JPH0532784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の分野〕 本考案は超音波素子を断続的に駆動することに
よつて物体を検知する反射型の超音波センサに関
するものである。

〔従来技術とその問題点〕

（従来技術） 従来超音波スイツチとしては所定間隔毎に一定
方向に超音波を発振し、その反射波を受波するよ
うにした反射型の超音波スイツチが知られてい
る。このような超音波スイツチは、超音波素子を
所定時間駆動し、その後超音波素子を受信用素子
として使用して反射波信号によつて物体の有無を
検出するようにしている。

そして超音波素子の駆動後受波信号を検出する
時間を一定の時間に限定することによつて物体の
検出範囲を規定するようにした超音波スイツチで
は、第４図に示すように超音波スイツチ１の前方
の所定範囲を検知ゾーンDIとして設定すると、
その範囲内の物体２は検出するがそれより近い位
置に存在する物体３は検出されない。しかしなが
ら検知物体によつては超音波が超音波スイツチと
物体との間を往復して超音波スイツチに与えられ
る、いわゆる多重反射が起こることがある。この
ような場合には検知ゲートを開放している間に受
波信号が伝えられる恐れがあり、誤つて検知ゾー
ンDIに物体が存在するものとして検知信号を出
力してしまうことがあるという欠点があつた。

そこでこのような多重反射をなくするために例
えば第５図に示されているように、超音波スイツ
チ１のケース前面の超音波素子４が取付けられる
部分の開口を除く全面に反射波信号を吸収する吸
音材５を取付け、これによつて多重反射を防止す
るようにした超音波スイツチが提案されている
（実開昭61−189288号参照）。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながらこのように超音波スイツチの前面
に吸音材等の部材を設ける場合には、超音波スイ
ツチの構造が複雑になり組立作業性が低下すると
いう欠点があつた。又吸音材等の部材が必要とな
るため価格が上昇するという問題点もあつた。更
に検出物体の形状によつては反射波を十分吸収で
きず、多重反射を完全に防止することができない
という欠点もあつた。

〔考案の目的〕

本考案はこのような従来の超音波スイツチ等の
超音波センサの問題点に鑑みてなされたものであ
つて、複雑な構造を用いることなく多重反射によ
る誤動作を防止できるようにすることを技術的課
題とする。

〔考案の構成と効果〕

（問題点を解決するための手段） 本考案は超音波送波手段と、所定時間毎に超音
波送波手段を駆動して超音波を送波するための送
波ゲート信号を発生する送波ゲート発生手段と、
検知物体で反射した反射波を受波し受波信号を出
力する超音波受波手段と、送波ゲート信号の起動
時点から所定時間経過後に所定の検知時間幅の検
知ゲート信号を発生する検知ゲート発生手段と、
送波ゲート信号の立上り時以降から検知ゲート信
号の立上るまでの間、禁止ゲート信号を発生する
禁止ゲート発生手段と、受波信号検知ゲート信
号、禁止ゲート信号が入力され、禁止ゲート信号
入力期間中に受波信号が得られずに該禁止ゲート
信号に引き続く検知ゲート信号入力期間中に受波
信号が得られた場合に検知信号を出力する信号処
理手段と、を具備することを特徴とするものであ
る。

（作用） このような特徴を有する本考案によれば、送波
ゲート発生手段の送波ゲート信号に基づいて超音
波送波手段を断続框に駆動している。そして駆動
後の物体までの距離によつて反射波が受波される
時間が定まることとなる。従つて検知ゲート信号
が発生するまでの時間と、その時間隔とによつて
検知領域が限定される。この反射波は超音波受波
手段によつて受波される。そして送波ゲート信号
発生後、検知ゲート信号の発生までに禁止ゲート
信号を発生させ、この間に信号が得られれば引き
続く検知ゲート信号の入力期間中に受波信号が得
られても検知信号を出力しない。一方禁止ゲート
信号の入力期間中に受波信号が得られず、検知ゲ
ート時間に受波信号が得られた場合に検知信号を
出力している。こうすれば超音波センサと検知領
域の中間の位置に物体があつて多重反射する場合
の誤動作が未然に防止できることとなる。

（考案の効果） そのため本考案によれば超音波センサの前面に
吸音材等を設ける必要がなく、センサの構造を簡
単にすることができる。従つて組立作業性が向上
するためその価格を低減することができる。又超
音波スイツチの取付場所や検出物体の形状にかか
わらず確実に多重反射を防止することができると
いう効果が得られる。

