JPH05265081A - 複眼撮像装置 - Google Patents

複眼撮像装置

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JPH05265081A
JPH05265081A JP4065169A JP6516992A JPH05265081A JP H05265081 A JPH05265081 A JP H05265081A JP 4065169 A JP4065169 A JP 4065169A JP 6516992 A JP6516992 A JP 6516992A JP H05265081 A JPH05265081 A JP H05265081A
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image pickup
image sensor
image
imaging
optical system
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JP4065169A
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Shigeyuki Suda
繁幸 須田
Tatsuji Katayama
達嗣 片山
Yukichi Niwa
雄吉 丹羽
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複眼撮像装置を、被写体距離によらず画面全
域にわたって高精細な画像の得られるようにする。 【構造】 複眼撮像装置は、二組の撮像系(左側撮像系
10L および右側撮像系10R )を用いて共通の被写体
を撮像して得られる二つの画像を合成することにより高
精細な一つの画像を得るものである。ここで、左側イメ
ージセンサ12Lの感光面と右側イメージセンサ12R
の感光面とは、最大輻輳角を2θ0 ,左側撮像系10L
および右側撮像系10R の最大結像倍率をβ0 としたと
き、左側撮像系10L の光軸LL と直交する面および右
側撮像系12R の光軸LR と直交する面に対して、 φ=0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} ほど傾斜されてそれぞれ設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複眼撮像装置に関し、
特に、二組の撮像系を用いて共通の被写体を撮像して得
られる二つの画像を合成することにより高精細な一つの
画像を得る複眼撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二組の撮像系を用いて共通の被写
体を撮像して得られる二つの画像を合成することにより
高精細な一つの画像を得る複眼撮像装置の原理として
は、図11に示す複眼撮像装置の原理が提案されている
(画像電子学会予稿90−03−04,p.23〜2
8)。すなわち、この複眼撮像装置の原理では、左側撮
像系110Lと右側撮像系110Rとを用意し、左側撮像系110L
と右側撮像系110Rとでサンプリング点を空間位相で1/
2ピッチずらして被写体101 を撮像するとともに、左側
撮像系110Lで得られた画像IL と右側撮像系110Rで得ら
れた画像IR とをマイクロプロセッサ(以下、「CP
U」と称する。)120 で合成処理することにより、一つ
の撮像系で被写体101 を撮像したときに比べて高精細な
一つの出力画像I OUT を得る。
【0003】図12は、左側撮像系110Lおよび右側撮像
系110Rの基本配置を説明するための説明図である。
【0004】左側撮像系110Lは、左側撮像光学系111L
左側イメージセンサ112Lとから構成されており、また、
右側撮像系110Rは、右側撮像光学系111Rと右側イメージ
センサ112Rとから構成されている。ここで、左側撮像光
学系111Lと右側撮像光学系111Rとは等価な仕様を有する
ものであり、ズームレンズからなる。また、左側イメー
ジセンサ112Lと右側イメージセンサ112Rとは等価な仕様
を有するものであり、サチコンなどの撮像管またはCC
Dなどの固体撮像素子からなる。左側撮像系110Lと右側
撮像系110Rとは、それらの光軸LL,LRが被写体面102
上の点Oでほぼ交差し、かつ、被写体面102 の法線O−
O’に対して線対象となる位置にそれぞれ設けられてい
る。ここで、各光軸LL,LRと被写体面102 の法線O−
O’とのなす角をそれぞれθとしたときに、2θを輻輳
角と定義する。
【0005】この複眼撮像装置では、被写体距離が変化
