JP2017040000A - 低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管およびその製造方法 - Google Patents

低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管並みの耐硫化物応力腐食割れ性を有し、シーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性に優れる低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】特定の成分組成を有し、母材部の残留オーステナイト相の体積分率が5%以上20%未満であり、管軸方向の引張試験により得られる降伏応力YSLと、管円周方向の引張試験により得られる降伏応力YSTがいずれも700MPa未満であり、YST/YSLが0.81以上1.00未満であることを特徴とする、耐硫化物応力腐食割れ性および耐粒界応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸ガス等の腐食性ガスを含有する天然ガスや石油のパイプライン等の使途に好適な低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管(以下、「溶接管」という場合がある。)に係る。本発明の溶接管によれば、マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管並みの耐硫化物応力腐食割れ性を確保できるとともに、シーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性の改善もできる。
近年、原油価格の高騰や、近い将来に予想される石油資源の枯渇に対処するために、深層油田や、一旦開発が放棄されていた腐食性の強いガス田等に対する開発が、世界的規模で盛んになっている。このような油田、ガス田において、使用される油井管やラインパイプ用鋼管には、耐食性に富むことが要求される。
このような耐食性に優れた鋼管として、従来、主として二相ステンレス鋼管が使用されてきたが、1990年代後半になって、より安価で適度な耐食性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼管が開発された。そして、ラインパイプ用材料として、API規格に炭素量を低減した12質量%Crマルテンサイト系ステンレス鋼が規定されて、炭酸ガスを含有する天然ガス用のラインパイプ用の素材として、この鋼が多量に使用されるようになってきている。
パイプライン等の使途には、これまでは、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無管が主体として使用されてきたが、最近では、この用途において、材料コストの低減という観点からマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の需要も増加している。このマルテンサイト系ステンレス鋼管が使用される油井環境は、炭酸ガスに加え微量の硫化水素ガスを含む湿潤環境となる場合がある。そこで、この用途に使用される鋼管には、耐硫化物応力腐食割れ性(以下、「耐SSC性」という場合がある。)を有することも要求されることがある。そこで、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、耐SSC性が良好な低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を製造する方法が開示されている。
ところで、最近、マルテンサイト系ステンレス鋼継目無管を、炭酸ガスを含有する環境下で使用した際に、円周溶接時に形成された溶接熱影響部に粒界応力腐食割れ(Intergranular Stress Corrosion Cracking)(以下、IGSCCともいう)が発生するという問題が生じている。この問題は、マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管のシーム溶接部にも生じる可能性がある。特許文献4には、耐IGSCC性に優れたマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法が開示されている。特許文献5には、耐IGSCC性に優れたシーム溶接部を有する、マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法が開示されている。特許文献5に記載された技術によれば、シーム溶接終了後に固溶Cを炭化物として十分に析出させるような熱処理をシーム部に施しておけば、IGSCCの発生を防止できるとされている。
特許第3077576号公報 特開平11−343519号公報 特開2000−226643号公報 特開平9−327721号公報 特開2011−89159号公報
特許文献1に記載された技術は、耐硫化物応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を、レーザー溶接により製造するものである。特許文献1では、造管後に2度の加熱・冷却を必要とし、生産性が悪いという問題がある。