〔実施例の説明〕

第１図は本考案の一実施例による超音波スイツ
チの構成を示すブロツク図である。本図において
送波ゲート発生回路１１は所定のタイミングで超
音波素子を駆動する送波ゲート信号を発生するも
のであつて、その出力は禁止ゲート発生回路１
２，抑圧ゲート発生回路１３及びセンサ駆動電圧
発生回路１４と駆動回路１５及び増幅回路１６に
与えられている。センサ駆動電圧発生回路１４は
送波ゲート信号のタイミング毎に入力端に与えら
れる数十ボルトの電圧を駆動回路１５に与えるも
のである。駆動回路１５はこれらのタイミング信
号に基づいて超音波送波手段及び超音波受波手段
である超音波素子１７を駆動するものである。超
音波素子１７の一端は又増幅回路１６にも与えら
れる。増幅回路１６は送波ゲート発生回路１１よ
り与えられる送波のタイミング期間を除いて超音
波素子１７から得られる超音波信号を増幅するも
のであり、その出力を検波回路１８に与える。検
波回路１８は受波した超音波を検波して包絡線信
号を得るものであつて、その出力は比較回路１９
に与えられている。禁止ゲート発生回路１２は送
波ゲート発生回路１１の出力によつてトリガさ
れ、使用者が定める物体検知を開始するまでの期
間、即ち後述する検知ゲート信号の立上り時点ま
での時間幅の禁止ゲート信号を発生するものであ
つて、その出力は検知ゲート発生回路２０及び信
号処理回路２１に与えられる。検知ゲート発生回
路２０は使用者が定める検知範囲に対応して、送
波ゲート信号の起動時点から所定時間経過後に所
定の時間幅の検知ゲート信号を出力するものであ
つて、その出力は信号処理回路２１に与えられ
る。又抑圧ゲート発生回路１３は駆動直後に一定
時間の不感帯を設けるべく信号処理回路２１に信
号を与えるものである。信号処理回路２１はこれ
らのゲート信号に基づいて必要な受信範囲のゲー
ト信号を得ると共に、後述するように禁止ゲート
信号の間の受波によつて多重反射による誤動作を
防止するように構成されており、比較回路１９か
らの信号を識別して物体検知信号を出力するもの
であつて、その出力は出力回路２２及び表示素子
である発光ダイオード（LED）２４を点灯する
LED点灯回路２３に接続されている。

次に本実施例の信号処理回路２１の構成につい
て第２図を参照しつつ説明する。比較回路１９は
例えば第２図に示すように、抵抗により分圧され
た所定の基準電圧が反転入力端子に与えられ非反
転入力端子には検波回路１８からの出力が与えら
れた演算増幅器１９ａによつて構成され所定閾値
レベル以上の信号を弁別するものであつて、その
出力は信号処理回路２１を構成する２つのＤ型フ
リツプフロツプ３０，３１のクロツク入力端に与
えられている。信号処理回路２１のフリツプフロ
ツプ３０，３１のＤ入力端には夫々図示のように
検知ゲート発生回路１９及び禁止ゲート発生回路
１２のゲート信号が与えられる。又抑圧ゲート発
生回路１３の出力は夫々のフリツプフロツプのク
リア入力端に接続されている。フリツプフロツプ
３０は検知ゲート信号の時間帯内で比較回路１９
からの閾値レベルを越える信号の有無を検出する
ものであり、フリツプフロツプ３１は禁止ゲート
の時間帯内で比較回路１９からの信号の有無を検
出するものである。フリツプフロツプ３０のＱ出
力及びフリツプフロツプ３１の出力はアンド回
路３２に与えられる。アンド回路３２はこれらの
論理積によつて物体の有無を検出するものであ
り、その出力は前述した出力回路２２とLED点
灯回路２３に与えられている。

