JPH05293512A - 完全連続熱間圧延のシートバーの接合方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、完全連続熱間圧延を行う際に、溶
接は行わず、仕上圧延機の前段においてシートバーを圧
延接合する技術に関する。溶接が不要のため既設ミルの
改造に適した安価なプロセスである。 【構成】 粗圧延機６で所定の寸法に圧延したシートバ
ーはシャー２により先端と後端をカットし、後行するシ
ートバー６の先端部を移動式ガイド３でクランプして仕
上圧延中のシートバー７の後端部に押し付けて位置決め
するとともに突き合わせ部を仕上圧延機の前段で圧延圧
接する。後続の仕上スタンドで板破断しない程度の接合
力が、溶接を必要としない固相接合で得られ、連続圧延
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、完全連続熱間圧延を行
う際に、溶接は行わず、仕上圧延機の前段においてシー
トバーを圧延接合する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、薄板の熱間タンデム圧延では、製
鋼工程から送られてきた有限長さのスラブを粗圧延して
シートバーとし、このシートバーを多スタンドの熱間仕
上圧延機で圧延してコイルに捲き取ることにより所定の
寸法の薄板コイルにしている。しかし、仕上圧延におい
て、シートバーが有限長さであることによるシートバー
先端の噛み込みおよびシートバー後端の尻抜け時の非定
常圧延が避けられないため、板の絞り込みなどの通板不
良発生防止の観点から、シートバーの先後端の通板時に
通板速度を遅くしなければならず、生産性を阻害する要
因となっていた。その対策として、有限長さのシートバ
ーを粗圧延機と仕上圧延機の間で接合してエンドレスの
仕上圧延を行うことが検討されている。

【０００３】特開昭５７−１０９５０４号公報には図３
に示すように粗圧延機１、コイルボックス８、保熱装
置、捲き戻し装置、移動式接合機（スイングローラー式
テーブル）１０、仕上圧延機４からなるプロセスが開示
されている。この方式は、溶接だけで接合強度を確保し
なければならないために、広い接合面積が必要で、その
ために充分な接合時間を得る目的で移動式接合機の走行
距離が長くなる。即ち、スイングローラー式テーブル設
置のため、既設ミルの改造に際しては多くのミル休止期
間と改造コストが必要となり、この方法は事実上採用で
きない。特開昭５８−１１２６０１号公報および特開昭
５９−２０９４０５号公報には図４に示すように粗圧延
機、コイルボックス、シャー、固定式溶接機１３、シー
トバーの貯蔵装置またはスパイラルルーパー、仕上圧延
機からなるプロセスが開示されている。

【０００４】固定式溶接機の例として特開昭６１−１５
８２８５号公報および特開昭６１−２４２７６８号公報
に通電加熱とアップセットを用いるプロセスが示されて
いる。この方式では固定式溶接機を採用するのでスイン
グローラー式テーブルは不要である。しかし、ルーパー
などのシートバーの貯蔵装置が新たに必要となり、シー
トバーが塑性変形をしない最小の曲げ曲率半径が２５ｍ
程度となることを考慮すると、ルーパーなどの設備の大
型化が避けられず、高コストとなる難点がある。即ち、
既設ミルの改造には事実上採用できない。

【０００５】以上に示す従来技術では、シートバーの溶
接に長い時間を要するので、設備コストが高くなる問題
があった。この問題を解決するためには短時間で接合を
行う方法の開発が重要である。その有力な方法として溶
接を行わない圧接方法の採用が考えられる。しかし、連
続圧延においては連続化率の向上に伴って、板温度、板
サイズ、鋼種、圧下率などが頻繁に変化するので、圧接
方法ではシートバーの接合力が変化し、板破断など安定
した通板ができない問題があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来、既設ミルを改造
して完全連続熱間圧延を実施するためには、コスト高の
溶接は行わず、仕上圧延機の前段でシートバーを固相接
合する新プロセスが有利である。しかし、固相接合プロ
セスにおいては、仕上圧延機の入側でシートバー突き合
わせ部の溶接を行わないため、仕上圧延の際に接合部が
分離して仕上圧延機前段で圧接されたシートバーの接合
強度にばらつきを生じる問題があった。

