JP3050454B2 - 記録媒体用ベ−スフィルムの製造法 - Google Patents

記録媒体用ベ−スフィルムの製造法

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JP3050454B2
JP3050454B2 JP4161596A JP16159692A JP3050454B2 JP 3050454 B2 JP3050454 B2 JP 3050454B2 JP 4161596 A JP4161596 A JP 4161596A JP 16159692 A JP16159692 A JP 16159692A JP 3050454 B2 JP3050454 B2 JP 3050454B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明の第1の発明は、概略、
芳香族ポリイミドフィルムの片側表面に、浅い微細な凹
部が特定の高密度で全面的に分散又は散在して形成され
ている記録媒体用ベースフィルムに係わる。
【0002】そして、この出願の第2の発明は、ポリア
ミック酸溶液を押出成型用ダイスを有する押出成型機構
へ供給して、前記ダイスの吐出口から該溶液の薄膜状体
を平滑な支持体上に連続的に押出し、前記支持体上の薄
膜状体を乾燥して自己支持性のポリアミック酸フィルム
を形成し、次いで、支持体上から該ポリアミック酸フィ
ルムを剥離して、そのポリアミック酸フィルムの片側表
面にフタル酸ジアルキルエステルが溶解している有機極
性溶媒の溶液(塗布液)を塗布し、その塗布層を乾燥さ
せて、最後に、該フィルムを特定の高温で加熱処理し
て、芳香族ポリイミドフィルムの片側表面に、微細な凹
部が特定の高密度で分散・散在して形成されている記録
媒体用ベースフィルムを製造する方法に係わる。
【0003】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
磁性層などを設けるために好適である表面性の優れた表
面(磁性面)を有していて、磁気記録媒体用の耐熱性ベ
ースフィルムとして好適に使用することができる。
【0004】
【従来の技術】従来、芳香族ポリイミドフィルムは、耐
熱性などを有するために、Co−Cr合金などの磁性層
を、真空蒸着法、スパッタリング法などによって設ける
ことができるベースフィルムとして使用されている。し
かし、芳香族ポリイミドフィルムは、滑り性(易滑性)
において、必ずしも充分ではなく、易滑性を付与するた
めに、無機微粒子(易滑剤)を内在していてフィルムの
表面に微細な凹凸を有する易滑性フィルムが提案されて
いる。
【0005】しかしながら、上記の易滑性フィルムは、
一般に、内蔵された無機充填剤により両面がいずれも微
細な凹凸による粗面化(易滑化)されているために、そ
のフィルムのいずれかの表面に磁性層を設けて磁気記録
媒体を製造しても、得られた磁気記録媒体が、磁気記録
における充分な出力を安定して有することができなかっ
たのである。
【0006】また、フィルムの片面に易滑性を付与する
方法として、「前記ポリイミドフィルムの製造過程にお
いて、易滑剤を含有するポリマー溶液を片面にのみ塗布
し乾燥して、加熱処理して、易滑性を有するコーティン
グ層が片面にのみ設けられた芳香族ポリイミドフィルム
を製造する方法」が特開昭63−297038号公報に
開示されている。この公知のコーティング法による製膜
法では、製膜工程において、フィルム内に異物の混入の
機会が増したり、又、得られたフィルムにカールが発生
したり、更に、得られたフィルムの平面性が低下してい
るといった問題などが起こり、平滑面と易滑性表面とを
有するポリイミド製のベースフィルムを再現性よく製造
できないことがあり、必ずしも満足すべきものではなか
った。
【0007】さらに、前述の問題点を解消する方法とし
て、ポリイミドフィルムを二層成型することで、磁性面
側は充填剤が実質的に存在しない層を有し、裏面側に充
填剤が添加されている層を有する二層成型ベースフィル
ムが、特開平2−38429号公報に開示されている。
この方法によって得られたベースフィルムは、ハンドリ
ング性を損なうことなく、磁気特性(電磁変換特性な
ど)が向上したが、磁気テープとしての走行性、耐久性
が充分ではないという欠点が依然としてあった。
【0008】この出願の発明者らは、2層成型法によっ
てポリイミドフィルムを成型する際に、磁性面側を形成
する製膜用ポリマー溶液と裏面側を形成する製膜用ポリ
マー溶液とにそれぞれ粒子径の異なる微粒子を添加して
二層成型することによって、電磁変換特性などを損なう
ことなく、磁気テープとしての走行性、耐久性などを向
上できることを見出し、特許出願した(特開平3−21
447号公報参照)。
【0009】しかし、前記の「磁性面側と裏面側とが異
なる粒子径の充填剤を添加されている二層成型ポリイミ
ドフィルム」においては、磁性面側において、微細な突
起を形成している充填剤の微粒子が凝集したり、該微粒
子がポリイミド樹脂で被覆されているので、それらから
なる微細な突起の急峻性が充分ではなかったり、しか
も、それらの微細な突起の高さが不均一であったりした
ために、そのベースフィルムの磁性面側に磁性層を形成
して得られた磁気テープが磁気ヘッドによって磁気デー
タを読み込みながら走行性を維持するために必要である
