JPH0530840Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、連続鋳造中に鋳型の長辺幅を変え得
る連続鋳造用鋳型に関する。

〔従来の技術〕

近年、連続鋳造技術においては、矩形断面の鋳
片を連続鋳造装置で製造する際、一対の対向する
短辺板が一対の対向する長辺板に挟まれるように
組合わされた連続鋳造用鋳型を採用し、短辺板の
背面に所定間隔を開けて設けられた軸受に油圧ま
たは電動モータにより駆動される駆動軸を回動可
能にピン連結した駆動機構により、短辺板を対向
する長辺板の間で前後動させ、鋳型の短辺長さを
変えずに長辺長さのみを変えて、長辺長さが違う
断面の鋳片を連続して鋳造し、鋳型替えの時間等
を省力して連続鋳造装置の操業率を向上させた連
続鋳造方法が採用されている。

そして、この連続鋳造方法に採用されている上
記連続鋳造用鋳型においては、連続鋳造中は短辺
板に長辺板が押しつけられて挟持されているの
で、鋳片が鋳型から引抜かれる時の鋳片と短辺板
との間の摩擦による鋳片の引抜き方向、即ち短辺
板を下方に引下げる力は長辺板が受けることにな
り、短辺板の背面に設けた短辺板を前後動させる
ための駆動軸は水平方向の力のみを支持すればよ
いが、連続鋳造中は対向する長辺板の間で短辺板
を移動させる時は、長辺板の短辺板に対する押付
力を緩め、僅かに隙を開けて移動させるために、
短辺板には水平方向の力に加えて大きな下方に引
下げる力が作用し、連れてこの下方に引下げる力
が前記短辺板の背面に設けた駆動軸にも作用し好
ましい状態ではないので、これを改良した連続鋳
造用鋳型として、例えば、実開昭59−25347号公
報に記載されているような、短辺板の上部に長辺
板の上端に係止する係止片を設けた構成のものが
提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記係止片を設けた構成の連続鋳造
用鋳型においては、連続鋳造中の短辺板を単に下
方に引下げる力を支持するだけであれば充分であ
るが、連続鋳造中に対向する長辺板の間で短辺板
を前後に移動させる場合は、下方に引下げる力を
受けた状態で短辺板の上部に設けた係止片の下面
を長辺板の上端面上に摺動させるため、円滑な移
動がし難いばかりか、鋳片のブレークアウト事故
にもつながり兼ねない。

しかも、幅替えの前と後とでは鋳片の大きさが
変わるので鋳型内の鋳片の収縮率が変わり、これ
に合わせて短辺板の内面のテーパを変えるが、テ
ーパをかえることにより第３図に示すように、短
辺板２′の係止片１７の下面と長辺板１′の上端面
とは面接触状態になり難く、片当たり（鎖線で示
す）となり、正確なテーパを付与することができ
ない。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記問題点に鑑みてなされたもので
あつて、その要旨は、一対の対向する短辺板が一
対の対向する長辺板に挟まれるように組合わさ
れ、且つ、短辺板の背面に複数の軸受を上下方向
に所定間隔を開けて設けるとともに、これら軸受
に短辺板の背後に設けた駆動装置の駆動軸を回動
可能に取付け、駆動装置によつて短辺板が長辺板
間を進退可能とした連続鋳造用鋳型において、短
辺板の上部両側面に長辺板の上端に係止するロー
ラを、ローラ回転中心線が前記短辺板の背面に設
けた軸受の回動中心線と同一平面内となるように
設けた連続鋳造用鋳型である。

〔実施例〕

以下、本考案に係わる実施例を図面に基づいて
説明する。

第１図は、本考案に係わる連続鋳造用鋳型の縦
断面正面図、第２図は、同側面図で、図におい
て、１は長辺板であつて、銅板２とこの銅板２の
背面に固定されたバツクアツプ板３とこれら銅板
２およびバツクアツプ板３の上端に固定されたレ
ール４からなる。

