JPH05269773A - 被覆成形品の製造方法 - Google Patents

被覆成形品の製造方法

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JPH05269773A
JPH05269773A JP7128692A JP7128692A JPH05269773A JP H05269773 A JPH05269773 A JP H05269773A JP 7128692 A JP7128692 A JP 7128692A JP 7128692 A JP7128692 A JP 7128692A JP H05269773 A JPH05269773 A JP H05269773A
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JP
Japan
Prior art keywords
mold
smc
coating
base material
thermosetting resin
Prior art date
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Application number
JP7128692A
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English (en)
Inventor
Natsuki Morishita
夏樹 森下
Kazuyoshi Yamamoto
和芳 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 部位により厚みの異なる基材を型内で加熱加
圧成形した後に熱硬化性被覆材料を型内で被覆させて被
覆層を形成する際、全ての部位において密着性の良好な
被覆層を形成する。 【構成】 請求項1に記載の発明では、基材の厚みの厚
い部分と接する型表面C及び/またはFの温度を、厚み
の薄い部分と接する型表面A及び/またはDの温度より
も相対的に高くして基材を成形することを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、基材の厚みの厚い部分に相
対的に硬化速度の速い熱硬化性樹脂組成物を用い、基材
の厚みの薄い部分に相対的に硬化速度の遅い熱硬化性樹
脂組成物を用いて基材を成形することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス成形により、型
内において基材上に被覆層を形成する被覆成形品の製造
方法に関するものであり、特に部位により厚みの異なる
基材上に被覆層を形成する際に全面において密着性の良
好な被覆層を形成することのできる被覆成形品の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、熱硬化性材料よりなる成形品が、
金属部品等の代替部材として工業部品等に非常に広く用
いられている。中でも、シート・モールディング・コン
パウンド(以下、SMCと略す)またはバルク・モール
ディング・コンパウンド(以下、BMCと略す)が汎用
されている。しかしながら、SMCまたはBMCを成形
型内で加熱・加圧により成形して得られた成形品の表面
には、気孔、微小亀裂、ひけまたは起伏等の表面欠陥が
多く発生しがちであった。このような表面欠陥が存在し
ている場合、成形品に通常の方法による塗装を施して
も、十分な塗膜を形成することは難しい。
【0003】このような表面欠陥を隠蔽するための方法
として、いわゆる型内塗装方法が提案されている。例え
ば、特開昭53−71167号には、金型内で加熱・加
圧してSMCを半硬化させた後、金型を開き、被覆材料
を注入することにより成形品に被覆層を設ける方法が開
示されている。他方、特開昭61−273921号に
は、圧縮成形中に成形圧力を超える注入圧で被覆材料を
注入し、硬化させることにより、成形品表面に被覆層を
形成する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の型内被覆成形方法においては、成形品の厚みが部位に
よって異なる場合、特に肉厚の薄い部分における被膜と
基材との密着性が悪くなるという欠点があった。すなわ
ち、これらの型内被覆成形方法においては、少なくとも
基材の表面が半硬化状態となって基材内部に被覆材料が
もぐり込まない程度まで硬化させる必要があり、硬化さ
せた後でなければ被覆材料の注入を行なうことができな
い。この時、部位によって基材の厚みに差がある場合に
は、厚みの厚い部分の硬化の方が遅くなるため、厚みの
厚い部分が半硬化状態になるのを待ってから被覆材料を
注入しなければならない。しかしながら、この時点にお
いては、既に、厚みの薄い部分においては硬化が完全硬
化に近くなるまで進んでおり、ほぼ完全硬化した基材の
上に被覆された被膜は、被膜が硬化する際の収縮応力が
基材との界面において緩和されにくいため、被膜の密着
性が悪くなるのである。
【0005】本発明の目的は、このような従来の問題点
を解消し、部位により厚みの異なる基材を型内において
被覆成形する際、全ての部位において密着性の良好な被
覆層を形成させることのできる被覆成形品の製造法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、基材の厚みの厚い部分と接する型表面の温度を、基
材の厚みの薄い部分と接する型表面の温度よりも相対的
に高くして基材を成形することを特徴としている。請求
項1に記載の発明に従えば、基材の厚みの厚い部分にお
ける硬化を基材の厚みの薄い部分における硬化よりも速
めることができ、全体における硬化の状態を均一に近づ
けることができる。このため、厚みの厚い部分が被覆材
料の注入可能な半硬化状態になった時に、厚みの薄い部
分においても半硬化状態であり、厚みの薄い部分におい
ても被覆層の密着性を良好なものにすることができる。
【0007】温度差をつける型面は、型内被覆用組成物
が注入され被覆される面でも良いし、その裏側の面でも
良い。当然のことながら、両面共に温度差をつけること
が最も好ましい。付与する温度差は、厚みの薄い部分と
厚みの厚い部分のそれぞれの厚みにより異なる。また、
金型の形状等その他の条件によっても多少変わることが
あるので、厳密には実際に成形を行なって基材を構成す
る熱硬化性樹脂の硬化が均一になるかどうかを実験しな
がら決定することが好ましい。しかしながら、理論的に
は、以下のようにして計算することができる。
【0008】すなわち、一般的に、熱硬化性樹脂の硬化
反応において、その反応速度はアレニウスの式に従うこ
とが知られており、これを利用して計算することが可能
である。例えば、過酸化物によりラジカルを発生させて
不飽和化合物を付加重合、硬化させるような熱硬化反応
を利用する熱硬化性樹脂においては、アレニウスの式に
より、硬化反応速度Vは、exp(−E/RT)に比例
する(E:過酸化物の活性化エネルギー、R:気体定
数、T:温度)。また同時に硬化反応速度Vは、厚みd
に反比例することが経験的に知られている。以上のこと
から、硬化反応速度が、以下の式によって表すことがで
きる。
【0009】
【数1】
【0010】(但し、a:比例定数、d:厚み、E:過
酸化物の活性化エネルギー、R:気体定数、T:温度)
従って、厚みd1 の部分の温度=T1 、厚みd2 の部分
の温度=T2 として、反応速度を同一にするには、以下
の式が成立すれば良い。
【0011】
【数2】
【0012】この時、T1 とT2 の関係は、以下の式
(1)で示される。
【0013】
【数3】
【0014】式(1)の右辺からT2 を消去すると、以
下の式(2)で表される。
【0015】
【数4】
【0016】通常のプレス成形に用いられる過酸化物の
Eは、28〜35Kcalであり、また通常のプレス成
形における成形温度T1 及びT2 は、120〜170℃
程度である。これらの値を式(1)における係数(RT
1 2 /E)に代入すると、RT1 2 /Eはおよそ9
〜13となる。厚みの厚い部分と薄い部分の厚みの比d
2 /d1 =αとすると、金型のどちらかの片面にのみ温
度差をつける場合には、その温度差は、
【0017】
【数5】
【0018】になる。金型の両面に温度差をつける場合
には、被覆材料を注入する面での温度差とその裏面での
温度差の和が上記の温度差になることが好ましく、従っ
て、金型の両面に同様の温度差をつける場合には、それ
ぞれの面における温度差が、
【0019】
【数6】
【0020】となるように設定することが望ましい。厚
みの厚い部分と薄い部分との厚みの比が2倍である場合
には、
【0021】
【数7】
【0022】となるので、金型両面共に温度差をつける
場合には、6〜9℃、どちらか一方の面のみに温度差を
つける場合には、12〜18℃程度の温度差をつけるこ
とが好ましい。金型の加熱方法等の制約によって、理想
的な温度差をつけることが不可能な場合もあるが、この
ような場合においても、可能な範囲で多少でも温度差を
つけることにより、本発明の効果を得ることができる。
