JPH05287095A - プラスチック成形体および表面処理方法 - Google Patents

プラスチック成形体および表面処理方法

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JPH05287095A
JPH05287095A JP4118362A JP11836292A JPH05287095A JP H05287095 A JPH05287095 A JP H05287095A JP 4118362 A JP4118362 A JP 4118362A JP 11836292 A JP11836292 A JP 11836292A JP H05287095 A JPH05287095 A JP H05287095A
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JP
Japan
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primer
silicon
acrylic
plastic molded
plastic molding
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Application number
JP4118362A
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English (en)
Inventor
Tomio Ozaki
富夫 尾崎
Shiyunichi Haga
舜市 羽賀
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスチック成形品の表面にケイ素系被膜を
形成し、耐擦傷性、耐水性などを高めると共に、溶剤に
よる強度低下を抑制する。 【構成】 ポリカーボネートなどのプラスチック成形品
に、水性アクリル系エマルジョンを主成分とするプライ
マーを塗布し、ケイ素系コーティング剤を塗布する。ア
クリル系エマルジョンは、(1)ガラス転移点−10〜
70℃、(2)平均粒子径5〜200nmを有し、
(3)スチレンを構成単位として含まない、アクリル系
モノマー及び/又はメタクリル系モノマーの重合体から
なる。ケイ素系コーティング剤には、アルキルトリアル
コキシシランの部分加水分解縮合物などが含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケイ素系被膜で被覆さ
れたプラスチック成形体、およびプラスチック成形品の
表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プラスチックは、成形性、耐衝
撃性、加工性などに優れているため、広い用途で使用さ
れている。しかし、プラスチック成型品は、表面硬度が
小さく傷付き易く、耐溶剤性、耐候性などが劣る。その
ため、用途によっては、透明性が低下し重大な欠点とな
る場合がある。
【0003】このようなプラスチック成型品の表面硬
度、耐溶剤性、耐熱性、耐候性を高めるため、特公昭5
4−57828号公報には、アルキルトリアルコキシシ
ランの部分加水分解縮合物をプラスチック成形品の表面
に塗布し、硬化させることが提案されている。しかし、
プラスチック成形品に対しては、ケイ素系塗膜の密着性
が劣る。
【0004】特公昭54−28429号公報、特公昭6
0−17384号公報、特公昭61−9333号公報、
特公昭63−3666号公報、特開昭57−42737
号公報および特開昭59−47216号公報には、ケイ
素系塗膜との密着性を高めるため、ポリカーボネート樹
脂成形品を、特定のシリコーン化合物の部分加水分解縮
合物を含むプライマーで処理する表面処理方法が開示さ
れている。また、特公昭61−7217号公報には、プ
ラスチック成形品のプライマーとして、ε−カプロラク
トン変性ビニルモノマーの重合体を主成分とするプライ
マーで処理することが提案されている。
【0005】しかし、これらのプライマーは、いずれも
溶媒が有機溶剤からなる有機溶剤系プライマーである。
そのため、プライマーの溶剤により、プラスチック成形
品の表面が溶解して浸蝕され、プラスチック成形体の強
度低下が生じ易くなる。特に、厚みが小さい成形品で
は、強度低下が大きくなる。また、表面が着色された成
形品を前記プライマーで処理すると、プラスチック成形
品の着色剤が侵されて、外観が不均一な仕上りとなり、
商品価値を損う。さらに、シリコーン化合物の部分加水
分解縮合物を含むプライマーは、安定性にも難点があ
る。
【0006】一方、特開昭61−97601号公報およ
び特開昭61−245101号公報には、ビスフェノー
ルA骨格を有するジ(メタ)アクリレートとスチレンと
の共重合体からなる特殊な高屈折率プラスチックレンズ
基材の表面に、(メタ)アクリル酸エステルとスチレン
との共重合体を含む水性エマルジョンを塗布し、コロイ
ダルシリカを含むシリコン樹脂系コーティング剤を塗布
して硬化させ、シリコン樹脂層を形成することが提案さ
れている。この方法では、前記水性エマルジョンによ