５は短辺板であつて、銅板６とこの銅板６の背
面に固定されたバツクアツプ板７からなり、この
バツクアツプ板７の背面には、その上部左右両側
に軸穴８が穿設され、且つ、その縦中心の上下中
程にそれぞれ軸受９および軸受１０が設けられて
いる。またこれら軸穴８、軸受９および軸受１０
の水平軸芯は、銅板６の内面と平行な平面内に有
るように加工されている。そして、軸穴８には、
フリーローラ１１を回動可能に固定した軸１２が
螺着され、また軸受９および軸受１０には、それ
ぞれ油圧により駆動される駆動軸１３，１４が回
動可能にピン１５，１６により連結されている。

Ａは連続鋳造用鋳型であつて、上記構成の二枚
の長辺板１，１を、銅板２を内にして平行に対向
させると共に、この長辺板１，１の間に、上記構
成の二枚の短辺板５，５を銅板６を内にして対向
させて直角に配置し、長辺板１，１の背後に設け
た押付け手段（図示せず）により短辺板５，５の
側面に押付けて組立てられている。そして、この
組立により、短辺板５のフリーローラ１１が長辺
板１のレール４上に載る。

上述の構成からなる連続鋳造用鋳型Ａにおい
て、連続鋳造中に対向する長辺板１，１の間で短
辺板５，５を移動させて幅替えする要領は、短辺
板５，５の後方長辺板１，１の間に設けた油圧ジ
ヤツキ（図示せず）を長辺板１，１の短辺板５，
５への押付力に抗して前進作動させ、短辺板５，
５の側面と長辺板１，１の内面との間に僅かな隙
を開ける。次いで、短辺板５，５の背面に設けた
上駆動軸１３と下駆動軸１４とを数mmづつ前進駆
動（鋳片幅を狭める場合）あるいは後退駆動（鋳
片幅を広げる場合）させて幅調整をすると共に、
調整後の鋳片の大きさに合つたテーパに上駆動軸
１３および／または下駆動軸１４を駆動して調整
する。この後、油圧ジヤツキ（図示せず）を後退
作動させ長辺幅を変えた鋳型に復元する。このよ
うな幅替え要領において、短辺板５，５を前後動
する場合、短辺板５に向けたフリーローラ１１が
長辺板１のレール４上を転動するので移動が円滑
に行える上、軸穴８、軸受９および軸受１０の水
平軸芯が銅板６の内面と平行な同一平面内に有る
ように加工されているので、短辺板５のテーパ調
整の際の、フリーローラ１１の上下方向の移動量
は微々たる量となり、テーパ調整が正確に且つ簡
単に行い得る。

〔考案の効果〕

上述したように、本考案による連続鋳造用鋳型に
よれば、幅替えの際、短辺板を長辺板に対し円滑
に移動できる上に、短辺板のテーパを正確に且つ
簡単に付与し得るので、幅替えの作業性がよくな
り、幅替え時間等を短縮でき連続鋳造装置の操業
率を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係わる連続鋳造用鋳型の縦
断面正面図、第２図は、同側面図、第３図は、従
来技術の説明図である。 １……長辺板、２，６……銅板、３，７……バ
ツクアツプ板、４……レール、５……短辺板、８
……軸穴、９，１０……軸受、１１……フリーロ
ーラ、１２……軸、１３，１４……駆動軸、１
５，１６……ピン、Ａ……連続鋳造用鋳型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対の対向する短辺板が一対の対向する長辺板
   に挟まれるように組合わされ、且つ、短辺板の背
   面に複数の軸受を上下方向に所定間隔を開けて設
   けるとともに、これら軸受に短辺板の背後に設け
   た駆動装置の駆動軸を回動可能に取付け、駆動装
   置によつて短辺板が長辺板間を進退可能とした連
   続鋳造用鋳型において、短辺板の上部両側面に長
   辺板の上端に係止するローラを、ローラ回転中心
   線が前記短辺板の背面に設けた軸受の回動中心線
   と同一平面内となるように設けたことを特徴とす
   る連続鋳造用鋳型。