特に、被覆層の面の温度差とその裏面での温度差との和
が(10×Lnα)℃以上であれば、十分に本発明の効
果を得ることができる。
【0023】但し、金型の両面における温度差の和が、
(50×Lnα)℃以上にしてしまうと、逆に厚みの厚
い部分における硬化が厚みの薄い部分の硬化よりも速く
なり、硬化の状態の均一性が崩れてしまう可能性があ
る。このため、金型の両面の温度差の和は、(50×L
nα)℃以下に調節されることが好ましい。また、基材
の形状が、3種以上の厚みを有する場合には、厚みの最
も厚い部分及び厚みの最も薄い部分の2種の厚みについ
てのみ上記の調節を行なうだけでも本発明の効果を得る
ことができるが、その2種以外の厚みについても適宜温
度差をつければ、さらに大きな効果を得ることができ
る。すなわち、基材の厚みが、d1 、d2 、d3 、…
…、dn のn種類の部分を有する場合には、
【0024】
【数8】
【0025】とし、また厚みdk の部分の上金型面温度
をTak、下金型温度をTbkとすれば以下の式を満足する
ように温度設定を行なうことが有効である。
【0026】
【数9】
【0027】特に、全てのk(1≦k≦n)に対し、1
0≦Sk ≦50であることが好ましく、特に20≦Sk
≦26である場合に最大の効果を持つ。これをもう少し
わかりやすく説明すれば、例えば上型について、
【0028】
【数10】
【0029】また、下型について
【0030】
【数11】
【0031】のように金型温度が設定されるときに大き
な効果を有する。また、基材の形状が、無段階に厚みが
変化するような場合には、同様にすべく無段階的に温度
差をつけることが好ましい。
【0032】請求項1に記載の発明に従い、温度差をつ
ける方法としては、従来公知の任意の方法が可能であ
る。例えば、金型の各部に組み込まれるヒーターをそれ
ぞれ独立した制御系統でコントロールする方法、あるい
は金型温度を比較的低くするべき部分にヒーターと別の
配管を作り、これに水または空気等の冷媒を通して冷や
す方法、金型の形状として温度を低くするべき部分の金
型の厚みを薄くして放熱しやすい形状にする方法、並び
に部分的に金型の材質を変えて比熱または熱伝導率を変
えて放熱しやすさに差をつける方法等各種の方法を応用
することができる。請求項1に記載の発明に従えば、上
述のような温度条件に金型温度を調節することによっ
て、従来公知の型内被覆成形法を適用することにより、
厚みの異なる部位を有する基材の上に密着性の良好な被
覆層を形成させることができる。
【0033】請求項2に記載の発明では、基材を成形す
るに際し、基材の部位の厚みに応じて部位ごとに硬化速
度の異なる熱硬化性樹脂を用い、厚みの厚い部分には相
対的に硬化速度の速い熱硬化性樹脂組成物を、厚みの薄
い部分には相対的に硬化速度の遅い熱硬化性樹脂組成物
を用いることを特徴としている。 熱硬化性樹脂組成物
の硬化速度は、その配合のうち硬化速度に大きく寄与す
るものの配合を変更することにより調整することができ
る。すなわち、具体的には、硬化剤の種類及び/または
量、禁止剤の種類及び/または量、硬化促進剤の種類及
び/または量等の配合を調整することによって容易に硬
化速度を調整することができる。
【0034】また、硬化速度の異なる熱硬化性樹脂組成
物の複数種を組み合わせて混合し、その組み合わせ比率
により硬化速度を調整することもできる。この場合、組
み合わせた熱硬化性樹脂が全体として硬化速度の相対的
に速いものであるならば、これを「相対的に硬化速度の
速い熱硬化性樹脂組成物」として利用することができ、
また組み合わせた熱硬化性樹脂組成物が、全体として硬
化速度の相対的に遅いものであるならば、これを「相対
的に硬化速度の遅い熱硬化性樹脂組成物」として利用す
ることができる。
【0035】上記のように配合調整によって硬化速度が
調節された熱硬化性樹脂組成物は、その硬化速度を測定
して、硬化速度が実際にどの程度になっているかを確認
することが好ましい。ここで、硬化速度の測定方法とし
ては、公知慣用の各種の方法を応用することができる。
すなわち、熱硬化性樹脂組成物が硬化するに従って組成
物の粘度が上昇することを利用する方法、及び組成物の
硬化反応に伴う硬化発熱を測定する方法等がある。
【0036】硬化速度の目安としては、測定されるキュ
アタイムすなわち硬化反応がほぼ終了するまでの時間が
重要な因子となる。理想的には、熱硬化性樹脂組成物が
載置される部分の基材の厚みとキュアタイムを反比例さ
せることが最も好ましい。例えば、厚みの厚い部分と薄
い部分における厚みの比が2倍の時には、厚みの厚い部
分に載置する熱硬化性樹脂組成物と厚みの薄い部分に載
置する熱硬化性樹脂組成物のキュアタイムの比を1/2
に調節することが最も好ましい。一般的には、厚みの比
がX倍の時には、熱硬化性樹脂組成物のキュアタイムの
比を1/Xに調整するのが好ましい。
【0037】最も、現実的には、何らかの理由により正
確に反比例させることができないこともある。このよう
な場合においても、基材の厚みと、その部分に載置され
る組成物のキュアタイムを少しでも反比例に近づけれ
ば、本発明の効果を得ることができる。特に、厚みの比
がX倍である時に、キュアタイムの比を2/(1+X)
〜2/(3X−1)とすれば十分に本発明の効果を得る
ことができる。また、基材の形状が3種以上の厚みを有
する場合においては、厚みの最も厚い部分に載置する組
成物のみを、他の部分よりも硬化速度を速くするか、あ
るいは最も厚みの薄い部分に載置する組成物のみを他の
部分よりも硬化速度を遅くするだけでも、かなりの効果
を発揮させることができる。しかしながら、最も厚い部
分及び最も薄い部分以外のそれぞれの部分においても、
適宜硬化速度に差をつけることにより、さらに大きな効
果を得ることができる。請求項2に記載の発明に従う1
つの実施態様では、厚みの薄い部分において硬化反応遅
延剤を熱硬化性樹脂組成物と共に載置することにより、
熱硬化性樹脂組成物の硬化速度を相対的に遅くする。
【0038】硬化反応遅延剤には、従来から公知の任意
の遅延剤を用いることができる。すなわち、パラベンゾ
キノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、トルキノ
ン、2,5ジフェニルパラベンゾキノン、2,5ジアセ
トキシパラベンゾキノン、2,5ジカプロキシパラベン
ゾキノン、2,5ジアシロキシパラベンゾキノン等のキ
ノン類、ハイイドロキノン、パラターシャリーブチルカ
テコール、2,5ジターシャリーブチルハイドロキノ
ン、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5ジ
ターシャリーアミルハイドロキノン等のハイドロキノン
類、ジターシャリーブチルパラクレゾールハイドロキノ
ンモノメチルエーテル、アルファナフトール等のフェノ
ール類、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレー
ト、ジ(トリメチルベンジルアンモニウム)オキザレー
ト、トリメチルベンジルアンモニウムマレエート、トリ
メチルベンジルアンモニウムタータレート、トリメチル
ベンジルアンモニウムグリコレート等の第4級アンモニ
ウム塩類、フェニルβナフチルアミン、パラベンジルア
ミノフェノール、ジβナフチルパラフェニレンジアミン
等のアミン類、ジニトロベンゼン、トリニトロトルエ
ン、ピクリン酸等のニトロ化合物、キノンジオキシム、
シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、ピロガロー
ル、タンニン酸、レゾルシン等の多価フェノール類等が
ある。
【0039】このような遅延剤の用いるべき量は、その
種類と熱硬化性樹脂組成物中の硬化触媒の種類及び量、
厚みの薄い部分と厚い部分における厚みの比率及びその
部分における厚み等の条件により変わるので、それぞれ
の条件において実験を繰り返した後適切な使用量を決定
する必要がある。また、これらの遅延剤は、必要により
適当な溶剤に溶かして液体状に調製するか、あるいは適
当な樹脂中に混練してペースト状に調製する等して、取
り扱いやすい状態となるように調節することができる。
固体状の遅延剤であれば、そのまま金型内に載置するこ
とも可能であり、また液体状の禁止剤あるいは溶剤に溶
かして液体とした禁止剤の場合には、スポイトのような
もので滴下するか、あるいは刷毛のようなもので塗布し
たり、スプレーのようなもので吹き付ける等各種の方法
で載置することができる。
【0040】遅延剤及び熱硬化性樹脂組成物を金型内に
載置する方法としては、各種の方法が考えられる。すな
わち、金型上に粉末遅延剤を載置し、その上に熱硬化性
樹脂組成物を載置する方法、あるいは金型上に熱硬化性
樹脂組成物を載置し、その上に遅延剤を載置する方法、
または熱硬化性樹脂組成物がシート状であればそのシー
トとシートの間に遅延剤を載置する等の方法を適用させ
ることができる。請求項2に記載の発明に従う他の実施
態様においては、基材の厚みの厚い部分に、硬化触媒及
び/または硬化促進剤を熱硬化性樹脂組成物と共に載置
することにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化速度を相対
的に速くする。
【0041】硬化触媒には、従来公知の任意の触媒を用
いることができる。すなわち、過酸化水素等の無機過酸
化物、各種の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ化合物等がある。ここで、有機過酸化物とし
ては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキ
サノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオ
キサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトン
パーオキサイド類、イソブチルパーオキサイド、2,4
ジクロロベンゾイルパーオキサイド、オルトメチルベン
ゾイルパーオキサイド、ビス3,5,5トリメチルヘキ
サノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパー
オキサイド等のジアシルパーオキサイド類、2,4,4
トリメチルペンチル2ハイドロパーオキサイド、ジイソ
プロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロ
パーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、2,5ジ
メチル2,5ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキ
サン、1,3ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソ
プロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、
1,1ジターシャリーブチルパーオキシ3,3,5トリ
メチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、2,
4,4トリメチルペンチルパーオキシフェノキシアセテ
ート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエー
ト、ターシャリーブチルパーオキシ2エチルヘキサノエ
ート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等の
アルキルパーエステル類、ビス(4ターシャリーブチル
シクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプ
ロピルパーオキシカーボネート、ターシャリーブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネー
ト類等が用いられる。
【0042】硬化触媒の用いるべき量は、その種類と、
熱硬化性樹脂組成物中に配合されている硬化触媒の種類
及び量、また厚みの薄い部分と厚い部分における厚みの
比及びその部分の厚み等の条件により変わるので、それ
ぞれの条件において実験を繰り返した後適切な使用量を
決定する必要がある。硬化促進剤としては、従来公知の
任意の促進剤を用いることができる。すなわち、ナフテ
ン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト系促進
剤、ジメチルアニリン、ジメチルメタトルイジン、ジエ
チルアニリン等の3級アミン、メルカプトベンゼン、メ
ルカプト酢酸、メルカプトエタノール、ジメルカプトこ
はく酸、1,2ジメルカプトエタン等のメルカプタン、
トリフェニルホスフィン、2エチルヘキシルホスファイ
ト等のリン化合物等がある。
【0043】促進剤の用いるべき量は、その種類と、熱
硬化性樹脂組成物の硬化触媒の種類と量、また厚みの薄
い部分と厚い部分における厚みの比及びその部分の厚み
等の条件により変わるので、それぞれの条件において実
験を繰り返した後適切な使用量を決定する必要がある。
硬化触媒及び促進剤の使用の態様は、上記の遅延剤の場
合と同様に、液状あるいは固体状の状態で用いることが
できる。また熱硬化性樹脂組成物と共に金型内に載置す
る方法も、上記の遅延剤と同様にして用いることができ
る。基材の形状は、3種類以上の厚みにする場合におい
ても、上記の遅延剤と同様に、厚みの最も厚い部分に載
置するだけでも良いし、また厚みの最も厚い部分以外の
部分においてもその種類または量を変化させて載置させ
て用いても良い。
【0044】請求項1及び2に記載の発明のおいては、
型表面の温度を基材の厚みの厚い部分と薄い部分とで変
化させること、または基材の厚みの厚い部分と薄い部分
とで用いる熱硬化性樹脂組成物の硬化速度を変化させる
ことを除き、従来から公知の型内被覆成形方法の条件を
適用させることができる。例えば、成形金型内にSMC
を入れて、40〜120kg/cm2 の圧力で、30秒
〜5分間加圧成形した後、金型をわずかに開いて型内被
覆用組成物を注入し、次いで5〜120kg/cm2
130〜160℃で30秒〜5分間再加熱再加圧するこ
とにより、成形されたSMCの表面全体に型内被覆用組
成物を展延し、硬化させて被覆層を形成させるという方
法がある。
【0045】また、特開昭61−273921号に開示
されているように、SMCを40〜120kg/cm2
で数十秒〜数分間加圧成形した後、圧力を10〜30k
g/cm2 に減圧した状態で高圧注入機を用いて100
〜300kg/cm2 の高圧で被覆材料を型内に注入
し、再び30〜100kg/cm2 に圧力を増加させ
て、型内被覆用組成物を展延し、硬化させるという方法
もある。ここで、請求項1及び2に記載の発明において
用いられる材料、すなわち基材を構成する熱硬化性樹脂
材料、及び被覆層を構成する熱硬化性被覆材料について
説明する。
【0046】請求項1及び2に記載の発明において、基
材を構成するための熱硬化性樹脂材料に用いる熱硬化性
樹脂としては、熱分解性のラジカル触媒を用いて二重結
合を開裂付加反応させて3次元網目構造を形成すること
ができる、分子内に反応性二重結合を有する不飽和ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル(エポキシアクリレー
ト)樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、2液ウレタンタ
イプの熱硬化性樹脂等を用いることができる。これらの
樹脂は、それぞれ、単独で用いられてもよく、あるいは
複数種を混合して用いられてもよい。上記不飽和ポリエ
ステル樹脂は、公知慣用の方法により、通常、有機ポリ
オールと脂肪族不飽和ポリカルボン酸と、さらに必要に
応じて脂肪族飽和ポリカルボン酸及び/または芳香族ポ
リカルボン酸等から製造される。
【0047】他方、上記ビニルエステル樹脂も、公知慣
用の方法により、通常、エポキシ樹脂と、(メタ)アク
リル酸等の反応性二重結合を有するモノカルボン酸から
製造される。また、上記ウレタンアクリレート樹脂は、
通常、アルキレンジオール、アルキレンジオールエステ
ル、アルキレンジオールエーテル、ポリエーテルポリオ
ールまたはポリエステルポリオール等の有機ポリオール
に、有機ポリイソシアネートを反応させ、さらにヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて製造さ
れる。
【0048】ここで、上記不飽和ポリエステル樹脂に用
いられる有機ポリオールとしては、ジオール、トリオー
ル、テトロール及びこれらの混合物が挙げられるが、主
として脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとに分けら
れる。脂肪族ポリオールとして代表的なものには、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、ジブロムネオペンチル
グリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメチレン
グリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペ
ンタエリスリットジアリルエーテル、水素化ビスフェノ
ールA等があり、また芳香族ポリオールとして代表的な
ものとしては、ビスフェノールAまたはビスフェノール
SあるいはこれらのビスフェノールAまたはビスフェノ
ールSにエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしく
はブチレンオキシドのような脂肪族オキシラン化合物
を、一分子中に平均1〜20個の範囲で付加させて得ら
れるポリオキシアルキレンビスフェノールAまたはポリ
オキシアルキレンビスフェノールS等がある。
【0049】また前記脂肪族不飽和カルボン酸としては
(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸等
が前記脂肪族飽和カルボン酸としてはセバチン酸、アジ
