JPH0532127B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はワークロールにロールベンデイング装
置を備え、このワークロールを支持するバツクア
ツプロールを有する圧延機に関するものである。

〔発明の背景〕

近年圧延成品の品質に対する要求は増々強くな
りつつある。そして、圧延材の長手方向の厚み精
度は自動板厚制御（Automatic Gauge Control）
の発達によりかなりのところまで進歩している
が、圧延材の板幅方向の厚み精度（フラツトネ
ス）の向上手段として４段圧延機におけるワーク
ロールベンデイング法が開発された（例えば特公
昭47−42027号公報参照）が十分ではなかつた。
このためある程度の圧延材の形状悪化を容認する
か、あるいは圧延機の板幅に応じロールのイニシ
ヤルクラウンを変化したものを準備して対応させ
るかであるが、いずれにしても成品の品質低下や
圧延原単位の上昇につながるという大きな欠点が
あつた。

そこで、これ等の問題点の解決をする圧延機と
して作業ロールを圧延材の板幅に応じてロール軸
方向に移動調節することによつて、圧延材の板厚
不同を板幅がいろいろ変化しても合理的に解決し
得るものとして特公昭51−7635号公報に示される
構成の圧延機がある。この圧延機は、成品の板幅
方向の板厚み不同を無くすことにも貢献し得るも
のである。この特公昭51−7635号公報に示す圧延
機が実現するまでは、特にホツトストリツプミル
の場合、圧延材のエツジによりロールは偏摩耗を
生じ、同一幅材の圧延本数の制限を生じたり、ま
た、この偏摩耗のために成品板幅の広いものから
序々に製品板幅の狭い成品を圧延する方式（これ
をコフインスケジユールと称する）をとらざるを
得なかつた。しかしこれでは必要なときに必要な
成品幅材の圧延ができなく、しかも圧延素材並び
に圧延した製品の在庫が増幅せざるを得ないとい
う不具合が生じる。これは成品原単位を下げるた
めに大きな問題となるのである。そこで、特公昭
51−7635号公報に示された圧延機の如くワークロ
ールをロール軸方向にシフトすることを可能にす
ると、前述の問題は解決され、圧延材の板幅に制
約のないスケジユールフリーの圧延が可能にな
る。ところで、このワークロールがシフトする形
式の圧延機では、ロールバランスおよびロール形
状制御を行う油圧アクチユエータを従来の一般の
圧延機の如く、圧延機のハウジングに設けたプロ
ジエクトブロツクにより固定して設置する場合に
はハウジングのウインド内に突起を設けた構造と
なり、この場合にはバツクアツプロールのロール
組替に支障を来す。つまり、バツクアツプロール
を組替える際にはハウジング内の旧バツクアツプ
ロールを所定の垂直方向位置に来るよう昇降操作
させることが必要であり、そして所定の垂直方向
位置に到達させてから組替レール、組替台車から
構成されるロール組替装置を用いてロール軸方向
に前記バツクアツプロールを移送させることによ
つて旧ロールを抜き出し、次にこれらと逆の順序
によつて新しいバツクアツプロールを圧延機ハウ
ジング内に装着するものである。ところが、バツ
クアツプロールを垂直方向に昇降操作する場合に
ハウジングのウインド内に突出したプロジエクト
ブロツクが障害となつて自由にバツクアツプロー
ルを昇降させることが出来ない。この為、前記プ
ロジエクトブロツクをわざわざ分解してハウジン
グから取り外し、しかる後にバツクアツプロール
を昇降させているのが実情である。従つてバツク
アツプロールのロール組替に長時間を要すること
となり、その組替期間中圧延材の圧延が不可能と
なるものである。特に圧延機がホツトストリツプ
ミルの場合にロール組替時間の与える問題は大き
い。即ち、ホツトストリツプミルは製造所内には
１基の場合が多く、バツクアツプロール組替で長
時間この設備が停止すると、この設備の上流、下
流の各種設備の稼動状況に与える影響が極めて大
きくなる。

特公昭45−32144号公報及び特開昭50−71550号
公報には、ロール交換を容易にする技術が開示さ
れているが、いずれも作業ロールが軸方向にシフ
トされた時、作業ロール軸受に偏荷重が加わるの
を防ぐ配慮が充分でなかつた。

