JP2571484B2 - 研磨シート及びその製法 - Google Patents

研磨シート及びその製法

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JP2571484B2
JP2571484B2 JP29101791A JP29101791A JP2571484B2 JP 2571484 B2 JP2571484 B2 JP 2571484B2 JP 29101791 A JP29101791 A JP 29101791A JP 29101791 A JP29101791 A JP 29101791A JP 2571484 B2 JP2571484 B2 JP 2571484B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願の第1の発明は、概略、
芳香族ポリイミドフィルムの表面層に砥粒が各粒子の一
部をそれぞれ埋設させて保持されていて、一部露出した
前記砥粒からなる多数の突起が該フィルムの表面層の全
域にわたって均一に形成されている耐熱性の芳香族ポリ
イミドフィルム製の柔軟な研磨シートに係わる。
【0002】この発明の研磨シートは、バインダー樹脂
などを一切用いることなく、多数の砥粒が各粒子の一部
をその表面層のポリイミド樹脂によって直接にしっかり
と保持されているものであるので、多数の突起を形成し
ている一部露出された砥粒がその粒子の特性を充分に生
されることになると共に、従来耐熱性を低下させていた
バインダー樹脂などが使用されていないので、芳香族ポ
リイミドフィルム本来の高いレベルの耐熱性、機械物性
を充分に生かすことができるものである。
【0003】そして、この出願の第2の発明は、芳香族
ポリアミック酸溶液から形成された『芳香族ポリアミッ
ク酸と有機極性溶媒とからなる自己支持性フィルム』の
表面に、『砥粒を沸点が50〜250℃の低沸点有機溶
媒に均一に分散させた分散液』を塗布し、その分散液の
塗布層を乾燥させて、さらに、該自己支持性フィルムを
高温度で加熱処理して、『一部露出した前記砥粒からな
る多数の突起』を均質に有する芳香族ポリイミドフィル
ム製の柔軟な研磨シートを再現性よく製造する方法に係
わる。
【0004】この発明の研磨シートは、高い耐熱性を保
持したまま、バインダー等を使用することなく、露出し
た砥粒からなる多数の突起が形成されている芳香族ポリ
イミドフィルムであり、初期研磨性が優れている柔軟な
研磨シートである。
【0005】
【従来技術の説明】従来、芳香族ポリイミドフィルム
は、高い耐熱性、機械物性などを有するために、特定の
ポリイミドフィルムの内部に砥粒を配合した柔軟な研磨
シートとして使用できることが提案されている。(特開
昭62−74577号公報)しかし、前記の研磨シート
は、砥粒を内部の全体に配合されてしまっているもので
あるので、極めて高価な砥粒(例えば、ダイヤモンド砥
粒など)がかなりの割合で研磨に使用されずに無駄にな
るという問題があった。
【0006】また、フィルムの片面に研磨性を付与する
方法として、フィルムの表面に、砥粒を含有するポリマ
ー(バインダー樹脂)溶液を塗布し乾燥して、バインダ
ーで砥粒をフィルムに付着させた研磨シートを製造する
方法が、実施されている。この公知のコーティング法に
よる方法では、前記バインダー層と芳香族ポリイミドフ
ィルムとの接着性が必ずしも充分でないことがあった
り、バインダーによって耐熱性が低下してしまったり、
また、砥粒及びバインダーからなるコーティング層を均
質に形成することが困難であるのでフィルムの平面性が
かなり低下するといった問題などがあった。
【0007】さらに、前述の公知のバインダーを用いる
砥粒をフィルム表面に付着させる方法においては、砥粒
がバインダー樹脂の影響で凝集し易くなり、しかも粒子
の周面がバインダー樹脂で被覆されてしまうので、砥粒
の研磨性が研磨に使用する最初から充分に反映されない
という問題があった。
【0008】
【本発明の解決すべき問題点】この発明の目的は、前述
の公知のものにおける問題点を有していない、「芳香族
ポリイミドフィルムの表面に、樹脂成分で被覆されてい
ないで露出している微細な砥粒からなる多数の突起が、
全面的に均質に形成されている耐熱性の研磨シート」を
新たに提供し、さらに、その研磨シートの工業的な製法
を提供することである。
【0009】
【問題点を解決する手段】この出願の第1の発明は、芳
香族ポリイミドフィルムの表面層に、平均粒子径が0.
