JPH0532707A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JPH0532707A
JPH0532707A JP18790291A JP18790291A JPH0532707A JP H0532707 A JPH0532707 A JP H0532707A JP 18790291 A JP18790291 A JP 18790291A JP 18790291 A JP18790291 A JP 18790291A JP H0532707 A JPH0532707 A JP H0532707A
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JP
Japan
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vinyl chloride
polymerization
polypropylene oxide
resin
monomer
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JP18790291A
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English (en)
Inventor
Noriki Fujii
紀希 藤井
Yukio Shibazaki
行雄 柴崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲル化性能、可塑剤吸収性、有機溶剤に対す
る溶解性などを低下させることなく、重合時多量のスケ
ールが発生しない塩化ビニル系樹脂の製造法。 【構成】 塩化ビニルモノマー、または塩化ビニルモノ
マーとこれと共重合し得る他のモノマーとを、水媒体中
において、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネートなどの油溶性ラジカル開始剤の存在下、ポリプロ
ピレンオキサイドオレイルエーテルなどのポリプロピレ
ンオキサイドを主体とする、HLBが0〜4の界面活性
剤を用いて懸濁重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、懸濁重合法による塩
化ビニル系樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、その機械的強度や
耐水性、耐薬品性などに優れており、パイプ、板などの
成形材料として用いられたり、また、溶剤に溶解してイ
ンキビヒクル、塗料、接着剤、磁気記録体用結着剤とし
て用いられている。
【0003】ところで、塩化ビニル系樹脂の重合法とし
て、乳化重合法や溶液重合法があるが、前者の乳化重合
法では塩析、濾過などの煩瑣な処理が必要であると共
に、得られた樹脂は超微粉で取扱い難いという問題があ
り、後者の溶液重合法では、メタノール、酢酸エチル、
トルエンなどの溶剤が大量使用されるため、コスト高と
なり、安全性の面からも問題があった。そのため、生産
性の面から、また、比較的不純物を含まないこと、など
の理由で、水を分散媒とする懸濁重合法によって製造さ
れることが多い。
【0004】ところで、水懸濁重合法による場合には、
分散剤として、部分ケン化ポリビニルアルコール或いは
セルロース誘導体などのいわゆる高分子分散剤を使用す
るのが一般的であった。
【0005】しかし、これらの高分子分散剤を使用した
場合、重合体の粒子表面が高分子分散剤を主体とした強
固な皮膜で覆われていることが走査型電子顕微鏡で観察
されている。そして、この皮膜の存在が、成形時の樹脂
のゲル化不足や可塑剤吸収性の悪化をもたらし、また、
有機溶剤に溶解したときの不溶解成分の要因となるなど
の問題があった。
【0006】上記問題を解決する方法として、特開昭6
0−228508号公報、特公昭52−27678号公
報、特公昭60−50204号公報などには、水懸濁重
合法において高分子分散剤を使用する代わりに、界面活
性剤を使用することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、界面活性剤を
使用すると、重合の際に多量のスケールが発生し、これ
が重合槽の壁面に付着し、スケール除去作業を必要とす
るといった生産上の問題があった。
【0008】この発明は、上記の点に鑑み、ゲル化性
能、可塑剤吸収性、有機溶剤に対する溶解性などを低下
させることなく、重合時多量のスケールが発生しない水
懸濁重合法による塩化ビニル系樹脂の製造法を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明者は、上記の点
を考慮して種々検討した結果、塩化ビニルモノマー、ま
たは、塩化ビニルモノマーとこれと共重合し得る他のモ
ノマーとを水媒体中において油溶性ラジカル開始剤の存
在下で懸濁重合するに当たり、分散安定剤としてHLB
が0〜4のポリプロピレンオキサイドを主成分とする界
面活性剤を用いれば、ゲル化性能、可塑剤吸収性、有機
溶剤に対する溶解性などを低下させることなく、スケー
ルの発生を抑制できることを知見し、この発明を完成し
た。
【0010】この発明において、塩化ビニルモノマーと