ピン酸、(無水)コハク酸等が、前記芳香族カルボン酸
としては、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレ
ンテトラヒドロ無水フタル酸等が用いられる。
【0050】また、前記ビニルエステル樹脂に用いられ
るエポキシ樹脂としては、これもまた公知慣用の方法に
よりエピクロルヒドリン及びビスフェノールAから製造
されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒ
ドリン及び臭素化ビスフェノールAから製造される臭素
化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラ
ックまたはオルトクレゾールノボラックをグリシジルエ
ーテル化して製造されるノボラック型エポキシ樹脂、各
種アミンとエピクロルヒドリンを反応させて得られる、
テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシ
ジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラ
グリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−
p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフ
ェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルト
トルイジン等のグリシジルアミン化合物等が用いられ
る。
【0051】また、前記ウレタンアクリレート樹脂に用
いられるポリオールとしては、アルキレンジオールとし
て、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジイソプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ブタンジオール等のヒドロキシアルキルエーテル
等、ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシメチ
レン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イド等、ポリエステルポリオールとしては前述したよう
な有機ポリオール及びポリカルボン酸等により製造され
た、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール等
が用いられる。
【0052】また、前記ウレタンアクリレート樹脂に用
いられるポリイソシアネートとしては、トンリレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチ
レンポリフェニルジイソシアネート等が用いられる。ま
た、前記ウレタンアクリレート樹脂に用いられるヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートとしては、通常、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート等が用いられ、ヒドロキシル基は通常アル
キル基のベータ位の炭素に結合している。アルキル基は
通常8個までの炭素原子を含むことができる。
【0053】また、前記2液ウレタンタイプの熱硬化性
樹脂に用いられるポリイソシアネート及びポリオールと
しては、前記ウレタンアクリレート樹脂の説明において
例示したもの等を用いることができる。また、請求項1
及び2に記載の発明の熱硬化性樹脂材料には、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルト
ルエン、ジアリルフタレート、各種アクリレートモノマ
ー、各種メタクリレートモノマー等の共重合性単量体や
低収縮剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリメチル(メタ)
アクリレート、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重
合体、酢酸ビニル−スチレン共重合体、ポリブタジエ
ン、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類等のよう
な熱可塑性樹脂を必要に応じて適当量用いることができ
る。
【0054】さらに、請求項1及び2に記載の発明の熱
硬化性樹脂材料には、目的及び用途に応じて、適当量の
無機充填剤を加えることができる。使用可能な無機充填
剤としては、以下のようなものがある。すなわち、硫
黄、グラファイト、ダイヤモンド等の元素鉱物、黄鉄鉱
等の硫化鉱物、岩塩、カリ岩塩等のハロゲン化鉱物、炭
酸カルシウム等の炭酸塩鉱物、藍鉄鉱等のりん酸塩鉱
物、カルノー石等のバナジン酸塩鉱物、重晶石(硫酸バ
リウム)、石膏(硫酸カルシウム)等の硫酸塩鉱物、ほ
う砂等のほう酸塩鉱物、灰チタン石等のチタン酸塩鉱
物、雲母、タルク(滑石)、葉ろう石、カオリン、石
英、長石等のけい酸塩鉱物、酸化チタン、鋼玉(酸化ア
ルミニウム)、水酸化アルミニウム等の金属(水)酸化
物、(中空)ガラス球等のガラス製品等を中心とした天
然または人工の鉱物またはそれを処理、精製あるいは加
工したもの、及びそれらの混合物が用いられる。また、
上記充填剤は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0〜
300重量部の割合で添加されるのが好ましい。添加量
が300重量部を超えると充填剤を樹脂及び単量体の中
に均一に分散させることが困難になり、また粘度が高く
なりすぎるため型内での流動性が低下し、寸法安定性が
低下する。
【0055】また、請求項1及び2に記載の発明の熱硬
化性樹脂材料では、補強材として、各種補強繊維、すな
わちガラス繊維、炭素繊維等を必要に応じて適当量加え
ることができる。さらに、本発明の熱硬化性樹脂材料に
は、必要に応じて、カーボンブラック、酸化チタン、酸
化鉄、シアニン系顔料、アルミフレーク、ニッケル粉、
金粉、銀粉等の顔料、アゾ系染料やアントラキノン系、
インジゴイド系、スチルベン系等の染料、カーボンブラ
ック等の導電性付与剤、乳化剤、ステアリン酸亜鉛等の
金属石鹸類、脂肪族燐酸塩、レシチン等の離型剤等を用
途、目的に応じて適当量加えることができる。
【0056】請求項1及び2に記載の発明において、被
覆層を構成する熱硬化性被覆材料の樹脂成分としては、
上述の熱硬化性樹脂材料と同様に、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹
脂、2液ウレタンタイプの熱硬化性樹脂等を用いること
ができる。これらは、それぞれ単独で用いられてもよい
し、複数種を混合して用いてもよい。また、さらに、充
填剤、重合開始剤、硬化促進剤、禁止剤、低収縮剤、及
び離型剤等の添加剤が含有されてもよい。
【0057】
【実施例】図1は、以下に説明する各実施例において用
いた成形用の金型を示す正面図である。図2は、同じく
金型の側面図である。図1及び図2を参照して、上型1
には、下方に向かって突き出た凸部が形成されており、
下型2には上型1の凸部が嵌め合わされる凹部が形成さ
れている。上型1の凸部の下端面は、平坦に形成され、
下型2の凹部は、深さの異なる3つの面D,E及びFを
有している。下型2のDの部分には上型1のAが対応
し、下型2のFの部分には上型1のCの部分が対応し、
下型2のEの部分には上型1のBの部分が対応する。A
〜Fの位置には、それぞれ別個の棒状の電気ヒーターが
埋め込まれており、A〜Fの温度をそれぞれ調節するこ
とができるようにされている。
【0058】図3及び図4は、下型2の凹部に上型1の
凸部が嵌め合わされた状態を示している。下型2の凹部
内に基材となる熱硬化性組成物を載置させておくことに
より、上型1の凸部と下型2の凹部とで挟まれる空間内
に該形状に合わせて基材を成形することができる。図5
及び図6はこのようにして成形される基材を示す正面図
及び側面図である。図5に示されるように、基材3の幅
方向には厚みの異なるa,c及びbの部分がそれぞれ幅
100mmで形成される。aの部分の厚みは約2mmで
あり、cの部分の厚みは約8mmであり、bの部分の厚
みは約4mmである。
【0059】まず、請求項1に記載の発明に従う実施例
について説明する。基材を構成する熱硬化性樹脂組成物
としてのSMCを、以下の1〜5の材料を混合し、十分
に攪拌した後SMC含浸装置によりガラス繊維(旭ファ
イバーグラス社製のロービング:ER4630LBD1
66Wを長さ25mmに切断したもの)60部に含浸さ
せて作製した。
【0060】1.不飽和ポリエステル樹脂液(イソフタ
ル酸系の不飽和ポリエステル樹脂60重量%、スチレン
モノマー40重量%)70重量部(以下「部」と記す) 2.ポリスチレン系低収縮剤樹脂(ポリスチレン樹脂3
0重量%、スチレンモノマー70重量%)30部 3.炭酸カルシウム粉末(日東粉化社製、商品名:NS
−100)120部 4.硬化剤(化薬アクゾ社製、商品名:カヤブチルB、
