JPH05311346A - 高クリープ強度を有するフェライト系耐熱鋼 - Google Patents
高クリープ強度を有するフェライト系耐熱鋼Info
- Publication number
- JPH05311346A JPH05311346A JP12230592A JP12230592A JPH05311346A JP H05311346 A JPH05311346 A JP H05311346A JP 12230592 A JP12230592 A JP 12230592A JP 12230592 A JP12230592 A JP 12230592A JP H05311346 A JPH05311346 A JP H05311346A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、高温におけるクリープ破断特性お
よび靱性の優れたフェライト系Cr含有W添加ボイラ鋼
管用鋼を提供するものである。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.15%、S
i:0.01〜0.80%、Mn:0.05〜1.50
%、Cr:8.00〜13.00%、W:0.05〜
4.00%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.0
2〜0.15%、Al:0.002〜0.050%、
N:0.010〜0.110%を含有し、Co:0.0
1〜5.00%、Cu:0.01〜5.00%の1種ま
たは2種を含有し、あるいはさらにB:0.001〜
0.030%を含有し、かつ上記成分範囲のW、Co、
Cu、CおよびNが、1.5W−2Co−Cu≦40C
+30Nの関係式を満足することを特徴とする高温強度
ならびに靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
よび靱性の優れたフェライト系Cr含有W添加ボイラ鋼
管用鋼を提供するものである。 【構成】 重量%で、C:0.01〜0.15%、S
i:0.01〜0.80%、Mn:0.05〜1.50
%、Cr:8.00〜13.00%、W:0.05〜
4.00%、V:0.05〜0.50%、Nb:0.0
2〜0.15%、Al:0.002〜0.050%、
N:0.010〜0.110%を含有し、Co:0.0
1〜5.00%、Cu:0.01〜5.00%の1種ま
たは2種を含有し、あるいはさらにB:0.001〜
0.030%を含有し、かつ上記成分範囲のW、Co、
Cu、CおよびNが、1.5W−2Co−Cu≦40C
+30Nの関係式を満足することを特徴とする高温強度
ならびに靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェライト系耐熱鋼に
関するものであり、さらに詳しくは高温におけるクリー
プ破断特性および靱性の優れたフェライト系Cr含有ボ
イラ鋼管用鋼に関するものである。
関するものであり、さらに詳しくは高温におけるクリー
プ破断特性および靱性の優れたフェライト系Cr含有ボ
イラ鋼管用鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電においては熱効率を向上
させる観点から蒸気条件の高温高圧化が進められ、現行
の超臨界圧条件から中間ステップを経て超々臨界圧条件
に引き上げる計画が推進されている。このような発電条
件の動向に伴い、ボイラ管等の材料選択において、耐酸
化性と高温強度の観点から現在使用されている2・1/4
Cr−1Mo鋼では適用が難かしい。一方、オーステナ
イト系耐熱鋼の適用が考えられるが、コストアップ等の
問題がある。したがって、この二者の間に位置する高強
度高靱性のフェライト系耐熱鋼の開発が望まれている。
させる観点から蒸気条件の高温高圧化が進められ、現行
の超臨界圧条件から中間ステップを経て超々臨界圧条件
に引き上げる計画が推進されている。このような発電条
件の動向に伴い、ボイラ管等の材料選択において、耐酸
化性と高温強度の観点から現在使用されている2・1/4
Cr−1Mo鋼では適用が難かしい。一方、オーステナ
イト系耐熱鋼の適用が考えられるが、コストアップ等の
問題がある。したがって、この二者の間に位置する高強
度高靱性のフェライト系耐熱鋼の開発が望まれている。
【0003】このような事情に鑑み、クリープ破断強度
が従来材を大幅に上回る新しい鋼種が開発され提案が行
われている。これまで9Cr−1Mo鋼および9Cr−
2Mo鋼などの高Crフェライト系耐熱鋼が提案されて
いるが、これらは何れも上記の超々臨界圧蒸気条件では
クリープ破断強度の点から適用が難しい。これらの要求
特性を向上させた鋼が開発され、(Mo+W)とNb量
の関係を定めてクリープ特性と靱性の向上を図ること
が、特開昭61−69948号公報、特開昭61−23
1139号公報、特開昭62−297435号公報、特
開昭62−297436号公報において開示されてい
る。また、クリープ強度の向上に最適範囲のW、Nb添
加が有効なことが、特開昭63−89644号公報にお
いて開示されている。
が従来材を大幅に上回る新しい鋼種が開発され提案が行
われている。これまで9Cr−1Mo鋼および9Cr−
2Mo鋼などの高Crフェライト系耐熱鋼が提案されて
いるが、これらは何れも上記の超々臨界圧蒸気条件では
クリープ破断強度の点から適用が難しい。これらの要求
特性を向上させた鋼が開発され、(Mo+W)とNb量
の関係を定めてクリープ特性と靱性の向上を図ること
が、特開昭61−69948号公報、特開昭61−23
1139号公報、特開昭62−297435号公報、特
開昭62−297436号公報において開示されてい
る。また、クリープ強度の向上に最適範囲のW、Nb添
