JPH05286429A - 還流式アンチロックブレーキ装置 - Google Patents

還流式アンチロックブレーキ装置

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JPH05286429A
JPH05286429A JP9619892A JP9619892A JPH05286429A JP H05286429 A JPH05286429 A JP H05286429A JP 9619892 A JP9619892 A JP 9619892A JP 9619892 A JP9619892 A JP 9619892A JP H05286429 A JPH05286429 A JP H05286429A
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JP
Japan
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brake
oil
wheel cylinder
pressurizing chamber
return
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JP9619892A
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Takayuki Yamamoto
貴之 山本
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、アンチロックブレーキ制御中にブ
レーキ油を還流させるタイプの還流式アンチロックブレ
ーキ装置において、そのブレーキ油がマスターシリンダ
の加圧室へと還流させられることによって発生するブレ
ーキペダルのキックバックの発生回数を減らすことを目
的とする。 【構成】 アンチロックブレーキ制御中にホイールシリ
ンダ2,3からブレーキ油が排出されても還流制限手段
36によって、ホイールシリンダ2,3から排出されるブ
レーキ油の総油量が所定量となるまでは、ブレーキ油は
蓄油器33に蓄えられ、マスターシリンダ1の加圧室1aに
はブレーキ油が還流しないので、その間のキックバック
の発生は防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、還流式アンチロックブ
レーキ装置に関し、特に、アンチロックブレーキ制御中
に,ブレーキ油がマスターシリンダへ還流されることに
よって発生する,ブレーキペダルのキックバックの発生
回数を減らす機構を有する還流式アンチロックブレーキ
装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】まず、従来の還流式アンチロックブレー
キ装置について図8に基づいて説明する。
【0003】図8において、1はマスターシリンダであ
り、加圧室を有している。2はホイールシリンダ、5は
リザーバである。4はブレーキペダルであり、運転者に
よって踏み込まれることでマスターシリンダ1の加圧室
に油圧を発生させる。6は三位置切換弁であって、ホイ
ールシリンダ2をリザーバ5から遮断しマスターシリン
ダ1の加圧室に連通する増圧位置と、ホイールシリンダ
2をマスターシリンダ1の加圧室から遮断しリザーバ5
に連通する減圧位置と、ホイールシリンダ2をマスター
シリンダ1の加圧室とリザーバ5の何れからも遮断する
保圧位置との三つの位置に切り換え可能となっている。
8はマスターシリンダ1の加圧室と切換弁6とを連通す
る油路である。9は還流用油路であり,三位置切換弁6
をリザーバ5を介して油路8に連通している。還流用油
路9のリザーバ5よりも油路8側には油圧ポンプ10が設
けられており、この油圧ポンプ10は,ブレーキ油をリザ
ーバ5から汲み上げて吐出し,油路8に還流させるもの
である。27はアンチロックブレーキ制御装置であって、
車輪速センサ28によって検出される車輪速と,車体速セ
ンサ32によって検出される車体速とから車輪のスリップ
率を演算し、そのスリップ率が適正範囲に保たれるよう
に,三位置切換弁6を切り換え制御するものである。三