ターシャリーブチルパーオキソベンゾエート含有率98
重量%、活性化エネルギー32.9Kcal/mol)
1部 5.増粘剤(協和化学社製、商品名:キョーワマグ15
0、酸化マグネシウム粉末)1部
【0061】次に、被覆層を構成する熱硬化性樹脂組成
物を、以下の1〜3の材料を混合し、十分攪拌すること
によって作製した。 1.エポキシアクリレート樹脂液(ビスフェノールA型
エポキシアクリレート樹脂60重量%、スチレンモノマ
ー40重量%)100部 2.炭酸カルシウム粉末(商品名:NS−100)10
0部 3.硬化剤(商品名:カヤブチルB)1部
【0062】上述の理論式(1): T2 −T1 =(RT1 2 /E)×Ln(d2 /d1 ) から、理論上付与すべき温度差を以下のようにして計算
した。 T1 =150℃、T2 =130℃〜170℃として、R
1 2 /E=10.3〜11.3となった。また、d
2 /d1 =2を代入して、 T2 −T1 =(RT1 2 /E)×Ln(d2 /d1
=7.1〜7.8℃となった。 以上のようにして得られた計算上の温度差を考慮して、
以下の実施例を実施した。
【0063】実施例1−1 上述の金型においてA〜Fの6個のヒーターを制御する
ことにより、A´部の金型表面温度を143℃、B´部
の金型表面温度を150℃、C´部の金型表面温度を1
57℃、D´金型表面温度を143℃、E´部の金型表
面温度を150℃、F´部の金型表面温度を157℃に
調節した。この金型内に、上記のSMCを約800g載
置し、100kg/cm2 の圧力で80秒間加圧成形し
た後、金型をわずかに開いて上記の型内被覆用組成物を
10ml注入し、再び金型を閉めて80kg/cm2
120秒間再加熱再加圧することにより、成形されたS
MCの表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化させ
て被覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表面
を厚み約100μmの被覆層で被覆した成形品を得た。
【0064】以上のようにして得られた成形品の表面に
おいて、それぞれ金型表面A´、B´、及びC´と接し
ていた部分であるa、b、及びcの3点(図5及び図6
に図示)の部分で、カッターナイフを用い2mm間隔で
11本の素子に達する直線を引き、さらにそれに直交す
る11本の直線を引いて碁盤目状の部分を形成した。こ
の碁盤目状の部分に粘着テープ(積水化学社製、商品
名:セロテープ)を貼り付けた後引き剥がし、碁盤目の
ますの残存数を調べた(碁盤目密着試験)。その結果、
a、b、及びcの3箇所とも100/100であった。
【0065】実施例1−2 金型の表面温度を、A´=135℃、B´=150℃、
C´=165℃、D´=150℃、E´=150℃、F
´=150℃とした以外は、上記の実施例1−1と同様
の方法で成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様
の碁盤目密着試験により評価した。その結果、a、b、
cの3箇所とも100/100であった。
【0066】実施例1−3 金型表面温度を、A´=150℃、B´=150℃、C
´=150℃、D´=135℃、E´=150℃、F´
=165℃とした以外は、実施例1−1と同様の方法で
成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様の碁盤目
密着試験により評価した。その結果、a、b、cの3箇
所とも100/100であった。
【0067】実施例1−4 金型の表面温度を、A´=146℃、B´=150℃、
C´=154℃、D´=146℃、E´=150℃、F
´=154℃とした以外は、実施例1−1と同様の方法
で成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様の碁盤
目密着試験により評価した。その結果、a、b、cの3
箇所とも100/100であった。
【0068】実施例1−5 金型の表面温度を、A´=140℃、B´=150℃、
C´=160℃、D´=150℃、E´=150℃、F
´=150℃とした以外は、実施例1−1と同様の方法
で成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様の碁盤
目密着試験により評価した。その結果、a、b、cの3
箇所とも100/100であった。
【0069】比較例1−1 金型の表面温度を、A´=150℃、B´=150℃、
C´=150℃、D´=150℃、E´=150℃、F
´=150℃とした以外は、実施例1−1と同様の方法
で成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様の碁盤
目密着試験により評価した。その結果、aでは15/1
00であり、b及びcの2箇所では100/100であ
った。
【0070】比較例1−2 金型の表面温度を、A´=157℃、B´=157℃、
C´=157℃、D´=157℃、E´=157℃、F
´=157℃とした以外は、実施例1−1と同様の方法
で成形し、得られた成形品を実施例1−1と同様の碁盤
目密着試験により評価した。その結果、aにおいては7
/100、bにおいては35/100、cにおいては1
00/100であった。
【0071】比較例1−3 金型の表面温度を、A´=135℃、B´=135℃、
C´=135℃、D´=135℃、E´=135℃、F
´=135℃とした。この金型内に、上記SMCを約8
00gチャージし、100kg/cm2 の圧力で80秒
間加圧成形した後金型をわずかに開いたところ、b及び
cの部分においてSMCが未硬化状態であり、その未硬
化樹脂が上型表面に付着しており、型内被覆用組成物を
注入することができなかった。
【0072】比較例1−4 金型の表面温度を、A´=143℃、B´=143℃、
C´=143℃、D´=143℃、E´=143℃、F
´=143℃とした。この金型内に上記SMCを約80
0gチャージし、100kg/cm2 の圧力で80秒間
加圧成形した後、金型をわずかに開いたところ、cの部
分においてSMCが未硬化状態であり、その未硬化樹脂
が上型表面に付着しており、型内被覆用組成物を注入す
ることができなかった。以上の実施例及び比較例を、以
下に表にまとめて示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】表1及び表2の比較から明らかなように、
請求項1に記載の発明に従い、基材の厚みの厚い部分と
接する型表面の温度を、厚みの薄い部分と接する型表面
の温度よりも相対的に高くして基材を成形することによ
り、厚みの厚い部分の硬化を速めて薄い部分との硬化状
態を均一に近づけることができる。このため、厚みの厚
い部分が被覆材料を注入可能な半硬化状態になった時厚
みの薄い部分においても半硬化状態であり、厚みの薄い
部分においても被覆層の密着性を良好なものにすること
ができる。
【0076】次に、請求項2に記載の発明に従う実施例
について説明する。硬化速度の異なる熱硬化性樹脂組成
物として、以下に示すような5種類のSMCを作製し
た。
【0077】[SMC配合No.1] 1.不飽和ポリエステル樹脂液(イソフタル酸系の不飽
和ポリエステル樹脂60重量%、スチレンモノマー40
重量%)70部 2.ポリスチレン系低収縮剤樹脂液(ポリスチレン樹脂
30重量%、スチレンモノマー70重量%)30部 3.炭酸カルシウム粉末(NS−100)120部 4.硬化剤(カヤブチルB)1部 5.禁止剤(和光純薬社製、パラベンゾキノン)0.1
部 6.増粘剤(キョーワマグ150)1部 を混合し、十分に攪拌した後、SMC含浸装置によりガ
ラス繊維(旭ファイバーグラス社製のローリング、商品
名ER4630LBD166Wを長さ25mmに切断し
たもの)60部を含浸させ、SMC配合No.1とし
た。
【0078】[SMC配合No.2] 1.不飽和ポリエステル樹脂液70部 2.ポリスチレン系低収縮剤樹脂液30部 3.炭酸カルシウム粉末120部 4.硬化剤(カヤブチルB)3部 5.増粘剤1部 を混合し、十分に攪拌した後、SMC含浸装置によりガ
ラス繊維60部に含浸させ、SMC配合No.2とし
た。
【0079】[SMC配合No.3] 1.不飽和ポリエステル樹脂液70部 2.ポリスチレン系低収縮剤樹脂液30部 3.炭酸カルシウム粉末120部 4.硬化剤(化薬アクゾ社製、商品名:カヤエステルO
−50、ターシャリーブチルパーオキソ2エチルヘキサ
ノエート、含有率50重量%)3部 5.増粘剤1部 を混合し、十分に攪拌した後、SMC含浸装置によりガ
ラス繊維60部に含浸させ、SMC配合No.3とし
た。
【0080】[SMC配合No.4] 1.不飽和ポリエステル樹脂液70部 2.ポリスチレン系低収縮剤樹脂液30部 3.炭酸カルシウム粉末120部 4.硬化剤(化薬アクゾ社製、商品名:パーカドックス
16、ビス(4ターシャリーブチルシクロヘキシル)パ
ーオキソジカーボネート、含有率95%)2部 5.増粘剤1部 を混合し、十分に攪拌した後、SMC含浸装置によりガ