〔発明の目的〕

本発明の目的の１つはバツクアツプロールのロ
ール組替を容易にし得る構成のワークロールとバ
ツクアツプロールとを備えた多重圧延機を提供す
ることにある。本発明の目的の１つは圧延機のハ
ウジングの窓部にプロジエクトブロツクと取付け
を不用にして突起部の存在を無くしたハウジング
の構造が簡単でバツクアツプロールのロール組替
が容易に出来る多重圧延機を提供することにあ
る。

〔本発明の概要〕

本発明の特徴とするところには、ロールの端部
にワークロールチヨツクを備えた上、下ワークロ
ールと、同じくロールの端部にバツクアツプロー
ルチヨツクを備え、該ワークロールを支持する
上、下バツクアツプロールとを有し、前記上、下
ワークロールを夫々ロール軸方向に移動する移動
装置を設けた圧延機において、前記上バツクアツ
プロールに備えられた上バツクアツプロールチヨ
ツクの下部に圧延機のハウジングの窓部に沿つて
伸延し両者間に空間部を形成する複数の垂直方向
延出部を設けると共に、これら延材部の下部と接
続され圧延材のパス方向に沿つて突出した複数の
水平方向突出部を設け、前記上ワークロールに備
えられた上ワークロールチヨツクを前記バツクア
ツプロールチヨツクに形成した両垂直方向延材部
間の空間部内に上下動可能に配設し、更に前記上
ワークロールチヨツク内に該上バツクアツプロー
ルチヨツクに形成した両水平方向突出部の上面側
にそのラムが当接する複数の上ワークロール用液
圧シリンダーを設置し、前記下ワークロールに備
えられた下ワークロールチヨツクを圧延機のハウ
ジングの窓部に沿つて上下動可能に構成すると共
に、この下ワークロールチヨツク内に該上バツク
アツプロールチヨツクに形成した両水平方向突出
部の下面側にそのラムが当接する複数の下ワーク
ロール用液圧シリンダーを設置したことにある。

〔実施例〕

本発明をワークロールがロール軸方向に移動可
能な圧延機に適用した一実施例について以下説明
する。第１図乃至第３図において、図示された圧
延機はロール軸方向にシフト可能な上、下ワーク
ロール１Ａ，１Ｂ，上、下バツクアツプロール２
Ａ，２Ｂ組込んだ４重圧延機で、ワークロール１
はスピンドルカツプリング３を介し、ピニオンス
タンド４に接続されており、このピニオンスタン
ド４が電動機（図は省略）により駆動される。圧
延機の操作側にはワークロール組替装置５が設置
されている。このワークロール組替装置５は圧延
機前面に固定された設備（ロール軸方向に移動可
能にした設備もある）である。なお、ワークロー
ル組替装置５の圧延機の前面は可搬式フロアプレ
ート３３が設けられており、バツクアツプロール
２Ａ，２Ｂを組替える場合は、可搬式フロアプレ
ート３３を取外し、この部分に後述する第５図、
第６図に示すバツクアツプロール組替用Ｃフツク
６を挿入することを可能にしたものである。