特許文献2に記載された技術は、溶接管素材となる熱延後の鋼板の焼鈍条件と、造管後の溶接管の後熱処理の条件を、特定の関係の範囲内とすることにより耐硫化物応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を製造するとしたものである。特許文献2の実施例では溶接管の後熱処理の後にさらに焼戻し処理を行なっており、生産性が悪い問題は解決されていない。
また、特許文献3は、素材となる熱延後の鋼板中のオーステナイト分率を規定することにより、いたずらな高強度化を回避して、造管後の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の耐SSC性を確保するものである。しかし、素材鋼板中のオーステナイトは、造管時に加えられる歪みによりマルテンサイトに変態するため、素材のオーステナイト分率を規定しただけでは、製品の耐SSC性を担保できない。
さらに、特許文献1〜3に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼レーザー溶接管の製造方法では、いずれも試験期間が336hrと、通常参照される規格のNACE TM0177の720hrに比較して短く、依然、耐SSC性が不充分である。
耐IGSCC性について記載された文献をみると、特許文献4に記載された技術は、耐SSC性に関する評価が行われていない。しかも、造管後に2度の加熱・冷却を必要とし、生産性が悪いという問題がある。また、特許文献5に記載されたマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法は、シーム溶接終了後に固溶Cを炭化物として十分に析出させるような熱処理をシーム部に施すことにより、IGSCCの発生を防止するものである。しかし、特許文献5に記載の技術は、シーム部の耐IGSCC性を確保する技術であって、耐SSC性の向上に関する技術ではない。
また、溶接管の管軸方向および管円周方向の引張特性(降伏強度YSL、YST)を700MPa未満にすることは、以下の理由による。一般に、強度が高いほど耐SSC性は低下するため、材料の用途やコストパフォーマンスに応じて適切な範囲に収める必要がある。本発明では、API 5L規格、PSL2−X80レベルの強度を満足しつつ、かつ耐SSC性および耐IGSCC性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管、およびその製造方法を提供することを目的とするため、上記の強度範囲とした。
かかる従来技術の状況に鑑み、本発明は、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管並みの耐硫化物応力腐食割れ性を有し、シーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性に優れ、所望の引張特性を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、まず、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の耐SSC性が、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無管のそれに比較して劣っている原因について鋭意研究した。
その結果、耐SSC性改善に最も有効な方法は、造管後の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管に残留する造管ひずみを除去し、かつ好適な量の残留オーステナイト分率を確保することであると知見した。
次いで、本発明者らは、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管において、IGSCCの発生に影響する各種要因についても鋭意研究した。
その結果、IGSCC発生リスクが最も高いのは、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管同士を円周溶接し、その直後に実施する溶接後熱処理(Post Weld Heat Treatment、以下、PWHTともいう)により加熱された領域の周囲と、シーム溶接部の交点であることがわかった。この部位は、シーム溶接時の熱サイクルでCが固溶する温度域まで加熱された後、円周溶接後のPWHT適用部からの伝導伝熱により、PWHT温度に満たない低温での再加熱を受けることになるため、固溶CがCr炭化物として析出し、その周囲にCr欠乏層を形成しやすい。
本発明者らは、造管した溶接管が円周溶接に供される前に、シーム溶接部に熱処理を施して、固溶Cを炭化物として十分析出させ、かつその周囲に充分Crを拡散させておく必要があることを知見した。
さらに、本発明者らは上記の知見を応用した低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造条件について更なる研究を行い、最終的に、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管並みの耐硫化物応力腐食割れ性を確保すると同時に、シーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性の改善も可能な低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管が、経済的かつ容易に製造できる条件を知見した。
