JPH05287181A - ウエルド強度及び耐熱安定性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

ウエルド強度及び耐熱安定性に優れた高流動性熱可塑性樹脂組成物

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JPH05287181A
JPH05287181A JP4088829A JP8882992A JPH05287181A JP H05287181 A JPH05287181 A JP H05287181A JP 4088829 A JP4088829 A JP 4088829A JP 8882992 A JP8882992 A JP 8882992A JP H05287181 A JPH05287181 A JP H05287181A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出成形時の流動加工性やウエルド強度及び
耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【構成】 ポリエステル樹脂15〜85重量部、架橋ア
クリルゴムまたはオルガノシロキサンゴムをゴム質とし
て有するグラフト重合体10〜50重量部、エポキシ基
により変性されたAS樹脂3〜75重量部の合計量10
0重量部に対して、強化用充填材0〜120重量部から
成る熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 自動車部品や電子部品等として有用な、射出
成形時の流動加工性やウエルド強度及び耐熱安定性に優
れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形時の流動加工
性、ウエルド強度及び耐熱安定性に優れた熱可塑性樹脂
組成物に関し、詳しくは特定の重合体を含むポリエステ
ル−グラフト重合体系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂は、耐薬品性や流動加
工性に優れているため電気電子部品、自動車部品など広
範な分野に使用されている。しかし、耐衝撃性とりわけ
ノッチ付きの衝撃強さが低いため用途がかなり制限され
ている。そこでポリエステル樹脂の耐衝撃改良を目的と
した樹脂組成物の研究が行われ、ポリエステル樹脂にA
BS樹脂をブレンドする方法(特公昭51−25261
号公報)、またポリエステル樹脂とブレンドするABS
樹脂・AS樹脂に官能基を導入し物性の改良をはかる方
法(特開昭54−23656号公報、特開平1−163
249号公報)が提案されている。またポリエステル樹
脂に架橋アクリル系ゴムをブレンドする方法(特開昭5
2−74652号公報、特開昭52−150446号公
報、特開昭53−137251号公報)が提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
得られる樹脂組成物は耐熱安定性、耐衝撃性の改良効果
が不十分であったり、射出成形時の流動加工性に劣った
り、ウエルド強度が不十分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはポ
リエステル樹脂のウエルド強度を含めた耐衝撃性と射出
成形時の流動性及び耐熱安定性を改良する方法について
鋭意検討したところ、特定の共重合体並びに必要により
強化充填材を特定の割合で配合することにより目的を達
成できることを見い出し本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は下記成分(A)、(B)及
び(C)の合計量100重量部と強化用充填材(D)0
〜100重量部から成るウエルド強度の優れた高流動性
熱可塑性樹脂組成物である。 (A)ポリアルキレンテレフタレートを主体とするポリ
エステル樹脂15〜85重量部 (B)架橋アクリルゴム、オルガノシロキサン系ゴムか
ら成る群より選ばれた少なくとも一種のゴム質重合体
(a)の存在下に シアン化ビニル単量体 10〜45重量% 芳香族ビニル単量体 25〜85重量% 他のビニル単量体 0〜35重量% (これら〜成分の合計量は100重量%である。)
から成る単量体混合物(b)をグラフト重合して得られ
るグラフト重合体10〜50重量部 (C)シアン化ビニル単量体 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 60〜84.9重量% エポキシ基含有ビニル単量体 0.1〜0.4重量% (これら〜成分の合計量は100重量%である。)
から成る単量体混合物を重合して得られる重合体3〜7
5重量部
【0006】本発明におけるポリアルキレンテレフタレ
ートを主体とするポリエステル樹脂(A)は、主として
炭素数8〜22個の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜2
2個のアルキレングリコールあるいはシクロアルキレン
グリコールから成るものを50重量%以上含むものであ
り、所望により劣位量の脂肪族ジカルボン酸、例えばア
ジピン酸やセバチン酸などを構成単位として含んでいて
もよく、またポリエチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等のポリアルキレングリコールを構成単
