JPH05295016A - 水溶性ポリビニルアセタール樹脂、グリーンシート成形用セラミック泥漿物及びグリーンシート - Google Patents
水溶性ポリビニルアセタール樹脂、グリーンシート成形用セラミック泥漿物及びグリーンシートInfo
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- JPH05295016A JPH05295016A JP4101207A JP10120792A JPH05295016A JP H05295016 A JPH05295016 A JP H05295016A JP 4101207 A JP4101207 A JP 4101207A JP 10120792 A JP10120792 A JP 10120792A JP H05295016 A JPH05295016 A JP H05295016A
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Abstract
セラミック泥漿物の樹脂バインダーとして好適な水溶性
ポリビニルアセタール樹脂を提供する。 【構成】 下記の一般式(I)もしくは(II)で示され
るユニットを有し(但し、一般式(I)もしくは(II)
において、R1 は水素またはメチル基を、R 2 、R3 及
びR4 は水素またはアルキル基を、nは1〜100の整
数を示す。)、 【化1】 【化2】 かつ上記ユニットの割合が0.01〜5モル%である重
合度200〜3500及びケン化度75〜99.8モル
%の変性ポリビニルアルコールを、アセトアセタール化
度をAモル%(但し、A≧0)、ブチラール化度をBモ
ル%(但し、B≧0)としたときに、10≦(A+3
B)≦50の関係を満たすようにアセトアルデヒド及び
/またはブチルアセタールによりアセタール化してなる
ことを特徴とする、水溶性ポリビニルアセタール樹脂。
Description
タール樹脂及びグリーンシート用成形用セラミック泥漿
物に関し、より詳細には、柔軟性に優れた水溶性ポリビ
ニルアセタール樹脂及び該水溶性ポリビニルアセタール
樹脂を用いることによりグリーンシートの柔軟性及び熱
融着性を高め得るグリーンシート成形用セラミック泥漿
物に関する。
であるため、フィルム材料として、あるいはグリーンシ
ート成形用セラミック泥漿物に含有されるバインダー樹
脂として従来より広く用いられている。しかしながら、
ポリビニルアルコールからなるフィルムは、比較的硬い
ため、用途によっては、より柔軟なフィルムが要望され
ている。また、グリーンシート成形用セラミック泥漿物
に含有されるバインダー樹脂として用いる場合において
は、ポリビニルアルコールが比較的硬いため、ハンドリ
ング性が十分でないという問題があった。
性、特に冷水に対する可溶性を高めた材料が、特開昭6
2−156112号に開示されている。この先行技術に
開示されている材料は、完全ケン化ポリビニルアルコー
ルと言われているケン化度98モル%以上のポリビニル
アルコールであって、かつアセタール環におけるアルキ
ル基の平均鎖長の炭素数が0.34〜1.70となるよ
うに平均重合度が比較的低いポリビニルアルコールを、
アセタール化することにより得られたポリビニルアセタ
ール樹脂である。しかしながら、上記先行技術に開示さ
れているポリビニルアセタール樹脂は、冷水可溶性にお
いてこそ優れているものの、柔軟性はやはり十分ではな
かった。
うな工程を経て製造されていた。すなわち、先ず、アル
ミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、
酸化亜鉛またはチタン酸バリウム等のようなセラミック
粉末を、バインダー樹脂と可塑剤とを含む溶液に加え、
混合し、脱泡し、セラミック泥漿物を調製する。このセ
ラミック泥漿物をポリエステルフィルムのような適宜の
支持体上に塗布し、加熱・乾燥させた後、該支持体を剥
離してグリーンシートを得る。次に、グリーンシートを
適宜の形状に打ち抜き、必要に応じて、その表面に回路
や文字等を印刷し、複数枚のグリーンシートを積層・圧
着し、積層体を得る。しかる後、該積層体を焼成すると
共に、焼成に際し上記バインダー樹脂を分解させること
により、所望のセラミック回路基板を製造していた。
ダー樹脂としては、従来、エチルセルロース等のセルロ
ース系樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のブチラール