加が有効なことが、特開昭63−89644号公報にお
いて開示されている。
【0004】これらの鋼は従来の耐熱鋼にWを添加し、
固溶強化、析出強化によりクリープ強度を飛躍的に高め
た鋼であるが、靱性についての配慮に欠けていた。
固溶強化、析出強化によりクリープ強度を飛躍的に高め
た鋼であるが、靱性についての配慮に欠けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事情を踏
まえて、本発明は超々臨界圧ボイラなどで使用できるよ
うな高強度、高靱性を有するフェライト耐熱鋼を提供す
ることを目的とする。
まえて、本発明は超々臨界圧ボイラなどで使用できるよ
うな高強度、高靱性を有するフェライト耐熱鋼を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達
成するために、合金成分の最適化をはかり、Wの添加量
を適正化すると同時に、CoおよびCuの積極的な利用
等により、高温強度と靱性の優れたフェライト系耐熱鋼
を提供するものである。すなわち、本発明の要旨とする
ところは下記のとおりである。
成するために、合金成分の最適化をはかり、Wの添加量
を適正化すると同時に、CoおよびCuの積極的な利用
等により、高温強度と靱性の優れたフェライト系耐熱鋼
を提供するものである。すなわち、本発明の要旨とする
ところは下記のとおりである。
【0007】(1) 重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110% を含有し、さらに Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00% の1種または2種を含有し、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 O :0.015%以下 に制限し、残部がFeおよび不可避の不純物よりなり、
かつ上記成分範囲のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
かつ上記成分範囲のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
【0008】(2) 重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110% を含有し、さらに B :0.001〜0.030%、 かつ Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00% の1種または2種を含有し、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 O :0.015%以下 に制限し、残部がFeおよび不可避の不純物よりなり、
かつ上記成分範囲のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
かつ上記成分範囲のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
【0009】
【作用】以下、本発明の各成分の含有量の限定理由につ
いて説明する。Cは主にMC(Mは合金元素を指す、以
下も同じ)およびM23C6 型の炭化物として析出し、強
度および靱性に大きな影響を及ぼす。0.01%未満で
は析出量が少なく、析出強化に不十分であり、0.15
%超では靱性が低下するとともに、炭化物の凝集粗大化
が促進され、高温長時間側のクリープ破断強度を低下さ
せるので、0.01〜0.15%に限定する。
いて説明する。Cは主にMC(Mは合金元素を指す、以
下も同じ)およびM23C6 型の炭化物として析出し、強
度および靱性に大きな影響を及ぼす。0.01%未満で
は析出量が少なく、析出強化に不十分であり、0.15
%超では靱性が低下するとともに、炭化物の凝集粗大化
が促進され、高温長時間側のクリープ破断強度を低下さ
せるので、0.01〜0.15%に限定する。
【0010】Siは脱酸効果、強度確保および耐酸化性
のために添加されるが、靱性に悪影響を及ぼす元素であ
る。したがって、脱酸、強度、耐酸化性の点から下限を
0.01%とし、靱性の点から上限を0.80%とし
た。Mnは脱酸のためのみでなく、強度の改善に必要な
元素であり、最低0.05%以上の添加が必要である。
しかし、過剰な添加は高温強度および靱性を低下させる
ため上限を1.50%とした。
のために添加されるが、靱性に悪影響を及ぼす元素であ
る。したがって、脱酸、強度、耐酸化性の点から下限を
0.01%とし、靱性の点から上限を0.80%とし
た。Mnは脱酸のためのみでなく、強度の改善に必要な
元素であり、最低0.05%以上の添加が必要である。
しかし、過剰な添加は高温強度および靱性を低下させる
ため上限を1.50%とした。
【0011】Crは高温の耐酸化性を確保する上で必要
不可欠な元素であり、マトリックス中へM23C6 型炭化
物を析出させる効果を有し、高温強度を高める。8.0
0%未満では高温での耐酸化性が不足となり、高温強度
も低下する。一方、13.00%超ではδフェライトの
抑制が難しくなり、強度と靱性の低下が生じるので、C
r量を8.00〜13.00%に限定する。
不可欠な元素であり、マトリックス中へM23C6 型炭化
物を析出させる効果を有し、高温強度を高める。8.0
0%未満では高温での耐酸化性が不足となり、高温強度
も低下する。一方、13.00%超ではδフェライトの
抑制が難しくなり、強度と靱性の低下が生じるので、C
r量を8.00〜13.00%に限定する。
【0012】Wは固溶強化とM23C6 の微細析出に寄与
すると同時に、炭化物の凝集粗大化を抑制し、高温長時
間側のクリープ破断強度を著しく向上させる。最低0.
