JPH0528381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、遊星歯車減速装置を内蔵した同軸
形スタータに関するものである。

〔従来の技術〕

従来、この種のスタータとして第２図に示すも
のがあつた。図において、１は直流電動機の電機
子、２は電機子回転軸で、電機子１の後方の回転
軸２部分にコンミテータ３が嵌着されている。４
はコンミテータ３の外周に配されたブラシおよび
保持器で、ボルト５によつてリヤブラケツト６に
固定されている。７は電機子回転軸２を支承する
軸受、８ａは界磁を発生させる永久磁石、８は直
流電動機のヨークであつて、ヨーク８の端面には
遊星歯車減速装置を構成する内歯歯車９を嵌着し
たフロントブラケツト１０が装着されている。電
機子回転軸２の先端部には平歯車１１が設けら
れ、この平歯車１１に遊星歯車１２が噛み合わさ
れている。１３は遊星歯車１２の内周面に嵌着さ
れた軸受で、支持ピン１４に支承されている。１
５は支持ピン１４を固定するフランジであつて、
遊星歯車減速装置の腕を構成しており、フランジ
１５に出力回転軸１６が一体形成されている。１
７は上記内歯歯車９の突起内周面に嵌着されるス
リーブベアリングで、出力回転軸１６を支承して
いる。１８はこの回転軸１６の後端内周面凹部に
嵌着されたスリーブベアリングであり、電機子回
転軸２の先端を支承している。１９は電機子回転
軸２と出力回転軸１６との端部間に介装された鋼
球で、スラスト荷重を授受する機能を有してい
る。２０は出力回転軸１６の外周に形成されたヘ
リカルスプラインで、オーバランニングクラツチ
２１が摺動可能にスプライン嵌合されている。２
２はオーバランニングクラツチ２１に結合されて
いるピニオン２３の軸方向移動量を規制するスト
ツパ、２４はフロントブラケツト１０の先端部１
０ａに設けられ、出力回転軸１６を支承するスリ
ーブベアリング、２５は樹脂製のレバーで、電磁
スイツチ２６のプランジヤ２７とオーバランニン
グクラツチ２１の外周部に嵌合されている。２８
は絶縁体２９を介してロツド３０に取付けられた
可動接点で、ロツド３０は前後に摺動可能なよう
にコア３１に挿入されている。３２はナツト３３
によつて絶縁材のキヤツプ３４に固定された固定
接点、３５はプランジヤ２７を付勢する励磁コイ
ルで、樹脂製のボビン３６に巻装され、ケース３
７内に内蔵されている。

次に動作について説明する。図示しないキース
イツチを閉じると電磁スイツチ２６の励磁コイル
３５に通電され、プランジヤ２７が移動し、可動
接点２８と固定接点３２が当接することによつて
固定接点３２に接続されているリードワイヤ３８
を通じてブラシ４に通電され電機子１が回転す
る。電機子１の回転は遊星歯車減速機構により減
速されてオーバランニングクラツチ２１に伝達さ
れる。一方、プランジヤ２７の力はレバー２５を
介してオーバランニングクラツチ２１に作用し、
このクラツチ２１は前方（右方）へ移動しピニオ
ン２３はリングギヤと噛み合う。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来のスタータは以上のように構成されてお
り、電磁スイツチ２６と電動機本体は２軸構成さ
れているので、これをエンジンに装着する場合、
電磁スイツチ２６のスペースをエンジンまたは車
輌で確保することが必要で、車輌におけるエンジ
ンレイアウトの制約を招く等の問題があつた。ま
た、単純に電磁スイツチ２６を電動機の後方に据
付けると装置全体の寸法が長くなり、これも車輌
側の制約があるという問題もあつた。

この考案は上記のような問題点を解消するため
になされたもので、電磁スイツチと電動機とが同
軸で、かつコンパクトに構成することのできる同
軸形スタータを得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案の同軸形スタータは、電動機の後方に
取付けた電磁スイツチの円筒状励磁コイル内側に
プランジヤを軸方向に可動に配置し、電動機の出
力回転軸と同一軸線上に配置されたロツドの一端
をプランジヤに固定し、更に可動接点を励磁コイ
ル内側で前記ロツドに装着する等して必要な部品
の多くを電磁スイツチの円筒状励磁コイル内側に
組み込むようにしたことを特徴とする。

〔作用〕

この考案の同軸形スタータによると、励磁コイ
ルに通電されるとプランジヤが付勢されて電動機
側へ励磁コイル内を軸方向に移動し、これに伴つ
てロツドを移動させる。

このロツドの移動によつて該ロツドに装着され
た可動接点が励磁コイル内側を移動して固定接点
に当接し、電動機への通電がなされる。そして、
ロツドはコイルスプリングを介して出力回転軸に
軸方向移動力を付勢する。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を図について説明す
る。第１図は同軸形スタータの断面図を示し、図
において、１は直流電動機の電機子、２は中空状
の電機子回転軸で、電機子１の後方にフエイス形
コンミテータ３が設けられている。６は樹脂製の
ブラケツトで、このブラケツト６に１対の固定接
点３２が成形されている。なお、一方の固定接点
３２は図示しないリードワイヤによつてブラシ４
に接続され、他方の固定接点にはねじ３２ａとナ
ツト３３が取付けられている。７は電機子回転軸
２を支承する軸受であつて、上記ブラケツト６に
支持されている。３０は電磁スイツチのロツド
で、その後端はプランジヤ２７に挿着しかしめ固
定されている。４０はロツド３０の段付き部３０
ａとプランジヤ２７間に挿着したブツシユで、こ
のブツシユ４０に絶縁材２９ａ，２９ｂに挾持さ
れた可動接点２８が挿着され、可動接点２８はプ
ランジヤ２７に受けられたスプリング４３で押圧
されている。一方、ロツド３０の先端は電機子回
転軸２内に突入され、ロツド先端にスリーブ４１
が装着され、スリーブ４１を押圧するスプリング
４２がブツシユ４０で受けられている。４４はス
リーブ４１の動きをボール１９を介して出力回転
軸１６に伝達する第２のロツド、４５はロツド３
０と第２のロツド４４間に張設したスプリング
で、このスプリング４５はボール１９の移動を防
止している。なお、１７は出力回転軸１６を支承
しているスリーブベアリングである。