位置切換弁6の切り換え制御によってホイールシリンダ
2のブレーキ油圧が増減圧制御されるのである。またこ
のアンチロックブレーキ制御装置27によってアンチロッ
クブレーキ制御が開始されると油圧ポンプ10の駆動が開
始され、アンチロックブレーキ制御が終了して所定時間
が経過すると油圧ポンプ10の駆動が停止させられる。こ
こで、アンチロックブレーキ制御終了後の油圧ポンプ10
の駆動時間は、リザーバ5内にブレーキ油が残らないよ
うに,リザーバ5の容量と油圧ポンプ10の単位時間当た
りの吐出油量によって定められている。
【0004】上述の如くの還流式アンチロックブレーキ
装置においては、減圧制御時にホイールシリンダ2から
リザーバ5に排出されたブレーキ油は油圧ポンプ10によ
って汲み上げられて吐出され、還流用油路9を通って油
路8へと還流される。このようにして油路8へと還流さ
せられたブレーキ油が、次の増圧制御の時にホイールシ
リンダ2へと流れ込むのである。この時油路8へ還流さ
れたブレーキ油はマスターシリンダ1の加圧室へも還流
されてマスターシリンダ1の加圧室内のブレーキ油量が
増えて,マスターシリンダ1の加圧室に油圧を発生させ
るべく踏み込まれたブレーキペダル4が,その踏み込み
位置から戻される所謂キックバックが発生するという問
題があった。
【0005】上述の如くブレーキペダル4が戻される,
戻され速度を低減する装置として例えば、実開平2−6
6362号には、図9に示すように従来の還流式アンチ
ロックブレーキ装置の還流用油路9の油圧ポンプ10より
も油路8側に、油圧ダンパ43とオリフィス44とを設けた
装置が開示されている。油圧ダンパ43とオリフィス44に
よってブレーキ油の還流される速度が遅くなるので、キ
ックバックの程度言い換えればブレーキペダル4の戻さ
れ速度が低減されるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
実開平2−66362号に開示の如くの装置において
も、油圧ポンプとマスターシリンダとは常に連通状態に
ある。その為、アンチロックブレーキ制御中は、ホイー
ルシリンダを加圧するのに充分な量のブレーキ油がマス
ターシリンダの加圧室に残っているにも拘らず、必ずブ
レーキ油がマスターシリンダの加圧室へと還流されてし
まう。その為、キックバックの程度は低減されるもの
の,アンチロックブレーキ制御が開始されれば必ずキッ
クバックが発生してしまうという問題があった。
【0007】本発明は、還流式アンチロックブレーキ装
置において、ブレーキ油の還流の開始を、アンチロック
ブレーキ制御開始時より遅らせることで、アンチロック
ブレーキ制御中のキックバックの発生回数を減らすこと
を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為に
本発明は、ブレーキペダルと、該ブレーキペダルの踏み
込みによって加圧される加圧室を有するマスターシリン
ダと、前記加圧室のブレーキ油が供給されて加圧される
ホイールシリンダと、該ホイールシリンダから排出され
たブレーキ油を,該ホイールシリンダと前記加圧室とを
接続する油路に還流させる還流手段と、前記ホイールシ
リンダを前記還流手段から遮断し前記加圧室に連通させ
る増圧位置と,前記ホイールシリンダを前記加圧室から
遮断し前記還流手段に連通させる減圧位置との少なくと
も二つの位置に切り換え可能な切換手段と、前記ホイー
ルシリンダが加圧されることによって制動力を得る車輪
の,スリップ率が所定範囲に保たれるように、前記切換
手段を切り換え制御するアンチロックブレーキ制御装置
とを有する還流式アンチロックブレーキ装置において、
アンチロックブレーキ制御中に前記ホイールシリンダか
ら排出されたブレーキ油の総油量が,アンチロックブレ
ーキ制御開始時に前記加圧室に残っているブレーキ油量
よりも少量に定められる所定量を越えるまでは,前記還
流手段によるブレーキ油の還流を遮断し、前記総油量が
前記所定量を越えて以後は,前記還流手段によるブレー
キ油の還流を許容する還流制限手段と、該還流制限手段
によってブレーキ油の還流が遮断されている間は、前記
ホイールシリンダから排出されるブレーキ油を蓄える蓄
油器とを備えたことを特徴とする。
