JPH0528458A - 記録媒体用ベースフイルム及びその製法 - Google Patents

記録媒体用ベースフイルム及びその製法

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JPH0528458A
JPH0528458A JP3273015A JP27301591A JPH0528458A JP H0528458 A JPH0528458 A JP H0528458A JP 3273015 A JP3273015 A JP 3273015A JP 27301591 A JP27301591 A JP 27301591A JP H0528458 A JPH0528458 A JP H0528458A
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健之 松原
Ryoichi Sato
亮一 佐藤
Toshihito Sakai
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】第1の発明は、ポリイミドフィルムの片側表面
に微細な無機充填剤Fからなる多数の突起が均一に形
成されている磁性面B、この磁性面と連続し、無機充
填剤を含有しない内層部分B、および、その内層部分B
に連続して無機充填剤(易滑剤)Fが内在している裏
面Aを有する層状部分Aからなる記録媒体用ベースフ
ィルム。第2の発明は、無機充填剤を含有する第1の芳
香族ポリアミック酸溶液と無機充填剤を含有しない第2
の芳香族ポリアミック酸溶液とから溶液流延法で自己支
持性のポリアミック酸二層フィルムを形成し、この二層
フィルムの表面に無機充填剤(易滑剤)の分散液を塗布
して乾燥し、熱処理して、「磁性面Bと易滑性の裏面
とを有する記録媒体用の二層フィルム(記録媒体ベース
フィルム)」を再現性よく製造する方法。 【効果】充分な走行性が付与された裏面を有し、表面性
の優れた磁性面を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願の第1の発明は、概略、
ポリイミドフィルムの片側表面に無機充填剤の各粒子の
一部分が埋設され保持された無機充填剤からなる多数の
突起が全面的に均一に形成されている片側表面、この表
面と連続していて無機充填剤を実質的に含有していない
内層部分、および、内層部分に連続していて無機充填剤
(易滑剤)が内蔵されている裏側面に沿った層状部分か
らなる記録媒体用ベースフィルムであって、微細な無機
充填剤の各粒子が部分的に保持された多数の突起によっ
て特定の表面状態を有する磁性層用の片側表面(磁性
面)を有する共に、無機充填剤(易滑剤)がポリイミド
樹脂内に内蔵されている層状部分の表面に突起が多数突
出して易滑化されている裏面(易滑性面)を有する記録
媒体用ベースフィルムに係わる。
【0002】そして、この出願の第2の発明は、二層押
出成形用ダイスを有する押出成形機構を使用し、そし
て、無機充填剤を含有する第1の芳香族ポリアミック酸
溶液と無機充填剤を含有しない第2の芳香族ポリアミッ
ク酸溶液とから「前述の特定の表面状態を有する片側表
面と、充分な易滑性を有する裏面を有する記録媒体用の
二層ポリイミドフィルム(記録媒体ベースフィルム)」
を工業的に製造する方法に係わる。
【0003】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
充分な走行性が付与された裏面(易滑性面)を有してい
ると共に、磁性層などを設けるために好適である表面性
の優れた表面(磁性面)を有しており、磁気記録媒体用
の耐熱性ベースフイルムとして好適に使用することがで
きる。
【0004】
【従来技術の説明】従来、芳香族ポリイミドフィルム
は、耐熱性などを有するために、Co−Cr合金などの
磁性層を、真空蒸着法、スパッタリング法などによって
設けることができるベースフィルムとして使用されてい
る。しかし、芳香族ポリイミドフィルムは、滑り性(易
滑性)において、必ずしも充分ではなく、易滑性を付与
するために、無機微粒子(易滑剤)を内在していてフィ
ルムの表面に微細な凹凸を有する易滑性フィルムが提案
されている。
【0005】しかしながら、上記の易滑性フィルムは、
一般に、内蔵された無機充填剤により両面がいずれも微
細な凹凸による粗面化(易滑化)されているために、そ
のフィルムのいずれかの表面に磁性層を設けて磁気記録
媒体を製造しても、得られた磁気記録媒体が、磁気記録
における充分な出力を安定して有することができなかっ
たのである。
【0006】また、フィルムの片面に易滑性を付与する
方法として、「前記ポリイミドフィルムの製造過程にお
いて、易滑剤を含有するポリマー溶液を片面にのみ塗布
し乾燥して、加熱処理して、易滑性を有するコーティン
グ層が片面にのみ設けられた芳香族ポリイミドフィルム
を製造する方法」が特開昭63−297038号公報に
開示されている。この公知のコーティング法による製膜
法では、製膜工程において、フィルム内に異物の混入の
機会が増したり、又、得られたフィルムにカールが発生
したり、更に、得られたフィルムの平面性が低下してい
るといった問題などが起こり、平滑面と易滑性表面とを
有するポリイミド製のベースフィルムを再現性よく製造
できないことがあり、必ずしも満足すべきものではなか