本発明は、以上の知見に基づき、完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
[1]質量%で、C:0.0200%未満、N:0.0200%未満、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Al:0.10%以下、Cr:10〜14%、Ni:3〜8%、Mo:1〜4%、V:0.02〜0.10%、Ca:0.0005〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、母材部の残留オーステナイト相の体積分率が5%以上20%未満であり、管軸方向の引張試験により得られる降伏応力YSLと、管円周方向の引張試験により得られる降伏応力YSTがいずれも700MPa未満であり、YST/YSLが0.81以上1.00未満であることを特徴とする、耐硫化物応力腐食割れ性および耐粒界応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
[2]前記成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.15%以下、Nb:0.10%以下、Zr:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする、[1]に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
[3]前記成分組成は、さらに、質量%で、Cu:4.0%以下、W:4.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の成分組成を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板を、550℃以上、Ac1変態点+20℃未満の温度で1回焼鈍した後、管状に成形し、相対する両エッジ部を突き合わせてレーザービームで溶接し、又は高周波電流印加による加熱あるいは電気抵抗法による加熱後、両エッジ部を突き合わせてレーザービームで溶接して造管する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法であって、前記造管後の鋼管を、550℃以上、Ac1変態点+50℃未満の温度で鋼管全体を焼鈍する1回の熱処理を施すことにより、母材部の残留オーステナイト相の体積分率を5%以上20%未満に調整することを特徴とする、耐硫化物応力腐食割れ性および耐粒界応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法。
本発明によれば、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管並みの耐硫化物応力腐食割れ性を確保すると同時に、シーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性の改善も可能な低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管が得られる。
また、本発明によれば、溶接管の管軸方向および管円周方向の引張特性を所望の範囲に調整できる。
特に本発明の製造方法によれば、本発明の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管を経済的かつ容易に得ることができる。すなわち、本発明の製造方法は、上記従来技術の方法よりも、生産性を高くすることができる。
上記の通り、本発明は、産業上格段の効果を奏する。
溶接管の製造設備の一例を模式的に示す説明図である。
本発明の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管は、後述する通り、熱延鋼板に焼鈍を施し、図1に示すように、各種成形ロールで連続的に成形し、略円筒状断面のオープン管となし、該オープン管をスクイズロールで加圧しながら、該オープン管の両端面同士を突合せ、溶接接合して造管し、造管後に溶接管を焼鈍することで製造される。本発明では、使用する熱延鋼板は、低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板(本明細書において「熱延鋼板」という場合がある)とする。以下、低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板、当該熱延鋼板の焼鈍、造管、溶接管の焼鈍、低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の順で説明する。
<低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板>
まず、使用する熱延鋼板の組成限定理由について説明する。なお、以下、特に断らない限り、成分の含有量を意味する%は質量%を意味する。
C:0.0200%未満
