JPH05317083A - 人アルドース還元酵素に結合する抗体およびその使用法 - Google Patents

人アルドース還元酵素に結合する抗体およびその使用法

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JPH05317083A
JPH05317083A JP4236207A JP23620792A JPH05317083A JP H05317083 A JPH05317083 A JP H05317083A JP 4236207 A JP4236207 A JP 4236207A JP 23620792 A JP23620792 A JP 23620792A JP H05317083 A JPH05317083 A JP H05317083A
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aldose reductase
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Abstract

(57)【要約】 【構成】人アルドース還元酵素に結合する新規な抗体を
用いた人アルドース還元酵素の測定法 【効果】血液および尿などに存在する微量の人アルドー
ス還元酵素を簡便にしかも正確に測定出来るようにな
り、臨床検査等に有用に用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人アルドース還元酵素
に結合することを特徴とする新規な抗体および該抗体を
使用する人アルドース還元酵素の測定方法に関する。本
発明の人アルドース還元酵素に結合する抗体を用いるこ
とにより、人アルドース還元酵素の機能および構造の解
析が可能となる。また、本発明の人アルドース還元酵素
に結合する抗体を使用して、組織、血中または尿中の人
アルドース還元酵素含量を測定し、その動向を把握する
ことは、基礎医学、臨床医学の領域において非常に重要
な意義を持つ。
【0002】
【従来の技術、本発明が解決しようとする課題】アルド
ース還元酵素[Alditol :NAD(P)+1-oxidoreductase 、
EC 1.1.1.21 ]はNAD(P)H 依存性アルドースケト還元酵
素の1 つであり、糖尿病合併症である神経症、腎症、網
膜症、白内障などの発症に関与するものとして注目され
ている(Gabbay, K. H., Merola, L. O. and Field, R.
A., Science, 第151 巻, 209-210 頁 (1966年) 、Robi
son, W. G. Jr., Kador, P. F. and Kinoshita, J. H.,
Science, 第221 巻, 1177-1179 頁 (1983年) 、Engerma
n, R. L. and Kern, T.S., Diabetes,第33巻, 97-100頁
(1984年) 、Nishimura, C., Lou, M. F. andKinoshit
a, J. H., J. Neurochem.,第49巻, 290-295 頁(1987
年) 、Kinoshita,J. H. and Nishimura, C., Diabetes
Metab. Rev., 第4 巻, 323-337 頁(1988年) )。
【0003】アルドース還元酵素は、グルコースからポ
リオールへの代謝経路に関与しており、この酵素によ
り、グルコースは、ソルビトールに還元され、さらに、
ソルビトールは、ソルビトール脱水素酵素によりフラク
トースに代謝される。糖尿病に伴う高血糖状態では、イ
ンスリン非依存性のグルコース取込みを行う組織の細胞
中に過剰のソルビトールがグルコースから産生される。
ソルビトールは、細胞膜の透過性が低く、またソルビト
ール脱水素酵素による代謝速度が遅いために、高血糖患
者の細胞では、ソルビトールが多量に蓄積される。この
蓄積されたソルビトールの細胞に対する高浸透圧の負荷
が、糖尿病合併症の発症の主要要因と考えられている。
そこで、糖尿病合併症の予防もしくは治療剤として、多
くのアルドース還元酵素阻害剤が開発されている[ Kad
or, R. F., Nakayama, T., Sato,S., Smar, M. and Mil
ler, D. D., “Weiner, H. and Flynn, T. G., eds Pr
ogress in Clinical and Biological Research Vol. 2
90, Enzymology and Molecular Biology of Carbonyl
Metabolosm 2, ” 237-250頁(1989 年) 、Alan R.Liss,
Inc., New York]。
【0004】一方、アルドース還元酵素の生理学的機能
は、依然として不明な点が多々あるが、腎臓・髄質細胞
の浸透圧調節に関わっている可能性も示唆されている
[Bagnasco, S. M., Uchida, S., Balaban, R. S., Kad
or, R. F. and Burg, M. B., Proc. Natl. Acad. Sci.,
(U.S.A), 第84巻, 1718-1720 頁(1987 年) ]。また、
近年、人の胎盤, 網膜および筋肉由来のアルドース還元
酵素の蛋白構造が報告され( Bohren, K. M., Bulloc
k, B., Wermuth, B. and Gabbay, K. H., J. Biol. Che
m., 第264 巻, 9547-9551 頁(1989 年), Nishimura,
C. Matsuura, Y., Kokai, Y., Akera, T., Carper, D.,
Morjana, N., Lyons, C. and Flynn, T. G., J. Biol.
Chem., 第265 巻, 9788−9792頁(1990 年) )、さら
に、人のアルドース還元酵素の遺伝子工学的製造法も報
告されている(Nishimura et al., Biochim. Biophys.
Acta., 第1078巻, 171 −178 頁(1991 年) )。
【0005】健常人の生体中のアルドース還元酵素の分
布、および糖尿病患者におけるアルドース還元酵素量、
さらに糖尿病合併症治療薬として開発されているアルド
ース還元酵素阻害剤の投与によるアルドース還元酵素量
の変化などを把握することは基礎医学、臨床医学の領域
において非常に重要な意味を持っている。そこで、組
織、血液あるいは尿中に存在する人アルドース還元酵素
の免疫測定に使用できる人アルドース還元酵素に特異的
に結合する抗体の開発および検体中の人アルドース還元
酵素を特異的にかつ簡便に高感度で測定できる方法の開
発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば人アルド
ース還元酵素に特異的に結合する抗体および該抗体を用
いる人アルドース還元酵素を簡便に高感度で測定できる
免疫測定法が提供されれる。本発明の人アルドース還元
酵素の抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノク
ローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体
は、ヒトアルドース還元酵素をウサギ、羊あるいはヤギ
に皮下免疫し、その血清のIgG 分画を精製する従来行わ
れている方法により得ることが出来る。
【0007】また、モノクローナル抗体も、以下に示す
従来行われている方法により得ることが出来る。たとえ
ば、人アルドース還元酵素を生理食塩水などで適当な濃
度に希釈し、完全フロイントアジュバントなどの懸濁液
とし、マウスあるいはラットに腹腔内注射などによって
投与する。投与は通常10〜100 μg の人アルドース還元
酵素を2 〜4 週毎に1 〜数回行う。最終免疫は通常10〜
100 μg の人アルドース還元酵素を含む生理食塩水溶液
を静脈注射することにより行う。最終免疫3 〜4 日後
に、脾臓を摘出し、その脾臓細胞とミエローマ細胞を融
合させ、ハイブリドーマを得る。ミエローマ細胞として
は、すでに公知の種々の細胞、たとえば、マウスにおけ
るSP-2、NS-1、P3-U1 、ラットにおけるY3.Ag1.2.3など
が使用される。脾細胞とミエローマ細胞の融合反応にお
いては、平均分子量1,000 〜6,000のポリエチレングリ
コール(PEG )などの融合促進剤やセンダイウィルス
(HVJ)などが使用される。脾臓細胞とミエローマ細胞
との使用比は、通常、ミエローマ細胞に対して、脾臓細
胞は1 〜10倍程度とされる。
【0008】所望のハイブリドーマの分離は、前記の細
胞融合処理後の細胞を、通常のハイブリドーマ選別用培
地(HAT 培地)で培養し、生育してくる細胞を得ればよ
い。すなわち、前記のミエローマ細胞は、ヒポキサンチ
ングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT
)欠損株であり、従って、HAT 培地(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培地)中で
は、生育できないので、生育できる細胞を選択すること
により、ハイブリドーマを得ることが出来る。目的の抗
体を産生するハイブリドーマは、通常の限界希釈法によ
り、目的とする抗体の産生株の検索および単一クローン
化が行われる。このようにして、得られた人アルドース
還元酵素のモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マは、通常の培地で継代培養でき、また液体窒素中で容
易に長時間の保存が可能である。このようにして得られ
たハイブリドーマは、栄養培地あるいは哺乳動物の腹腔
内で増殖させ、抗体を産生させることが出来、産生した
抗体は培養上清または用いた哺乳動物の腹水あるいは血
清より精製することが出来る。なお、抗体の精製は、遠
心分離、透析、硫酸アンモニウムなどによる塩析、DEAE
セルロースなどを用いるカラムクロマトグラフィー、ゲ
ル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの一般
的な単離・精製方法を用いて行われる。
【0009】人アルドース還元酵素としては、人由来の
ものであれば特に限定されないが、入手し易さの点から
人胎盤由来のものが好ましく、さらに純度の高いものが
多量に得られる点から、遺伝子工学的製造法が用いられ
る。つまり、人アルドース還元酵素のcDNAが挿入された
バキュロウイルス発現ベクターを利用して人アルドース
還元酵素のcDNAをそのゲノムDNA 中に含有する組み替え
バキュロウィルスを得、この組み換えウィルスを昆虫
(Spodoptera frugiperda )細胞に感染させて人アルド
ース還元酵素を発現させることにより人アルドース還元
酵素を得ることが出来る。
【0010】このようにして得られた本発明の人アルド
ース還元酵素に結合する抗体は人アルドース還元酵素に
強い結合能を有するものであり、さらに本発明の抗体に
は、人アルドース還元酵素の異なる抗原部位に結合する
数種の抗体が含まれている。また、本抗体を用いて酵素
免疫検定法(EIA )、蛍光免疫測定法(FIA )または放
射線免疫検査法(RIA )を行うことにより微量の人アル
ドース還元酵素を特異的に、かつ正確に測定することが
可能となった。
【0011】たとえば、EIA としては、「酵素免疫測定
法」(第2 版、石川栄治他著、医学書院、1982年)等に
記載されているそれ自体公知の方法を用いることができ
る。ここでは、サンドイッチ法および競合法のそれぞれ
に基づくEIA について簡単に説明する。なお、RIA およ
びEIA のそれぞれにおいても、EIA と同様な原理による
ものである。サンドイッチ法によるEIA では、抗体を固
相化(固相化一次抗体)しておき、これに抗原(標準ま
たは検体)を加え、抗原抗体反応により抗原を固相化一
次抗体に結合させる。次に酵素を標識した抗体(酵素標
識二次抗体)を入れ、抗原抗体反応により、酵素標識二
次抗体を上記の固相化一次抗体に結合している抗原の上
に結合させる。その後、抗原に結合しなかった酵素標識
