜20のものであり、例えばテレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,
6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン
酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウ
ムなどの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などの脂環族
ジカルボン酸、およびコハク酸、シュウ酸、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸など、ならびにこれらの混合物が挙げられ、
特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン
ジカルボン酸が、重合性、色調、および物性の点から好
ましく用いられる。
【0010】また、ジアミンとしては、芳香族、脂環族
または脂肪族ジアミンが用いられる。具体的には、芳香
族ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フ
ェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジア
ミノジフェニルメタンなどが、脂環族ジアミンとして
は、ピペラジン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、シ
クロヘキシルジアミンなどが、脂肪族ジアミンとして
は、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロ
ピレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの炭素数
2〜12のものが挙げられる。これらのジアミンのう
ち、好ましいものは、ヘキサメチレンジアミンである。
(a)ポリアミドエラストマーの合成法は特に制限され
ないが、例えば特公昭56−45419号公報、特開昭
55−133424号公報などにおいて開示されている
方法を採用することができる。
【0011】なお、(a)ポリアミドエラストマーの還
元粘度ηsp/C(ギ酸溶液中、0.5g/100ml、
25℃で測定)の好ましい範囲は、0.5〜2である。
また、本発明の組成物製造時および/または成形加工時
に熱劣化によって分子量低下を起こす場合があるので、
最終製品中の(a)成分の還元粘度ηsp/Cは、0.3
以上であることが好ましい。以上の(a)ポリアミドエ
ラストマーは、1種または2種以上で使用される。
(a)ポリアミドエラストマーの含有量は、(a)〜
(c)成分中に5〜50重量%、好ましくは5〜30重
量%、さらに好ましくは7〜25重量%である。(a)
成分が5重量%未満では、帯電防止性能が劣り、一方5
0重量%を超えると、成形品表面外観が劣るので好まし
くない。
【0012】次に、本発明の(b)成分は、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル化合物および必要に応じてシ
アン化ビニル化合物を主体とする単量体成分を共重合し
て得られるグラフト系の熱可塑性樹脂(グラフト体)で
あっても、ゴム状重合体の非存在下に該単量体成分を共
重合して得られる共重合体(マトリックス体)であって
も、さらにはこれらのブレンド物であってもよい。
【0013】ここで、(b)成分に使用される(a)ゴ
ム状重合体としては、例えばポリブタジエン、ポリイソ
プレン、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量
5〜60重量%が好ましい)、スチレン−イソプレン共
重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチ
レン−α−オレフィン系共重合体、エチレン−α−オレ
フィン−ポリエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン
−アクリル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重
合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノ
マーなどが挙げられる。また、スチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合
体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジカルテレ
ブロック型の構造を有するものなどが含まれる。さら
に、水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合
体の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−
ブタジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、
ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量
%以下のブロックと、1,2−ビニル結合含量が20重
量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の
水素化物などが含まれる。これらのゴム状重合体は、1
