JPH05286853A - 抗炎症点眼剤 - Google Patents

抗炎症点眼剤

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JPH05286853A
JPH05286853A JP11311492A JP11311492A JPH05286853A JP H05286853 A JPH05286853 A JP H05286853A JP 11311492 A JP11311492 A JP 11311492A JP 11311492 A JP11311492 A JP 11311492A JP H05286853 A JPH05286853 A JP H05286853A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 結膜内で生成されるトロンボキサンA2 の作
用を抑制する抗炎症点眼剤を提供する。 【構成】 下記式: [式中、R1 は6位もしくは7位の置換基で、水素基ま
たは低級アルキル基を、R2 は水素基、低級アルキル基
または低級アルキルオキシ基を、R3 は水素基または低
級アルキル基を表わす。]で示されるアズレン誘導体を
有効成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結膜炎、角膜炎および
強膜炎の予防または治療における、トロンボキサンA2
受容体拮抗作用を有する一連のアズレン化合物の新規医
薬用途に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】現在、アレルギー性結膜炎、
急性結膜炎、慢性結膜炎、表層角膜炎および強膜炎の治
療に対して、ヒスタミン受容体拮抗剤、ヒスタミン遊離
抑制剤、ロイコトリエン合成阻害剤、ロイコトリエン遊
離抑制剤、非ステロイド性抗炎症剤およびステロイド剤
が汎用されている。
【0003】最近、アラキドン酸の主代謝物であるトロ
ンボキサンA2 (以下、TXA2 と表記)が結膜内で生
成されることにより(Kulkorni, P.S. et.al.:Curr. Ey
e.Res., 6, 801, 1987)結膜内の血管透過性か亢進する
(Woodward, D.,F., et.al.:J.Pharmacol. Exp. Ther.,
255, 23, 1991)と報告されており、TXA2 が結膜炎
の起因物質の一つであると考えられている。したがっ
て、TXA2 の作用を抑制するための点眼剤の開発が望
まれている。
【0004】一方、従来から臨床に用いられているアズ
レン化合物としては、1,8−ジメチル−5−イソプロ
ピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウムがあり、結膜
炎、角膜炎、口内炎および胃潰瘍をその適応疾患として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、一連のア
ズレン誘導体がTXA2 受容体拮抗作用を有することを
見いだし、上記の課題を解決すべく、結膜炎治療薬に関
して鋭意研究を重ねた結果、従来から用いられている
3,8−ジメチル−5−イソプロピル−1−アズレンス
ルホン酸ナトリウムよりも、本発明に係るアズレン化合
物が結膜炎の予防および治療に有効であるということを
見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明に係る抗炎症点眼剤は、一般式
(1):
【化2】 (但し、式中、R1 は6位もしくは7位の置換基で、水
素基または低級アルキル基を、R2 は水素基、低級アル
キル基または低級アルキルオキシ基を、R3 は水素基ま
たは低級アルキル基を、それぞれ表わす。以下同じ。)
で示されるアズレン誘導体を有効成分として含有し、さ
らに薬理学上許容し得る担体および/または希釈剤を必
要に応じて含有する点眼剤組成物である。
【0007】本願において、低級アルキル基および低級
アルキルオキシ基とは、それぞれC1-3 のアルキル基、
1-3 のアルコキシ基を意味する。
【0008】一般式(1)で示されるアズレン誘導体
は、本発明者等によって特開昭60−48960号公
報、特開昭60−158160公報において開示された
一連のアズレン化合物およびそれに近似する化合物であ
る。以下に、一般式(1)に含まれる化合物の主たるも
のを例示する。
【0009】化合物1: 3−エチル−7−イソプロピ
ル−1−アズレンスルホン酸ナトリウム 化合物2: 3−エチル−6−イソプロピル−1−アズ
レンスルホン酸ナトリウム 化合物3: 3−メチル−4−メトキシ−6−イソプロ
ピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウム 化合物4: 3−エチル−4−メトキシ−6−イソプロ
ピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウム 化合物5: 3−エチル−4−エトキシ−6−イソプロ
ピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウム
【0010】一般式(1)で示される化合物の結膜炎、
角膜炎および強膜炎に対する予防または治療効果は、モ
ルモットにTXA2 様物質であるu−46619を投与
して誘発される結膜血管等の透過性の亢進、および好酸
球の浸潤に対する抑制効果として確かめることができ
る。また、これはホルマリンにより誘発される急性結膜
浮腫に対する抑制効果として確かめることができる。
【0011】一般式(1)で示される化合物は、水溶液
の点眼薬の形態で投与されるが、これらの組成物は0.