1〜100μmである砥粒が各粒子の一部をそれぞれ埋
設させて保持されていて、一部露出した前記砥粒からな
る多数の突起が該フィルムの表面層の全域にわたって1
〜5×10個/mmの割合で均一に形成されている
ことを特徴とする研磨シートに関する。
【0010】この出願の第2の発明は、芳香族ポリアミ
ック酸溶液を支持体上に流延させてその溶液の薄膜を形
成し、該支持体上の薄膜を乾燥して芳香族ポリアミック
酸と有機極性溶媒とからなる自己支持性フィルムを形成
し、次いで、支持体上から該フィルムを剥離し、そし
て、該フィルムの表面に、平均粒子径が0.1〜100
μmである砥粒を沸点が50〜250℃の低沸点有機溶
媒に均一に分散させた分散液を塗布し、その分散液の塗
布層を乾燥させて、該フィルムの表面層に微細な砥粒を
保持させ、最後に、その自己支持性フィルムを高温度で
加熱処理することを特徴とする研磨シートの製法に関す
る。
【0011】以下、この発明について、図面も参考にし
て、さらに詳しく説明する。図1は、この発明の研磨シ
ートの一例を示す断図面である。図2は、図1のX部分
を拡大して示す断面図である。図3は、この発明の研磨
シートの製法に使用する製膜装置の一例を概略示す断面
図である。
【0012】この発明の研磨シートは、例えば、図1及
び2に示すように、平均粒子径が、0.1〜100μ
m、好ましくは0.2〜60μm程度である『多数の砥
粒』3が、その各粒子の一部分を芳香族ポリイミドフィ
ルム1の表面層2にそれぞれ埋設され強固に保持されて
おり、そして、『砥粒3からなる多数の突起』が、1〜
5×10個/mm、好ましくは2〜5×10個/
mmの割合で均一に形成されており、そして、該表面
層2に連続していて実質的に砥粒を含有していない内層
部分を有する芳香族ポリイミドフィルム製の研磨シート
である。
【0013】この発明の研磨シートの製法では、例え
ば、図3に示すように、押出形成用ダイス1を備えた製
膜装置を使用して、前記ダイス10に、『芳香族ポリア
ミック酸溶液』を供給し、ダイスの吐出口から薄膜状体
4として支持体(ベルト)15の上に押出して均一な厚
さの薄膜を形成し、キャスティング炉6の内部でその薄
膜を乾燥して溶媒を大部分除去し、ポリアミック酸の自
己支持性フィルム4’を形成した後、支持体15から該
フィルムを剥離し、そして、該フィルムの表面層に『砥
粒が分散している溶液』を塗布し塗布層を乾燥して、最
後に、砥粒が保持されている自己支持性フィルム4”を
キュアー炉内13で加熱処理して、この発明の研磨シー
ト1を連続的に形成するのである。
【0014】この発明の研磨シートを形成している芳香
族ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族
ジアミン成分とから重合およびイミド化によって得られ
る耐熱性の高分子量のポリマーであればよい。前記芳香
族テトラカルボン酸成分としては、例えば、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸またはその酸二
無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸またはその酸二無水物などのビフェニルテトラカル
ボン酸類、ピロメット酸またはその酸無水物などのピロ
メリット酸類、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸またはその酸二無水物などを挙げること
ができる。
【0015】また、前記の芳香族ジアミンとしては、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系
ジアミン化合物、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジフ
ェニルスルホン系ジアミン化合物、o、mまたはp
フェニレンジアミンなどのフェニレン系ジアミン化合
物などを挙げることができる。
【0016】この発明では、(a)ビフェニルテトラカ
ルボン酸類を全酸成分に対して50モル%以上、特に6
