JP2000226614A - 耐応力腐食割れ性に優れた高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

耐応力腐食割れ性に優れた高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法

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JP2000226614A JP2776299A JP2776299A JP2000226614A JP 2000226614 A JP2000226614 A JP 2000226614A JP 2776299 A JP2776299 A JP 2776299A JP 2776299 A JP2776299 A JP 2776299A JP 2000226614 A JP2000226614 A JP 2000226614A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性を維
持しつつ、強度、耐応力腐食割れ性、及び靭性を同時に
改善する。 【解決手段】 C:0.005〜0.05wt%、S
i:1wt%以下、Mn:0.05〜0.3wt%、C
r:12〜16wt%、Ni:3.5〜6wt%、M
o:1.5〜2.5wt%、V:0.01〜0.05w
t%、N:0.02wt%以下を含有して、残部がFe
及び不可避的不純物からなり、熱間加工されたマルテン
サイト系ステンレス鋼を、Ac3〜980℃の範囲に加
熱してオーステナイト化した後冷却し、次いで、(1)
式を満足する温度(T)で焼戻しを行い、焼戻し後のマ
ルテンサイト相中にオーステナイト相を残留させる。 Ac1≦T≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐応力腐食割れ性
に優れた高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方
法に関し、詳しくは、例えば石油、天然ガスの掘削や輸
送等の湿潤炭酸ガスや湿潤硫化水素ガスを含む環境にお
いて、高い応力腐食割れ抵抗を有する高靭性マルテンサ
イト系ステンレス鋼の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年生産される石油、天然ガスは、湿潤
炭酸ガスや湿潤硫化水素ガスを多量に含む場合が増加し
ており、その掘削、輸送においては従来の炭素鋼に代
り、13Crステンレス鋼等のマルテンサイト系ステン
レス鋼が用いられるようになった。しかし、従来のマル
テンサイト系ステンレス鋼は、湿潤炭酸ガスに対する耐
食性(以下、単に「耐食性」と呼ぶ)は優れているが、
湿潤硫化水素ガスに対する耐応力腐食割れ性(以下、単
に「耐応力腐食割れ性」と呼ぶ)は十分でなく、強度、
靭性、耐食性を維持しつつ、耐応力腐食割れ性に優れた
マルテンサイト系ステンレス鋼が望まれていた。
【0003】強度、靭性、耐食性に加えて、耐応力腐食
割れの要求を満たすマルテンサイト系ステンレス鋼とし
て、例えば、特開昭58−199850号公報には、
C:0.16〜0.25wt%、Si:1.0wt%未
満、Mn:1.0wt%未満、Cr:12.5〜13.
5wt%、Ni:0.3〜3wt%、Mo:0.5〜
3.5wt%、Cu:0.5〜2wt%を含み、残部が
Fe及び不可避不純物からなるマルテンサイト系ステン
レス鋼が開示され、又、特開昭61−207550号公
報には、C:0.03〜0.20wt%、Si:1.0
wt%未満、Mn:1.0wt%未満、Cr:12.0
〜14.0wt%、B:0.0010〜0.0060w
t%を含有し、且つ、Mo:0.5〜4.0wt%、N
i:0.5〜6.0wt%の1種又は2種を含有し、残
部がFe及び不可避的不純物からなるマルテンサイト系
ステンレス鋼が開示されている。
【0004】しかしこれらは、極微量の硫化水素ガスを
含む環境では耐応力腐食割れ性を示すものの、硫化水素
ガス分圧が0.01気圧を越える環境では、応力腐食割
れが生じるため、硫化水素ガスを多く含む環境では使用
できないという問題があった。
【0005】一方、硫化水素ガス分圧が0.01気圧を
越える環境での耐応力腐食割れ性を改善したマルテンサ
イト系ステンレス鋼も提案されており、例えば、特開昭
60−174859号公報には、C:0.02wt%以
下、Si:0.50wt%以下、Mn:0.50〜1.
50wt%、S:0.005wt%以下、Cr:12〜
15wt%、Ni:3.5〜6wt%、Mo:0.5〜
3wt%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からな
るマルテンサイト系ステンレス鋼が開示され、又、特開
昭62−54063号公報には、C:0.001〜0.
05wt%、Si:1.0wt%以下、Mn:0.3〜
2.0wt%、Cr:11.0〜15.0wt%、N
i:3.0〜6.0wt%、Ca:0.0005〜0.