った。
【0007】さらに、前述の問題点を解消する方法とし
て、ポリイミドフィルムを二層成形することで、磁性面
側は充填剤が実質的に存在しない層を有し、裏面側は充
填剤が添加されている層を有する二層成形ベースフィル
ムが、特開平2−38429号公報に開示されている。
この方法によって得られたベースフィルムは、ハンドリ
ング性を損なうことなく、磁性特性(電磁変換特性な
ど)が向上したが、磁気テープとしての走行性、耐久性
が充分ではないという欠点が依然としてあった。
【0008】この出願の発明者らは、2層成形法によっ
てポリイミドフィルムを成形する際に、磁性面側を形成
する製膜用ポリマー溶液と裏面側を形成する製膜用ポリ
マー溶液とにそれぞれ粒子径の異なる微粒子を添加して
二層成形することによって、電磁変換特性などを損なう
ことなく、磁気テープとしての走行性、耐久性などを向
上できることを見出し、特許出願した。(特開平3−2
1447号公報参照)
【0009】しかし、前記の「磁性面側と裏面側とが異
なる粒子径の充填剤を添加されている二層成形ポリイミ
ドフィルム」においては、磁性面側において、微細な突
起を形成している充填剤の微粒子が凝集したり、該微粒
子がポリイミド樹脂で被覆されいるのでそれらからなる
微細な突起の急峻性が充分ではなかったり、しかも、そ
れらの微細な突起の高さが不均一であったりしたため
に、そのベースフィルムの磁性面側に磁性層を形成して
得られた磁気テープが磁気ヘッドによって磁気データを
読み込みながら走行性を維持するために必要である「磁
性面側の全突起に対する有効突起個数の割合」において
不充分となるという問題点があった。
【0010】
【本発明の解決すべき問題点】この発明の目的は、磁気
記録媒体用のべースフィルムとして、磁気層を形成する
ための磁性面側の微細な突起が、充分な急峻性を有する
と共に、その微細な突起が均一な高さを有していて、該
微細な突起の有効突起個数の割合を向上させたベースフ
ィルムを提供すること、ならびに、前記の芳香族ポリイ
ミドフィルムを容易に再現性よく製造できる新規な方法
を提供することである。
【0011】
【問題点を解決する手段】この出願の第1の発明は、微
細な無機充填剤の各粒子の一部分がポリイミドフィルム
の片側表面にそれぞれ埋設され保持された微細な無機充
填剤からなる多数の突起が5×10〜5×10個/
mmの割合で均一に形成されており、該ポリイミドフ
ィルムの片側表面における平均突起高さが50〜500
Åであると共に、前記突起の90%以上が平均突起高さ
の±50A以内にあり、そして、該片側表面に連続して
いて実質的に無機充填剤を含有していない内層部分が形
成されており、さらに、該内層部分に連続していて該ポ
リイミドフィルムの裏面の側に沿って全面的に無機充填
剤(易滑剤)が多数内蔵されている層状部分を有するこ
とを特徴とする記録媒体用ベースフィルムに関する。
【0012】この出願の第2の発明は、微細な無機充填
剤(易滑剤)を含有する第1の芳香族ポリアミック酸溶
液と、無機充填剤を含有していない第2の芳香族ポリア
ミック酸溶液とを、二層押出成形用ダイスを有する押出
成形機構へ同時に供給して、前記のダイスの吐出口から
両溶液の二層の薄膜状体を平滑な支持体上に連続的に押
出し、前記支持体上の薄膜状体を乾燥し自己支持性のポ
リアミック酸二層フィルムを形成し、次いで、支持体上
から該二層フィルムを剥離して、該二層フィルムの無機
充填剤を含有していない層を有する側の表面に、微細な
無機充填剤の粒子を有機溶媒に均一に分散させた分散液
を塗布し、その塗布層を乾燥させて、該二層フィルムの
片側表面に無機充填剤を保持させ、最後に、その自己支
持性の二層フィルムを加熱処理することを特徴とする記
録媒体用ベースフィルムの製法に関する。
【0013】以下、この発明について、図面も参考にし
て、さらに詳しく説明する。図1は、この発明の記録媒
体用ベースフィルムの一例を示す断図面である。図2
は、前記図1の断面のX部分を拡大して示す断面図であ
る。図3は、この発明の記録媒体用べ−スフィルムの製
法に使用する製膜装置の一例を概略示す断面図であり、
図4は、前記の製膜装置に設置される二層押出用ダイス
の一例を概略示す断面図である。
【0014】この発明の記録媒体用べースフィルムは、
図1に示すように、微細な無機充填剤Fの各粒子の一
部分がポリイミドフィルム10の片側表面Bにそれぞ
れ埋設され保持された微細な無機充填剤Fからなる多
数の突起が、5×10〜5×10個/mm、好ま
しくは1×10〜1×10個/mmの割合で均一
に形成されており、該ポリイミドフィルムの片側表面B
における平均突起高さLが50〜500A(オングス
トローム)、好ましくは100〜200Aであると共
に、前記突起の90%以上が平均突起高さの±50A以
内、好ましくは±30A以内にあり、そして、該片側表
面Bに連続していて実質的に無機充填剤を含有してい
ない内層部分Bが形成されており、さらに該内層部分B
に連続していて該ポリイミドフィルムの裏面Aの側に
沿って全面的に無機充填剤Fが多数内蔵されている層
状部分Aを有していて、好ましくは耐熱性の芳香族ポリ
イミドフィルムで構成されている記録媒体用ベースフィ
ルムである。
【0015】この発明のベースフィルムの製法では、例
えば、図4に示す二層押出形成用ダイスが設置された図