共重合し得る他のモノマーとしては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン類、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、イソ
ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、フェニ
ルエーテル、などのビニルエーテル類、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸エステル類、塩化ビニリデン、フッ化ビ
ニルなどのハロゲン化ビニル類、マレイン酸ジメチル、
フマル酸ジメチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル
類、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ドなどのN−置換マレイミド類、アクリル酸、メタクリ
ル酸、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチル
エステル、フタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエ
チルエステル、マレイン酸n−ブチルモノエステル、マ
レイン酸、フマール酸などのカルボキシル含有モノマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホニ
ックアシッド、ソディウムメタアクリルスルホネートな
どのスルホン酸基またはスルホン酸塩基含有モノマー、
アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシ
ッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ク
ロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリ
レートなどの燐酸基含有モノマー、2−ヒドロキシ−3
−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチル
アンモニウムクロライド、トリメチル−3−メタクリル
アミド−プロピルアンモニウムクロライドなどの四級ア
ンモニウムクロライド含有モノマー、ジメチルアミノ
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど
のアミノ基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)
アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル−2−ア
クリロイルオキシフタレートなどの(メタ)アクリル酸
と多価アルコールの反応物、N−メチロール(メタ)ア
クリルアミドなどの(メタ)アクリル酸系アミドなどの
水酸基含有ビニルである。これらのモノマーは目的とす
る用途により二種類以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0011】なお、前記した塩化ビニルモノマーと共重
合可能なたのモノマーのうち、(メタ)アクリル酸と多
価アルコールの反応物、N−メチロール(メタ)アクリ
ルアミドなどの(メタ)アクリル酸系アミドなどの水酸
基含有ビニルモノマーは、反応性二重結合と水酸基を有
しており、このモノマーと塩化ビニルモノマーとの共重
合体である塩化ビニル系樹脂は、特にアセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
などの環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの
酢酸エステル類及びこれらの有機溶剤とトルエンとの混
合溶剤などの溶剤に対する溶解性に優れているので塗
料、接着剤、磁気記録体用結着剤などの用途に特に好適
に使用される。
【0012】塩化ビニルモノマーと共重合し得る他のモ
ノマーの添加量は、目的とする用途により異なる。特に
有機溶剤に溶解して用いる用途に用いる場合には、この
モノマーの量が少なくなると得られた樹脂の有機溶剤に
対する溶解性が低下し、粘度が高くなりすぎ、多すぎる
と得られる塩化ビニル系樹脂が本来有する機械的強度が
失われ、塗膜としたときの膜強度が失われる。従って、
塩化ビニルモノマーが60〜99重量%であって、これ
と共重合するモノマーは40〜1重量%とされるのが好
ましく、より好ましくは塩化ビニルモノマーが70〜9
5重量%であって、これと共重合するモノマーは30〜
5重量%である。
【0013】油溶性ラジカル開始剤としては、特に限定
されるものでなく、従来の塩化ビニルの重合に使用され
ているものが使用できる。例えば、アゾビスイソブチロ
ニトリル、ジメチルアゾビスバレロニトリルなどのアゾ
ビス系のもの、或いは、ラウロイルパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−2−エチル
ヘキシルパーオキシジカルボネート、ジ−3−メトキシ
ブチルパーオキシカーボネート、ジイソプロピルパーオ
キシジカーボネートなどの有機過酸化物系のものがあげ
られる。
【0014】これらの油溶性ラジカル開始剤は単独で使
用されるてもよいし、二種以上が併用されてもよい。ま
た、その添加量は、重合条件により適宜決定されるが、
一般に塩化ビニルモノマー及びその他のモノマーの合計
