JPH05318056A - 浸漬ノズルの予熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】冷却空気を使用せずに、点火前の浸漬ノズル予
熱バーナの過熱を防止でき、浸漬ノズルの酸化による変
質、強度低下などを防止できる浸漬ノズルの予熱装置を
提供する。 【構成】タンディッシュ１の下部に装着された浸漬ノズ
ル５を予熱炉１０で覆い、タンディッシュ１上部に設け
られたタンディッシュ予熱バーナ２と予熱炉１０に設け
られた浸漬ノズル予熱バーナ７とを用いて浸漬ノズル５
を予熱する装置において、予熱炉１０の炉床１１を浸漬
ノズル予熱バーナ７の熱風噴出口の上部および下部の間
を上下動可能な構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は連続鋳造による製鋼に用
いられる浸漬ノズルの予熱装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連続鋳造による製鋼工程で不可欠な浸漬
ノズルは、この分野で用いられる耐火物のうちでも特に
使用条件が厳しく、その良否が鋼の生産性を大きく左右
する。浸漬ノズルの機能を有効に発揮させるためには、
材質、構造、および使用条件が適切でなければならな
い。このうち使用条件としては、浸漬ノズルが１５００
℃を超える溶鋼と接触しても破損しないように、予熱す
ることが挙げられる。この予熱に関しては、連続鋳造技
術の進歩に伴い、鋼の品質を向上させるために、高温・
長時間となり過酷になってきている。また、浸漬ノズル
の材質は一般的に炭素含有率の高い耐火物であり、酸素
濃度の高い雰囲気下で予熱すると酸化による変質や強度
低下などを招くため、予熱中には還元性または中性の雰
囲気が要求される。

【０００３】従来の浸漬ノズルの予熱方法を図３を参照
して説明する。タンディッシュ１の上部には孔が設けら
れ、タンディッシュ予熱バーナ２が挿入されている。タ
ンディッシュ１の底部にはスライディングノズル３、中
間ノズル４などを介して浸漬ノズル５が装着される。こ
の浸漬ノズル５の下端から全長の約２／３を覆うように
予熱炉６が取り付けられる。予熱炉６には孔が設けら
れ、その近傍に浸漬ノズル予熱バーナ７が取り付けられ
る。また、予熱炉６には排気孔８が設けられている。

【０００４】この状態でまず、タンディッシュ予熱バー
ナ２に点火して熱風を発生させ、タンディッシュ１を予
熱する。このとき、熱風の一部はスライディングノズル
３、中間ノズル４および浸漬ノズル５の内部を通過し、
予熱炉６内へ流れて排出孔８から排出される。この結
果、浸漬ノズル５も予熱される。タンディッシュ１が所
定の温度に達した後、タンディッシュ１の予熱を継続し
ながら、予熱炉６に取り付けられた浸漬ノズル予熱バー
ナ７を点火して浸漬ノズル５の予熱を開始し、その燃焼
圧力を徐々に上昇させる。浸漬ノズル予熱バーナ７から
の熱風は浸漬ノズル５、中間ノズル４およびスライディ
ングノズル３の内部を通過してタンディッシュ６の方向
へ向かって流れる。この間、予熱炉６内の雰囲気温度ま
たは浸漬ノズル５の外面温度が測定され、これをもとに
して作業者による手動操作で温度制御が行われる。浸漬
ノズル５の予熱が完了した後、予熱炉６を取り外して、
直ちに連続鋳造が行われる。この際、浸漬ノズル５は下
端から全長の約１／３が図示しないモールド内の溶鋼に
浸漬されて使用される。

【０００５】一般的に、タンディッシュ予熱バーナ２と
しては、構造および取扱いが簡単なプレミックスバーナ
が用いられる。このプレミックスバーナは、燃焼用空気
と燃料ガスとを予め混合してバーナへ送り、燃焼させる
ものである。このバーナでは燃焼用空気と燃料ガスとの
混合比を正確に制御することが困難であるため、良好な
燃焼状態の再現性に劣っている。ただし、厳密な制御が
要求されないタンディッシュ１の予熱には、構造および
取扱いが簡単であるという点で適している。