り、前記特定のプラスチック基材とシリコン樹脂層との
密着性を高めることができる。
【0007】しかし、塗膜の密着性は、プライマーの種
類により一義的に決まるものではなく、基材と水性エマ
ルジョンの種類により大きく左右される。すなわち、ス
チレンの共重合体を含む前記水性エマルジョンを、ポリ
カーボネート樹脂成形品に適用すると、塗膜の密着性が
劣り、ポリカーボネート樹脂成形体の耐衝撃性及び耐水
性を高めることができない。また、スチレンを用いる
と、水性エマルジョンの粒子径も大きくなり易く、上記
特性がさらに低下し易い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、外観が良好で、塗膜の密着性、耐擦傷性および耐水
性に優れると共に、強度低下のないプラスチック成形体
を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、前記の如き優れた特
性を有するプラスチック成形品の表面処理方法を提供す
ることにある。
【0010】
【発明の構成】本発明者らは、前記課題を解決するため
鋭意検討した結果、プラスチック成形品に、特定のアク
リル系重合体エマルジョンを主成分とするプライマーを
塗布し乾燥した後、ケイ素系コーティング剤を塗布する
と、前記目的を達成できることを見いだし、本発明を完
成した。
【0011】すなわち、本発明は、プラスチック成形品
の表面に、プライマー層を介して、ケイ素系被膜が形成
された成形体であって、前記プライマー層が、ガラス転
移点−10〜70℃、平均粒子径5〜200nmを有
し、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマ
ーの重合体からなる水性アクリル系エマルジョンを含む
プライマーで形成されているプラスチック成形体を提供
する。
【0012】また、本発明は、プラスチック成形品の表
面に、プライマーを塗布した後、ケイ素系コーティング
剤を塗布する表面処理方法において、前記プライマーと
して、ガラス転移点−10〜70℃、平均粒子径5〜2
00nmを有し、アクリル系モノマー及び/又はメタク
リル系モノマーの重合体からなる水性アクリル系エマル
ジョンを用いるプラスチック成型品の表面処理方法を提
供する。
【0013】本発明は、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリカーボネートなどのプラスチック成形品に適用
される。好ましいプラスチックにはポリカーボネートが
含まれる。このポリカーボネートでは、通常、水性エマ
ルジョン型プライマーにより密着性の高い塗膜を形成す
るのが困難である。ポリカーボネートとしては、例え
ば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなどの芳香族
ポリカーボネート、水添ビスフェノールA型ポリカーボ
ネートなどの脂環族ポリカーボネート、ジエチレングリ
コールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボ
ネートなどが挙げられる。これらのポリカーボネートは
単独で又は二種以上混合して使用できる。これらのなか
で、芳香族系ポリカーボネート、特にビスフェノールA
型ポリカーボネートなどが繁用される。
【0014】成形品には、混練やコーティングなどによ
る着色が施されていてもよい。
【0015】プライマー層は、アクリル系モノマー及び
/又はメタクリル系モノマーの重合体からなる水性アク
リル系エマルジョンを含むプライマーで形成されてい
る。
【0016】前記水性アクリル系エマルジョンは、
(1)ガラス転移点が−10〜70℃であり、(2)平
均粒子径が5〜100nmと著しく小さく、(3)スチ
レンなどの芳香族系ビニルモノマー単位を含まないとい
う特徴がある。また、前記水性アクリル系エマルジョン
は、プラスチック成形品、特にポリカーボネート樹脂成
形品及びケイ素系塗膜に対して著しく密着性の高い被膜
を形成し、プラスチックを浸蝕しないという特色があ
る。そのため、前記プライマー層を介して、プラスチッ
ク、特にポリカーボネート樹脂成形品にケイ素系塗膜を
形成すると、高い耐衝撃性、耐水性および耐擦傷性を有
し、外観及び機械的強度に優れる成形体が得られる。
【0017】水性アクリル系エマルジョン中の重合体を
構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例え
ば、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどの炭素数1〜1
8程度のアルキル基を有するアルキルアクリレート;2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレートなどのヒドロキシル基を有するアクリ
レート;グリシジルアクリレートなどのグリシジル基を
有するアクリレート;フェニルアクリレート、シクロヘ
キシルアクリレートなどのアクリル系モノマー;アクリ
ル系モノマーに対応するメタクリル系モノマーが挙げら
れる。