005wt%、Al:0.01〜0.1wt%、O:
0.0040wt%以下、を含み、P:0.01wt%
以下、S:0.005wt%以下であって、更に、N:
0.01〜0.20wt%とMo:0.05〜3.0w
t%のうち1種以上を含有して、残部はFe及び不可避
不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼が開示さ
れている。しかし、これらの鋼も硫化水素ガスによる応
力腐食割れを完全に防止できるものではない。
【0006】更に、強度について検討すると、上述した
マルテンサイト系ステンレス鋼は、何れも高強度化を試
みると靭性及び耐応力腐食割れ性が著しく劣化し、その
ため、強度又は靭性と耐応力腐食割れ性とのどちらか一
方を犠牲にせざるを得ないという問題もあった。そのた
め、例えば高強度、耐応力腐食割れ性、耐食性、高靭性
が同時に要求される高深度の油井管には適用できないと
いう難点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点を解決するためになされたもの
で、その目的は、マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食
性を維持しつつ、強度、耐応力腐食割れ性、及び靭性を
同時に改善することにより、硫化水素ガスを多く含む環
境でも応力腐食割れを生じることなく使用できる高靭性
のマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を提供する
ことである。ここで、目的とする性能は炭酸ガス、硫化
水素ガスを含む石油、天然ガスの掘削、輸送用鋼材に要
求される性能に鑑み、以下の如くとした。
【0008】(1)強度:0.2%耐力が655MPa
以上、(2)靭性:−20℃でのシャルピー・フルサイ
ズ試験片での吸収エネルギー値(以下、「シャルピー衝
撃値」と呼ぶ)が180J以上、(3)耐食性:30気
圧のCO2 環境下の180℃の5%NaCl溶液中で腐
食速度が0.5mm/y以下、(4)耐応力腐食割れ
性:0.1気圧の硫化水素ガスを飽和させた5%NaC
l溶液中で試験片に0.2%耐力の80%の応力を負荷
して、720時間以上破断しないこと。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得る
に至った。
【0010】マルテンサイト系ステンレス鋼の耐食性向
上にはCrの増加が有功である。しかしCrの増加は、
一方でδ−フェライト相を生成させて、強度及び靭性を
劣化させる。そこで、オーステナイト生成元素であるN
iを増加して、δ−フェライト相の生成を抑制する方法
があるが、Niの増加はAc1の変態点温度を下げて焼
戻し温度に制約を及ぼすため、その上限に制約がある。
Cの増加もδ−フェライト相の生成抑制に有効である
が、焼戻し時に炭化物が析出して、却って耐食性及び耐
応力腐食割れ性を劣化させるため、その含有量はむしろ
制限されるべきである。
【0011】一方、一般に鋼を高強度化させると、靭性
及び耐応力腐食割れ性が劣化するが、Vを適量含有さ
せ、且つ熱処理によりVの炭化物をこのステンレス鋼の
基地に微細な析出物として分散させることにより、靭性
及び耐応力腐食割れ性を劣化させることなく高強度化す
ることができる。又、マルテンサイト相中にオーステナ
イト相を残留させることにより、靭性と耐食性を向上さ
せることができる。そして、微細なV炭化物を均一に分
散析出させると同時に、マルテンサイト相中にオーステ
ナイト相を残留させるためには、焼戻し条件を制御する
ことが特に重要である。
【0012】本発明は、これらの知見に基づきなされた
もので、第1の発明による耐応力腐食割れ性に優れた高
靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は、C:
0.005〜0.05wt%、Si:1wt%以下、M
n:0.05〜0.3wt%、Cr:12〜16wt
%、Ni:3.5〜6wt%、Mo:1.5〜2.5w
t%、V:0.01〜0.05wt%、N:0.02w
t%以下を含有して、残部がFe及び不可避的不純物か
らなり、熱間加工されたマルテンサイト系ステンレス鋼
を、Ac3〜980℃の範囲に加熱してオーステナイト
化した後冷却し、次いで、下記の(1)式を満足する温
度(T)で焼戻しを行い、焼戻し後のマルテンサイト相
中にオーステナイト相を残留させることを特徴とするも
のである。
【0013】第2の発明による耐応力腐食割れ性に優れ
た高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は、
C:0.005〜0.05wt%、Si:1wt%以
下、Mn:0.05〜0.3wt%、Cr:12〜16
wt%、Ni:3.5〜6wt%、Mo:1.5〜2.