「磁性面側に全突起に対する有効突起個数の割合」にお
いて不十分となるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、磁
気記録媒体用のベースフィルムの磁性面側に磁性層を形
成して得られた磁気テープが、磁気ヘッドによって磁気
データを読み込みながら走行性を好適に維持することが
できる磁性層用の表面を有する磁気記録媒体用の新規な
ベースフィルムを提供すること、並びに、前記の芳香族
ポリイミドフィルムを容易に再現性よく製造できる新規
な製造法を提供することである。
【0011】この出願の発明は、3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ま
たはこれら酸の二無水物からなる芳香族テトラカルボン
酸成分と4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,
4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジ
アミン、またはp−フェニレンジアミンからなる芳香族
ジアミン成分とを使用して得られるポリアミック酸溶液
を押出成型用ダイスを有する押出成型機構へ供給して、
前記ダイスの吐出口から該溶液の薄膜状体を平滑な支持
体上に連続的に押出し、前記支持体上の薄膜状体を乾燥
して自己支持性のポリアミック酸フィルムを形成し、次
いで、支持体上から該ポリアミック酸フィルムを剥離し
て、該フィルムの表面に、フタル酸ジアルキルエステル
が溶解している有機極性溶媒の溶液を塗布し、その塗布
層を乾燥させて、最後に、そのポリアミック酸フィルム
を、250550℃の高温で加熱処理して、該フィル
ムの片側表面に、深さ50〜500オングストロ−ム及
び周径0.05〜5μmである微細な凹部が密度104
〜5×108個/mm2の割合で全面的に形成されてお
り、前記微細な凹部以外の表面が平滑面となっている芳
香族ポリイミドフィルムを得ることを特徴とする記録媒
体用ベスフィルムの製造法に関する。
【0012】
【0013】以下、この発明について、図面も参考にし
て、更に詳しく説明する。図1及び図2は、この発明の
記録媒体用ベースフィルムの二例を示す断面図である。
図3は、前記図1の断面のX部分を拡大して示す断面図
である。図4は、この発明の記録媒体用ベースフィルム
の製法に使用する製膜装置の一例を概略示す断面図であ
り、図5は、前記の製膜装置に設置される二層押出用ダ
イスの一例を概略示す断面図である。
【0014】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
図1及び図3に示すように、例えば深さ(h:平滑な表
面からの最大深さ)が50〜500Å、好ましくは10
0〜300Å程度であり、そして、径(平滑な表面にお
ける凹部の開口周縁の最大内径)が0.05〜5μm、
好ましくは0.1〜3μm程度である微細な凹部Cが、
密度が10〜5×10個/mm、好ましくは5×
10〜10個/mm程度の割合で、該フィルムの
片側表面Aに全面的に散在して形成されており、前記
微細な凹部C以外の表面が平滑面となっている記録媒体
用ベースフィルムである。
【0015】前記の微細な凹部は、多数の突起の間に形
成されているものではなく、平滑な表面に凹部が散在し
て形成されているものであり、また、その微細な凹部の
形状については図3における微細な凹部Cに限定される
ものではなく、例えば、この発明では、前述の深さ及び
径を有する半円球状、部分的な円球状、部分的な楕円球
状、すり鉢状、ディンプル状、クレーター状などの微細
な凹部であればよい。
【0016】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
前述の片側表面に、前述の微細な凹部を多数全面的に分
散・散在して有していると共に、該片側表面の残部が実
質的に平滑面となっている新規なベースフィルムであ
り、この新規なベースフィルムの片側表面(微細な凹部
を有する磁性面)に磁性層を形成して得られた磁気記録
媒体フィルムは、好適な走行性、電磁変換特性などを示
すのである。
【0017】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
図1に示すように、前述の片側表面A(図3参照)を
有すると共に、芳香族ポリイミドマトリックス中には無
機充填剤が実質的に分散して内蔵されていないものであ
って、全体の厚さが2〜200μm、特に5〜150μ
m、さらに好ましくは6〜100μm程度である該フィ
ルムの裏面Bが全面的に平滑面である芳香族ポリイミ
ドフィルム10であればよく、該片側表面Aには好適
な磁性層を形成することができる。
【0018】又、この発明の記録媒体用ベースフィルム
は、図2及び図3に示すように、例えば、該フィルム2
0の片側表面Aは、前記の微細な凹部Cが前述のよう
に全面的に分散・散在して形成されており、前記の微細
な凹部C以外の片側表面が平滑面となっており、そし
て、該片側表面Aに連続していて実質的に無機充填剤
を含有していない内層部分Aが形成されており、さらに
該内層部分Aに連続していて該ポリイミドフィルムの裏
面Bの側に沿って全面的に無機充填剤Fが多数内蔵