した場合には、たとえば図中×印を中心として被写体距
離の変化に応じて左側撮像系110Lおよび右側撮像系110R
をそれぞれ回転させて輻輳角2θを変えることにより、
撮像が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の複眼撮像装置では、被写体距離が短く(すなわ
ち輻輳角2θが大きく)なるにつれて、左側イメージセ
ンサ112Lおよび右側イメージセンサ112Rの周辺部の感光
面(像面)が被写体面102 と共役でなくなり、ボケが発
生するという問題がある。このことについて、図13を
参照して以下に説明する。
【0007】被写体面102 上の物点P1 に対して、右側
イメージセンサ112Rの周辺部の感光面と共役な平面200
上のボケ量をδ,右側撮像光学系111Rの前側主点Hから
平面200 までの距離をS0 ,右側撮像光学系111Rの前側
主点Hから物点P1 までの距離をS1 および右側撮像光
学系111Rの有効瞳径をDとすると、 δ/D=(S0 −S1 )/S1 (1) S0 −S1 =S0 /(1+D/δ) (2) と表される。また、右側イメージセンサ112Rの周辺部の
感光面における物点P1に対するボケ量をδ’および右
側撮像光学系111Rの結像倍率(横倍率)をβとすると、 |δ’|=|β×δ| (3) と表される。
【0008】物点P1 から光軸LR に垂線をおろしたと
きの線分の長さをηとすると、 S0−S1=η×tan(θ) (4) と表せる。また、右側撮像光学系111Rの前側主点Hおよ
び物点P1 を結ぶ直線と平面200 との交点から、光軸L
R と平面200 との交点P0 まで長さをyとすると、 η/y=S1/S0 (5) と表せる。したがって、(5)式より、 η=y×S1/S0 =y×{1−(S0−S1)/S0} (6) と表せるため、(2)式より、 η=y×{1−1/(1+D/δ)} =y×{(D/δ)/(1+D/δ)} (7) と表せる。ここで、(4)式より、 tan(θ)=(S0 −S1 )/η (8) と表せるため、(2)式および(7)式より、 tan(θ)=S0 /{y×(D/δ)} (9) と表せる。
【0009】一方、右側撮像光学系111Rの焦点距離をf
およびFナンバーをFとすると、 D/δ=(f×β)/(F×δ’) (10) と表せる。ここで、 S0 =f×(1/β−1) (11) y=y’/β (12) と表せるため、(9)式は、 tan(θ)=f×(1/β−1)×F×δ’/(f×β×y) =F×δ’×(1/β−1)/y’ (13) と表せる。よって、(13)式より、 δ’=y’×tan(θ)/{F×(1/β−1)} (14) となり、(14)式で表されるボケ量δ’のボケが、右
側イメージセンサ112Rの周辺部の感光面に発生し、特
に、近距離撮像時に画像のコントラストが劣化する問題
がある。左側イメージセンサ112Lにおいても同様であ
る。
【0010】本発明の目的は、被写体距離によらず画面
全域にわたって高精細な画像の得られる複眼撮像装置を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の複眼撮像
装置は、撮像光学系およびイメージセンサを有する撮像
系を二組含み、該二組の撮像系を用いて共通の被写体を
撮像して得られる二つの画像を合成することにより高精
細な一つの画像を得る複眼撮像装置において、最大輻輳
角を2θ0 ,前記各撮像光学系の最大結像倍率をβ0
したとき、前記各イメージセンサの感光面が、前記各撮
像系の光軸と直交する面に対して、 0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} ほどそれぞれ傾斜されている。
【0012】本発明の第2の複眼撮像装置は、撮像光学
系およびイメージセンサを有する撮像系を二組含み、該
二組の撮像系を用いて共通の被写体を撮像して得られる
二つの画像を合成することにより高精細な一つの画像を
得る複眼撮像装置において、輻輳角の変化に連動して、
前記各イメージセンサの感光面が前記撮像光学系の光軸
に対して前記被写体の被写体面とほぼ共役になるよう前
記各イメージセンサの感光面をそれぞれ傾斜させる手段
を含む。
【0013】ここで、前記撮像光学系が、変倍群および
合焦群を有するレンズ群から構成され、前記撮像系が、
前記変倍群を駆動するためのズームモータと、前記合焦
群を駆動するためのフォーカスモータと、前記光軸を含
む平面内で前記撮像光学系および前記イメージセンサを
一体として回転させるための輻輳角モータとを有し、前
記手段が、該輻輳角モータの回転角を検出するための回
転角検出手段と、前記ズームモータに設けられた、前記