3に示す製膜装置を使用して、まず、前記ダイス1に、
『無機充填剤(易滑剤)Fを含有する芳香族ポリアミ
ック酸溶液a』及び『無機充填剤をまったく含有してい
ないポリアミック酸溶液b』を同時に別々に供給し、該
ダイス内で合流されたポリマー溶液流をダイスの吐出口
(リップ部)から二層の薄膜状体として支持体(ベル
ト)3の上に押出して均一な厚さの薄膜を形成し、キャ
スティング炉6の内部でその薄膜を乾燥して溶媒を大部
分除去し、自己支持性のポリアミック酸二層フィルムを
形成した後、支持体3から該二層フィルムを剥離し、そ
して、該二層フィルムの片側表面(易滑剤が内在してい
ない側の表面)に『微細な無機充填剤Fが分散してい
る溶液c』を塗布し塗布層を乾燥して、最後に、キュア
ー炉内で加熱処理して、芳香族ポリイミド製の二層押出
フィルムからなるこの発明のベースフィルムを連続的に
形成するのである。
【0016】この発明のベースフィルムは、図1に示す
ように、二層フィルムを形成している芳香族ポリイミド
樹脂のマトリックスが、電子顕微鏡写真によって観察し
ても、厚み方向のいずれにも特別に明確な境界面が見出
せず、また、このフィルムを二層に剥離することができ
るような境界面が明確に存在しないのであり、該ポリイ
ミド樹脂のマトリックスが実質的に連続相を形成してい
るものであるが、この発明のベースフィルムは、図1に
示すように、易滑剤が裏面側に偏在して内蔵されている
ことを明確に確認することができるものである。
【0017】この発明のベースフィルムのマトリックス
を形成している芳香族ポリイミドは、芳香族テトラカル
ボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから重合およびイミ
ド化によって得られる耐熱性の高分子量のポリマーであ
ればよい。前記芳香族テトラカルボン酸成分としては、
例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸またはその酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸またはその酸二無水物などのビ
フェニルテトラカルボン酸類、ピロメット酸またはその
酸無水物などのピロメリット酸類、3,3’,4,4’
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸またはその酸二無水
物などを挙げることができる。
【0018】また、前記の芳香族ジアミンとしては、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系
ジアミン化合物、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジフ
ェニルスルホン系ジアミン化合物、o−、m−またはp
−フェニレンジアミンなどのフェニレン系ジアミン化合
物などを挙げることができる。
【0019】この発明では、(a)ビフェニルテトラカ
ルボン酸類を全酸成分に対して50モル%以上、特に6
0モル%以上含有する芳香族テトラカルボン酸成分と、
フェニレンジアミンを全ジアミン成分に対して50モル
%以上、特に60モル%以上含有する芳香族ジアミン成
分とを、或いは、(b)ビフェニルテトラカルボン酸類
(50モル%以上、特に55〜90モル%含有)および
ピロメリット酸類(50モル%未満、特に10〜45モ
ル%含有)を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分
と、フェニレンジアミン(50モル%以上、特に55〜
95モル%含有)およびジアミノジフェニルエーテル
(50モル%未満、特に5〜45モル%程度含有)を主
成分とする芳香族ジアミン成分とを、両成分等モル重合
し、そしてイミド化して得られる芳香族ポリイミドが、
機械的な物性、耐熱性、寸法安定性などの点において、
特に好適である。
【0020】この発明のベースフィルム中に分散して内
在する無機充填剤(易滑剤)Fは、易滑剤として一般
的に使用される微細な粒子状の無機充填剤であればよ
く、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、
炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどを好
適に挙げることができ、そして、その無機充填剤(易滑
剤)の平均粒子径が、約20〜10000A、特に50
〜5000A程度であることが好ましい。この発明のベ
ースフィルムでは、裏面に内在する無機充填剤(易滑
剤)の配合密度は、該片面の表面から観察して、約1×
10〜5×10個/mm、特に5×10〜1×
10個/mm程度の粒子密度となるような割合であ
ることが好ましい。
【0021】この発明のベースフィルムは、前述のよう
に、易滑剤としての無機充填剤Fを含有する層状部分
Aと無機充填剤を内在していない層状部分B(表面B
には、微細な無機充填剤Fが保持されている)とを有
しているが、その各両層状部分の厚さの比(A層の部分
/B層の部分)は、0.1〜10、特に0.15〜8、
さらに0.2〜5程度であることが好ましく、さらに、
この発明のベースフィルムの全体(A層の部分+B層の
部分)の厚さは、約2〜200μm、特に5〜150μ
m、さらに好ましくは6〜100μm程度であることが