ラス繊維60部に含浸させ、SMC配合No.4とし
た。
【0081】[SMC配合No.5]上記のSMC配合
No.1及びNo.4のガラス繊維以外の配合物を重量
比1:1に混ぜ合わせたものを作製し、これに上記配合
と同様にSMC含浸装置によりガラス繊維60部を含浸
させて、SMC配合No.5とした。
【0082】硬化速度の測定 上記のSMCを作製する際に、ガラス繊維以外の配合物
を混合したものを2cm3 取り出して、直径1cmの試
験管に入れ、組成物の中に熱伝対を差し込んだものを作
製した。これを150℃に加熱したオイルバスに浸し、
組成物内温度の経時変化を記録計により記録した。その
チャートから、オイルバスに浸漬してから、組成物の温
度が最高になるまでの時間を読み取り、これをキュアタ
イムとした。結果は以下の通りである。
【0083】SMC配合No.1 150秒 SMC配合No.2 105秒 SMC配合No.3 85秒 SMC配合No.4 40秒 SMC配合No.5 70秒 型内被覆用組成物については、上述の実施例1のシリー
ズと同様にして作製した。
【0084】実施例2−1 図1に示す金型において、上下の金型表面温度をそれぞ
れ150℃とした。この金型内のD位置に上記のSMC
配合No.1を115g、E位置にSMC配合No.3
を230g、Fの位置に上記のSMC配合No.4を4
60gチャージし、100kg/cm2 の圧力で50秒
間加圧成形した後、金型をわずかに開いて上記型内被覆
用組成物を10ml注入し、再び金型を閉めて80kg
/cm2で120秒間再加熱再加圧することにより、成
形されたSMCの表面全体に型内被覆用組成物を展延
し、硬化させて被覆層を形成させた。その後、型を開い
て脱型し、表面を厚み約100μmの被覆層で被覆させ
た成形品を得た。
【0085】このようにして得られた成形品の表面にお
いて、金型表面A、B、Cに接していた部分であるa、
b、cの3点(図5及び6に示す)で、カッターナイフ
を用いて2mm間隔で11本の素地に達する直線を引き
さらにそれに直交する11本の直線を引いてできた碁盤
目状の部分に粘着テープ(積水化学社製、商品名:セロ
テープ)を貼り付けた後引き剥がし、碁盤目のますの残
存数を調べた(碁盤目密着試験)。その結果、a、b、
cの3箇所とも100/100であった。
【0086】実施例2−2 金型内のDの位置に上記のSMC配合No.1を115
g、Eの位置に上記のSMC配合No.2を230g、
Fの位置に上記のSMC配合No.3を460gチャー
ジし、100kg/cm2 の圧力で60秒間加圧成形し
た後、金型をわずかに開いて、型内被覆用組成物を10
ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm2 で12
0秒間再加熱再加圧することにより、成形されたSMC
の表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被
覆層を形成させた。その後、型を開いて脱型し、表面を
厚み100μmの被覆層で被覆させた成形品を得た。こ
のようにして得られた成形品について、実施例2−1と
同様の方法で評価した。その結果、a、b、cの3箇所
とも100/100であった。
【0087】実施例2−3 金型内のDの位置に上記SMC配合No.2を115
g、Eの位置に上記SMC配合No.3を230g、F
の位置に上記のSMC配合No.4を460gチャージ
し、100kg/cm2 の圧力で50秒間加圧成形した
後、金属をわずかに開いて型内被覆用組成物を10ml
注入し、再び金型を閉めて50kg/cm 2 で120秒
間再加熱再加圧をすることにより、成形されたSMCを
表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被覆
層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表面を厚み
約100μmの被覆層で形成された成形品を得た。この
ようにして得られた成形品について、実施例2−1と同
様の方法で評価した。その結果、a、b、cの3箇所と
も100/100であった。
【0088】実施例2−4 金型内のDの位置に上記のSMC配合No.1を115
gチャージし、Eの位置に上記のSMC配合No.1を
115gとその上に上記のSMC配合No.4を115
g重ねて(固形230g)チャージし、Fの位置に上記
のSMC配合No.4を460gチャージし、100k
g/cm2 の圧力で50秒間加圧成形した後、金型をわ
ずかに開いて上記型内被覆用組成物を10ml注入し、
再び金型を閉めて50kg/cm2 で120秒間再加熱
再加圧することにより、成形されたSMCの表面全体に
型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成さ
せた。その後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μ
mの被覆層で被覆された成形品を得た。このようにして
得られた成形品について実施例1と同様の方法で評価し
た。その結果、a、b、cの3箇所とも100/100
であった。
【0089】比較例2−1 金型内に上記のSMC配合No.1のみを800gチャ
ージし、100kg/cm2 の圧力で50秒間加圧成形
した後、金型をわずかに開いたところ、b、cの部分に
おいてSMCが未硬化状態であり、その未硬化樹脂が上
型表面に付着しており、型内被覆用組成物を注入するこ
とができなかった。
【0090】比較例2−2 金型内に上記のSMC配合No.1のみを800gチャ
ージし、100kg/cm2 の圧力で140秒間加圧成
形した後金型をわずかに開いたところ、cの部分におい
てSMCが未硬化状態であり、その未硬化樹脂が上型表
面に付着しており、型内被覆用組成物を注入することが
できなかった。
【0091】比較例2−3 金型内に上記のSMC配合No.1のみを800gチャ
ージし、100kg/cm2 の圧力で150秒間加圧成
形した後、金属をわずかに開いて上記型内被覆用組成物
を10ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm2
で120秒間再加熱再加圧することにより、成形された
SMCの表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化さ
せて被覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表
面を厚み約100μmの被覆層で被覆された成形品を得
た。このようにして得られた成形品について、実施例2
−1と同様の方法で評価した。その結果、aにおいて
は、0/100、bにおいては12/100、cにおい
ては100/100であった。
【0092】比較例2−4 金型内に上記のSMC配合No.4のみを800gチャ
ージし、100kg/cm2 の圧力で40秒間加圧成形
した後、金型をわずかに開いたところ、cの部分におい
てSMCが未硬化状態であり、その未硬化樹脂が上型表
面に付着しており、型内被覆用組成物を注入することが
できなかった。
【0093】比較例2−5 金型内に上記のSMC配合No.5のみを800gチャ
ージし、100kg/cm2 の圧力で150秒間加圧成
形した後、金型をわずかに開いて上記の型内被覆用組成
物を10ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm
2 で120秒間再加熱再加圧することにより、成形され
たSMCの表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化
させて被覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、
表面を厚み約100μmの被覆層で被覆された成形品を
得た。このようにして得られた成形品について実施例2
−1と同様の方法で評価した。その結果、aにおいては
7/100、bにおいては35/100、cにおいては
100/100であった。実施例2−1〜2−5の配合
割合及びキュアタイムを以下に示す。
【0094】
【表3】
【0095】実施例及び比較例の密着性の評価を以下に
示す。
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【0098】表4及び表5の結果から明らかなように、
請求項2に記載の発明に従い、基材の厚みの厚い部分に
相対的に硬化速度の速い熱硬化性樹脂組成物を用い、基
材の厚みの薄い部分に相対的に硬化速度の遅い熱硬化性
樹脂組成物を用いて基材を成形することにより、厚みの
厚い部分の硬化を速めて厚みの薄い部分の硬化状態に近
づけることができる。このため、厚みの厚い部分におい
て被覆材料が注入可能な半硬化状態になった時に、厚み
の薄い部分においても半硬化状態であり、厚みの薄い部
分においても被覆層の密着性を良好なものにすることが
できる。
【0099】以下、請求項2に記載の発明の1つの実施
態様に従い、厚みの薄い部分において硬化反応遅延剤を