05%以上が必要であるが、4.00%を超えると、δ
フェライトと粗大なLaves相が生成しやすくなり、
高温強度と靱性を低下させるため、0.05〜4.00
%とした。
すると同時に、炭化物の凝集粗大化を抑制し、高温長時
間側のクリープ破断強度を著しく向上させる。最低0.
05%以上が必要であるが、4.00%を超えると、δ
フェライトと粗大なLaves相が生成しやすくなり、
高温強度と靱性を低下させるため、0.05〜4.00
%とした。
【0013】Vは析出強化元素として微細な炭窒化物を
析出し、高温強度を高める。0.05%未満では効果が
不十分であり、0.50%超ではV(C、N)の粗大化
を招くだけではなく、M23C6 として析出し得るC量を
減少させ、高温強度を低下させるので、0.05〜0.
50%に限定する。Nbは炭窒化物として析出し、高温
強度を高めるとともに、組織微細化の作用により靱性を
改善するため、最低0.02%が必要である。しかし
0.15%超えて過剰に添加すると、焼ならし温度では
マトリックスに完全に固溶しきれず、十分な強化効果が
得られないので、0.02〜0.15%に限定する。
析出し、高温強度を高める。0.05%未満では効果が
不十分であり、0.50%超ではV(C、N)の粗大化
を招くだけではなく、M23C6 として析出し得るC量を
減少させ、高温強度を低下させるので、0.05〜0.
50%に限定する。Nbは炭窒化物として析出し、高温
強度を高めるとともに、組織微細化の作用により靱性を
改善するため、最低0.02%が必要である。しかし
0.15%超えて過剰に添加すると、焼ならし温度では
マトリックスに完全に固溶しきれず、十分な強化効果が
得られないので、0.02〜0.15%に限定する。
【0014】Alは脱酸材として使われるが、その含有
量は結晶粒径や機械的性質に大きな影響を及ぼす。0.
002%未満では脱酸材として不十分であり、0.05
0%超ではクリープ破断強度が低下するので、0.00
2〜0.050%に限定する。Nは窒化物または炭窒化
物を析出させ、高温強度を高める重要な元素の一つであ
る。0.010%以上の添加により効果を発揮するが、
0.110%を超えると、窒化物の粗大化と靱性の低下
をもたらすだけではなく、製造上も困難となるため、
0.010〜0.110%に限定する。
量は結晶粒径や機械的性質に大きな影響を及ぼす。0.
002%未満では脱酸材として不十分であり、0.05
0%超ではクリープ破断強度が低下するので、0.00
2〜0.050%に限定する。Nは窒化物または炭窒化
物を析出させ、高温強度を高める重要な元素の一つであ
る。0.010%以上の添加により効果を発揮するが、
0.110%を超えると、窒化物の粗大化と靱性の低下
をもたらすだけではなく、製造上も困難となるため、
0.010〜0.110%に限定する。
【0015】Coの積極的な利用は本発明の大きな特徴
の一つである。Coはオーステナイト生成元素であり、
δフェライトの生成を抑制すると同時に、析出物を安定
化させ、高温強度を高める。0.01%未満では効果が
小さく、また5.00%超ではコストが高く、脆化が起
こりやすくなるので、0.01〜5.00%に限定す
る。
の一つである。Coはオーステナイト生成元素であり、
δフェライトの生成を抑制すると同時に、析出物を安定
化させ、高温強度を高める。0.01%未満では効果が
小さく、また5.00%超ではコストが高く、脆化が起
こりやすくなるので、0.01〜5.00%に限定す
る。
【0016】Cuはオーステナイト生成元素であり、δ
フェライトの生成を抑制する。0.01%未満では効果
が小さく、また5.00%超では脆化が起こりやすくな
るので、0.01〜5.00%に限定する。Bは粒界強
化およびM23(C、B)6 などとして析出強化をもたら
すため、高温強度を向上する。0.001%未満では効
果が不十分であり、また0.030%超では粗大なB含
有相を生じさせ、脆化を起こすため、0.001〜0.