好ましい。
【0022】この発明のベースフィルムは、無機充填剤
が実質的に内蔵されていない側の片側表面Bには、そ
の表面に保持された無機充填剤Fによる微細な突起が
均一に多数突出していて、それらの無機充填剤Fから
なる多数の突起の平均突起高さ(L)が50〜500
A、好ましくは100〜300Aであると共に、その多
数の突起の90%以上(好ましくは95〜100%)
が、平均突起高さ(L)の±50A以内、好ましくは±
30A以内、特に±20A以内である突起高さhであ
り、その結果、この発明のベースフィルムは、その片側
表面Bにおける多数の突起の『突起高さh』のバラツ
キが極めて小さく、該表面Bが優れた磁気特性の磁性
層を形成するために極めて好適である表面性を有してい
るのである。
【0023】また、該ベースフィルムの片側表面(磁性
面)Bは、多数の突起の後述の急峻性(L/D)が、
0.5〜0.9、特に0.6〜0.8程度であって、さ
らに、平均表面粗さ(Ra)が5〜50A、特に10〜
20A程度を有することが好ましい。
【0024】前記の無機充填剤Fは、例えば、前述の
易滑剤と同様に、シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナなど
の微粒子を好適に挙げることができるが、その平均粒子
径が100〜5000A、特に150〜1000A程度
であることが好ましい。
【0025】この発明のベースフィルムは、無機充填剤
(易滑剤)が内蔵されている裏面側の層Aの表面(裏
面:易滑性面)Aに、易滑剤による微細な突起が多数
突出していて該裏面Aが約0.2〜0.6、好ましく
は0.25〜0.5程度の静摩擦係数を有していること
が、このベースフィルムの走行性の点から好ましい。
【0026】この発明のベースフィルムの裏面(易滑性
面)Aには、微細な突起の平均突起高さLが約30〜
500A、特に40〜300A程度であり、しかも、
『微細な突起の径(突起底部の径の平均値D)が約10
0A以上である微細な突起』が1×10〜5×10
個/mm、特に1×10〜1×10個/mm
度の割合で突出していることが好ましい。なお、前記の
ベースフィルムの裏面Aは、平均表面粗さ(Ra)が
20Aより大きい値、特に20〜50Aを有することが
好ましい。
【0027】この発明のベースフィルムでは、上述のよ
うに、フィルムの裏面Aが易滑化されていてその摩擦
係数が小さい範囲にあってフィルムの走行性が優れてい
ると共に、片側表面Bが極めて良好な表面性を有して
いて、優れた性能の磁性金属層(磁性層)を形成するの
に好適となっている点が、最も特徴的である。
【0028】この発明のベースフィルムの製法は、例え
ば、図3に示すような二層押出成形機構を有する製膜装
置を使用して、溶液流延法と塗布方法とを組み合わせた
製膜法で行われる。
【0029】すなわち、この発明の製法においては、図
3に示す製膜装置を使用して、まず、『微細な無機充填
剤Fを含有する第1の芳香族ポリアミック酸溶液a』
と、『無機充填剤を含有していない第2の芳香族ポリア
ミック酸溶液b』とを、二層押出成形用ダイス1のポリ
マー溶液供給口9aおよび9bから、製膜装置の押出成
形機構〔ダイス1、支持体(ベルト)3、ヒーター5、
キャスティング炉6など〕へ同時に供給し、次いで、前
記のダイス1の吐出口から両溶液の二層の薄膜状体を、
一対の駆動輪2の上に巻き掛けられて回動する平滑な支
持体(金属製のベルト等)3の上面に連続的に押出し、
そして、キャスティング炉6の内部において、前記支持
体3の上面の薄膜状体4を、ヒーターまたは熱風吹き出
し装置5によって、前記支持体3上で適度に乾燥し溶媒
を大部分除去して、自己支持性の二層フィルム4’を形
成し、次いで、支持体上から自己支持性のフィルム4’
を剥離して、自己支持性の二層フィルム(芳香族ポリア
ミック酸と偏在している易滑剤と溶媒とからなる)を形
成するのである。
【0030】前記の二層押出成形用ダイスは、例えば、
図4に示すように、ポリマー溶液の供給口46および4
7を有し、ポリマー溶液の通路が、その各供給口から各
マニホールド42に向かってそれぞれ形成されており、
そのマニホールド42の底部の流路が合流点43で合流
しており、その合流した後のポリマー溶液の通路(リッ
プ部)がスリット状の吐出口44に連通していて、この
吐出口44からポリマー溶液が薄膜状に支持体48上に
吐出される構造(マルチマニホールド型二層ダイス1)
になっているものが好ましい。
【0031】前記の図4のダイス1において、前記リッ
プ部は、リップ調整ボルト49によって、その間隔を調
節できるようになっていて、また、各マニホールド42
の底部(合流点に近い箇所)は、各チョークバー45に
よってその流路の空隙部の間隔が調節される。また、前
記の各マニホールドは、ハンガーコートタイプの形状を
有していることが好ましい。
【0032】さらに、二層押出成形用ダイスとしては、
ダイス上部の左右にポリマー溶液の供給口を2箇所有
し、ポリマー溶液の通路が、仕切り板を備えた合流点で
直ちに合流するようになっており、その合流点からマニ
ホールドにポリマー溶液の流路が連通していて、そのマ
ニホールドの低部のポリマー溶液の通路(リップ部)が
スリット状の吐出口に連通していて、この吐出口からポ
リマー溶液が薄膜状に支持体上に吐出される構造(フィ