0〜100モル%含有する芳香族テトラカルボン酸成分
と、フェニレンジアミン又はジアミノジフェニルエーテ
ルを全ジアミン成分に対して50モル%以上、特に60
モル%以上含有する芳香族ジアミン成分とを、或いは、
(b)ビフェニルテトラカルボン酸類(50モル%以
上、特に55〜90モル%含有)およびピロメリット酸
類(50モル%未満、特に10〜45モル%含有)から
なる芳香族テトラカルボン酸成分と、フェニレンジアミ
ン(50モル%以上、特に55〜95モル%含有)およ
びジフェニルエーテルジアミン(50モル%未満、特に
5〜45モル%程度含有)を主成分とする芳香族ジアミ
ン成分とを、両成分等モル重合し、そしてイミド化して
得られる芳香族ポリイミドが好適である。
【0017】この発明で使用する砥粒としては、例え
ば、ダイヤモンド砥粒、SiC砥粒(カーボランダム、
緑色SiC、黒色SiCなど)、チッ化ホウ素砥粒、ア
ルミナ砥粒、酸化クロム砥粒、酸化セリウム砥粒等を好
適に挙げることができる。
【0018】この発明の研磨シートは、ベースフィルム
である芳香族ポリイミドフィルムの内層に砥粒が実質的
に含有されておらず、該フィルムが基本的に本来の機械
物性及び耐熱性を有していながら、しかも、図1及び2
に示すように、砥粒がバインダーを使用することなく、
該フィルム1の表面層2にしっかりと保持されており、
そして、外部に一部露出している砥粒3が多数の突起を
均質に形成している新規な研磨シートであり、このよう
な研磨シートはまったく知られていなかったのである。
【0019】この発明の研磨シートの製法は、ガラス
板、銅板、金属ベルトなどの平面性を有する支持体面上
に芳香族ポリアミック酸溶液を流延して、厚さ10〜1
000μmの溶液の薄膜を形成し、その薄膜を部分的に
乾燥して、芳香族ポリアミック酸と残存有機極性溶媒と
からなる自己支持性フィルムを形成し、次いで、該自己
支持性フィルムを引剥がした後、該フィルムの表面に、
砥粒を分散させた分散液を塗布し乾燥して砥粒をポリア
ミック酸の自己支持性フィルムに保持させ、そして、イ
ミド化及び残存溶媒の除去のための加熱処理を行って柔
軟な研磨シートを得る方法で行われる。
【0020】この発明の製法は、前述の製造工程を分断
してバッチ的に製造することもできるが、例えば、図3
に示すような押出成形機構を有する製膜装置を使用し
て、溶液流延法と塗布方法とを組み合わせた製膜法によ
り、前述の芳香族ポリイミドフィルム製の研磨シートを
再現性よく連続的に得る方法が好適である。
【0021】すなわち、この発明の製法においては、図
3に示す製膜装置を使用して、まず、『芳香族ポリアミ
ック酸溶液』を、押出成形用ダイス10のポリマー溶液
供給口9から、製膜装置の押出成形機構〔ダイス10、
支持体(ベルト)15、ヒーター5、キャスティング炉
6など〕ヘ供給し、次いで、前記のダイス10の吐出口
から薄膜4を、一対の駆動輪16の上に巻き掛けられて
回動している平滑な支持体(金属製のベルト等)15の
上面に連続的に押出し、そして、キャスティング炉6の
内部において、前記支持体15の上面の薄膜4を、ヒー
ターまたは熱風吹き出し装置5によって、前記支持体上
で適度に乾燥し溶媒を大部分除去して、自己支持性フィ
ルム4’を形成し、次いで支持体上から自己支持性フィ
ルム4’を剥離して、自己支持性フィルム(芳香族ポリ
アミック酸フィルム)を形成するのである。
【0022】前記のポリアミック酸溶液は、芳香族テト
ラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とから得られた
芳香族ポリアミック酸(芳香族ポリイミド前駆体)およ
び有機極性溶媒とからなるものであればよい。そして、
そのポリマー溶液は芳香族ポリアミック酸の含有率が5
〜40重量%、特に10〜30重量%程度であることが
好ましい。
【0023】前記のポリアミック酸溶液は、前述の押出
成形の際に押出用ダイス10での吐出の温度における
「溶液粘度(回転粘度)」が、約50〜10000ポイ