5wt%、V:0.01〜0.05wt%、N:0.0
2wt%以下を含有し、更に、Nb:0.01〜0.1
wt%、Ti:0.01〜0.1wt%の1種以上を含
有して、残部がFe及び不可避的不純物からなり、熱間
加工されたマルテンサイト系ステンレス鋼を、Ac3〜
980℃の範囲に加熱してオーステナイト化した後冷却
し、次いで、下記の(1)式を満足する温度(T)で焼
戻しを行い、焼戻し後のマルテンサイト相中にオーステ
ナイト相を残留させることを特徴とするものである。
【0014】第3の発明による耐応力腐食割れ性に優れ
た高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は、
第1の発明又は第2の発明に記載の化学成分組成を有
し、熱間加工されたマルテンサイト系ステンレス鋼を、
Ac3〜980℃の範囲に加熱してオーステナイト化し
た後冷却し、次いで、下記の(2)式を満足する温度
(T1)で1回目の焼戻しを行い、更に、温度(T1)
以下で且つ下記の(3)式を満足する温度(T2)で2
回目の焼戻しを行い、焼戻し後のマルテンサイト相中に
オーステナイト相を残留させることを特徴とするもので
ある。 Ac1≦T≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(1) Ac1≦T1≦Ac1+(7/10)×(Ac3−Ac1) …(2) Ac1−20≦T2≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(3) 尚、(1)〜(3)式において、Ac1及びAc3はマ
ルテンサイト系ステンレス鋼の化学成分組成により定ま
る変態点温度である。
【0015】以下に、本発明においてマルテンサイト系
ステンレス鋼の化学成分組成及び熱処理条件を上述した
ように限定した理由を、それぞれの作用と共に説明す
る。
【0016】(1)化学成分組成 (a)C:Cは強力なオーステナイト生成元素であり、
又、高強度を得るためにも欠かせない元素である。しか
し、焼戻し時にCrと結合して炭化物となって析出し、
耐食性、耐応力腐食割れ性、及び靭性を劣化させる。C
の含有量が0.05wt%を越えると、この炭化物によ
る劣化が顕著になる。一方、含有量が0.005wt%
未満では十分な強度が得られない。従って、C含有量は
0.005〜0.05wt%の範囲内に限定しなければ
ならない。
【0017】(b)Si:Siは脱酸剤として必要な元
素であるが、強力なフェライト生成元素でもあり、1w
t%を越えて含有させるとδ−フェライト相の生成を助
長させる。従って、Si含有量は1wt%以下に限定し
なければならない。
【0018】(c)Mn:Mnは脱酸、脱硫剤として有
効であると共に、δ−フェライト相の出現を抑えるオー
ステナイト生成元素である。しかし、Mnは耐応力腐食
割れ性に対して有害であり、0.3wt%以下にする必
要がある。一方、0.05wt%未満では脱酸が不十分
となり、鋼中の介在物が増加する。従って、Mn含有量
は0.05〜0.3wt%の範囲内に限定しなければな
らない。
【0019】(d)Cr:Crはマルテンサイト系ステ
ンレス鋼を構成する基本的な元素で、しかも耐食性を発
現する重要な元素であるが、含有量が12wt%未満で
は十分な耐食性が得られず、一方、16wt%を越える
と他の合金成分をどのように調整してもδ−フェライト
相の生成量が増加して、強度及び靭性が劣化する。従っ
て、Cr含有量は12〜16wt%の範囲内に限定しな
ければならない。
【0020】(e)Ni:Niは耐食性を向上させると
共に、オーステナイトの生成に極めて有効な元素である
が、3.5wt%未満ではその効果が少なく、一方、含
有量が増加するとAc1変態点を下げて、焼戻し温度に
制約を及ぼすため、6wt%以下にする必要がある。従
って、Ni含有量は3.5〜6wt%の範囲内に限定し
なければならない。
【0021】(f)Mo:Moは特に耐応力腐食割れ性
及び耐食性に有効な元素であるが、1.5wt%未満で
はその効果が少なく、一方、2.5wt%を越えると過
剰なδ−フェライトを出現させる。従って、Mo含有量
は1.5〜2.5wt%の範囲内に限定しなければなら
ない。
【0022】(g)V:Vは強力な炭化物生成元素であ
り、微細な炭化物を析出させて結晶粒を微細化し、耐応
力腐食割れ性を向上させる。又、微細な炭化物の析出は
強度向上にも寄与する。しかし、フェライト生成元素で
もあり、δ−フェライト相を増加させる。含有量が0.