されている層状部分Bを有している耐熱性の芳香族ポリ
イミドフィルム(後述の二層押出成型法によって成型す
ることができる)で構成されている記録媒体用ベースフ
ィルム20であってもよい。
【0019】前記の二層押出成型法による記録媒体用ベ
ースフィルム(図2)は、片側表面Aが磁性層の形成
に好適であると共に、裏面Bが内蔵する無機充填剤F
による微細な突起を多数有していて、しかも、フィル
ム全体にわたって芳香族ポリイミドマトリックスで形成
されているので、好適な磁性層の形成性、磁気記録媒体
フィルムを形成した際の耐熱性、機械的強度、走行性な
どが改善されており、記録媒体用ベースフィルムとして
好適である。
【0020】前記の二層押出成型の記録媒体用ベースフ
ィルムは、図2に示すように、一見して二層フィルムを
形成しているように見えるが、フィルムを形成している
芳香族ポリイミド樹脂のマトリックスが、電子顕微鏡写
真によって観察しても、厚み方向のいずれにも特別に明
確な境界面が見出せず、また、このフィルムを二層に剥
離することができるような境界面が明確に存在しないの
であり、該ポリイミド樹脂のマトリックスが実質的に連
続相を形成しているものであるが、図2に示すように、
易滑剤が裏面側に偏在して内蔵されていることを明確に
確認することができるものである。
【0021】前記の二層押出成型の記録媒体ベースフィ
ルムは、無機充填剤(易滑剤)が内蔵されている裏面側
の層Bの表面(裏面:易滑性面)Bに、易滑剤による
微細な突起が多数突出していて該裏面Aが約0.2〜
0.6、好ましくは0.25〜0.5程度の静摩擦係数
を有していることが、このベースフィルムの走行性など
の点から特に好ましい。又、前記の裏面(易滑性面)B
には、微細な突起の平均突起高さLが30〜500
Å、特に40〜300Å程度であり、しかも、『微細な
突起の径(突起底部の径の平均値D)が約100Å以上
である微細な突起』が1×10〜5×10個/mm
程度の割合で突出していることが好ましい。なお、前
記裏面Bは、平均表面粗さ(Ra)が特に20〜50
Åを有することが好ましい。
【0022】前記の二層押出成型の記録媒体用ベースフ
ィルム中に分散して内在する無機充填剤(易滑剤)F
は、易滑剤として一般的に使用される無機充填剤であれ
ばよく、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナなど
を好適に挙げることができ、そして、その無機充填剤
(易滑剤)の平均粒子径が約50〜5000Å程度であ
ることが好ましい。前記の裏面Bに内在する無機充填
剤(易滑剤)の配合密度は、その表面から観察して、約
5×10〜1×10個/mm程度の粒子密度とな
るような割合であることが好ましい。
【0023】前記の二層押出成型の記録媒体用ベースフ
ィルムでは、前述のように、易滑剤としての無機充填剤
を含有する層状部分Bと無機充填剤を内在していな
い層状部分A(表面Aには、微細なすり鉢状凹部が保
持されている)とを有しているが、その各両層状部分の
厚さの比(A層の部分/B層の部分)は、0.1〜1
0、特に0.15〜8、さらに0.2〜5程度であるこ
とが好ましい。
【0024】この発明の記録媒体用ベ−スフィルムの製
造法では、例えば、一層押出用ダイス、二層押出用ダイ
スなどの押出成型用ダイスが設置された成型装置(図5
では二層押出用ダイスを設けた装置を示す)を使用し
て、芳香族ポリアミック酸(対数粘度:0.5〜6、特
に1.0〜5)の溶液(ポリマ−濃度:5〜40重量
%、特に10〜30重量%程度)を、平滑面を有するベ
ルトなどの支持体上に薄膜状に吐出して流延させ、前記
の溶液の薄膜を形成し、その薄膜を約50〜150℃の
温度で乾燥して有機溶媒を一部除去して、有機溶媒を約
5〜60重量%含有している自己支持性のあるポリアミ
ック酸フィルムを形成し、そして、その自己支持性フィ
ルムの片側表面に、フタル酸ジアルキルエステルが溶解
している有機極性溶媒の溶液(塗布液)を塗布し、その
塗布層を約20〜100℃、特に30〜80℃の温度で
乾燥させて、最後に、そのポリアミック酸フィルムを
50550℃、好ましくは250〜500℃の高温で
加熱処理して、フィルム内の有機極性溶媒を実質的に除
去する(フィルム中の有機溶媒の含有率1重量%以下、
特に0.1重量%以下となるまで有機溶媒を除去する)
と共にポリアミック酸をイミド化して、前述の微細な凹
部を片側表面に多数分散・散在して有する芳香族ポリイ
ミド製の記録媒体用ベ−スフィルムを製造することが好
ましい。
【0025】前記の塗布液におけるフタル酸ジアルキル
エステルとしては、例えば、ジヘキシルフタレート、ジ
ヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート(DO
P),ジドデシルフタレートなどの炭素数5〜15、特
に6〜10程度のアルコールとフタル酸とから得られた
ジアルキルフタレートを好適に挙げることができる。
【0026】前記の塗布液においては、フタル酸ジアル
キルエステルを溶解している塗布液用の有機極性溶媒
は、例えば、イソプロパノール、n−プロパノール、イ
ソブタノール、n−ブタノール、エタノールなどの低級
アルコール、アセトン、エチル−メチルケトン、メチル
−プロピルケトン、メチル−イソブチルケトンなどのケ
