JPH05272760A - 加熱調理器のオーブン構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】異種金属により構成されたオーブン１におい
て、電触による錆の発生を無くし、安価なオーブンを提
供することを目的ととする。 【構成】異種金属からなるオーブン１において、異種金
属の接合部に電位の異なる金属部材６を介在させたこと
を特徴とする。接合部に介在させる金属部材６は、異種
金属の中間の電位を有することを特徴とする。異種金属
の一方はステンレス鋼板により、他方はアルミ亜鉛合金
めっき鋼板により構成され、これらの接合部に介在され
る金属は電位が略中間の材料である低合金鋼からなるこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

［発明の目的］

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヒータ機能を備えた加
熱調理器、いわゆるオーブンレンジ等のオーブン構造に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、オーブンレンジ等のオーブンを形
成する枠体の各部材は耐熱性や耐蝕性を要求されるた
め、その材料としてステンンレス綱板が採用されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そのため、オーブンは
耐熱性や耐蝕性においては、優れているもののオーブン
全体をステンレス鋼板で構成しているため、製造コスト
は高価となり、もっと安い材料をオーブンの材料として
用いることが望まれている。

【０００４】そこで、例えばステンレス材より安価で、
且つ耐熱性や耐蝕性の特性に優れたアルミ亜鉛合金めっ
き鋼板を採用することが検討されているが、このアルミ
亜鉛合金めっき鋼板は、ステンレス材に比べて特性上は
問題はないものの、見栄えが悪く品位がなく、外観部材
としては適していない。

【０００５】従って、加熱調理器のオーブン全ての部材
を上記アルミ亜鉛合金めっき鋼板により構成することは
困難であるが、オーブンを形成する各部材のうち、例え
ば、直接、目に入らないオーブンの天井壁面や背壁面な
どの一部の部材に限り、ステンレス綱板よりも安価で、
しかも耐熱性や耐蝕性において充分なアルミ亜鉛合金め
っき鋼板を採用すれば、充分な性能を確保しながらより
安価なオーブンを製作可能になるので、アルミ亜鉛合金
めっき鋼板をオーブンの一部に採用する構成が提案され
ている。

【０００６】このアルミ亜鉛合金めっき鋼板とは、基材
が鉄板から構成し、この基材を、溶融アルミＡｌ−亜鉛
Ｚｎ−シリコーンＳｉ合金を満たしためっき槽に連続的
に浸漬して、めっきを施したものであり、耐熱性が極め
て高く、しかも高反射の特性を有しためっき鋼板であ
り、特に、ヒータ機能を有する加熱調理器には適した材
料である。

【０００７】しかしながら、この様な構成にあっては、
ステンレス綱板とアルミ亜鉛合金めっき鋼板の各材料自
体がもつ電位において差があるため、これら構成部材の
接合部において電触が発生し、この電触による錆の進行
が加熱された食品から出る水蒸気によって非常に早くな
るという問題を有している。

【０００８】本発明は、上記事情を考慮して成されたも
ので、接合部における錆の発生を抑さえ、且つ安価なオ
ーブンを構成できる加熱調理器のオーブン構造を提供で
きることを目的とする。 ［発明の構成］

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、請求項１においては、オーブンを形成する
構成部材の一部が異種金属からなる加熱調理器のオーブ
ン構造において、異種金属間の接合部に電位の異なる金
属部材を介在させたことを特徴とする。請求項２におい
ては、異種金属の接合部に介在させる金属部材は、異種
金属双方の略中間の電位を有する金属部材により構成さ
れたことを特徴とする。

【００１０】請求項３においては、異種金属の一方はス
テンレス鋼板により、他方はアルミ亜鉛合金めっき鋼板
により構成され、これらの接合部に介在される金属は電
位が略中間の材料である低合金鋼から構成されたことを
特徴とする。