樹脂が用いられていた。従って、バインダー樹脂を溶解
させるための溶剤としては、セルロース系樹脂やブチラ
ール樹脂を溶解し得る有機溶剤が用いられている。しか
しながら、近年、環境汚染や毒性の観点から、上記バイ
ンダー樹脂についても、水を溶剤として使用し得るもの
が要求されてきている。
め、上記セラミック泥漿物に含有されるバインダー樹脂
としてポリビニルアルコールを用いることにより、水を
溶剤として使用することができる。しかしながら、セラ
ミック回路基板の高集積化が進展するに連れて、多数の
グリーンシートを積層してなるハイブリッド型の回路基
板が求められてきている。ハイブリッド型の回路基板の
製造に際しては、グリーンシートを所定形状に賦形し、
各グリーンシート上に所定の回路を印刷した後、数枚か
ら数十枚のグリーンシートを積層し、熱融着することに
より一体化し、積層体を得る。しかる後、得られた積層
体を焼成し、ハイブリッド回路基板が製造されている
優れているため、積層数の少ない一般用途向けのセラミ
ック回路基板の製造においてセラミック泥漿物中にバイ
ンダー樹脂として含有された場合には通常、支障なく用
いることができる。しかしながら、上記のようにかなり
の枚数のグリーンシートを積層し、熱融着する工程を含
むハイブリッド回路基板を製造するためのセラミック泥
漿物中に該ポリビニルアルコールをバインダー樹脂とし
て含有させた場合には、グリーンシート同士の熱融着性
が十分でないため、得られたハイブリッド型回路基板に
おいて層間剥離等が生じ易く、十分な性能のハイブリッ
ド型回路基板を得ることができなかった。
した従来技術の現状に鑑み、水溶性を有し、かつより一
層柔軟性に優れたポリビニルアセタール樹脂を提供する
こと、並びに、得られるグリーンシートに優れた柔軟性
及び熱融着性を与え得るグリーンシート成形用セラミッ
ク泥漿物を提供することにある。
題を達成すべく鋭意検討した結果、下記の一般式(I)
もしくは(II)で表されるユニットを含む変性ポリビニ
ルアルコールを、アセトアルデヒド及び/またはブチル
アルデヒドによるアセタール化度を所定の小さな範囲と
すれば、柔軟性及び接着性に優れた水溶性ポリビニルア
セタール樹脂の得られること、並びに得られるグリーン
シートに優れた柔軟性及び熱融着性を与えるグリーンシ
ート成形用セラミック泥漿物を構成し得ることを見出
し、本発明をなすに至った。
て、R1 は水素またはメチル基を示す。また、R2 、R
3 及びR4 は、それぞれ、水素またはアルキル基を示
す。さらに、nは、1〜100の間の整数を示す。)
水溶性ポリビニルアセタール樹脂は、上記一般式(I)
もしくは(II)で示されるユニットを有し、かつ該ユニ
ットの割合が0.01〜5モル%の範囲にあり、重合度
200〜3500、ケン化度75〜99.8モル%の変
性ポリビニルアルコールを、アセトアセタール化度をA
モル%(但し、A≧0)、ブチラール化度をBモル%
(但し、B≧0)としたときに、 10≦(A+3B)≦50 の関係を満たすように、アセトアルデヒド及び/または
ブチルアルデヒドによりアセタール化してなることを特
徴とする。
ク粉末と、可塑剤と、上記請求項1に記載の発明にかか
る水溶性ポリビニルアセタール樹脂とを含有することを
特徴とする、グリーンシート成形用セラミック泥漿物で
ある。さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記
載のグリーンシート成形用セラミック泥漿物をシート状
に賦形後、乾燥して得られるグリーンシートである。以
下、請求項1,2に記載の発明の構成の詳細を説明す
る。
るのに用いられる変性ポリビニルアルコールは、上記の
ように重合度200〜3500及びケン化度が75〜9
9.8モル%のものであることが必要である。重合度が
200未満では、ポリビニルアルコールの構成が困難で
あり、重合度が3500を超えると溶液粘度が高くなり
過ぎ、種々の用途における実用性が低下するからであ
る。また、ケン化度75〜99.8モル%としているの
は、ケン化度が75モル%未満では水溶性が十分でない
からであり、99.8モル%を超えると、ポリビニルア
ルコールの合成が困難となるからである。
ポリビニルアルコールを得る方法としては、予め上記一
般式(I)もしくは(II)に示したユニットを主鎖の形
成時に共存させておく方法が挙げられる。また、上記一