位として含んでもよい。特に好ましいポリエステル樹脂
としてはポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチ
レンテレフタレート等が挙げられる。これらのポリエス
テル樹脂は単独であるいは2種以上を混合して用いられ
る。ポリエステル樹脂(A)の使用量は(A)、(B)
及び(C)成分の合計量100重量部のうち15〜85
重量部である。
【0007】次に、本発明におけるグラフト重合体
(B)はゴム質重合体(a)に、シアン化ビニル単量
体、芳香族ビニル単量体及び必要に応じて他のビニル単
量体から成る単量体混合物をグラフト重合して得られる
ものである。ゴム質重合体としては、ポリアクリル酸ブ
チルのようなポリアクリル酸エステルゴム;ポリブタジ
エンの外層にポリアクリル酸ブチルを設けて成るポリブ
タジエン・ポリアクリル酸ブチル2段構造ゴム質重合体
のような複合ゴム;ポリオルガノシロキサンゴム;ポリ
アクリル酸ゴムとシロキサンゴムが相互に絡み合った構
造をとるゴム;あるいは、これら2種以上の混合物が上
げられる。
【0008】グラフト重合体(B)中のゴム質重合体
(a)の含有量は50〜80重量%であることが好まし
い。50重量%未満の場合、次に述べるグラフト重合し
ていない樹脂成分の含有量が増加傾向にあり、また80
重量%を超える場合にはグラフト重合体(B)を粉体と
して得ることが困難となる。またゴム質重合体(a)に
グラフト重合していない樹脂成分の含有量が全樹脂組成
物((A)、(B)及び(C)の合計量100重量部)
中7重量%以下にすることが特に好ましい。7重量%を
超える場合にはポリエステル樹脂(A)との相溶性に劣
るアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)が
増加する傾向にある。
【0009】グラフト重合に用いるゴム質重合体(a)
のうち架橋アクリル酸ゴム質重合体の形成に用いられる
アクリル酸エステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどが
挙げられ、特にアクリル酸ブチルが好ましい。またアク
リル酸エステル単量体と共重合可能な単量体を所望によ
り50重量%以下用いてもよく、例えばメタクリル酸メ
チル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、スチレ
ンなどが挙げられる。架橋アクリルゴム質重合体の形成
に用いられるグラフト交叉剤は、付加重合性を有する不
飽和基を2〜3個有し、その各不飽和基の重合反応性に
大きな差のある化合物を指し、具体例としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シアヌル
酸、イソシアヌル酸等の不飽和酸のアリルエステルなど
が挙げられる。
【0010】また、架橋剤は、付加重合性を有する不飽
和基を複数個有し、その各不飽和基の重合性がほぼ同じ
か差の小さい化合物を指し、具体例としては、ポリアル
キレングリコ−ルのジアクリル酸エステル、ジメタクリ
ル酸エステルやジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0011】アクリル酸ゴム質重合体には,芯にブタジ
エン系ゴムを含有することが出来る。ブタジエン系ゴム
としては、ブタジエン単位を50重量%以上含むもの
で、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体などの共重合体も含まれる。ブタ
ジエンゴム質重合体は芯として用いられ、その外層にア
クリル酸エステル重合体を形成させて用いられる。ゴム
質重合体(a)に含まれるブタジエンゴム質重合体の含
有量は,耐熱安定性などからゴム質重合体(a)に対し
て30重量%以下が好ましい。
【0012】オルガノシロキサン系ゴムとしては、例え
ばオルガノシロキサンと架橋剤、必要に応じてグラフト
交叉剤を添加、重合して得られるポリオルガノシロキサ
ンゴム、あるいはこのポリオルガノシロキサンゴムに架
橋アクリル酸エステル系ゴムがからみあった、または多
重構造を有する複合ゴムなどが挙げられる。、オルガノ
シロキサンゴムは、オルガノシロキサン及び架橋剤より
合成され、さらにグラフト交叉剤も併用することが出来
る。
【0013】オルガノシロキサンゴムを構成するシロキ
サン単位としては、次式 R2 nSiO(4−n)/2 (1) (式中、R2は、水素原子、メチル基、エチル基、プロ
ピル基またはフェニル基、nは、0、1または2を示
す。)で表せるものが好ましい。
【0014】オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種環状体が挙げられ、好ましく用いられるのは3〜
6員環である。例えばヘキサメチルシクロトリシロキサ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチル
シクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサン
シロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキ
サン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキ
サン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げ