01wt%未満では耐応力腐食割れ性の向上効果が現れ
ず、一方、0.05wt%を越えると、その効果は飽和
すると共にδ−フェライト相が増加する。従って、V含
有量は0.01〜0.05wt%の範囲内に限定しなけ
ればならない。
【0023】(h)N:Nは耐食性向上に有害な元素で
あるが、オーステナイト生成元素でもある。0.02w
t%を越えて含有させると、焼戻し時に窒化物となって
析出し、耐食性、耐応力腐食割れ性、及び靭性を劣化さ
せる。従って、N含有量は0.02wt%以下に限定し
なければならない。
【0024】(i)付加成分としてのNb及びTi:N
b及びTiは強力な炭化物生成元素であり、微細な炭化
物を析出させて結晶粒を微細化し、耐応力腐食割れ性を
向上させる。しかし、共にフェライト生成元素でもあ
り、δ−フェライト相を増加させる。Nb及びTiの含
有量が0.01wt%未満では耐応力腐食割れ性の向上
効果が現れず、一方、0.10wt%を越えると、その
効果は飽和すると共にδ−フェライト相が増加する。従
って、Nb含有量及びTi含有量は、共に0.01〜
0.10wt%の範囲内に限定することが好ましい。
【0025】(2)熱処理条件 (a)オーステナイト化温度:加熱温度がAc3温度よ
り低いと、組織全体が均一にはオーステナイト化されな
いため、均質な焼入れマルテンサイト組織が得られな
い。この段階で均質なマルテンサイト組織が得られてい
ないと、これ以降の熱処理によっても焼戻し効果が十分
に得られないばかりか、最終製品の特性も安定しない。
一方、加熱温度が980℃を越えると、結晶粒が粗大化
して十分な強度が得られないばかりでなく、靭性が劣化
する。従って、オーステナイト化温度はAc3〜980
℃の範囲内に限定しなければならない。
【0026】(b)焼戻し温度(T):焼戻し処理は、
Vの微細な炭化物を均一に分散析出させて高強度化させ
ると共に、オーステナイト相を残留させて、靭性及び耐
応力腐食割れ性を向上させるために必要である。しか
し、焼戻し温度(T)が(1)式の右辺を越えると、変
態したオーステナイト相全てが冷却時に全て新たに生成
するフレッシュ−マルテンサイト相となり、目的とする
オーステナイト相の残留が発生しない。(1)式を満足
する温度域に加熱すると、オーステナイト相に変態する
割合が少ないため、鋼中の化学成分の拡散によりオース
テナイト相の安定化が起こり、冷却時にマルテンサイト
相への変態が起こらず、オーステナイト相が残留する。
一方、焼戻し温度(T)がAc1温度より低くなると、
焼入れマルテンサイト相が焼戻しマルテンサイト相とな
るだけで、やはりオーステナイト相は残留せず、靭性及
び耐応力腐食割れ性の向上が得られない。従って、焼戻
し温度(T)は(1)式を満足する範囲内に限定しなけ
ればならない。
【0027】(c)2段焼戻し時の焼戻し温度(T1)
及び焼戻し温度(T2):焼戻し処理を2回行う2段焼
戻しは、より多くのオーステナイト相を残留させるため
の有効な方法である。1回目の焼戻し温度(T1)の下
限は、1段焼戻しの際の焼戻し温度(T)の下限と同一
理由で同一温度であるが、フレッシュ−マルテンサイト
相が形成されても2回目の焼戻しがあるため、その上限
は焼戻し温度(T)の上限より高い範囲としても良く、
従って、上限を(2)式の右辺とした。2回目の焼戻し
温度(T2)の上限は、フレッシュ−マルテンサイト相
が生成しない温度とする必要があり、1段焼戻しの際の
焼戻し温度(T)の上限と同等であるが、1回目の焼戻
し温度(T1)を越えると、残留オーステナイト相が減
少してしまうため、1回目の焼戻し温度(T1)以下の
温度で、且つ、フレッシュ−マルテンサイト相が生成し
ない温度とする必要がある。一方、1回目の焼戻し時に
鋼中の化学成分の拡散が生じているため、Ac1温度以
下でも残留オーステナイト相を得ることができ、その下
限はAc1温度より20℃低い温度である。従って、1
回目の焼戻し温度(T1)は(2)式を満足する範囲内
に限定しなければならず、2回目の焼戻し温度(T2)
は焼戻し温度(T1)以下で、且つ(3)式を満足する
範囲内に限定しなければならない。
【0028】
【発明の実施の形態】転炉、電気炉、及び、炉外精錬炉