二次抗体を除去し、基質を加えて酵素反応を行い、既知
量の抗原と二次抗体に標識した酵素活性との関係を示す
検量線から、検体中の抗原量を求める。なお操作を簡単
にするため、固相化一次抗体に、抗原(標準または検
体)と酵素標識二次抗体とを同時に入れる方法(一段法
サンドイッチ法EIA )も行われる。通常、サンドイッチ
法では、一次抗体と二次抗体とが互いに認識部位の異な
る抗体を組み合わせて用いられるが、ポリクローナル抗
体とポリクローナル抗体、モノクローナル抗体とポリク
ローナル抗体あるいはモノクローナル抗体とモノクロー
ナル抗体の組合せが行われる。なお一次抗体および二次
抗体は、それぞれ、1 種でもよく、また2 種以上の組合
せでもよい。
【0012】競争法によるEIA では、抗原(標準または
検体)と一定量の抗体と抗原抗体反応を行わせ、次に抗
原とは結合しなかった抗体を固相化抗原と抗原抗体反応
を行わせる。固相化抗原に結合した抗体量を酵素標識抗
体により測定する。あるいは、抗原と予め一定量の酵素
を標識した抗体(以下標識抗体)とで抗原抗体反応を行
わせた後、抗原とは結合しないで残存した標識抗体と固
相化抗原とで抗原抗体反応を行わせ、その後固相に結合
した酵素量を測定する。酵素量の測定は、通常の方法に
より行うことが出来るが、いずれの場合も既知量の標準
抗原を用いて作成した検量線から検体中の抗原量を算出
することが出来る。または、一定量の酵素標識抗原と検
体との混合液を固相化抗体と接触させて、抗原抗体反応
を行わせ、標識抗原と非標識抗原とを競合させて抗体と
結合させる。その後、固相化抗体に結合した酵素標識抗
原量を、酵素の基質を加えて測定し、既知量の標準抗原
を用いて作成した検量線から検体の抗原量を算出する。
【0013】サンドイッチ法および競合法のそれぞれに
おいて、抗体をペプシンで消化して得られるF(ab')2 、
F(ab')2 を還元して得られたFab'、および抗体をパパイ
ンで消化して得られたFab などの、抗原に結合する抗体
フラグメントを抗体として、また、これらを標識した標
識抗体として使用することが出来る。
【0014】抗体および抗原のそれぞれに標識する酵素
としては、パーオキシダーゼ、β−D −ガラクトシダー
ゼ、アルカリフォスファターゼ、グリコースオキシダー
ゼなどがあり、「単クローン抗体」(岩崎辰夫 他著、
講談社 サイエンスティフィク(1984))、「酵素免疫測
定法」(第2 版、石川栄治他著、医学書院、1982年)な
どに記載されている方法で標識することが出来る。
【0015】一方、固相としては、シリコン、ナイロ
ン、プラスチック、ガラスからなるスティック、ビー
ス、マイクロプレートもしくは試験管などが利用でき
る。また、本発明における人アルドース還元酵素の抗体
は、組織、血液、尿などからの人アルドース還元酵素の
分離精製などにも使用することができる。以下、本発明
を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明
は、これに限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体お
よび酵素標識ポリクローナル抗体の調整 (1) 免疫に使用される抗原の調整 前記の西村等の方法[Nishimura et al., Biochim. Bio
phys. Acta、第1078巻、171 −178 頁(1991 年) ]に従
い、人アルドース還元酵素(以下、本抗原と記すことも
ある)10mgを得た。 (2) ポリクローナル抗体の作成 日本白色ウサギ(雌、2.0kg )に500 μg の人アルドー
ス還元酵素をFreund'scomplete adjuvant (FCA) と共
に皮下免疫し、3 週間飼育後、同量の人アルドース還元
酵素とFCA を追加免疫した。さらに2 週毎に2 回同様な
追加免疫を行ったのち、最終免疫から10日後に耳動脈よ
り採血した。血液を数時間室温にて静置後、4 ℃で一晩
置き、5000×g で10分間遠心分離を行い、その上清に終
濃度が0.02%となるようNaN3を添加して、血清標品を得
た。得られた血清標品からプロテインA カラム(Ampure
PA Kit 、Amersham)を用いて免疫グロブリンG (IgG
)分画を精製し、人アルドース還元酵素の抗体(以
下、本抗体と記す)を得た。
【0017】(3) ポリクローナル抗体の特異性 人由来のHeLa細胞株と人の組織の抽出物を対象として、
1 μg /mLの本抗体を用いてウエスタンプロット法によ
る解析を行ったところ、人アルドース還元酵素と同じ位
置に、抗体と反応する蛋白を認めた。
【0018】さらに、アルドース還元酵素の近縁酵素と
して人組織中に多量に存在するアルデヒド還元酵素に対
する本抗体の交差反応をウエスタンプロット法にて調べ
た。それぞれ人アルドース還元酵素0.1 μg 、人腎臓ア
ルデヒド還元酵素0.1 μg および0.2 μg をSDS ポリア
クリルアミド電気泳動を行った後、抗体を用いたウエス
タンブロット法による解析を行ったところ、人アルドー
ス還元酵素は検出されたが、人腎臓アルデヒド還元酵素
は検出されなかった。 (4) 酵素標識ポリクローナル抗体の調整 人アルドース還元酵素のポリクローナル抗体をリン酸緩
衝液(5mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH 7.5)に
て透析し、1mg/mLになるように希釈し、Immuno-Link AP
Labelling Kit(Cambridge Research Biochemicals, C
heshire CW9 7RA )の処方に従い、アルカリフォスファ
ターゼを標識した。4.5 μg /mLの酵素標識ポリクロー
ナル抗体を人アルドース還元酵素のEIA に用いた。
【0019】実施例2 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体を
用いた人アルドース還元酵素の測定 [酵素免疫検定法(EIA,サンドイッチ法)の手順] (1) 96穴のイムノマイクロプレート(Nunc-Immuno Plat
e 、Maxi Sorp )の各ウェルに50μL の50mM炭酸水素ナ
トリウム緩衝液(pH 9.6)で希釈した5 μg/mLの実施例
1のポリクローナル抗体を入れ、シールして軽くミキサ
ーで撹拌後、4 ℃で5 時間以上静置し、抗体を固相化し
た。本抗体液を除去後、純水で3 回洗浄する。 (2) 各ウェルに100 μL のブロッキング液(170mM H3BO
3 、120mM NaCl、0.05%Tween 80 、1mM EDTA、0.25%
ウシ血清アルブミン、0.05% NaN3 (pH 8.5))を入
れ、シールしてミキサーで撹拌後、室温で30分間静置し
た後、ブロッキング液を除去し、純水で3 回洗浄する。
【0020】(3) 検体を4.5 μg /mLの酵素標識ポリク
ローナル抗体液で希釈して各ウェルに50μL 入れ、シー
ルし、プレートミキサーに固定し、1 晩撹拌する。反応
しなかった未反応物を除去後、純水で3回洗浄する。な
お、検体は2 倍希釈にて2 〜3段階希釈したものを用い
る。又、各プレート毎に、本抗原5-50ng/mL 溶液を入
れ、対照とする。 (4) 各ウェルに100 μL のブロッキング液(組成は、上
記と同じ)を入れシールしミキサーで軽く撹拌後、室温
で10分間静置した後、ブロッキング液を除去し、純水で
3 回洗浄する。
【0021】(5) 基質であるp-nitorophenyl phosphate
を1mg/mLおよび1mM levamisoleを含むジエタノールアミ
ン緩衝液(10mMジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 、pH
9.8)を各ウェルに50μL 入れ、シールしてミキサーで
軽く撹拌後、27℃で1 時間から3 時間(本抗原50ng/mL
を添加したウェルの吸光度が1.0 前後になるまで)静置
する。イムノプレートリーダーで各ウェルの405nm にお
ける吸光度を測定し、本抗原の希釈溶液の測定値より作
成した標準曲線から各検体中の本抗原量を算出する。人
アルドース還元酵素と人腎臓アルデヒド還元酵素をそれ
ぞれ5-50ng/mL になるように希釈し、同一プレート上で
上記の酵素免疫検定法により反応を行った。結果を表1
に示す。
【0022】
【表1】 表1 酵素免疫検定法によるアルドース還元酵素および アルデヒド還元酵素の測定(標準曲線) 検体 405nmにおける吸光度 アルドース還元酵素 0(ng/mL) 0.080 5 0.200 10 0.360 15 0.470 22 0.620 30 0.820 40 0.900 50 0.970 アルデヒド還元酵素 0(ng/mL) 0.080 5 0.080 10 0.090 15 0.090 22 0.090 30 0.100 40 0.100 50 0.110
【0023】人アルドース還元酵素は抗原濃度に依存し
て吸光度が増加したが、人アルデヒト還元酵素では、吸
光度の上昇が認められず、本定量法では検出されなかっ
た。この結果は、本定量系の人アルドース還元酵素に対
する特異性を示し、人アルドース還元酵素の測定法とし
て好ましいことが分かる。
【0024】実施例3 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体を
用いた人赤血球中のアルドース還元酵素の測定 健康な21-37 才の男子7 名、女子5 名の静脈よりヘパリ
ン採血した全血0.5 −1.0 mLに等量のACD 液(acid−ci
trate −dextrose solution ;23mMクエン酸、44.9mMク
エン酸ナトリウム、81.7mMデキストロース)を加え、4
℃で保存したものを検体として用いた。それぞれの検体
に、10mLの氷冷リン酸緩衝液(組成は、上記と同じ)を
加え混和後、1,500 ×g で4 ℃、10分間遠心して上清を
除き、さらに10mLの氷冷リン酸緩衝液を加え同じ条件で
遠心分離しする操作を2 回繰り返し、沈澱物(赤血球)
を−80℃で凍結保存した。
【0025】次に凍結赤血球サンプルを融解し、ドライ
アイスアセトンで再凍結させる操作を2 回行い、赤血球
を完全に溶血させた。その後遠心分離を行い溶血液を得
たのち、実施例2の酵素免疫検定法により溶血液中に含
まれるアルドース還元酵素量を測定した。また、溶血液
に含まれるヘモグロビン量をシアンメトヘモグロビン法
(ヘモグロビン−テストワコー、和光純薬)により測定
した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】 表2 検体 A:アルドース還元酵素 B:ヘモグロビン A/B (ng/mL溶血液) (ng/mL溶血液) 男子 1 815 248 3.28 2 1,810 227 7.97 3 784 246 3.19 4 773 194 3.99 5 910 225 4.04 6 1,066 197 5.41 7 1,269 184 6.90 女子 1 953 254 3.75 2 800 225 3.55 3 1,067 233 4.58 4 1,342 200 6.71 5 759 239 3.18 アルドース還元酵素量は、個体差により750ng −1800ng
/mL溶血液と大幅に異なっており、ヘモグロビンに対す
る相対値も3ng −8ng /mgヘモグロビンと異なってい
た。
【0027】実施例4 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体の
調整 (1) 免疫に使用される抗原の調製 実施例1と同様にして調整した。 (2) 免疫脾細胞の調製 6 〜8 週齢の雄Balb/cマウス の腹腔内に人アルドース還元
酵素50μg と完全フロイントアジュバント(Complete F
reund's adjyuvant )とのエマルジョンを投与した。さ
らに3 週後に、人アルドース還元酵素50μg を含む生理
食塩水溶液を静脈に投与した。最終免疫の3 日後にマウ
スを屠殺し、脾臓を摘出し細胞融合に用いた。 (3) ハイブリドーマの調製 脾臓をピンセットでほぐして得られた細胞を、RPMI-164
0 培地「ニッスイ」(日水製薬製)にL-グルタミン0.