られ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられ
る。これらの使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分
中50重量%以上、好ましくは70重量%以上である。
【0015】架橋剤、グラフト交叉剤としては、特願昭
61−140636号公報に記載されているものが好ま
しく用いられる。架橋剤、グラフト交叉剤の使用量は、
各々0.1〜30重量%、0〜10重量%以下である。
【0016】このポリオルガノシロキサンゴムの製造
は、例えば米国特許第2,891,920号明細書、同第
3,294,725号明細書などに記載された方法を用い
ることができる。本発明の実施では、例えば、オルガノ
シロキサンと架橋剤及びグラフト交叉剤の混合液とをア
ルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸などの
スルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモゲナイザ−
等を用いて水と剪断混合する方法により製造することが
好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロ
キサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤とも
なるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホ
ン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩などを併用する
とグラフト重合を行う際にポリマ−を安定に維持するの
に効果があるので好ましい。
【0017】ポリアクリル酸ゴムとポリシロキサンゴム
成分が、相互に絡み合った構造をとるゴムは、ポリアク
リル酸ゴムの合成用単量体をポリオルガノシロキサンゴ
ムラテックスのゴム粒子に含浸させてから重合して製造
するのが好ましい。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリの水溶液の添加
により中和されたポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックス中に、アクリル酸エステル単量体、架橋剤及び
グラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム
粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用
させてポリアルキル酸ゴム成分の重合を行う。
【0018】重合の進行と共にポリオルガノシロキサン
ゴムに複合一体化したポリアクリル酸ゴムが形成され、
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアクリル酸ゴム
が実質上相互に分離できない一体化した複合ゴムのラテ
ックスが得られる。この様にして乳化重合により調製さ
れた複合ゴムは、ビニル系単量体とグラフト重合可能で
あり、また、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリア
クリル酸ゴム成分とは複合一体化されているためアセト
ン、トルエンなどの通常の有機溶剤では抽出分離できな
い。
【0019】グラフト重合に用いられるシアン化ビニル
単量体としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、エタクリロニトリル、フマロニトリルなどが挙げら
れ、これらは単独でまたは併用して使用することができ
る。グラフト単量体中のシアン化ビニル単量体の割合は
好ましくは15〜40重量%である。15重量%未満で
は得られる樹脂組成物の耐衝撃性や耐薬品性に劣る傾向
となり、また40重量%を超える場合は得られる樹脂組
成物を形成する際の着色が大きくなる。
【0020】また、グラフト重合に用いる芳香族ビニル
単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、o−メ
チルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、p−メチル
スチレン、t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン、
p−エチルスチレン等が挙げられ、これらは単独または
2種以上を併用することができる。芳香族ビニル単量体
のグラフト単量体に占める割合は好ましくは25〜85
重量%であり、これらの範囲をはずれる場合は耐衝撃
性、成形性の少なくとも1つが劣る。
【0021】また、グラフト重合時には劣位量の共重合
可能な他のビニル単量体を共重合できる。共重合可能な
他のビニル単量体としてはメタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル等のメタクリル酸エステルやN−フェニル
マレイミドのようなマレイミド単量体が挙げられるが、
特にこれらに限定されるものではない。これらの共重合
可能な他のビニル単量体はグラフト単量体中35重量%
までの範囲で必要に応じて使用される。
【0022】グラフト重合体(B)の使用量は(A)、