トン系溶媒、メチルエーテル、エチルエーテル、メチル
−エチルエーテルなどのエーテル系溶媒などであって、
しかも、沸点50〜150℃、特に55〜100℃程度
の低沸点の有機溶媒であって、さらに、ポリアミック酸
を1重量%以上、特に0.5重量%以上溶解しない貧溶
媒が主成分(80重量%以上、特に90重量%以上)と
するものであることが好ましい。
【0027】又、前記の塗布液用の有機極性溶媒は、ポ
リアミック酸を5重量%以上溶解させうるような良溶媒
(例えば、アミド系溶媒など)を10重量%以下、特に
5重量%以下、さらに0.1〜2重量%程度含有させる
ことが、前述の自己支持性のポリアミック酸二層フィル
ムの表面への濡れ性などにおいて、好ましい。前記の塗
布液においては、フタル酸ジアルキルエステルの濃度が
0.01〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%程度
であることが、部分円球状などの微細な凹部が均一に形
成されるので、好ましい。
【0028】前記の二層押出成型の記録媒体用ベースフ
ィルムの製造法では、例えば、図5に示す二層押出成型
用ダイスが設置された図4に示す製膜装置を使用して、
まず、前記ダイス1に、『無機充填剤を全く含有してい
ない芳香族ポリアミック酸溶液a』及び『無機充填剤
(易滑剤)Fを含有するポリアミック酸溶液b』を同
時に別々に供給し、該ダイス内で合流されたポリマー溶
液流をダイスの吐出口(リップ部)から二層の薄膜状体
として支持体(ベルト)3の上に押出して均一な厚さの
薄膜を形成し、キャスティング炉6の内部でその薄膜を
乾燥して溶媒を大部分除去し、自己支持性のポリアミッ
ク酸二層フィルムを形成した後、支持体3から該二層フ
ィルムを剥離し、そして、該二層フィルムの片側表面
(易滑剤が内在していない側の表面)に『前述の塗布
液』を塗布しその塗布層を乾燥して、最後に、キュアー
炉内で加熱処理して、芳香族ポリイミド製の二層押出フ
ィルムからなり、前述の微細な凹部を片側表面に多数有
する記録媒体用ベースフィルムを連続的に形成すること
が好ましい。
【0029】この発明の記録媒体用ベースフィルムを形
成している芳香族ポリイミドは、芳香族テトラカルボン
酸成分と芳香族ジアミン成分とから重合及びイミド化に
よって得られる耐熱性の高分子量のポリマーであればよ
い。前記芳香族テトラカルボン酸成分としては、例え
ば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
またはその酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸又はその酸二無水物などのビフェニ
ルテトラカルボン酸類、ピロメリット酸又はその酸無水
物などのピロメリット酸類、3,3’,4,4’,−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸又はその酸二無水物など
を挙げることができる。
【0030】又は、前記の芳香族ジアミンとしては、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系
ジアミン化合物、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジフ
ェニルスルホン系ジアミン化合物、o−、m−又はp−
フェニレンジアミンなどのフェニレン系ジアミン化合物
などを挙げることができる。
【0031】この発明では、(a)ビフェニルテトラカ
ルボン酸類を全酸成分に対して50モル%以上、特に6
0モル%以上含有する芳香族テトラカルボン酸成分と、
フェニレンジアミンを全ジアミン成分に対して50モル
%以上、特に60モル%以上含有する芳香族ジアミン成
分とを、或いは、(b)ビフェニルテトラカルポン酸類
(50モル%以上、特に55〜90モル%含有)及びピ
ロメリット酸類(50モル%未満、特に10〜45モル
%含有)を主成分とする芳香族テトラカルボン酸成分
と、フェニレンジアミン(50モル%以上、特に55〜
95モル%含有)及びジアミノジフェニルエーテル(5
0モル%未満、特に5〜45モル%程度含有)を主成分
とする芳香族ジアミン成分とを、両成分等モル重合し、
そしてイミド化して得られる高分子量の芳香族ポリイミ
ドが、機械的な物性、耐熱性、寸法安定性などの点にお
いて、特に好適である。
【0032】前記の二層押出成型の記録媒体ベースフィ
ルムの製造法としては、図4に示す製膜装置を使用し
て、まず、『無機充填剤を含有していない第1の芳香族
ポリアミック酸溶液a』と『微細な無機充填剤Fを含
有する第2の芳香族ポリアミック酸溶液b』とを、二層
押出成型用ダイス1のポリマー溶液供給口9a及び9b
から、製膜装置の押出成型機構〔ダイス1、支持体(ベ
ルト)3、ヒーター5、キャスティング炉6など〕へ同
時に供給し、次いで、前記のダイスの吐出口から両溶液
の二層の薄膜状体を、一対の駆動輪2の上に巻き掛けら
れて回動する平滑な支持体(金属製のベルトなど)3の
上面に連続的に押出し、そして、キャスティング炉6の
内部において、前記支持体3の上面の薄膜状体4を、ヒ
ーター又は熱風吹き出し装置5によって、前記支持体3
上で適度に乾燥し溶媒を大部分除去して、自己支持性の
二層フィルム4’を形成し、次いで、支持体上から自己