【0009】
【作用】上記手段による本発明の作用について説明す
る。上記還流式アンチロックブレーキ装置においては、
切換手段が少なくとも増圧位置と減圧位置とに切り換え
制御されることによって、車輪のスリップ率が適正範囲
に保たれるように制御される。切換手段が減圧位置に切
り換えられると、ホイールシリンダがマスターシリンダ
の加圧室から遮断され還流手段に連通される。ホイール
シリンダが還流手段に連通されると,ホイールシリンダ
内のブレーキ油が排出されるが、このホイールシリンダ
から排出されたブレーキ油の総油量が,アンチロックブ
レーキ制御開始時に前記加圧室に残っているブレーキ油
量よりも少量に定められる所定量を越えるまでは,還流
制限手段によってブレーキ油の還流が遮断され,ブレー
キ油は蓄油器に蓄えられている。その後もアンチロック
ブレーキ制御が続き,ホイールシリンダから排出された
ブレーキ油の総油量が所定量を越えて以後は、還流制限
手段によってブレーキ油の還流が許容される。
【0010】
【実施例】本発明の実施例について、図1乃至図4に基
づいて説明する。
【0011】図1において、1はマスターシリンダ2は
右フロントホイールシリンダ、3は左リアホイールシリ
ンダである。マスターシリンダ1は図2に示すように二
つの加圧室1a,1bを有しており、運転者によってブレー
キペダル4が踏み込まれると、それぞれの加圧室1a,1b
に油圧が発生するものである。マスターシリンダ1の一
方の加圧室1aに発生した油圧は,右フロントホイールシ
リンダ2及び左リアホイールシリンダ3に伝達可能に接
続されており、他方の加圧室1bに発生した油圧も同様
に,左フロントホイールシリンダ2'及び右リアホイール
シリンダ3'に伝達可能に接続されている。所謂ダイアゴ
ナル二系統ブレーキシステムとなっているのである。こ
こで左フロントホイールシリンダ2'及び右リアホイール
シリンダ3'の系統については、右フロントホイールシリ
ンダ2及び左リアホイールシリンダ3の系統と略同一で
ある為説明を省略する。
【0012】図1の説明に戻る。5はリザーバであり、
一ブレーキ系統につき一つ備えられている。6は第1三
位置切換弁であり、右フロントホイールシリンダ2をリ
ザーバ5から遮断し加圧室1aに連通する増圧位置と、右
フロントホイールシリンダ2を加圧室1aから遮断しリザ
ーバ5に連通する減圧位置と、右フロントホイールシリ
ンダ2を加圧室1aとリザーバ5の何れからも遮断する保
圧位置との三つの位置に切り換え可能となっている。7
は第2三位置切換弁であり、6の第1三位置切換弁と同
様に、左リアホイールシリンダ3をリザーバ5から遮断
し加圧室1aに連通する増圧位置と、左リアホイールシリ
ンダ3を加圧室1aから遮断しリザーバ5に連通する減圧
位置と、左リアホイールシリンダ3を加圧室1aとリザー
バ5の何れからも遮断する保圧位置との三つの位置に切
り換え可能となっている。本実施例では第1三位置切換
弁6及び第2三位置切換弁7が切換手段となっているの
である。8は第1三位置切換弁6及び第2三位置切換弁
7をマスターシリンダ1に連通させる油路である。
【0013】9は還流用油路であり,第1三位置切換弁
6及び第2三位置切換弁7を、リザーバ5を介して油路
8に連通している。還流用油路9には,リザーバ5より
も油路8側に油圧ポンプ10が設けられており、この油圧
ポンプ10は,ブレーキ油をリザーバ5から汲み上げて吐
出し,油路8に還流させるものである。本実施例ではリ
ザーバ5,還流用油路9,油圧ポンプ10とで還流手段を
構成しているのである。
【0014】この油圧ポンプ10の構造及び作動を図3、
図4において説明する。油圧ポンプ10は図3及び図4に
示されるように電動モーター11によって駆動されるもの
である。電動モーター11のシャフト12の先端部にはカム
13が設けられている。油圧ポンプ10はその内部に、内孔
を有するシリンダ14と,該シリンダ14内に液密的かつ摺
動可能に嵌挿されるピストン15とを有しており、シリン
ダ14とピストン15とで液室16が形成されている。油圧ポ
ンプ10は又、リザーバ5から通ずる汲引ポート17と,リ
ザーバ5から汲み上げたブレーキ油を吐出する吐出ポー