Cを多量に含有すると、HAZ(溶接熱影響部)を硬化させ、溶接割れを生じさせたり、溶接熱影響部靭性を低下させたりする。特に、HAZの硬化は耐硫化物応力腐食割れ性の低下を伴うため、本発明ではできるだけC含有量を低減することが望ましい。また、CがHAZにおいてCr炭化物として析出すると、周囲にCr欠乏層が形成され粒界応力腐食割れ発生の原因となる。この観点からもできるだけC含有量を低減することが望ましい。上記の観点から、本発明では、C含有量を0.0200%未満に限定した。なお、好ましくは0.0100%以下である。
N:0.0200%未満
多量のNの含有は、溶接部を硬化させ、溶接割れを生じさせたり、溶接部靭性を劣化させたりする。特に、HAZの硬化は耐硫化物応力腐食割れ性の低下を伴うため、本発明ではできるだけN含有量を低減することが望ましい。また、Nは、Ti、Nb、Zr、V、Hf、Ta等と結合し窒化物を形成する。これにより、炭化物を形成しCr炭化物の形成を防止できるTi、Nb、Zr、V、Hf、Ta量が実質的に低減し、これら元素によるCr欠乏層の形成抑制効果、すなわち粒界応力腐食割れ発生の抑制効果が低下する。この観点からも、本発明では、N含有量はできるだけ低減することが望ましい。上記したNの悪影響は、0.0200%未満であれば許容できるため、本発明では、N含有量は0.0200%未満に限定した。なお、好ましくは0.0100%以下である。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して強度増加に寄与する元素であり、本発明では0.05%以上含有することが望ましい。しかし、Siはフェライト生成元素でもあり、Si含有量が1.0%を超えると、母材およびHAZの靭性が低下する。このため、Si含有量は1.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.1〜0.5%である。
Mn:2.0%以下
Mnは、固溶して鋼の強度上昇に寄与するとともに、オーステナイト生成元素であり、フェライト生成を抑制して母材およびHAZの靭性を向上させる。このような効果を得るためにはMn含有量を0.1%以上にすることが望ましい。一方、Mn含有量が2.0%を超えても効果が飽和してさらに高まることはほとんどない。このため、Mn含有量は2.0%以下に限定した。なお、好ましくは0.2〜1.2%である。
P:0.03%以下
Pは、粒界に偏析して粒界強度を低下させ、耐硫化物応力腐食割れ性や、耐粒界応力腐食割れ性に悪影響を及ぼす元素である。本発明では、できるだけP含有量を低減することが好ましい。本発明では、P含有量は0.03%までは許容できる。このため、P含有量は0.03%以下に限定した。なお、熱間加工性の観点からは、P含有量を0.02%以下とすることが好ましい。
S:0.010%以下
Sは、MnS等の硫化物を形成し、熱間加工性を低下させる元素である。本発明ではできるだけS含有量を低減することが好ましい。本発明では、S含有量は0.010%までは許容できる。このため、S含有量は0.010%以下に限定した。なお、より安定した熱間加工性確保の観点からは、0.004%以下とすることが好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果は、Alを0.001%以上含有することにより認められる。Al含有量が0.10%を超えると靭性が低下する。このため、Al含有量は0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.01〜0.04%である。
Cr:10〜14%
Crは、耐炭酸ガス腐食性、耐孔食性、耐硫化物応力腐食割れ性等の耐食性を向上させるための基本元素である。本発明ではCr含有量を10%以上にする必要がある。一方、Cr含有量が14%を超えると、フェライト相が形成しやすくなり、マルテンサイト組織を安定して確保するためには、多量の他の合金元素添加を必要とし、材料コストの上昇を招く。このため、本発明では、Cr含有量は10〜14%の範囲に限定した。
Ni:3〜8%
Niは、耐炭酸ガス腐食性を向上させるとともに、固溶して強度上昇に寄与し、また靭性を向上させる元素である。また、Niはオーステナイト形成元素であり、低炭素域でマルテンサイト組織を安定して確保するために有効に作用する。このような効果を得るためには、Ni含有量を3%以上とする。一方、Ni含有量が8%を超えると、変態点が低下しすぎて、所望の特性を確保するための焼戻し処理が長時間となる。また、Ni含有量が8%を超えると、材料コストの高騰を招く。このため、Ni含有量は3〜8%の範囲に限定した。なお、好ましくは4〜7%である。
Mo:1〜4%
Moは、耐応力腐食割れ性、さらには耐硫化物応力腐食割れ性、耐孔食性を向上させる元素である。このような効果を得るためには、Mo含有量を1%以上にする。一方、Mo含有量が4%を超えると、フェライトが生成しやすくなるとともに、耐硫化物応力腐食割れ性向上効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Moは1〜4%に限定した。なお、好ましくは1.5〜3.0%である。
V:0.02〜0.10%