撮像光学系の焦点距離を検出するためのズームエンコー
ダと、前記フォーカスモータに設けられた、前記撮像光
学系に対する被写体距離を検出するためのフォーカスエ
ンコーダと、前記イメージセンサを水平方向に傾斜し得
るイメージセンサ駆動系とを有し、前記各撮像系ごとの
前記回転角検出手段,前記ズームエンコーダおよび前記
フォーカスエンコーダから送られてくる各信号に応じ
て、前記各撮像系ごとの前記イメージセンサ駆動系をそ
れぞれ制御する演算制御部を含んでもよい。
【0014】また、前記演算制御部が、前記各撮像系ご
との前記回転角検出手段,前記ズームエンコーダおよび
前記フォーカスエンコーダからの各信号に応じて、前記
各撮像系ごとの前記イメージセンサ駆動系をそれぞれ制
御する代わりに、前記各撮像系ごとの前記イメージセン
サをそれぞれ微小振動させたときの該各イメージセンサ
から送られてくる各画像信号に応じて、前記各撮像系ご
との前記イメージセンサ駆動系をそれぞれ制御してもよ
い。
【0015】
【作用】本発明の第1の複眼撮像装置は、各撮像系の光
軸と直交する面に対して、 0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} ほど各イメージセンサの感光面をそれぞれ傾斜させるこ
とにより、後述する原理によって、画面の周辺部に発生
するボケの最大ボケ量を約半分に軽減することができ
る。
【0016】本発明の第2の複眼撮像装置は、輻輳角の
変化に連動して、各イメージセンサの感光面が撮像光学
系の光軸に対して被写体の被写体面とほぼ共役になるよ
う各イメージセンサの感光面をそれぞれ傾斜させる手段
を含むことにより、後述する原理によって、被写体距離
によらず画面全域にわたってボケの発生を防ぐことがで
きる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0018】図1(A),(B)はそれぞれ、本発明の
複眼撮像装置の第1の実施例を示す図である。
【0019】本実施例の複眼撮像装置は、二組の撮像系
(左側撮像系10L および右側撮像系10R )を用いて
共通の被写体を撮像して得られる二つの画像を合成する
ことにより高精細な一つの画像を得るものである。
【0020】右側撮像系10R は、図1(A)に示すよ
うに、右側撮像光学系11R を構成する、変倍群22R
および合焦群24R を含むレンズ群21R〜24Rと、変
倍群22R を駆動するための駆動系であるズームモータ
25R と、合焦群24R を駆動するための駆動系である
フォーカスモータ26R と、光軸LR を含む平面内で右
側撮像光学系11R および右側イメージセンサ12R
一体として回転させるための機構系(不図示)および駆
動系(輻輳角モータ27R )と、輻輳角モータ27R
回転角を検出するための回転角検出手段28R と、ズー
ムモータ25Rに設けられた、右側撮像光学系11R
焦点距離fを検出するためのズームエンコーダ31R
と、フォーカスモータ26R に設けられた、右側撮像光
学系11Rに対する被写体距離を検出するためのフォー
カスエンコーダ32R とを含む。左側撮像系10L は、
右側撮像系10R と同様に構成されている。
【0021】ここで、左側撮像光学系11L のフォーカ
スモータ26L およびズームモータ25L が、フォーカ
スエンコーダ32L からの信号およびズームエンコーダ
31 L からの信号により別途制御されるとともに、右側
撮像光学系11R のフォーカスモータ26R およびズー
ムモータ25R が、フォーカスエンコーダ32R からの
信号およびズームエンコーダ31R からの信号により別
途制御されることにより、左側撮像光学系11L の焦点
距離fと右側撮像光学系11R の焦点距離fとは常に一
致されており、左側撮像光学系11L の結像倍率βと右
側撮像光学系11R の結像倍率βとは常に一致されてい
るものとする。
【0022】また、左側イメージセンサ12L の感光面
と右側イメージセンサ12R の感光面とは、図1(B)
に示すように、最大輻輳角を2θ0 ,左側撮像系10L
および右側撮像系10R の最大結像倍率をβ0 としたと
き、左側撮像系10L の光軸LL と直交する面および右
側撮像系12R の光軸LR と直交する面に対して、 φ=0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} (15) ほど傾斜されてそれぞれ設けられている。
【0023】次に、上述した従来の複眼撮像装置におけ
る問題を解決する方法について、図2を参照して説明す
る。
【0024】右側撮像系10R の光軸LR に対して傾き