また、第１図において、上、下ワークロール１
Ａ，１Ｂにベンデイング力を付与するアクチユエ
ータ１３，１５はそれぞれ上、下ワークロールチ
ヨツク１２，１４に内蔵された構造となつてお
り、アクチユエータ１３，１５の作用反力を上バ
ツクアツプロール２Ａを支持する上バツクアツプ
ロールチヨツク１７の下方部に伸びた垂直方向伸
延部１７ａの下部と接続され、圧延材のパス方向
に沿つて延材した水平方向突出部１８の上、下面
でそれぞれ受けることにより、その機能を満足さ
せるものである。即ち、アクチユエータ１３，１
５のラムを水平方向突出部１８の上、下面に摺動
自在に当接させたものである。また上、下ワーク
ロール１Ａ，１Ｂのロール軸方向のシフト量に対
しては、水平方向突出部１８のロール軸方向に沿
つた長さを十分に余裕を持たせて形成することに
より対応可能な構造にしているものである。この
方式であれば、ハウジング９のウインド面には突
起物が存在しないので上、下バツクアツプロール
２Ａ，２Ｂの組替作業にはなんら支障をきたさな
い。この場合、上、下ワークロール１Ａ，１Ｂの
ロール軸方向シフトによる上、下ワークロールチ
ヨツク１２，１４のシフト位置はバツクアツプロ
ールチヨツク１７に対してロール軸方向にずれた
形となるため、上、下ワークロールチヨツク１
２，１４に内蔵したアクチユエータ１３，１４か
ら発生するロールベンデイング用の力は上バツク
アツプロールチヨツク１７に内蔵されたバツクア
ツプロール用軸受（図示省略）に偏荷重として作
用する。しかしこの偏荷重の値は、軸受の定格荷
重の約10％程度であり、実際の圧延機で負荷条件
を種種変更して試験し確認した結果、強度的に問
題ないことが明らかになつた。また、アクチユエ
ータ１３，１４は、それぞれ上、下ワークロール
チヨツク１２，１４に内蔵れているので、ワーク
ロールがシフトされてもワークロールチヨツクに
内蔵されたワークロール軸受に対する相対位置は
変化せず、アクチユエータからワークロール軸受
に加わる力が偏荷重を生ずることもない。尚、４
０は圧下シリンダである。第２図は、ワークロー
ル１をハウジング９に取付けた組立状態を示した
ものである。駆動側の上下ワークロールチヨツク
１２，１４にはワークロールチヨツク突起２０が
設けられており、この部分を利用して後述する第
４図に示したシフト装置によりワークロールの軸
方向シフトを行なうのである。第３図は、ワーク
ロールシフトの状態を示すもので、胴端を示す実
線１ａはワークロールのシフト量が零の状態を示
し、胴端を示す破線１ｂはワークロールのシフト
量がＣの場合を示す。第４図には、ワークロール
シフト装置が示されている。この装置は圧延機の
駆動側に設置した場合の例を示すものである。ワ
ークロール１を支持しているワークロールチヨツ
ク１２，１４の端部に延材して設けられたワーク
ロールチヨツク突起２０の側面に凹部が形成され
ていて、この凹部にフツク２１が係合されるよう
になつている。このフツク２１とワークロールチ
ヨツク突起２０との着脱はシリンダ２４の操作に
より、ロツド２５、レバー２３、ピン２２を介し
てフツク２１をピン２２のまわりに回動させるこ
とによつて行なう。そして前記フツク２１はピン
２２を介して、ロール軸方向に移動可能なビーム
２６に取付けられている。また、ビーム２６には
該ビーム２６を移動操作するシフトシリンダ２７
の一端が取付けられており、このシフトシリンダ
２７の他端は連結ブロツク２９、ピン３０、ガイ
ドフレーム３１を介して圧延機のハウジング９に
固定されている。また、ビーム２６には押棒３２
が取付けられており、ワークロールチヨツク１
２，１４の突起２０と近接して配置されている。
このような構造のため、シフトシリンダ２７をロ
ール軸方向外側に作動させるとビーム２６をロー
ル軸方向に沿つて移動出来、よつてフツク２１及
びワークロールチヨツク突起２０を介してハウジ
ング９に対して引出す方向にワークロール１は移
動する。また、シフトシリンダ２７を逆のロール
軸方向内側の方向に移動させるとビーム２６、押
棒３２を介して、ワークロール１をハウジング９
に対して押込む方向に移動させる。ワークロール
１をシフトする場合の１回当りのシフト量、シフ
トの時間的間隔等は圧延計画によつて決り、圧延
設備全体の操業と共に自動的に設定され、作動す
るようになされているのが一般の設備である。そ
して上、下バツクアツプロール２Ａ，２Ｂのロー
ル組替操作については、第５図及び第６図に示す
如く行なわれる。即ち、下バツクアツプロール２
Ｂを組替える場合には、まず天井クレーン７によ
り、Ｃフツク６を搬送してバツクアツプロール２
に第５図に示すように挿入する。しかる後に、圧
延機前面にワークロール組替装置等の装置８があ
り水平方向に移動できないので、この下バツクア
ツプロール２Ｂは第６図に示すように、まず矢印
Ａに示す方向に水平移動するに十分な高さとなる
垂直方向位置まで持上げ、しかる後にＢ方向に移
動して旧下バツクアツプロール２Ｂを取はずすの
である。新しい下バツクアツプロール２Ｂの組込
み作業要領は前述した取外し方法の逆のルートで
行なう。