(B)及び(C)成分の合計量100重量部中10〜5
0重量部であり、好ましくは10〜35重量部である。
10重量〜50重量部の範囲をはずれる場合は、耐衝撃
性や耐薬品性の少なくとも1つが劣るため好ましくな
い。35重量部を超え50重量部以下の場合にはグラフ
ト重合していないフリーのAS樹脂が増加する傾向にあ
り、これを7重量%以下にするには高いグラフト率が必
要になる。
【0023】グラフト結合していないフリーの樹脂成分
の含有量は次のようにして求めたものである。即ち、グ
ラフト重合体2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、6
5℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpm
にて30分間遠心分離する。しかる後、上澄み液を除去
し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾
燥後の試料を精秤し、その重量をG(g)とする。グラ
フト重合していないフリーの樹脂成分の含有量X(%)
(グラフト重合体に対して)は、次式により求めること
ができる。
【0024】
【数1】
【0025】本発明における重合体(C)は、シアン化
ビニル単量体15〜40重量%、芳香族ビニル単量体6
0〜84.9重量%、エポキシ基含有ビニル単量体0.1
〜0.4重量%を重合して得られるものである。シアン
化ビニル単量体や芳香族ビニル単量体は、グラフト重合
体(B)で用いられるものと同じものが使用できる。
【0026】シアン化ビニル単量体の含有量は重合体
(C)に用いる単量体の合計量に対して15〜40重量
%、好ましくは15〜25重量%である。この範囲をは
ずれる場合は耐衝撃性、耐薬品性あるいは成形品の着色
性の少なくとも1つが劣るものとなる。また、芳香族ビ
ニル単量体の含有量は重合体(C)に用いる単量体の合
計量に対して60〜84.9重量%であり、この範囲を
はずれる場合は耐衝撃性、射出成形時の流動加工性が低
下する。
【0027】エポキシ基含有ビニル単量体としてはグリ
シジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙
げられるが、グリシジルメタクリレートが特に好まし
い。エポキシ基含有ビニル単量体の含有量は、重合体
(C)に用いる単量体の合計量に対して0.1〜0.4重
量%である。0.1重量%未満では耐衝撃性の改良効果
が劣り、0.4重量%を超える場合は成形時の流動性が
低下したり、耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0028】重合体(C)には、上記単量体の他に劣位
量の共重合可能な他のビニル単量体を用いることができ
る。これらの単量体としてはメタクリル酸メチル等のメ
タクリル酸エステルや2−ビニルピリジン、4−ビニル
ピリジンやN−フェニルマレイミドのようなマレイミド
単量体が挙げられるが、特にこれらに限定されるもので
はない。これらの共重合可能な他の単量体は重合体
(C)中35重量%までの範囲で必要に応じて使用され
る。
【0029】重合体(C)の含有量は3〜75重量部で
あり、3重量部未満ではウエルド強度を含めた耐衝撃性
の改良効果が劣り、75重量部を超える場合は耐薬品性
や耐衝撃性の少なくとも1つが劣るものとなる。また、
重合体(C)は0.2%ジメチルホルムアミド溶液で測
定した還元粘度ηSP/Cが0.55以下であることが好ま
しい。0.55を超える場合は射出成形時の流動加工性
が劣る傾向となる。
【0030】本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じ
て強化用充填材(D)を配合することによって耐熱性、
剛性、寸法安定性を向上させることができる。強化用充
填材(D)としてはガラス繊維、カーボン繊維等の無機
繊維やウオラストナイト、タルク、マイカ粉、ガラス
箔、チタン酸カリ等の無機フィラーの少なくとも1種で
あるが、特にこれらに限定されるものではない。また得
られる樹脂組成物による成形品の外観向上を目的にして
これらの粉砕品も好ましく用いられる。強化用充填材
(D)の使用量は(A)、(B)及び(C)成分の合計
量100重量部に対して0〜100重量部である。10
0重量部を超える場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃
性や表面外観が劣るため、本発明の目的とするものにな
らない。
【0031】さらに、本発明の樹脂組成物には必要に応
じて改質剤、離型剤、光や熱に対する安定剤、染料、顔
料等の添加剤を適宜加えることができる。本発明の熱可
塑性樹脂組成物の調整方法としては、通常の樹脂のブレ
ンドで用いられるヘンシェルミキサー、タンブラーなど
の装置を使用することができる。また、賦型についても
単軸押出機、二軸押出機、射出成形機等の通常の賦型に
用いられる装置を使用することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」、「%」とあるのはそれ
ぞれ「重量部」、「重量%」を表す。なお、実施例中の
各物性の評価は下記の方法によった。 (1)アイゾット衝撃強度 ASTM D−256に準じて6.3mm厚みのノッチ付
き試片を使用して測定した。 (2)熱変形温度 ASTM D−648に準じて測定した(曲げ応力4.