29g/L 、ピルビン酸0.11g/L 、硫酸カナマイシン 0.06
g/L 、結晶ペニシリンG ・ K 0.06 g/LおよびNaHCO3 1.2
g/L を加えた培地(以下RPMI-1640 培地と記す)に懸濁
し、これをナイロンメッシュに通過させ、単細胞浮遊液
を得た。この単細胞浮遊液を、0.83%塩化アンモニウム
溶液(9容量部)と0.17 Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン塩酸緩衝液(pH7.6)[1 容量部]との混
液で4 ℃で2 分間処理し、単細胞浮遊液中の赤血球を破
壊し、遠心分離で取り除いた。
【0028】10%ウシ胎仔血清添加RPMI-1640 培地(以
下10%FCS-RPMI-1640 培地と記す)で培養した対数増殖
のマウスミエローマ細胞SP-2をRPMI-1640 培地で2 回洗
浄した。脾細胞とこのマウスミエローマ細胞SP-2とを5:
1 の比率でRPMI-1640 培地に懸濁し均一にした後、遠心
分離により細胞を回収し、その細胞を水溶液中で37℃に
加温した。
【0029】この細胞に、予め37℃に加温した平均分子
量1500の50%ポリエチレングリコール溶液(ベーリンガ
ー・マンハイム山之内製薬製)2.0mL を1 分間かけて徐
々に加え、さらに1 分間細胞融合反応を行った。この混
合液に、RPMI-1640 培地10mLを4 分間かけて滴下して細
胞融合反応を停止させ、これを遠心分離して細胞を得
た。この細胞を5 ×106 細胞/mLの濃度になるように10
%FCS-RPMI-1640 培地に懸濁し、ついで96穴マイクロウ
ェルプレート(コーニング社製)の各ウェルに、この懸
濁液を100 μL づつ分注した。このプレートを5.5 %炭
酸ガス含有雰囲気中で37℃で1 日培養した後、4 ×10-7
M アミノプテリン、1.6 ×10-5M チミジンおよび1 ×10
-4M ヒポキサンチンを含有する10%FCS-RPMI-1640 培地
(以下HAT培地と記す)100 μL を各ウェルに添加し
た。1 日後、各ウェルから半量の培地を吸引除去し、次
いでHAT 培地を100 μL 添加した。その後、2 日または
3 日毎に半量の培地を新たな培地と交換し、培養を続け
た。細胞融合10日後にハイブリドーマ細胞の増殖が認め
られた。
【0030】(4) 人アルドース還元酵素に結合するモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマの選別 ハイブリドーマ培養上清中の人アルドース還元酵素に結
合する抗体のスクリーニングは、人アルドース還元酵素
を固定したマイクロプレートを用いてEIA により行っ
た。人アルドース還元酵素の固定は96穴イムノマイクロ
プレート(ヌンク社製)の各ウェルに0.5 μg/mLとなる
よう0.15M NaCl含有0.01M リン酸緩衝液(pH7.4 )(以
下PBS と記す)に溶解した人アルドース還元酵素溶液10
0 μL を添加し、室温で2 時間吸着させた。このプレー
トをPBS で5 回洗浄後、各ウェルに0.2 %ウシ血清アル
ブミンおよび0.05%Tween 20を含むPBS 溶液(以下BSA
−Tween 20-PBSと記す)を加え、蛋白の非特異的吸着が
起こらないように各ウェルを完全にブロックした。
【0031】各ウェルに、前記(3) のようにして得られ
たハイブリドーマ培養上清のPBS による希釈液100 μL
を添加し、室温で1 時間反応させ、ウェルに固定化した
酵素にモノクローナル抗体を結合させた。酵素に結合し
たモノクローナル抗体の検出は、ベクタスティンABC キ
ット(ベクターラボラトリーズ社製)を用いた。すなわ
ち、プレートを0.05%Tween 20含有PBS (以下 Tween 2
0-PBS と記す)で5 回洗浄後、ビオチン化ヤギ抗マウス
イムノグロブリン抗血清(BSA −Tween 20-PBS溶液)を
100 μL 添加して、1 時間反応させ、次いでTween 20-P
BSで洗浄後、100 μL のアビジン化パーオキシダーゼ
(BSA −Tween 20-PBS溶液)を添加し、20分間反応させ
た。このプレートをTween 20-PBSで5 回洗浄後、各ウェ
ルに0.03%H2O2 と1mg/ のオルトフェニレンジアミン
二塩酸塩を含む100mM クエン酸緩衝液(pH 5.0)との等
量混合液を100 μL 加え、室温で10分間インキュベート
した。その後、各ウェルに2N硫酸を100 μL 加えて反応
を停止させ、イムノリーダーNJ-2000 (インターメッド
社製)を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測定し
た。
【0032】融合細胞を入れた合計712 ウェルのうち、
661 ウェルにハイブリドーマの増殖が認められ、このう
ち人アルドース還元酵素に結合する抗体産生陽性ウェル
は89個であった。特に抗体活性が強かった40ウェルにつ
いてハイブリドーマのクローニングを行った。 (5) 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗
体産生ハイブリドーマのクローニング 人アルドース還元酵素に結合する抗体活性を持つハイブ
リドーマの培養液を、Balb/cマウスの胸腺細胞をフィー
ダー層(1 ×107 細胞/mL)とした24穴平底マイクロプ
レート(コーニング社製)に移した。増殖してきたハイ
ブリドーマを、Balb/cマウスの胸腺細胞をフィーダー層
(1 ×107 細胞/mL)とした96穴マイクロプレートを用
いて限界希釈法によりクローニングした。クローニング
操作を2回行い、合計18個のクローンを得た。
【0033】(6) 人アルドース還元酵素に結合するモノ
クローナル抗体の精製 10日前および3 日前に各々0.5mL のブリスタンを腹腔内
に投与されたBalb/cマウスの腹腔内に前記(5) で得られ
た人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体
産生ハイブリドーマ細胞 2〜5 ×106 個を移植した。約
1 週間後、マウスの腹腔より腹水を採取し、その腹水か
らモノクローナル抗体を50%飽和硫酸アンモニウム溶液
により塩析した粗抗体を得た。この不純物を含むモノク
ローナル抗体を少量のPBS に溶解し、アフィゲルプロテ
インA-MAPSキット(バイオラッド社製)を用いて分離
し、さらに、抗体溶液をPBS に透析して、精製し、4 ℃
で保存した。腹水1mL あたり0.5 〜10mgの精製抗体を得
た。
【0034】実施例5 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体の
特性 (1) モノクローナル抗体の免疫グロブリンサブクラスの
同定 精製した抗体の免疫グロブリンのサブクラスを羊マウス
イムノグロブリンクラス特異的抗血清(メロイラボラト
リー社製)を用いてオクタローニー法で同定した。結果
を表3に示す。
【0035】
【表3】 表3 抗体 免疫グロブリンサブクラス ARmAb 2 IgG1 ARmAb 3 IgM ARmAb 5 IgG1 ARmAb 7 IgG1 ARmAb 9 IgG1 ARmAb11 IgG1 ARmAb19 IgG1 ARmAb20 IgG1 ARmAb21 IgG1 ARmAb22 IgG1 ARmAb23 IgG1 ARmAb25 IgG1 ARmAb26 IgM ARmAb29 IgG1 ARmAb30 IgG1 ARmAb35 IgG1 ARmAb36 IgG1 ARmAb37 IgG1 ARmAb3およびARmAb26 以外のすべてのモノクローナル抗
体は、いずれもIgG1であった。
【0036】(2) 人アルドース還元酵素および人アルデ
ヒド還元酵素との反応性 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体と
人アルドース還元酵素および人アルデヒド還元酵素との
反応性は、人アルドース還元酵素または人アルデヒド還
元酵素を固定したマイクロプレートを用いてEIA により
調べた。人アルドース還元酵素あるいは人アルデヒド還
元酵素のマイクロプレートへの固定は、実施例4の(4)
と同様な方法により行い、これにBSA-Tween20-PBS に溶
解したモノクローナル抗体(0.1 μg/mL〜 100μg/mL)
を100 μL 添加し、室温で1 時間インキュベートした。
人アルドース還元酵素あるいは人アルデヒド還元酵素を
固定したマイクロプレートに結合した抗体の検出は、ベ
クタスティンABC キットを用いる実施例4の(4) と同様
な方法で行った。人アルドース酵素を固定したマイクロ
プレートに0.1 μg/mLのモノクローナル抗体を添加した
結果ならびに人アルデヒド還元酵素を固定したマイクロ
プレートに100 μg/mLのモノクローナル抗体を添加した
結果を表4に示す。
【0037】
【表4】 表4 490nmの吸光度 ARmAb アルドース還元酵素 アルデヒド還元酵素 (AR) (ALR) 2 2.63 0.00 36 0.67 0.00 25 1.99 0.00 21 2.15 0.00 37 1.67 0.41 19 1.01 0.37 35 0.83 0.31 7 0.48 0.71 ARmAb2、ARmAb36 、ARmAb25 およびARmAb21 は人アルド
ース還元酵素に結合し、人アルデヒド還元酵素には結合
しない抗体であり、ARの特異的測定には好ましい抗体で
あった。一方、ARmAb37 、19、35、7 はわずかながら人
アルデヒド還元酵素に結合する抗体であった。
【0038】(3) モノクローナル抗体の人アルドース還
元酵素に対する結合部位の異同 抗体の人アルドース還元酵素に対する結合部位の異同を
決定するため、それぞれの抗体を西洋ワサビパーオキシ
ダーゼ(以下HRP と記す)で標識し、人アルドース還元
酵素に対して各非標識抗体と競合反応を行わせ、阻害の
有無からそれぞれの抗体の人アルドース還元酵素への結
合部位の異同を調べた。抗体へのHRP の標識は、過ヨウ
素酸酸化法(単クローン抗体、岩崎辰夫他著、講談社、
サイエンスティフィク、1984年)を用いて行った。
【0039】(標識抗体)4mg のHRP (東洋紡製)を1m
L の蒸留水に溶かした溶液に200 μL の0.1M過ヨウ素酸
ナトリウムを加え、室温で20分間反応させた。次いでこ
の反応生成液を、1mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.4)
に対して4 ℃で1 晩透析を行い、この透析内液に、0.2M
炭酸ナトリウム溶液20μL を加えpHを9.0 に調整し、こ
の溶液に、各抗体を5mg/mLになるように0.01M 炭酸ナト
リウム緩衝液(pH9.5 )に溶解した抗体液を直ちに加え
室温で2 時間撹拌し、その後氷冷し、0.1mL のNaBH4
を加え、4℃で2時間反応させた。この反応生成液をPBS
に対して4 ℃で1 晩透析し、この透析内液をPBS で平衡
化したスーパーローズ12カラム(ファルマシア製)でゲ
ル濾過を行い、280nm と403nm の両方に吸収を有する画
分を得た。この画分はHRP で標識された抗体の画分であ
り、未反応のHRP および抗体を除去することが出来る。
得られたいずれの抗体も同様に標識され、人アルドース
還元酵素に対する結合活性は維持されていた。
【0040】(競合反応)イムノマイクロプレートの各
ウェルに、人アルドース還元酵素のPBS 溶液(0.2 μg/
mL)を100 μL 添加し、室温で2 時間吸着させた。この
プレートをPBS で3 回洗浄後、各ウェルにBSA-PBS を加
え、ウェルへの蛋白の非特異的吸着が起こらぬようウェ
ルを完全にブロックした。各ウェルへ、HRP 標識抗体を
100 μL と0.2 %BSA を含むTween 20-PBS(BSA-Tween
20-PBSと記す)で段階希釈した非標識抗体(0 〜1mg/m
L)を100 μL 同時に加え、室温で1 時間抗原抗体反応
を行った後、このプレートをTween 20-PBSで4 回洗浄し
た。各ウェルへ100 μL のオルトフェニレンジアミン含
有基質(H2O2とオルトフェニレンジアミン二塩酸塩と
を、それぞれの濃度が0.015 %および1mg/mLとなるよう
に100mM クエン酸緩衝液(pH5.0 )に溶解した液、以下
同様)を添加し、室温で30分間反応を行わせ、2N硫酸10
0 μL を添加して反応を停止させた。反応液の490nm の
吸光度を、イムノリーダーNJ-2000 で測定した。結果を
表5に示す。
【0041】
【表5】 ARmAb2およびARmAb36 は他のどの抗体とも競合せず、他
の6種類のモノクローナル抗体は互いに競合した。以上
の結果より、ARmAb7、 ARmAb19、ARmAb21 、 ARmAb25、
ARmAb35およびARmAb37 はそれぞれ人アルドース還元酵
素の同じ部位又は非常に近接した部位に結合する抗体で