次に本実施例の超音波スイツチの動作について
第３図のタイムチヤートを参照しつつ説明する。
第３図ａは送波ゲート発生回路１１より発生する
送波ゲート信号であり、その出力に基づいて駆動
回路１５より超音波素子１７が駆動され第３図ｅ
に示すような超音波振動電圧が発生する。そして
超音波素子１７の駆動後は一定の残響が残りその
レベルが徐々に低下するため、増幅回路１６より
第３図ｆに示すような波形が得られる。この受波
信号は検波回路１８によつて検波されて比較回路
１９に与えられる。又送波ゲート信号は押圧ゲー
ト発生回路１３にも与えられ、第３図ｂに示すよ
うに送波ゲート終了後所定時間の抑圧ゲート信号
が発生する。抑圧ゲート信号は信号処理回路２１
の２つのフリツプフロツプ３０，３１のクリア入
力端に与えられ、これらのフリツプフロツプがク
リアされる。そして第４図に示すように物体２が
禁止ゲート発生回路１２及び検知ゲート発生回路
２０で定められる検知ゾーンDIに位置する場合
には、送波後の時間t₁に物体２からの反射波信号
が得られる。この場合は受波信号が検知ゲートの
範囲内にあるので、フリツプフロツプ３０のＤ入
力端に信号が与えられているため第３図ｈに示す
ようにフリツプフロツプ３０がセツトされる。こ
のときフリツプフロツプ３１はリセツト状態で
出力がアンド回路３２に与えられているため、第
３図ｊに示すようにアンド回路３２の出力は
“Ｈ”レベルとなつて物体検知信号を出力するこ
とができる。

しかし第４図に示すように検知ゾーンDIと超
音波スイツチの中間に物体３が存在し超音波スイ
ツチ１との間で多重反射が起こる場合には、禁止
ゲートが開放している時刻t₂に物体３からの検知
信号が与えられ、同一の物体３からの多重反射に
よつて検知ゲートが開放する時刻t₃にも反射波信
号が与えられる。このような場合には第３図ｉに
示すようにフリツプフロツプ３１のＤ入力端が
“Ｈ”レベルとなる時刻t₂にフリツプフロツプ３
１がセツトされるため、アンド回路３２の一方の
入力端“Ｌ”レベルに固定される。従つて第３図
ｈ，ｊに示すようにその後の時刻t₃に物体３から
の２度めの反射波を受波し、フリツプフロツプ３
０がセツトされても論理積条件は成立せず、物体
検知信号を出力することはない。そして次の送波
ゲートが駆動される時間帯にはフリツプフロツプ
３０，３１はリセツトされるため、元の状態に復
帰する。このような動作によつて多重反射を識別
して検知ゾーンDI内の物体２のみを検出するこ
とができる。

尚本実施例は信号処理回路に２つのフリツプフ
ロツプを用いて禁止ゲートの時間内に受波信号が
与えられたときに検知ゲートの期間での検知を停
止するようにしているが、抑圧ゲートの終了後検
知ゲートが開放するまでの間のみの受波信号をＤ
型フリツプフロツプ等を用いて識別し、その出力
によつてゲート回路を閉成するようにすれば１つ
のフリツプフロツプで信号処理回路を構成するこ
とも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による超音波スイツ
チの全体構成を示すブロツク図、第２図は本実施
例の信号処理回路を示す回路図、第３図は本実施
例の動作を示すタイムチヤート、第４図は超音波
スイツチと検知物体を示す概略図、第５図は従来
の超音波スイツチの一例を示す分解斜視図であ
る。 １１……送波ゲート発生回路、１２……禁止ゲ
ート発生回路、１３……抑圧ゲート発生回路、１
７……超音波素子、１８……検波回路、１９……
比較回路、２０……検知ゲート発生回路、２１…
…信号処理回路、３０，３１……フリツプフロツ
プ、３２……ゲート回路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 超音波送波手段と、 所定時間毎に前記超音波送波手段を駆動して超
   音波を送波するための送波ゲート信号を発生する
   送波ゲート発生手段と、 検知物体で反射した反射波を受波し受波信号を
   出力する超音波受波手段と、 前記送波ゲート信号の起動時点から所定時間経
   過後に所定の検知時間幅の検知ゲート信号を発生
   する検知ゲート発生手段と、 前記送波ゲート信号の立上り時以降から前記検
   知ゲート信号の立上るまでの間、禁止ゲート信号
   を発生する禁止ゲート発生手段と、 前記受波信号、前記検知ゲート信号、前記禁止
   ゲート信号が入力され、前記禁止ゲート信号入力
   期間中に前記受波信号が得られずに該禁止ゲート
   信号に引き続く検知ゲート信号入力期間中に受波
   信号が得られた場合に検知信号を出力する信号処
   理手段と、を具備することを特徴とする超音波セ
   ンサ。