030%と限定する。
フェライトの生成を抑制する。0.01%未満では効果
が小さく、また5.00%超では脆化が起こりやすくな
るので、0.01〜5.00%に限定する。Bは粒界強
化およびM23(C、B)6 などとして析出強化をもたら
すため、高温強度を向上する。0.001%未満では効
果が不十分であり、また0.030%超では粗大なB含
有相を生じさせ、脆化を起こすため、0.001〜0.
030%と限定する。
【0017】Pは焼戻し脆化および再熱割れ感受性に悪
影響を及ぼすため、上限を0.030%とした。Sは靱
性劣化、異方性および再熱割れ感受性の増大の原因とな
るので、上限を0.010%とした。Oは靱性に悪影響
を及ぼす酸化物の生成の原因となるので、上限を0.0
15%とした。
影響を及ぼすため、上限を0.030%とした。Sは靱
性劣化、異方性および再熱割れ感受性の増大の原因とな
るので、上限を0.010%とした。Oは靱性に悪影響
を及ぼす酸化物の生成の原因となるので、上限を0.0
15%とした。
【0018】さらに、本発明によればクリープ破断強度
ならびに靱性の改善のため、δフェライトが存在しない
マルテンサイト単相組織とするために、W、Co、Cu
量の適正バランスが規定される。本発明者らは上記成分
範囲内のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N を満足すれば、δフェライトの生成を抑制してクリープ
強度ならびに靱性を改善できることを見出した。
ならびに靱性の改善のため、δフェライトが存在しない
マルテンサイト単相組織とするために、W、Co、Cu
量の適正バランスが規定される。本発明者らは上記成分
範囲内のW、Co、Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N を満足すれば、δフェライトの生成を抑制してクリープ
強度ならびに靱性を改善できることを見出した。
【0019】尚、本発明は高クリープ破断強度を有する
耐熱鋼を提供するものであるので、本発明鋼を製造する
のに、使用目的に応じて種々の製造方法および熱処理方
法を採ることが可能であり、これらの方法の採用により
本発明の効果は何等妨げられるものではない。本発明鋼
は鋼管のみならず、厚板および薄板の形で提供すること
も可能であり、熱間圧延まま、もしくは必要とされる熱
処理を施した板を用いて種々の耐熱材料の形状で使用す
ることが可能であって、本発明の効果に何等影響を与え
ない。
耐熱鋼を提供するものであるので、本発明鋼を製造する
のに、使用目的に応じて種々の製造方法および熱処理方
法を採ることが可能であり、これらの方法の採用により
本発明の効果は何等妨げられるものではない。本発明鋼
は鋼管のみならず、厚板および薄板の形で提供すること
も可能であり、熱間圧延まま、もしくは必要とされる熱
処理を施した板を用いて種々の耐熱材料の形状で使用す
ることが可能であって、本発明の効果に何等影響を与え
ない。
【0020】以上の鋼管、板、各種形状の耐熱部材には
それぞれ目的、用途に応じて各種熱処理を施すことが可
能であって、また本発明の効果を十分に発揮する上で重
要である。通常は焼ならし+焼戻し工程を経て製品とす
る場合が多いが、これに加えて焼入れ、焼戻し、焼なら
し工程を単独で、あるいは併用して施すことが可能であ
り、また有用である。材料特性の十分な発現に必要な範
囲で、以上の工程はおのおのの工程を複数回繰り返して
適用することもまた可能であって、本発明の効果に何等
影響を与えるものではない。
それぞれ目的、用途に応じて各種熱処理を施すことが可
能であって、また本発明の効果を十分に発揮する上で重
要である。通常は焼ならし+焼戻し工程を経て製品とす
る場合が多いが、これに加えて焼入れ、焼戻し、焼なら
し工程を単独で、あるいは併用して施すことが可能であ
り、また有用である。材料特性の十分な発現に必要な範
囲で、以上の工程はおのおのの工程を複数回繰り返して
適用することもまた可能であって、本発明の効果に何等
影響を与えるものではない。
【0021】以上の工程を適宜選択して、本発明鋼の製
造プロセスに適用すればよい。
造プロセスに適用すればよい。
【0022】
【実施例】表1に示す化学組成を有する本発明鋼(N
o.1〜7)と比較鋼(No.8〜10)を真空誘導溶
解炉にて溶製し、各20kgのインゴットに鋳造し、熱
延によって厚さ15mmの板とした後、1080℃×6
0分の焼ならし、780℃×60分の焼戻しを施した
後、600℃で200MPaと650℃で150MPa
の2条件のクリープ破断試験および600℃で3000
時間時効後の0℃におけるシャルピー衝撃試験を実施し
た。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、
本発明鋼は何れの条件においてもクリープ破断時間が比
較鋼の2〜3倍以上であり、かつ600℃で3000時
間時効後のシャルピー吸収エネルギーが比較鋼と同等以
上であり、従来鋼より高い温度で使用できるものと考え
られる。
o.1〜7)と比較鋼(No.8〜10)を真空誘導溶
解炉にて溶製し、各20kgのインゴットに鋳造し、熱
延によって厚さ15mmの板とした後、1080℃×6
0分の焼ならし、780℃×60分の焼戻しを施した
後、600℃で200MPaと650℃で150MPa
の2条件のクリープ破断試験および600℃で3000
時間時効後の0℃におけるシャルピー衝撃試験を実施し
た。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、
本発明鋼は何れの条件においてもクリープ破断時間が比
較鋼の2〜3倍以上であり、かつ600℃で3000時
間時効後のシャルピー吸収エネルギーが比較鋼と同等以
上であり、従来鋼より高い温度で使用できるものと考え
られる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】以上の如く本発明鋼は従来のフェライト
系耐熱鋼に比べ、装置の高温化、高圧化に対応できる高
温強度の増大を達成した鋼であり、靱性等実用上の特性
も優れており、超々臨界圧火力発電、原子力発電など多
くの分野への適用ができ、産業界に貢献するところが極
めて大きい。
系耐熱鋼に比べ、装置の高温化、高圧化に対応できる高
