JPH0529864U - 自動車用インシユレータダツシユ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 材料費の高騰及び製品の重量化を招くことな
くインシュレータダッシュの保形性を高め、ダッシュパ
ネルへの取付作業性を向上させることを目的とする。 【構成】 吸音材層３０の稜線３１に沿って、この稜線
３１と交差するように吸音材層３０にビード部３２をプ
レス加工により設け、吸音材層３０の保形性（剛性）を
強化することにより、インシュレータダッシュ１０自体
の良好な保形性を得る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車用インシュレータダッシュに関するもので、特に、剛性を 高めることにより、保管，搬送工程での変形をなくし、さらに車体パネルへの取 付作業性を向上させた自動車用インシュレータダッシュに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、図６に示すように、エンジンルームＥと車室Ｒとを区画するダッシュ パネル１の車室内側面上には、エンジンルームＥから車室Ｒ内への騒音の伝播を 防止するために、インシュレータダッシュ２が設置されている。

【０００３】 そして、このインシュレータダッシュ２は、図７、図８に示すように、充填材 を混入した塩ビシート，ゴムシート等の遮音材層３と、成形フエルト等の吸音材 層４との２層構造体のものが一般に使用されている。

【０００４】 さらに、従来のインシュレータダッシュ２においては、ダッシュパネル１を透 過する騒音レベルがダッシュパネル１の部位毎に異なることに対応して、図８に 示すように、ダッシュアッパー部２ａにおいては吸音材層４の厚みは１５ｍｍ、 ダッシュロア部２ｂにおいては３０ｍｍ、トーボード部２ｃにおいては２０ｍｍ 、というように吸音材層４の厚みを調整している。

【０００５】 尚、別物部品を取付ける部位は、相手部品との干渉を避けるために、吸音材層 ４の厚みは１０ｍｍに設定されている。

【０００６】 これを実施するには、成形フエルトの原反厚み３０〜３５ｍｍのものを使用し 、プレス成形により所定量の厚みを確保しているのが実情である。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】 このように、従来の自動車用インシュレータダッシュ２においては、成形フエ ルトのプレス成形時、潰し量の大小により吸音材層４の厚みを調整するという構 成であるため、例えば１０〜１５ｍｍの厚み部分は部分的に剛性が確保できるも のの、その他の部分においては保形性（剛性）が劣り、車体パネルへの組付け時 、車体パネルへの密着性が悪く、取付作業性を著しく低下させるという欠点が指 摘されている。

【０００８】 さらに、インシュレータダッシュ２の保管時、及び搬送時、遮音材層３、吸音 材層４ともに保形性がないため、自重により変形し、車体パネルへの取付作業性 がさらに困難なものになるとともに、例えば、トーボード部２ｃにおける吸音材 層４の板厚ダウンは、車両用フロアカーペットとの間に間隙が形成され、足下感 触を悪化させるという問題点が指摘されている。

【０００９】 この考案は、このような事情に鑑みてなされたもので、本考案の目的とすると ころは、インシュレータダッシュの保形性を高めることにより、保管工程、搬送 工程において自重により変形することがなく、車体パネルへの良好な密着性が得 られ、車体パネルへの取付作業性を著しく向上させることを可能にした自動車用 インシュレータダッシュを提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、エンジンルームと車室とを区画するダ ッシュパネルの室内側面上に設置され、可撓性シートからなる遮音材層と、成形 フエルトからなる吸音材層との積層体からなる自動車用インシュレータダッシュ において、 前記吸音材層の稜線に沿って、この稜線と交差するビード部が適宜間隔毎に圧 縮偏平状に形成されていることを特徴とする。

【００１１】

【作用】

以上の構成から明らかなように、変形の基点となるインシュレータダッシュの 稜線（ダッシュアッパー部とダッシュロア部との境界ライン、ダッシュロア部と トーボード部との間の境界ライン、ダッシュロア部とダッシュサイド部との境界 ライン）に沿って、この稜線と交差するビード部が圧縮偏平状に形成されている ため、このビード部により稜線の剛性が強化され、稜線がヒンジ作用をもたらす ことがなく、インシュレータダッシュの変形が可及的に防止できる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案による自動車用インシュレータダッシュの実施例について、添付 図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１３】 図１は本考案の第１実施例を示すインシュレータダッシュの正面図、図２，図 ３は同インシュレータダッシュの要部断面図、図４，図５は本考案の第２実施例 を示す自動車用インシュレータダッシュの正面図並びに断面図である。

【００１４】 まず、図１において、本考案による自動車用インシュレータダッシュ１０は、 ダッシュパネルのダッシュアッパー部、ダッシュロア部、及びトーボード部、ダ ッシュサイド部に相当して、ダッシュアッパー部１１、ダッシュロア部１２、ト ーボード部１３、ダッシュサイド部１４とに便宜上区分けできる各部位を一体に 形成して構成されている。