支持性のフィルム4’を剥離して、自己支持性の二層フ
ィルム(芳香族ポリアミック酸と偏在している易滑剤と
溶媒とからなる)を形成するのである。
【0033】前記の二層押出成型用ダイスは、例えば、
図5に示すように、ポリマー溶液の供給口46及び47
を有し、ポリマー溶液の通路が、その各供給口から各マ
ニホールド42に向かってそれぞれ形成されており、そ
のマニホールド42の底部の流路が合流点43で合流し
ており、その合流した後のポリマー溶液の通路(リップ
部)がスリット状の吐出口44に連通していて、この吐
出口44からポリマー溶液が薄膜状に支持体48上に吐
出される構造(マルチマニホールド型二層ダイス1)に
なっているのが好ましい。
【0034】前記の図5のダイス1において、前記リッ
プ部は、リップ調整ボルト49によって、その間隔を調
節できるようになっていて、又、各マニホールド42の
底部(合流点に近い箇所)は、各チョークバー45によ
ってその流路の空隙部の間隔が調整される。又、前記の
各マニホールドは、ハンガーコートタイプの形状を有し
ていることが好ましい。
【0035】更に、二層押出成型用ダイスとしては、ダ
イス上部の左右にポリマー溶液の供給口を2箇所有し、
ポリマー溶液の通路が、仕切り板を備えた合流点で直ち
に合流するようになっており、その合流点からマニホー
ルドにポリマー溶液の流路が連通していて、そのマニホ
ールドの底部のポリマー溶液の通路(リップ部)がスリ
ット状の吐出口に連通していて、この吐出口からポリマ
ー溶液が薄膜状に支持体上に吐出される構造(フィード
ブロック型二層ダイス又はシングルマニホールド型二層
ダイス)になっているものであってもよい。
【0036】又、前記の第1のポリマー溶液aは、芳香
族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得
られた芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆
体)及び有機溶媒とからなるものであればよい。そし
て、第1のポリマー溶液aは芳香族ポリアミック酸の含
有率が10〜30重量%程度であることが好ましい。
【0037】前記の第2のポリマー溶液bは、易滑剤と
しての性能を有する無機充填剤F、前述の芳香族テト
ラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られた
芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆体)及び
有機溶媒とからなるものであればよい。前記の第2のポ
リマー溶液bは、無機充填剤Fの含有率が0.1〜5
重量%、特に0.3〜3重量%程度であり、芳香族ポリ
アミック酸の含有率が約10〜30重量%程度であるこ
とが好ましい。
【0038】前記の第1及び第2のポリマー溶液中の芳
香族ポリアミック酸は、同一の各モノマー成分からなる
ものであることが好適であるが、それぞれのポリマー溶
液中の各ポリマーが異種のものであってもよい。前記の
第1及び第2のポリマー溶液は、前述の二層押出成型の
際に二層押出用ダイスでの吐出の温度における「溶液粘
度(回転粘度)」が50〜10000ポイズ、特に10
0〜6000ポイズ程度であることが好ましい。
【0039】前記の第1及び第2のポリマー溶液に使用
される芳香族ポリアミック酸は、対数粘度(測定温度;
30℃、濃度;0.5g/100ml溶媒、及び溶媒;
N−メチル−2−ピロリドン)が特に1.0〜5、更に
好ましくは、1.5〜4程度を示すものであることが好
ましい。
【0040】又、前記の第1及び第2のポリマー溶液に
使用される有機溶媒は、例えば、N−メチル−2−ピロ
リドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジエチルホルムアミドなどのアミド系有機溶
媒、あるいはそれらを主成分とする混合溶媒を挙げるこ
とができる。
【0041】前述の二層押出成型の際に二層押出用ダイ
スからの吐出する芳香族ポリアミック酸溶液の温度は0
〜150℃、特に5〜100℃程度であり、又、そのポ
リマー溶液が吐出された後に支持体上の薄膜状体を乾燥
する温度(キャスティング温度)は、約100〜180
℃、特に120〜150℃程度であればよく、更に、そ
の乾燥時間が1〜60分、特に5〜30分程度であるこ
とが好ましい。
【0042】前記の中間工程で製造されるポリアミック
酸の二層フィルム(最終的にはベースフィルム)におけ
る「無機充填剤Fを含有する層部分Bと無機充填剤を
含有していない層状部分Aとの厚さの割合」を調節する
には、二層押出用ダイスからの各ポリマー溶液の吐出量
を調整することによって行うことができる。
【0043】前記の自己支持性のポリアミック酸二層フ
ィルムは、含有されているポリマーのイミド化率が約0
〜80%程度、特に5〜70%程度であって、しかも、
溶媒を5〜60重量%、特に10〜50重量%程度含有
していて、該フィルムを支持体から連続的に剥離する場
合、及び、次の有機極性溶媒の塗布・乾燥工程などにお
いて、容易にフィルムが破れることがないような強度を
有していればよい。
【0044】この発明の製造法においては、図4に示す
ように、前述のようにして製造した自己支持性のポリア
ミック酸二層フィルム4’(無機充填剤が含有されてい