あり、一方ARmAb2およびARmAb36 はこれらのモノクロー
ナル抗体とは異なる部位に結合するモノクローナル抗体
であった。
【0042】実施例6 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体を
用いた人アルドース還元酵素の測定(サンドイッチ法に
基づくEIA ) サンドイッチ法において、モノクローナル抗体を一次抗
体(固相へ結合する抗体)と二次抗体(酵素標識抗体)
との両方に用いる場合に、通常、同じ抗体同士、または
抗原への結合部位が類似している抗体同士の組合せで
は、実質的に測定不能であるが、実施例5の(3) の抗体
の競合阻害実験の結果より、使用可能な抗体の組合せが
判定できる。
【0043】以下に一次抗体として、ARmAb21 、二次抗
体としてHRP で標識したARmAb36 を使用した例および一
次抗体としてARmAb36 、二次抗体としてHRP で標識した
ARmAb25 のFab'フラグメントを使用した例を示す。この
他の抗体の組合せでも同様にして、人アルドース還元酵
素の測定は可能であった。 (a) 二段法サンドイッチEIA ARmAb21 をPBS で5 μg/mLに調製し、イムノマイクロプ
レートの各ウェルに100 μL づつ添加して、室温で2 時
間吸着させた後、PBS で3 回洗浄し、このウェルを非特
異的吸着が起こらないように、BSA-PBS で室温で1 時間
ブロッキングした。
【0044】次にこのウェルにBSA-Tween 20-PBSで希釈
した人アルドース還元酵素100 μLを加え、室温で2 時
間反応させ、このプレートをTween 20-PBSで3 回洗浄し
た。この後、各ウェルに、実施例5の(3) と同様にして
HRP に標識したARmAb36 をBSA-Tween 20-PBSで1 μg/mL
になるように希釈し、これを各ウェルに100 μL 加え室
温で2 時間反応させ、ついでBSA-Tween 20-PBS、で3 回
洗浄した。これに100μL のオルトフェニレンジアミン
含有基質を加え室温で30分間反応させた。このウェルに
2N硫酸を100 μL 加えて反応を停止させ、イムノリーダ
ー NJ-2000を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測
定した。結果を表6に示す。
【0045】
【表6】 表6 アルドース還元酵素 490nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.004 1 0.065 5 0.355 10 0.750 15 1.148 20 1.528 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0046】(b) 一段法サンドイッチEIA 固相に結合する一次抗体としてARmAb36 、二次抗体とし
てHRP で標識したARmAb25 のペプシン消化Fab'フラグメ
ント(以下HRP 標識Fab'と記す)を使用した人アルドー
ス還元酵素の一段サンドイッチ免疫測定法の例を示す。 (HRP 標識Fab'の調製)ARmAb25 を2mg/mL含むPBS 溶液
10mLに1Mクエン酸緩衝液(pH3.2 )を添加して、pH4.0
に調整した。これに、250 μg のブタ胃粘膜ペプシン
(シグマ社製)を添加し、37℃で12時間インキュベート
して抗体を消化させた。これに3Mトリス塩酸緩衝液(pH
8.6 )を加えてpH7.0 とし、2mL に濃縮した後、この濃
縮液を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0 )で平衡化したスーパ
ーローズ12HR 16/50 カラム(ファルマシア社製)に通
し、F(ab')2 画分を得た。回収されたF(ab')2 の量は4.
5mgであった。
【0047】F(ab')2 画分を2mL に濃縮して、これに2
−メルカプトエチルアミンおよびEDTAをそれぞれ10mMお
よび0.5mM となるように添加し、37℃で90分間インキュ
ベートしてF(ab')2 を還元した。これを5mM EDTAを含有
する0.1Mリン酸緩衝液(pH 6.0)で平衡化したスーパー
ローズ12HR 16/50カラムに通して、Fab'画分を得たとこ
ろ、3.8mg のFab'が回収された。
【0048】HRP へのマレイミド基の導入は、10mgのHR
P を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0 )に溶解した後、これに
10mgのN −(ε−マレイミドカプロイルオキシ)−スク
シンイミドを1mL のN 、N −ジメチルホルムアミドに溶
解した溶液150 μL を添加して、30℃で60分間反応させ
ることにより行った。この反応生成液を0.1Mリン酸緩衝
液(pH 6.0)で平衡化してPD10カラム(ファルマシア社
製)に通して、マレイミド基を導入したHRP 画分を得
た。
【0049】前記によって調整された濃度1.5mg/mLのFa
b'溶液2mL に、濃度が3.6mg/mLのマレイミド基を導入し
たHRP を0.8mL 加えて、30℃で60分間反応させた。この
反応生成液を1.5 mLに濃縮し、この濃縮液を0.1Mリン酸
緩衝液(pH6.5 )で平衡化したスーパーローズ12HR 16/
50カラムに通して、10mLのHRP 標識Fab'画分を得た。な
お調整されたHRP 標識Fab'においてHRP とFab'との結合
モル比はほぼ1:1であった。
【0050】ARmAb36 を50mM炭酸緩衝液(pH9.5 )で10
μg/mLに調製し、これをイムノマイクロプレートの各ウ
ェルに200 μL づつ添加し、室温で2 時間かけて吸着さ
せた後、このイムノマイクロプレートをPBS で3 回洗浄
し、各ウェルにBSA-PBS を満たして室温で、1 時間ブロ
ッキングし抗体固定プレートを作成した。前記のように
して調整されたHRP 標識Fab'を200ng/mLになるようにBS
A-Tween20-PBS で希釈しこれを各ウェルに100 μL 添加
し、さらに各ウェルにBSA-Tween20-PBS 段階希釈した人
アルドース還元酵素溶液を100 μL 添加して、室温で2
時間放置し、ついでTween20-PBS で3 回洗浄した。各ウ
ェルに200 μL オルトフェニレンジアミン含有基質を加
え、室温で反応を30分間行った後、このプレートに4N
硫酸を100 μL 加え反応を停止させ、イムノリーダーNJ
-2000 を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測定し
た。人アルドース還元酵素濃度と490nm の吸光度の関係
を表7に示す。
【0051】
【表7】 表7 アルドース還元酵素 490nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.021 5 0.265 10 0.531 15 0.792 20 1.033 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0052】実施例7 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体お
よびポリクローナル抗体を用いた人アルドース還元酵素
の測定(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体
を用いるサンドイッチ法に基づくEIA ) 96穴のイムノマイクロプレート(Nunc-Immuno Plate 、
Maxi Sorp )の各ウェルに50mM 炭酸水素ナトリウム緩
衝液(pH 9.6)で希釈した5 μg/mLのモノクローナル抗
体ARmAb25 を50μL を入れ、シールして軽くミキサーで
撹拌後、4 ℃で5 時間以上静置し、抗体を固相化した。
本抗体液を除去後、純水で3 回洗浄し、各ウェルに100
μL のブロッキング液(170mM H3BO3 、120mM NaCl、0.
05% Tween 80 、1mM EDTA、0.25%ウシ血清アルブミ
ン、0.05% NaN3 (pH 8.5))を入れ、シールしてミキ
サーで撹拌後、室温で30分間静置した後、ブロッキング
液を除去し、純水で3 回洗浄した。
【0053】次にこの各ウェルに上記のブロッキング液
で希釈した人アルドース還元酵素50μL を加え、室温で
2 時間反応させた。このプレートを純水で3 回洗浄し、
各ウェルに100 μL のブロッキング液(組成は上記と同
じ)を入れシールしミキサーで軽く撹拌後、室温で10分
間静置した後、ブロッキング液を除去し、純水で3 回洗
浄した。その後、各ウェルに、実施例1で調整した4.5
μg /mLの酵素標識ポリクローナル抗体を50μL 加え、
室温で2 時間反応させ、ついで純水で3 回洗浄し、さら
に、100 μL のブロッキング液をいれ撹拌し、10分間静
置した後、純水で3 回洗浄した。最後にジエタノールア
ミン緩衝液(10mMジエタノールアミン、0.5mM MgCl2
pH 9.8)に溶解したp-nitorophenyl phosphate(1mg/m
L)とlevamisole(1mM )をそれぞれ各ウェルに50μL
入れ、シールしてミキサーで軽く撹拌後、27℃で1 時間
から3 時間(本抗原50ng/mL を添加したウェルの吸光度
が1.0 前後になるまで)静置し、イムノプレートリーダ
ーで各ウェルの405nm における吸光度を測定した。結果
を表8に示す。
【0054】
【表8】 表8 アルドース還元酵素 405nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.030 1 0.030 5 0.060 15 0.167 30 0.373 50 0.690 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0055】実施例8 糖尿病患者10人の赤血球中のアルドース還元酵素の測定 糖尿病患者の静脈よりヘパリン採血した全血0.5 〜1.0m
L にACD 液(組成は上記と同じ)を加え、4 ℃で保存し
たものを検体として用いた。それぞれの検体に10mLの氷
冷リン酸緩衝液(組成は上記と同じ)を加え混和後1,50
0 ×g で4 ℃、10分間遠心した上清を除き、さらに10mL
の氷冷リン酸緩衝液を加え同じ条件で遠心分離する操作
を2 回繰り返し、沈澱物(赤血球)を-80 ℃で凍結保存
した次に、凍結赤血球サンプルを溶解し、ドライアイ
ス、アセトンで再凍結させる操作を2 回行い、赤血球を
完全に溶血させた。その後、遠心分離を行い溶血液を得
た後、実施例2のポリクローナル抗体−ポリクローナル
抗体を用いるサンドイッチ法に基づくEIA (ポリ−ポリ
法)および実施例7のモノクローナル抗体−ポリクロー
ナル抗体を用いるサンドイッチ法に基づくEIA (モノ−
ポリ法)により溶血液中に含まれるアルドース還元酵素
量を測定した。また、溶血液に含まれるヘモグロビン量
をシアンメトヘモグロビン法(ヘモグロビン−テストワ
コ−、和光純薬)により測定した。結果を表9に示す。
【0056】
【表9】 ポリ−ポリ法: ポリクローナル抗体−ポリクローナル
抗体法 モノ−ポリ法: モノクローナル抗体−ポリクローナル
抗体法 赤血球中のアルドース還元酵素量はポリ−ポリ法および
モノ−ポリ法のいずれの方法でも測定が可能であった。
【発明の効果】本発明により、人アルドース還元酵素に
結合する新規な抗体およびこの抗体を使用して、たとえ
ば、血液および尿などの検体中の微量の人アルドース還
元酵素を、簡便にしかも正確に定量することが出来る免
疫測定が可能となった。
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 人アルドース還元酵素に結合する抗体
およびその使用法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人アルドース還元酵素
に結合することを特徴とする新規な抗体および該抗体を
使用する人アルドース還元酵素の測定方法に関する。本
発明の人アルドース還元酵素に結合する抗体を用いるこ
とにより、人アルドース還元酵素の機能および構造の解
析が可能となる。また、本発明の人アルドース還元酵素
に結合する抗体を使用して、組織、血中または尿中の人
アルドース還元酵素含量を測定し、その動向を把握する
ことは、基礎医学、臨床医学の領域において非常に重要
な意義を持つ。
【0002】
【従来の技術、本発明が解決しようとする課題】アルド
ース還元酵素[Alditol :NAD(P)+1-oxidoreductase 、
EC 1.1.1.21 ]はNAD(P)H 依存性アルドースケト還元酵
素の1 つであり、糖尿病合併症である神経症、腎症、網
膜症、白内障などの発症に関与するものとして注目され
ている(Gabbay, K. H., Merola, L. O. and Field, R.