ト18とを有している。シリンダ14には、ピストン15に設
けられた通孔19を介して、液室16と汲引ポート17とを連
通する第1連通孔20と、液室16と吐出ポート18とを連通
する第2連通孔21とが設けられている。又、ピストン15
には付勢スプリング22が配されており、ピストン15を後
退方向(図3、図4中上方)に付勢している。23は第1
チェックボールで第1スプリング24が配されており、25
は第2チェックボールで第2スプリング26が配されてい
る。ここで、ピストン15が後退端位置(図4に示す位
置)にある時に,第1チェックボール23とピストン15と
の係合が外れ,ピストン15の通孔19を開き液室16と汲引
ポート17との連通が開かれるように、第1スプリング24
の自然長が決められている。
【0015】ピストン15は電動モーター11のカム13によ
って駆動される。先ず、油圧ポンプ10の汲引作動につい
て説明する。油圧ポンプ10内のピストン15が図3に示す
前進端位置から後退方向(図3中上方)に動かされ始め
ると、液室16の油圧が低くなり,その油圧は吐出ポート
18の油圧とほぼ同じになるので、第2スプリング26の作
用により、第2チェックボール25が液室16と吐出ポート
18との連通を閉じる。続いて第1スプリング24が自然長
に達してピストン15と第1チェックボール23との係合が
外れ,液室16と汲引ポート17との連通が開かれる。又、
ピストン15が後退方向(図3中上方)に動かされると液
室16の容積が大きくなるので、リザーバ5に溜められた
ブレーキ油が液室16へと汲み上げられるのである。
【0016】次に、油圧ポンプ10の吐出作動について説
明する。油圧ポンプ10内のピストン15が図4に示す後退
端位置から前進方向(図4中下方)に動かされ始める
と、ピストン15と第1チェックボール23とが係合し、液
室16と汲引ポート17との連通が閉じられる。その後、ピ
ストン15が前進方向(図3中下方)に動かされると液室
16の容積が小さくなり液室16の油圧が高くなる。液室16
の油圧が吐出ポート18の油圧より第2スプリング26の付
勢力によって定められる油圧分高くなると,第2チェッ
クボール25が動かされて液室16と吐出ポート18との連通
が開かれ、液室16内のブレーキ油が吐出ポート18を通じ
て油路8側の還流用油路9へと吐出されるのである。以
上より、電動モーター11が一回転することを油圧ポンプ
10が一回駆動したことと見做すことができ、油圧ポンプ
10は一回の駆動でその吐出量が決められているものであ
る。
【0017】図1の説明に戻る。27はアンチロックブレ
ーキ制御装置であり、右前輪速センサ28,左後輪速セン
サ29,左前輪速センサ30,右後輪速センサ31によって検
出される各車輪速と,車体速センサ32によって検出され
る車体速とから各車輪のスリップ率を演算し、そのスリ
ップ率が適正範囲に保たれるように,各車輪のホイール
シリンダに関する三位置切換弁を切り換え制御するもの
である。三位置切換弁の切り換え制御によって各ホイー
ルシリンダのブレーキ油圧が増減圧制御されるのであ
る。
【0018】33は蓄油器であり、油路8と油圧ポンプ10
との間の還流用油路9に設けられている。蓄油器33は、
ピストン34が摺動することによって容積可変となってお
り、ピストン34に配されたスプリング35によって図1に
示す原位置に戻されるようになっている。
【0019】36はチェック弁であり、油路8と蓄油器33
との間の還流用油路9に設けられ、スプリング37が配さ
れている。このスプリング37の付勢力は、蓄油器33内の
スプリング35の付勢力よりも小さいものである。チェッ
ク弁36は、加圧室1aの油圧と,蓄油器33の油圧とを受け
ており、蓄油器33の油圧がマスターシリンダ1の油圧よ
りスプリング37の付勢力によって定められる油圧分高く
なった時に、蓄油器33から油路8へのブレーキ油の還流
を許容するものである。即ち、本実施例においてはチェ
ック弁36が、還流制限手段となっているのである。
【0020】次に、上述の如く構成されたアンチロック
ブレーキ装置の作動について説明する。ここで、右前輪
と左後輪の作動は略同一である為、代表的に右前輪の作