Vは、炭化物形成元素であり、Crに比べて炭化物形成能が強く、溶接熱で固溶したCが、Cr炭化物として旧オーステナイト粒界に再析出するのを抑制し、溶接部の耐応力腐食割れ性を向上させる効果を有する。このような効果を得るためには、V含有量を0.02%以上にする。V含有量が0.10%を超えると、耐溶接割れ性、靭性が劣化する。このため、V含有量は0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.025〜0.075%である。
Ca:0.0005〜0.010%
Caは、介在物の形態制御を介して、熱間加工性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るために、Ca含有量を0.0005%以上とする。また、Ca含有量が0.010%を超えると、Caが粗大介在物として存在しやすくなるため、耐食性の劣化、靭性の低下が著しくなる。このため、Ca含有量は0.0005〜0.010%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.0005〜0.0030%である。
上記した成分が基本の組成であるが、上記基本組成に加えて、さらに必要に応じて、Ti:0.15%以下、Nb:0.10%以下、Zr:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:4.0%以下、W:4.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を、選択して含有できる。
Ti:0.15%以下、Nb:0.10%以下、Zr:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Ti、Nb、Zrはいずれも、Vと同様に炭化物形成元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。Ti、Nb、Zrはいずれも、Crに比べて炭化物形成能が強く、溶接熱で固溶したCが、Cr炭化物として旧オーステナイト粒界に再析出するのを抑制し、溶接部の耐粒界応力腐食割れ性を向上させる効果を有する。また、Ti、Nb、Zrの炭化物は、溶接熱で高温に加熱されても溶解しにくく固溶Cの発生が抑制され、このことを介してCr炭化物の形成を抑制し、溶接部の耐粒界応力腐食割れ性を向上させるという効果もある。このような効果を得るためには、Ti含有量については0.03%以上、Nb含有量については0.03%以上、Zr含有量については0.03%以上にすることが好ましい。一方、Ti含有量が0.15%超の場合、Nb含有量が0.10%超の場合、Zr含有量が0.10%超の場合には、耐溶接割れ性、靭性が劣化する。このため、Ti:0.15%以下、Nb:0.10%以下、Zr:0.10%以下にそれぞれ限定することが好ましい。なお、より好ましくはTi含有量が0.03〜0.12%、Nb含有量が0.03〜0.08%、Zr含有量が0.03〜0.08%である。
Cu:4.0%以下、W:4.0%以下のうちから選ばれた1種または2種
Cu、Wはいずれも、COを含有する天然ガスを輸送するラインパイプ用鋼管に要求される特性である耐炭酸ガス腐食性を向上させる元素であり、必要に応じて1種または2種を選択して含有できる。
Cuは、耐炭酸ガス腐食性を向上させるとともに、オーステナイト形成元素であり、低炭素域でマルテンサイト組織を安定して確保するために有効に作用する。このような効果を得るためには、Cu含有量を0.5%以上にすることが好ましい。一方、Cu含有量が4.0%を超えても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Cu含有量は4.0%以下にすることが好ましい。なお、より好ましくは1.0〜3.0%である。
Wは、耐炭酸ガス腐食性を向上させるとともに、さらに、耐応力腐食割れ性、さらには耐硫化物応力腐食割れ性、耐孔食性を向上させる元素である。これらの効果を得るためにはW含有量を0.5%以上とすることが好ましい。一方、W含有量が4.0%を超えると、フェライトが生成しやすくなるとともに、耐硫化物応力腐食割れ性向上効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Wは4.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.0〜3.0%である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
以上の成分組成を有する熱延鋼板は、上記成分組成を有する鋼素材を熱間圧延することで得られる。熱延鋼板を得るための具体的な製造方法や製造条件は特に限定されないが、上記した成分組成の溶鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉などの通常の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊−分塊圧延法などの公知の方法でスラブ等の鋼素材とし、該鋼素材に公知の熱間加工を適用し、所定の寸法の熱延鋼板とすることが好ましい。通常、上記のようにして得られた熱延鋼板は巻き取られ、次の工程に用いられる。
<熱延鋼板の焼鈍>