ωを有する物体(線分PQで図示)の結像関係について
考える。点Pと点P’とは右側撮像光学系11R を介す
る結像倍率(横倍率)βの光軸LR 上の共役点であると
する。また、光軸LR 外の点Qの像点を点Q’とし、線
分PQと光軸LR とのなす角をωとし、線分P’Q’と
光軸LR とのなす角をω’とし、線分PQの延長線が右
側撮像光学系11R の前側主平面の延長線と交わる点を
Rとし、線分P’Q’の延長線が右側撮像光学系11R
の後側主平面の延長線と交わる点をTとする。さらに、
右側撮像光学系11R の前側主点をHとし、右側撮像光
学系11R の後ろ側主点をH’とすると、図3から明ら
かなように、 HR=S×tan(ω) (16) H’T=S’×tan(ω’) (17) と表される。ここで、点Qが点Pに充分に近いときに
は、点Qから光軸LR におろした垂線の長さをqとし、
該垂線および光軸LR の交点と点Pとの距離をpとし、
距離pと長さqに対応する像界側の共役な距離および長
さをそれぞれp’およびq’とすると、縦倍率が横倍率
の二乗であるという関係を用いると、 S’×tan(ω’)=β×S×β2×q/(β×p) =S×tan(ω) (18) と表される。(16)式〜(18)式より、 HR=H’T (19) となる。
【0025】したがって、作図的には、線分PQを延長
して点Rを求めたのち、HR=H’Tとなる点Tと点
P’とを結ぶことにより、共役面P’Q’を含む面が求
められることがわかる。また、(18)式からも、 tan(ω’)/tan(ω)=S/S’ =1/β (20) と表せるので、結像倍率(横倍率)βと被写体(線分P
Q)の傾き角ωを知ることにより、右側イメージセンサ
12R が共役となる傾き角ω’が求まる。換言すると、
(20)式で定められる傾き角ω’だけ右側イメージセ
ンサ12R を傾けることにより、上述したボケの発生を
防ぐことができることを意味する。
【0026】また、被写体(線分PQ)および右側撮像
光学系11R の光軸LR のなす角ωと前述した輻輳角2
θとの関係は、図2より明らかなように、 θ=90°−ω (21) より求めることができる。したがって、(20)式およ
び(21)式より、このときの右側イメージセンサ12
R の感光面および光軸LR と直交する面のなす角φは、 φ=tan-1{β×tan(θ)} (22) と表される。
【0027】したがって、被写体距離範囲として無限遠
から至近距離までを考慮すると、右側イメージセンサ1
R の感光面および光軸LR と直交する面のなす角φ
は、被写体距離が無限遠のときには”0”とされ、被写
体距離が至近距離のときには最大値φMAX とされる必要
がある。ここで、最大値φMAX は、右側撮像光学系11
R の最大結像倍率をβ0 ,最大輻輳角を2θ0 とする
と、(22)式より、 φMAX =tan-1{β0×tan(θ0)} (23) と表わせる。
【0028】以上の結果より、右側イメージセンサ12
R の感光面および光軸LR と直交する面のなす角φを被
写体距離に応じて”0”から最大値φMAX まで変化させ
ることにより、すべての被写体に対してボケの発生を防
ぐことができるが、前記角φを被写体距離に応じて変化
させる手段が必要となる。
【0029】そこで、本実施例の複眼撮像装置では、右
側イメージセンサ12R の感光面および光軸LR と直交
する面のなす角φ(左側イメージセンサ12L の感光面
および光軸LR と直交する面のなす角φも同様)を被写
体距離によらず常に、 φ=0.5×φMAX =0.5×tan-1{β0×tan(θ0)} (24) とすることにより、図3に示すように、発生するボケの
ボケ量δ”を従来の複眼撮像装置に比べて約半分に軽減
できるようにする。なお、本実施例の複眼撮像装置で
は、被写体距離が中距離の場合には、図4(B)に示す
ように、被写体面2と右側イメージセンサ12R の感光
面とがほぼ共役となり、ボケの発生を防ぐことができ
る。また、被写体距離が遠距離または近距離の場合に
は、図4(A),(C)にそれぞれ示すように、右側イ
メージセンサ12R の感光面の周辺部ではいわゆる後ピ
ンまたは前ピン状態となりほぼ同じボケ量のボケが発生
するが、最大ボケ量を従来の複眼撮像装置に比べて約半
分に軽減することができる。
【0030】したがって、本実施例の複眼撮像装置で
は、図5に示すように、左側イメージセンサ12L から
の画像信号を画像メモリ36L に一時記憶するとともに
右側イメージセンサ12R からの画像信号を画像メモリ
36R に一時記憶したのち、各画像信号を加算処理回路
37で合成することにより、一つの高精細な合成画像信