種単独でまたは2種以上で使用される。
【0014】次に、(b)成分を構成する単量体成分
は、芳香族ビニル化合物および必要に応じてシアン化ビ
ニル化合物を主体とし、これにさらに共重合可能な他の
ビニル化合物が含まれる。この(b)成分を構成する芳
香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビ
ニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−
ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、ビニ
ルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、
モノブロムスチレン、フルオロスチレン、エチルスチレ
ン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、特にスチレン、
α−メチルスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル
化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して用いら
れる。
【0015】また、(b)成分を構成するシアン化ビニ
ル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リルなどが挙げられる。単量体成分中の芳香族ビニル化
合物/シアン化ビニル化合物(重量比)は、通常、85
/15〜60/40である。
【0016】また、(b)成分を構成する単量体成分中
には、30重量%以下の他のビニル化合物を併用するこ
とができる。この他のビニル化合物としては、メチルア
クリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレー
ト、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ド
デシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェ
ニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリ
ル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、
オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタ
クリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメ
タクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリ
ル酸エステル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N
−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミドなどのα−またはβ−不飽和ジカルボン酸の
イミド化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなど
の不飽和カルボン酸アミドなどが挙げられる。これらの
その他のビニル化合物は、1種単独であるいは2種以上
を併用することができる。
【0017】(b)熱可塑性樹脂のメチルエチルケトン
可溶分の固有粘度(メチルエチルケトンを溶媒として3
0℃で測定)は、好ましくは0.3〜1.5dl/gで
ある。この固有粘度が0.3dl/g未満では耐疲労性
が劣り、一方1.5dl/gを超えると帯電防止性、耐
疲労性が劣る。この固有粘度は、連鎖移動剤、重合時
間、重合温度などによって制御することができる。
(b)成分の使用量は、(a)〜(c)成分中に30〜
90重量%、好ましくは40〜90重量%、さらに好ま
しくは50〜85重量%である。(b)成分の使用量が
30重量%未満では、成形品表面外観が劣り、一方94
重量%を超えると、帯電防止性が劣る。
【0018】本発明に使用される(b)成分は、ゴム状
重合体がポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの場合に
は、乳化重合、溶液重合、バルク重合などを、またエチ
レン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役
ジエンゴム、スチレン−ブタジエンのブロック共重合
体、ジエン系ゴム状重合体の水素添加物などの場合に
は、溶液重合、バルク重合を用い、これに前記単量体成
分をグラフトすることにより得られる熱可塑性樹脂であ
ることが好ましい。
【0019】また、単量体成分のみから構成された
(b)熱可塑性樹脂を得るには、通常のよく知られた重
合法でよい。すなわち、乳化重合、懸濁重合、溶液重
合、バルク重合が用いられる。重合後の(b)成分は、
凝固、洗浄、脱溶などの回収工程を経て乾燥後、粉体ま
たは粒体とする。
【0020】なお、(b)成分がゴム状重合体の存在下
に単量体成分を重合して得られるもの(グラフト体)で
ある場合、メチルエチルケトン可溶分の含有率は、好ま
しく45〜85重量%以上、さらに好ましくは50〜8
5重量%である。また、(b)成分がグラフト体である
場合、そのグラフト率は、通常、20〜200重量%、
好ましくは30〜150重量%である。このグラフト率