巻取り後、室温まで冷却した上記熱延鋼板を、550℃以上Ac1変態点+20℃未満の温度に再加熱した後冷却する焼鈍処理を施す。なお、Ac1変態点の測定は、熱延鋼板から採取した円柱状試験片を用いた熱膨張/収縮試験により行ない、昇温過程において試料の膨張の勾配が変化する温度をAc1点、すなわちオーステナイト相が生成し始める温度として定義した。
本発明で対象とする成分組成の鋼は、熱間加工後、空冷以上の冷却速度で冷却すれば、マルテンサイト組織とすることができるので、上記の焼鈍処理は、実質的には焼戻し処理に相当する。
Ac1変態点+20℃以上の温度で再加熱すると部分的にオーステナイト化が生じ、その後の冷却過程で焼き戻しされないマルテンサイトが形成されて鋼の強度が上昇するため、次工程の造管が困難になる。また、再加熱温度が550℃未満では充分な焼き戻し効果が得られず、鋼の強度が高すぎるため、やはり造管が困難になる。これらの理由から、焼鈍温度を550℃以上Ac1変態点+20℃未満とした。
焼鈍保持時間については、処理対象の熱延鋼板の板厚やコイル外径などに応じて調整される。通常、10〜30時間保持すれば十分である。また、焼鈍後の冷却方法についても特に制約はなく、炉冷または放冷で十分である。
なお、熱間加工後巻き取ってなる熱延鋼板を、Ac3点以上の温度に加熱し、空冷以上の冷却速度で200℃未満まで冷却した後、さらに550℃以上Ac1変態点以下の温度に再加熱して空冷以上の冷却速度で冷却する処理、すなわち焼入れ焼戻しに相当する2段階の熱処理を施してもよい。ただし本発明では、後述するように造管後の全管焼鈍(鋼管全体の焼鈍)で材料特性が調整できるので、熱延鋼板の熱処理は、造管を可能にすることを目的とした上記1回のみの実施で充分である。むしろ、熱延鋼板の熱処理が1回で済めば、製造コストやリードタイム低減の面から工業上優位である。
<造管>
造管は、例えば、図1に示す溶接管製造設備1を用いて行うことができる。アンコイラー10で連続的に払出された熱延鋼板2を、エッジミラー11で板端部切削し、ブレイクダウンロール12、ケージロール13、フィンパスロール14に順次通して管状にロール成形し、略円筒状断面のオープン管3とする。オープン管3をスクイズロール16で加圧しながら、オープン管3の両端面同士を突合せ、シーム部を溶接手段であるレーザー発振器15より発生させたレーザービームによって貫通溶融させて溶接接合して管体4としたものをサイジングロール17で定径圧延して溶接管5とする。その後、溶接管を切断機18で所定長さに切断する。なお、本発明の溶接管の製造に用いる設備は、レーザービームによって溶接接合する、常用の溶接管の製造設備であればよい。
本発明において、レーザービーム溶接を採用する理由は以下のとおりである。本発明で対象とする低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼は、Cr等の合金成分を多量に含むため、溶接に際し溶融池内に多量の高融点酸化物が生成しやすい。このため、生成した高融点酸化物がシーム溶接部に残留し、ペネトレータと称する溶接欠陥を発生しやすい。高融点酸化物の生成を抑制するためには、不活性ガスで溶融池をシールドすることが考えられるが、この方法で高融点酸化物の生成を完全には防止できない。そこで、エネルギー密度が高く、溶融池領域の極小化が可能なレーザービーム溶接を用いれば、溶融池の大気との接触が最小限となり、上記溶接欠陥の発生が抑制可能になる。
なお、上記のレーザービーム溶接による造管法においては、ERW(電気抵抗溶接)法で用いられている高周波電流印加による加熱手段(誘導加熱コイルやコンタクトチップ)又は電気抵抗法による加熱によりオープン管3の幅方向両端部を予熱してからレーザー溶接するようにしてもよい。この場合には、造管速度を速くすることができ、生産性が向上する。また、管体4の外面および内面には、溶接時に溶接部を加圧することにより溶湯が押し出されて凝固し隆起部(ビード)が形成される。ビードは、内外面ともに切削加工等で除去して平滑化することが好ましい。
<溶接管の焼鈍>
本発明では、溶接管(鋼管)に対して、1回の全管焼鈍処理(鋼管全体を焼鈍する処理)を施す。この溶接管の焼鈍処理の目的は、溶接管に残留する造管ひずみを除去し、かつ好適な分率の残留オーステナイトを確保すること、さらにはシーム溶接部の耐粒界応力腐食割れ性の改善にある。
処理条件のうち、温度は550℃以上Ac1点+50℃未満とする必要がある。鋼管全体の焼鈍処理の温度が550℃未満では、温度が低すぎるために、残留応力の除去を行なうためには長時間の加熱が必要となり、工業上有用でない。また、処理の温度が550℃未満ではシーム溶接部の固溶Cが炭化物として析出し、Cr欠乏層が生じる可能性がある。一方、処理の温度がAc1点+50℃以上になると、溶接管の大部分がオーステナイト化し、その後の冷却過程で焼き戻しされないマルテンサイトがほぼ全管にわたって形成されるため、強度が高すぎるなど、所望の機械的特性が得られない。
また、全管焼鈍処理の保持時間は、特に制約する必要はないが、管全体を均質化する観点からは10分以上とするのが望ましい。上記処理後の冷却方法については、特に制約はなく、水冷による焼入れ処理、放冷による焼きならし処理、さらには炉冷のいずれであってもよい。また、上記処理を施した後にさらなる細粒化を目的とする焼入れ処理や強度調整のため焼戻し処理を施してもよい。