ない層Aを有する二層フィルム4’)の片側表面A
に、フタル酸ジアルキルエステルが均一に溶解してい
る有機極性溶媒の溶液(塗布液)を塗布し、乾燥域14
において適当な手段でその溶液の塗布層を乾燥させて塗
布層の溶媒を実質的に除去し、該二層フィルムの片側表
面Aに微細な凹部を形成させると共に、最後に、キュ
アー炉13でその自己支持性の二層フィルム4”を高温
で加熱処理して、フィルム中の有機極性溶媒を実質的に
除去すると共に、ポリアミック酸をイミド化するのであ
る。
【0045】前記のフタル酸ジアルキルエステル溶液
(塗布液)の乾燥操作は、前記溶媒の沸点より低い温度
であって、60℃以下、特に0〜50℃程度の塗布温度
において、グラビア法、リバース法、浸漬法(図3の製
膜装置では、二層フィルムを塗布液8に連続的に浸漬さ
せることにより塗布操作が行われている。)などの塗布
法で行うことが好ましい。前記の塗布液が塗布された二
層フィルム4”は、乾燥域14において、乾燥された熱
風(加熱空気)を吹きつけたり、ヒーターで熱線を照射
したりなど適当な乾燥手段により、約5〜100℃、特
に10〜60℃の乾燥温度で乾燥して、塗布層の溶媒を
蒸発させて実質的に全部除去し、微細な凹部を二層フィ
ルムの片側表面に均一に分散して形成させるのである。
【0046】この発明の製法では、前述のような微細な
凹部の形成された二層フィルム4”を、複数のヒーター
11の内設されたキュアー炉13に通過させて加熱処理
して、この発明の芳香族ポリイミドフィルム20を形成
し、更に、常温付近(約0〜50℃)まで冷却して、案
内ロール31などを有する巻取り機(全体を図示してい
ない)の巻取りロール30に巻き取るのである。
【0047】塗布液を塗布し乾燥した自己支持性のポリ
アミック酸二層フィルムの加熱処理は、加熱処理温度が
250〜550℃程度で、加熱処理時間が約1〜60分
程度であることが、該二層フィルム中のポリマ−をイミ
ド化し、そして、該二層フィルム中の有機溶媒を実質的
に除去するために好ましい。この発明の記録媒体用ベ−
スフィルムの製造法においては、フィルム巻取り速度で
ある製膜速度が0.1〜10m/分、特に0.2〜5m
/分として、前述の性能を有する記録媒体用ベ−スフィ
ルムを連続的に製造することができる。
【0048】
【実施例】以下、この発明の実施例及び比較例を示し、
この発明を更に詳しく説明する。実施例などにおいて、
各測定試験は、次に示す方法で行った。ベースフィルム
の裏面の平均表面粗さ(Ra)は、タリーステップ表面
粗さ計(ランクテーラーホブソン社製)によって、サイ
ズが0.2μm×2.5μmである触針を使用し、荷重
を2mg、粗さ方向倍率を20万倍〜50万倍、測定長
さを1mmとする測定条件で、中心線平均粗さを測定し
た。
【0049】ベースフィルムの片側表面の微細な凹部の
個数、及び、該フィルムの裏面の微細突起の個数は、電
子顕微鏡で5000倍以上(望ましくは10000倍以
上)で撮影したフィルム表面の写真によって、前記フィ
ルムの片側表面の微細な凹部の状態、及び、該フィルム
の裏面の状態〔粗面化(易滑化)の目的で添加した無機
充填剤(易滑剤)などによる微細な突起〕について観察
し、径100Å以上の微細な凹部、又は、100Å以上
の微細な突起の個数を数えることによって測定し、それ
ぞれの密度(単位面積当たりの個数)を計算した。
【0050】平均突起高さLは、上記の微細突起個数の
測定において使用した電子顕微鏡の観察でシャドイング
により『微細突起の影の長さ』を画像処理によって測定
し、その微細突起の影の長さとその時の光の照射角度と
から微細な突起高さを求め、そして、その平均突起高さ
Lを算出した。
【0051】又、実用的なハンドリング性(走行性)を
示すポスト摩擦係数μは、第5図に示すように、幅1
2.5mmの試料フィルム61を使用し、そのフィルム
の先端に重り64を取り付けて荷重(T)27gをか
けた状態で、そのフィルムを自由に回転する径20mm
のフリーロール62にも巻き掛け、次いで、8mmの円
形断面の摩擦ピン(固定されている円形の摩擦ピン)6
3に対する接触角(θ)が180°になるように摩擦ピ
ン63に巻き掛けて、100mm/分の引張速度で走行
させて、走行時のフィルムにかけられた力(Ti)を測
定し、下記の計算式Iによってポスト摩擦係数を算出し
た。 ポスト摩擦係数μ=1n(Ti/荷重T)/摩擦ピン
接触角θ (I)
【0052】磁気記録媒体としての特性を示す電磁変換
特性は、テープ状のフィルム上にスパッタリングにより
Co−Cr系合金からなる磁性層を形成して得た磁気記
録媒体(VTRテープ)について、適当な記録電流によ
り記録をして、その再生時のビデオ復調信号の含まれる
信号Sと雑音Sとをビデオノイズメーターを用いて測定
し、そのS及びNの測定値からS/N比を算出し、その
比の値から更に算出した値(dB)で示した。なお、従
来の単層製膜法によって製造された、両面が易滑化され
てポリイミドフィルムをベースフィルムとする同じ磁気
層を有する記録媒体によるVTRテープの電磁変換特性
を、「0dB」とした。
【0053】実施例1 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物とピロメリット酸二無水物との等モルからなる芳香