【０００６】また、浸漬ノズル予熱バーナ７としては、
ノズルミックスガスバーナが使用されている。ノズルミ
ックスガスバーナは、ノズル先端部で燃焼用空気と燃料
ガスとを混合して燃焼させるバーナである。このバーナ
は構造や取扱いがやや複雑であるが、燃焼状態を正確に
制御でき、予熱に必要な還元雰囲気が安定して得られ
る。

【０００７】この予熱過程において、タンディッシュ予
熱バーナ２のみを点火し、浸漬ノズル予熱バーナ７を点
火していない段階で、タンディッシュ予熱バーナ２から
の熱風が予熱炉６内に充満するため、点火前に浸漬ノズ
ル予熱バーナ７が過熱してしまう。そこで、浸漬ノズル
予熱バーナ７へ相当量の冷却空気を送風して冷却するこ
とにより、過熱を防止している。この冷却空気は予熱炉
６内の温度の上昇とともに増加させる必要がある。しか
し、バーナ７に冷却空気を送風することは、炉内の温度
を低下させる。このため、予熱効率を低下させるととも
に、予熱炉６内の酸素濃度を増加させることになる。前
述したように、酸素濃度の高い雰囲気下で予熱すると、
浸漬ノズル５の酸化による変質、強度低下などを招く。
したがって、冷却空気を使用せずに、点火前の浸漬ノズ
ル予熱バーナ７の過熱を防止する必要がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷却
空気を使用せずに、点火前の浸漬ノズル予熱バーナの過
熱を防止できる浸漬ノズルの予熱装置を提供することに
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の浸漬ノズルの予
熱装置は、タンディッシュの下部に装着された浸漬ノズ
ルを予熱炉で覆い、タンディッシュ上部に設けられたタ
ンディッシュ予熱バーナと予熱炉に設けられた浸漬ノズ
ル予熱バーナとを用いて浸漬ノズルを予熱する装置にお
いて、前記予熱炉の炉床を前記浸漬ノズル予熱バーナの
熱風噴出口の上部および下部の間を上下動可能な構造と
したことを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】本発明の予熱装置では、タンディッシュ予熱バ
ーナのみを点火している間は、炉床を浸漬ノズル予熱バ
ーナの熱風噴出口の上部まで上昇させて予熱する。この
ようにすれば、浸漬ノズル予熱バーナはタンディッシュ
予熱バーナからの熱風にさらされないので、過熱される
ことはない。また、タンディッシュ予熱バーナおよび浸
漬ノズル予熱バーナの両方を点火したときには、炉床を
浸漬ノズル予熱バーナの熱風噴出口の下部まで下降さ
せ、従来と同様に予熱する。したがって、冷却空気を使
用せずに、点火前の浸漬ノズル予熱バーナの過熱を防止
できる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１および図２を参
照して説明する。図１および図２において、浸漬ノズル
５は図３と同様に装着される。この浸漬ノズル５の下端
から全長の約２／３を覆うように予熱炉１０が取り付け
られる。この予熱炉１０の内面には断熱性耐火物が内張
されている。予熱炉１０には浸漬ノズル予熱バーナ７が
取り付けられる。浸漬ノズル予熱バーナ７としては、ノ
ズルミックスガスバーナが使用されている。なお、バー
ナ７は、燃焼空気用のファンおよびダンパー、燃料ガス
流量制御器、安全装置などとともにユニット化された燃
焼装置を構成している。予熱炉６には排気孔８が設けら
れている。排気孔８の近傍には排気ダンパー９が設けら
れている。また、予熱炉１０の炉床１１は浸漬ノズル予
熱バーナ７の上部および下部の間を上下動可能な構造と
なっている。炉床１１はエアシリンダにより駆動され
る。さらに、予熱炉１０内には熱電対１２が挿入されて
いる。