6kgf/cm2)。 (3)ウエルド強度 3.2mm厚み×12.7mm幅×127mm長さのサイズで長
さ方向の両側にゲートを設けて中心にウエルドを生じさ
せた試片を用い、ウエルド部が破壊中心になるように
3.2mm×12.7mm×15mmサイズに試片を切り出しダ
インシュタット衝撃強度を測定した。 (4)ショートショット圧(SS圧) SS圧は、M−100((株)名機製作所)を用いて1
00mm角板、厚さ3mmをシリンダー温度240℃で成形
する時の成形可能な最小圧力を成形機の最大圧力(20
00kg・f/cm2)に対する百分率で表示した。 (5)耐熱安定性 試片を120℃のオーブンに72時間放置し、ASTM
D−1925に準拠し、カラーコンピュータCSMー
4ー2型スガ試験機(株)製でΔEを測定した。また、ア
イゾット衝撃強度も測定した。
【0032】参考例 本実施例に使用する各成分は下記の方法により製造し
た。 ポリエステル樹脂(A) ポリエステル樹脂(A)としては、極限粘度[η]が
1.05であるポリテトラメチレンテレフタレートを使
用した。
【0033】グラフト重合体(B−1)の製造 グラフト重合体(B−1)は、架橋アクリル酸ゴムのグ
ラフト重合体であり、次のようにして製造した。 オレイン酸カリウム 1.0部 不均化ロジン酸カリウム 1.0部 ピロリン酸ソーダ 0.5部 硫酸第一鉄 0.005部 デキストローズ 0.3部 無水硫酸ナトリウム 0.3部 イオン交換水 180部 上記混合物を反応容器に入れて窒素置換を行い、70℃
に昇温した。これに10部のイオン交換水に0.12部
の過硫酸カリウム(KPS)を溶解した溶液を加え、下
記の窒素置換された単量体混合物を2時間にわたり連続
的に滴下した。 アクリル酸n−ブチル 65部 メタクリル酸アリル 0.32部 ジメタクリル酸エチルアルコール 0.16部 滴下終了後、更に内温80℃に昇温し1時間保持した。
重合率は98.8%に達した。この架橋アクリルゴム質
重合体の膨潤度(メチルエチルケトン中30℃で24時
間浸漬静置後の膨潤重量と絶乾重量の比)は6.4、ゲ
ル含有量は93.6%、粒子径は0.22μmであった。
この架橋アクリルゴム質重合体に、更にアクリロニトリ
ル10部、スチレン25.8部、ベンゾイルパーオキサ
イド0.35部からなるビニル単量体混合物を1時間に
わたり連続滴下した。滴下終了後80℃に昇温し30分
間保持した。重合率は99%で粒子径は0.29μmで
あった。得られたラテックスを希硫酸で凝析した後、洗
浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(B−1)を得た。
尚、グラフト結合してないフリーの樹脂成分の含有量は
6%であった。
【0034】グラフト重合体(B−2)の製造 固形分が35%、平均粒径が0.08μmのポリブタジ
エンラテックス19.6部(固形分として)にアクリル
酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%から
なる平均粒径0.08μmの共重合体ラテックス0.4部
(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分間攪拌
して得た平均粒径0.28μmの肥大化ジエン系ゴムラ
テックス20部(固形分として)を反応容器に移し、不
均化ロジン酸カリウム1部、イオン交換水150部を加
え、窒素置換を行い70℃(内温)に昇温した。これに
10部のイオン交換水0.12部の過硫酸カリウムを溶
解した溶液を加え、下記の窒素置換された単量体混合物
を2時間にわたって連続的に滴下した。 アクリル酸n−ブチル 80部 メタクリル酸メチル 0.32部 ジメタクリル酸エチレングリコール 0.16部 滴下終了と同時に内温の上昇はなくなるが、更に80℃
に昇温し1時間続けると重合率は98%に達し、肥大化
ジエン系ゴムを内部に含む多層構造架橋アクリルゴム質
重合体を得た。この多層構造架橋アクリルゴム質重合体
の膨潤度は6.4、ゲル含有量は93.3%、粒子径は
0.28μmであった。多層構造架橋アクリルゴム質重
合体ラテックス65部(固形分として)を反応容器に取
り、イオン交換水220部を加えて希釈し、70℃に昇
温した。更に、アクリロニトリル11部、スチレン24
部からなるビニル単量体混合物を35部調整し、ベンゾ
イルパーオキサイド0.3部を溶解した後、窒素置換し
た。このビニル単量体混合物を、90分間かけて上記反
応系内に連続滴下し、滴下終了後、80℃に昇温し攪拌
保持を30分間実施した。重合率は99%で、平均粒径
は0.31μmであった。得られたラテックスを希硫酸
で凝析した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体
(B−2)を得た。尚、グラフト結合してないフリーの
樹脂成分の含有量は5%であった。
【0035】グラフト重合体(B−3)の製造 テトラエトキシシラン3.0部、γ−メタクリロイルプ
ロピルジメトキシメチルシラン1.0部及びオクタメチ
ルテトラシクロシロキサン96.0部を混合し、混合シ
ロキサン100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸
及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムをそれぞれ
1.0部を溶解したイオン交換水300部に混合シロキ
サン100部を加え、ホモミキサーにて10,000r
pmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより300K
g/cm2の圧力で乳化、分散させオルガノシロキサン
ラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び攪拌
翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪拌しなが