01〜0.1重量%の、最も好ましくは0.02〜0.
04重量%の有効成分を含有する典型的な滅菌水溶液
(すなわち点眼薬)であり、一般的な緩衝液および防腐
剤をも含有する。
【0012】水溶液は化合物を適量の水に溶解させ、p
Hを約6から7に調整し、水を加えて最終用量に調整
し、当業者に公知の方法を用いてその薬剤を滅菌するこ
とにより、容易に製剤化できる。
【0013】得られた投与すべき組成物の適切な投与量
は、液滴の濃度、患者の状態および投薬処置に対する個
人の反応の強さに依存するが、成人1人あたりの1日の
典型的な投与量範囲は、0.02%の有効成分溶液で約
4〜20滴である。
【0014】[試験例1]TXA2 様物質u−4661
9により誘発された結膜炎の改善作用 試験方法 ハートレイ系雄性モルモットを、エーテル麻酔下0.5
%エバンスブルーの1mlを静脈内投与し、15分後にu−
46619を単眼あたり0.1μg点眼した。次いでそ
の15分後に眼瞼結膜からの色素流出量を常法により定
量した。被験化合物としての化合物1から5および対照
薬として用いた公知のBM13505(TXA2 受容体
拮抗剤)の点眼には、各薬物を1%含有する生理食塩水
を調整して、単眼あたりその20μlをu−46619
投与の30分前に点眼した。
【0015】被験化合物を投与しない群を対照群、u−
46619投与の代わりに生理食塩水を投与した群を偽
対照群、被験化合物を投与した群を薬物投与群として、
試験を実施した。
【0016】薬効の評価は、次式にしたがってu−46
619投与による血管透過性の亢進(色素流出の促進)
に対する抑制率(%)を算出して行なった。 A:対照群の色素流出量(μg/部位) B:偽対照群の色素流出量(μg/部位) C:薬物投与群の色素流出量(μg/部位)
【0017】試験結果 被験化合物はいずれも血管透過性の亢進を有意に抑制し
た(p<0.01,表1)。
【0018】
【表1】
【0019】[試験例2]ホルマリンにより誘発された
急性結膜浮腫に対する改善作用 試験方法 ウィスター系雄性ラットに、エーテル麻酔下1%ホルマ
リンの50μlを上眼瞼結膜下に注射し、浮腫を発生さ
せた。注射4時間後に眼瞼結膜に発生した浮腫部域を切
り出し、その重量(浮腫重量)を測定した。
【0020】被験化合物としての化合物1および対照薬
として用いた3,8−ジメチル−5−イソプロピル−1
−アズレンスルホン酸ナトリウムの点眼には、各薬物を
0.005〜0.04%含有する生理食塩水を調整し
て、単眼あたりその5μlをホルマリン注射前20分、
ホルマリン注射後、20分および40分に点眼した。
【0021】被験化合物を投与しない群を対照群、ホル
マリン注射の代わりに生理食塩水を注射した群を偽対照
群、被験化合物を投与した群を薬物投与群として、試験
を実施した。
【0022】薬効の評価は、次式にしたがって1%ホル
マリン注射による浮腫発生に対する抑制率(%)を算出
して行なった。 A:対照群の浮腫重量(mg) B:偽対照群の浮腫重量(mg) C:薬物投与群の浮腫重量(mg)
【0023】試験結果 化合物1は0.02%および0.04%溶液の点眼によ
り、有意に浮腫の発生を抑制した(p<0.01,表
2)。一方、対照薬として用いた3,8−ジメチル−5
−イソプロピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウムの
抑制作用は認められなかった。
【0024】
【表2】
【0025】[試験例3] 処方例 化合物1 20mg NaH2 PO4 ・2H2 O 208mg Na2 HPO4 758mg NaCl 440mg メチルパラベン 26mg プロピルパラベン 14mg 水 全体を100mlとする適量 ─────────────────── 合計 100ml
【0026】[試験例4] 急性毒性試験 ddy系雄性マウスに化合物を経口投与して行なって得
られた各化合物の50%致死用量を表3に示した。
【0027】
【表3】
【0028】一般式(1)の化合物の製造は、特開昭6
0−48960号公報および特開昭60−158160
号公報に記載されているように、一般式(2):
【化3】
【0029】(R1 、R2 、R3 は前記に同じ。)で示
される化合物を、無水酢酸中で冷却下、硫酸と反応させ
るか、あるいは、無水硫酸ピリジン錯体を反応させるこ
とによりスルホン化し、水酸化ナトリウム水溶液もしく
はナトリウム・アルコラート等を用いてスルホン酸ソー
ダ塩とすることにより行なわれる。なお、化合物(1)
および(2)は、前記特開昭60−48960号公報に