A., Science, 第151 巻, 209-210 頁 (1966年) 、Robi
son, W. G. Jr., Kador, P. F. and Kinoshita, J. H.,
Science, 第221 巻, 1177-1179 頁 (1983年) 、Engerma
n, R. L. and Kern, T.S., Diabetes,第33巻, 97-100頁
(1984年) 、Nishimura, C., Lou, M. F. andKinoshit
a, J. H., J. Neurochem.,第49巻, 290-295 頁(1987
年) 、Kinoshita,J. H. and Nishimura, C., Diabetes
Metab. Rev., 第4 巻, 323-337 頁(1988年) )。
【0003】アルドース還元酵素は、グルコースからポ
リオールへの代謝経路に関与しており、この酵素によ
り、グルコースは、ソルビトールに還元され、さらに、
ソルビトールは、ソルビトール脱水素酵素によりフラク
トースに代謝される。糖尿病に伴う高血糖状態では、イ
ンスリン非依存性のグルコース取込みを行う組織の細胞
中に過剰のソルビトールがグルコースから産生される。
ソルビトールは、細胞膜の透過性が低く、またソルビト
ール脱水素酵素による代謝速度が遅いために、高血糖患
者の細胞では、ソルビトールが多量に蓄積される。この
蓄積されたソルビトールの細胞に対する高浸透圧の負荷
が、糖尿病合併症の発症の主要要因と考えられている。
そこで、糖尿病合併症の予防もしくは治療剤として、多
くのアルドース還元酵素阻害剤が開発されている[ Kad
or, R. F., Nakayama, T., Sato,S., Smar, M. and Mil
ler, D. D., “Weiner, H. and Flynn, T. G., eds Pr
ogress in Clinical and Biological Research Vol. 2
90, Enzymology and Molecular Biology of Carbonyl
Metabolosm 2, ” 237-250頁(1989 年) 、Alan R.Liss,
Inc., New York]。
【0004】一方、アルドース還元酵素の生理学的機能
は、依然として不明な点が多々あるが、腎臓・髄質細胞
の浸透圧調節に関わっている可能性も示唆されている
[Bagnasco, S. M., Uchida, S., Balaban, R. S., Kad
or, R. F. and Burg, M. B., Proc. Natl. Acad. Sci.,
(U.S.A), 第84巻, 1718-1720 頁(1987 年) ]。また、
近年、人の胎盤, 網膜および筋肉由来のアルドース還元
酵素の蛋白構造が報告され( Bohren, K. M., Bulloc
k, B., Wermuth, B. and Gabbay, K. H., J. Biol. Che
m., 第264 巻, 9547-9551 頁(1989 年), Nishimura,
C. Matsuura, Y., Kokai, Y., Akera, T., Carper, D.,
Morjana, N., Lyons, C. and Flynn, T. G., J. Biol.
Chem., 第265 巻, 9788−9792頁(1990 年) )、さら
に、人のアルドース還元酵素の遺伝子工学的製造法も報
告されている(Nishimura et al., Biochim. Biophys.
Acta., 第1078巻, 171 −178 頁(1991 年) )。
【0005】健常人の生体中のアルドース還元酵素の分
布、および糖尿病患者におけるアルドース還元酵素量、
さらに糖尿病合併症治療薬として開発されているアルド
ース還元酵素阻害剤の投与によるアルドース還元酵素量
の変化などを把握することは基礎医学、臨床医学の領域
において非常に重要な意味を持っている。そこで、組
織、血液あるいは尿中に存在する人アルドース還元酵素
の免疫測定に使用できる人アルドース還元酵素に特異的
に結合する抗体の開発および検体中の人アルドース還元
酵素を特異的にかつ簡便に高感度で測定できる方法の開
発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば人アルド
ース還元酵素に特異的に結合する抗体および該抗体を用
いる人アルドース還元酵素を簡便に高感度で測定できる
免疫測定法が提供されれる。本発明の人アルドース還元
酵素の抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノク
ローナル抗体のいずれでもよい。
【0007】ポリクローナル抗体は、人アルドース還元
酵素をウサギ、羊あるいはヤギに皮下免疫し、その血清
のIgG 分画を精製する従来行われている方法により得る
ことが出来る。
【0008】また、モノクローナル抗体も、以下に示す
従来行われている方法により得ることが出来る。たとえ
ば、人アルドース還元酵素を生理食塩水などで適当な濃
度に希釈し、完全フロイントアジュバントなどの懸濁液
とし、マウスあるいはラットに腹腔内注射などによって
投与する。投与は通常10〜100 μg の人アルドース還元
酵素を2 〜4 週毎に1 〜数回行う。最終免疫は通常10〜
100 μg の人アルドース還元酵素を含む生理食塩水溶液
を静脈注射することにより行う。最終免疫3 〜4 日後
に、脾臓を摘出し、その脾臓細胞とミエローマ細胞を融
合させ、ハイブリドーマを得る。ミエローマ細胞として
は、すでに公知の種々の細胞、たとえば、マウスにおけ
るSP-2、NS-1、P3-U1 、ラットにおけるY3.Ag1.2.3など
が使用される。脾細胞とミエローマ細胞の融合反応にお
いては、平均分子量1,000 〜6,000のポリエチレングリ
コール(PEG )などの融合促進剤やセンダイウィルス
(HVJ)などが使用される。脾臓細胞とミエローマ細胞
との使用比は、通常、ミエローマ細胞に対して、脾臓細
胞は1 〜10倍程度とされる。
【0009】所望のハイブリドーマの分離は、前記の細
胞融合処理後の細胞を、通常のハイブリドーマ選別用培
地(HAT 培地)で培養し、生育してくる細胞を得ればよ
い。すなわち、前記のミエローマ細胞は、ヒポキサンチ
ングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT
)欠損株であり、従って、HAT 培地(ヒポキサンチ
ン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培地)中で
は、生育できないので、生育できる細胞を選択すること
により、ハイブリドーマを得ることが出来る。目的の抗
体を産生するハイブリドーマは、通常の限界希釈法によ
り、目的とする抗体の産生株の検索および単一クローン
化が行われる。このようにして、得られた人アルドース
還元酵素のモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マは、通常の培地で継代培養でき、また液体窒素中で容
易に長時間の保存が可能である。このようにして得られ
たハイブリドーマは、栄養培地あるいは哺乳動物の腹腔
内で増殖させ、抗体を産生させることが出来、産生した
抗体は培養上清または用いた哺乳動物の腹水あるいは血
清より精製することが出来る。なお、抗体の精製は、遠
心分離、透析、硫酸アンモニウムなどによる塩析、DEAE
セルロースなどを用いるカラムクロマトグラフィー、ゲ
ル濾過、アフィニティークロマトグラフィーなどの一般
的な単離・精製方法を用いて行われる。このようにして
得られた本発明の人アルドース還元酵素に結合するモノ
クローナル抗体は人アルドース還元酵素に強い結合能を
有するものであり、さらに本発明のモノクローナル抗体
としては、人アルドース還元酵素の異なる抗原部位に結
合する複数のモノクローナル抗体がある。
【0010】抗体の生成に用いる人アルドース還元酵素
としては、人由来のものであれば特に限定されないが、
入手し易さの点から人胎盤由来のものが好ましく、さら
に純度の高いものが多量に得られる点から、遺伝子工学
的製造法が用いられる。つまり、バキュロウイルス発現
ベクターを利用して人アルドース還元酵素のcDNAをその
ゲノムDNA 中に含有する組み替えバキュロウィルスを
得、この組み換えウィルスを昆虫(Spodoptera frugipe
rda )細胞に感染させて人アルドース還元酵素を発現さ
せることにより人アルドース還元酵素を得ることが出来
る。
【0011】本発明の抗体を用いて酵素免疫検定法(EI
A )、蛍光免疫測定法(FIA )または放射線免疫検査法
(RIA )を行うことにより微量の人アルドース還元酵素
を特異的に、かつ正確に測定することが可能となった。
【0012】たとえば、EIA としては、「酵素免疫測定
法」(第2 版、石川栄治他著、医学書院、1982年)等に
記載されているそれ自体公知の方法を用いることができ
る。ここでは、サンドイッチ法および競合法のそれぞれ
に基づくEIA について簡単に説明する。なお、RIA の場
合においても、EIA と同様な原理によるものである。サ
ンドイッチ法によるEIA では、抗体を固相化(固相化一
次抗体)しておき、これに抗原(検体)を加え、抗原抗
体反応により抗原を固相化一次抗体に結合させる。次に
酵素を標識した抗体(酵素標識二次抗体)を入れ、抗原
抗体反応により、酵素標識二次抗体を上記の固相化一次
抗体に結合している抗原の上に結合させる。その後、抗
原に結合しなかった酵素標識二次抗体を除去し、基質を
加えて酵素反応を行い、既知量の抗原と二次抗体に標識
した酵素活性との関係を示す検量線から、検体中の抗原
量を求める。なお操作を簡単にするため、固相化一次抗
体に、抗原(検体)と酵素標識二次抗体とを同時に入れ
る方法(一段法サンドイッチ法EIA )も行われる。通
常、サンドイッチ法では、一次抗体と二次抗体とが互い
に認識部位の異なる抗体を組み合わせて用いられるが、
ポリクローナル抗体とポリクローナル抗体、モノクロー
ナル抗体とポリクローナル抗体あるいはモノクローナル
抗体とモノクローナル抗体の組合せが行われる。なお一
次抗体および二次抗体は、それぞれ、1 種でもよく、ま
た2 種以上の組合せでもよい。
【0013】競争法によるEIA では、抗原(検体)と一
定量の抗体と抗原抗体反応を行わせ、次に抗原とは結合
しなかった抗体を固相化抗原と抗原抗体反応を行わせ
る。固相化抗原に結合した抗体量を酵素標識抗体により
測定する。あるいは、抗原(検体)と予め一定量の酵素
を標識した抗体(以下標識抗体)とで抗原抗体反応を行
わせた後、抗原とは結合しないで残存した標識抗体と固
相化抗原とで抗原抗体反応を行わせ、その後固相に結合
した酵素量を測定する。酵素量の測定は、通常の方法に
より行うことが出来るが、いずれの場合も既知量の標準
抗原を用いて作成した検量線から検体中の抗原量を算出