ズ、特に100〜6000ポイズ程度であることが好ま
しい。
【0024】前記のポリアミック酸溶液に使用される芳
香族ポリアミック酸は、ポリマーの対数粘度(測定温
度;30℃、濃度;0.5g/100ml溶媒、およ
び、溶媒;N−メチル−2−ピロリドン)が、約0.5
〜6、特に1.0〜5、さらに好ましくは1.5〜4程
度を示すものであることが好ましい。
【0025】また、前記のポリアミック酸溶液に使用さ
れる有機極性溶媒は、例えば、N−メチル−2−ピロリ
ドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジエチルホルムアミドなどのアミド系有機溶媒、あ
るいはそれらを主成分とする混合溶媒を挙げることがで
きる。
【0026】前述の押出成形の際に押出用ダイスからの
吐出する芳香族ポリアミック酸溶液の温度は、0〜15
0℃、特に5〜100℃、さらに好ましくは10〜80
℃程度であり、また、そのポリマー溶液が吐出された後
に支持体上の薄膜を乾燥する温度(キャスティング温
度)は、約50〜180℃、特に80〜150℃程度で
あればよく、さらに、その乾燥時間が、1〜60分、特
に5〜30分程度であることが好ましい。
【0027】前記のポリアミック酸の自己支持性フィル
ムは、含有されているポリマーのイミド化率が約0〜8
0%程度、特に5〜70%程度であって、しかも、溶媒
を5〜60重量%、特に10〜50重量%程度含有して
いて、該フィルムを支持体から連続的に剥離する場合、
及び、次の砥粒の分散液の塗布・乾燥工程等において、
容易にフィルムが破れることがないような強度を有して
いればよい。
【0028】この発明の製法においては、図3に示すよ
うに、前述のようにして製造したポリアミック酸の自己
支持性フィルム4’の表面層に、砥粒が有機溶媒に均一
に分散されている分散液を塗布し、乾燥域14において
適当な手段でその分散液の塗布層を乾燥させて塗布層の
溶媒を実質的に除去し、該フィルム4”の表面層に砥粒
を保持させ、最後に、キュアー炉13でその自己支持性
フィルム4”を高温で加熱処理してポリマーのイミド化
及び残存する有機極性溶媒の実質的な除去を行い、研磨
シートを製造するのである。
【0029】前記の分散液の調製に使用される溶媒は、
イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノー
ル、n−ブタノール、エタノール等の低級アルコール、
アセトン、エチル−メチルケトン、メチル−プロピルケ
トン、メチル−イソブチルケトン等のケトン系溶媒、N
−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のア
ミド系溶媒などを挙げることができ、沸点50〜250
℃、特に沸点100〜220℃程度の有機溶媒であるこ
とが適当である。
【0030】前記の分散液の調製用の溶媒は、ポリアミ
ック酸を5重量%以上溶解させうる良溶媒(例えば、前
述のアミド系溶媒など)を50重量%以上、特に60重
量%以上含有していることが、前述のポリアミック酸の
自己支持性フィルムの表面への分散液の濡れ性および砥
粒のフィルムへの保持性などにおいて、好ましい。
【0031】前記の分散液においては、砥粒の濃度が約
0.1〜30重量%、特に1〜20重量%程度であるこ
とが砥粒の分散性における安定性の点などから好まし
い。この発明の製法では、前記の分散液は、微細な砥粒
を実質的に凝集させず、各単粒子を均質に分散性させる
ために、バインダー、ポリマーなどの樹脂成分が実質的
に含有されていない溶液であり、分散液が前記バインダ
ー成分などを特に必要としないことが特徴的でもある。
【0032】前記の分散液の塗布操作は、前記溶媒の沸
点より低い温度であって、60℃以下、特に0〜50℃
程度の塗布温度において、グラビア法、リバース法、浸
漬法(図3の製膜装置では、自己支持性フィルムを分散
液8に連続的に浸漬させることにより塗布操作が行われ
ている。)などの塗布法で行うことが好ましい。前記の
分散液の塗布膜は、塗布直後において、その厚さが0.