熱硬化性樹脂組成物と共に載置して基材を成形する実施
例について説明する。基材を構成する熱硬化性樹脂組成
物としてのSMC並びに型内被覆用組成物は、実施例1
のシリーズと同様にして調製したものを用いた。
【0100】実施例3−1 上述の金型において、上下の金型表面温度を150℃と
した。この金型内のDの位置に上記のSMCを115
g、Eの位置に上記SMCを230g、Fの位置に上記
SMCを460gチャージし、さらに、Dの位置にチャ
ージしたSMCの上にパラベンゾキノン(和光純薬社
製、以下PBQと略す)0.3gを置いた。またはEの
位置にチャージしたSMCの上にさらにPBQ0.15
gを置いた。次に金型を閉めて100kg/cm2 の圧
力で約130秒間加圧成形した後、金型をわずかに開い
て上記の型内被覆用組成物を10ml注入し、再び金型
を閉めて80kg/cm2 で130秒間再加熱再加圧す
ることにより、成形されたSMCの表面全体に型内被覆
用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成させたその
後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μmの被覆層
で被覆された成形品を得た。
【0101】このようにして得られた成形品の表面にお
いて、金型表面A、B、Cに接していた部分であるa、
b、cの3点(図5及び図6に図示)で、カッターナイ
フを用いて2mmの間隔で11本の素地に達する直線を
引き、さらにそれに直交する11本の直線を引いてでき
た碁盤目状の部分に粘着テープ(積水化学社製、商品
名:セロテープ)を貼り付けた後引き剥がし、碁盤目の
ますの存在数を調べた(碁盤目密着試験)。その結果、
a、b、cの3箇所とも100/100であった。
【0102】実施例3−2 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、Dの位
置にSMC上にPBQを0.2g、Eの位置のSMC上
にPBQを0.1g置いた後金型を閉め、100kg/
cm2 の圧力で130秒間加圧成形した後、金型をわず
かに開いて金型内被覆用組成物を10ml注入し、再び
金型を閉めて50kg/cm2 で120秒間再加熱再加
圧することにより、成形されたSMCの表面全体に型内
被覆用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成させ
た。その後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μm
の被覆層で被覆された成形品を得た。このようにして得
られた成形品について、実施例3−1と同様の方法で評
価した。その結果、a、b、cの3箇所とも100/1
00であった。
【0103】実施例3−3 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、Dの位
置のSMC上にモノターシャリーブチルハイドロキノン
(和光純薬社製、以下TBHQと略す)を0.2g、E
の位置のSMC上にTBHQを0.05g置いた後、金
型を閉めて、100kg/cm2 の圧力で130秒間加
圧成形した後、金型をわずかに開いて型内被覆用組成物
を10ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm2
で120秒間再加熱再加圧することにより、成形された
SMCの表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化さ
せて被覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表
面を厚み約100μmの被覆層で被覆させた成形品を得
た。このようにして得られた成形品について実施例3−
1と同様の方法で評価した。その結果、a、b、cの3
箇所とも100/100であった。
【0104】実施例3−4 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、Dの位
置のSMC上にシクロヘキサノンオキシム(和光純薬社
製、以下CHOと略す)を0.1g、Eの位置のSMC
上にCHOを0.1g載置した後、金型を閉め、100
kg/cm2 の圧力で130秒間加圧成形した後、金型
をわずかに開いて型内被覆用組成物を10ml注入し、
再び金型を閉めて50kg/cm2 で120秒間再加熱
再加圧することにより、成形されたSMCの表面全体に
型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成さ
せた。その後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μ
mの被覆層で被覆した成形品を得た。このようにして得
られた成形品について実施例1と同様の方法で評価し
た。その結果、a、b、cの3箇所とも100/100
であった。
【0105】比較例3−1 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、遅延剤
を何処にも用いずに金型を閉め、100kg/cm2
圧力で100秒間加熱成形した後金型をわずかに開いた
ところ、b、cの部分においてSMCが未硬化状態であ
り、その未硬化樹脂が上型表面に付着しており、型内被
覆用組成物を注入することができなかった。
【0106】比較例3−2 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、遅延剤
を何処にも用いずに金型を閉め、100kg/cm2
圧力で120秒間加圧成形した後金型をわずかに開いた
ところ、cの部分においてSMCが未硬化状態であり、
その未硬化樹脂が上型表面に付着しており、型内被覆用
組成物を注入することができなかった。
【0107】比較例3−3 実施例3−1と同様にSMCをチャージした後、遅延剤
を何処にも用いずに金型を閉め、100kg/cm2
圧力で130秒間加圧成形した後、金型をわずかに開い
て上記型内被覆用組成物を10ml注入し、再び金型を
閉めて50kg/cm2 で120秒間再加熱再加圧する
ことにより、成形されたSMCの表面全体に型内被覆用
組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成させた。その
後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μmの被覆層
で被覆した成形品を得た。このようにして得られた成形
品について実施例3−1と同様の方法で評価した。その
結果、aにおいては0/100、bにおいては12/1
00、cにおいては100/100であった。以上の実
施例及び比較例を以下の表にまとめて示す。
【0108】
【表6】
【0109】表6から明らかなように、本実施態様に従
うことにより、厚みの薄い部分の硬化を遅くして、厚み
の厚い部分とほぼ同程度の硬化状態に近づけることがで
きる。このため、厚みの厚い部分が被覆材料の注入可能
な半硬化状態になった時に、厚みの薄い部分においても
半硬化状態であり、厚みの薄い部分における被覆層の密
着性を良好なものにすることができる。
【0110】以下、請求項2に記載の発明の他の実施態
様に従う実施例について説明する。基材を構成する熱硬
化性樹脂組成物であるSMC及び被覆層を構成する型内
被覆用組成物は、実施例1のシリーズと同様にして作製
した。
【0111】実施例4−1 上下の金型表面温度を150℃とし、この金型内のDの
位置に上記のSMCを115g、Eの位置に上記SMC
を230g、Fの位置に上記SMCを460gチャージ
し、さらに、Eの位置にチャージしたSMCの上に硬化
触媒としてカヤエステルO−50(化薬アクゾ社製、タ
ーシャリーブチルパーオキソ2エチルヘキサノエート含
有率50重量%)1gを滴下した。また、Fの位置にチ
ャージしたSMCの上にさらに硬化触媒としてパーカド
ックス16(化薬アクゾ社製、ビス(4ターシャリーブ
チルシクロヘキシル)パーオキソジカーボネート、含有
率95%)2gを置いた。次に金型を閉めて100kg
/cm2 の圧力で50秒間加圧成形した後、金型をわず
かに開いて上記型内被覆用組成物を10ml注入し、再
び金型を閉めて80kg/cm2 で130秒間再加熱再
加圧することにより、成形されたSMCの表面全体に型
内被覆用組成物を展延し、硬化させて被膜を形成させ
た。その後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μm
の被覆層で被覆した成形品を得た。
【0112】このようにして得られた成形品の表面にお
いてそれぞれ金型表面A、B、Cに接していた部分であ
るa、b、cの3点(図5及び6に図示)において、カ
ッターナイフを用い2mm間隔で11本の素地に達する
直線を引き、さらにそれに直交する11本の直線を引い
てできた碁盤目状の部分に粘着テープ(積水化学社製、
商品名:セロテープ)を貼り付けた後引き剥がし、碁盤
目のますの残存数を調べた(碁盤目密着試験)。その結