動について説明する。通常ブレーキ状態においては図1
に示す原位置にある。即ち、第1三位置切換弁6は増圧
位置にあり、右フロントホイールシリンダ2はリザーバ
5から遮断され加圧室1aに連通させられている。この状
態でブレーキペダル4が踏み込まれると加圧室1aに油圧
が発生する。その油圧が油路8を経て右フロントホイー
ルシリンダ2に伝達され、制動力が得られるのある。
【0021】アンチロックブレーキ制御状態において
は、アンチロックブレーキ制御装置27によって第1三位
置切換弁6が増圧位置、減圧位置、保圧位置に切り換え
制御され、右フロントホイールシリンダ2の油圧が調整
されて、図示しない右前輪が適正なスリップ率で回転す
るように制御される。アンチロックブレーキ制御装置27
によって制御が開始されると油圧ポンプ10の駆動が開始
され、制御が終了して所定時間が経過すると油圧ポンプ
10の駆動が停止させられる。ここで、アンチロックブレ
ーキ制御終了後の油圧ポンプ10の駆動時間は、リザーバ
5内にブレーキ油が残らないように,リザーバ5の容量
と油圧ポンプ10の単位時間当たりの吐出油量によって定
められる。
【0022】第1三位置切換弁6が減圧位置に切り換え
られると、右フロントホイールシリンダ2が加圧室1aか
ら遮断されリザーバ5に連通される。リザーバ5内は略
大気圧となっているので、右フロントホイールシリンダ
2内のブレーキ油はリザーバ5へと排出される。ここ
で、油圧ポンプ10はアンチロックブレーキ制御開始と同
時にその駆動が開始されているので、リザーバ5に排出
されたブレーキ油は油圧ポンプ10によって汲み上げられ
て蓄油器33へ吐出される。蓄油器33の油圧が、加圧室1a
に発生している油圧と,チェック弁36のスプリング37の
付勢力によって定められる油圧とを足した油圧より低い
間はチェック弁36が閉じられており、蓄油器33へ吐出さ
れたブレーキ油は油路8への還流が遮断されている。即
ち、この間は加圧室1aへブレーキ油が還流されない為加
圧室1a内のブレーキ油量は増えない。従って、キックバ
ックの発生が防止されているのである。その後も尚油圧
ポンプ10が駆動され、蓄油器33の油圧が、加圧室1aに発
生している油圧よりチェック弁36のスプリング37の付勢
力によって定められる油圧分高くなるとチェック弁36が
開かれ、蓄油器33へ吐出されたブレーキ油は油路8への
還流が許容される。還流が許容された後は、加圧室1aに
発生している油圧と,チェック弁36のスプリング37の付
勢力によって定められる油圧とを足した油圧と、蓄油器
33の油圧とが平衡状態にある。油圧ポンプ10によって蓄
油器33にブレーキ油が吐出されれば,そのブレーキ油分
蓄油器33の油圧が高くなる為、油圧の平衡が崩れ、油圧
ポンプ10によって吐出されただけのブレーキ油が油路8
へと還流する。即ち、蓄油器33から油路8への還流が許
容された後のアンチロックブレーキ制御においては、蓄
油器33に一定の油圧が残った状態のままとなる。しか
し、ブレーキペダル4の踏み込みが解除されれば、チェ
ック弁36にかかる加圧室1aの油圧は略大気圧となり、蓄
油器33内のスプリング35の付勢力とチェック弁36のスプ
リング37の付勢力とでは蓄油器33内のスプリング35の付
勢力の方が大きいので、蓄油器33内のブレーキ油はその
油圧が略大気圧となるまで加圧室1aへ返され、図1の原
位置となる。
【0023】以上の説明から明らかなように、本実施例
においてはチェック弁36が還流制限手段に相当する。
又、ブレーキ油の還流が遮断されている間は、右フロン
トホイールシリンダ2及び左リアホイールシリンダ3か
ら排出されたブレーキ油が蓄油器33に蓄えられ、蓄油器
33の油圧が加圧される。蓄油器33内のブレーキ油量が、
アンチロックブレーキ制御開始時に加圧室1aに残ってい
たブレーキ油量よりも少量に定められた所定量を越えた
時の蓄油器33の油圧によって、チェック弁36が開かれる
ようにスプリング37の付勢力が定められているのであ
る。
【0024】ここで、ブレーキ油の還流の遮断,許容を
決定するホイールシリンダから排出されるブレーキ油の
所定量について例を挙げて説明する。ここで、アンチロ
ックブレーキ制御開始時に加圧室に残っているブレーキ