5〜100μm、特に1〜80μm程度であることが好
ましい。
【0033】前記の分散液が塗布された自己支持性フィ
ルム4”は、乾燥域14において、乾燥された熱風(加
熱空気)を吹きつけたり、ヒーターで熱線を照射した
り、減圧下(真空法)で乾燥したりなど適当な乾燥手段
により、約5〜250℃、特に50〜220℃の乾燥温
度で乾燥して、分散液の塗布層の溶媒を蒸発させて実質
的に全部除去し、砥粒を単粒子状態で自己支持性フィル
ムの表面に均一にしっかりと保持させるのである。
【0034】この発明の製法では、図3に示すように、
前述のように砥粒が保持された自己支持性フィルム4”
を、複数のヒーター11の内設されたキュアー炉13と
通過させて加熱処理して、この発明の研磨シート1を形
成し、さらに、常温(約0〜50℃)まで冷却して、案
内ロール31等を有する巻取り機(全体を図示せず)の
巻取りロール30に巻き取るのである。
【0035】分散液を塗布し乾燥したポリアミック酸の
自己支持性フィルムの加熱処理は、加熱処理温度が約2
50〜600℃、特に300〜550℃程度で、加熱処
理時間が約1〜60分間、特に2〜30分間程度である
ことが、該フィルム中のポリマーをイミド化し、そし
て、該フィルム中の有機溶媒を実質的に除去するために
好ましい。この発明の研磨シートの製法においては、図
3に示す製膜装置を使用すれば、製膜速度が約0.1〜
10m/分、特に、0.2〜5m/分として、前述の性
能を有する研磨シートを連続的に製造することができ
る。
【0036】
【実施例】以下、この発明の実施例、及び比較例を示
し、この発明をさらに詳しく説明する。実施例などにお
いて、各測定試験は、次に示す方法で行った。平均表面
粗さ(Ra)は、タリーステップ表面粗さ計(ランクテ
ーラーホブソン社製)によって、半径12.5μmの円
錐の先端を有する触針を使用し、荷重を10mg、粗さ
方向倍率を5万倍〜5万倍、測定長さを1mmとする測
定条件で、中心線平均粗さを測定した。
【0037】微細突起個数は光学又は電子顕微鏡で50
倍以上(望ましくは100倍以上)で撮影したフィルム
表面の写真を観察し、粗面化(易滑化)の目的で添加し
た砥粒(易滑剤)等による微細な突起について0.1μ
m以上の微細な突起径のもの個数を数えることによって
測定した。
【0038】研磨シートの表面層に保持された砥粒の保
持力はその研磨シートの表面層に市販の粘着テープ(セ
ロハンテープ)を張合わせて圧着した後にこの粘着テー
プを引剥がして、その粘着テープの粘着層に付着してい
る砥粒の個数を光学又は電子顕微鏡で観察して測定し、
個数/mmで保持力の程度を示した。
【0039】研磨シートの研磨性能は、研磨シートを使
用して、ファインセラミックスAlの表面を25
℃で研磨した際の累積研磨量を各研磨時間毎に示す。さ
らに、この研磨シートの柔軟性を示す耐折強度は、研磨
シートを180度折り返すことを多数回行い、研磨シー
トが一部分でも破断するまでの折り返しの回数で示し
た。
【0040】実施例1 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物からなる芳香族テトラカルボン酸成分と、4,4’
−ジアミノジフェニルエーテルからなる芳香族ジアミン
成分とを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)
中で30℃で重合して、芳香族ポリアミック酸(Rタイ
プ)のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)溶液
〔ポリマー濃度;18重量%、ポリマーの30℃の対数
粘度;3.0、30℃での溶液粘度(回転粘度);21
00ポイズ〕を調製した。
【0041】さらに、N,N−ジメチルアセトアミド