なお、上記の全管焼鈍により、溶接管の管軸方向および管円周方向の引張特性を所望の範囲に調整することができる。
<低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管>
本発明の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管は、母材部の残留オーステナイト相の体積分率が5%以上20%未満である。残留オーステナイト相の体積分率がこの範囲にあることで、耐SSC性が改善される。残留オーステナイト相以外のほとんどが、マルテンサイト相(焼戻しされたマルテンサイト相)であり、マルテンサイト相の体積分率は80%超である。なお、本発明の効果を害さない範囲で、残留オーステナイト相及びマルテンサイト相以外の相を含んでもよい。
また、本発明の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管は、上述の製造方法で製造されるため、管軸方向の引張試験により得られる降伏応力YSLと、管円周方向の引張試験により得られる降伏応力YSTがいずれも700MPa未満となり、YST/YSLが0.81以上1.00未満となる。
表1に示す成分組成を有する8種類のスラブを熱間圧延し、その後室温まで空冷して巻取り低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板(板厚:6mm)を得た。この熱延鋼板を、表2に示す条件で焼鈍処理を行った。得られた熱延鋼板の圧延方向が引張方向となるように、ASTM規格に準拠して矩形引張試験片(Sheet type,1/2 in. wide、標点:50mm)を採取し、引張試験を実施し、熱延鋼板の引張特性(引張強さTS、伸びEl)を求めた。引張試験で得られた全伸びの値が、後の造管で付与されると予想されるひずみ量よりも大きければ造管可、小さければ造管不可と判定した。得られた引張特性、および造管可否の判定結果を表2に示す。
次に、造管可と判定された熱延鋼板を、図1に示す設備を用いて、溶接管(外径:219mmφ)とした。レーザー溶接は、ファイバーレーザーを用いて、レーザー出力:20kW、溶接速度:8m/min、Arガス雰囲気中で行った。このレーザーを用いたシーム溶接後、シーム溶接部の内外面のビードを切削加工によりそれぞれ平滑化した。
造管された溶接管に対し、表2に示す条件で焼鈍処理を行ない、放冷して製品溶接管を得た。比較例として、一部溶接管に対しては焼鈍処理を実施せず又は本発明とは異なる条件の焼鈍処理を実施した製品管とした。
得られた各製品管から、溶接管の管軸方向が引張方向となるように、また溶接管の管円周方向が引張方向となるように、それぞれ母材部からASTM規格に準拠してサブサイズ丸棒引張試験片(Small−size Specimens Proportional to Standard、標点:10.0mm)を採取し、引張試験を実施し、母材部の管軸方向および管円周方向の引張特性(降伏強度YSL、YST)を求めた。得られた引張特性を表2に示す。
また、製品溶接管母材部より10mm角の試験片を採取し、外面側から試験片表面が平坦になるまで研削・研磨した後、X線回折法によりオーステナイト分率を測定した。
さらに、得られた各製品管から、以下のように試験片を採取し、耐硫化物応力腐食割れ試験、および耐粒界応力腐食割れ試験を実施した。
まず、耐SSC試験については、得られた各製品管から、試験片の長手方向を管軸に平行とし、母材部またはシーム溶接部が、それぞれ試験片幅方向の中央に位置するよう4点曲げ応力腐食試験片(厚さ2mm×幅10mm×長さ75mm)を採取して実施した。これらの試験片は、4点曲げ付与治具にセットして鋼管母材部の軸方向降伏応力YSLに対して100%の応力を負荷し、腐食環境中に浸漬して割れの発生の有無を調べた。試験の環境条件は、雰囲気:0.005MPa HS−CO バランス(HSの分圧が0.005MPa HSガス以外の残部がCO)、試験溶液:25質量%NaCl水溶液、溶液pH:4.5、溶液温度:25℃、浸漬時間:720時間とした。なお、pHは酢酸−酢酸ナトリウム水溶液を添加して調整した。評価は、目視により、母材部の試験片およびシーム溶接部の試験片の両方で割れの発生が認められなかったものを耐SSC性が良好「○」、いずれか片方でも割れの発生が認められたものを耐SSC性が不良「×」とした。なお、合否の判定基準はEFC 17に記載の方法に従った。
さらに、耐IGSCC試験については、得られた各製品管から、試験片の長手方向を管軸に平行とし、シーム溶接部が試験片幅方向の中央に位置するよう試験片(厚さ2mm×幅15mm×長さ115mm)を採取し、該試験片に、円周溶接部のPWHT時の伝熱による加熱を模擬した熱処理(450℃で600秒加熱後、放冷)を施した後、研磨して、4点曲げ応力腐食割れ試験用試験片とし、実施した。
4点曲げ応力腐食割れ試験は、4点曲げ付与治具にセットして0.5%のひずみを負荷後、腐食環境中に浸漬して実施した。腐食環境は、液温:100℃、CO分圧:0.1MPa、pH:2.0の5質量%NaCl水溶液とした。なお、試験期間は720hrとした。試験後、試験片断面について、目視、および100倍の光学顕微鏡で割れの有無を観察し、耐粒界応力腐食割れ性(耐IGSCC性)を評価した。得られた結果を表2に示す。割れなしを「○」、割れありを「×」で表示した。なお、合否の判定基準はEFC 17に記載の方法に従った。
