JPH05270704A - テープ巻取装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻き姿の良いテープ巻き取りができ、巻き取
られたテープに損傷を与えず、さらに、組み立てメンテ
ナンズが容易なテープ巻取装置を提供する。 【構成】 幅方向の中央部を高くした円弧状の外周面を
しているローラであって、巻取軸１に巻き取られたテー
プ１０を押さえ付けながら回転するクラウン付きタッチ
ローラ６を備えている。さらに、幅方向に平坦な外周面
をしているローラであって、巻取軸１に巻き取られたテ
ープ１０を押さえ付けながら回転する円柱状タッチロー
ラ８を備えている。クラウン付きタッチローラ６は、巻
取軸１に巻き取られたテープ１０の幅方向中央部を押圧
して、テープの幅方向中央部から外側に向けてテープ間
の空気を逃がす。また、円柱状タッチローラは、テープ
の全面を押さえることにより、テープ間の空気を除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープ、サーマル
リボン、及び紙テープ等を製造する際に、これらテープ
をハブや管等の巻取軸に巻取るテープ巻取装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】磁気テープやサーマルリボン等の製造に
際しては、テープをハブ又は管等の巻取軸に巻き取る工
程が多々ある。この巻き取ったテープに巻き乱れがあり
テープの端面が不揃いである場合（即ち、巻き姿が悪い
場合）には、製品の性能が低下したり、かさ張って輸送
に不便であったり、また、見栄えが悪く商品価値が低下
する等の問題が生じる。この巻き姿が悪くなる原因は、
巻取軸に巻き取られたテープと、その上に重ねてこれか
ら巻き取られるテープとの間に空気を巻き込んでしまう
ことが最大の原因とされている。特に、製造ラインにお
いては毎分３００ｍ以上の高速でテープを巻き取るの
で、わずかな空気であっても巻き乱れが極めて大きかっ
た。

【０００３】この巻き乱れを防ぐために、従来より、巻
取軸に巻き取られたテープを上から押さえ付ける円柱状
のタッチローラを用いる対策や、テープの幅方向の位置
を決めるための溝付きの位置規制ローラを用いる対策が
とられてきた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のタ
ッチローラではテープ間の空気を完全に押し出すことは
できず、図１１に示されるように、タッチローラ５１で
テープ５０を押さえ付けたとしても巻き取られたテープ
５０に巻き乱れができ、満足できる巻き姿を得ることが
できなかった。

【０００５】一方、溝付きの位置規制ローラを用いた場
合には、巻き姿は良好になるが、図１２に示されるよう
に、巻き取られたテープ５０の端面５０ａに位置規制ロ
ーラ５２のフランジ部５３が当たるために筋模様のダメ
ージが与えられ、テープの商品価値を下げてしまう場合
があった。

【０００６】また、従来の高速のテープ巻取装置におい
て、溝付きの位置規制ローラのみでテープの巻き乱れを
防ぐ場合には、複数個の溝付き位置規制ローラによりテ
ープの幅方向の位置を決定していく場合が多かった。こ
のため、例えば、テープ幅を変えてテープ巻取をする場
合に位置規制ローラの芯だし作業が手間のかかる困難な
ものになっていた。

【０００７】そこで、本発明は上記課題を解決するため
になされたものであり、その目的とするところは、巻き
姿の良いテープ巻き取りができるテープ巻取装置を提供
することにある。

【０００８】また、本発明の他の目的は、巻き取られた
テープに損傷を与えず、さらに、装置の組み立てメンテ
ナンズが容易なテープ巻取装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、巻取軸を回転
させて、この巻取軸にテープを巻き取るテープ巻取装置
に、幅方向の中央部を高くした円弧状の外周面を有し、
上記巻取軸に巻き取られたテープを押さえ付けながら回
転するクラウン付きタッチローラと、幅方向に平坦な外
周面を有し、上記巻取軸に巻き取られたテープを押さえ
付けながら回転する円柱状タッチローラとを備えたこと
を特徴としている。