３１ａ，３１ｂは電磁スイツチのコア、３５は
プランジヤ２７を付勢する円筒状励磁コイルで、
樹脂製のボビン３６に巻装されケース３７に非磁
性体となるプレート３８と共に固定される。３９
はプランジヤ２７を復帰させるスプリングで、コ
ア３１ａ，３１ｂの間に設置されている。８ａは
電機子１の界磁を発生させる永久磁石、８は直流
電動機のヨークで、その先端部には遊星歯車装置
となる遊星歯車１２を形成し、かつ電機子回転軸
２を支承する軸受１８を嵌着したブラケツト９が
装着されている。４６は電機子回転軸２に圧入さ
れるインナーで、軸受１８の内面に回転可能に装
着され、段部にスラストワツシヤ４７を備えてい
る。１１は電機子回転軸２の先端に設けた平歯車
であり、この平歯車１１に遊星歯車１２が噛み合
わされる。１３は遊星歯車１２の内周面に嵌着さ
れた軸受で、支持ピン１４に支承されていて、こ
のピン１４は図示しないオーバランニングクラツ
チに固定されている。１０はフロントブラケツ
ト、２３は出力回転軸１６に支持されたピニオン
であつて、ストツパ２２に保持されている。

上記した同軸形スタータは、キースイツチを閉
じると励磁コイル３５に通電され、プランジヤ２
７が付勢されて前方（右方）へ移動するとロツド
３０に装着されているブツシユ４０上の可動接点
２８が固定接点３２に接触する。これによつて固
定接点３２にリードワイヤで接続されているブラ
シ４に通電され、コンミテータ３を通じて電機子
コイル３ａが通電され、電機子１は回転する。そ
して電機子１の回転は遊星歯車１２によつて減速
されてオーバランニングクラツチに伝達される。
一方、プランジヤ２７の力はロツド３０を前方
（右方）へ移動させると、ピニオン２３が図示し
ないリングギヤと当接した時、スリーブ４１を介
してスプリング４２のばね力で出力回転軸を押込
む。

なお、実施例でフエイス形コンミテータ３を使
用した場合について説明したが、従来形のコンミ
テータであつてもよい。また電動機の界磁を発生
させるものとして永久磁石を用いたが、磁極鉄心
にコイルを巻装してもよく、さらに遊星歯車装置
を備えたが、出力回転軸の速度を減速する必要が
ない場合は、遊星歯車装置はなくてよい。また、
出力回転軸を押圧するスプリング４２はブツシユ
４０の端面で受けたが、ブツシユ端部に形成した
凹部で受けてもよい。また、電機子回転軸２の後
端に支持した軸受７を支承するブラケツトは固定
接点３２と一体成形した樹脂製の他、固定接点と
分離したアルミ、鉄等のブラケツトでもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案の同軸形スター
タによれば、電動機の出力回転軸に軸方向移動力
を、ロツドおよびスプリングを介して付与する電
磁スイツチのプランジヤを円筒状励磁コイルの内
側に配置すると共に、可動接点も該励磁コイルの
内側でロツドに装着するようにしたので、電動機
の後方に電磁スイツチを取付けた場合でもその全
長が長くなることはなく、装置全体をコンパクト
にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による同軸形スタ
ータの断面図、第２図は従来のスタータの断面図
である。 １……電機子、２……電機子回転軸、３……コ
ンミテータ、６……ブラケツト、８……ヨーク、
８ａ……永久磁石、１２……遊星歯車、１６……
出力回転軸、１９……ボール、２２……ストツ
パ、２３……ピニオン、２７……プランジヤ、２
８……可動接点、３０……ロツド、３２……固定
接点、４０……ブツシユ、４２，４３……スプリ
ング、４４……第２のロツド。なお、図中同一符
号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電動機の後方に電磁スイツチを取付けた同軸形
   スタータにおいて、前記電磁スイツチの円筒状励
   磁コイル内側で軸方向に可動に配置されたプラン
   ジヤと、前記プランジヤに一端が固定され、前記
   電動機の出力回転軸と同一軸線上に配置されて前
   記電動機内に伸長するロツドと、前記電磁スイツ
   チの前記励磁コイル内側で前記ロツドに装着さ
   れ、前記励磁コイルの軸方向長さ範囲内を前記ロ
   ツドの移動に伴つて移動する可動接点と、前記ロ
   ツドの移動によつて前記励磁コイルの内側を移動
   する前記可動接点と当接すべく前記ロツドの側方
   に配設された固定接点と、前記ロツドを取巻くよ
   うにその外周囲に配置されると共に一端を前記可
   動接点装着部近傍で前記ロツドに対して固定さ
   れ、前記ロツドの移動に伴つて前記出力回転軸に
   押し込み力を付勢するコイルスプリング４２とを
   備えて構成される同軸形スタータ。