油量をQ立方センチメートルとして考えるものとする。
アンチロックブレーキ制御開始毎にこのQを検出して、
所定量としても良い。
【0025】一つの例として、制動中に路面上の段差を
車輪が乗り下げた場合を考える。このような場合、段差
乗り下げ中は車輪の接地荷重が低下し、車輪がロックし
やすくなる。しかし、段差乗り下げ後に車輪の接地荷重
は元に戻るので、車輪のロック傾向は小さくなる。この
ような理由から、制動中に路面上の段差を車輪が乗り下
げると、短期間に限ったアンチロックブレーキ制御が行
われることがある。又、段差の乗り下げは、前輪が乗り
下げた後に後輪が乗り下げる場合が多いので、そのよう
に状況を仮定する。このような場合、フロントホイール
シリンダに関して一度減圧制御が行われ、直ちにフロン
トホイールシリンダに関するアンチロックブレーキ制御
は終了し、その後にリアホイールシリンダに関して一度
減圧制御が行われ、直ちにリアホイールシリンダに関す
るアンチロックブレーキ制御が終了して、全体のアンチ
ロックブレーキ制御を終える。この時の減圧制御で各フ
ロントホイールシリンダから排出されるブレーキ油量を
a立方センチメートル、各リアホイールシリンダから排
出されるブレーキ油量をb立方センチメートルとすれ
ば、アンチロックブレーキ制御中の、マスターシリンダ
の一つの加圧室によって加圧されるホイールシリンダか
ら排出されるブレーキ油の総油量はa+b立方センチメ
ートルとなる。よって、ホイールシリンダから排出され
るブレーキ油の総油量がa+b立方センチメートルを越
えるまで,ブレーキ油の還流を遮断しておけば、アンチ
ロックブレーキ制御中にブレーキ油が加圧室へと還流さ
れることはない。このように、制動中に路面上の段差を
車輪が乗り下げた場合に起こるアンチロックブレーキ制
御などの誤作動と呼べるような短期間に限ったアンチロ
ックブレーキ制御におけるキックバックを防止したいの
であれば、ブレーキ油の還流の遮断,許容を決定するホ
イールシリンダから排出されるブレーキ油の所定量をa
+b立方センチメートルと定めれば良い。ここで、上述
した制動中に路面上の段差を車輪が乗り下げた場合に起
こるアンチロックブレーキ制御は極短期間のみ実行され
るので、a+bはQよりも小さい値となる。
【0026】他の例として、還流式アンチロックブレー
キ装置におけるアンチロックブレーキ制御において、ア
ンチロックブレーキ制御開始時に加圧室に残っているブ
レーキ油量Qを一々検出することなく、しかもできるだ
け長い間キックバックが防止できる場合を考える。アン
チロックブレーキ制御が行われずに(即ち、切換手段が
増圧位置のままで)ブレーキペダルを限界まで踏み込ん
だ時の加圧室の残油量をc立方センチメートルとする。
よって、ブレーキ油の還流の遮断,許容を決定するホイ
ールシリンダから排出されるブレーキ油の所定量をc立
方センチメートルと定めておけば、アンチロックブレー
キ制御開始時に加圧室に残っているブレーキ油量Qを一
々検出することなく,アンチロックブレーキ制御中にブ
レーキ油が加圧室へと還流されることをできるだけ長い
間遮断できる。ホイールシリンダからc立方センチメー
トルのブレーキ油が排出されるまで,ブレーキ油の還流
を遮断しても、加圧室にはホイールシリンダの増圧を限
界まで行うことが可能なだけのブレーキ油が必ず残って
いるのである。ここで、cがQより小さい値であること
は明らかである。
【0027】次に、本実施例における特有の効果につい
て述べる。本実施例においては、還流制限手段として、
チェック弁36が用いられているため、通常ブレーキ状態
で、マスターシリンダ1からのブレーキ油が蓄油器33へ
流れ込むことがない。従って、従来の油圧ダンパとオリ
フィスによってキックバックを低減していた装置に比
べ、通常ブレーキ状態での消費油量が少なくて済む。
【0028】還流制限手段の他の態様を、図5に示す。
図5に示される還流制限手段は、蓄油器33の油圧を圧力
センサ38で検出し、アンチロックブレーキ制御装置27に
よって、アンチロックブレーキ制御開始から,蓄油器33
の油圧が所定値を越えるまでは、連通開閉弁39を還流用
油路9の連通を閉じる位置とし、蓄油器33の油圧が所定