ードブロック型二層ダイスまたはシングルマニホールド
型二層ダイス)になっているものであってもよい。
【0033】前記の第1のポリマー溶液aは、易滑剤と
しての性能を有する無機充填剤F、前述の芳香族テト
ラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られた
芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆体)およ
び有機溶媒とからなるものであればよい。前記の第1の
ポリマー溶液aは、無機充填剤Fの含有率が0.1〜
5重量%、特に0.3〜3重量%程度であり、芳香族ポ
リアミック酸の含有率が5〜40重量%、特に10〜3
0重量%程度であることが好ましい。
【0034】また、前記の第2のポリマー溶液bは、芳
香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから
得られた芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆
体)および有機溶媒とからなるものであればよい。そし
て、第2のポリマー溶液bは芳香族ポリアミック酸の含
有率が5〜40重量%、特に10〜30重量%程度であ
ることが好ましい。
【0035】前記の第1及び第2のポリマー溶液中の芳
香族ポリアミック酸は、同一の各モノマー成分からなる
ものであることが好適であるが、それぞれのポリマー溶
液中の各ポリマーが異種のものであってもよい。前記の
第1及び第2のポリマー溶液は、前述の二層押出成形の
際に二層押出用ダイスでの吐出の温度における「溶液粘
度(回転粘度)」が50〜10000ポイズ、特に10
0〜6000ポイズ程度であることが好ましい。
【0036】前記の第1および第2のポリマー溶液に使
用される芳香族ポリアミック酸は、対数粘度(測定温
度;30℃、濃度;0.5g/100ml溶媒、およ
び、溶媒;N−メチル−2−ピロリドン)が、約0.5
〜6、特に1.0〜5、さらに好ましくは1.5〜4程
度を示すものであることが好ましい。
【0037】また、前記の第1および第2のポリマー溶
液に使用される有機溶媒は、例えば、N−メチル−2−
ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−
ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのアミド系有機
溶媒、あるいはそれらを主成分とする混合溶媒を挙げる
ことができる。
【0038】前述の二層押出成形の際に二層押出用ダイ
スからの吐出する芳香族ポリアミック酸溶液の温度は、
0〜150℃、特に5〜100℃、さらに好ましくは1
0〜80℃程度であり、また、そのポリマー溶液が吐出
された後に支持体上の薄膜状体を乾燥する温度(キャス
ティング温度)は、約100〜180℃、特に120〜
150℃程度であればよく、さらに、その乾燥時間が、
1〜60分、特に5〜30分程度であることが好まし
い。
【0039】この発明の製法において中間工程で製造さ
れるポリアミック酸の二層フィルム(最終的にはベース
フィルム)における「無機充填剤Fを含有する層状部
分Aと無機充填剤を含有していない層状部分Bとの厚さ
の割合を調節するには、二層押出用ダイスからの各ポリ
マー溶液の吐出量を調整することによって行うことがで
きる。
【0040】前記の自己支持性のポリアミック酸二層フ
ィルムは、含有されているポリマーのイミド化率が約0
〜80%程度、特に5〜70%程度であって、しかも、
溶媒を5〜60重量%、特に10〜50重量%程度含有
していて、該フィルムを支持体から連続的に剥離する場
合、および、次の微細な無機充填剤Fの分散液の塗布
・乾燥工程などにおいて、容易にフィルムが破れること
がないような強度を有していればよい。
【0041】この発明の製法においては、図3に示すよ
うに、前述のようにして製造した自己支持性のポリアミ
ック酸二層フィルム4’(無機充填剤が含有されていな
い層Bを有する二層フィルム4’)の片側表面Bに、
微細な無機充填剤Fの微粒子が有機溶媒に均一に分散
されている分散液cを塗布し、乾燥域14において適当
な手段でその分散液cの塗布層を乾燥させて溶媒を実質
的に除去し、該二層フィルムの片側表面Bに無機充填
剤Fを保持させると共に、最後に、キュアー炉13で
その自己支持性の二層フィルム4”を高温で加熱処理す
るのである。
【0042】前記の分散液cの調製に使用される溶媒
は、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノ
ール、n−ブタノール、エタノール等の低級アルコー
ル、アセトン、エチル−メチルケトン、メチル−プロピ
ルケトン、メチル−イソブチルケトン等のケトン系溶
媒、メチルエーテル、エチルエーテル、メチル−エチル
エーテル等のエーテル系溶媒などであって、沸点50〜
150℃、特に55〜100℃程度の低沸点の有機溶媒
であり、さらに、ポリアミック酸を1重量%以上、特に
0.5重量%以上溶解しない貧溶媒を主成分(80重量
%以上、特に90重量%以上)とするものであることが
好ましい。
【0043】前記の分散液cの調製用の溶媒は、ポリア
ミック酸を5重量%以上溶解させうる良溶媒(例えば、
前述のアミド系溶媒など)を10重量%以下、特に0.