することが出来る。または、一定量の酵素標識抗原と検
体との混合液を固相化抗体と接触させて、抗原抗体反応
を行わせ、標識抗原と非標識抗原とを競合させて抗体と
結合させる。その後、固相化抗体に結合した酵素標識抗
原量を、酵素の基質を加えて測定し、既知量の標準抗原
を用いて作成した検量線から検体の抗原量を算出する。
【0014】サンドイッチ法および競合法のそれぞれに
おいて、抗体をペプシンで消化して得られるF(ab')2 、
F(ab')2 を還元して得られたFab'、および抗体をパパイ
ンで消化して得られたFab などの、抗原に結合する抗体
フラグメントを抗体として、また、これらを標識した標
識抗体として使用することが出来る。
【0015】抗体および抗原のそれぞれに標識する酵素
としては、パーオキシダーゼ、β−D −ガラクトシダー
ゼ、アルカリフォスファターゼ、グリコースオキシダー
ゼなどがあり、「単クローン抗体」(岩崎辰夫 他著、
講談社 サイエンスティフィク(1984))、「酵素免疫測
定法」(第2 版、石川栄治他著、医学書院、1982年)な
どに記載されている方法で標識することが出来る。
【0016】一方、固相としては、シリコン、ナイロ
ン、プラスチック、ガラスからなるスティック、ビー
ス、マイクロプレートもしくは試験管などが利用でき
る。また、本発明における人アルドース還元酵素の抗体
は、組織、血液、尿などからの人アルドース還元酵素の
分離精製などにも使用することができる。以下、本発明
を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明
は、これに限定されるものではない。
【0017】
【実施例】 実施例1 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体お
よび酵素標識ポリクローナル抗体の調整 (1) 免疫に使用される抗原の調整 前記の西村等の方法[Nishimura et al., Biochim. Bio
phys. Acta、第1078巻、171 −178 頁(1991 年) ]に従
い、人アルドース還元酵素(以下、本抗原と記すことも
ある)10mgを得た。 (2) ポリクローナル抗体の作成 日本白色ウサギ(雌、2.0kg )に500 μg の人アルドー
ス還元酵素をFreund'scomplete adjuvant (FCA) と共
に皮下免疫し、3 週間飼育後、同量の人アルドース還元
酵素とFCA を追加免疫した。さらに2 週毎に2 回同様な
追加免疫を行ったのち、最終免疫から10日後に耳動脈よ
り採血した。血液を数時間室温にて静置後、4 ℃で一晩
置き、5000×g で10分間遠心分離を行い、その上清に終
濃度が0.02%となるようNaN3を添加して、血清標品を得
た。得られた血清標品からプロテインA カラム(Ampure
PA Kit 、Amersham)を用いて免疫グロブリンG (IgG
)分画を精製し、人アルドース還元酵素の抗体(以
下、本抗体と記す)を得た。
【0018】(3) ポリクローナル抗体の特異性 人由来のHeLa細胞株と人の組織の抽出物を対象として、
1 μg /mLの本抗体を用いてウエスタンプロット法によ
る解析を行ったところ、人アルドース還元酵素と同じ位
置に、抗体と反応する蛋白を認めた。
【0019】さらに、アルドース還元酵素の近縁酵素と
して人組織中に多量に存在するアルデヒド還元酵素に対
する本抗体の交差反応をウエスタンプロット法にて調べ
た。それぞれ人アルドース還元酵素0.1 μg 、人腎臓ア
ルデヒド還元酵素0.1 μg および0.2 μg をSDS ポリア
クリルアミド電気泳動を行った後、抗体を用いたウエス
タンブロット法による解析を行ったところ、人アルドー
ス還元酵素は検出されたが、人腎臓アルデヒド還元酵素
は検出されなかった。 (4) 酵素標識ポリクローナル抗体の調整 人アルドース還元酵素のポリクローナル抗体をリン酸緩
衝液(5mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH 7.5)に
て透析し、1mg/mLになるように希釈し、Immuno-Link AP
Labelling Kit(Cambridge Research Biochemicals, C
heshire CW9 7RA )の処方に従い、アルカリフォスファ
ターゼを標識した。4.5 μg /mLの酵素標識ポリクロー
ナル抗体を人アルドース還元酵素のEIA に用いた。
【0020】実施例2 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体を
用いた人アルドース還元酵素の測定 酵素免疫検定法(EIA,サンドイッチ法)の手順を以下に
示す。 [酵素免疫検定法(EIA,サンドイッチ法)の手順] (1) 96穴のイムノマイクロプレート(Nunc-Immuno Plat
e 、Maxi Sorp )の各ウェルに50μL の50mM炭酸水素ナ
トリウム緩衝液(pH 9.6)で希釈した5 μg/mLの実施例
1のポリクローナル抗体を入れ、シールして軽くミキサ
ーで撹拌後、4 ℃で5 時間以上静置し、抗体を固相化し
た。本抗体液を除去後、純水で3 回洗浄する。 (2) 各ウェルに100 μL のブロッキング液(170mM H3BO
3 、120mM NaCl、0.05%Tween 80 、1mM EDTA、0.25%
ウシ血清アルブミン、0.05% NaN3 (pH 8.5))を入
れ、シールしてミキサーで撹拌後、室温で30分間静置し
た後、ブロッキング液を除去し、純水で3 回洗浄する。
【0021】(3) 検体を4.5 μg /mLの酵素標識ポリク
ローナル抗体液で希釈して各ウェルに50μL 入れ、シー
ルし、プレートミキサーに固定し、1 晩撹拌する。反応
しなかった未反応物を除去後、純水で3回洗浄する。な
お、検体は2 倍希釈法にて2 〜3 段階希釈したものを用
いる。又、各プレート毎に、本抗原5-50ng/mL 溶液を入
れ、対照とする。 (4) 各ウェルに100 μL のブロッキング液(組成は、上
記と同じ)を入れシールしミキサーで軽く撹拌後、室温
で10分間静置した後、ブロッキング液を除去し、純水で
3 回洗浄する。
【0022】(5) 基質であるp-nitorophenyl phosphate
を1mg/mLおよび1mM levamisoleを含むジエタノールアミ
ン緩衝液(10mMジエタノールアミン、0.5mM MgCl2 、pH
9.8)を各ウェルに50μL 入れ、シールしてミキサーで
軽く撹拌後、27℃で1 時間から3 時間(本抗原50ng/mL
を添加したウェルの吸光度が1.0 前後になるまで)静置
する。イムノプレートリーダーで各ウェルの405nm にお
ける吸光度を測定し、本抗原の希釈溶液の測定値より作
成した標準曲線から各検体中の本抗原量を算出する。
【0023】上記の酵素免疫検定法により人アルドース
還元酵素と人腎臓アルデヒド還元酵素をそれぞれ5-50ng
/mL になるように希釈し、同一プレート上で反応を行っ
た。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】 表1 酵素免疫検定法によるアルドース還元酵素および アルデヒド還元酵素の測定(標準曲線) 検体 405nmにおける吸光度 アルドース還元酵素 0(ng/mL) 0.080 5 0.200 10 0.360 15 0.470 22 0.620 30 0.820 40 0.900 50 0.970 アルデヒド還元酵素 0(ng/mL) 0.080 5 0.080 10 0.090 15 0.090 22 0.090 30 0.100 40 0.100 50 0.110
【0025】人アルドース還元酵素は抗原濃度に依存し
て吸光度が増加したが、人アルデヒト還元酵素では、吸
光度の上昇が認められず、本定量法では検出されなかっ
た。この結果は、本定量系の人アルドース還元酵素に対
する特異性を示し、人アルドース還元酵素の測定法とし
て好ましいことが分かる。
【0026】実施例3 人アルドース還元酵素に結合するポリクローナル抗体を
用いた人赤血球中のアルドース還元酵素の測定 健康な21-37 才の男子7 名、女子5 名の静脈よりヘパリ
ン採血した全血0.5 −1.0 mLに等量のACD 液(acid−ci
trate −dextrose solution ;23mMクエン酸、44.9mMク
エン酸ナトリウム、81.7mMデキストロース)を加え、4
℃で保存したものを検体として用いた。それぞれの検体
に、10mLの氷冷リン酸緩衝液(組成は、上記と同じ)を
加え混和後、1,500 ×g で4 ℃、10分間遠心して上清を
除き、さらに10mLの氷冷リン酸緩衝液を加え同じ条件で
遠心分離しする操作を2 回繰り返し、沈澱物(赤血球)
を−80℃で凍結保存した。
【0027】次に凍結赤血球サンプルを融解し、ドライ
アイスアセトンで再凍結させる操作を2 回行い、赤血球
を完全に溶血させた。その後遠心分離を行い溶血液を得
たのち、実施例2の酵素免疫検定法により溶血液中に含
まれるアルドース還元酵素量を測定した。また、溶血液
に含まれるヘモグロビン量をシアンメトヘモグロビン法
(ヘモグロビン−テストワコー、和光純薬)により測定
した。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 表2 検体 A:アルドース還元酵素 B:ヘモグロビン A/B (ng/mL溶血液) (ng/mL溶血液) 男子 1 815 248 3.28 2 1,810 227 7.97 3 784 246 3.19 4 773 194 3.99 5 910 225 4.04 6 1,066 197 5.41 7 1,269 184 6.90 女子 1 953 254 3.75 2 800 225 3.55 3 1,067 233 4.58 4 1,342 200 6.71 5 759 239 3.18 アルドース還元酵素量は、個体差により750ng −1800ng
/mL溶血液と大幅に異なっており、ヘモグロビンに対す
る相対値も3ng −8ng /mgヘモグロビンと異なってい
た。
【0029】実施例4 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体の
調整 (1) 免疫に使用される抗原の調製 実施例1と同様にして調整した。 (2) 免疫脾細胞の調製 6 〜8 週齢の雄Balb/cマウス の腹腔内に人アルドース還元
酵素50μg と完全フロイントアジュバント(Complete F
reund's adjyuvant )とのエマルジョンを投与した。さ
らに3 週後に、人アルドース還元酵素50μg を含む生理
食塩水溶液を静脈に投与した。最終免疫の3 日後にマウ
スを屠殺し、脾臓を摘出し細胞融合に用いた。 (3) ハイブリドーマの調製 脾臓をピンセットでほぐして得られた細胞を、RPMI-164
0 培地「ニッスイ」(日水製薬製)にL-グルタミン0.
