JPH052981Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、左右車輪の昇降構造に特徴を備えた
２輪歩行型田植機に関する。

〔従来の技術〕

２輪歩行型田植機の左右車輪の昇降構造の一例
が実開昭61−16914号公報に開示されているが、
これは油圧シリンダから後方に突出したピストン
ロツド先端に天秤状に前後揺動自在に横杆を連結
し、この横杆の両端と前端を中心に上下揺動自在
な左右の車輪伝動ケースの基部から立設した操作
アームとを夫々ロツドを介して連結した構造であ
る。

この構造では前記油圧シリンダを伸縮操作すれ
ば、左右車輪が同時に上下揺動されて、機体が上
下動する。そして、前記横杆がピストンロツド先
端で前後揺動して左右車輪が背反上下動すること
で耕盤の左右高低差を吸収し、機体を田面に対し
て平行に保つことができるようにしている。

そして、近年では、田面に対する機体の左右の
傾きを検出して左右車輪高さに差をつけること
で、機体を田面に対して平行に保つローリング制
御が研究されている。

この場合、旧来の左右車輪高さ変更手段を駆動
操作する構造が考えられ、具体的には、左右車輪
同時昇降を司る前記油圧シリンダのピストンロツ
ド先端に揺動自在に取付けた横杆を油圧シリンダ
等によつて強制的に前後揺動駆動するように構成
したものが試作された。つまり、前記ピストンロ
ツドと横杆とにわたつて油圧シリンダを架設し
て、横杆を強制前後揺動させることが試みられ
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、近年では、田植え作業と同時に肥料
あるいは農薬等の農用粉粒体を田面に埋設、ある
いは散布することが望まれており、粉粒体貯蔵タ
ンク等を備えた重量の大きい農用粉粒体繰出し装
置を機体に対して前後重量バランスを崩しにくい
機体前後中間部位に設置することになる。具体的
には前後動によつて車輪を上下動させる横杆と、
その後方の苗のせ台との間に農用粉粒体繰出し機
構を設置する。

ところが、この農用粉粒体繰出し機構を備えた
機種に前述のローリング制御構造を付加すると、
横杆は耕盤の深さに応じて前後動された上で、耕
盤の左右高低差に応じて前後方向に揺動制御され
るために、横杆を作動させるには前後動するため
のスペースと各位置で前後に揺動するスペースを
必要とするものであり、充分な車輪昇降量と左右
高低差吸収量を確保するためには横杆移動用スペ
ースが後方の苗のせ台側に拡がり、前記農用粉粒
体繰出し装置の設置スペースが少なくなるもので
あつた。そのため、車輪昇降量及び左右高低差吸
収量を大きくとるためには農用粉粒体を高い位置
に設置しなければならず、これによつて機体重心
が高くなる不具合が生じ、逆に農用粉粒体繰出し
装置を安定よく低く設置すると車輪昇降量及び左
右高低差吸収量が少なくなる不具合が生じるもの
であつた。

本考案は、左右車輪高さ変更手段を工夫するこ
とで車輪昇降量及び左右車輪高低差の吸収量を大
きくとりながら、農用粉粒体繰出し装置を苗のせ
台前方の低位置に安定よく設置して、良好な走行
性能を発揮させることができるようにすることを
目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は以上のような２輪歩行型田植機
において、次にように構成することにある。

油圧シリンダから機体後方に突出したピストン
ロツド先端に横杆を連結し、横杆の一端と、前端
を中心に上下揺動自在な片方の車輪伝動ケースの
基部から立設した操作アームとをロツドを介して
連結すると共に、横杆と他方の車輪伝動ケースの
基部から立設した操作アームとを伸縮駆動自在な
ロツドで連結し、かつ、横杆と苗のせ台との間に
農用粉粒体繰出し装置を配置し、この農用粉粒体
繰出し装置における粉粒体貯留用のタンクの前後
方向での中心を、側面視で車輪伝動ケースの車輪
における車軸の略真上に位置させてある。

〔作用〕

本考案構成によると、油圧シリンダのピストン
ロツドが後方に伸出してその先端に連結した横杆
が後方に移動することで、左右車輪伝動ケースが
共に下方に強制揺動され、耕盤の深い圃場に対応
する。

又、この横杆の端部と片側の車輪伝動ケースの
操作アームとをつなぐロツドが伸縮駆動されるこ
とで、この片側の車輪伝動ケースが一方の車輪伝
動ケースに対して高さ変更されて、左右耕盤の高
低差を吸収する。

従つて、横杆の移動に必要なスペースは、耕盤
深さに対応した前後動スペースだけですみ、左右
車輪高低差のための横杆移動スペースは特になく
てよい。

そして、粉粒体貯留用のタンクの前後方向での
中心が側面視で車輪の車軸の略真上、つまり車輪
の接地点の略真上に位置しているので、タンク内
の粉粒体の量が変化しても、機体の前後バランス
が崩れることはない。