【0018】必要に応じて、芳香族系ビニルモノマー以
外の共重合性モノマー、例えば、クロロプレン、エチレ
ン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデヒド、アク
リルアミド、N−メチロールアクリルアミド、クロトン
酸、イタコン酸、イタコン酸エステル、マレイン酸、マ
レイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、ビニ
ルエステルなどを併用してもよい。ビニルエステルに
は、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン
酸ビニルなどの外、バーサチック酸ビニルなどのベオバ
(VeoVa)と称されるビニルエステルも含まれる。
これらの共重合性モノマーは一種又は二種以上併用でき
る。
【0019】アクリル系重合体のガラス転移点は、−1
0〜70℃、好ましくは−5〜65℃程度である。ガラ
ス転移点が−10℃未満では、耐水性が低下し、70℃
を越えると、造膜性が劣り塗膜の密着性が低下する。
【0020】アクリル系重合体の重量平均分子量は、通
常、1×104 以上、好ましくは2×104 〜100×
104 、さらに好ましくは5×104 〜50×104
度である。
【0021】アクリル系重合体は、前記アクリル系モノ
マー及び/又はメタクリル系モノマーの単位を含み、ガ
ラス転移点の範囲内である限り、前記モノマーを適当に
組合せて重合することにより得られる。例えば、アクリ
ル系モノマー又はメタクリル系モノマーの単独重合体で
あってもよいが、通常、アクリル系モノマーとメタクリ
ル系モノマーとの共重合体のであるのが好ましい。
【0022】好ましいアクリル系モノマーには、炭素数
1〜10、特に炭素数2〜8のアルキルアクリレートが
含まれ、好ましいメタクリル系モノマーには、炭素数1
〜6、特に炭素数1〜4のアルキルメタクリレートが含
まれる。好ましいアクリル系重合体は、アクリル酸及び
/又はメタクリル酸を3〜20重量%、特に5〜15重
量%を含むアクリル系及び/又はメタクリル系モノマー
の重合体である。
【0023】アクリル系重合体の平均粒子径は、5〜2
00nm、好ましくは5〜100nm、さらに好ましく
は10〜75nm程度である。平均粒子径が200nm
を越えると、プライマー層が白濁し易く、成形体の外観
を損う。なお、このような平均粒子径を有する水性エマ
ルジョンは、いわゆるマイクロエマルジョンの範疇に属
する。平均粒子径は、野崎産業(株)販売のNICOM
P370型サブミクロン粒子径アナライザーによる値で
ある。
【0024】前記水性エマルジョンは、前記モノマーを
ラジカル重合した重合体を水に乳化分散することによっ
ても得ることができる。この方法において、前記モノマ
ーを有機溶媒中でラジカル重合した後、水で希釈し、必
要に応じて有機溶媒を除去し、乳化してもよい。好まし
い水性エマルジョンは、プラスチック成形品との密着性
を高めるため、乳化剤の存在下、前記モノマーを水中で
ラジカル重合したエマルジョンである。
【0025】乳化剤としては、ノニオン系界面活性剤及
び/又はアニオン系界面活性剤などが使用できる。ノニ
オン系界面活性剤には、例えば、アルキルポリオキシエ
チレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレン
エーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価
アルコールポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸
エステルなどが含まれ、アニオン系界面活性剤には、例
えば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸
塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィン
スルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキル塩などが含ま
れる。
【0026】水性エマルジョンはそのままプライマーと
して使用できるが、必要に応じて、プラスチック成形品
を浸蝕しない範囲で有機溶剤を含んでいてもよい。有機
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;メチル
カルビトール、エチルカルビトール、ブチカルビトール
などのカルビトール類;メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;ジオキ
サン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、
酢酸エチルなどのエステル類;ヘキサン、シクロヘキサ
ンなどの脂肪族又は脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
有機溶剤の使用量は、例えば、前記アクリル系重合体の
固形分に対して50重量%未満である。
【0027】前記水性エマルジョンを含むプライマー