【００１５】 そして、図２に示すように、インシュレータダッシュ１０は、遮音材層２０裏 面に吸音材層３０を貼着一体化した構成であり、上記遮音材層２０としては、充 填材を混入したゴムシート等比較的面密度の高い材料が使用され、一方、吸音材 層３０としては、成形フエルトが使用されている。

【００１６】 ところで、本考案は、ダッシュパネル４０に対して良好な取付作業性を得るた めに、インシュレータダッシュ１０の保形性を高めることを課題としており、そ のために、吸音材層３０の構成に工夫を加えたことが特徴である。

【００１７】 すなわち、インシュレータダッシュ１０の変形の基点となる稜線３１に沿って 、この稜線３１に相当する吸音材層３０に稜線３１と交差するビード部３２が適 宜間隔毎に偏平状にプレス加工されている点にある。

【００１８】 本実施例では、吸音材層３０の厚みは、ダッシュアッパー部１１で１５ｍｍ、 ダッシュロア部１２では３０ｍｍ、トーボード部２０ｍｍ、ダッシュサイド部１ ５ｍｍ、付属部品取付部１０ｍｍに設定されており、上記ビード部３１の厚みは ３〜５ｍｍに設定されている。

【００１９】 したがって、図２、図３に示すように、稜線３１に沿って、適宜間隔を配して 薄肉のビード部３２を稜線３１と交差状に設定することにより、吸音材層３０の 保形性が著しく強化され、従来、稜線３１に沿って変形が生じるという不具合が 有効に解決され、インシュレータダッシュ１０の保管工程、搬送工程において変 形が未然に防止でき、ダッシュパネル４０に対するフィット性が向上し、優れた 取付作業性が期待できる。

【００２０】 次いで、図４，図５は本考案の別実施例を示すもので、この実施例では、稜線 ３１に沿って吸音材層３０にビード部３２を設けるのに加えて、ダッシュロア部 １２の左右側に上下方向に沿ってビード部３３が圧縮偏平状に形成されている。

【００２１】 したがって、特に面積の大きな部位であるダッシュロア部１２の吸音材層３０ の保形性を高めることにより、インシュレータダッシュ１０全体の保形性が更に 、強化され、より良好なダッシュパネル４０への取付作業性が期待できる。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明した通り、本考案による自動車用インシュレータダッシュによれば、 以下に記載する格別の作用効果を有する。

【００２３】 （１）インシュレータダッシュの稜線に沿って、稜線部位の吸音材層に稜線と 交差するビード部を適宜間隔毎に圧縮偏平状に形成することにより、吸音材層の 保形性を高めることにより、インシュレータダッシュの変形を確実に防止でき、 ダッシュパネルへの取付作業性を著しく向上させるという効果を有する。

【００２４】 （２）インシュレータダッシュの稜線に沿って、吸音材層に剛性を高めるビー ド部を稜線と交差状に設定することにより、インシュレータダッシュの保形性を 高め、保管工程、搬送工程におけるインシュレータダッシュの変形を未然に防止 することにより、他部品との接合、特にフロアカーペットとの良好な密着接合が 期待でき、従来のようにインシュレータダッシュとフロアカーペットとの重ね合 せ部分で感触が悪くなるという不具合を有効に解決できるという効果を有する。

【００２５】 （３）吸音材層に薄肉のビード部を設定することにより、インシュレータダッ シュの保形性を高めるという構成であるため、フエルトの原反状態の厚みを薄く 設定できるため、材料費の節約によるコストダウン及び軽量化に貢献できるとい う効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による自動車用インシュレータダッシュ
の第１実施例を示す正面図。

【図２】図１中II−II線断面図。

【図３】図１中III −III 線断面図。

【図４】本考案による自動車用インシュレータダッシュ
の第２実施例を示す正面図。

【図５】図４中Ｖ−Ｖ線断面図。

【図６】インシュレータダッシュの設定箇所を示す説明
図。

【図７】従来のインシュレータダッシュの正面図。

【図８】図７中VIII−VIII線断面図。

【符号の説明】

１０ 自動車用インシュレータダッシュ １１ ダッシュアッパー部 １２ ダッシュロア部 １３ トーボード部 １４ ダッシュサイド部 ２０ 遮音材層 ３０ 吸音材層 ３１ 稜線 ３２，３３ ビード部 ４０ ダッシュパネル

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンルームと車室とを区画するダッ
   シュパネル（４０）の室内側面上に設置され、可撓性シ
   ートからなる遮音材層（２０）と、成形フエルトからな
   る吸音材層（３０）との積層体からなる自動車用インシ
   ュレータダッシュにおいて、 前記吸音材層（３０）の稜線（３１）に沿って、この稜
   線（３１）と交差するビード部（３２）が適宜間隔毎に
   圧縮偏平状に形成されていることを特徴とする自動車用
   インシュレータダッシュ。
2. 【請求項２】 ダッシュロア部（１２）の吸音材層（３
   ０）に上下方向に沿うビード部（３３）が圧縮偏平状に
   形成されていることを特徴とする請求項１記載の自動車
   用インシュレータダッシュ。