【０００７】そこで、仕上圧延時に突き合わせ部が分離
しないために、発明者等は圧延理論と熱間の鋼を用いた
実験により圧延圧接の機構を調べ、その際に得られた知
見に基づいて本発明を完成したものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、粗圧延されたシートバーの先端部をクランプして
仕上圧延中のシートバーの後端に押し付けるとともに位
置決めする移動式ガイドを用いることにある。以下に、
本発明の実施態様例を示す図面を参照しながら、本発明
を詳細に説明する。

【０００９】図１において１は粗圧延機、２はシャー、
３は移動式ガイド、４は仕上圧延機、５は仕上圧延機前
段の作業ロール、６は後行するシートバー、７は先行す
るシートバーを示す。粗圧延機１で所定の寸法に圧延さ
れたシートバーはシャー２により先端と後端をカット
し、後行するシートバー６の先端部を移動式ガイド３で
クランプして仕上圧延中のシートバー７の後端に押し付
けて位置決めするとともに、突き合わせ部を仕上圧延機
の前段で圧延して、シートバーを圧延圧接する。後続の
仕上スタンドで板破断しない程度の接合力が、溶接を必
要としない固相接合で得られ、連続圧延が可能となる。

【００１０】次に本発明の作用について説明する。図２
は横軸にロールバイト内の位置、縦軸にシートバーに作
用する圧延方向垂直圧力ｐを示す。圧延理論の教えると
ころによれば、圧延方向垂直圧力ｐはロールとシートバ
ーの相対滑りにより生じる摩擦丘により発生し、先行す
るシートバーと後行するシートバーの突き合わせ面で、
両方の面を押し付けるように作用する。

【００１１】シートバーは熱間圧延であるから１０００
℃程度に加熱されているので、この圧延方向垂直圧力ｐ
が充分大きければシートバーの突き合わせ面は容易に圧
接される。また、この圧接力により突き合わせ面に接触
不良があっても、その程度が小さければ、隙間を埋める
ようにメタルフローが生じて圧接は可能となる。

【００１２】しかし一般にシートバーの先後端部の圧延
では非定常圧延となるので、定常部の圧延と比べて圧延
状態が不安定である。即ち、先行するシートバー後端の
蛇行などのために、シートバーの突き合わせ面の接触不
良が発生しやすくなる。

【００１３】そこで、図１の移動式ガイド３により、後
行するシートバーの先端部をクランプして後行するシー
トバーの先端部を、先行するシートバーの後端部に押し
付けることにより、シートバーの突き合わせ面の接触状
態を良好に保ちながら、仕上圧延機の前段の作業ロール
５に突き合わせ部を誘導し、シートバーの圧接を確実な
らしめる。

【００１４】

【実施例】本発明の実施例を図１と表１を用いて説明す
る。表１の条件で連続熱間圧延テストを行った結果、接
合は行われ、仕上圧延中にシートバーの板破断は発生せ
ず、本発明が有効であることが判明した。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【発明の効果】本発明は、以上に述べたように構成しか
つ作用せしめることにより、完全連続熱間圧延を行う際
に、仕上圧延機の前段においてシートバーを圧延接合す
るのに顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す説明図である。

【図２】本発明の作用を示すものでロールバイト位置と
圧延方向垂直圧力ｐの関係を示す図表である。

【図３】移動式接合機とスイングローラー式テーブルを
用いた従来プロセスの説明図である。

【図４】固定式溶接機とシートバーの貯蔵装置またはス
パイラルルーパーを用いた従来プロセスの説明図であ
る。

【符号の説明】 １ 粗圧延機 ２ シャー ３ 移動式ガイド ４ 仕上圧延機 ５ 仕上圧延機前段の作業ロール ６ 後行するシートバー ７ 先行するシートバー ８ コイルボックス ９ コイル １０ 移動式接合機 １１ レール １２ スイングローラー式テーブル １３ 固定式溶接機 １４ ピンチロール １５ シートバーの貯蔵装置またはスパイラルルーパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粗圧延後のシートバーを先行する仕上圧
   延中のシートバーに接合して連続的に圧延する完全連続
   熱間圧延のシートバーの接合方法において、粗圧延され
   たシートバーの先端部をクランプするとともに、仕上圧
   延中のシートバーの後端に該クランプしたシートバーの
   先端部を押し付けて、移動式ガイドを用いて位置決めす
   ることを特徴とする完全連続熱間圧延のシートバーの接
   合方法。