号を得ることができる。
【0031】なお、各回転角検出手段28L,28R
しては、たとえばロータリーエンコーダのような外付け
部材を用いることができるし、たとえばパルスモータの
ような駆動系自身で駆動方法により回転角を検出するも
のを用いることもできる。また、各ズームエンコーダ3
L,31R およびフォーカスエンコーダ32L,32 R
としては、たとえばポテンショメータのような外付け部
材を用いることができるし、または、たとえばパルスモ
ータのような駆動系自身で駆動方法によりレンズの光軸
方向の位置情報を得るものを用いることもできる。
【0032】図6(A),(B)および図7(A),
(B)はそれぞれ、本発明の複眼撮像装置の第2の実施
例を示す図である。
【0033】本実施例の複眼撮像装置は、二組の撮像系
(左側撮像系10L および右側撮像系10R )を用いて
共通の被写体を撮像して得られる二つの画像を合成する
ことにより高精細な一つの画像を得るものである。
【0034】ここで、右側撮像系10R は、図6(A)
に示すように、右側撮像光学系11 R を構成する、変倍
群22R および合焦群24R を含むレンズ群21R〜2
Rと、変倍群22R を駆動するための駆動系であるズ
ームモータ25R と、合焦群24R を駆動するための駆
動系であるフォーカスモータ26R と、光軸LR を含む
平面内で右側撮像光学系11R および右側イメージセン
サ12R を一体として回転させるための機構系(不図
示)および駆動系(輻輳角モータ27R )と、輻輳角モ
ータ27R の回転角を検出するための回転角検出手段2
R と、ズームモータ25R に設けられた、右側撮像光
学系11R の焦点距離fを検出するためのズームエンコ
ーダ31R と、フォーカスモータ26R に設けられた、
右側撮像光学系11R に対する被写体距離を検出するた
めのフォーカスエンコーダ32R と、右側イメージセン
サ12R を水平方向に傾斜し得るイメージセンサ駆動系
33Rとを含む。ここで、イメージセンサ駆動系33R
は、図7(A)に示すように、右側イメージセンサ12
R の感光面を水平方向に二等分する軸AR を回転軸とし
て回転させるものである。左側撮像系10L は、右側撮
像系10R と同様に構成されている。
【0035】左側撮像系10L の回転角検出手段28
L ,ズームエンコーダ31L およびフォーカスエンコー
ダ32L からの各信号と右側撮像系10R の回転角検出
手段28R ,ズームエンコーダ31R およびフォーカス
エンコーダ32R からの各信号とは、図6(B)に示す
ように、演算制御部35にそれぞれ入力されている。演
算制御部35は、これらの信号に応じて、イメージセン
サ駆動系33L およびイメージセンサ駆動系33R をそ
れぞれ制御する。このときの演算制御部35の動作につ
いて、以下に説明する。
【0036】まず、上述した従来の複眼撮像装置におけ
る問題を解決する方法について、図8を参照して説明す
る。
【0037】右側撮像系10R の光軸LR に対して傾き
ωを有する物体(線分PQで図示)の結像関係について
考える。点Pと点P’とは右側撮像光学系11R を介す
る結像倍率(横倍率)βの光軸LR 上の共役点であると
する。また、光軸LR 外の点Qの像点を点Q’とし、線
分PQと光軸LR とのなす角をωとし、線分P’Q’と
光軸LR とのなす角をω’とし、線分PQの延長線が右
側撮像光学系11R の前側主平面の延長線と交わる点を
Rとし、線分P’Q’の延長線が右側撮像光学系11R
の後側主平面の延長線と交わる点をTとする。さらに、
右側撮像光学系11R の前側主点をHとし、右側撮像光
学系11R の後ろ側主点をH’とすると、図8から明ら
かなように、 HR=S×tan(ω) (25) H’T=S’×tan(ω’) (26) と表される。ここで、点Qが点Pに充分に近いときに
は、点Qから光軸LR におろした垂線の長さをqとし、
該垂線および光軸LR の交点と点Pとの距離をpとし、
距離pと長さqに対応する像界側の共役な距離および長
さをそれぞれp’およびq’とすると、縦倍率が横倍率
の二乗であるという関係を用いると、 S’×tan(ω’)=β×S×β2×q/(β×p) =S×tan(ω) (27) と表される。(25)式〜(27)式より、 HR=H’T (28) となる。
【0038】したがって、作図的には、線分PQを延長
して点Rを求めたのち、HR=H’Tとなる点Tと点
P’とを結ぶことにより、共役面P’Q’を含む面が求
められることがわかる。また、(27)式からも、 tan(ω’)/tan(ω)=S/S’ =1/β (29) と表せるので、結像倍率(横倍率)βと被写体(線分P