族テトラカルボン酸成分と、パラフェニレンジアミン7
0モル%と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル30
モル%とからなる芳香族ジアミン成分と、N,N−ジメ
チルアセトアミド(DMAC)とを混合して、前記モノ
マー成分を30℃で共重合して、芳香族ポリアミック酸
のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(モノマー濃度;
18重量%)からなる第1の芳香族ポリアミック酸溶液
a[30℃での溶液粘度(回転粘度);5000ポイ
ズ]を調整した。
【0054】別に、重合用の溶液に、コロイダルシリカ
(平均粒子径;800A)2.0PHR(全モノマー成
分の総量の100重量部に対する割合)を添加したほか
は前述のポリマー溶液aの製法と同様にしてモノマー成
分を重合して、芳香族ポリアミック酸のN,N−ジメチ
ルアセトアミド溶液(ポリマー濃度;18重量%及び無
機充填剤Fの濃度:2.0PHR)からなる第2の芳
香族ポリアミック酸溶液b(30℃の溶液粘度;500
0ポイズ)を調整した。
【0055】更に、イソプロパノール(IPA)溶媒中
に、ジオクチルフタレート(DOP)を0.1重量%の
濃度で均一に溶解させた塗布液cを調整した。
【0056】図5に示す二層押出成型用ダイス(マルチ
マニホールド型二層ダイス)を設けた図4に示すような
製膜装置を使用して、前記の無機充填剤を含有していな
い第1の芳香族ポリアミック酸溶液aと、無機充填剤を
含有している第2の芳香族ポリアミック酸溶液bとを、
ポリマー溶液供給口9b及び9aから、二層押出成型用
ダイス1を有する押出成型機構へ、同時に供給し、前記
のダイス1の吐出口から両溶液の二層の薄膜状体を、吐
出温度30℃で、一対の駆動輪2の上に巻き掛けられて
回転する表面平滑な支持体(金属製のベルト)3の上面
に連続的に押出し、そして、キャスティング炉6におい
て、前記支持体3の上面の薄膜状体4を、熱風吹き出し
装置5によって、約140℃の温度において、6分間乾
燥し、自己支持性の二層フィルム4’(溶媒含有率;3
0〜40重量%程度)を形成し、次いで、支持体上から
自己支持性の二層フィルム4’を剥離した。
【0057】図4におけるように、前記の自己支持性の
ポリアミック酸二層フィルム4’を、塗布槽8内の塗布
液cに室温で連続的に浸漬して、該二層フィルムの片側
表面Aに塗布層を形成させ、更に、乾燥域14におい
て乾燥空気を該塗布層へ吹き付けて乾燥して、塗布層の
溶媒を実質的に除去し、該二層フィルムの片側表面A
に微細な凹部が均一に形成されたポリアミック酸二層フ
ィルム4”を形成した。
【0058】最後に、その微細な凹部が形成されたポリ
アミック酸二層フィルム4”を赤外線ヒーター11の内
設されたキュアー炉13を通過させて、約150から4
50℃までの段階的に昇温される温度範囲において4分
間加熱処理して、ベースフィルム20を形成し、更に、
該ベースフィルム20を常温まで冷却し巻取り機31
(全体を図示せず)の巻取りロール30に巻取って、厚
さを10μmである芳香族ポリイミド製の記録媒体用ベ
ースフィルム(二層フィルム)を製造した。前記の製膜
速度は0.6m/分であった。
【0059】前述のようにして製造した記録媒体用ベー
スフィルムは、その断面を電子顕微鏡で観察した結果、
図2及び図3に示すような、表面Aに、部分円球状の
微細な凹部Cが形成されており、無機充填剤を内蔵して
いない層状部分Aが5μmであって、裏面Bに微細な
突起が多数形成されており無機充填剤が偏在して内蔵さ
れている層状部分Bの厚さが5μmであった。又、前記
の記録媒体用ベースフィルムについて、引張試験を行っ
た結果、引張強度が30kg/mmであり、伸び率が
45%であった。又、前記の記録媒体用ベースフィルム
について、その性能試験を行ったが、その結果を表1に
示す。
【0060】実施例2 図4に示す装置において、二層押出成型用ダイス1の代
わりに一層押出成型用ダイスを使用し、又、前記の無機
充填剤を含有していない第1の芳香族ポリアミック酸溶
液aのみを使用したほかは、実施例1と同様にして、図
1及び図3に示すような、表面Aに、部分円球状の微
細な凹部Cが形成されており、内部に無機充填剤を内蔵
しておらず、平滑な裏面Bを有する厚さ10μmの芳
香族ポリイミド製の記録媒体用ベースフィルム(一層フ
ィルム)を製造した。
【0061】前述のようにして製造したベ−スフィルム
は、いずれも、その断面を電子顕微鏡で観察した結果、
第1図及び第2図に示すように、片側表面A0に微細な
凹部Cを多数散在して有するものであった。又、前記の
各ベ−スフィルムについて、引張試験を行った結果、
機充填剤を含有していないため実施例1のものより引張
強度がやや大きくなり、引張強度が33kg/mm2
あり、伸び率が44%であった。又、前記ベ−スフィル
ムについて、実施例1と同様の性能試験を行ったが、そ
れらの試験結果を表1に示す。
【0062】比較例1 塗布液cによる塗布操作を全く行わなかったほかは、実
施例1と同様の製膜条件で製膜して、厚さ10μmの芳
香族ポリイミド製のベースフィルム(二層フィルム)を
製造した。このベースフィルムは、機械的強度(引張強
度、伸び率)が実施例1で得られたベースフィルムと同
