JPH0527628Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、コンクリート床に直接貼ることので
きる床材に関する。更に詳しくは、本考案は遮音
性及び歩行性に優れた直貼り用床材に関する。

《従来の技術》 従来、中高層住宅の床にはコンクリート床に直
接カーペツト類を貼着することが行われている。
しかしながら、カーペツト類を使用した場合には
貼り替えに手間がかかるという欠点がある。更
に、近年木質材料が我国の気候に適するというこ
と及び木質の素材感に対する親しみが見直される
に従い、木質床材を使用する傾向が強くなつてい
る。

しかしながら、木質床材はカーペツト類に比し
て遮音性が著しく劣つているために、これをコン
クリート床に直接貼着した場合には居住性が著し
く損なわれる。

又、コンクリート床には５mm程度の不陸が避け
られないというのが現実であり、コンクリート床
と木質床材を密着せしめることは困難である。

《考案が解決しようとする問題点》 上記の如き欠点に対する改良は種々なされてい
るが（例えば、実公昭56−3945号、同61−22109
号、実開昭60−63628号、同60−121052号及び61
−47339号）、何れの場合も木質床とコンクリート
床の間の何れかの箇所に全面的に緩衝材を使用す
るので、木質床の遮音性能を重視して緩衝材の厚
みを厚く用いた場合には、家具等の重量物を置い
た際、床が局部的に沈下し、又、歩行するたびに
浮沈が生じて歩き心地が悪くなるという問題が生
ずる。

本考案者は、かかる欠点を解決すべく鋭意検討
した結果、化粧材を有する合板を上層とし、コン
クリート床との密着を担保する発泡体を裏面に有
する合板を下層とし、前記上層と下層の間の中層
に空気層を形成するシート状のゴム状弾性体を埋
設した合板を介在せしめた場合には、施工の手間
を特に煩雑とすることなく、歩行性、遮音性の良
好な床材とすることができる事を見いだし本考案
に到達した。

従つて、本考案の第１の目的は、遮音性能に優
れた直貼り用床材を提供することにある。

本考案の第２の目的は、保温性、断熱性、調湿
性等の居住性に優れると共に局部的な沈下や、歩
行時の浮沈が生じない直貼り用木質床材を提供す
る提供することにある。

《問題を解決するための手段》 本考案の上記の諸目的は表面に化粧材を有する
合板から成る上層とゴム状弾性体が埋設された弾
性体埋設合板から成る中層と裏面に発泡体を有す
る合板から成る下層の三層より構成される直貼り
用床材であつて、前記中層の弾性体埋設合板が、
該合板の長さ方向両端部にそれぞれ係合用凹部及
び凸部を有するごとくに、前記上下の両層間に固
着されていると共に、前記ゴム状弾性体が上層の
合板と下層の合板の間に、空気層を形成すること
を特徴とする直貼り用床材によつて達成された。

本考案における化粧材は、突板やコルク等の木
質材料の他に、各種のマツト材料やカーペツト
等、合成又は天然の高分子材料を使用することが
できるが、特に需要の強さや、我国の気候に対す
る適応性、歩行性或いはメンテナンス容易性等の
観点から木質材料を使用することが好ましい。通
常このような木質化粧材の厚みは、0.3mm程度で
あるが、本考案はこの厚みに限定されるものでは
ない。

本考案で使用する合板の厚みは、約2.5mm〜５
mmであることがコスト的に有利であるが、使用箇
所等を考慮して、適宜厚みを変えて設計すること
ができる。

本考案で使用するゴム状弾性体としては、天然
ゴム、合成ゴム等の弾性体を基材としたものであ
り、遮音性、保温性等の点から、これらのゴム状
弾性体を、例えば任意の間隔でくびれを有する波
状の形態とすることにより、上層の合板と下層の
合板との間に、空気層を形成するものとする。こ
の様な空気層を形成し得る弾性体として、例えば
エアーステツプ（スターラバ工業(株)の登録商標）
を挙げることができる。

本考案で使用する発泡材は、発泡ポリエチレン
等の発泡ポリオレフイン、発泡スチレン、発泡ウ
レタン等のの、公知の、吸音性の良好な発泡材の
中から任意に選択することができるが、寿命やコ
スト等の観点から、特に、発泡ポリオレフインを
使用することが好ましい。

以下、本考案を実施例に従つて更に詳述する。
第１図は、本考案の直貼り用床材の１例を示す断
面図である。図中、符号１は表面に化粧材２を有
する合板からなる上層、４は他の床材に係合する
凸部５及び他の床材の凸部が係合する凹部６を有
する、ゴム状弾性体７を埋設した埋設合板から成
る中層、９は裏面に発泡体１１を有する合板１０
からなる下層である。