Q)の傾き角ωを知ることにより、右側イメージセンサ
12R が共役となる傾き角ω’が求まる。換言すると、
(29)式で定められる傾き角ω’だけ右側イメージセ
ンサ12R を傾けることにより、上述したボケの発生を
防ぐことができることを意味する。
【0039】また、被写体(線分PQ)および右側撮像
光学系11R の光軸LR のなす角ωと前述した輻輳角2
θとの関係は、図8より明らかなように、 θ=90°−ω (30) より求めることができる。
【0040】いま、左側撮像光学系11L のフォーカス
モータ26L およびズームモータ25L が、フォーカス
エンコーダ32L からの信号およびズームエンコーダ3
Lからの信号により別途制御されるとともに、右側撮
像光学系11R のフォーカスモータ26R およびズーム
モータ25R が、フォーカスエンコーダ32R からの信
号およびズームエンコーダ31R からの信号により別途
制御されることにより、左側撮像光学系11L の焦点距
離fは右側撮像光学系11R の焦点距離fとは常に一致
されており、左側撮像光学系11L の結像倍率βと右側
撮像光学系11 R の結像倍率βとは常に一致されている
ものとする。
【0041】このとき、演算制御部35は、ズームエン
コーダ31L からの信号により、左側撮像光学系11L
の焦点距離fを求めることができるとともに、ズームエ
ンコーダ31R からの信号により、右側撮像光学系11
R の焦点距離fを求めることができる。また、演算制御
部35は、フォーカスエンコーダ32L からの信号によ
り、左側撮像光学系11L に対する被写体距離を求める
ことができるため、左側撮像光学系11L の結像倍率β
を求めることができるとともに、同様にして、フォーカ
スエンコーダ32R からの信号により、右側撮像光学系
11R の結像倍率βを求めることができる。さらに、演
算制御部35は、各回転角検出手段28 L,28Rからの
信号により輻輳角2θを求めることができる。
【0042】したがって、演算制御部35は、以上のよ
うにして求めた結像倍率βおよび輻輳角2θを(29)
式および(30)式に代入することによって、左側イメ
ージセンサ12L および右側イメージセンサ12R の傾
き角ω’をそれぞれ求めることができる。その結果、演
算制御部35が左側イメージセンサ12L および右側イ
メージセンサ12R の傾き角ω’に応じて各イメージセ
ンサ駆動系33L,33Rを制御して、図9に示すよう
に、左側イメージセンサ12L および右側イメージセン
サ12R をそれぞれ水平方向に傾斜させることにより、
左側イメージセンサ12L および右側イメージセンサ1
R 上にシャープな画像をそれぞれ形成させることがで
きる。
【0043】このため、図7(B)に示すように、左側
イメージセンサ12L からの画像信号を画像メモリ36
L に一時記憶するとともに右側イメージセンサ12R
らの画像信号を画像メモリ36R に一時記憶したのち、
各画像信号を加算処理回路37で合成することにより、
一つの高精細な合成画像信号を得ることができる。
【0044】なお、各回転角検出手段28L,28R
しては、たとえばロータリーエンコーダのような外付け
部材を用いることができるし、たとえばパルスモータの
ような駆動系自身で駆動方法により回転角を検出するも
のを用いることもできる。また、各ズームエンコーダ3
L,31R およびフォーカスエンコーダ32L,32 R
としては、たとえばポテンショメータのような外付け部
材を用いることができるし、または、たとえばパルスモ
ータのような駆動系自身で駆動方法によりレンズの光軸
方向の位置情報を得るものを用いることもできる。さら
に、各イメージセンサ駆動系33L,33Rとしては、た
とえばピエゾ素子や圧電バイモルフなどからなるものを
用いることができる。
【0045】図10は、本発明の複眼撮像装置の第3の
実施例における演算制御部の動作を説明するためのブロ
ック図である。
【0046】図6に示した第2の実施例の複眼撮像装置
では、演算制御部35は、同図(B)に示したように、
左側撮像系10L の回転角検出手段28L ,ズームエン
コーダ31L およびフォーカスエンコーダ32L からの
各信号と右側撮像系10R の回転角検出手段28R ,ズ
ームエンコーダ31R およびフォーカスエンコーダ32
R からの各信号とに応じて各イメージセンサ駆動系33
L,33Rの制御をそれぞれ行ったが、本実施例の複眼撮
像装置では、演算制御部55は、左側撮像系10L から
送られてくる画像信号および右側撮像系10R から送ら
れてくる画像信号に応じて各イメージセンサ駆動系33