したがつて、本実施例によれば、ワークロール
が軸方向に移動を行なう圧延機にあつて、常に正
確なロールバランスあるいはロール形状制御を行
なうことができると共に、ハウジングのウインド
内になんら突起物を設けず、バツクアツプロール
の組替えを例えばＣフツク等の昇降手段によりウ
インド内を上昇させた後に適正な位置で水平方向
に移動することにより行なうことが可能となる。
またワークロールの組替え装置、出側入側ガイ
ド、配管等に干渉することなく、ワークロールの
シフト機構を組込むことができる。さらに、アク
チユエータがワークロールチヨツクに内蔵されて
いるので、ワークロールが軸方向にシフトされて
もワークロール軸受中心位置とアクチユエータ反
力の作用中心位置の相互位置関係が変化せず、ワ
ークロール軸受に過大な偏荷重が加わることがな
い。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば圧延機の
ハウジング窓部に、プロジエクトブロツクの取付
けを不用にして突起部の存在を無くしハウジング
の構造が簡単でバツクアツプロールのロール組替
が容易にできるとともに、ワークロール軸受に過
大な偏荷重が加わることのない多重圧延機が実現
するという効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を適用したワークロールが軸方
向にシフトする型式の４重圧延機の一実施例を示
す平面図、第２図は第１図の−方向部分矢視
図、第３図は第１図の４重圧延機を示す側面図、
第４図は第１図の圧延機におけるワークロールを
軸方向にシフトするシフト機構を示す上面図、第
５図及び第６図は第１図に示した圧延機の下バツ
クアツプロールのロール組替手順を表わす説明図
である。 １，１Ａ，１Ｂ……ワークロール、２，２Ａ，
２Ｂ……バツクアツプロール、３，３Ａ，３Ｂ…
…スピンドルカツプリング、４……ピニオンスタ
ンド、５……ワークロール組替装置、６……Ｃフ
ツク、７……天井クレーン、８……ワークロール
組替装置等の装置、９……ハウジング、１２……
上ワークロールチヨツク、１３……アクチユエー
タ、１４……下ワークロールチヨツク、１５……
アクチユエータ、１７……上バツクアツプロール
チヨツク、１７ａ……垂直方向伸延部、１８……
水平方向突出部、２０……ワークロールチヨツク
突起、２１……フツク、２２……ピン、２３……
レバー、２４……シリンダ、２５……ロツド、２
６……ビーム、２７……シフトシリンダ、２８…
…ピン、２９……凍結ブロツク、３０……ピン、
３１……ガイドフレーム、３２……押棒、３３…
…可搬式フロアプレート、４０……圧下シリン
ダ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ロールの端部にワークロールチヨツクを備え
   た上、下ワークロールと、同じくロールの端部に
   バツクアツプロールチヨツクを備え、該ワークロ
   ールを支持する上、下バツクアツプロールとを有
   し、前記上、下ワークロールを夫々ロール軸方向
   に移動する移動装置を設けた圧延機において、前
   記上バツクアツプロールに備えられた上バツクア
   ツプロールチヨツクの下部に圧延機のハウジング
   の窓部に沿つて伸延し両者間に空間部を形成する
   複数の垂直方向延材部を設けると共に、これら延
   材部の下部と接続され圧延材のパス方向に沿つて
   突出した複数の水平方向突出部を設け、前記上ワ
   ークロールに備えられた上ワークロールチヨツク
   を前記上バツクアツプロールチヨツクに形成した
   両垂直方向延材部間の空間部内に上下動可能に配
   設し、更に前記上ワークロールチヨツク内に該上
   バツクアツプロールチヨツクに形成した両水平方
   向突出部の上面側にそのラムが当接する複数の上
   ワークロール用液圧シリンダーを設置し、前記下
   ワークロールに備えられた下ワークロールチヨツ
   クを圧延機のハウジングの窓部に沿つて上下動可
   能に構成すると共に、この下ワークロールチヨツ
   ク内に該上バツクアツプロールチヨツクに形成し
   た両水平方向突出部の下面側にそのラムが当接す
   る複数の下ワークロール用液圧シリンダーを設置
   したことを特徴とする圧延機。 ２ 前記移動装置はワークロールチヨツクに着脱
   自在に係合する係合装置と、この係合装置が取付
   けられワークロールの軸方向に移動可能な移動部
   材と、その一端が圧延機のハウジングに取付けら
   れると共に他端が該移動部材に連結され、この移
   動部材をロール軸方向に移動操作する駆動装置と
   から構成されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の圧延機。 ３ 前記移動装置はワークロールを回転する駆動
   シヤフトが配設された圧延機駆動側のハウジング
   の取付けられていることを特徴とする特許請求の
   範囲第２項記載の圧延機。