等により上記化学成分組成に溶製された溶鋼を普通造塊
法又は連続鋳造法により鋼片にする。それを、熱間加工
により鋼板又は継目無鋼管に製造した後、Ac3〜98
0℃の範囲に加熱してオーステナイト化した後冷却し、
次いで焼戻し処理を行う。焼戻し処理は1回の焼戻し処
理で熱処理を完了する1段焼戻しと、2回の焼戻し処理
を行う2段焼戻しとがあり、目標とする製品特性を考慮
して、どちらかを選択する。一般的には、高靭性を確保
する場合には2段焼戻しを選択し、高強度を確保する場
合には1段焼戻しを選択すれば良い。
【0029】1段焼戻しの場合には、(1)式を満足す
る焼戻し温度(T)で焼戻し、2段焼戻しの場合には、
1回目の焼戻し温度を(2)式を満足する焼戻し温度
(T1)で行い、2回目の焼戻し温度(T2)は1回目
の焼戻し温度(T1)以下で、且つ(3)式を満足する
範囲とする。尚、焼戻し温度を決めるAc1温度及びA
c3温度は、溶製されたマルテンサイト系ステンレス鋼
の化学成分組成から予め定めておくこととする。
【0030】上記溶製の際に、不可避不純物として硫黄
(S)及び燐(P)が残留する。これらは何れも鋼の熱
間加工性及び耐応力腐食割れ性を劣化させる元素であ
り、少ない程好ましい。しかし、本発明者らの経験で
は、Sは0.01wt%以下、Pは0.04wt%以下
であれば、本発明の目的とする耐応力腐食割れ性を確保
できると共に、熱間圧延鋼板及び継目無鋼管の製造に支
障を来すことがないので、この程度まで低減すれば十分
である。
【0031】このように、Crの増加による金属組織の
制約を考慮しつつ、低C高Cr系のマルテンサイト系ス
テンレス鋼にVを一定量含有させ、且つ熱処理条件を一
定範囲内に調整して、Vの炭化物を粒内に均一に分散析
出させると同時に、オーステナイト相を残留させてマル
テンサイト系ステンレス鋼を製造することで、従来のマ
ルテンサイト系ステンレス鋼では実現し得なかった高靭
性、高強度で、且つ、耐応力腐食割れ性に優れたマルテ
ンサイト系ステンレス鋼を製造することが可能となる。
【0032】
【実施例】12種類の化学成分組成のマルテンサイト系
ステンレス鋼を真空溶解炉により溶製し、鋼片とした
後、この鋼片を熱間圧延にて厚み12mmの鋼板とし
た。表1に、これら12種類の供試鋼の化学成分組成を
示す。表1に示すように、鋼No.1〜6の化学成分組
成は本発明の範囲内であるのに対し、鋼No.7はMn
とMoが、鋼No.8はMnとVが、鋼No.9はCと
Nが、鋼No.10はNiが、鋼No.11はCrとM
oとVが、又、鋼No.12はNiが、それぞれ本発明
の範囲を外れている。
【0033】
【表1】
【0034】その後、これらの鋼板を加熱してオーステ
ナイト化した後空冷し、次いで、1回当たり30分間の
焼戻し処理を行った後、残留オーステナイト量の測定、
機械的性質、耐食性、及び耐応力腐食割れ性を調査し
た。その際、鋼の化学成分組成と熱処理条件との組み合
せを変更して、合計19水準の試験を行った。表2に1
9水準の各試験における供試鋼のAc1温度、Ac3温
度、熱処理温度、及び調査結果を示す。機械的性質、耐
食性、及び耐応力腐食割れ性の調査は、前述した条件下
で実施した。尚、表2において、熱処理温度の欄に2つ
の温度を記入した試験は1段焼戻しを行った試験で、最
初の温度がオーステナイト化温度を表わし、後段の温度
が焼戻し温度(T)を表わしており、又、熱処理温度の
欄に3つの温度を記入した試験は2段焼戻しを行った試
験で、最初の温度がオーステナイト化温度を表わし、中
段の温度が焼戻し温度(T1)を表わし、後段の温度が
焼戻し温度(T2)を表わしている。
【0035】
【表2】
【0036】オーステナイト化温度は全ての試験におい
て本発明の範囲内とし、又、焼戻し温度は試験No.1
5〜19を除き本発明の範囲内とした。試験No.15
〜18は焼戻し温度が本発明の範囲外であり、試験N
o.19は2回目の焼戻し温度が本発明の範囲外であ
る。
【0037】表2に示すように、本発明の範囲内の化学
成分組成の鋼を、本発明の範囲内の熱処理条件で処理す
ることにより、0.2%耐力の目標値及びシャルピー衝
撃値の目標値を上回り、又、腐食速度も目標値を達成す
ると共に応力腐食割れ(SSC)も発生せず、耐食性及