等であった。このベースフィルムについて、実施例1と
同様の試験を行い、その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】この出願の第1の発明は、ポリイミドフ
ィルムの片側表面に微細な凹部を多数分散・散在して有
する芳香族ポリイミド製の記録媒体用ベースフィルムで
ある。この発明のベースフィルムは、片側表面において
微細な凹部が全面的に分散・散在して形成されているの
で、磁性層を形成するために好適である優れた表面状態
となってものであり、又、裏面が内蔵された微細な無機
充填剤による多数の微細な突起で易滑化されている二層
押出型の記録媒体用ベースフィルムであってもよい。
【0065】この発明の記録媒体用ベースフィルムは、
芳香族ポリイミドフィルムに基づく耐熱性、機械物性を
有していると共に、磁性層などを設けるために好適であ
る表面性の優れた微細な凹部を多数有する片側表面(磁
性面側)が形成されており、磁気記録媒体用の耐熱性ベ
ースフィルムとして好適に使用することができる。そし
て、この出願の第2の発明は、芳香族ポリアミック酸溶
液から形成された自己支持性のポリアミック酸フィルム
(溶媒を含有している)を形成し、その自己支持性表面
に、特定の塗布液を塗布し乾燥して、最後に加熱処理す
ることによって、前述の記録媒体用ベースフィルムを工
業的に再現性よく製造する方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体用ベースフィルムの一例を一
部示す断面図である。
【図2】本発明の記録媒体用ベースフィルムの一例を一
部示す断面図である。
【図3】図1のベースフィルムのX部分を拡大して示す
断面図である。
【図4】本発明の製法に使用する製膜装置の概略図であ
る。
【図5】図1の製膜装置用の二層製膜用ダイスの一例を
示す断面図である。
【図6】ベースフィルムのポスト摩擦係数を測定する装
置の概略図である。
【符号の説明】
1 :二層押出成型用ダイス 2 :駆動輪 3 :支持体(金属ベルト) 4,4’及び4” :薄膜状体(ポリアミック酸二層フ
ィルム) 5 :ヒーター又は熱風吹出し装置 6 :キャスティング炉 8 :塗布槽 9a及び9b :ポリマー溶液供給口 10:ベースフィルム 20:ベースフィルム 11:ヒーター 13:キュアー炉 14:乾燥域 30:巻取りロール 31:案内ロール A :無機充填剤が充填されていない層 B :無機充填剤が内蔵されている層 A:片側表面(磁性面) B:裏面 F:無機充填剤(易滑剤)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−173315(JP,A) 特開 平1−211214(JP,A) 特開 平3−21447(JP,A) 特開 昭62−263230(JP,A) 特開 平5−28458(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/73

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
    カルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカ
    ルボン酸、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベン
    ゾフェノンテトラカルボン酸、またはこれら酸の二無水
    物からなる芳香族テトラカルボン酸成分と4,4’−ジ
    アミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェ
    ニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
    ン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、o−フェ
    ニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、またはp−
    フェニレンジアミンからなる芳香族ジアミン成分とを使
    用して得られるポリアミック酸溶液を押出成型用ダイス
    を有する押出成型機構へ供給して、前記ダイスの吐出口
    から該溶液の薄膜状体を平滑な支持体上に連続的に押出
    し、前記支持体上の薄膜状体を乾燥して自己支持性のポ
    リアミック酸フィルムを形成し、次いで、支持体上から
    該ポリアミック酸フィルムを剥離して、該フィルムの表
    面に、フタル酸ジアルキルエステルが溶解している有機
    極性溶媒の溶液を塗布し、その塗布層を乾燥させて、最
    後に、そのポリアミック酸フィルムを、250550
    ℃の高温で加熱処理して、該フィルムの片側表面に、深
    さ50〜500オングストロ−ム及び周径0.05〜5
    μmである微細な凹部が密度104〜5×108個/mm
    2の割合で全面的に形成されており、前記微細な凹部以
    外の表面が平滑面となっている芳香族ポリイミドフィル
    ムを得ることを特徴とする記録媒体用ベスフィルムの製
    造法。
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