量100重量部に対して0.01〜3重量部であるのが
好ましく、より好ましくは0.1〜1重量部である。
0.01重量部未満であると、収率が悪くなり、また、
3重量部を超すと重合温度が上がり易く重合器内の圧力
が必要以上に上昇するからである。
【0015】この発明において用いられる分散安定剤
は、HLBが0〜4のポリプロピレンオキサイドを主成
分とする界面活性剤である。親水性、親油性を表すHL
Bが0未満であるか逆に4を超すとスケール付着量が増
加しこの発明の目的を達成しないので、HLBが0〜4
であることが必要である。
【0016】そして、ポリプロピレンオキサイド単位の
含有量が80重量部以上、好ましく90重量部以上であ
って、分子量が3000〜100000、より好ましく
は5000〜50000のものが好適に用いられる。
【0017】このような界面活性剤を具体的に列記する
と、ポリプロピレンオキサイドノニルフェニルエーテ
ル、ポリプロピレンオキサイドオクチルフェニルエーテ
ルなどのポリプロピレンオキサイドアルキルフェニルエ
ーテル類、ポリプロピレンオキサイドノニルアリルエー
テル、ポリプロピレンオキサイドドデシルアリルエーテ
ルなどのポリプロピレンオキサイドアルキルアリルエー
テル類、ポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル、
ポリプロピレンオキサイドラウリルエーテルなどのポリ
プロピレンオキサイドアルキルエーテル類、ポリプロピ
レンオキサイドオレイン酸エステル、ポリプロピレンオ
キサイドステアリン酸エステルなどのポリプロピレンオ
キサイドアルキルエステル類、ポリプロピレンオキサイ
ドソルビタンモノラウレート、ポリプロピレンオキサイ
ドソルビタンモノステアレートなどのポリプロピレンオ
キサイドソルビタンモノアルキレート類、ポリプロピレ
ンオキサイドラノリンアルコールエーテル、ポリプロピ
レンオキサイドラノリン脂肪酸エステル、ポリプロピレ
ンオキサイドアルキルアミンエーテル、ポリプロピレン
オキサイドとポリエチレンオキサイドとのランダム乃至
ブロックコポリマー、ポリプロピレンオキサイドなどが
あげられる。
【0018】これらの界面活性剤は単独で使用されても
よいし、二種以上が併用されてもよい。また、その添加
量は、重合の際使用される塩化ビニルモノマー(及びそ
の他のモノマーの合計量)100重量部に対して0.1
〜5重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.3
〜2重量部である。0.1重量部未満であると、樹脂粒
子がブロッキングし易く、5重量部を超すと、樹脂粒子
が微粉状態となり過ぎ、また残存界面活性剤が塗料など
の塗膜の耐水性を低下するので好ましくない。
【0019】なお、部分ケン化ポリビニルアルコールや
セルロースなどの公知の高分子分散剤を上記界面活性剤
に併用してもよい。ただし、界面活性剤の全使用量の3
0重量%以下の範囲とするのがよい。30重量%を超え
るとスケール発生量が多くなり好ましくないからであ
る。
【0020】ところで、このような塩化ビニル系樹脂
は、溶剤溶解時の粘度が低下しているのがよく、そのた
め重合度を低く抑えることが好ましい。重合度を低くす
るには、重合温度を上昇させて重合する方法があるが、
塩化ビニルモノマーの蒸気圧が高くなり、重合器の耐圧
強度を上げなければならないので、連鎖移動剤を重合の
際使用するのが好ましい。
【0021】このような連鎖移動剤としては従来から連
鎖移動剤として用いられているものが使用できる。例え
ば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール
などのチオエーテル類、ジクロルエチレン、トリクロロ
エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素のな
どのハロゲン化炭化水素があげられる。また、二種類以
上を併用できる。特にチオエーテル類が好適に使用され
る。
【0022】これらの連鎖移動剤の添加量は、塩化ビニ
ルまたは塩化ビニルとこれと共重合するモノマーの10
0重量部に対して通常0.05〜1重量部程度である。
0.05重量部未満であると重合度抑制効果が少なく、
1重量部を超えるとそれ以上添加しても重合度抑制に対
してそれほど効果がないからである。
【0023】そして、連鎖移動剤の添加方法としては、
重合初期から重合時間の1/3以上経過した期間にわた
って、2回以上に分割して添加する方法が採用される。
つまり、例えば連鎖移動剤を二回に分割して添加する場
合には、重合初期に第一回目の添加を行い、残りの第二
回目の添加は、重合時間の1/3経過以降とするのであ
る。
【0024】より好ましくは、微分割して添加回数を増
やし、重合時間の全域にわたって添加するのがよい。な
お、一回の添加量については特に制限されないが、分割
添加間隔中のモノマーの重合率に比例させるのが好まし
い。
【0025】発明における水懸濁重合方法としては、従
来の塩化ビニルの水懸濁重合の際に行われている任意の
方法が採用されてよい。例えば、重合器内に水、界面活
性剤及び油溶性ラジカル開始剤を供給し、減圧した後、
攪拌しながら塩化ビニルモノマー(及びその他のモノマ
ー)を圧入し、加熱する方法があげられる。
【0026】なお、塩化ビニルと共重合可能なモノマー