〔考案の効果〕

従つて、本考案によれば車輪昇降量及び左右高
低差吸収量を大きくとつても、横杆の前後動スペ
ースが少なくてすむので、苗のせ台と横杆との間
に農用粉粒体繰出し装置の設置用スペースが大き
くとれ、この農用粉粒体繰出し装置を重心低く設
置することが可能になるとともに、タンク内の粉
粒体の量が変化しても、機体の前後バランスに影
響を及ぼすこともない。

これにより、車輪昇降制御及びローリング制御
を充分な範囲で良好に行えるとともに、施肥ある
いは薬剤散布等を行うことができる２輪歩行型田
植機を走行性能及び安定性の高いものに構成でき
た。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例である２輪歩行型田植機
について図面に基づいて説明する。第４図に示す
ように、後端部に走行用の車輪２を備えた車輪伝
動ケース１を前端の横軸芯P₁周りに揺動自在に
取付けて機体を支持すると共に、機体前部にエン
ジン３を備え、機体後部に植付爪４及び苗のせ台
５等により構成された植付装置と操縦ハンドル６
を備え、さらに機体下部に機体の上下動及び左右
の傾きを検出するセンターフロート７を備えて２
輪歩行型田植機を構成している。

前記車輪２の上下動構造について詳述すると、
第１図及び第２図に示すように、機体に固定され
た昇降用の油圧シリンダ９から機体後方にピスト
ンロツド９ａが突出すると共に、このピストンロ
ツド９ａ先端に横杆１０の左右中間部が連結され
ている。そして、この横杆１０の一端が片方の車
輪伝動ケース１の揺動ボス部に立設した操作アー
ム１ａとロツド１１を介して連結され、横杆１０
の他端と他方の車輪伝動ケース１とが駆動伸縮自
在なロツドとしてのローリングシリンダ１２で連
結されている。

さらに詳述すると、ローリングシリンダ１２の
ピストンロツド１２ａ先端が横杆１０の他端に連
結されると共に、ローリングシリンダ１２におけ
るシリンダケース１２ｂのピストンロツド１２ａ
側の端部と車輪伝動ケース１から立設した操作ア
ーム１ａとが連結されているのである。以上のよ
うに構成して、昇降用の油圧シリンダ９を伸縮す
ることにより左右の車輪１を同時に上下動操作で
き、且つ、前記ローリングシリンダ１２を伸縮す
ることにより左右の車輪２の相対高さを変更操作
できるのである。

次に、農用粉粒体繰出し装置８としての施肥装
置について詳述すると、第２，３，４図に示すよ
うに、施肥装置８は種籾及び肥料貯留用のタンク
１３と、タンク１３内の粉粒体を間欠的に繰出す
繰出しローラ（図示せず）を内装した繰出し部１
４とから構成されている。そして、以上の施肥装
置８が、横杆１０と苗のせ台５との間に配置され
ており、第４図及び第２図に示すように、左右の
車輪２の車軸２ａの略真上に、タンク１３の前後
方向での中心を位置させている。

前記繰出し部１４からの粉粒体はホース１５を
通り、作溝器１６によつて泥面に作られた溝内に
送り込まれて行く。この作溝器１６は溝切り板１
７を介してセンターフロート７に固定されてお
り、センターフロート７の動作の邪魔にならない
ように、ホース１５に二重スライド式の伸縮部１
５ａを設けると共に、ホース１５と繰出し部１４
とを連結しているロート部１８が繰出し部１４の
機体前後軸芯P₂周り揺動できるように構成され
ているのである。

そして、機体の昇降制御及びローリング制御は
前記センターフロート７の上下動作及びローリン
グ動作を機械的に検出して、前記昇降用の油圧シ
リンダ９及びローリングシリンダ１２に作動油を
給排する制御弁（図示せず）に前記動作を伝達
し、これを操作して機体が泥面より一定高さを保
ち、且つ泥面と平行となるように行われるのであ
る。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る２輪歩行型田植機の実施例
を示し、第１図は左右車輪の昇降構造を示す側面
図、第２図は左右車輪の昇降構造を示す平面図、
第３図は施肥装置周りの縦断正面図、第４図は２
輪歩行型田植機の全体側面図である。 １……車輪伝動ケース、１ａ……操作アーム、
２ａ……車軸、５……苗のせ台、８……農用粉粒
体繰出し装置、９……油圧シリンダ、９ａ……ピ
ストンロツド、１０……横杆、１１……ロツド、
１２……ロツド、１３……タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 油圧シリンダ９から機体後方に突出したピスト
   ンロツド９ａ先端に横杆１０を連結し、前記横杆
   １０の一端と、前端を中心に上下揺動自在な片方
   の車輪伝動ケース１の基部から立設した操作アー
   ム１ａとをロツド１１を介して連結すると共に、
   横杆１０と他方の車輪伝動ケース１の基部から立
   設した操作アーム１ａとを伸縮駆動自在なロツド
   １２で連結し、かつ、前記横杆１０と苗のせ台５
   との間に農用粉粒体繰出し装置８を配置し、この
   農用粉粒体繰出し装置８における粉粒体貯留用の
   タンク１３の前後方向での中心を、側面視で前記
   車輪伝動ケース１の車輪２における車軸２ａの略
   真上に位置させてある２輪歩行型田植機。