び耐応力腐食割れ性も目標値を達成した。一方、化学成
分組成が本発明の範囲内であっても、本発明の範囲外の
熱処理条件で処理した場合、及び、化学成分組成が本発
明の範囲外の場合には、耐食性や耐応力腐食割れ性が目
標値を達成していなかった。尚、表2の備考欄に、本発
明の範囲内の化学成分組成の鋼を本発明の範囲内の熱処
理条件で処理した試験を実施例とし、それ以外の試験を
比較例として表示した。
【0038】
【発明の効果】本発明では、化学成分組成及び熱処理条
件を特定してマルテンサイト系ステンレス鋼を製造する
ので、高靭性及び高強度を維持しつつ、炭酸ガス腐食に
対する耐食性はもとより、硫化水素ガスを多量に含む環
境での耐応力腐食割れ性に極めた優れたマルテンサイト
系ステンレス鋼を製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南 雄介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 正村 克身 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005〜0.05wt%、S
    i:1wt%以下、Mn:0.05〜0.3wt%、C
    r:12〜16wt%、Ni:3.5〜6wt%、M
    o:1.5〜2.5wt%、V:0.01〜0.05w
    t%、N:0.02wt%以下を含有して、残部がFe
    及び不可避的不純物からなり、熱間加工されたマルテン
    サイト系ステンレス鋼を、Ac3〜980℃の範囲に加
    熱してオーステナイト化した後冷却し、次いで、(1)
    式を満足する温度(T)で焼戻しを行い、焼戻し後のマ
    ルテンサイト相中にオーステナイト相を残留させること
    を特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた高靭性マルテン
    サイト系ステンレス鋼の製造方法。 Ac1≦T≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(1)
  2. 【請求項2】 C:0.005〜0.05wt%、S
    i:1wt%以下、Mn:0.05〜0.3wt%、C
    r:12〜16wt%、Ni:3.5〜6wt%、M
    o:1.5〜2.5wt%、V:0.01〜0.05w
    t%、N:0.02wt%以下を含有し、更に、Nb:
    0.01〜0.1wt%、Ti:0.01〜0.1wt
    %の1種以上を含有して、残部がFe及び不可避的不純
    物からなり、熱間加工されたマルテンサイト系ステンレ
    ス鋼を、Ac3〜980℃の範囲に加熱してオーステナ
    イト化した後冷却し、次いで、(1)式を満足する温度
    (T)で焼戻しを行い、焼戻し後のマルテンサイト相中
    にオーステナイト相を残留させることを特徴とする耐応
    力腐食割れ性に優れた高靭性マルテンサイト系ステンレ
    ス鋼の製造方法。 Ac1≦T≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(1)
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の化学成分
    組成を有し、熱間加工されたマルテンサイト系ステンレ
    ス鋼を、Ac3〜980℃の範囲に加熱してオーステナ
    イト化した後冷却し、次いで、(2)式を満足する温度
    (T1)で1回目の焼戻しを行い、更に、温度(T1)
    以下で且つ(3)式を満足する温度(T2)で2回目の
    焼戻しを行い、焼戻し後のマルテンサイト相中にオース
    テナイト相を残留させることを特徴とする耐応力腐食割
    れ性に優れた高靭性マルテンサイト系ステンレス鋼の製
    造方法。 Ac1≦T1≦Ac1+(7/10)×(Ac3−Ac1) …(2) Ac1−20≦T2≦Ac1+(1/10)×(Ac3−Ac1) …(3)
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