01〜5重量%、さらに0.1〜2重量%程度含有させ
ることが、前述の自己支持性のポリアミック酸二層フィ
ルムの表面への濡れ性などにおいて、好ましい。
【0044】前記の分散液cにおいては、無機充填剤F
の濃度が5〜10000ppm、特に10〜1000
ppm、さらに20〜500ppm程度であることが、
無機充填剤Fの分散性における安定性の点などから好
ましい。この発明の製法では、前記の分散液cは、微細
な無機充填剤Fを実質的に凝集させず、各単粒子を均
質に分散性させるために、バインダー、ポリマーなどの
樹脂成分が実質的に含有されていない溶液であり、分散
液cが前記バインダー成分などを特に必要としないこと
が特徴的でもある。
【0045】前記の分散液c塗布操作は、前記溶媒の沸
点より低い温度であって、60℃以下、特に0〜50℃
程度の塗布温度において、グラビア法、リバース法、浸
漬法(図3の製膜装置では、二層フィルムを分散液8に
連続的に浸漬させることにより塗布操作が行われてい
る。)などの塗布法で行うことが好ましい。前記の分散
液が塗布された二層フィルム4”は、乾燥域14におい
て、乾燥された熱風(加熱空気)を吹きつけたり、ヒー
ターで熱線を照射したりなど適当な乾燥手段により、約
5〜100℃、特に10〜60℃の乾燥温度で乾燥し
て、分散液の塗布層の溶媒を蒸発させて実質的に全部除
去し、無機充填剤Fを単粒子状態で二層フィルムの表
面に均一にしっかりと保持させるのである。
【0046】この発明の製法では、前述のように無機充
填剤Fが保持された二層フィルム4”を、複数のヒー
ター11の内設されたキュアー炉13に通過させて加熱
処理して、この発明の芳香族ポリイミドフィルム10を
形成し、さらに、常温(約0〜50℃)まで冷却して、
案内ロール31などを有する巻取り機(全体を図示して
いない)の巻取りロール30に巻き取るのである。
【0047】分散液を塗布し乾燥した自己支持性のポリ
アミック酸二層フィルムの加熱処理は、加熱処理温度が
約250〜600℃、特に300〜550℃程度で、加
熱処理時間が約1〜60分、特に2〜30℃程度である
ことが、該二層フィルム中のポリマーをイミド化し、そ
して、該二層フィルム中の有機溶媒を実質的に除去する
ために好ましい。この発明のベースフィルムの製法にお
いては、製膜速度が0.1〜10m/分、特に、0.2
〜5m/分として、前述の性能を有するベースフィルム
を連続的に製造することができる。
【0048】
【実施例】以下、この発明の実施例、及び比較例を示
し、この発明をさらに詳しく説明する。実施例などにお
いて、各測定試験は、次に示す方法で行った。平均表面
粗さ(Ra)は、タリーステップ表面粗さ計(ランクテ
ーラーホブソン社製)によって、サイズが0.2μ×
2.5μである触針を使用し、荷重を2mg、粗さ方向
倍率を20万倍〜50万倍、測定長さを1mmとする測
定条件で、中心線平均粗さを測定した。
【0049】微細突起個数は電子顕微鏡で5000倍以
上(望ましくは10000倍以上)で撮影したフィルム
表面の写真を観察し、粗面化(易滑化)の目的で添加し
た無機充填剤(易滑剤)等による微細な突起について1
00A以上の微細な突起径のものの個数を数えることに
よって測定した。
【0050】平均突起高さLは、上記の微細突起個数の
測定において使用した電子顕微鏡の観察でシャドイング
により『微細突起の影の長さ』を画像処理によって測定
し、その微細突起の影の長さとその時の光りの照射角度
とから微細な突起高さを求め、そして、その平均突起高
さLを算出し、平均突起高さから最小又は最大の突起高
さを差し引いた値の絶対値(A)で突起高さのバラツキ
の程度を示した。さらに、前記の電子顕微鏡による測定
によって各突起の底部の直径dから突起の平均低部直径
Dを求めて、さらに、L/Dの値を算出して急峻性とし
た。
【0051】ベースフィルムの片側表面Bに保持され
た微細な無機充填剤Fの保持性はベースフィルムの片
側表面Bに市販の粘着テープ(セロハンテープ)を張
り合わせて圧着した後この粘着テープを引き剥がして、
その粘着テープの粘着層に付着している無機充填剤F
の個数を電子顕微鏡の観察して測定し、その個数で保持
力の程度を示した。
【0052】また、実用的なハンドリング性(走行性)
を示すポスト摩擦係数μは、第5図に示すように、幅1
2.5mmの試料フィルム61を使用し、そのフィルム
の先端に重り64を取りつけて荷重(T)27gをか
けた状態で、そのフィルムを自由に回転する径20mm
のフリーロール62にも巻き掛け、次いで、8mmの円
形断面の摩擦ピン(固定されている円形の摩擦ピン)6
3に対する接触角(θ)が180°になるように摩擦ピ
ン63に巻き掛けて、100mm/分の引っ張り速度で
走行させて、走行時のフィルムにかけられた力(Ti)
を測定し、下記の計算式Iによってポスト摩擦係数を算
出した。
【0053】
【式1】
【0054】磁気記録媒体としての特性を示す電磁変換
特性は、テープ状のフィルム上にスパッタリングにより
Co−Cr系合金からなる磁性層を形成して得た磁気記
録媒体(VTRテープ)について、適当な記録電流によ
り記録をして、その再生時のビデオ復調信号の含まれる
信号Sと雑音Nとをビデオノイズメーターを用いて測定
し、そのS及びNの測定値からS/N比を算出し、その
比の値からさらに算出した値(dB)で示した。なお、
従来の単層製膜法によって製造された、両面が易滑化さ
れてポリイミドフィルムをベースフィルムとする同じ磁
気層を有する記録媒体によるVTRテープの電磁変換特
性を、「0dB」とした。
【0055】実施例1 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物とピロメリット酸二無水物との等モルからなる芳香
族テトラカルボン酸成分と、パラフェニレンジアミン7
0モル%と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル30
