JPH0532450Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、陶器製や合成樹脂製の容器体に被着
される蓋に関するものである。

［従来の技術と解決しようとする課題］ 料理等の食品を収納する給食用その他の容器と
して、陶器製や合成樹脂製の容器体に料理した食
物を収納し、その上に合成樹脂発泡体製等の蓋を
被せるようにしたものがある。

例えば、航空機の機内食用の容器の場合、給食
メーカーにおいて、容器体に料理した食物を入れ
て蓋をし、これを５段程度に段積みした状態で段
ボール箱等の輸送箱に入れて、航空会社まで搬送
する。航空会社において、これを機内に持ち込ん
で他の食物や箸、ナイフ、フオーク等とともにト
レーに入れて配膳する。

従来のこの種容器の蓋は、通常周側板部を容器
体の開口端部外周に嵌合させるようにしている
が、周側板部は容器の寸法誤差等を考慮して一回
り大きめに形成されているのが普通である。その
ため上部の搬送過程においては振動等によつて蓋
が不用意に外れることがあつた。

この欠点を防止するために、特に側壁がテーパ
状をなす容器体や、開口端部にフランジを有する
容器体に被着する蓋において、その周側板部にア
ンダーカツトの内方への凸部を設け、この凸部を
開口端部外側に係合させるようにしたものもあ
る。しかし、このアンダーカツトの凸部について
は、容器体に対応する精度を出し難く、特に容器
体が陶器製等の場合は寸法精度がラフなものであ
るために、蓋と容器との組合せ精度を出し難いも
のとなつていた。

本考案は、上記に鑑みて、この種の容器の蓋と
して、搬送時における振動等による不用意な蓋の
外れを防止でき、しかも成形が簡単で製作容易な
容器を提供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、陶器製等の容器体に被着する蓋とし
て、特に上記の課題を解決するために、適度の弾
性を有しかつ腰のある合成樹脂発泡シートにより
容器体の側壁上部外側に嵌合する周側板部を含む
全体を一体に形成してなり、前記周側板部の下縁
における少なくとも対向する２個所に、ヒンジ部
を介して延成された係合突片を有するとともに、
この係合突片が、前記ヒンジ部で内側に折返され
て周側板部内面に溶着手段によりに固着され、容
器体の側壁上部に対して係合可能に設けられてな
ることを特徴とする。

［作用］ そして上記の構成よりなる本考案の蓋によれ
ば、周側板部の下縁より延成された係合突片が内
側に折返されて周側板部内面に固着されているた
め、この係合突片が周側板部内面より内方に突出
した形状をなす。しかも合成樹脂発泡シートを素
材とするもので材質的に適度の弾性を有するとと
もに、内方に突出した前記係合突片自体も適度の
弾性を有している。

そのため、蓋を容器体に対して被着する際は、
周側板部が容器体の開口端部の外側に嵌合するの
に伴つて、前記の係合突片の部分が開口端部の部
分で押されて係合突片が弾性変形するとともに、
周側板部がその弾性によつて外方へ押し広げられ
て弾力的に嵌合できる。殊に発泡シートの持つ弾
性により容器体の少々の寸法誤差を許容でき、ま
た開口端部にフランジを有する容器体に対しても
難なく弾力的に嵌合被着できる。

そして被着した状態においては、周側板部内面
より内方に突出している前記の係合突片が側壁上
部に係合した状態に保持され、容器体に対して蓋
が上方へ浮き上がろうとするのを防止できる。ま
た開口端部にフランジを有する容器体である場合
も、前記係合突片の先端が側壁上端のフランジに
係合し得る状態となり、前記蓋が上方へ変位して
も、前記係合突片がフランジに係合して蓋の浮き
上りが防止される。

そして、実際に蓋を取り外すときは、蓋を把持
して上方へ持ち上げるように力を加えると、係合
突片および周側板部が弾性力に抗して外方へ広が
つて、蓋を取り外すことができる。

さらに、合成樹脂発泡シートを素材とするもの
であるから、内側に折返した係合突片を周側板部
内面に対し加熱押圧による溶着手段により固着す
ることが問題なく可能となり、しかもこの溶着に
よつて周側板部下縁を補強できるとともに、係合
突片に適度の剛性を与えることができ、容器体側
壁に対する係合状態を良好に保持できる。

［実施例］ 次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。

第１図〜第４図の実施例において、１は陶器製
や合成樹脂製の容器体を示し、その側壁２が上拡
がりのテーパ状をなしている。

１０は容器体１に被着自在な本考案に係る蓋を
示し、ポリスチレン系樹脂その他の適度に弾性を
有しかつ適度に腰のある合成樹脂発泡シートによ
り一体に形成されている。

前記の蓋１０は、上方に膨出形成された上板部
１１の周縁に、容器体１の開口端部３上に載接す
る段部１２を介して開口端部３より一回り大きく
て側壁２上部に嵌合し得る周側板部１３が垂設さ
れている。この周側板部１３の下縁における少な
くとも対向する２個所、例えば一方の相対向辺部
の中央部等の相対向位置の２個所には、ヒンジ部
１４を介して延成された係合突片１５を有し、こ
の係合突片１５が、ヒンジ部１４で内側に折返さ
れて周側板部１３の内面に溶着手段によつて固着
され、容器体１の側壁２上部に係合できるように
なつている。１６は溶着による固着部を示す。

前記の係合突片１５は、発泡シートからのトリ
ミングおよび／または真空成形あるいはプレス成
形等の成形加工の際、第３図のように、周側板部
１３に断面Ｖ字溝状等のヒンジ部１４を介して係
合突片１５を一体に連成しておき、成形後に係合
突片１５を折曲して周側板部１３の内面に添接
し、溶着手段により固着すればよい。