が20重量%未満、または200重量%を超えると、耐
衝撃性が低くなる傾向にあり好ましくない。ここで、グ
ラフト率とは、グラフトのゴム量に対し、ゴム状重合体
に直接グラフト結合している共重合体成分の割合をい
う。このグラフト率は、重合開始剤量、重合温度などに
よって制御することができる。
【0021】このグラフト率の具体的な求め方は、まず
グラフト体2gを室温のメチルエチルケトンに投入し、
充分攪拌し、不溶解分(w)を求める。一方、不溶解分
(w)中のゴム状重合体量は、重合処方をもとに算出す
ることができる。この算出されたゴム状重合体量をRと
し、次式よりグラフト率を求める。 グラフト率(重量%)=〔(w−R)/R〕×100
【0022】次に、本発明の(c)成分は、ゴム状重合
体の存在下に芳香族ビニル化合物、および必要に応じて
使用されるシアン化ビニル化合物、ならびに官能基を含
むビニル化合物の少なくとも1種を主体とする単量体成
分を共重合して得られるグラフト系の熱可塑性樹脂(グ
ラフト体)であっても、ゴム状重合体の非存在下に該単
量体成分を共重合して得られる共重合体(マトリックス
体)であっても、さらにはこれらのブレンド物であって
もよい。本発明の(c)成分に使用される芳香族ビニル
化合物、シアン化ビニル化合物、および必要に応じて使
用される他のビニル化合物は、(b)成分に使用される
ものと同様の構成である。
【0023】ところで、本発明の(c)成分に使用され
る官能基含有ビニル化合物としては、エポキシ基含有ビ
ニル化合物、アミノ基含有ビニル化合物、カルボキシル
基含有ビニル化合物、ヒドロキシル基含有ビニル化合
物、オキサゾリン基含有ビニル化合物、酸無水物基含有
ビニル化合物などが挙げられる。これらの官能基含有ビ
ニル化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビ
ニル化合物、アクリルアミン、メタクリル酸アミノエチ
ル、メタクリルアミノプロピル、アミノスチレンなどの
アミノ基含有化合物、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物、3−ヒ
ドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテ
ン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4
−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロ
キシル基含有ビニル化合物、ビニルオキサゾリンなどの
オキサゾリン基含有ビニル化合物、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸
などの酸無水物基含有ビニル化合物などが挙げられる。
【0024】これらの官能基含有ビニル化合物の好まし
い官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、
酸無水物基、エポキシ基であり、さらに好ましくはカル
ボキシル基、ヒドロキシル基、酸無水物基であり、特に
好ましくはヒドロキシル基である。(c)成分中におけ
る官能基含有ビニル化合物の使用量は、単量体成分中に
0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%程度で
ある。上記官能基含有ビニル化合物を共重合しなかった
場合、耐衝撃性が劣るとともに、射出成形品の剥離がひ
どくなり実用的でない。なお、好ましい(c)成分とし
ては、耐衝撃性および電気特性の面から、ゴム状重合体
の非存在下に単量体成分を共重合したものである。ま
た、(c)成分は、官能基含有ビニル化合物を使用する
以外は、(b)成分と同様の構成であるのでその他の記
載は省略する。
【0025】本発明の組成物中における(c)成分の使
用量は、(a)〜(c)成分中に1〜20重量%、好ま
しくは3〜15重量%、さらに好ましくは3〜10重量
%である。(c)成分の使用量が1重量%未満では、耐
衝撃性、成形品表面外観が劣り、一方20重量%を超え
ると、帯電防止性、成形品表面外観が劣る。なお、本発
明の組成物中におけるゴム状重合体の使用量は、耐衝撃
性の面から、(a)〜(c)成分中に3〜40重量%、
さらに好ましくは4〜30重量%である。ゴム状重合体
が3量%未満では、耐衝撃性が劣り、一方40重量%を
超えると、剛性および耐疲労性が劣る場合がある。次
に、本発明の組成物に使用される(d)ハロゲン化エポ
キシオリゴマーおよび/またはハロゲン化エポキシポリ
マーとしては、一般式(I)
【0026】
【化1】
【0027】で表され、軟化点が好ましくは112〜1
23℃、さらに好ましくは112〜200℃、重量平均
分子量が好ましくは500〜30,000、さらに好ま
しくは500〜6,000、特に好ましくは1,000
〜5,000、臭素原子および/または塩素原子含有量
が45〜60重量%、好ましくは47〜58重量%であ
るハロゲン含有化合物である。(d)成分としては、好
ましくは一般式(I)におけるR1 とR2
【0028】
【化2】
【0029】であり、またXおよびYが臭素原子であ
る。前記一般式(I)で表される(d)成分の一般的な
説明については、例えば特開昭61−241322号公
報などにおいて詳述されている。本発明で使用される
(d)成分は、公知のハロゲン含有化合物のうちから、
特に軟化点、重量平均分子量、臭素原子および/または
塩素原子含有量を特定したことにより、耐熱性、実用成