【００１０】

【作用】本発明においては、クラウン付きタッチローラ
は、巻取軸に巻き取られたテープの幅方向中央部を押圧
して、テープの中央部から外側に向けてテープ間の空気
を逃がす。また、円柱状タッチローラは、テープの全面
を押さえることにより、テープ間の空気を除去する。こ
れら２種類のローラの組み合わせにより、テープ間に巻
き込まれる空気は極めて少なくなり、空気の巻き込みに
よるテープの巻き乱れは減少する。

【００１１】また、本発明においては、クラウン付きタ
ッチローラ及び円柱状タッチローラの他に、巻取軸に巻
き取られる前のテープの幅方向の位置を規制する溝付き
の位置規制ローラを組み合わせによりテープの巻き乱れ
をさらに減少させることができる。

【００１２】

【実施例】以下に、本発明を図示の実施例に基づいて説
明する。

【００１３】図１は、本発明に係るテープ巻取装置の一
実施例を示す概略構成図である。同図に示されるよう
に、本実施例のテープ巻取装置は、供給リール２のテー
プ１０をガイドローラ２１，２２，２３と、テープの幅
方向の位置を規制する位置規制ローラ５を介して巻取軸
１に巻き取る。この巻取軸１は、図示しないモータ等の
駆動機構によりＡ方向に回転してテープ１０を巻き取
る。

【００１４】また、巻取軸１の近傍には、支点４を中心
に回転できるタッチアーム３が設けられており、このタ
ッチアーム３には位置規制ローラ５とクラウン付きタッ
チローラ６とが取り付けられている。ここで、位置規制
ローラ５は、巻取軸１に巻き取られる前のテープ１０が
巻き掛けられている。また、タッチアーム３を巻取軸１
方向に引き寄せるばね７により、クラウン付きタッチロ
ーラ６は巻取軸１に巻き取られたテープ１０を押さえ付
けている。

【００１５】図２は位置規制ローラ５を示す断面図であ
る。この図に示されるように、位置規制ローラ５には、
その外周部にテープ幅とほぼ同じ幅の溝５ａがある。テ
ープは、この溝５ａに巻き掛けられ、フランジ部５ｂに
よってテープの幅方向の位置決めされながら案内され
る。また、位置規制ローラ５は、タッチアーム３に固定
されたシャフト１５に軸受１４を介して回転可能に取り
付けられている。

【００１６】図３はクラウン付きタッチローラ６を示す
断面図である。この図に示されるように、クラウン付き
タッチローラ６は、外周に幅方向（図３における水平方
向）の中央部を高くした円弧状の丸み（クラウン）を有
し、タッチアーム３に固定されたシャフト２４に軸受２
６を介して回転可能に取り付けられている。尚、図にお
いて、２５は、軸受２６がシャフト２４から外れないよ
う押さえる軸受押さえを示す。

【００１７】また、図１に示されるように、本実施例の
テープ巻取装置には、巻取軸１の近傍に支点２７を中心
に回転できるタッチアーム９が設けられており、このタ
ッチアーム９には円柱状タッチローラ８が取り付けられ
ている。ここで、タッチアーム９を巻取軸１方向に引き
寄せるばね２８により、円柱状タッチローラ８は巻取軸
１に巻き取られたテープ１０を押さえ付けている。

【００１８】図４は円柱状タッチローラ８を示す断面図
である。同図に示されるように、円柱状タッチローラ８
は、幅方向（図４における水平方向）に平坦な外周面を
有し、タッチアーム９に固定されたシャフト２９に軸受
３１を介して回転可能に取り付けられている。尚、図に
おいて、３０は、軸受３１がシャフト２９から外れない
よう押さえる軸受押さえを示す。