は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安
定化剤;着色剤;可塑剤などの添加剤を含んでいてもよ
い。
【0028】プライマーの固形分は、例えば、1〜40
重量%、好ましくは2〜30重量%程度である。
【0029】プライマーは、成形品の形状に応じて、慣
用の方法、例えば、刷毛塗り法、浸漬法、スプレー法、
ロールコーティング法、フローコート法、スピンコート
法などにより塗布できる。
【0030】プライマーの塗布の後、乾燥させることに
よりプライマー層を形成できる。必要に応じて加熱によ
りプライマー層を硬化させてもよい。加熱温度は、ポリ
カーボネートの熱変形温度以下であればよく、通常50
〜130℃、好ましくは100〜120℃程度で5分〜
12時間、好ましくは10〜2時間程度であり、このよ
うな条件では、プライマー層を効率よく乾燥又は硬化さ
せることができる。なお、プライマーの加熱は、後述す
るケイ素系コーティング剤の加熱とともに行なってもよ
い。
【0031】プライマー層の厚みは、適当に選択できる
が、通常、0.1〜10μm程度である。
【0032】ケイ素系被膜は、ケイ素系コーティング剤
(ケイ素系塗料)を用いて形成できる。ケイ素系コーテ
ィング剤としては、慣用のものが使用でき、例えば、次
のようなシリコーン(a)(b)(c)を主成分として
含むコーティング剤が挙げられる。
【0033】(a)一般式Si(OR1 4 (式中、R
1 は炭素数1〜6のアルキル基である)で示されるテト
ラアルコキシシラン (b)一般式R2 ・Si・(OR3 3 (式中、R2
炭素数1〜8のアルキル基、ビニル基;アミノ基、メル
カプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキ
シ基を有する有機基であり、R3 は炭素数1〜6のアル
キル基である)で示されるアルキルトリアルコキシシラ
ン (c)前記テトラアルコキシシラン及び/又はアルキル
トリアルコキシシランの部分加水分解縮合物 アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘ
キシル、ヘプチル、オクチル基などが挙げられる。好ま
しいアルキル基、特にR1 及びR3 には、炭素数1〜4
の低級アルキル基が含まれる。
【0034】アミノ基を有する有機基としては、例え
ば、β−アミノエチル、γ−アミノプロピル基、N−β
−アミエチル−γ−アミノプロピル基などが挙げられ、
メルカプト基を有する有機基としては、2−メルカプト
エチル、3−メルカプトプロピル基などか挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する有機基には、例えば、
(メタ)アクリロイルオキシエチル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピル基などが含まれ、エポキシ基を有
する有機基には、γ−グリシドキシプロピル基、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基などが含
まれる。
【0035】好ましいケイ素系コーティング剤は、前記
(c)、特に炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキ
ルトリアルコキシシラン(例えばメチルトリエトキシシ
ラン)など)の部分加水分解縮合物を含む。この縮合物
の製法は、米国特許第3389114号明細書に開示さ
れている。すなわち、アルキルトリアルコキシシランに
水と微量の酸を加え、50〜80℃で1〜10時間程度
加熱することによりアルキルトリアルコキシシランの部
分加水分解縮合物が得られる。なお、塗膜の硬度を向上
させるため、テトラアルコキシシランをアルキルトリア
ルコキシシランと共に共加水分解してもよく、テトラア
ルコキシシランの加水分解縮合物を前記部分加水分解縮
合物に添加混合してもよい。
【0036】前記ケイ素系コーティング剤は、有機溶
媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロバノール、ブタノールなどのアルコール類;ギ
酸、酢酸、プロピオン酸などの有機カルボン酸;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど
のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳
酸エチルなどのエステル類;メチルセロソルブ、エチル
セロソルブなどのエーテル類;これらの混合溶媒を含ん
でいてもよい。
【0037】さらにコーティング剤には、硬化触媒、界
面活性剤、必要に応じて、硬化促進剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、染料などの着
色剤などの添加物を添加してもよい。
【0038】硬化触媒としては、テトラエチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルハイドロ
オキサイドなどの第4級アンモニウムハイドロオキサイ
ド;リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどの無機酸
のアルカリ金属塩;酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリ
ウム、ナフテン酸ナトリウムなどの有機カルボン酸のア
ルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の
四ナトリウム塩、トリエチルアミン、1,8−ジアザビ
シクロ(5.4.0)ウンデセン−7などの有機アミン
や環式アミジン又はその塩などが例示される。
【0039】さらに、コーティング剤には、被膜の密着
性、耐擦傷性などを損わない範囲で、ポリアセタール
(例えば、ポリビニルブチラールなど)などの種々のポ
リマーを添加してもよい。
【0040】コーティング剤中のシリコーンの濃度は、
1〜40重量%、好ましくは10〜30重量%程度であ
る。
【0041】前記コーティング剤は、前記プライマーと
同様の方法で、成形品のプライマー層上に塗布すること
ができ、乾燥、加熱硬化により、ケイ素系被膜が形成さ
れる。ケイ素系被膜の膜厚は、通常1〜20μm程度で
ある。
【0042】加熱硬化は、例えば、50〜140℃、好
ましくは80〜130℃程度で10〜12時間、好まし
くは30分〜3時間程度で行なうことができる。
【0043】このようにして形成された被膜は、プラス
チック成形品との密着性が極めて高く、耐水性、耐衝撃
性、耐擦傷性にも優れている。特にポリカーボネート成
型体の場合には、前記特性に加えて、外観が著しく優れ
た被膜を形成できる。そのため、本発明のプラスチック
成形体は、自動車、電車、航空機、建物などの窓ガラ
ス、サングラスのレンズ、保護メガネレンズ、光学機器
のレンズなどの外、電子機器のハウジングなどの傷付き
防止が必要とされる種々の物品に使用できる。
【0044】
【発明の効果】本発明のプラスチック成形体は、プライ
マー層が特定の水性アクリル系エマルジョンで形成され
ているので、外観、塗膜の密着性および耐擦傷性のみな
らず、耐衝撃性、耐水性などにも優れ、機械的強度の低
下がない。
【0045】また、本発明の方法では、プライマーとし
て特定の水性アクリル系エマルジョンを使用するので、
プライマーの可使時間が著しく長く、生産性およびコス
トダウンを図ることができると共に、前記の如き優れた
特性を有するプラスチック成形体を得ることができる。
【0046】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0047】実施例1 (1)プライマーの調製及び塗布硬化 撹拌機とコンデンサーを備えた3リットルのガラスフラ
スコに、蒸溜水1060重量部、ラウリル硫酸ナトリウ
ム5重量部を加え、この混合物を30〜40℃に保ち、
毎分40〜60回転で撹拌して、溶解させた後、80℃
に昇温した。
【0048】次いで、80℃に保ったフラスコ中に、過
硫酸ナトリウム1重量部を添加し、メタクリル酸メチル
150重量部、アクリル酸エチル150重量部およびア
クリル酸30重量部の混合液を、5時間かけて滴下し、
重合した後、冷却し、70℃の温度で5%アンモニア水
300重量部を添加して、重合体の粒子径を100nm
以下に調整し、30℃に冷却して反応を停止させ、プラ
イマーとした。
【0049】プライマーの固形分濃度は20重量%であ
り、平均粒子径は25mn、平均分子量は約10万、ガ
ラス転移点は34℃であった。
【0050】そして、プライマーをポリカーボネート製
レンズに浸漬塗布し、直ちに熱風乾燥機に入れ、100
℃で10分間加熱硬化することにより、プライマー層を
形成した。
【0051】 (2)ケイ素系コーィング剤の調製及び塗布硬化 メチルトリエトキシシラン356gと水108gと0.
1規定塩酸1mlとを混合し、環流下で4時間加熱し
た。次いで、エタノール及び過剰の水を除去し、メチル
トリエトキシシランの部分加水分解縮合物を得た。
【0052】得られたメチルトリエトキシシランの部分
加水分解縮合物100重量部を、紫外線吸収剤(チバガ
イギー社製、チヌビン327)1重量部、及びポリビニ
ルブチラール樹脂(積水化学社製、エスレックスB,B
MS、重合度約750)3重量部を含む10重量%含水
n−ブタノール200重量部に溶解させ、(A)液とし
た。
【0053】また、n−ブタノール20重量部と酢酸6
8重量部を混合し、この混合液に、硬化触媒のテトラエ
チルアンモニウムハイドロオキサイドを10重量%含む
水溶液10重量部を添加し、さらにフッ素系アニオン系
界面活性剤を1重量部添加し、(B)液とした。
【0054】前記(A)液と(B)液を撹拌混合し、ケ
イ素系コーティング剤を調製した。
【0055】得られたコーティング剤に、前記(1)で
プライマーを塗布乾燥させたポリカーボネート製レンズ
を浸漬塗布し、直ちに熱風乾燥機に入れ、130℃で1
時間加熱硬化させ、ポリカーボネート樹脂成形体を得
た。
【0056】実施例2 アクリル酸エチルに代えてアクリル酸2−エチルヘキシ