モル%とからなる芳香族ジアミン成分と、N,N−ジメ
チルアセトアミドと、更に、コロイダルシリカ(平均粒
子径;800A)1.0PHR(全モノマー成分の総量
の100重量部に対する割合)とを混合して、前記モノ
マー成分を30℃で共重合して、芳香族ポリアミック酸
のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(ポリマー濃度;
18重量%および無機充填剤Fの濃度:0.2重量
%)からなる第1の芳香族ポリアミック酸溶液a〔30
℃での溶液粘度(回転粘度);5000ポイズ〕を調製
した。
【0056】別に、コロイダルシリカをまったく使用し
なかったほかは前述のポリマー溶液の製法と同様にして
モノマー成分を重合して、芳香族ポリアミック酸のN,
N−ジメチルアセトアミド溶液(モノマー濃度;18重
量%)からなる第2の芳香族ポリアミック酸溶液b(3
0℃の溶液粘度;5000ポイズ)を調製した。
【0057】さらに、イソプロパノール溶媒中に、コロ
イダルシリカ(平均粒子径:170A)を40ppmの
濃度で均一に分散させた分散液cを調製した。
【0058】図4に示す二層押出成形用ダイス(マルチ
マニホールド型二層ダイス)を設けた図3に示すような
製膜装置を使用して、前記の第1の芳香族ポリアミック
酸溶液aと、無機充填剤を含有していない第2の芳香族
ポリアミック酸溶液bとを、ポリマー溶液供給口9aお
よび9bから、二層押出成形用ダイス1を有する押出成
形機構へ、同時に供給し、前記のダイス1の吐出口から
両溶液の二層の薄膜状体を、吐出温度30℃で、一対の
駆動輪2の上に巻き掛けられて回動する表面平滑な支持
体(金属製のベルト)3の上面に連続的に押出し、そし
て、キャスティング炉6において、前記支持体3の上面
の薄膜状体4を、熱風吹き出し装置5によって、約14
0℃の温度において、6分間乾燥し、自己支持性の二層
フィルム4’(溶媒含有率;30〜40重量%程度)を
形成し、次いで、支持体上から自己支持性の二層フィル
ム4’を剥離した。
【0059】図3におけるように、前記の自己支持性の
ポリアミック酸二層フィルム4’を、前記の分散液cか
らなる分散液8に室温で連続的に浸漬して、該二層フィ
ルムの片側表面Bに分散液の塗布層を設け、さらに、
乾燥域14において乾燥空気を該塗布層へ吹き付けて塗
布層を乾燥して分散層の有機溶媒を実質的に除去し、該
二層フィルムの片側表面Bに微細なコロイダルシリカ
(F)がしっかりと保持されたポリアミック酸二層フ
ィルム4”を形成した。
【0060】最後に、その微細なコロイダルシリカ(F
)が保持されているポリアミック酸二層フィルム4”
を、赤外線ヒーター11の内設されたキュアー炉13を
通過させて、約150から450℃までの段階的に昇温
される温度範囲において4分間加熱処理して、ベースフ
ィルム10を形成し、さらに、該ベースフィルム10を
常温まで冷却し巻き取り機31(全体を図示ぜず)の巻
き取りロール30に巻き取って、厚さが10μmである
芳香族ポリイミド製のベースフィルムを製造した。前記
の製膜速度は、0.6m/分であった。
【0061】前述のようにして製造したベースフィルム
は、その断面を電子顕微鏡で観察した結果、図1に示す
ように、コロイダルシリカが偏在して内在している層状
部分Aが5μmであって、無機充填剤がまったく内蔵さ
れていない層状部分Bの厚さが5μmであった。また、
前記のベースドフィルムについて、引張り試験を行った
結果、引張り強度が30kg/mmであり、伸び率が
45%であった。また、前記のベースフィルムについ
て、その性能試験を行ったが、その結果を表1に示す。
【0062】実施例2〜4 コロイダルシリカとして平均粒子径が225A(実施例
2)、300A(実施例3)、及び、170A(実施例
4)であるものをそれぞれ使用し、配合割合を、イソプ
ロパノール溶媒に対して90ppm(実施例2)、12
0ppm(実施例3)、及び、100ppm(実施例
4)としたほかは実施例1と同様にして分散液cを調製
した。前述の各分散液cを使用したほかは、実施例1と
同様の製膜法によって、厚さ10μmの芳香族ポリイミ
ド製のベースフィルムをそれぞれ製造した。
【0063】前述のようにして製造した各ベースフィル
ムは、いずれも、その断面を電子顕微鏡で観察した結
果、第1図に示すように、コロイダルシリカが偏在して
内在している層状部分Aが5μmであって、無機充填剤
がまったく内蔵されていない層状部分Bの厚さが5μm
であった。また、前記の各ベースフィルムについて、引
張り試験を行った結果、各ベースフィルムは、引張り強
度が30〜35kg/mmの範囲内であり、伸び率が
40〜50%の範囲内であり、実施例1で得られたベー
スフィルムと同等であった。また、前記の各ベースフィ
ルムについて、実施例1と同様の性能試験を行ったが、
それらの試験結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】比較例1 分散液cによる塗布操作をまったく行わなかったほか
は、実施例1と同様の製膜条件で製膜して、厚さ10μ
mの芳香族ポリイミド製のベースフィルムを製造した。
このベースフィルムは、機械的強度(引張り強度、伸び
率)が、実施例1で得られたベースフィルムと同等であ
った。このベースフィルムについて、実施例1と同様の
試験を行い、その結果を表2に示す。
【0066】比較例2〜4 表2に示す粒子径及び量のコロイダルシリカを添加した
ほかは、実施例1と同様にしてポリアミック酸溶液bを
それぞれ調製した。前述の各ポリアミック酸溶液bを使
用したほかは、比較例1と同様にして、厚さ10μmの
芳香族ポリイミド製のベースフィルムを製造した。この
ベースフィルムは、機械的強度(引張り強度、伸び率)
が、実施例1で得られたベースフィルムと同等であっ
た。このベースフィルムについて、実施例1と同様の試
験を行い、その結果を表2示す。