【００１９】以上のような構成を有する本実施例のテー
プ巻取装置は次のように動作する。先ず、供給リール２
より供給されたテープ１０はガイドローラ２１，２２，
２３を経て、位置規制ローラ５に導かれ、ここでテープ
１０の幅方向の位置を決めてからＡ方向に回転する巻取
軸１に巻き取られる。テープ１０はクラウン付きタッチ
ローラ６により押さえ付けられながら巻取軸１に巻き取
られる。このとき、図５に示されるように、テープ１０
の幅方向の中央部が押さえ付けられ、中央部の空気が両
方の外側に向けて押し出されるため、巻き取られたテー
プ１０の幅方向の位置がテープ間に押し込まれた空気に
より乱されにくくなる。続いて、図６に示されるよう
に、円柱状であり、幅方向に平坦な外周を持つ円柱状タ
ッチローラ８によりテープ１０の全幅が押さえ付けら
れ、残りの空気も外側に押し出される。このような作用
が連続的に行われることにより、良好な巻き姿を得るこ
とができる。特に、空気の巻き込みによる巻き乱れの大
きい高速巻取の装置においては効果が大きい。また、本
実施例においては、図１２の従来例に示されるように、
巻き取られた後のテープをフランジ付きのタッチローラ
で押さえ付ける必要がないので、巻取軸に巻き取られた
テープの側面に損傷を与えることはない。

【００２０】尚、クラウン付きタッチローラ６の丸みの
度合いや材質、及び円柱状タッチローラの材質等は、巻
き取られるテープの幅、厚さ、材質等に応じて適宜変更
することができる。特に、タッチローラ６と８の材質
は、ゴム等の弾性体で製作するのが、巻取ハブの偏芯等
よる振動吸収の点から好ましい。

【００２１】また、クラウン付きタッチローラ６がテー
プを押さえ付ける位置と、円柱状タッチローラ８がテー
プを押さえ付ける位置との間隔は、図１に示されるよう
に必ずしも接近している必要はなく、例えば、両タッチ
ローラ６と８が軸受１を挟んで反対側に位置してもよ
く、さらには、円柱状タッチローラ８がクラウン付きタ
ッチローラ６の上流側（巻取軸１の回転方向Ａに対して
上流側）に位置してもよい。このような、クラウン付き
タッチローラ６と円柱状タッチローラ８との位置関係
は、巻き取られるテープの幅、厚さ、材質、巻取速度等
の諸条件に基づいて決定すればよい。

【００２２】さらに、本実施例においては、テープの幅
方向の位置を決める位置規制ローラ５を１個設ければよ
く、位置決めローラを複数個備えた場合の芯だしの手間
が削減される。

【００２３】さらにまた、本発明は、図１に示された実
施例に限定されるものではなく、図７乃至図１０に示さ
れるような種々の変形が可能である。

【００２４】例えば、図７の装置は、クラウン付きタッ
チローラ６を２個、円柱状タッチローラ８を２個備えて
いる。

【００２５】また、図８の装置は、円柱状タッチローラ
８を２個備えるとともに、クラウン付きタッチローラ６
及び円柱状タッチローラ８のそれぞれを巻取軸１に向け
て又は離れる方向に移動させることができるエアシリン
ダ１１を、それぞれのタッチローラ６と８に備えてい
る。

【００２６】さらに、図９の装置は、位置規制ローラ５
と、クラウン付きタッチローラ６と、円柱状タッチロー
ラ８とを同一のローラ取付部材１３に取り付け、このロ
ーラ取付部材１３を巻取軸１に向けて又は離れる方向に
移動させることができるエアシリンダ３２を備えてい
る。

【００２７】さらにまた、図１０の装置は、位置規制ロ
ーラ５と、クラウン付きタッチローラ６と、円柱状タッ
チローラ８とを同一のローラ取付部材１３に取り付け、
このローラ取付部材１３を巻取軸１に向けて又は離れる
方向に移動させることができる機構を、タッチアーム３
３と、タッチアーム駆動ギア１７と、これを駆動させる
タッチアーム駆動モータ１８とから構成している。この
場合には、タッチローラ６と８のタッチ圧を、モータ１
８の制御により正確に設定でき、巻き取ったテープ１０
の内周から外周までを、最も適した一定のタッチ圧にす
ることができ、一層良好な巻き姿を得られ、品質を向上
させるができる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
クラウン付きタッチローラと円柱状タッチローラとの組
み合わせにより、テープ間に巻き込まれる空気は極めて
少なくなり、空気の巻き込みによるテープの巻き乱れを
小さくすることができる。