(DMAC)溶媒中に、ダイヤモンド砥粒(平均粒子
径:12μm)を5重量%の濃度で均一に分散させた分
散液を調製した。
【0042】図3に示すような押出成形用ダイス(マル
チマニホールド型二層ダイス)を設けた製膜装置を使用
して、前記の芳香族ポリアミック酸溶液を、ポリマー溶
液供給口9から押出成形用ダイス1を有する押出成形機
構へ供給し、前記のダイス1の吐出口から薄膜状体4
を、吐出温度30℃で、一対の駆動輪16の上に巻き掛
けられて回動する表面平滑な支持体(金属製のベルト)
15の上面に連続的に押出し、そして、キャスティング
炉6において、前記支持体15の上面の薄膜4を、ヒー
ター及び熱風吹き出し装置5によって、約140℃の温
度において、6分間乾燥し、自己支持性フィルム4’
(溶媒含有率;30〜40重量%程度)を形成し、次い
で、支持体上から自己支持性フィルム4’を剥離した。
【0043】図3におけるように、前記のポリアミック
酸の自己支持性フィルム4’を、前記の分散液8に室温
で連続的に浸漬して、該フィルムの表面に分散液の塗布
層を設け、さらに、乾燥域14において乾燥空気を該塗
布層へ吹き付けて塗布層を乾燥して塗布層の有機溶媒を
実質的に除去し、該フィルムの表面層に微細なダイヤモ
ンド砥粒がしっかりと保持されたポリアミック酸の自己
支持性フィルム4”を形成した。
【0044】最後に、その微細なダイヤモンド砥粒が保
持されているポリアミック酸の自己支持性フィルム4”
を、赤外線ヒーター11の内設されたキュアー炉13を
通過させて、約150から450℃までの段階的に昇温
される温度範囲において4分間加熱処理して、研磨シー
ト1を形成し、さらに、該研磨シート1を常温まで冷却
して巻き取り機31(全体を図示していない)の巻き取
りロール30に巻き取って、厚さが75μmである柔軟
な研磨シートを製造した。前記の製膜速度は、0.6m
/分であった。
【0045】また、前記の研磨シートについて、引張り
試験を行った結果、引張り強度が、14kg/mm
あり、伸び率が46%であった。また、前記の研磨シー
トについて、その表面状態を電子顕微鏡などで監察して
種々の表面のデータを測定したが、その結果を表1に示
す。前記研磨シートについて、高温での研磨性試験を行
った結果を表1に示す。
【0046】実施例2〜3 ダイヤモンド砥粒として平均粒子径が35μm(実施例
2)、及び、70μm(実施例3)であるものをそれぞ
れ使用し、配合割合を、ジメチルアセトアミド溶媒に対
して7.5量%(実施例2)、及び、15重量%(実
施例3)としたほかは実施例1と同様にして分散液をそ
れぞれ調製した。各分散液を使用したほかは、実施例1
と同様の製膜法によって、厚さ75μmの柔軟な芳香族
ポリイミドフィルム製の研磨シートをそれぞれ製造し
た。
【0047】前記の各研磨シートについて、引張り試験
を行った結果、各研磨シートは、引張り強度及び伸び率
が実施例1で得られた研磨シートとほとんど同等であっ
た。また、前記の各研磨シートについて、実施例1と同
様の各種の試験を行ったが、それらの試験結果を表1に
示す。
【0048】実施例4 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物からなる芳香族テトラカルボン酸成分と、パラフェ
ニレンジアミンからなる芳香族ジアミン成分とを、N,
N−ジメチルアセトアミド(DMAC)中で30℃で重
合して、芳香族ポリアミック酸(Sタイプ)のDMAC
溶液〔ポリマー濃度;18重量%、ポリマーの対数粘度
(30℃);3.5、30℃の溶液粘度(回転粘度);
5000ポイズ〕を調製した。前記のポリアミック酸溶
液を使用したほかは、実施例1と同様にして、柔軟な研
磨シートを製造した。前記の研磨シートについて、引張
り試験を行った結果、引張り強度が20kg/mm
