JPH05331314A - 耐熱性樹脂摺動材 - Google Patents

耐熱性樹脂摺動材

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JPH05331314A
JPH05331314A JP14262592A JP14262592A JPH05331314A JP H05331314 A JPH05331314 A JP H05331314A JP 14262592 A JP14262592 A JP 14262592A JP 14262592 A JP14262592 A JP 14262592A JP H05331314 A JPH05331314 A JP H05331314A
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heat
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Mitsuru Tanaka
満 田中
Noboru Umemoto
昇 梅本
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耐熱性樹脂摺動材を、常温もしく
は高温で使用した際、または長時間連続摺動の条件でも
摩擦係数が低く安定し、比較的硬質の摺動相手材に対し
て、充分な耐摩耗性を有すると共に、この相手材を損傷
させないものとする。 【構成】 ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂等の耐熱性樹脂40〜95重量%と、フェノール
樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂等の樹脂系球状粒子
を不活性雰囲気または真空下で焼成して得られる平均粒
径3〜40μmの球状グラファイト5〜60重量%とを
配合した組成物を所要形状に成形した耐熱性樹脂摺動材
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ブレーキシュー、ク
ラッチ板等の一般摺動材、または超音波モータ等の精密
機器用の摺動材としても使用可能な汎用の耐熱性樹脂摺
動材に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】一般に、摺動材は、高
速高負荷時に相手材に熱劣化した結合材が移着するなど
の現象を起こし易く、摩擦係数が不安定となるために、
以下に述べるような種々の改良が加えられている。
【0003】すなわち、結合材として芳香族ポリイミド
樹脂を使用して耐熱性を高め、これに各種無機充填材を
加えた摩擦材料が知られている(特開昭60−1443
63号公報等)、またアスベスト繊維の人体への影響を
考慮して、ポリイミド樹脂にチタン酸カリウム繊維もし
くは加工鉱物繊維または両者併用したものと鉄分とを配
合した摩擦材料が知られている(特開昭59−2079
80号公報等)。これらの摩擦材から造ったブレーキ材
は、高速高負荷下において優れた耐摩耗性能を有してい
るが、摺動時間による摩擦面の温度変化あるいは雰囲気
の温度変化に対する制動の安定性、すなわち摩擦係数の
温度安定性が必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】耐熱性樹脂に添加する充填材としては、こ
の他にガラス繊維等の無機繊維類、芳香族ポリアミド繊
維、芳香族ポリエステル繊維等の耐熱性有機繊維類が知
られているが、前者の無機繊維を採用した摺動材は、程
度の差はあるものの比較的硬質の金属をも損傷する。一
方、後者の耐熱性有機繊維を配合した摺動材は、相手材
の損傷性は低いが、機械加工性が悪いことに起因して表
面平滑性が劣り、摩擦係数が経時により変化し易いとい
う問題点がある。
【0005】一方、繊維状の充填材ではなく、フッ素樹
脂および炭酸カルシウムを添加した熱可塑性ポリイミド
系摩擦材が知られている(特開平3−205451号公
報)が、相手材が比較的硬い材料の場合に耐摩耗性が著
しく悪くなり、その摩耗粉の影響で摩擦係数が安定しな
い欠点を有している。
【0006】また、合成樹脂やゴムの耐摩耗性改良材と
して知られる球状グラファイトは、熱硬化性樹脂等の樹
脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成し、
炭素化または黒鉛化して得られる。しかし、このもの
は、黒鉛化する際に球状粒子から発生した熱分解ガスが
析出し、ロッド状の生成物となって球状グラファイト表
面に多数付着している。そのため、樹脂系球状粒子から
得た黒鉛質の球状グラファイトは真球性が悪く、さらに
その粒度分布も非常に幅があった。また、ピッチを加熱
焼成していく過程で生成する球状結晶を大量のタール油
中で、キノリン等の溶剤で洗浄することによって製造さ
れるメソカーボンマイクロビーズをさらに焼成すること
によって得られる球状グラファイトは、焼成の際に不規