果、a、b、cの3箇所とも100/100であった。
【0113】実施例4−2 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、Eの位
置のSMC上にカヤエステルO−50を0.5g、Fの
位置のSMC上にカヤエステルO−50を4g滴下した
後金型を閉め、100kg/cm2 の圧力で60秒間加
圧成形した後、金型をわずかに開いて上記型内被覆用組
成物を10ml注入し、再び金型を閉めて50kg/c
2 で120秒間再加熱再加圧することにより、成形さ
れたSMCの表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬
化させて被覆層を形成させた。その後型を開いて脱型
し、表面を厚み約100μmの被覆層で被覆した成形品
を得た。このようにして得られた成形品について実施例
4−1と同様の方法で評価した。その結果、a、b、c
の3箇所とも100/100であった。
【0114】実施例4−3 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、Eの位
置のSMC上にナフテン酸コバルト溶液(和光純薬社
製、コバルト含有量6%)を1g、Fの位置のSMC上
にナフテン酸コバルト溶液を3g滴下した後金型を閉
め、100kg/cm2 の圧力で60秒間加圧成形した
後、金型をわずかに開いて上記型内被覆用組成物を10
ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm2 で12
0秒間再加熱再加圧することにより、成形されたSMC
の表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被
覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表面を厚
み約100μmの被覆層で被覆した成形品を得た。この
ようにして得られた成形品について実施例4−1と同様
の方法で評価した。その結果、a、b、cの3箇所とも
100/100であった。
【0115】実施例4−4 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、Eの位
置のSMC上にジメチルアニリン(和光純薬社製)を1
g、Fの位置のSMC上にカヤエステルO−50を1g
及びナフテン酸コバルト溶液を1g滴下した後金型を閉
め、100kg/cm2 の圧力で60秒間加圧成形した
後、金型をわずかに開いて上記型内被覆用組成物を10
ml注入し、再び金型を閉めて50kg/cm2 で12
0秒間再加熱再加圧することにより、成形されたSMC
の表面全体に型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被
覆層を形成させた。その後型を開いて脱型し、表面を厚
み約100μmの被覆層で被覆した成形品を得た。この
ようにして得られた成形品について実施例4−1と同様
の方法で評価した。その結果、a、b、cの3箇所とも
100/100であった。
【0116】比較例4−1 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、硬化触
媒及び促進剤を何処にも用いずに金型を閉め、100k
g/cm2 の圧力で100秒間加圧成形した後金型をわ
ずかに開いたところ、b及びcの部分においてSMCが
未硬化状態であり、その未硬化樹脂が上型表面に付着し
ており、型内被覆用組成物を注入することができなかっ
た。
【0117】比較例4−2 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、硬化触
媒及び促進剤を何処にも用いずに金型を閉め、100k
g/cm2 の圧力で120秒間加圧成形した後金型をわ
ずかに開いたところ、cの部分においてSMCが未硬化
状態であり、その未硬化樹脂が上型表面に付着してお
り、型内被覆用組成物を注入することができなかった。
【0118】比較例4−3 実施例4−1と同様にSMCをチャージした後、硬化触
媒及び促進剤を何処にも用いずに金型を閉め、100k
g/cm2 の圧力で130秒間加圧成形した後金型をわ
ずかに開いて上記型内被覆用組成物を10ml注入し、
再び金型を閉めて50kg/cm2 で120秒間再加熱
再加圧することにより、成形されたSMCの表面全体に
型内被覆用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形成さ
せた。その後型を開いて脱型し、表面を厚み約100μ
mの被覆層で被覆した成形品を得た。このようにして得
られた成形品について実施例4−1と同様の方法で評価
した。その結果、aにおいては0/100、bにおいて
は12/100、cにおいては100/100であっ
た。以上の実施例及び比較例をまとめて表に示す。
【0119】
【表7】
【0120】表7から明らかなように、本実施態様に従
うことにより、厚みの厚い部分の硬化を速めて厚みの薄
い部分とほぼ同一の硬化状態に近づけることができる。
このため、厚みの厚い部分が被覆材料の注入可能な半硬
化状態になった時に厚みの薄い部分においても半硬化状
態であり、従って厚みの薄い部分においても被覆層の密
着性を良好なものにすることができる。
【0121】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に従えば、基材の
厚みの厚い部分と接する型表面の温度を厚みの薄い部分
と接する型表面の温度よりも相対的に高くすることによ
り、厚みの厚い部分における硬化を速めて、厚みの薄い
部分と同程度の硬化状態に近づけることができる。この
ため、厚みの厚い部分が被覆材料の注入可能な半硬化状
態になった時に、厚みの薄い部分においても半硬化状態
であり、厚みの薄い部分においても被覆層の密着性を良
好なものにすることができる。
【0122】請求項2に記載の発明に従えば、基材の厚
みの厚い部分に相対的に硬化速度の速い熱硬化性樹脂組
成物を用い、厚みの薄い部分に相対的に硬化速度の遅い
熱硬化性樹脂組成物を用いて基材を成形することによ
り、厚みの厚い部分と薄い部分とでほぼ同程度の硬化状
態にすることができる。このため、厚みの厚い部分が被
覆材料の注入可能な半硬化状態になった時に、厚みの薄
い部分においても半硬化状態であり、厚みの薄い部分に
おいても被覆層の密着性を良好なものにすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いる上型及び下型を
示す正面図。
【図2】本発明の実施例において用いる上型及び下型を
示す側面図。
【図3】本発明の実施例において用いる上型及び下型が
嵌合した状態を示す正面図。
【図4】本発明の実施例において用いる上型及び下型が
嵌合した状態を示す側面図。
【図5】本発明の実施例において成形される基材を示す
正面図。
【図6】本発明の実施例において成形される基材を示す
側面図。
【符号の説明】
1…上型 2…下型

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部位により厚みの異なる熱硬化性樹脂材
    料からなる基材を型内で加熱加圧成形した後、型内で該
    基材上に熱硬化性被覆材料を注入し加熱加圧して被覆層
    を形成する被覆成形品の製造方法であって、 前記基材の厚みの厚い部分と接する型表面の温度を、前
    記基材の厚みの薄い部分と接する型表面の温度よりも相
    対的に高くして成形することを特徴とする、被覆成形品
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 部位により厚みの異なる熱硬化性樹脂材
    料からなる基材を型内で加熱加圧成形した後、型内で該
    基材上に熱硬化性被覆材料を注入し加熱加圧して被覆層
    を形成する被覆成形品の製造方法であって、 前記基材の部位の厚みに応じて部位ごとに硬化速度の異
    なる熱硬化性樹脂を用い、厚みの厚い部分には相対的に
    硬化速度の速い熱硬化性樹脂組成物を、厚みの薄い部分
    には相対的に硬化速度の遅い熱硬化性樹脂組成物を用い
    て、前記基材を成形することを特徴とする、被覆成形品
    の製造方法。
JP7128692A 1992-03-27 1992-03-27 被覆成形品の製造方法 Pending JPH05269773A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193348A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Kojima Press Industry Co Ltd 熱硬化性ウレタンの硬化方法
CN113320080A (zh) * 2021-07-06 2021-08-31 苏州西脉新诚生物科技有限公司 一种增强型复合材料注塑设备及其制备方法

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