形性、耐衝撃性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることが
できる。
【0030】(d)成分の軟化点が112℃未満では、
目的とする耐熱性が得られず、一方230℃を超えると
耐衝撃強度が低下する。また、(d)成分の重量平均分
子量が500未満では、成形加工時の熱安定性が不良で
あり、一方30,000を超えると、樹脂成分への分散
性が悪く耐衝撃強度が低下する。さらに、(d)成分の
臭素原子および/または塩素原子含有量が45重量%未
満では、目的とする難燃性を得るためには添加量を多く
する必要があり、必然的に衝撃強度が低下し、一方60
重量%を超えると、成形加工時の熱安定性、耐光性が低
下する。(d)成分の使用量は、(a)〜(c)成分の
合計量100重量部に対し、3〜50重量部、好ましく
は5〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部で
ある。(d)成分が3重量部未満では、難燃効果がみら
れず、一方50重量%を超えると耐衝撃性が劣り好まし
くない。
【0031】本発明は、以上の(a)〜(d)成分を主
成分とするが、そのほか性能を向上させる目的から、ガ
ラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、ワラス
トナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、
マイカ、ガラスフレーク、カオリン、硫酸バリウム、黒
鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウ
ィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充填材を
1種単独であるいは併用することができる。これらの充
填材のうち、ガラス繊維、炭素繊維の形状としては、6
〜60μmの繊維径と30μm以上の繊維長を有するも
のが好ましい。これらの充填材は、本発明の組成物10
0重量部に対して、通常、5〜150重量部の範囲で用
いられる。
【0032】また、本発明の組成物には、公知の難燃
剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤な
どの添加物を配合することができる。さらに、本発明の
組成物には、要求される性能に応じて、他の重合体、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマ
ー、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体などを適宜ブレンドすることができる。さらに、本
発明の組成物には、難燃性をさらに高めるために、公知
の難燃助剤として、酸化アンチモン、塩素化ポリエチレ
ンなどを添加することもできる。
【0033】本発明の組成物は、各種押し出し機、バン
バリーミキサー、ニーダー、ロールなどを用い、各成分
を混練りすることによって得られる。好ましい製造方法
は、押し出し機を用いる方法である。また、各成分を混
練りするに際して、各成分を一括して混練りしてもよ
く、多段添加方式で混練りしてもよい。このようにして
得られる本発明の難燃性樹脂組成物は、射出成形、シー
ト押し出し、真空成形、異形成形、発泡成形などによっ
て各種成形品に成形することができる。上記成形法によ
って得られる各種成形品は、その優れた性質を利用し
て、家電製品の各種ハウジング、電気・電子分野、自動
車分野の各種部品、ハウジング、雑貨などに使用するこ
とができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断ら
ない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価
は、次のようにして測定した値である。帯電防止性 直径100mm、厚さ2mmの円板を成形し、23℃×
相対湿度50%で7日間、状態調節したのち、横河ヒュ
ーレット・パッカード社製、4329A型超絶縁抵抗計
を用いて、表面固有抵抗を測定した。耐衝撃性 ASTM D256に従い、厚み1/8″、ノッチ付き
23℃で測定した。
【0035】耐光性 キャノンウエザーオーメーターを用い、耐光性試験30
0時間(ブラックパネル温度63℃、雨なし)後の色差
(ΔE)を下式により算出した。 ΔE=√〔(L0 −L)2 +(a0 −a)2 +(b0 −b)2 〕 (式中、L0 、a0 、b0 は、耐光試験前の試験片の明
度、赤色度、黄色度を示し、L、a、bは、耐光試験後
の試験片の明度、赤色度、黄色度を示す。)耐光試験
は、ΔEが小さいほど良好であると判定する。難燃性 UL−94 Vテストに準拠し、厚み1/16″で測定
した。成形品表面外観 シリンダー設定温度250℃でピンポイントゲートの成
形品をショートショットで10ショット成形したのち、
フルショットで成形した。フルショットで成形した成形
品の表面外観を下記の評価基準で目視評価した。熱安定
性の劣る材料は、ショートショットの時点で、金型内に
材料より発生したガスが付着し、フルショットした時点
で金型内の付着物が成形品に転写し、成形品が曇ってく
る。 ○;光沢があり良好 ×;成形品に付着物が多いまたは光沢が低い。
【0036】実施例1〜15、比較例1〜7重合体(a)−1〜(a)−4〔本発明の(a)成分〕
の調製 ε−カプロラクタムの開環重縮合で、ナイロン6の重合