は、水と共に最初に供給してもよいし、塩化ビニルモノ
マーに溶解して塩化ビニルモノマーと共に圧入してもよ
い。また、塩化ビニルと共重合可能なモノマーが、塩化
ビニルより重合速度が早い場合には、重合初期から後期
にかけて分割添加したり、少量ずつ連続して添加するの
が好ましい。その方が均一な共重合体が得られるので好
ましい。
【0027】重合温度は通常40〜85℃とされ、重合
時間は通常2〜20時間とされる。なお、得られる塩化
ビニル系樹脂の重合度を調整するため、前記したとおり
メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタンなど
の連鎖移動剤を重合の際に添加するのが好ましい。
【0028】重合終了後、重合器から未反応の塩化ビニ
ルモノマーなどを除去した後、重合体スラリーを取り出
し、洗浄、脱水、乾燥などの処理を行って粒子状の塩化
ビニル系樹脂を得る。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。なお、
部とあるのは重量部を意味する。以下の実施例におい
て、各成分、不溶解成分及びスケール量の測定方法は次
のとおりとした。 (1)スケール付着率 重合後、重合スラリーを取り出した後、重合器を開放し
て、その内部に付着している重合スケールを取り出し、
乾燥して重量を測定した。この重量と先にスラリーとし
て取り出した樹脂の乾燥後の重量との比をスケール付着
率(%)〔=(スケール重量/(スラリー乾燥重量+ス
ケール重量)×100〕とする。 (2)塩化ビニル成分 酸素フラスコ燃焼法により塩素含有量を測定し塩化ビニ
ル成分量を求める。 (3)水酸基含有ビニル成分 無水酢酸とピリジンによる方法により水酸基含有ビニル
成分量を求める。 (4)窒素含有ビニル成分 元素分析装置(CHNコーダーMT−5、柳本製作所社
製)により窒素成分量を測定し窒素含有ビニル成分量を
求める。 (4)不溶解異物個数 得られた樹脂1gをメチルエチルケトンとトルエンの
1:1(重量比)混合溶剤99gに溶解し1重量%溶液
に調整し、溶液中微粒子測定装置(パーティカルカウン
ターKL−01、リオン社製)を用いて溶解溶液10m
l中における20μm以上の不溶解異物粒子数を測定
し、不溶解異物個数とする。 (実施例1)攪拌機の備えられたジャケット付25l耐
圧重合器に、イオン交換水133部、油溶性ラジカル開
始剤としてt−ブチルパーオキシジカーボネート0.0
5部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレ
イルエーテル1部を供給し、重合器を密閉して空気を排
除した後、塩化ビニルモノマー100部を圧入した。次
いで、攪拌しながら、58℃まで昇温し、重合器内の温
度が58℃に保持しながら懸濁重合を行った。
【0030】重合器内圧が降下を始めてから30分経過
してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却し、
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重
合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、
乾燥してポリ塩化ビニル(PVC)を得た。
【0031】得られたPVCは白色粉末状であり、この
粉末を走査型電子顕微鏡で2000倍に拡大して観察し
たところ粒子表面に皮膜層はなく、いわゆるスキンレス
の状態であった。
【0032】また、粘度平均重合度(JIS K672
1に準拠)及びスケール付着率は表1に示すとおりであ
った。 (実施例2〜6)界面活性剤の種類及び量を表1のとお
りとしたこと以外は、実施例1と同様に重合してPVC
を得た。
【0033】得られたPVCは白色粉末状であり、この
粉末を走査型電子顕微鏡で2000倍に拡大して観察し
たところ粒子表面に皮膜層はなく、いわゆるスキンレス
の状態であった。
【0034】また、このPVCのそれぞれについて実施
例1と同様に測定した結果は表1に示すとおりであっ
た。 (比較例1〜3)界面活性剤の種類及び量を表1のとお
りとしたこと以外は、実施例1と同様に重合してPVC
を得た。
【0035】このPVCのそれぞれについて実施例1と
同様に測定した結果は表1に示すとおりであった。
【0036】
【表1】
【0037】この結果から明らかなとおり、実施例1〜
6のポリ塩化ビニルは粒子表面に皮膜が見られず、重合
時にスケールの発生が少なく重合器内壁へのスケールの
付着もないものであった。これに対し、比較例にあって
は重合器内壁に大量のスケールが付着した。 (実施例7)攪拌機の備えられたジャケット付25l耐
圧重合器に、イオン交換水133部、油溶性ラジカル開
始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネ
ート0.18部、界面活性剤としてポリプロピレンオキ
サイドオレイルエーテル1.1部を供給し、重合器を密
閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー65部を
圧入し、次いで、塩化ビニル35部、2−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート11.5部からなる後添加組成物の
10重量%を圧入した。