【００１１】

【作用】本発明は、ステンレス綱板とアルミ亜鉛合金め
っき鋼板との接合部に略中間の電位を持つ低合金綱を介
在させて両者のオーブン構成部材を接合したので、接合
間の電位差が小さくなって、その分、電触が生じにくく
なり水蒸気あるいは高温の影響による早期錆の発生を抑
制できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例につき図面を参照し
て説明する。図１〜図３において、１は、内部に加熱室
を形成してなるオーブンであり、このオーブン１は、ス
テンレス鋼板からなる前板２と、この前板２と同材料で
構成され、断面をＵ字状にして側壁面を構成する側板３
と、一部に加熱ヒータの反射部４ａを形成してなる天井
板４と、後板５とによって構成されている。この天井板
４と後板５とは一体成形にて構成されるとともに、耐熱
性が高く、しかも高反射のアルミ亜鉛合金めっき鋼板を
用いて構成されている。そして、この側板３と天井板
４、あるいは後板３との接合部間には、図４に示すよう
に電位がステンレス鋼板とアルミ亜鉛めっき鋼板双方の
中間の材料である低合金綱からなる金属部材としての接
続部材６を介在して電気溶接にて接合されている。そし
て、上記側板３には導波管７が付設されている。

【００１３】また、この接続部材６と接合される上記側
板３のフランジ３ａには図４に示すように所定間隔をお
いて、電気溶接用の電極が挿通するに充分な逃げ穴８を
穿設しており、この逃げ穴８により一方の電極を挿通可
能に構成することにより天井板４と接続部材６とを接合
できるようにしている。

【００１４】このような構成において、前板２、側板
３、天井板４及び後板５との接合を電気溶接手段を用い
て行われるが、特に、異種金属の部材間に介在する上記
接続部材６の接合を含めた組立手順は次のようにして行
われる。

【００１５】図４に示すように、まず側板３のフランジ
３ａに接続部材６を重ね合わせて電気溶接によって接合
する。つぎに、天井板４と接続部材６を電気溶接によっ
て接合するが、上記側板３のフランジ３ａには、電気溶
接用の電極が挿通するに充分な逃げ穴８が穿設されてお
り、この逃げ穴８を一方の電極が挿通して天井板４と接
続部材６とが接合可能になる。同様にして、前板２と天
井板４との間に介在される接続部材６もこのような接合
形態にて接合される。

【００１６】因みに、夫々各部材における電位は、「ス
テンレス綱」では、０．５〜０．６Ｖ、「アルミ亜鉛め
っき綱」では、０．９Ｖ〜１．０Ｖ、「低合金綱」で
は、０．６Ｖ〜０．７Ｖになっており、ステンレス綱か
らなる天井板４とアルミ亜鉛めっき綱からなる側板３を
直接接合すると、金属部材間に生じる電位差が大きく、
電触が発生して錆の生じる時間が非常に早くなるが、上
記実施例のように、接合部間に中間の電位を有する低合
金綱からなる接続部材６を介在させて接合するようにし
たので、接合部の電触の発生を抑えて、錆の早期発生を
効果的に防止できる。

【００１７】さらに、本実施例のように天井板４を耐熱
性が良く高反射のアルミ亜鉛めっき鋼板を使用する場合
は、加熱ヒータが必要とする反射部４ａを、天井板４に
一体成形できるので、オーブンを安価に製造できる。

【００１８】なお、上記実施例においては、各部材の接
合を電気溶接にて行っているが、これに代えて、かしめ
による接合手段を用いても良く、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲内にて変更が可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、オ
ーブンを構成する異種金属間に電位の異なる金属部材を
介在させたので、金属部材間に発生する電触を抑えて、
錆の発生を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】加熱調理器のオーブンを示す斜視図

【図２】同分解斜視図

【図３】オーブンの接合部を拡大して示す分解斜視図

【図４】オーブンの接合部の要部断面図

【符号の説明】

１はオーブン、２は前板、３は側板、４は天井板、５は
後板、６は接続部材（電位の異なる金属部材）を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オーブンを形成する構成部材の一部が異種
   金属からなる加熱調理器のオーブン構造において、異種
   金属間の接合部に電位の異なる金属部材を介在させたこ
   とを特徴とする加熱調理器のオーブン構造。
2. 【請求項２】異種金属の接合部に介在させる金属部材
   は、異種金属双方の略中間の電位を有する金属部材によ
   り構成されたことを特徴とする請求項１記載の加熱調理
   器のオーブン構造。
3. 【請求項３】異種金属の一方はステンレス鋼板により、
   他方はアルミ亜鉛合金めっき鋼板により構成され、これ
   らの接合部に介在される金属は電位が略中間の材料であ
   る低合金鋼から構成されたことを特徴とする請求項１ま
   たは請求項２記載の加熱調理器のオーブン構造。