【００１２】この装置を用い、全長７５０ｍｍ、外径１
５０ｍｍ、内径７５ｍｍの浸漬ノズルを予熱する例につ
いて説明する。予熱炉１０は、炉体上部の内径が４００
ｍｍ、炉床１１の直径が４６０ｍｍである。

【００１３】まず、図１に示すように炉床１１を浸漬ノ
ズル予熱バーナ７の熱風噴出口の上部まで上昇させ、排
気ダンパー９を全開にする。この状態で、タンディッシ
ュ予熱バーナ２を点火してタンディッシュ１を予熱す
る。このバーナ２からの熱風の一部は図１中の矢印で示
すように流れ、その結果浸漬ノズル５が予熱される（前
期予熱）。熱電対１２により予熱炉１０の炉内温度を測
定しながら、約４０分間かけて約５００℃にする。

【００１４】次に、炉床１１を浸漬ノズル予熱バーナ７
の熱風噴出口の下部まで下降させ、排気ダンパー９は全
開のままとする。この状態で、浸漬ノズル予熱バーナ７
を点火して浸漬ノズル５を予熱する（中期予熱）。この
とき、バーナ７からの熱風は排気孔８より排気される。
熱電対１２により予熱炉１０の炉内温度を測定しなが
ら、約４０分間かけて約８００℃まで予熱する。

【００１５】さらに、図２に示すように、排気ダンパー
９を全閉にして浸漬ノズル予熱バーナ７の燃焼圧力を上
昇させる（後期予熱）。バーナ７からの熱風は浸漬ノズ
ル５、中間ノズル４およびスライディングノズル３の内
部を通過してタンディッシュ６の方向へ向かって流れ
る。熱電対１２により予熱炉１０の炉内温度を測定しな
がら、約１１００℃となるまで予熱する。本発明の予熱
装置では、従来の予熱装置と比較して、以下のような効
果が得られる。 従来の予熱装置 本発明の予熱装置 バーナの空冷 必要 不要 予熱炉内雰囲気 強酸化性−酸化性 中性−還元性 浸漬ノズルの酸化不良 あり なし バーナ過熱 あり なし 燃料消費 多 少

【００１６】なお、前記実施例では熱電対１２により温
度測定に基づき、作業者が手動で炉内温度の制御、バー
ナ７の点火、ダンパー９の開閉操作を行ったが、これら
の各種操作を自動化できることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上詳述したように本発明の浸漬ノズル
の予熱装置を用いれば、冷却空気を使用せずに、点火前
の浸漬ノズル予熱バーナの過熱を防止でき、浸漬ノズル
の酸化による変質、強度低下などを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例における浸漬ノズルの予熱装置
の炉床を上昇させた状態を示す断面図。

【図２】本発明の実施例における浸漬ノズルの予熱装置
の炉床を下降させた状態を示す断面図。

【図３】従来の浸漬ノズルの予熱装置の断面図。

【符号の説明】

１…タンディッシュ、２…タンディッシュ予熱バーナ、
３…スライディングノズル、４…中間ノズル、５…浸漬
ノズル、７…浸漬ノズル予熱バーナ、８…排気孔、９…
ダンパー、１０…予熱炉、１１…炉床、１２…熱電対。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンディッシュの下部に装着された浸漬
   ノズルを予熱炉で覆い、タンディッシュ上部に設けられ
   たタンディッシュ予熱バーナと予熱炉に設けられた浸漬
   ノズル予熱バーナとを用いて浸漬ノズルを予熱する装置
   において、前記予熱炉の炉床を前記浸漬ノズル予熱バー
   ナの熱風噴出口の上部および下部の間を上下動可能な構
   造としたことを特徴とする浸漬ノズルの予熱装置。