【0067】比較例5 分散液cの調製において、溶媒としてジメチルアセトア
ミド(DMAC)とイソプロパノール(IPA)との混
合溶媒を使用し、実施例1で得られたポリアミック酸を
ポリマー濃度5重量%となるように添加し、さらに、コ
ロイダルシリカ(粒子径:170A)を1PHRの濃度
で添加した他は、実施例1と同様にして分散液cを調製
した。前記の分散液cを使用したほかほかは、比較例1
と同様にして、厚さ10μmの芳香族ポリイミド製のベ
ースフィルムを製造した。このベースフィルムは、機械
的強度(引張り強度、伸び率)が、実施例1で得られた
ベースフィルムと同等であったが、表面Bの表面性の
コントロールが極めて困難であり、再現性がないと共
に、微細な突起高さのバラツキな大きくなった。このベ
ースフィルムについて、実施例1と同様の試験を行い、
その結果を表2示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【本発明の作用効果】この出願の第1の発明は、ポリイ
ミドフィルムの片側表面に微細な無機充填剤の各粒子の
一部分が埋設され保持された無機充填剤Fからなる多
数の突起が全面的に均一に形成されている片側表面
、この表面と連続していて無機充填剤を実質的に含
有していない内層部分B、および、内層部分Bに連続し
ていて無機充填剤(易滑剤)Fが内在している裏側面
に沿った層状部分Aからなる記録媒体用ベースフィルム
であって、この発明の芳香族ポリイミド製のベースフィ
ルムは、前記の微細な無機充填剤Fからなる、平均突
起高さのバラツキのない多数の微細な突起によって、磁
性層を形成するために好適である優れた表面状態となっ
ている片側表面(磁性面)Bを有している共に、層状
部分Aの外表面では、無機充填剤(易滑剤)Fによる
突起が多数突出していて易滑化されている裏面(易滑性
面)Aとなっているのである。
【0069】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
芳香族ポリイミドフィルムに基づく耐熱性、機械物性を
有していると共に、充分な走行性が付与された裏面を有
していて、しかも、磁性層などを設けるために好適であ
る表面性の優れた表面(磁性面側)を有しており、磁気
記録媒体用の耐熱性ベースフィルムとして好適に使用す
ることができる。
【0070】そして、この出願の第2の発明は、二層押
出成形用ダイスを有する押出成形機構を使用し、そし
て、無機充填剤を含有する第1の芳香族ポリアミック酸
溶液と無機充填剤を含有しない第2の芳香族ポリアミッ
ク酸溶液とから「前述の特定の表面状態を有する片側表
面と、充分な易滑性を有する裏面を有する記録媒体用の
二層ポリイミドフィルム(記録媒体ベースフィルム)」
を工業的に再現性よく製造する方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体用ベースフィルムの一例を一
部示す断面図である。
【図2】図1のベースフィルムのX部分を拡大して示す
断面図である。
【図3】本発明の製法に使用する製膜装置の概略図であ
る。
【図4】図1の製膜装置用の二層製膜用ダイスの一例を
示す断面図である。
【図5】ベースフィルムのポスト摩擦係数を測定する装
置の概略図である。
【符号の説明】
1 :二層製膜用ダイス 2 :駆動輪 3 :支持体(金属ベルト) 4、4’及び4”:薄膜状体(ポリアミック酸二層フィ
ルム) 5 :ヒーター又は熱風吹き出し装置 6 :キャスティング炉 8 :分散液 9a及び9b:ポリマー溶液供給口 10:ベースフィルム 11:ヒーター 13:キュアー炉 14:乾燥域 30:巻き取りロール 31:案内ロール A :易滑剤が充填されている層 B :無機充填剤が内蔵されていない内層 A:裏面(易滑性面) B:片側表面(磁性面) F:無機充填剤(易滑剤) F:微細な無機充填剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/84 7303−5D

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細な無機充填剤の各粒子の一部分がポ
    リイミドフィルムの片側表面にそれぞれ埋設され保持さ
    れた微細な無機充填剤からなる多数の突起が5×10
    〜5×10個/mmの割合で均一に形成されてお
    り、該ポリイミドフィルムの片側表面における平均突起
    高さが50〜500Aであると共に、前記突起の90%
    以上が平均突起高さの±50A以内にあり、そして、該
    片側表面に連続していて実質的に無機充填剤を含有して
    いない内層部分が形成されており、さらに、該内層部分
    に連続していて該ポリイミドフィルムの裏面側に沿って
    全面的に無機充填剤が多数内蔵されている層状部分を有
    することを特徴とする記録媒体用ベースフィルム。
  2. 【請求項2】 微細な無機充填剤を含有する第1の芳香
    族ポリアミック酸溶液と、無機充填剤を含有していない
    第2の芳香族ポリアミック酸溶液とを、二層押出成形用
    ダイスを有する押出成形機構へ同時に供給して、前記の
    ダイスの吐出口から両溶液の二層の薄膜状体を平滑な支
    持体上に連続的に押出し、前記支持体上の薄膜状体を乾
    燥し自己支持性のポリアミック酸二層フィルムを形成
    し、次いで、支持体上から該二層フィルムを剥離して、
    該二層フィルムの無機充填剤を含有していない層を有す
    る側の表面に、微細な無機充填剤の粒子を有機溶媒に均
    一に分散させた分散液を塗布し、その塗布層を乾燥させ
    て、該二層フィルムの片側表面に無機充填剤を保持さ
    せ、最後に、その自己支持性の二層フィルムを加熱処理
    することを特徴とする記録媒体用ベースフィルムの製
    法。
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