あり、伸び率が10%であった。その研磨シートのその
他の各種の性状を表1に示す。
【0049】比較例1 分散液の塗布をしないで、ダイヤモンド砥粒を所定量配
合した芳香族ポリアミック酸溶液から研磨シートを製造
した。研磨シートの各種の性状を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【本発明の作用効果】この発明の研磨シートは、バイン
ダー樹脂などを一切用いることなく、多数の砥粒が各粒
子の一部をその表面層のポリイミド樹脂によって直接に
しっかりと保持されていて、一部露出された砥粒によっ
て、初期段階から充分に高い研磨性を示す共に、従来の
コーティングタイプのフィルムにおいて耐熱性を低下さ
せていたバインダー樹脂などが使用されていないので、
ベースフィルムである芳香族ポリイミドフィルム本来の
高いレベルの耐熱性、機械物性、柔軟性などを充分に生
かすことができるものであり、さらに、研磨シートの表
面層にしか砥粒が付着されていないので、高価な砥粒の
使用量を従来公知の研磨シートより極めて少なくするこ
とができるという効果を有している。
【0052】そして、この出願の第2の発明は、芳香族
ポリアミック酸溶液から形成された『芳香族ポリアミッ
ク酸と有機極性溶媒とからなる自己支持性フィルム』の
表面に、『砥粒を低沸点の有機溶媒に均一に分散させた
分散液』を塗布し、その分散液の塗布層を乾燥させて、
さらに、該自己支持性フィルムを高温度で加熱処理する
ことによって、『一部露出した砥粒からなる多数の突
起』を均質に有する柔軟な研磨シートを再現性よく工業
的に又は連続的に製造する方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨シートの一例を一部示す断面図で
ある。
【図2】図1のX部分を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の製法に使用する製膜装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 :研磨シート 2 :表面 3 :砥粒 4、4’及び4”:薄膜(ポリアミック酸の自己支持性
フィルム) 6 :キャスティング炉 8 :分散液 10:製膜用ダイス 11:ヒーター 13:キュアー炉 14:乾燥域 15:ベルト 30:巻き取りロール

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリイミドフィルムの表面層に、平
    均粒子径が0.1〜100μmである砥粒が各粒子の一
    部をそれぞれ埋設させて保持されていて、一部露出した
    前記砥粒からなる多数の突起が該フィルムの表面層の全
    域にわたって1〜5×10個/mmの割合で均一に
    形成されていることを特徴とする研磨シート。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリアミック酸溶液を支持体上に
    流延させてその溶液の薄膜を形成し、該支持体上の薄膜
    を乾燥して芳香族ポリアミック酸と有機極性溶媒とから
    なる自己支持性フィルムを形成し、次いで、支持体上か
    ら該フィルムを剥離し、そして、該フィルムの表面に、
    平均粒子径が0.1〜100μmである砥粒を沸点が5
    0〜250℃の低沸点有機溶媒に均一に分散させた分散
    液を塗布し、その分散液の塗布層を乾燥させて、該フィ
    ルムの表面層に微細な砥粒を保持させ、最後に、その自
    己支持性フィルムを高温度で加熱処理することを特徴と
    する研磨シートの製法。
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