則に収縮するため、得られる球状グラファイトの真球性
が著しく低下し、その粒度分布も非常に広くなる。この
ような真球性が悪く粒度分布も非常に幅のある球状グラ
ファイトを、耐熱性樹脂に添加しても摩擦係数の安定性
が悪く、耐摩耗性も劣るという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記したよ
うな問題点を解決し、耐熱性樹脂摺動材を常温もしくは
例えば150℃といった高温での使用時にまたは長時間
の連続摺動条件下でも、摩擦係数が安定して低く、また
ビッカース硬さHv800〜1200といった比較的硬
質の相手材に対しても充分な耐摩耗性を有しており、し
かも相手材を損傷しないものとすることを課題としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、耐熱性樹脂40〜95重量%
と、樹脂系球状粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼
成して得られる平均粒径3〜40μmの球状グラファイ
ト5〜60重量%とを配合した組成物からなる耐熱性樹
脂摺動材としたのである。
【0009】また、前記耐熱性樹脂が、ポリイミド樹
脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー、
ポリエーテルニトリル樹脂および芳香族ポリエーテルケ
トン樹脂からなる群の中から選ばれる1種以上の樹脂で
あってよく、前記樹脂系球状粒子が、フェノール樹脂、
ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニル
ベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
からなる群の中から選ばれる1種以上の化合物である構
成を採用することもできる。以下、その詳細を述べる。
【0010】上記したポリイミド樹脂としては、熱可塑
性、熱硬化性、非熱溶融性などの特性のあるポリイミド
樹脂であっても良く、たとえば下記の〔化1〕または
〔化2〕の式で示されるくり返し単位からなるポリイミ
ド樹脂が挙げられる。これらは、耐熱性、摩擦特性、耐
摩耗性などに優れたものである。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】上記〔化1〕の式で示されるポリイミド樹
脂(以下、PI−1と略記する)は、ビフェニルテトラ
カルボン酸を主成分とするテトラカルボン酸成分と、ジ
アミノジフェニルエーテルやパラフェニレンジアミンを
主成分とする芳香族ジアミン成分とを重合およびイミド
化して得られ、市販のものでは宇部興産社製「ユピモー
ルR」、「ユピモールS」などを例示することができ
る。
【0014】また上記〔化2〕の式で示されるポリイミ
ド樹脂(以下、PI−2と略記する)は、その材料が下
記〔化3〕の式で表される4,4’−ビス(3−アミノ
フェノキシ)ビフェニルと、ピロメリット酸二無水物と
を反応させることによってポリアミド酸を生成させ、そ
のポリアミド酸を脱水環化して得ることができ、熱可塑
性を有するものである。このようなポリイミド樹脂とし
ては、三井東圧化学社製「New TPI」などを例示
することができる。
【0015】
【化3】
【0016】この発明におけるポリフェニレンサルファ
イド樹脂(以下、PPS樹脂という)は、下記〔化4〕
で示される合成樹脂である。
【0017】
【化4】
【0018】これらのうち、特に典型的なものは下記
〔化5〕で示されるものであり、市販のトープレン社
製;T−4などであってよい。
【0019】
【化5】
【0020】また、これらPPSの一般的な製造方法
は、N−メチルピロリドン溶媒中、160〜250℃、
加圧条件下にp−ジクロルベンゼンと二硫化ソーダとを
反応させることによる。このようにすると、樹脂中に交
差結合が全くないものから部分的交差結合を有するもの
に至るまで各種重合度のものを後熱処理工程にかけて自
由に製造することができるので、目的の溶媒ブレンドに
適正な溶融粘度特性を有するものを任意に選択使用する
ことが可能である。また、この発明においては、架橋構
造をとらない直鎖状PPS樹脂も使用できる。
【0021】この発明に用いる液晶ポリマーは、溶融時
に光学的異方性を示す熱可塑性溶融可能なポリマーであ
る。このように溶融時に光学的異方性を示すポリマー
は、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をと
る性質を有している。光学的異方性溶融時の性質は、直
交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確認でき
る。
【0022】上記の液晶ポリマーは、一般に細長く、偏
平で、分子の長鎖に沿って剛性が高く、同軸または平行
のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有してい