L,33Rの制御をそれぞれ行う。
【0047】すなわち、左側イメージセンサ12L およ
び右側イメージセンサ12R を各イメージセンサ駆動系
33L,33Rにより正弦波状にそれぞれ微少振動(回
転)させたとき、左側イメージセンサ12L から出力さ
れる画像信号の高周波成分および右側イメージセンサ1
R から出力される画像信号の高周波成分はそれぞれ、
各イメージセンサ12L,12Rが被写体面2と共役な面
からディフォーカスすると減衰し、一方、左側イメージ
センサ12L および右側イメージセンサ12R が被写体
面2と共役な面に近づくと増加する。このことを利用す
れば、左側イメージセンサ12L から出力される画像信
号の高周波成分および右側イメージセンサ12R から出
力される画像信号の高周波成分をそれぞれ検出すること
により、被写体面2と共役な面の傾き方向および最適傾
き角を求めることができる。
【0048】したがって、本実施例の複眼撮像装置で
は、演算制御部55により、左側イメージセンサ12L
および右側イメージセンサ12R を各イメージセンサ駆
動系33L,33Rを用いてそれぞれ微少回転させるとと
もに、バンドパスフィルタ回路などからなる2つの高周
波成分抽出回路61L,61Rにより、左側イメージセン
サ12L からの画像信号の高周波成分および右側イメー
ジセンサ12R からの画像信号の高周波成分をそれぞれ
抽出する。演算制御部55は、抽出された各画像信号の
高周波成分により左側イメージセンサ12L および右側
イメージセンサ12R の傾き方向と最適傾き角とを認識
し、該認識結果に応じて各イメージセンサ駆動系3
L,33Rをそれぞれ制御する。
【0049】以上のように、本実施例の複眼撮像装置で
は、左側イメージセンサ12L からの画像信号および右
側イメージセンサ12R からの画像信号を用いて、左側
イメージセンサ12L および右側イメージセンサ12R
上にシャープな画像をそれぞれ形成させることができ
る。また、本実施例の複眼撮像装置は、撮像系全体に対
して被写体面2が正対していない場合(すなわち、あお
り撮影時)にも、前述した原理方式からも明らかなよう
に有効である。
【0050】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次の効果を奏する。
【0051】請求項1記載の発明は、各撮像系の光軸と
直交する面に対して、 0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} ほど各イメージセンサの感光面をそれぞれ傾斜させるこ
とにより、画面の周辺部に発生するボケの最大ボケ量を
約半分に軽減することができるため、被写体距離によら
ず画面全域にわたって高精細な画像を得ることができ
る。
【0052】請求項2乃至請求項4記載の発明は、輻輳
角の変化に連動して、各イメージセンサの感光面が撮像
光学系の光軸に対して被写体の被写体面とほぼ共役にな
るよう各イメージセンサの感光面をそれぞれ傾斜させる
手段を含むことにより、被写体距離によらず画面全域に
わたってボケの発生を防ぐことができるため、被写体距
離によらず画面全域にわたって高精細な画像を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複眼撮像装置の第1の実施例を示す図
であり、(A)は左側撮像系および右側撮像系の構成を
示す概略構成図、(B)は左側撮像系および右側撮像系
の配置を示す図である。
【図2】図1に示した複眼撮像装置を用いて、従来の複
眼撮像装置における問題を解決する方法を説明するため
の図である。
【図3】図1に示した複眼撮像装置において発生するボ
ケのボケ量を説明するための図である。
【図4】図1に示した複眼撮像装置において発生するボ
ケのボケ量を説明するための図であり、(A)は被写体
距離が遠距離の場合のボケ量を説明するための図、
(B)は被写体距離が中距離の場合のボケ量を説明する
ための図、(C)は被写体距離が近距離の場合のボケ量
を説明するための図である。
【図5】図1に示した複眼撮像装置における画像の合成
動作を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の複眼撮像装置の第2の実施例を示す図
であり、(A)は左側撮像系および右側撮像系の構成を
それぞれ示す概略構成図、(B)は演算制御部の動作を
説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の複眼撮像装置の第2の実施例を示す図
であり、(A)はイメージセンサ駆動系の動作を説明す
るための図、(B)は画像の合成動作を説明するための