ら85℃で4時間加熱した後5℃で24時間冷却した。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのp
Hを7.2に中和し、重合を完結した。得られたポリオ
ルガノシロキサンゴムの重合率は91.2%、固形分濃
度は22.74%、膨潤度(ポリオルガノシロキサンを
トルエン溶媒下で25℃で飽和したとき、ポリオルガニ
シロキサンが吸収しているトルエンの重量割合)は、
7.4であり、ポリオルガノシロキサンゴムの粒子径は
0.150μmであった。このオルガノシロキサンゴム
ラテックスを固形分として、70部をセパラブルフラス
コに入れ、窒素置換をしてから70℃に昇温しアクリロ
ニトリル9部、スチレン21部及びt−ブチルハイドロ
パーオキサイド0.08部からなるモノマー混合物を仕
込み30分間攪拌した。更にロンガリット0.12部、
硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二
ナトリウム0.0006部及びイオン交換水10部の水
溶液を投入しラジカル重合を開始し,重合発熱がなくな
った後2時間反応を維持して重合を終了させた。得られ
たグラフト重合体の重合率は97%、グラフト率は48
%であった。得られたラテックスを、塩化カルシウム2
水塩を5部溶解した熱水中に滴下することにより重合体
を凝固、分離し、乾燥して水分を除去しグラフト重合体
(B−3)を得た。尚、グラフト結合してないフリーの
樹脂成分の含有量は5%であった。
【0036】グラフト重合体(B−4) グラフト重合体(B−3)で用いたオルガノシロキサン
ゴムラテックスを固形分として、30部セパラブルフラ
スコに入れ、イオン交換水120部を加え窒素置換をし
てから50℃に昇温し、アクリル酸n−ブチル37.5
部、メタクリル酸アリル2.5部及びt−ブチルハイド
ロパーオキサイド0.3部の混合液をポリオルガノシロ
キサンゴム粒子に浸透させた。次いで、硫酸第一鉄0.
0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.
001部、ロンガリット0.17部及びイオン交換水3
部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その後内
温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテッ
クスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの
平均粒子径を測定したところ0.19μmであった。ま
たこのラテックスを乾燥し、固形物を得、トルエンで9
0℃、12時間抽出しゲル含量を測定したところ90.
3%であった。この複合ゴムラテックスに、t−ブチル
ハイドロパーオキサイド0.3部、アクリロニトリル9
部及びスチレン21部との混合物を70℃にて45分間
にわたり滴下し、その後70℃で2時間保持し、複合ゴ
ムへのグラフト重合を完了した。得られたグラフト共重
合体の重合率は98.6%であった。得られたグラフト
共重合体ラテックスを塩化カルシウム5%の熱水中に滴
下することにより凝固、分離、洗浄した後75℃で16
時間乾燥し、複合ゴム系グラフト重合体(B−4)を得
た。尚、グラフト結合してないフリーの樹脂成分の含有
量は5%であった。
【0037】グラフト重合体(B−5)の製造 固形分が35%、平均粒径が0.08μmのポリブタジ
エンラテックス19.6部(固形分として)にアクリル
酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%から
なる平均粒径0.08μmの共重合体ラテックス0.4部
(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分間攪拌
して得た平均粒径0.28μmの肥大化ジエン系ゴムラ
テックス20部(固形分として)を反応容器に移し、不
均化ロジン酸カリウム1部、イオン交換水150部を加
え、窒素置換を行い70℃(内温)に昇温した。これに
10部のイオン交換水0.12部の過硫酸カリウムを溶
解した溶液を加え、下記の窒素置換された単量体混合物
を2時間にわたって連続的に滴下した。 アクリル酸n−ブチル 80部 メタクリル酸メチル 0.32部 ジメタクリル酸エチレングリコール 0.16部 滴下終了と同時に内温の上昇はなくなるが、更に80℃
に昇温し1時間続けると、重合率は98%に達し、肥大
化ジエン系ゴムを内部に含む多層構造架橋アクリルゴム
質重合体を得た。この多層構造架橋アクリルゴム質重合
体の膨潤度は6.4、ゲル含有量は93.3%、粒子径は
0.28μmであった。多層構造架橋アクリルゴム質重合
体ラテックス55部(固形分として)を反応容器に取
り、イオン交換水220部を加えて希釈し、70℃に昇
温した。更に、アクリロニトリル13部、スチレン32
部からなるビニル単量体混合物を45部調整し、ベンゾ
イルパーオキサイド0.4部を溶解した後、窒素置換し
た。このビニル単量体混合物を、90分間かけて上記反
応系内に連続滴下し、滴下終了後、80℃に昇温し攪拌
保持を30分間実施した。重合率は99%で、平均粒径
は0.31μmであった。得られたラテックスを希硫酸
で凝析した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体
(B−5)を得た。尚、グラフト結合してないフリーの
樹脂成分の含有量は25%であった。
【0038】グラフト重合体(B−6) グラフト重合体(B−3)で用いたオルガノシロキサン
ゴムラテックスを固形分として20部セパラブルフラス
コに入れ、イオン交換水120部を加え窒素置換をして
から50℃に昇温し、アクリル酸n−ブチル32.5
部、メタクリル酸アリル2.5部及びt−ブチルハイド
ロパーオキサイド0.3部の混合液をポリオルガノシロ
キサンゴム粒子に浸透させた。次いで、硫酸第一鉄0.