適度に剛性がありかつ厚みのある発泡シートを
素材とすることから、ヒンジ部１４を図のように
２条に形成しておくのが望ましい。また前記２条
のヒンジ部１４の位置を適当に設定することによ
り、図のように周側板部１３の下部内面の反り返
り形状に対応させて、係合突片１５を斜め上方へ
の斜面状とすることができる。この場合、容器体
１に対する被着操作が行ない易い。発泡シートを
素材とするため、前記のヒンジ部１４を加熱押圧
により形成することにより、該ヒンジ部の強度が
高くなる。

また前記折返した係合突片１５を周側板部内面
に溶着手段により固着する際、係合突片側からの
加熱押圧によるのが外観上の体裁がよい。

この実施例において、蓋１０を容器体１の上方
より被着すると、周側板部１３が容器体１の開口
端部３の外側に嵌合するのに伴つて、その内面に
折返し固着された係合突片１５が開口端部３の部
分で押されて僅かに弾性変形するとともに、周側
板部１３が外方へ押し広げられて、弾力的に嵌合
被着できる〔第２図ａ〕。そして被着した状態に
おいては、前記の係合突片１５が容器体１の側壁
２上部に係合することとなり、蓋１０が上方へ変
位しようとするのを防止できる〔第２図ｂ〕。ま
た係合突片１５を周側板部１３内面に対し溶着手
段により固着したことにより、周側板部１３の下
縁を補強できるとともに、係合突片１５に適度の
剛性を与えることができ、容器体側壁２に対する
係合状態を良好に保持できる。

蓋１０を実際に取り外すときは、蓋１０を把持
して持ち上げるように力を加えると、前記係合突
片１５の部分が開口端部に押されて、周側板部１
３が弾性力に抗して広がり、蓋１０を難なく取り
外すことができる。

また容器体１の開口端部３の外周にフランジ４
を有する場合においても、第５図のように上記と
同様に容易に被着使用でき、この被着状態におい
て、係合突片１５がフランジ４に係合して、蓋１
０が妄りに外れることがない。そして蓋１０を把
持して上方に持ち上げるように力を加えると、前
記係合突片１５による係合力に抗して蓋１０を取
り外すことができる。

なお、本考案は容器体が平面略四角形をなすも
ののほか、平面略円形や楕円形、小判形あるいは
他の多角形等、任意の容器形状をなすものにおい
て、この容器体１に対応する蓋１０について上記
と同様にして実施できる。

また上記の係合突片１５は、必ずしも180°相対
向位置に設ける必要はなく、例えば第６図のよう
な平面略円形の蓋１０において、その周側板部１
３における周方向等間隔位置等の３個所あるいは
それ以上の個所に設けて実施できる。円形の蓋１
０の場合は、係合突片１５に相当する周側板部１
８の部分を平面状に形成して、周側板部１３の下
縁のヒンジ部１４を直線状にし、係合突片１５が
問題なく折返し固着できるようにしておく。

上記の蓋１０としては、ポリスチレン樹脂やス
チレンを主体とする共重合体その他のステレン系
樹脂、オレフイン系樹脂やポリ塩化ビニル樹脂の
押出し発泡成形された適度に腰があつてかつ適度
の弾性を有する合成樹脂発泡シートが用いられ
る。特に前記発泡シートの少なくとも片面に非発
泡の補強表皮層を形成したもの、また非発泡の樹
脂フイルムをラミネートした発泡シートを用いる
ことができる。

［考案の効果］ 上記したように本考案の容器の蓋にあつては、
容器体に対して容易に嵌合被着でき、また被着状
態にあつては嵌合突片が容器体の側壁上部に対し
係合状態に保持されるため、搬送その他の取り扱
い中における振動等による不用意な外れを防止で
きる。特に素材が適度に弾性を有する剛性樹脂発
泡シートよりなるものであるから、容器体が陶器
製であつて寸法的に少々ラフなものであつても許
容でき、しかも係合突片を周側板部内面に融着手
段により固着したことによる補強効果によつて、
係合突片はその容器体に対して所定の係合状態を
良好保持でき、蓋の不用意な外れを防止できるも
のである。

それゆえ給食用の容器や食品包装容器の蓋とし
ての役目を充分に果し、またこの蓋を使用した容
器の取り扱いを容易にする。

しかも蓋を取り外す場合には素材の持つ弾性力
に抗して力を加えることにより難なく取り外すこ
とができる。

また合成樹脂発泡シートを素材としているの
で、成形によつて一体形成できるとともに、係合
突片を周側板内面に対し融着手段により容易に固
着することができ、アンダーカツトの成形のよう
な複雑な成形型を必要とせず、製作容易にしてコ
スト安価に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の容器の蓋の実施例を示す、蓋
を容器体に被着した状態の縦断面図、第２図ａ，
ｂは容器体に対する蓋の被着前後の部分拡大断面
図、第３図は係合突片を固着する前の一部の端面
図、第４図は蓋と容器体とを分離した一部欠截斜
視図、第５図は他の実施例を示す容器体に被着し
た部分拡大断面図、第６図は他の実施例を示す斜
視図である。 １……容器体、２……側壁、３……開口端部、
４……フランジ、１０……蓋、１３……周側板
部、１４……ヒンジ部、１５……係合突片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器体の開口部に被着される蓋であつて、適度
   に弾性を有する合成樹脂発泡シートにより容器体
   の側壁上部外側に嵌合する周側板部を含む全体を
   一体に形成してなり、前記周側部の下縁における
   少なくとも対向する２個所に、ヒンジ部を介して
   延成された係合突片を有するとともに、この係合
   突片が、前記ヒンジ部で内側に折返されて、周側
   板部内面に溶着手段により固着され、容器体の側
   壁上部に対して係合可能に設けられてなることを
   特徴とする容器の蓋。