値を越えてからは、連通開閉弁39を還流用油路9の連通
を開く位置とするようにするものである。このように図
5に示される態様の還流制限手段は、圧力センサ38,ア
ンチロックブレーキ制御装置27,連通開閉弁39によって
構成される。図5に示される態様の還流制限手段にあっ
ては、図1のチェック弁36と同様に、右フロントホイー
ルシリンダ2及び左リアホイールシリンダ3から排出さ
れたブレーキ油が蓄油器33に蓄えられ、蓄油器33の油圧
が加圧される。蓄油器33内のブレーキ油量が、アンチロ
ックブレーキ制御開始時に加圧室1aに残っていたブレー
キ油量よりも少量に定められた所定量を越えた時の蓄油
器33の油圧が圧力センサ38によって検出された時に、ア
ンチロックブレーキ制御装置27によって連通開閉弁39が
還流用油路9の連通を開く位置とされるように制御され
ているのである。
【0029】還流制限手段の更に他の態様を、図6に示
す。図6に示される還流制限手段は、油圧ポンプ10の駆
動回数をカウンタ40で検出し、アンチロックブレーキ制
御装置27によって、アンチロックブレーキ制御開始か
ら,カウンタ40によって検出された油圧ポンプ10の駆動
回数が所定値を越えるまでは、連通開閉弁39を還流用油
路9の連通を閉じる位置とし、カウンタ40によって検出
された油圧ポンプ10の駆動回数が所定値を越えてから
は、連通開閉弁39を還流用油路9の連通を開く位置とす
るようにするものである。このように図6に示される態
様の還流制限手段は、カウンタ40,アンチロックブレー
キ制御装置27,連通開閉弁39によって構成される。図6
に示される態様の還流制限手段にあっては、右フロント
ホイールシリンダ2及び左リアホイールシリンダ3から
排出されたブレーキ油が油圧ポンプ10によって吐出され
る。一回の駆動でその吐出量が定まっている油圧ポンプ
10の駆動回数を検出すれば、右フロントホイールシリン
ダ2及び左リアホイールシリンダ3から排出されたブレ
ーキ油の総油量を検出することになり、油圧ポンプ10に
よって吐出されたブレーキ油量が、アンチロックブレー
キ制御開始時に加圧室1aに残っていたブレーキ油量より
も少量に定められた所定量を越えた時に、アンチロック
ブレーキ制御装置27によって連通開閉弁39が還流用油路
9の連通を開く位置とされるように制御されているので
ある。
【0030】還流制限手段の更に他の態様として、図8
の従来の還流式アンチロックブレーキ装置において、三
位置切換弁6とリザーバ5の間の還流用油路に流量検出
装置を設けたものを考えても良い。該流量検出装置によ
って検出される油量がアンチロックブレーキ制御開始時
に加圧室1aに残っていたブレーキ油量よりも少量に定め
られた所定量となるまでは、アンチロックブレーキ制御
装置27によって油圧ポンプの駆動を停止しておくのであ
る。この態様においては、リザーバ5が蓄油器を兼ね、
流量検出装置,アンチロックブレーキ制御装置27,油圧
ポンプ10によって還流制限手段が構成されている。
【0031】次に、蓄油器の他の態様を、図7に示す。
図7に示される蓄油器41には、撓み易い弾性部材42が用
いられており、この弾性部材42をもって容積可変部分と
しているものである。
【0032】更に、本実施例においては、ブレーキシス
テムがダイアゴナル二系統ブレーキシステムとなってい
たが、前後二系統ブレーキシステムに適用されても、前
輪二系統ブレーキシステムに適用されても良く、ブレー
キシステムのタイプに捕われるものではない。
【0033】また、還流用油路にオリフィスを設けるこ
とで、ブレーキ油の還流が許容された後のキックバック
を低減するようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】本発明は、アンチロックブレーキ制御中
に減圧制御とされても、ホイールシリンダから排出され
たブレーキ油の総油量が,アンチロックブレーキ制御開
始時に前記加圧室に残っているブレーキ油量よりも少量
に定められる所定量を越えるまでは,還流制限手段によ
ってブレーキ油の還流が遮断されているので、ブレーキ
油がマスターシリンダの加圧室へ還流することがない。
従って、ホイールシリンダから排出されたブレーキ油の