開示した化合物である。
【0030】[実施例1] 化合物3の製造 エタノール中、エチル−6−イソプロピル−8−メトキ
シ−2−オキソ−2H−シクロヘプタ[b]フラン−3
−カルボキシレート7gに、ジエチルアミン6.19g
と、プロピルアルデヒド4.19gを加えて、8時間還
流する。
【0031】反応液を減圧下にて濃縮後、残留物をベン
ゼンにて溶かす。ベンゼン層を飽和NaHCO3 水溶
液、5%HCl、飽和食塩水で洗浄後、芒硝で乾燥し、
ベンゼンを留去すると、赤紫色の固形物を得る。これ
を、溶離液としてベンゼンを用い、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーにより精製し、エチル−4−メトキシ
−3−メチル−1−アズレンカルボキシレート5.34
8gを得る。
【0032】さらにこの化合物5gを100%りん酸5
0mlに加え、水浴上で加熱(90〜95℃)し、炭酸ガ
スが発生しなくなるまで加熱する(約1.5時間)。放
冷後、反応液を水にあけ、水層をベンゼンで抽出する。
ベンゼン層は飽和NaHCO3 水、飽和NaCl水でそ
れぞれ洗い、乾燥後ベンゼンを留去し、濃紺の粘性のあ
る液体を得る。この化合物を、溶離液としてノルマルヘ
キサンを用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
よって精製し、粘性のある液体として、8−メトキシ−
1−メチル−6−イソプロピルアズレン2.7gを得
る。
【0033】この化合物をベンゼンに溶かしてピリジン
・硫酸を加えて6時間還流し、ベンゼン層を濾別して得
た固体をメタノールに溶解し、ナトリウムエチラートを
滴下してスルホン酸ナトリウム塩に変換して目的物2.
7gを得る。 mp:198〜200℃(分解) ir(cm-1):3400,2950,2900,15
90,1380,1280,1160,1040,10
20,840
【0034】[実施例2] 化合物4の製造 原料としてモルホリンとn−ブチルアルデヒドを用いた
以外は、実施例1と同様に処理して、化合物4を得る。 mp:188〜190℃(分解) ir(cm-1):3400,2950,2900,28
50,1590,1540,1460,1380,11
60,1040,960
【0035】[実施例3] 化合物5の製造 ジエチルアミン中、エチル−8−エトキシ−6−イソプ
ロピル−2−オキソ−2H−シクロヘプタ[b]フラン
−3−カルボキシレートに、アセトアルデヒドを加えて
8時間還流し、それ以降の処理は、実施例1と同様にし
て行ない、化合物5を得る。
【0036】mp:188〜190℃(分解) ir(cm-1):3400,2950,2900,28
50,1600,1540,1380,1190,11
50,1040,1020

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 [但し、式中、R1 は6位もしくは7位の置換基で、水
    素基または低級アルキル基を、R2 は水素基、低級アル
    キル基または低級アルキルオキシ基を、R3 は水素基ま
    たは低級アルキル基を、それぞれ表わす。]で示される
    アズレン誘導体を有効成分とする抗炎症点眼剤。
  2. 【請求項2】 3−エチル−7−イソプロピル−1−ア
    ズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分とする抗炎症点
    眼剤。
  3. 【請求項3】 3−エチル−6−イソプロピル−1−ア
    ズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分とする抗炎症点
    眼剤。
  4. 【請求項4】 3−メチル−4−メトキシ−6−イソプ
    ロピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分
    とする抗炎症点眼剤。
  5. 【請求項5】 3−エチル−4−メトキシ−6−イソプ
    ロピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分
    とする抗炎症点眼剤。
  6. 【請求項6】 3−エチル−4−エトキシ−6−イソプ
    ロピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウムを有効成分
    とする抗炎症点眼剤。
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