【0038】攪拌しながら、80℃まで昇温し、重合器
内の温度が80℃に到達した直後から後添加組成物の残
部を120に分割し、2分毎に添加して懸濁重合を行っ
た。添加終了後5分経過してからジャケットに冷却水を
通して重合器を冷却し、冷却後、未反応の塩化ビニルモ
ノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これを
イオン交換水で洗浄し、乾燥して塩化ビニル系樹脂を得
た。
【0039】得られた樹脂は白色粉末状であり、そのモ
ノマー組成、粘度平均重合度(JIS K6721に準
拠)、不溶解異物個数及びスケール付着率は表1に示す
とおりであった。 (実施例8〜10)界面活性剤の種類及び量及び2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレートの量を表2に示すとおり
としたこと以外は、実施例7と同様に重合して塩化ビニ
ル系樹脂を得た。
【0040】この塩化ビニル系樹脂のそれぞれについ
て、実施例7の場合と同様の測定を行った。その結果は
表2に示すとおりであった。 (実施例11、12)界面活性剤の種類及び量及び塩化
ビニルモノマーと共重合するモノマーの種類を表2に示
すとおりとしたこと以外は、実施例7と同様に重合して
塩化ビニル系樹脂を得た。
【0041】この塩化ビニル系樹脂のそれぞれについ
て、実施例7の場合と同様の測定を行った。その結果は
表2に示すとおりであった。 (実施例13)界面活性剤としてポリプロピレンオキサ
イドポリエチレンオキサイドランダムポリマー0.18
部、塩化ビニルモノマーと共重合するモノマーとしてイ
ソブチルビニルエーテル30部を用い、これらと塩化ビ
ニルモノマー100部を一括仕込みとして分割添加しな
かったこと以外は、実施例7と同様にして塩化ビニル系
樹脂を得た。
【0042】この塩化ビニル系樹脂について、実施例7
の場合と同様の測定を行った。その結果は表2に示すと
おりであった。 (比較例4〜6)界面活性剤の種類及び塩化ビニルモノ
マーと共重合するモノマーの種類を表2に示すとおりと
したこと以外は、実施例7と同様に重合して塩化ビニル
系樹脂を 得た。
【0043】この塩化ビニル系樹脂のそれぞれについ
て、実施例7の場合と同様の測定を行った。その結果は
表2に示すとおりであった。 (比較例7)界面活性剤の代わりに水溶性高分子分散剤
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)0.9部を用
い、塩化ビニルモノマーと共重合するモノマーの種類を
表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例7と同様に
重合して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0044】この塩化ビニル系樹脂について、実施例7
の場合と同様の測定を行った。その結果は表2に示すと
おりであった。
【0045】
【表2】
【0046】この結果から明らかなとおり、実施例7〜
13においてはスケールの発生が少なく、重合器内壁へ
の付着が極めて少なく、また、得られた樹脂には不溶解
異物がないものであった。これに対し、発明の界面活性
剤を使用せず他の界面活性剤を用いた比較例4〜6にあ
っては不溶解異物はなかったものの重合器内壁に大量の
スケールが付着し、界面活性剤を使用せずに水溶性高分
子分散剤を用いた比較例7においては、スケールの付着
は比較的少ないものの、不溶解異物個数は極めて多かっ
た。 (実施例14)攪拌機の備えられたジャケット付25l
耐圧重合器に、イオン交換水133部、油溶性ラジカル
開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ネート0.18部及び界面活性剤としてポリプロピレン
オキサイドオレイルエーテル1.1部を供給し、重合器
を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー65
部を圧入し、次いで、塩化ビニルモノマー35部と2−
ヒドロキシルプロピルアクリレート11.5部、連鎖移
動剤としてメルカプトエタノール0.22部からなる後
添加組成物の10重量%を圧入した。攪拌しながら、8
0℃まで昇温し、重合器内の温度が80℃に達した直後
から、後添加組成物の残部を120に分け、2分毎に順
次添加して懸濁重合を行った。
【0047】添加終了後5分経過してからジャケットに
冷却水を通して重合器を冷却し、冷却後、未反応の塩化
ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出
し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して塩化ビニル
系樹脂を得た。
【0048】得られた樹脂は白色粉末状であり、そのモ
ノマー組成、粘度平均重合度(JIS K6721に準
拠)及びスケール付着率(%)は表3に示すとおりであ
った。 (実施例15)メルカプトエタノールの量を0.44部
としたこと以外は実施例14と同様に重合して塩化ビニ
ル系樹脂を得た。
【0049】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (実施例16)メルカプトエタノールを後添加組成物中
に混合せずに、仕込み時に0.11部、2時間後に0.