般式(I)もしくは(II)で示されるユニットとしては
種々のものが考えられるが、例えば、下記の式(III) 、
(IV)及び(V)で示すものが挙げられる。
トにおいて、nは、いずれも1〜100の範囲の整数を
示す。上記のようにして得られた変性ポリビニルアルコ
ールは、変性度、すなわち上記一般式(I)もしくは
(II)で示されるユニットの割合が0.01〜5モル%
の範囲であることが必要である。この場合、変性ポリビ
ニルアルコールを単独で使用してもよく、あるいは変性
ポリビニルアルコールと未変性のポリビニルアルコール
とを混合し、全体として、上記ユニットの割合が0.0
1〜5モル%となるようにしてもよい。
ニットの割合を、0.01〜5モル%の範囲としたの
は、5モル%を超えると、接着性を高めることができな
くなり、かつ変性ポリビニルアルコールを得るための合
成が困難となるからであり、他方、0.01モル%未満
では、上記ユニットを導入したことによる柔軟性改善効
果が十分に得られないからである。なお、上記一般式
(I)もしくは(II)で示されるユニット内のnの値を
1〜100の整数としているのは、100を超えると、
柔軟性が高くなり過ぎ、ハンドリング性が悪くなるから
である。
ール樹脂は、上記のようにして得られた変性ポリビニル
アルコールまたは変性ポリビニルアルコール及び未変性
ポリビニルアルコール混合物を、アセトアルデヒド及び
/またはブチルアルデヒドにより、アセトアセタール化
度をAモル%(但し、A≧0)、ブチラール化度をBモ
ル%(但し、B≧0)としたときに、上記のように10
≦(A+3B)≦50の関係を満たすようにアセタール
化することにより得られる。上記の式で示される混合ア
セタール化度(A+3B)が10モル%未満の場合に
は、得られたポリビニルアセタール樹脂の可撓性が乏し
くなり、実用的価値がなくなるからであり、他方、50
モル%を超えると、水不溶性となるからである。
的に説明する。上記変性ポリビニルアルコールまたは変
性ポリビニルアルコール及び未変性ポリビニルアルコー
ルの混合物を水に溶解させる。次に、例えば、塩酸のよ
うな酸触媒の存在下で、上記混合アセタール化度を与え
るように、所定量のアセトアルデヒド及び/またはブチ
ルアルデヒドと反応させた後、例えば水酸化ナトリウム
のようなアルカリで中和することにより、上記ポリビニ
ルアセタール樹脂を得ることができる。
ラミック泥漿物は、上記請求項1に記載の水溶性ポリビ
ニルアセタール樹脂をバインダー樹脂として用いて調製
される。すなわち、上記グリーンシート成形用セラミッ
ク泥漿物は、前述のようにして得られた水溶性ポリビニ
ルアセタール樹脂と、セラミック粉末と、可塑剤とを主
成分として配合することにより調製される。
ー樹脂として上記請求項1に記載の特定の水溶性ポリビ
ニルアセタール樹脂を得るのに用いられる変性ポリビニ
ルアルコールとしては、特に、重合度200〜2000
及びケン化度75〜99.8モル%のものが好適に用い
られる。重合度200未満では、ポリビニルアルコール
の合成が困難であり、重合度が2000を超えると泥漿
物の粘度が高くなり過ぎ、分散性が低下するからであ
る。また、ケン化度が75〜99.8モル%を用いるの
は、前述したように、ケン化度が75モル%未満では水
溶性が十分でないからであり、99.8モル%を超える
とポリビニルアルコールの合成自体が困難となるからで
ある。
通常、グリーンシート成形用セラミック泥漿物中に3〜
15重量%の範囲で配合されることが好ましい。15重
量%を超えて配合されると、セラミック泥漿物の粘度が
高くなり過ぎ、分散性が低下し、かつグリーンシートを
焼成する際にシートの収縮率が大きくなるからであり、
3重量%未満では、セラミック粉末全体にバインダー樹
脂としてのポリビニルアセタール樹脂を分散させるのに
は不十分であるため、得られたグリーンシートの柔軟性
が十分でなく、焼成後にクラック等が発生しがちとなる
からである。
泥漿物において用いられるセラミック粉末としては、従
来よりセラミックグリーンシートを製造するのに用いら
れている適宜のセラミック粉末が使用され得る。このよ
うなセラミック粉末としては、例えば、アルミナ、ジル
コニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、
チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネル
ムライト、結晶化ガラス、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒
化アルミニウム等の粉末が挙げられる。また、これらの
セラミック粉末に、MgO−SiO2 −CaO系、B2
O3 −SiO2系、PbO−B2 O3 −SiO2 系、C
aO−SiO2 −MgO−B2 O3 系またはPbO−S
iO2 −B2 O3 −CaO系等のガラスフリットを添加
してもよい。
ート成形用セラミック泥漿物中、30〜80重量%の範
囲で配合されることが好ましい。80重量%を超えて配
合されると、セラミック泥漿物の粘度が高くなり過ぎ、
混練性が低下するからであり、30重量%未満の場合に
はセラミック泥漿物の粘度が低くなり過ぎ、シートを成
形するためのハンドリング性が悪化するからである。本
発明のグリーンシート成形用セラミック泥漿物において
用いられる上記可塑剤としては、水溶性ポリビニルアセ
タール樹脂との相溶性に優れているものであれば、任意
の可塑剤を用いることができる。このような可塑剤の例
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、ヘキサメチレングリコール等を挙げる
ことができる。
用セラミック泥漿物中、0.1〜10重量%の範囲で配
合されることが好ましい。10重量%を超えて配合され
ると、シートを成形する際のハンドリング性が悪くなる
からであり、0.1重量%未満の場合には、可塑剤を配
合したことによる効果が十分に得られないからである。
なお、特に限定されるものではないが、請求項2に記載
の発明のセラミック泥漿物では、適度な混練性を有する
必要があるため、通常、30〜70重量%の範囲で水が
配合される。さらに、請求項2に記載のグリーンシート
成形用セラミック泥漿物物には、本発明の目的を達成し
得る範囲内において、必要に応じて、潤滑剤、解膠剤、
濡れ剤、帯電防止剤、消泡剤、乾燥促進剤等を含有させ
てもよい。
物は、従来から慣用されている賦形法、例えばドクター
ブレード法等を用いて賦形され、それによって請求項3
に記載の発明のグリーンシートを得る。このような応用
例の一例として、セラミック回路基板の製造に利用した
例を説明する。まず、セラミック粉末を上記水溶性ポリ
ビニルアセタール樹脂及び可塑剤を含有する水溶液に加
え、混合・脱泡し、セラミック泥漿物を調製する。次
に、得られたセラミック泥漿物を支持体上に塗布し、加
熱・乾燥させた後、上記支持体を剥離してグリーンシー
トを得る。次に、得られたグリーンシートを適宜の形状
及び寸法に打ち抜き、必要に応じてグリーンシートの表
面に回路及び文字等を印刷し、しかる後複数枚の上記グ
リーンシートを積層し、熱融着することにより一体化
し、積層体を得る。最後に、上記積層体を焼成し、セラ
ミックスを焼結すると共に上記バインダー樹脂を分解さ
せ、ハイブリッド型の多層セラミック回路基板を得るこ
とができる。
リビニルアルコールが上記特定のアセタール化度を有す
るように、アセトアルデヒド及び/またはブチルアルデ
ヒドによりアセタール化されている。従って、アセター
ル環の立体障害に起因する結晶化や水酸基相互の分子間
水素結合の形成が抑制される。その結果、十分な水溶性
を有しながらも、柔軟性に優れたポリビニルアセタール
樹脂が構成される。また、上記一般式(I)もしくは
(II)で示される特定のユニットを上記特定の割合で含
有しているため、該ユニットの作用により、柔軟性がよ
り一層高められている。
形用セラミック泥漿物では、バインダー樹脂として上記
特定の水溶性ポリビニルアセタール樹脂が配合されてい
る。この水溶性ポリビニルアセタール樹脂では、上記の
ように水酸基の分子間及び分子内における会合が生じ難
い。よって、上記特定の水溶性ポリビニルアセタール樹
脂をバインダー樹脂として含むセラミック泥漿物を用い
て請求項3に記載の発明のグリーンシートを成形した場
合、得られたグリーンシートの柔軟性が十分な大きさと
される。また、上記セラミック泥漿物は、経時によりそ
の粘度の増加も生じ難い。
樹脂は、一般式(I)もしくは(II)で示されるユニッ
トを有しており、かつ該ユニットの側鎖の部分の長さが
かなり長いため、バインダー樹脂としての水溶性ポリビ
ニルアセタール樹脂において内部可塑化が生じ、それに
よって、得られるグリーンシートの柔軟性がさらに高め
られる。