《作用》 発泡体１１は、主として本考案の床材をコンク
リートに直接貼着する場合のコンクリートの不陸
に適応するための緩衝材の役割を有するが、保温
性、遮音性にも寄与する。従つて、この発泡体の
発泡倍率は５〜30倍が好ましく、又、コンクリー
ト面との接着を良好なものとするために、例えば
炭酸カルシウム等の無機フイラーを公知の如く適
宜添加しておくことが好ましい。

ゴム状弾性体７は、遮音材料として使用するも
のであるが保温性にも寄与する。従つて、その厚
みは、ある程度厚い方が良いが、コストの面か
ら、適度の厚みのものを前記の如く波状にして使
用することが好ましい。中層の凸部５及び凹部６
は、本考案の床材同志を連結するための係合部を
構成すると同時に、ゴム状弾性体７が上下からの
圧力によつて押しつぶされないようにゴム状弾性
体７を保護する機能をも併せ有する。即ち、本考
案の床材の巾は、後述の如く小さいから、歩行時
における化粧板の歪みも小さく、ゴム状弾性体７
は殆ど圧縮変形を受けず、長期にわたつて遮音効
果を有することができる。特に、中層の合板が後
述するような穴あき合板である場合には、合板が
骨の役割を果たし、ゴム状弾性体が受ける圧縮変
形は、より小さなものとなる。

中層の弾性体埋設合板４の厚みは、遮音性能に
対する要求に併せて適宜設計することができる。

本考案の床材は、施工容易性の観点から、巾60
mm〜135mm、長さ500mm〜700mmとすることが好ま
しく、特に、巾80mm〜120mm長さ600mm程度とする
ことが好ましい。

本考案に係る弾性体埋設合板は公知の方法によ
つて適宜製造することができるが、特に、次のよ
うな方法を採用した場合には、容易且つ、安価に
製造することができるので好ましい。

即ち先ず合板と、吸音性能の良いゴム状弾性体
とを重ね合わせ、該ゴム状弾性体側から、打ち抜
き機で合板を打ち抜く。この場合、合板の面積の
40％以上を打ち抜くことが好ましい。打ち抜きに
際しては、合板を打ち抜いた後、打ち抜き機内に
残存する合板片を押し出し、次いで、打ち抜き機
の先端を合板から抜き出しつつ、又は、抜き出し
た後に更に、打ち抜き機内に残存するゴム状弾性
体を押し出して合板の打ち抜かれた箇所に挿入
し、遮音板として機能するゴム状弾性体埋設合板
を用意する。図１の如く、実質的に、一つの枠の
中に空気層と共にシート状のゴム状弾性体が存在
する場合も、本願考案のゴム状弾性体埋設合板に
含まれる。又、ゴム状弾性体埋設合板を構成する
合板部分は、前記した如く、上下からの圧力から
ゴム状弾性体を保護する役割を有する。

本考案の直貼り用床材は、大量生産が容易、且
つ施工現場への運搬が容易であるにもかかわら
ず、その遮音性、歩行性及び美感等の点からも極
めて優れたものとすることができる。

《考案の効果》 以上詳述した如く、本考案の床材は、裏面に、
コンクリートとの密着性が良好な発泡体を有する
上、中層に空気層を形成するシート状のゴム状弾
性体を埋設した合板を有するので、遮音性、保温
性及び断熱性に優れている。又、中層を構成する
合板が歩行時の浮沈を防止すると共に、係合用凹
部及び凸部によつて、床とした場合の局部的沈下
が防止されるので、その実用的価値は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の直貼り用床材の断面図であ
る。図中符号１は、化粧材２及び合板３からなる
上層、符号４はゴム状弾性体７を埋設し他の床材
を係合する凸部５及び凹部６を形成する弾性体埋
設合板からなる中層、符号９は、合板１０と発泡
体１１からなる下層である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 表面に化粧材を有する合板から成る上層と、
   ゴム状弾性体が埋設された弾性体埋設合板から
   成る中層と、裏面に発泡体を有する合板から成
   る下層の三層より構成される直貼り用床材であ
   つて、前記中層の弾性体埋設合板が、該合板の
   長さ方向両端部にそれぞれ係合用凹部及び凸部
   を有するごとく、前記上下の両層間に固着され
   ていると共に、前記ゴム状弾性体が、上層の合
   板と下層の合板の間に、空気層を形成するシー
   ト状のゴム状弾性体であることを特徴とする直
   貼り用床材。 ２ 化粧材が突板である実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の直貼り用床材。