11部と二回に分割し添加したこと以外は実施例14と
同様に重合して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0050】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (実施例17)メルカプトエタノールの代わりにn−ド
デシルメルカプタンを使用したこと以外は実施例14と
同様に重合して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0051】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (実施例18)後添加組成物中にさらにN−シクロヘキ
シルマレイミドを10部添加したこと以外は実施例14
と同様に重合して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0052】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (実施例19)界面活性剤としてポリプロピレンオキサ
イドエーテルの代わりにポリエチレンラウリルエーテル
を使用したこと以外は実施例14と同様に重合して塩化
ビニル系樹脂を得た。
【0053】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3 に示すとおりであった。 (比較例8)連鎖移動剤を全く使用しないこと以外は実
施例14と同様に重合し、塩化ビニル系樹脂を得た。
【0054】この塩化ビニル系樹脂について、実施例1
4の場合と同様の測定を行った。その結果は表3に示す
とおりであった。 (比較例9)メルカプトエタノールを分割添加せずに仕
込時に一括添加したこと以外は実施例14と同様に重合
して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0055】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (比較例10)メルカプトエタノールの量を0.44部
として仕込時に一括添加したこと以外は比較例14と同
様に重合して塩化ビニル系樹脂を得た。
【0056】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。 (比較例11)ポリプロピレンオキサイドオレイルエー
テルの代わりにn−ドデシルベンゼンスルホン酸アトリ
ウムを使用したこと以外は実施例14と同様に重合して
塩化ビニル系樹脂を得た。
【0057】この樹脂について、実施例14の場合と同
様の測定を行った。その結果は表3に示すとおりであっ
た。
【0058】
【表3】
【0059】この結果から明らかなとおり、分散安定剤
としてHLBが0〜4のポリプロピレンオキサイドを主
成分とする界面活性剤を使用し、連鎖移動剤を分割添加
して懸濁重合したする実施例14〜19においては、ス
ケール付着率も少なく、低重合度の樹脂が得られ、有機
溶剤に溶解したときの粘度を低くすることが可能であ
る。これに対し、比較例においては重合度は高くなり所
望の低重合度の樹脂が得られなかった。
【0060】
【発明の効果】以上のとおり、この発明方法によれば、
重合時、スケールの発生を少なくすることができ、重合
器内壁へのスケールの付着がなく、重合生産上の障害が
なくなる。
【0061】また、得られた塩化ビニル系樹脂の粒子表
面には皮膜が形成されず、ゲル化性能、可塑剤吸収性、
有機溶剤に対する溶解性などを低下させるこがとない。
連鎖移動剤を分割添加する発明においては、塩化ビニル
系樹脂は、低重合度のものとすることができ、有機溶剤
に溶解したときの粘度が低下したものとなる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルモノマー、または塩化ビニル
    モノマーとこれと共重合し得る他のモノマーとを水媒体
    中において油溶性ラジカル開始剤の存在下で懸濁重合す
    るに当たり、分散安定剤としてHLBが0〜4のポリプ
    ロピレンオキサイドを主成分とする界面活性剤を用いる
    ことを特徴とする塩化ビニル系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 連鎖移動剤を、重合初期から少なくとも
    重合時間の1/3を経過した期間にわたって、2回以上
    に分割して添加することを特徴とする請求項1記載の塩
    化ビニル系樹脂の製造方法。
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