を挙げることにより、本発明を明らかにする。実施例1 上記変性ポリビニルアルコールとして、重合度500、
ケン化度98モル%、変性度2モル%(前記一般式
(I)においてR1 =H、R2 =H、R3 =H、n=1
0である)の変性ポリビニルアルコールを用意した。こ
の変性ポリビニルアルコール200gを水1600gに
加え、90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。次
に、得られた溶液を45℃に冷却し、これに35重量%
濃度の塩酸50gを加え、さらに35℃まで冷却した。
g及び純度99%のアセトアルデヒド25gを2時間か
けて滴下し、35℃で3時間反応させたところ、白濁し
た反応混合物が得られた。上記反応混合物を20℃まで
冷却し、攪拌下において10重量%濃度の水酸化ナトリ
ウム水溶液192gを加えて、透明な樹脂溶液を得た。
得られた透明な溶液をポリチエレンフィルム上に流延
し、乾燥させ、透明フィルムを得た。この透明フィルム
をDMSO−d6 に溶解し、13C−NMRを用いてアセ
タール化度を測定したところ、ブチラール化度は10モ
ル%、アセトアセタール化度は15モル%であった。
込み量を下記の表1に示すように変更したこと以外は、
実施例1と同様にして透明フィルムを得、実施例1と同
様にしてアセタール化度を測定した。測定されたブチラ
ール化度及びアセトアセタール化度を、表1に併せて示
す。
込み量を下記の表2に示すように変更したこと以外は、
実施例1と同様にして透明フィルムを得た。また、得ら
れた透明フィルムのアセタール化度を測定したところ、
表2に示す結果が得られた。
度1000及びケン化度88モル%の未変性ポリビニル
アルコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、
比較例7では、重合度2000、ケン化度80モル%の
未変性ポリビニルアルコールを用いたこと以外は実施例
1と同様にして、それぞれ、透明フィルムを作成した。
また、得られた各透明フィルムについて、実施例1と同
様にしてアセタール化度を測定したところ、表2に示す
結果が得られた。
各樹脂について、水に対する溶解性、及び上記樹脂から
得られたフィルムの柔軟性を以下の要領で測定した。 水溶性…樹脂を水に溶解し、10重量%溶液とし、温
度20℃における水溶性を目視により評価した。結果を
表1及び表2に後述の評価記号により示す。 柔軟性…水溶性の評価に際して調製した10重量%樹
脂水溶液をポリエチレンフィルム上に流延し、乾燥さ
せ、透明な100μmの厚みのフィルムを得た。このフ
ィルムの柔軟性を手触りにより調べ、評価した。結果
を、表1及び表2に下記の評価記号により示す。表1及
び表2における水溶性及び柔軟性についての評価記号の
意味は、以下の通りである。 ◎…極めて良好、 ○…良好、 △…良、 ×…悪い
ーンシート成形用セラミック泥漿物についての実施例7
〜12及び比較例8〜10につき説明する。実施例7 実施例1で得た透明溶液(20重量%濃度のポリビニル
アセタール樹脂水溶液)60gを水120gに溶解さ
せ、これに可塑剤としてポリエチレングリコール(平均
分子量=200)4gと、アルミナ粉末(平均粒径1μ
m)200gとを加え、ボールミルにより約15時間混
合し、セラミック泥漿物を得た。得られたセラミック泥
漿物を攪拌下において5mmHgの減圧下において脱泡
しつつ、10ポイズの粘度に調整した後、これを離型処
理したポリエステルフィルム上に約50μm程度に塗布
し、一日間風乾した。次に、110℃のギアオーブン中
で約3時間乾燥させ、厚さ25μmのグリーンシートを
得た。
ク粉末を、表3に示すように変更したこと以外は、実施
例7と同様にして厚さ25μmのグリーンシートを得
た。
ク粉末を表3に示すように変更したこと以外は、実施例
7と同様にして厚さ25μmのグリーンシートを得た。
0のグリーンシートを以下の要領で評価した。 柔軟性…グリーンシートの柔軟性を手触りにより評価
した。結果を、下記の表3に示す。なお、表3における
柔軟性の評価記号の意味は以下の通りである。 ◎…極めて良好、 ○…良好、 ×…悪い 熱融着性…各グリーンシートから50mm角の試験片
を切り出し、該試験片を10枚積層した後、100℃の
温度で100kg/cm2 の圧力を積層方向に加え、1
0分間プレス成形した。しかる後、プレス成形された積
層体を厚み方向に手で割り、断面の状態を目視により観