体ブロックを得たのち、アジピン酸で両末端をカルボン
酸にしたのち、ポリエチレングリコールを添加重合し、
ポリアミドエラストマーである重合体(a)−1を得
た。重合体(a)−1のポリアミド成分とポリエチレン
グリコール成分の比は、約50/50%であり、ギ酸を
用い、25℃、濃度0.5g/100mlで測定した還
元粘度は、1.50であった。また、DSC(示差熱分
析)で測定したポリアミドの融点は、205℃であっ
た。
【0037】重合体(a)−1と同様の方法で、下記の
重合体を得た。すなわち、重合体(a)−2は、重合体
(a)−1の重合時間を短くして還元粘度1.00にし
たエラストマーである。重合体(a)−3は、重合体
(a)−1からポリアミド/ポリエチレングリコール=
40/60%に変更したエラストマーである。重合体
(a)−4は、重合体(a)−1で使用したポリエチレ
ングリコールの25%をポリテトラメチレングリコール
に置き換えて重合して得られたエラストマーである。重合体(b)−1〜(b)−8〔本発明の(b)成分〕
の調製 本発明の(b)成分の製造に用いるゴム状重合体とし
て、表1のゴム状重合体を用いた。
【0038】
【表1】
【0039】重合体(b)−1〜(b)−8の製造 重合体(b)−1〜(b)−5は、前記ゴム状重合体の
存在下に、表2に示す組成の単量体成分を重合して得た
ものである(グラフト体)。このうち、重合体(b)−
1、(b)−5は、乳化重合で、また重合体(b)−2
〜4は、溶液重合で得た。また、重合体(b)−6〜
(b)−8は、ゴム質重合体の非存在下で溶液重合で得
たものである(マトリックス体)。重合体(c)−1〜(c)−3〔本発明の(c)成分〕
の調製 表2に示す仕込み組成で、単量体成分を溶液重合し、重
合体(c)−1〜(c)−3を得た。
【0040】
【表2】
【0041】*1)スチレン *2)アクリロニトリル(d)成分の調製 (d)−1 テトラブロモビスフェノールAとエピクロルヒドリンの
重合で得られた重量平均分子量1,600のもの。 (d)−2 (d)−1と同様にして得られた重量平均分子量5,0
00のもの (d)−3 テトラブロモビスフェノールA (d)−3 デカブロモジフェニルエーテル
【0042】組成物の調製 前記各重合体を、水分量0.1%以下に乾燥し、表3の
配合処方で混合し、グレー系の顔料を加え、ベント付き
二軸押し出し機を用いて溶融混練りし、ペレット化し
た。得られたペレットを、除湿乾燥機で水分量0.1%
以下まで乾燥し、射出成形により帯電防止性、耐光性、
難燃性、耐衝撃性および成形品表面外観測定用の試験片
を成形し、前記の評価方法で評価した。結果を表4に示
す。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】表3〜4から明らかなように、実施例1〜
15は、本発明の難燃性樹脂組成物に関するものであ
り、いずれも難燃性、帯電防止性、耐光性、耐衝撃性お
よび成形表面外観に優れている。これに対し、比較例1
は、本発明の(d)成分である難燃剤の種類が本発明の
範囲外のものであり、耐光性および成形品表面外観が劣
る。比較例2は、比較例1とは異なる種類の本発明の範
囲外の難燃剤を使用した例であり、耐光性が劣る。比較
例3は、本発明の(a)成分の使用量が本発明の範囲外
で少ない例であり、電気特性が劣る。比較例4は、本発
明の(a)成分の使用量が本発明の範囲外で多い場合で
あり、成形品表面外観が劣る。比較例5は、本発明の
(c)成分の使用量が本発明の範囲外で多いものであ
り、電気特性、成形品表面外観が劣る。比較例6は、本
発明の(c)成分の使用量が本発明の範囲外で少ない場
合であり、耐衝撃性および成形品表面外観が劣る。比較
例7は、本発明の(d)成分の使用量が本発明の範囲外
で少ない場合であり、難燃化効果が少ない。
【0046】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、帯電防止
性、耐光性、難燃性、耐衝撃性および成形品表面外観に
優れたものである。従って、本発明の組成物は、ホコリ
の付着性または静電気防止ならびに耐光特性が要求され
る電気・電子関連分野、家電分野、OA機器分野の各種
部品、ハウジングなどに有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古山 建樹 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリアミドエラストマー5〜50
    重量%、(b)ゴム状重合体の存在下または非存在下に
    芳香族ビニル化合物および必要に応じてシアン化ビニル
    化合物を共重合してなる熱可塑性樹脂30〜94重量
    %、ならびに(c)ゴム状重合体の存在下または非存在
    下に芳香族ビニル化合物および必要に応じてシアン化ビ
    ニル化合物を共重合するにあたり、官能基を含むビニル
    化合物の少なくとも1種を共重合してなる熱可塑性樹脂
    1〜20重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)=1
    00重量%〕の合計量100重量部に対し、(d)ハロ
    ゲン化エポキシオリゴマーおよび/またはハロゲン化エ
    ポキシポリマー3〜50重量部を含有してなる難燃性樹
    脂組成物。
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