るようなモノマーから製造される。このような液晶ポリ
マーには、一つの高分子類の一部が異方性溶融相を形成
するポリマーのセグメントで構成され、残りの部分が異
方性溶融相を形成しない熱可塑性樹脂のセグメントから
構成されるポリマーも含まれる。また、複数の液晶ポリ
マーを複合したものであってよい。
【0023】このような液晶ポリマーのうち、下記〔化
6〕の式で示されるオキシベンゾイル基をモノマー単位
として含む重合体または共重合体は、耐熱性が特に高い
ので、この発明の摺動材の原材料としてより好ましい。
さらに好ましくは、オキシベンゾイル基を含む全芳香族
ポリエステルである。
【0024】
【化6】
【0025】全芳香族ポリエステルは、芳香族カルボン
酸と芳香族アルコールとから実質的に得られるポリエス
テルを一般に指すが、この発明に用いる全芳香族ポリエ
ステルとしては、前述の異方性溶融相を形成しないセグ
メント部分が、脂肪族、脂環族の酸またはアルコールに
よるエステルで構成されるものでもよい。さらに、ポリ
エステルそれ自体または異方性溶融相を形成するセグメ
ントにおいて、これらが異方性溶融相を形成する限り、
それらが脂肪族あるいは脂環族の酸またはアルコールと
のエステルからなるものであってよい。
【0026】具体的な全芳香族ポリエステルとしては、
下記〔化7〕の(I)〜(III )でそれぞれ示されるよ
うな芳香族カルボン酸と芳香族アルコールの構造単位の
組合せからなるものであってよい。
【0027】
【化7】
【0028】この発明に用いるポリエーテルニトリル樹
脂は、下記〔化8〕で示される繰り返し単位からなるも
の、またはこのような繰り返し単位と共に、下記〔化
9〕の式で示される繰り返し単位を20モル%以下の割
合で共存させた重合体である。
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】このようなポリエーテルニトリル樹脂は、
P−クロルフェノールを溶媒とする0.2g/dl濃度
溶液の60℃における還元粘度(ηsp/c)を0.3
dl/g以上とすることが好ましい。このような条件を
満足するポリエーテルニトリル樹脂としては、たとえば
出光興産社製、ポリエーテルニトリル:ID300が挙
げられる。なお、ポリエーテルニトリルの製造は、特開
昭63−3059号公報等に開示された従来公知の手法
を採用できる。
【0032】さらにこの発明における芳香族ポリエーテ
ルケトン樹脂は、たとえば英国アイ・シー・アイ社から
ビクトレックスの登録商標名で市販されている重合体で
あり、耐熱性、耐燃性、機械的強度などに優れた諸特性
を有し、下記〔化10〕で示す繰り返し構造をもった樹
脂(以下これをPEEKと略記する)である。
【0033】
【化10】
【0034】次にこの発明における球状グラファイト
は、均一な粒径を持ち、かつ平均粒径が3〜40μmで
あり、真球性の良いものが好ましく、フェノール樹脂、
ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニル
ベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体
のうちの少なくとも一種を出発材料としている球状グラ
ファイトが好ましい。このような球状グラファイトの製
造方法は、これらの原料から公知のエマルジョン重合法
などによって調整し、さらにこの球状粒子を窒素ガス、
アルゴンガス等の不活性雰囲気下または真空下で焼成す
る事によって炭素化および/または黒鉛化して球状グラ
ファイトを得るものである。
【0035】このような球状グラファイトとしては、た
とえば日本カーボン社からカーボンマイクロビーズの登
録商標名で市販されている球状グラファイトであってよ
く、このものは、均一な粒径、表面平滑、高硬度など優
れた諸特性を有する。また、この発明においては平均粒
径が3〜40μmのものが好ましく、5〜30μmのも
のがより好ましい。なぜなら、3μm未満の小径では、
配合した摺動材の摩擦係数が安定せず、耐摩耗性も劣る
ものとなる。また、40μmを越える大径では摺動材の
摩擦係数を安定させることができず、好ましくないから
である。このような球状グラファイトの添加量は5〜6
0重量%が好ましい。なぜなら、5重量%よりも少なく
場合は摺動特性に劣り、60重量%よりも多い場合は耐
摩耗性や機械的特性に劣るからである。
【0036】また、この発明の効果を損なわない限り各
種の充填材を添加することもできる。このような充填材
として、アラミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリ
エーテルサルフォン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、耐熱
性ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、シリコー
ン樹脂、フッ素樹脂などの有機質耐熱性分子材料を始め