察した。結果を下記の表3に示す。
意味は以下の通りである。 ◎…積層面が全く見えない状態。 △…部分的に積層面が観察される状態。 ×…明らかに積層面が観察される状態。
水溶性ポリビニルアセタール樹脂では、上記特定の変性
ポリビニルアルコールが上記特定のアセタール化度を有
するように、アセトアルデヒド及び/またはブチルアル
デヒドによりアセタール化されているため、該ポリビニ
ルアセタール樹脂は十分な柔軟性及び水溶性を示す。ま
た、一般式(I)もしくは(II)で示されるユニットを
上記特定の割合で含有しているため、そのことによって
も柔軟性がより一層高められている。
ール樹脂は優れた水溶性及び柔軟性を発揮し得るため、
セラミックグリーンシート成形用セラミック泥漿物に含
有させる樹脂バインダーとして好適に用いることができ
るほか、柔軟性が要求されるフィルムの製造に好適に用
いることができ、かつ有機顔料等の分散性においても優
れているため、水性マーカー用インキ、水性インクジェ
ット記録用インク、水性インクジェット記録用コーティ
ング剤及び親水性付与添加剤等にも好適に用いることが
できる。また、上記水溶性ポリビニルアセタール樹脂
は、水溶性に優れており、水を溶剤として使用すること
ができ、有機溶剤を使用する必要がないため、有機溶剤
の使用による環境汚染を引き起こすおそれもない。
形用セラミック泥漿物では、請求項1に記載の水溶性ポ
リビニルアセタール樹脂がバインダー樹脂として配合さ
れている。そして、このバインダー樹脂は、上記一般式
(I)もしくは(II)で示されるユニットを有してお
り、該ユニットの側鎖の部分の長さがかなり長いため、
及び/またはアセタール環の有するアルキル基により、
内部可塑化が生じるため、得られたグリーンシートの柔
軟性が飛躍的に高められる。その結果、複数枚のグリー
ンシートを積層し、熱融着した場合の熱融着性が良好で
あるため、多数のグリーンシートを積層し熱融着する工
程を経なければ製造できない積層型のハイブリッド回路
基板を製造するのに好適に用いることかできる。
脂は、ポリビニルアルコールと異なり、分子中の水酸基
が分子内及び分子間で結合することがないため、請求項
2に記載のセラミック泥漿物では経時的に粘度が増加す
ることもない。さらに、上記グリーンシート成形用セラ
ミック泥漿物は、主溶剤として水を用いるものであるた
め、安全性の点においても、有機溶剤を溶剤として用い
たセラミック泥漿物に比べて優れている。
Claims (3)
- 【請求項1】 下記の一般式(I)もしくは(II)で示
されるユニットを有し、 【化1】 【化2】 (但し、式(I)もしくは(II)において、R1 は、水
素またはメチル基を、R 2 、R3 及びR4 は水素または
アルキル基を、nは1〜100の整数を示す。)かつ上
記ユニットの割合が0.01〜5モル%である重合度2
00〜3500及びケン化度75〜99.8モル%の変
性ポリビニルアルコールを、アセトアセタール化度をA
モル%(但し、A≧0)、ブチラール化度をBモル%
(但し、B≧0)としたときに、 10≦(A+3B)≦50 の関係を満たすようにアセトアルデヒド及び/またはブ
チルアルデヒドによりアセタール化してなることを特徴
とする、水溶性ポリビニルアセタール樹脂。 - 【請求項2】 セラミック粉末と、可塑剤と、請求項1
に記載の水溶性ポリビニルアセタール樹脂とを含有する
ことを特徴とする、グリーンシート成形用セラミック泥
漿物。 - 【請求項3】 請求項2に記載のグリーンシート成形用
セラミック泥漿物をシート状に賦形後、乾燥して得られ
るグリーンシート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP04101207A JP3110146B2 (ja) | 1992-04-21 | 1992-04-21 | 水溶性ポリビニルアセタール樹脂、グリーンシート成形用セラミック泥漿物及びグリーンシート |
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JP04101207A JP3110146B2 (ja) | 1992-04-21 | 1992-04-21 | 水溶性ポリビニルアセタール樹脂、グリーンシート成形用セラミック泥漿物及びグリーンシート |
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