これらの結果を、表2に併せて示した。表2から明らかなように、本発明で規定する化学組成を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を素材とし、かつ本発明で規定する熱処理条件で製造された本発明例の溶接管は、造管時における成形性が良好であり、かつ耐SSC性と耐IGSCCも良好であった。
これに対し、化学組成は本発明で規定する範囲内であるが、熱延鋼板の熱処理条件が、本発明の範囲外となる場合には(No.1−1、1−2、1−9、2−1、2−6、4−6)、鋼帯の強度が高すぎるため造管が困難であった。
また、化学組成、および熱延鋼板の熱処理条件は本発明で規定する範囲内であるが、溶接管の熱処理条件が、本発明の範囲外となる場合には(No.1−4、1−5、1−8、2−2、2−3、2−5、4−2、4−3、4−5)、溶接管に残留する造管ひずみの除去不足、残留オーステナイトの不足、さらにはシーム溶接部の一部にCr欠乏層が形成されたため、のいずれかまたは複数の要因により、耐SSC性あるいは耐IGSCC性がよくなかった。なお、造管ひずみの除去及びCr欠乏層の形成は以下のように確認した。
造管の際には、L方向に引っ張りながら成形するため、造管後は加工硬化でL方向のYSが高くなる。すなわち、YSの異方性が造管歪みを示しており、管全体の焼鈍により異方性が小さくなれば、すなわちYST/YSLが0.81以上になれば、必要なレベルまで造管ひずみが除去されたと判定した。一方、YST/YSLが1.00以上の場合、鋼管の長手方向に引張応力が付与された際に、円周方向の縮径に比べて長手方向の減肉が優先となり、座屈や破断の原因となる。そのため、YST/YSLは1.00未満に限定した。
耐IGSCC試験で割れが認められた一部の試験片について、割れ先端に連なる旧オーステナイト粒界をFIB−TEMにて観察、組成分析した。この分析により、粒界近傍でCr濃度が低下していること、すなわち、Cr欠乏層が形成されていることを確認した。
Figure 2017040000
Figure 2017040000
1 溶接管製造設備
10 アンコイラー
11 エッジミラー
12 ブレイクダウンロール
13 ケージロール
14 フィンパスロール
15 レーザー発振器
16 スクイズロール
17 サイジングロール
18 切断機
2 熱延鋼板
3 オープン管
4 管体
5 溶接管

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.0200%未満、N:0.0200%未満、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Al:0.10%以下、Cr:10〜14%、Ni:3〜8%、Mo:1〜4%、V:0.02〜0.10%、Ca:0.0005〜0.010%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    母材部の残留オーステナイト相の体積分率が5%以上20%未満であり、
    管軸方向の引張試験により得られる降伏応力YSLと、管円周方向の引張試験により得られる降伏応力YSTがいずれも700MPa未満であり、YST/YSLが0.81以上1.00未満であることを特徴とする、耐硫化物応力腐食割れ性および耐粒界応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
  2. 前記成分組成は、さらに、質量%で、Ti:0.15%以下、Nb:0.10%以下、Zr:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする、請求項1に記載のマルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
  3. 前記成分組成は、さらに、質量%で、Cu:4.0%以下、W:4.0%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の成分組成を有する低炭素マルテンサイト系ステンレス熱延鋼板を、550℃以上、Ac1変態点+20℃未満の温度で1回焼鈍した後、管状に成形し、相対する両エッジ部を突き合わせてレーザービームで溶接し、又は高周波電流印加による加熱あるいは電気抵抗法による加熱後、両エッジ部を突き合わせてレーザービームで溶接して造管する低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法であって、
    前記造管後の鋼管を、550℃以上、Ac1変態点+50℃未満の温度で鋼管全体を焼鈍する1回の熱処理を施すことにより、母材部の残留オーステナイト相の体積分率を5%以上20%未満に調整することを特徴とする、耐硫化物応力腐食割れ性および耐粒界応力腐食割れ性に優れた低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼溶接管の製造方法。
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