総油量が前記所定量を越えるまでは,アンチロックブレ
ーキ制御中であっても、キックバックを全く感じること
なくブレーキペダルを踏み続けることができる。又、ブ
レーキ油の還流の遮断,許容を決定するホイールシリン
ダから排出されるブレーキ油の所定量は、アンチロック
ブレーキ制御開始時に前記加圧室に残っているブレーキ
油量よりも少量と定められているので、ホイールシリン
ダから排出されたブレーキ油の総油量が前記所定量を越
えるまでブレーキ油の還流を遮断していても、ホイール
シリンダの増圧を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例である還流式アンチ
ロックブレーキ装置の概略を表す系統図である。
【図2】図2は、ダイアゴナル二系統ブレーキシステム
の概略を表す系統図である。
【図3】図3は、油圧ポンプの一つの作動形態を表す要
部断面図である。
【図4】図4は、油圧ポンプの図3とは別の作動形態を
表す要部断面図である。
【図5】図5は、還流制限手段の,図1とは別の態様を
表す概略図である。
【図6】図6は、還流制限手段の,図1及び図5とは別
の態様を表す概略図である。
【図7】図7は、油圧ダンパの,図1とは別の態様を表
す概略図である。
【図8】図8は、従来の還流式アンチロックブレーキ装
置の概略を表す系統図である。
【図9】図9は、アンチロックブレーキ制御中のキック
バック低減を図った、従来の還流式アンチロックブレー
キ装置の概略を表す系統図である。
【符号の説明】
1・・・マスターシリンダ 2・・・右フロントホイールシリンダ 6・・・第1三位置切換弁 10・・・油圧ポンプ 27・・・アンチロックブレーキ制御装置 33・・・蓄油器 36・・・チェック弁

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキペダルと、 該ブレーキペダルの踏み込みによって加圧される加圧室
    を有するマスターシリンダと、 前記加圧室のブレーキ油が供給されて加圧されるホイー
    ルシリンダと、 該ホイールシリンダから排出されたブレーキ油を,該ホ
    イールシリンダと前記加圧室とを接続する油路に還流さ
    せる還流手段と、 前記ホイールシリンダを前記還流手段から遮断し前記加
    圧室に連通させる増圧位置と,前記ホイールシリンダを
    前記加圧室から遮断し前記還流手段に連通させる減圧位
    置との少なくとも二つの位置に切り換え可能な切換手段
    と、 前記ホイールシリンダが加圧されることによって制動力
    を得る車輪の,スリップ率が所定範囲に保たれるよう
    に、前記切換手段を切り換え制御するアンチロックブレ
    ーキ制御装置とを有する還流式アンチロックブレーキ装
    置において、 アンチロックブレーキ制御中に前記ホイールシリンダか
    ら排出されたブレーキ油の総油量が,アンチロックブレ
    ーキ制御開始時に前記加圧室に残っているブレーキ油量
    よりも少量に定められる所定量を越えるまでは,前記還
    流手段によるブレーキ油の還流を遮断し、前記総油量が
    前記所定量を越えて以後は,前記還流手段によるブレー
    キ油の還流を許容する還流制限手段と、 該還流制限手段によってブレーキ油の還流が遮断されて
    いる間は、前記ホイールシリンダから排出されるブレー
    キ油を蓄える蓄油器とを備えたことを特徴とする還流式
    アンチロックブレーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5967626A (en) * 1996-04-25 1999-10-19 Denso Corporation Braking system for automotive vehicle
JP2009078616A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Advics:Kk 自動二輪車両の制動制御装置、及び自動二輪車両の制動制御方法

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