ルを用いる以外、実施例1と同様にしてプライマーを調
製した。得られたプライマーの固形分濃度は20重量%
であり、平均粒子径は25nm、平均分子量は約10
万、ガラス転移点は−2℃であった。
【0057】そして、前記プライマーと、実施例1のケ
イ素系コーティング剤とを用い、実施例1と同様にし
て、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。
【0058】実施例3 アクリル酸エチルに代えてメタクリル酸n−ブチルを用
いる以外、実施例1と同様にしてプライマーを調製し
た。得られたプライマーの固形分濃度は20重量%であ
り、平均粒子径は40nm、平均分子量は約30万、ガ
ラス転移点は61℃であった。
【0059】そして、前記プライマーと、実施例1のケ
イ素系コーティング剤とを用い、実施例1と同様にし
て、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。
【0060】比較例1 実施例1において、プライマーを塗布することなく、実
施例1と同様にして、ポリカーボネート樹脂成形体を得
た。
【0061】比較例2 メタクリル酸メチルに代えてスチレンを用いる以外、実
施例1と同様にしてプライマーを調製した。プライマー
の固形分濃度は20重量%であり、平均粒子径は150
nm、平均分子量は約10万、ガラス転移点は33℃で
あった。
【0062】そして、前記プライマーと、実施例1のケ
イ素系コーティング剤とを用い、実施例1と同様にし
て、ポリカーボネート樹脂成形体を得た。
【0063】ポリカーボネート樹脂成形体の特性を次の
ようにして評価した。
【0064】外観:着色されたポリカーボネート樹脂成
形体の着色剤が侵されるか否かを、塗膜の透明性を下記
の基準で目視判定した。
【0065】 ○:透明性良好、×:不均一であり透明性が劣る 密着性:ポリカーボネート樹脂成形体に、ナイフを用い
て1mm間隔で縦横11本の切込みを入れてクロスハッ
チを作る。塗膜は素地に達する程度に切断した。クロス
ハッチの上にセロハン粘着テープを強く貼りつけ、テー
プをシート状成形体に対して直角方向に強く引張り、塗
膜の剥離状態を調べた。少なくとも部分的に剥離したク
ロスハッチのマス目の数Xを測定し、X/100で表示
した。
【0066】耐衝撃性:FDA規格に基づき、鋼球落下
試験を行った。すなわち、約160gの鋼球を、127
cmの高さから、レンズの中心部へ向かって自然落下さ
せ、レンズの割れを調べた。なお、この試験には、中心
厚が全て2mmのレンズを使用した。この試験を3回繰
返し、下記の基準で評価した。
【0067】 ○:外観の異常がない、×:割れがある 耐水性:ポリカーボネート樹脂成形体を、40℃の温水
中に48時間浸漬し、表面状態を、下記の基準で評価し
た。
【0068】○:外観の異常がない、×:塗膜の剥離が
ある結果を表に示す。
【0069】
【表1】 表より、比較例1の成形体は、塗膜の密着性、耐衝撃性
及び耐水性が劣る。また、スチレンを用いた水性エマル
ジョン型プライマーを塗布すると、比較例1よりも塗膜
の密着性が若干改善されるもののの、耐衝撃性及び耐水
性を高めることができない。これに対して、(メタ)ア
クリル系水性エマルジョンのプライマーを用いた実施例
1〜3では、塗膜の密着性、耐衝撃性及び耐水性が著し
く改善される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形品の表面に、プライマ
    ー層を介して、ケイ素系被膜が形成された成形体であっ
    て、前記プライマー層が、ガラス転移点−10〜70
    ℃、平均粒子径5〜200nmを有し、アクリル系モノ
    マー及び/又はメタクリル系モノマーの重合体からなる
    水性アクリル系エマルジョンを含むプライマーで形成さ
    れているプラスチック成形体。
  2. 【請求項2】 プラスチック成形品の表面に、プライマ
    ーを塗布した後、ケイ素系コーティング剤を塗布する表
    面処理方法において、前記プライマーとして、ガラス転
    移点−10〜70℃、平均粒子径5〜200nmを有
    し、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマ
    ーの重合体からなる水性アクリル系エマルジョンを用い
    るプラスチック成型品の表面処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000046024A1 (fr) * 1999-02-01 2000-08-10 Teijin Chemicals, Ltd. Composite plastique transparent protege en surface
JP2017131259A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 株式会社医科歯科技研 アクリル樹脂の義歯

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