0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.
001部、ロンガリット0.17部及びイオン交換水3
部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その後内
温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテッ
クスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの
平均粒子径を測定したところ0.19μmであった。ま
たこのラテックスを乾燥し、固形物を得、トルエンで9
0℃、12時間抽出しゲル含量を測定したところ90.
3%であった。この複合ゴムラテックスにt−ブチルハ
イドロパーオキサイド0.3部、アクリロニトリル13
部及びスチレン32部との混合物を70℃にて45分間
にわたり滴下し、その後70℃で2時間保持し複合ゴム
へのグラフト重合を完了した。得られたグラフト共重合
体の重合率は98.6%であった。得られたグラフト共
重合体ラテックスを塩化カルシウム5%の熱水中に滴下
することにより凝固、分離し、洗浄した後75℃で16
時間乾燥し、複合ゴム系グラフト共重合体(B−6)を
得た。尚、グラフト結合してないフリーの樹脂成分の含
有量は23%であった。
【0039】グラフト重合体(B−7)の製造 固形分含量が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタ
ジエンラテックス63.5部(固形分として)にアクリ
ル酸n−ブチル単位85%、メタクリル酸単位15%か
らなる平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス1.
5部(固形分として)を攪拌しながら添加し、30分攪
拌を続け平均粒子径0.28μmの肥大化ゴムラテックス
を得た。得られた肥大化ゴムラテックスを反応容器に加
え、更に蒸留水20部、ナフタレンスルホン酸ホルマリ
ン縮合物(デモールN:花王(株)製)0.2部、水酸
化ナトリウム0.02部、デキストローズ0.35部を加
え反応器内の温度を60℃に上げた後、硫酸第一鉄0.
006部、ピロリン酸ナトリウム0.2部を加え、更に
アクリロニトリル10.5部、スチレン24.5部、t−
ドデシルメルカプタン0.2部、クメンヒドロパーオキ
サイド0.12部からなる混合物を攪拌しながら90分
間にわたり連続的に滴下した後1時間保持して冷却し
た。得られたグラフト共重合体ラテックスを希硫酸で凝
析した後洗浄、濾過、乾燥してグラフト重合体(B−
7)を得た。得られたグラフト重合体(B−7)中のグ
ラフト結合していない樹脂成分の含有量を前述の方法に
より測定した結果4%であった。
【0040】共重合体(C−1)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
(花王(株)製)0.001部を反応釜に仕込み攪拌し
た。これにアクリロニトリル23部、スチレン76.7
部、グリシジルメタクリレート0.3部、t−ドデシル
メルカプタン0.5部、アゾビスイソブチロニトリル
0.17部、ガファックGB−520(東邦化学工業
(株)製)0.003部の混合物を加え懸濁液状にした
後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結した。
得られた共重合体(C−1)の還元粘度は0.49であ
った。
【0041】共重合体(C−2)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル18部、スチレン81.75部、グリシジル
メタクリレート0.25部、t−ドデシルメルカプタン
0.6部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガフ
ァックGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁
液状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を
完結した。得られた共重合体(C−2)の還元粘度は
0.47であった。
【0042】共重合体(C−3)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル28部、スチレン71.7部、グリシジルメ
タクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.6
部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファッ
クGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液状
にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結
した。得られた共重合体(C−3)の還元粘度は0.4
7であった。
【0043】共重合体(C−4)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル28部、スチレン71.7部、グリシジルメ
タクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.3
部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファッ
クGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液状
にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結
した。得られた共重合体(C−4)の還元粘度は0.6
5であった。
【0044】共重合体(C−5)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル28部、スチレン72部、t−ドデシルメル
カプタン0.3部、アゾビスイソブチロニトリル0.17
部、ガファックGB−520 0.003部の混合物を
加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持
し重合を完結した。得られた共重合体(C−5)の還元
粘度は0.65であった。
【0045】共重合体(C−6)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル23部、スチレン77部、t−ドデシルメル
カプタン0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.17
部、ガファックGB−520 0.003部の混合物を
加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持
し重合を完結した。得られた共重合体(C−6)の還元
粘度は0.49であった。
【0046】共重合体(C−7)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル23部、スチレン76.4部、グリシジルメ
タクリレート0.6部、t−ドデシルメルカプタン0.5
部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファッ
クGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液状
にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結
した。得られた共重合体(C−7)の還元粘度は0.4
9であった。
【0047】共重合体(C−8)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル23部、スチレン76.7部、グリシジルメ
タクリレート0.05部、t−ドデシルメルカプタン0.