29g/L 、ピルビン酸0.11g/L 、硫酸カナマイシン 0.06
g/L 、結晶ペニシリンG ・ K 0.06 g/LおよびNaHCO3 1.2
g/L を加えた培地(以下RPMI-1640 培地と記す)に懸濁
し、これをナイロンメッシュに通過させ、単細胞浮遊液
を得た。この単細胞浮遊液を、0.83%塩化アンモニウム
溶液(9容量部)と0.17 Mトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタン塩酸緩衝液(pH7.6)[1 容量部]との混
液で4 ℃で2 分間処理し、単細胞浮遊液中の赤血球を破
壊し、遠心分離で取り除いた。
【0030】10%ウシ胎仔血清添加RPMI-1640 培地(以
下10%FCS-RPMI-1640 培地と記す)で培養した対数増殖
のマウスミエローマ細胞SP-2をRPMI-1640 培地で2 回洗
浄した。脾細胞とこのマウスミエローマ細胞SP-2とを5:
1 の比率でRPMI-1640 培地に懸濁し均一にした後、遠心
分離により細胞を回収し、その細胞を水溶液中で37℃に
加温した。
【0031】この細胞に、予め37℃に加温した平均分子
量1500の50%ポリエチレングリコール溶液(ベーリンガ
ー・マンハイム山之内製薬製)2.0mL を1 分間かけて徐
々に加え、さらに1 分間細胞融合反応を行った。この混
合液に、RPMI-1640 培地10mLを4 分間かけて滴下して細
胞融合反応を停止させ、これを遠心分離して細胞を得
た。この細胞を5 ×106 細胞/mLの濃度になるように10
%FCS-RPMI-1640 培地に懸濁し、ついで96穴マイクロウ
ェルプレート(コーニング社製)の各ウェルに、この懸
濁液を100 μL づつ分注した。このプレートを5.5 %炭
酸ガス含有雰囲気中で37℃で1 日培養した後、4 ×10-7
M アミノプテリン、1.6 ×10-5M チミジンおよび1 ×10
-4M ヒポキサンチンを含有する10%FCS-RPMI-1640 培地
(以下HAT培地と記す)100 μL を各ウェルに添加し
た。1 日後、各ウェルから半量の培地を吸引除去し、次
いでHAT 培地を100 μL 添加した。その後、2 日または
3 日毎に半量の培地を新たな培地と交換し、培養を続け
た。細胞融合10日後にハイブリドーマ細胞の増殖が認め
られた。
【0032】(4) 人アルドース還元酵素に結合するモノ
クローナル抗体産生ハイブリドーマの選別 ハイブリドーマ培養上清中の人アルドース還元酵素に結
合する抗体のスクリーニングは、人アルドース還元酵素
を固定したマイクロプレートを用いてEIA により行っ
た。人アルドース還元酵素の固定は96穴イムノマイクロ
プレート(ヌンク社製)の各ウェルに0.5 μg/mLとなる
よう0.15M NaCl含有0.01M リン酸緩衝液(pH7.4 )(以
下PBS と記す)に溶解した人アルドース還元酵素溶液10
0 μL を添加し、室温で2 時間吸着させた。このプレー
トをPBS で5 回洗浄後、各ウェルに0.2 %ウシ血清アル
ブミンおよび0.05%Tween 20を含むPBS 溶液(以下BSA
−Tween 20-PBSと記す)を加え、蛋白の非特異的吸着が
起こらないように各ウェルを完全にブロックした。
【0033】各ウェルに、前記(3) のようにして得られ
たハイブリドーマ培養上清のPBS による希釈液100 μL
を添加し、室温で1 時間反応させ、ウェルに固定化した
酵素にモノクローナル抗体を結合させた。酵素に結合し
たモノクローナル抗体の検出は、ベクタスティンABC キ
ット(ベクターラボラトリーズ社製)を用いた。すなわ
ち、プレートを0.05%Tween 20含有PBS (以下 Tween 2
0-PBS と記す)で5 回洗浄後、ビオチン化ヤギ抗マウス
イムノグロブリン抗血清(BSA −Tween 20-PBS溶液)を
100 μL 添加して、1 時間反応させ、次いでTween 20-P
BSで洗浄後、100 μL のアビジン化パーオキシダーゼ
(BSA −Tween 20-PBS溶液)を添加し、20分間反応させ
た。このプレートをTween 20-PBSで5 回洗浄後、各ウェ
ルに0.03%H2O2 と1mg/ のオルトフェニレンジアミン
二塩酸塩を含む100mM クエン酸緩衝液(pH 5.0)との等
量混合液を100 μL 加え、室温で10分間インキュベート
した。その後、各ウェルに2N硫酸を100 μL 加えて反応
を停止させ、イムノリーダーNJ-2000 (インターメッド
社製)を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測定し
た。
【0034】融合細胞を入れた合計712 ウェルのうち、
661 ウェルにハイブリドーマの増殖が認められ、このう
ち人アルドース還元酵素に結合する抗体産生陽性ウェル
は89個であった。特に抗体活性が強かった40ウェルにつ
いてハイブリドーマのクローニングを行った。 (5) 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗
体産生ハイブリドーマのクローニング 人アルドース還元酵素に結合する抗体活性を持つハイブ
リドーマの培養液を、Balb/cマウスの胸腺細胞をフィー
ダー層(1 ×107 細胞/mL)とした24穴平底マイクロプ
レート(コーニング社製)に移した。増殖してきたハイ
ブリドーマを、Balb/cマウスの胸腺細胞をフィーダー層
(1 ×107 細胞/mL)とした96穴マイクロプレートを用
いて限界希釈法によりクローニングした。クローニング
操作を2回行い、合計18個のクローンを得た。
【0035】(6) 人アルドース還元酵素に結合するモノ
クローナル抗体の精製 10日前および3 日前に各々0.5mL のブリスタンを腹腔内
に投与されたBalb/cマウスの腹腔内に前記(5) で得られ
た人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体
産生ハイブリドーマ細胞 2〜5 ×106 個を移植した。約
1 週間後、マウスの腹腔より腹水を採取し、その腹水か
らモノクローナル抗体を50%飽和硫酸アンモニウム溶液
により塩析した粗抗体を得た。この不純物を含むモノク
ローナル抗体を少量のPBS に溶解し、アフィゲルプロテ
インA-MAPSキット(バイオラッド社製)を用いて分離
し、さらに、抗体溶液をPBS に透析して、精製し、4 ℃
で保存した。腹水1mL あたり0.5 〜10mgの精製抗体を得
た。
【0036】実施例5 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体の
特性 (1) モノクローナル抗体の免疫グロブリンサブクラスの
同定 精製した抗体の免疫グロブリンのサブクラスを羊マウス
イムノグロブリンクラス特異的抗血清(メロイラボラト
リー社製)を用いてオクタローニー法で同定した。結果
を表3に示す。
【0037】
【表3】 表3 抗体 免疫グロブリンサブクラス ARmAb 2 IgG1 ARmAb 3 IgM ARmAb 5 IgG1 ARmAb 7 IgG1 ARmAb 9 IgG1 ARmAb11 IgG1 ARmAb19 IgG1 ARmAb20 IgG1 ARmAb21 IgG1 ARmAb22 IgG1 ARmAb23 IgG1 ARmAb25 IgG1 ARmAb26 IgM ARmAb29 IgG1 ARmAb30 IgG1 ARmAb35 IgG1 ARmAb36 IgG1 ARmAb37 IgG1 ARmAb3およびARmAb26 以外のすべてのモノクローナル抗
体は、いずれもIgG1であった。
【0038】(2) 人アルドース還元酵素および人アルデ
ヒド還元酵素との反応性 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体と
人アルドース還元酵素および人アルデヒド還元酵素との
反応性は、人アルドース還元酵素または人アルデヒド還
元酵素を固定したマイクロプレートを用いてEIA により
調べた。人アルドース還元酵素あるいは人アルデヒド還
元酵素のマイクロプレートへの固定は、実施例4の(4)
と同様な方法により行い、これにBSA-Tween20-PBS に溶
解したモノクローナル抗体(0.1 μg/mL〜 100μg/mL)
を100 μL 添加し、室温で1 時間インキュベートした。
人アルドース還元酵素あるいは人アルデヒド還元酵素を
固定したマイクロプレートに結合した抗体の検出は、ベ
クタスティンABC キットを用いる実施例4の(4) と同様
な方法で行った。人アルドース酵素を固定したマイクロ
プレートに0.1 μg/mLのモノクローナル抗体を添加した
結果ならびに人アルデヒド還元酵素を固定したマイクロ
プレートに100 μg/mLのモノクローナル抗体を添加した
結果を表4に示す。
【0039】
【表4】 表4 490nmの吸光度 ARmAb アルドース還元酵素 アルデヒド還元酵素 (AR) (ALR) 2 2.63 0.00 36 0.67 0.00 25 1.99 0.00 21 2.15 0.00 37 1.67 0.41 19 1.01 0.37 35 0.83 0.31 7 0.48 0.71 ARmA b2、ARmAb36 、ARmAb25 およびARmAb21 は人アルドース
還元酵素に結合し、人アルデヒド還元酵素には結合しな
い抗体であり、ARの特異的測定には好ましい抗体であっ
た。一方、ARmAb37 、19、35、7 はわずかながら人アル
デヒド還元酵素に結合する抗体であった。
【0040】(3) モノクローナル抗体の人アルドース還
元酵素に対する結合部位の異同 抗体の人アルドース還元酵素に対する結合部位の異同を
決定するため、それぞれの抗体を西洋ワサビパーオキシ
ダーゼ(以下HRP と記す)で標識し、人アルドース還元
酵素に対して各非標識抗体と競合反応を行わせ、阻害の
有無からそれぞれの抗体の人アルドース還元酵素への結
合部位の異同を調べた。抗体へのHRP の標識は、過ヨウ
素酸酸化法(単クローン抗体、岩崎辰夫他著、講談社、
サイエンスティフィク、1984年)を用いて行った。
【0041】(標識抗体)4mg のHRP (東洋紡製)を1m
L の蒸留水に溶かした溶液に200 μL の0.1M過ヨウ素酸
ナトリウムを加え、室温で20分間反応させた。次いでこ
の反応生成液を、1mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.4)
に対して4 ℃で1 晩透析を行い、この透析内液に、0.2M
炭酸ナトリウム溶液20μL を加えpHを9.0 に調整し、こ
の溶液に、各抗体を5mg/mLになるように0.01M 炭酸ナト
リウム緩衝液(pH9.5 )に溶解した抗体液を直ちに加え
室温で2 時間撹拌し、その後氷冷し、0.1mL のNaBH4
を加え、4℃で2時間反応させた。この反応生成液をPB
S に対して4 ℃で1 晩透析し、この透析内液をPBS で平
衡化したスーパーローズ12カラム(ファルマシア製)で
ゲル濾過を行い、280nm と403nm の両方に吸収を有する
画分を得た。この画分はHRP で標識された抗体の画分で
あり、未反応のHRP および抗体を除去することが出来
る。得られたいずれの抗体も同様に標識され、人アルド
ース還元酵素に対する結合活性は維持されていた。
【0042】(競合反応)イムノマイクロプレートの各
ウェルに、人アルドース還元酵素のPBS 溶液(0.2 μg/
mL)を100 μL 添加し、室温で2 時間吸着させた。この
プレートをPBS で3 回洗浄後、各ウェルにBSA-PBS を加
え、ウェルへの蛋白の非特異的吸着が起こらぬようウェ
ルを完全にブロックした。各ウェルへ、HRP 標識抗体を
100 μL と0.2 %BSA を含むTween 20-PBS(BSA-Tween
20-PBSと記す)で段階希釈した非標識抗体(0 〜1mg/m
L)を100 μL 同時に加え、室温で1 時間抗原抗体反応
を行った後、このプレートをTween 20-PBSで4 回洗浄し
た。各ウェルへ100 μL のオルトフェニレンジアミン含
有基質(H2O2とオルトフェニレンジアミン二塩酸塩と
を、それぞれの濃度が0.015 %および1mg/mLとなるよう
に100mM クエン酸緩衝液(pH5.0 )に溶解した液、以下
同様)を添加し、室温で30分間反応を行わせ、2N硫酸10
0 μL を添加して反応を停止させた。反応液の490nm の
吸光度を、イムノリーダーNJ-2000 で測定した。結果を
表5に示す。