ブロック図である。
【図8】図6に示した複眼撮像装置を用いて、従来の複
眼撮像装置における問題を解決する方法を説明するため
の図である。
【図9】図6に示した複眼撮像装置を用いて、従来の複
眼撮像装置における問題を解決する方法を説明するため
の図である。
【図10】本発明の複眼撮像装置の第3の実施例におけ
る演算制御部の動作を説明するためのブロック図であ
る。
【図11】二組の撮像系を用いて得られた二つの画像を
合成することにより高精細な一つの画像を得る複眼撮像
装置の原理を説明するための図である。
【図12】図11に示した左側撮像系および右側撮像系
の基本配置を説明するための図である。
【図13】従来の複眼撮像装置における問題を説明する
ための図である。
【符号の説明】
2 被写体面 10L 左側撮像系 10R 右側撮像系 11L 左側撮像光学系 11R 右側撮像光学系 12L 左側イメージセンサ 12R 右側イメージセンサ 21L〜24R,21L〜24R レンズ群 22L,22R 変倍群 24L,24R 合焦群 25L,25R ズームモータ 26L,26R フォーカスモータ 27L,27R 輻輳角モータ 28L,28R 回転角検出手段 31L,31R ズームエンコーダ 32L,32R フォーカスエンコーダ 33L,33R イメージセンサ駆動系 35,55 演算制御部 36L,36R 画像メモリ 37 加算処理回路 61L,61R 高周波成分抽出回路 LL,LR 光軸 AR 軸 O 点 θ,φ 角 2θ 輻輳角 δ,δ” ボケ量

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撮像光学系およびイメージセンサを有す
    る撮像系を二組含み、該二組の撮像系を用いて共通の被
    写体を撮像して得られる二つの画像を合成することによ
    り高精細な一つの画像を得る複眼撮像装置において、 最大輻輳角を2θ0 ,前記各撮像光学系の最大結像倍率
    をβ0 としたとき、前記各イメージセンサの感光面が、
    前記各撮像系の光軸と直交する面に対して、 0.5×tan-1{β0 ×tan(θ0)} ほどそれぞれ傾斜されていることを特徴とする複眼撮像
    装置。
  2. 【請求項2】 撮像光学系およびイメージセンサを有す
    る撮像系を二組含み、該二組の撮像系を用いて共通の被
    写体を撮像して得られる二つの画像を合成することによ
    り高精細な一つの画像を得る複眼撮像装置において、 輻輳角の変化に連動して、前記各イメージセンサの感光
    面が前記撮像光学系の光軸に対して前記被写体の被写体
    面とほぼ共役になるよう前記各イメージセンサの感光面
    をそれぞれ傾斜させる手段を含むことを特徴とする複眼
    撮像装置。
  3. 【請求項3】 前記撮像光学系が、変倍群および合焦群
    を有するレンズ群から構成され、 前記撮像系が、前記変倍群を駆動するためのズームモー
    タと、前記合焦群を駆動するためのフォーカスモータ
    と、前記光軸を含む平面内で前記撮像光学系および前記
    イメージセンサを一体として回転させるための輻輳角モ
    ータとを有し、 前記手段が、該輻輳角モータの回転角を検出するための
    回転角検出手段と、前記ズームモータに設けられた、前
    記撮像光学系の焦点距離を検出するためのズームエンコ
    ーダと、前記フォーカスモータに設けられた、前記撮像
    光学系に対する被写体距離を検出するためのフォーカス
    エンコーダと、前記イメージセンサを水平方向に傾斜し
    得るイメージセンサ駆動系とを有し、 前記各撮像系ごとの前記回転角検出手段,前記ズームエ
    ンコーダおよび前記フォーカスエンコーダから送られて
    くる各信号に応じて、前記各撮像系ごとの前記イメージ
    センサ駆動系をそれぞれ制御する演算制御部を含む請求
    項2記載の複眼撮像装置。
  4. 【請求項4】 前記演算制御部が、 前記各撮像系ごとの前記回転角検出手段,前記ズームエ
    ンコーダおよび前記フォーカスエンコーダからの各信号
    に応じて、前記各撮像系ごとの前記イメージセンサ駆動
    系をそれぞれ制御する代わりに、 前記各撮像系ごとの前記イメージセンサをそれぞれ微小
    振動させたときの該各イメージセンサから送られてくる
    各画像信号に応じて、前記各撮像系ごとの前記イメージ
    センサ駆動系をそれぞれ制御する請求項3記載の複眼撮
    像装置。
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