温強度の増大を達成した鋼であり、靱性等実用上の特性
も優れており、超々臨界圧火力発電、原子力発電など多
くの分野への適用ができ、産業界に貢献するところが極
めて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110%を含有し、さらに Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00%の1種または2種を含有
し、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 O :0.015%以下に制限し、残部がFeおよび不
可避の不純物よりなり、かつ上記成分範囲のW、Co、
Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。 - 【請求項2】 重量%で C :0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.80%、 Mn:0.05〜1.50%、 Cr:8.00〜13.00%、 W :0.05〜4.00%、 V :0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.15%、 Al:0.002〜0.050%、 N :0.010〜0.110%を含有し、さらに B :0.001〜0.030%、かつ Co:0.01〜5.00%、 Cu:0.01〜5.00%の1種または2種を含有
し、 P :0.030%以下、 S :0.010%以下、 O :0.015%以下に制限し、残部がFeおよび不
可避の不純物よりなり、かつ上記成分範囲のW、Co、
Cu、CおよびNが、 1.5W−2Co−Cu≦40C+30N の関係式を満足することを特徴とする高温強度ならびに
靱性に優れたフェライト系耐熱鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12230592A JPH05311346A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 高クリープ強度を有するフェライト系耐熱鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12230592A JPH05311346A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 高クリープ強度を有するフェライト系耐熱鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05311346A true JPH05311346A (ja) | 1993-11-22 |
Family
ID=14832671
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12230592A Pending JPH05311346A (ja) | 1992-05-14 | 1992-05-14 | 高クリープ強度を有するフェライト系耐熱鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05311346A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0703301A1 (en) | 1994-09-20 | 1996-03-27 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | High chromium ferritic heat-resistant steel |
EP0705909A1 (en) * | 1993-04-08 | 1996-04-10 | Sumitomo Chemical Company, Limited | A high-chromium ferritic steel excellent in high-temperature ductility and strength |
US6712913B2 (en) | 2001-05-09 | 2004-03-30 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Ferritic heat-resisting steel |
WO2008149703A1 (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | フェライト系耐熱鋼 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60155649A (ja) * | 1984-01-25 | 1985-08-15 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 高温強度の優れたフエライト鋼 |
JPH02197550A (ja) * | 1989-01-27 | 1990-08-06 | Japan Steel Works Ltd:The | 高純度耐熱鋼 |
JPH02294452A (ja) * | 1989-05-02 | 1990-12-05 | Nippon Steel Corp | 溶接ボンド部靭性の優れたフェライト系耐熱鋼 |
-
1992
- 1992-05-14 JP JP12230592A patent/JPH05311346A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60155649A (ja) * | 1984-01-25 | 1985-08-15 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 高温強度の優れたフエライト鋼 |
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WO2008149703A1 (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | フェライト系耐熱鋼 |
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