とし、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属もし
くはその酸化物などの熱伝導改良用無機粉末、ガラスビ
ーズ、シリカバルーン、珪藻土、石綿、炭酸マグネシウ
ム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム等の無機質粉末、二硫化モリブデ
ン、カーボン、マイカ、タルク、三酸化モリブデン等の
潤滑性向上用無機質粉末、及び酸化鉄、硫化カドミウ
ム、セレン化カドミウム、カーボンブラック等の無機質
顔料、シリコーンオイル、エステルオイル、フッ素オイ
ル、ポリフェニレンエーテルオイル、ワックス、ステア
リン酸亜鉛等の内部潤滑的添加剤など数多くのものを例
示することができる。
【0037】以上述べた耐熱性樹脂と球状グラファイト
及びその他添加剤などの混合方法は特に限定されるもの
ではなく、PI−1の場合、従来から広く行われている
充填剤入り非熱可塑性ポリイミド樹脂の通常の成形条件
で成形すればよく、たとえばタンブラーミキサー、ヘン
シェルミキサー等の混合機によってポリイミド樹脂と充
填剤を乾式混合し、これを金型に入れて300〜150
0kg/cm2 の圧力と320〜380℃の熱を加えて
加熱加圧成形する方法、その他加熱加圧しながらラム押
出し機による連続成形方法などのいずれであっもよい。
【0038】その他の耐熱性樹脂(PI−2など)の場
合の混合方法は、特に限定されるものではなく、原料を
個別に溶融混合機に供給してもよいし、あらかじめヘン
シェルミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の
混合機を用いて乾式混合した後に、熱ロール、ニーダ、
バンバリーミキサー、スクリュー押出し機などで溶融混
合し、この段階で成形材料としてペレット状にしてもよ
い。成形方法も、圧縮成形、焼結成形等を適用し得るこ
とはもちろんであるが、本発明においては、均一溶融ブ
レンド体を形成し、生産性の高い射出成形もしくは押出
し成形を行うことができる。
【0039】また、PI−1、PI−2の成形品の耐熱
性、機械的特性、摺動特性などを向上させる目的で、成
形後更に250〜350℃の温度で2〜10時間の熱処
理を施してもよい。
【0040】
【作用】この発明の耐熱性樹脂摺動材に充填される球状
グラファイトは、不活性雰囲気下または真空下にて熱分
解ガスが析出することなく焼成されたもので、その形状
は真球に近く、粒度分布も比較的揃ったものである。そ
して、耐熱性樹脂摺動材は、このような球状グラファイ
トを所定粒径として所定割合配合したので、比較的硬質
の相手材に対して耐摩耗性を有すると共に、これを損傷
することがなく、また摺動時の温度条件や摺動時間によ
る影響を受け難く、安定した低摩擦係数の高性能摺動材
となる。
【0041】
【実施例】以下、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。まず、実施例及び比較例に用いられた諸原材料
を一括して示すと次のとおりである。
【0042】(1)熱可塑性ポリイミド樹脂(化2の式
で表わされるもの:PI−2) 三井東圧化学社製:New TPI 450 (2)非熱可塑性ポリイミド樹脂(化1の式で表わされ
るもの:PI−1) 宇部興産社製:ユーピレックスRタイプ (3)ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS) トープレン社製:T−4 AG (4)液晶ポリマー 日本石油化学社製:ザイダーSRT300 (5)ポリエーテルニトリル樹脂(PEN) 出光興産社製:ポリエーテルニトリル ID300 (6)芳香族ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEE
K) アイ・シー・アイ社製:ビクトレックスPEEK150
P (7)球状グラファイト (日本カーボン社製:カーボンマイクロビーズ ICB
−1020 フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレ
ン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニル
ベンゼン共重合体のうちの少なくとも一種を出発材料と
し、これらの原料から公知のエマルジョン重合法などに
よって調整し、さらにこの球状粒子を窒素ガス、アルゴ
ンガス等の不活性雰囲気下または真空下で焼成する事に
よって炭素化および/または黒鉛化して得られるもの。
均一な粒径を有することを特徴とする。コールターカウ
ンター法による平均粒径:13.0μm、粒度分布:6
〜20μm) (8)カーボンファイバー 呉羽化学社製:M207S (9)りん片状グラファイト ロンザ社製:KS06 (10)球状グラファイト 大阪ガス社製:メソカーボンマイクロビーズ (コールタールもしくはコールタールピッチを350〜
500℃に加熱することにより、低分子物が重合反応し