【００２９】また、巻取軸に巻き取られる前のテープの
幅方向の位置を規制する溝付きの位置規制ローラを組み
合わせによりテープの巻き乱れをさらに減少させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るテープ巻取装置の一実施例の概略
構成図である。

【図２】図１の位置規制ローラ５を示す断面図である。

【図３】図１のクラウン付きタッチローラ６を示す断面
図である。

【図４】図１の円柱状タッチローラ８を示す断面図であ
る。

【図５】クラウン付きタッチローラ６がテープ１０を押
さえ付ける様子を示す図である。

【図６】円柱状タッチローラ８がテープ１０を押さえ付
ける様子を示す図である。

【図７】本発明に係るテープ巻取装置の他の実施例の概
略構成図である。

【図８】本発明に係るテープ巻取装置のさらに他の実施
例の概略構成図である。

【図９】本発明に係るテープ巻取装置のさらに他の実施
例の概略構成図である。

【図１０】本発明に係るテープ巻取装置のさらに他の実
施例の概略構成図である。

【図１１】従来のタッチローラを用いた場合の問題点を
説明するための図である。

【図１２】従来の溝付きの位置規制ローラを用いた場合
の問題点を説明するための図である。

【符号の説明】

１ 巻取軸 ２ 供給リール ３ タッチアーム ５ 位置規制ローラ ５ａ 溝 ６ クラウン付きタッチローラ ８ 円柱状タッチローラ ９ タッチアーム １０ テープ

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成４年４月２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００２

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００２】磁気テープやサーマルリボン等の製造に際
しては、テープをハブ又は管等の巻取軸に巻き取る工程
が多々ある。この巻き取ったテープに巻き乱れがありテ
ープの端面が不揃いである場合（即ち、巻き姿が悪い場
合）には、製品の性能が低下したり、かさ張って輸送に
不便であったり、また、見栄えが悪く商品価値が低下す
る等の問題が生じる。この巻き姿が悪くなる原因は、巻
取軸に巻き取られたテープと、その上に重ねてこれから
巻き取られるテープとの間に空気を巻き込んでしまうこ
とが最大の原因とされている。特に、製造ラインにおい
て毎分３００ｍ以上の高速でテープを巻き取る場合に
は、わずかな空気であっても巻き乱れが極めて大きかっ
た。

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２１

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２１】また、クラウン付きタッチローラ６がテー
プを押さえ付ける位置と、円柱状タッチローラ８がテー
プを押さえ付ける位置との間隔は、図１に示されるよう
に必ずしも接近している必要はなく、例えば、両タッチ
ローラ６と８が巻取軸１を挟んで反対側に位置してもよ
く、さらには、円柱状タッチローラ８がクラウン付きタ
ッチローラ６の上流側（巻取軸１の回転方向Ａに対して
上流側）に位置してもよい。このような、クラウン付き
タッチローラ６と円柱状タッチローラ８との位置関係
は、巻き取られるテープの幅、厚さ、材質、巻取速度等
の諸条件に基づいて決定すればよい。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻取軸を回転させて、この巻取軸にテー
   プを巻き取るテープ巻取装置において、 幅方向の中央部を高くした円弧状の外周面を有し、上記
   巻取軸に巻き取られたテープを押さえ付けながら回転す
   るクラウン付きタッチローラと、 幅方向に平坦な外周面を有し、上記巻取軸に巻き取られ
   たテープを押さえ付けながら回転する円柱状タッチロー
   ラと、 を有するテープ巻取装置。
2. 【請求項２】 上記テープ幅にほぼ等しい幅の溝を備え
   ていて、上記巻取軸に巻き取られる前のテープを上記溝
   に巻き掛けることにより上記テープの幅方向の位置を規
   制する位置規制ローラをさらに有することを特徴とする
   請求項１記載のテープ巻取装置。