【0043】
【表5】 ARmAb2およびARmAb36 は他のどの抗体とも競合せず、他
の6種類のモノクローナル抗体は互いに競合した。以上
の結果より、ARmAb7、 ARmAb19、ARmAb21 、 ARmAb25、
ARmAb35およびARmAb37 はそれぞれ人アルドース還元酵
素の同じ部位又は非常に近接した部位に結合する抗体で
あり、一方ARmAb2およびARmAb36 はこれらのモノクロー
ナル抗体とは異なる部位に結合するモノクローナル抗体
であった。
【0044】実施例6 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体を
用いた人アルドース還元酵素の測定(サンドイッチ法に
基づくEIA ) サンドイッチ法において、モノクローナル抗体を一次抗
体(固相へ結合する抗体)と二次抗体(酵素標識抗体)
との両方に用いる場合に、通常、同じ抗体同士、または
抗原への結合部位が類似している抗体同士の組合せで
は、実質的に測定不能であるが、実施例5の(3) の抗体
の競合阻害実験の結果より、使用可能な抗体の組合せが
判定できる。
【0045】以下に一次抗体として、ARmAb21 、二次抗
体としてHRP で標識したARmAb36 を使用した例および一
次抗体としてARmAb36 、二次抗体としてHRP で標識した
ARmAb25 のFab'フラグメントを使用した例を示す。この
他の抗体の組合せでも同様にして、人アルドース還元酵
素の測定は可能であった。 (a) 二段法サンドイッチEIA ARmAb21 をPBS で5 μg/mLに調製し、イムノマイクロプ
レートの各ウェルに100 μL づつ添加して、室温で2 時
間吸着させた後、PBS で3 回洗浄し、このウェルを非特
異的吸着が起こらないように、BSA-PBS で室温で1 時間
ブロッキングした。
【0046】次にこのウェルにBSA-Tween 20-PBSで希釈
した人アルドース還元酵素100 μLを加え、室温で2 時
間反応させ、このプレートをTween 20-PBSで3 回洗浄し
た。この後、各ウェルに、実施例5の(3) と同様にして
HRP に標識したARmAb36 をBSA-Tween 20-PBSで1 μg/mL
になるように希釈し、これを各ウェルに100 μL 加え室
温で2 時間反応させ、ついでBSA-Tween 20-PBS、で3 回
洗浄した。これに100μL のオルトフェニレンジアミン
含有基質を加え室温で30分間反応させた。このウェルに
2N硫酸を100 μL 加えて反応を停止させ、イムノリーダ
ー NJ-2000を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測
定した。結果を表6に示す。
【0047】
【表6】 表6 アルドース還元酵素 490nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.004 1 0.065 5 0.355 10 0.750 15 1.148 20 1.528 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0048】(b) 一段法サンドイッチEIA 固相に結合する一次抗体としてARmAb36 、二次抗体とし
てHRP で標識したARmAb25 のペプシン消化Fab'フラグメ
ント(以下HRP 標識Fab'と記す)を使用した人アルドー
ス還元酵素の一段サンドイッチ免疫測定法の例を示す。 (HRP 標識Fab'の調製)ARmAb25 を2mg/mL含むPBS 溶液
10mLに1Mクエン酸緩衝液(pH3.2 )を添加して、pH4.0
に調整した。これに、250 μg のブタ胃粘膜ペプシン
(シグマ社製)を添加し、37℃で12時間インキュベート
して抗体を消化させた。これに3Mトリス塩酸緩衝液(pH
8.6 )を加えてpH7.0 とし、2mL に濃縮した後、この濃
縮液を0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0 )で平衡化したスーパ
ーローズ12HR 16/50 カラム(ファルマシア社製)に通
し、F(ab')2 画分を得た。回収されたF(ab')2 の量は4.
5mgであった。
【0049】F(ab')2 画分を2mL に濃縮して、これに2
−メルカプトエチルアミンおよびEDTAをそれぞれ10mMお
よび0.5mM となるように添加し、37℃で90分間インキュ
ベートしてF(ab')2 を還元した。これを5mM EDTAを含有
する0.1Mリン酸緩衝液(pH 6.0)で平衡化したスーパー
ローズ12HR 16/50カラムに通して、Fab'画分を得たとこ
ろ、3.8mg のFab'が回収された。
【0050】HRP へのマレイミド基の導入は、10mgのHR
P を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0 )に溶解した後、これに
10mgのN −(ε−マレイミドカプロイルオキシ)−スク
シンイミドを1mL のN 、N −ジメチルホルムアミドに溶
解した溶液150 μL を添加して、30℃で60分間反応させ
ることにより行った。この反応生成液を0.1Mリン酸緩衝
液(pH 6.0)で平衡化してPD10カラム(ファルマシア社
製)に通して、マレイミド基を導入したHRP 画分を得
た。
【0051】前記によって調整されたFab'の1.5mg/mL溶
液2mL に、濃度が3.6mg/mLのマレイミド基を導入したHR
P を0.8mL 加えて、30℃で60分間反応させた。この反応
生成液を1.5 mLに濃縮し、この濃縮液を0.1Mリン酸緩衝
液(pH6.5 )で平衡化したスーパーローズ12HR 16/50カ
ラムに通して、10mLのHRP 標識Fab'画分を得た。なお調
整されたHRP 標識Fab'においてHRP とFab'との結合モル
比はほぼ1:1であった。
【0052】ARmAb36 を50mM炭酸緩衝液(pH9.5 )で10
μg/mLに調製し、これをイムノマイクロプレートの各ウ
ェルに200 μL づつ添加し、室温で2 時間かけて吸着さ
せた後、このイムノマイクロプレートをPBS で3 回洗浄
し、各ウェルにBSA-PBS を満たして室温で、1 時間ブロ
ッキングし抗体固定プレートを作成した。前記のように
して調整されたHRP 標識Fab'を200ng/mLになるようにBS
A-Tween20-PBS で希釈しこれを各ウェルに100 μL 添加
し、さらに各ウェルにBSA-Tween20-PBS 段階希釈した人
アルドース還元酵素溶液を100 μL 添加して、室温で2
時間放置し、ついでTween20-PBS で3 回洗浄した。各ウ
ェルに200 μL オルトフェニレンジアミン含有基質を加
え、室温で反応を30分間行った後、このプレートに4N
硫酸を100 μL 加え反応を停止させ、イムノリーダーNJ
-2000 を用いて、反応生成液の490nm の吸光度を測定し
た。人アルドース還元酵素濃度と490nm の吸光度の関係
を表7に示す。
【0053】
【表7】 表7 アルドース還元酵素 490nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.021 5 0.265 10 0.531 15 0.792 20 1.033 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0054】実施例7 人アルドース還元酵素に結合するモノクローナル抗体お
よびポリクローナル抗体を用いた人アルドース還元酵素
の測定(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体
を用いるサンドイッチ法に基づくEIA ) 96穴のイムノマイクロプレート(Nunc-Immuno Plate 、
Maxi Sorp )の各ウェルに50mM 炭酸水素ナトリウム緩
衝液(pH 9.6)で希釈した5 μg/mLのモノクローナル抗
体ARmAb25 を50μL を入れ、シールして軽くミキサーで
撹拌後、4 ℃で5 時間以上静置し、抗体を固相化した。
本抗体液を除去後、純水で3 回洗浄し、各ウェルに100
μL のブロッキング液(170mM H3BO3 、120mM NaCl、0.
05% Tween 80 、1mM EDTA、0.25%ウシ血清アルブミ
ン、0.05% NaN3 (pH 8.5))を入れ、シールしてミキ
サーで撹拌後、室温で30分間静置した後、ブロッキング
液を除去し、純水で3 回洗浄した。
【0055】次にこの各ウェルに上記のブロッキング液
で希釈した人アルドース還元酵素50μL を加え、室温で
2 時間反応させた。このプレートを純水で3 回洗浄し、
各ウェルに100 μL のブロッキング液(組成は上記と同
じ)を入れシールしミキサーで軽く撹拌後、室温で10分
間静置した後、ブロッキング液を除去し、純水で3 回洗
浄した。その後、各ウェルに、実施例1で調整した4.5
μg /mLの酵素標識ポリクローナル抗体を50μL 加え、
室温で2 時間反応させ、ついで純水で3 回洗浄し、さら
に、100 μL のブロッキング液をいれ撹拌し、10分間静
置した後、純水で3 回洗浄した。最後にジエタノールア
ミン緩衝液(10mMジエタノールアミン、0.5mM MgCl2
pH 9.8)に溶解したp-nitorophenyl phosphate(1mg/m
L)とlevamisole(1mM )をそれぞれ各ウェルに50μL
入れ、シールしてミキサーで軽く撹拌後、27℃で1 時間
から3 時間(本抗原50ng/mL を添加したウェルの吸光度
が1.0 前後になるまで)静置し、イムノプレートリーダ
ーで各ウェルの405nm における吸光度を測定した。結果
を表8に示す。
【0056】
【表8】 表8 アルドース還元酵素 405nmの吸光度 (ng/mL) 0 0.030 1 0.030 5 0.060 15 0.167 30 0.373 50 0.690 人アルドース還元酵素と吸光度は直線性を示した。
【0057】実施例8 糖尿病患者10人の赤血球中のアルドース還元酵素の測定 糖尿病患者の静脈よりヘパリン採血した全血0.5 〜1.0m
L にACD 液(組成は上記と同じ)を加え、4 ℃で保存し
たものを検体として用いた。それぞれの検体に10mLの氷
冷リン酸緩衝液(組成は上記と同じ)を加え混和後1,50
0 ×g で4 ℃、10分間遠心した上清を除き、さらに10mL
の氷冷リン酸緩衝液を加え同じ条件で遠心分離する操作
を2 回繰り返し、沈澱物(赤血球)を-80 ℃で凍結保存
した次に、凍結赤血球サンプルを溶解し、ドライアイ
ス、アセトンで再凍結させる操作を2 回行い、赤血球を
完全に溶血させた。その後、遠心分離を行い溶血液を得
た後、実施例2のポリクローナル抗体−ポリクローナル
抗体を用いるサンドイッチ法に基づくEIA (ポリ−ポリ
法)および実施例7のモノクローナル抗体−ポリクロー
ナル抗体を用いるサンドイッチ法に基づくEIA (モノ−
ポリ法)により溶血液中に含まれるアルドース還元酵素
量を測定した。また、溶血液に含まれるヘモグロビン量
をシアンメトヘモグロビン法(ヘモグロビン−テストワ
コ−、和光純薬)により測定した。結果を表9に示す。
【0058】
【表9】 ポリ−ポリ法: ポリクローナル抗体−ポリクローナル
抗体法 モノ−ポリ法: モノクローナル抗体−ポリクローナル
抗体法 赤血球中のアルドース還元酵素量はポリ−ポリ法および
モノ−ポリ法のいずれの方法でも測定が可能であった。
【0059】
【発明の効果】本発明により、人アルドース還元酵素に
結合する新規な抗体およびこの抗体を使用して、たとえ
ば、血液および尿などの検体中の微量の人アルドース還
元酵素を、簡便にしかも正確に定量することが出来る免
疫測定が可能となった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 浦上 貞治 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱瓦斯化学株式会社本社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人アルドース還元酵素に結合することを
    特徴とする抗体。
  2. 【請求項2】 人アルドース還元酵素に結合することを
    特徴とする抗体を使用する人アルドース還元酵素の測定
    法。
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