5部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファ
ックGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液
状にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完
結した。得られた共重合体(C−8)の還元粘度は0.
49であった。
【0048】共重合体(C−9)の製造 蒸留水115部に第三燐酸カルシウム1部、デモールP
0.001部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリ
ロニトリル23部、スチレン76.7部、グリシジルメ
タクリレート0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.3
部、アゾビスイソブチロニトリル0.17部、ガファッ
クGB−520 0.003部の混合物を加え懸濁液状
にした後75℃に昇温し、240分間保持し重合を完結
した。得られた共重合体(C−9)の還元粘度は0.6
4であった。
【0049】強化用充填材(D) ガラス繊維としてECSO3T−34(日本電気硝子
(株)製)、炭素繊維としてパイロフィルTR−06N
(三菱レイヨン(株)製)を、タルクとしてマイクロタ
ルクMP10−52(ファイザーMSP(株)製)を使
用した。
【0050】実施例1〜18、比較例1〜18 上記の(A)〜(D)の各成分を表1及び表2に示す割
合で配合し、スーパーミキサー((株)カワタ製)にて
5分間混合した後、スクリューの直径37mmの2軸押出
機でペレット化した。得られたペレットを用いて射出成
形して試片を得た後、各種物性を前記方法により評価し
た。結果を表1〜表4に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ウエル
ド強度を含む耐衝撃性と射出成形時の流動加工性並びに
耐熱安定性に優れたものであるので、自動車部品や電子
部品等の広範な分野で極めて有用であり、その工業的意
義は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/00 LKR 7142−4J LKS 7142−4J 51/08 LLS 7142−4J LLT 7142−4J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(A)、(B)及び(C)の合
    計量100重量部と強化用充填材(D)0〜100重量
    部から成るウエルド強度の優れた高流動性熱可塑性樹脂
    組成物。 (A)ポリアルキレンテレフタレートを主体とするポリ
    エステル樹脂15〜85重量部 (B)架橋アクリルゴム、オルガノシロキサン系ゴムか
    ら成る群より選ばれた少なくとも一種のゴム質重合体
    (a)の存在下に シアン化ビニル単量体 10〜45重量% 芳香族ビニル単量体 25〜85重量% 他のビニル単量体 0〜35重量% (これら〜成分の合計量は100重量%である。)
    から成る単量体混合物(b)をグラフト重合して得られ
    るグラフト重合体10〜50重量部 (C)シアン化ビニル単量体 15〜40重量% 芳香族ビニル単量体 60〜84.9重量% エポキシ基含有ビニル単量体 0.1〜0.4重量% (これら〜成分の合計量は100重量%である。)
    から成る単量体混合物を重合して得られる重合体3〜7
    5重量部
  2. 【請求項2】 重合体(C)のシアン化ビニル単量体が
    15〜25重量%である請求項第1項記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 重合体(C)中の0.2%ジメチルホル
    ムアミド溶液で測定した還元粘度ηSP/Cが0.55以下
    である請求項第1項並びに第2項記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】 グラフト重合体(B)中のゴム質重合体
    が50〜80重量%である請求項第1項ないし第3項記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 グラフト重合体(B)中のゴム質重合体
    に結合していない樹脂成分の含有量が、全樹脂組成物
    ((A)、(B)及び(C)の合計量100重量部))
    中7重量%以下である請求項第1項ないし第4項記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 強化用充填材(D)の含有量が20〜7
    0重量部である請求項第1項ないし第5項記載の熱可塑
    性樹脂組成物。
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