生成された球状グラファイトを分離精製したものであ
る。コールターカウンター法による平均粒径:6.6μ
m、粒度分布:0.5〜13μm) 〔実施例1〜9、比較例1〜3〕原材料(1)〜(1
0)を表1に示す割合で混合し、それぞれの耐熱性樹脂
に適当な成形法にて試験片を製造した。具体的には、P
I−1を用いる場合は、これをヘンシェルミキサーで乾
式混合し、金型に入れて所定の加熱・加圧条件で熱圧成
形し、さらに切削加工を施して試験片を得た。また、P
I−2その他の耐熱性樹脂の場合は、これをヘンシェル
ミキサーで乾式混合した後、スクリュー押出し機で溶融
混合し、一旦ペレット状とし、そして適当な温度および
圧力条件で射出成形し、さらに切削加工を施して試験片
を得た。
【0043】得られた試験片を用いて以下に示す試験を
行ない、その結果を表1中に併記した。
【0044】(1)摩擦係数 相手材を加熱できるスラスト型摩擦・摩耗試験機を用
い、荷重5kg/cm2、滑り速度毎分50m、相手材
はSUJ2の摺動面にタングステンカーバイトとコバル
トの混合物を溶射したもの(ビッカース硬度Hv=12
00)または、ニッケル系化合物を溶射したもの(ビッ
カース硬度Hv=800)、無潤滑、連続運転の条件下
で、摺動時間(試験時間)15分の時は相手材無加熱
(室温)の時を摩擦係数を、また摺動時間120分の時
は相手材無加熱および加熱(150℃)した時の摩擦係
数を求めた。
【0045】(2)摩耗係数 摩擦係数の測定と同じ試験機を使用して、荷重5kg/
cm2 、滑り速度毎分50m、相手材はSUJ2の摺動
面にタングステンカーバイトとコバルトの混合物を溶射
したもの(ビッカース硬度Hv=1200)または、ニ
ッケル系化合物を溶射したもの(ビッカース硬度Hv=
800)、無潤滑、連続運転の条件下で、摺動時間(試
験時間)100時間(連続運転)の条件下で、相手材無
加熱(室温)の時の摩耗試験の結果から求めた。また、
摩耗試験終了後の相手材を損傷度合いを調べ、下記の判
定を行った。
【0046】○……相手材を全く損傷しない △……相手材を少し損傷する ×……相手材をかなり損傷する
【0047】
【表1】
【0048】表1の結果から明らかなように、比較例1
は摩擦係数が高く摩耗係数も著しく劣り、また相手材を
損傷した。また、リン片状グラファイトを添加した比較
例2は、摩擦係数が低すぎて摩耗係数も劣っていた。均
一な粒径でなく、かつピッチを出発原料とした球状グラ
ファイトを添加した比較例3は、相手材を損傷しない
が、摩擦係数が低く耐摩耗性に劣っていた。
【0049】これに対して、実施例1〜9に示した球状
グラファイトを添加した耐熱性樹脂摩擦材はいずれも
耐摩耗性に優れ、適度に大きな摩擦係数を示すととも
に、摺動時間および相手材加熱による温度変化に対して
も安定した摩擦係数を示し、更には長時間摺動させても
相手材を損傷させることはなかった。
【0050】
【効果】この発明は、以上説明したように、耐熱性樹脂
に粒度分布の揃った真球に近い所定粒径の球状グラファ
イトを所定割合で配合したので、耐熱性樹脂摺動材とし
て常温もしくは高温で使用した際、または長時間連続摺
動の条件でも摩擦係数が低く安定し、比較的硬質の摺動
相手材に対して、充分な耐摩耗性を有すると共に、この
相手材を損傷させないという利点がある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 107:46 107:32 103:02) Z 9159−4H C10N 20:00 A 8217−4H 20:06 Z 8217−4H 30:06 40:02 50:08 70:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性樹脂40〜95重量%と、樹脂系
    球状粒子を不活性雰囲気下または真空下で焼成して得ら
    れる平均粒径3〜40μmの球状グラファイト5〜60
    重量%とを配合した組成物からなる耐熱性樹脂摺動材。
  2. 【請求項2】 前記耐熱性樹脂が、ポリイミド樹脂、ポ
    リフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマー、ポリエ
    ーテルニトリル樹脂および芳香族ポリエーテルケトン樹
    脂からなる群の中から選ばれる1種以上の樹脂である請
    求項1記載の耐熱性樹脂摺動材。
  3. 【請求項3】 前記樹脂系球状粒子が、フェノール樹
    脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビ
    ニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重
    合体からなる群の中から選ばれる1種以上の化合物であ
    る請求項1記載の耐熱性樹脂摺動材。
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