JPH05263230A - ターゲツト材およびその製造方法 - Google Patents
ターゲツト材およびその製造方法Info
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- JPH05263230A JPH05263230A JP9222592A JP9222592A JPH05263230A JP H05263230 A JPH05263230 A JP H05263230A JP 9222592 A JP9222592 A JP 9222592A JP 9222592 A JP9222592 A JP 9222592A JP H05263230 A JPH05263230 A JP H05263230A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高密度記録に適する改良された磁気特性を有
する磁気記録層(磁性膜)をスパツタ法により形成する
ためのターゲツト材の改良。 【構成】 このターゲツト材は、原子%で、Cr:6〜
17%,B:0.8〜10%,Ni:0.5〜36%ま
たは/およびTa:0.5〜8%(但し、NiとTaの
合計量は38%を越えない),残部実質的にCoからな
り、相対密度:98%以上の焼結体である。粒径22メ
ツシユ以下のアトマイズ粉末をカプセル容器に充填し真
空密封(0.1mmHg以下)の後、熱間静水等方加圧
焼結(800〜1200℃,500〜2000Kgf/
cm2 ,0.5〜4Hr)することにより製造される。
する磁気記録層(磁性膜)をスパツタ法により形成する
ためのターゲツト材の改良。 【構成】 このターゲツト材は、原子%で、Cr:6〜
17%,B:0.8〜10%,Ni:0.5〜36%ま
たは/およびTa:0.5〜8%(但し、NiとTaの
合計量は38%を越えない),残部実質的にCoからな
り、相対密度:98%以上の焼結体である。粒径22メ
ツシユ以下のアトマイズ粉末をカプセル容器に充填し真
空密封(0.1mmHg以下)の後、熱間静水等方加圧
焼結(800〜1200℃,500〜2000Kgf/
cm2 ,0.5〜4Hr)することにより製造される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の磁気記
録層をスパツタ法により形成するためのターゲツト材、
およびその製造方法に関する。
録層をスパツタ法により形成するためのターゲツト材、
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気デイスク、磁気テープ等の磁気記録
媒体は、高密度記録性の点から、その磁気記録層(磁性
膜)を強磁性合金で形成した金属薄膜型記録媒体が、従
来の塗布型磁気記録媒体に代って主流となつている。そ
の磁気記録層をスパツタ法により非磁性基体上に製膜す
るためのターゲツト材として、Co−Ni,Co−C
r,Co−Ni−Cr合金が使用されてきた。
媒体は、高密度記録性の点から、その磁気記録層(磁性
膜)を強磁性合金で形成した金属薄膜型記録媒体が、従
来の塗布型磁気記録媒体に代って主流となつている。そ
の磁気記録層をスパツタ法により非磁性基体上に製膜す
るためのターゲツト材として、Co−Ni,Co−C
r,Co−Ni−Cr合金が使用されてきた。
【0003】磁気記録分野における高密度記録に対する
要求はますます高まり、一層の高保磁力化およびノイズ
レベルの低減が要求されているが、上記Co−Ni,C
o−Cr,Co−Ni−Cr合金等をターゲツト材とし
て形成される磁性膜では、その改善効果に限度がある。
要求はますます高まり、一層の高保磁力化およびノイズ
レベルの低減が要求されているが、上記Co−Ni,C
o−Cr,Co−Ni−Cr合金等をターゲツト材とし
て形成される磁性膜では、その改善効果に限度がある。
【0004】その高密度記録化の要請に応えるためのタ
ーゲツト材の改良として種々の提案がなされており、例
えば特開平1−133217号公報には、一定量のTa
を添加したCo−Cr−Ta合金をターゲツト材として
磁性膜を形成することにより高保磁力とノイズ低減効果
を得ることが記載され、特開平3−138365号公報
には、そのCo−Cr−Ta合金磁性膜の磁気特性の均
質性を高めるためのターゲツト材の改良として、Co−
Cr−Ta合金の微細な急冷凝固粉末を加圧焼結して製
造される均質緻密な焼結体をターゲツト材とすることが
記載されている。また、このほかBを一定量添加したC
o−Cr−B,Co−Cr−Ni−B合金をターゲツト
として磁性膜を形成することや、そのスパツタ蒸着にお
いて基板に負電圧を印加するバイアススパツタにより磁
性膜の保磁力を高めること等も提案されている(特開平
3−49021号公報、特開平3−54723号公
報)。
ーゲツト材の改良として種々の提案がなされており、例
えば特開平1−133217号公報には、一定量のTa
を添加したCo−Cr−Ta合金をターゲツト材として
磁性膜を形成することにより高保磁力とノイズ低減効果
を得ることが記載され、特開平3−138365号公報
には、そのCo−Cr−Ta合金磁性膜の磁気特性の均
質性を高めるためのターゲツト材の改良として、Co−
Cr−Ta合金の微細な急冷凝固粉末を加圧焼結して製
造される均質緻密な焼結体をターゲツト材とすることが
記載されている。また、このほかBを一定量添加したC
o−Cr−B,Co−Cr−Ni−B合金をターゲツト
として磁性膜を形成することや、そのスパツタ蒸着にお
いて基板に負電圧を印加するバイアススパツタにより磁
性膜の保磁力を高めること等も提案されている(特開平
3−49021号公報、特開平3−54723号公
報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁気記録媒
体の高密度記録に適した改良された磁気特性を有する磁
性膜を形成するための新規合金組成を有するターゲツト
材およびその製造方法を提供するものである。
体の高密度記録に適した改良された磁気特性を有する磁
性膜を形成するための新規合金組成を有するターゲツト
材およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明のター
ゲツト材は、原子%で、Cr:6〜17%,B:0.8
〜10%,Ni:0.5〜36%または/およびTa:
0.5〜8%(但し、NiとTaの合計量は38%を越
えない),残部実質的にCoからなり、相対密度:98
%以上である焼結体であることを特徴としている。本発
明のターゲツト材は、上記組成を有する粒径22メツシ
ユ以下の急冷凝固された微細なアトマイズ粉末を焼結原
料とし、熱間静水加圧焼結することにより製造される。
ゲツト材は、原子%で、Cr:6〜17%,B:0.8
〜10%,Ni:0.5〜36%または/およびTa:
0.5〜8%(但し、NiとTaの合計量は38%を越
えない),残部実質的にCoからなり、相対密度:98
%以上である焼結体であることを特徴としている。本発
明のターゲツト材は、上記組成を有する粒径22メツシ
ユ以下の急冷凝固された微細なアトマイズ粉末を焼結原
料とし、熱間静水加圧焼結することにより製造される。
【0007】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明のターゲツト材を、焼結体として形成することとし
たのは、ターゲツト材の肉厚内部における構成元素の分
布のムラを防止し、板厚方向の全体に亘る組成の均質性
を得るためである。通常、ターゲツト材は、溶解・鋳造
による鋳塊として、また鋳塊を緻密化するための熱間も
しくは冷間での塑性加工(鍛造、圧延等)を加えて所要
形状に成形する工程を経て製造されるが、本発明の前記
組成を有するターゲツト合金は、そのB,Taの固溶限
が比較的低く、しかも工業的生産での鋳造工程では平衝
状態からのずれが生じるため、ミクロ的にB,Ta等の
富化した偏析、およびそれらの化合物の局所的な晶出・
偏在を不可避的に付随する。その組成の不均質性は、熱
間・冷間の塑性加工を施しても十分に解消することがで
きない。このような組成の不均一なターゲツト材を使用
して行うスパツタリングでは、基板上に蒸着形成される
磁性膜の組成が、スパツタリングの経過に伴つて変動
し、所期の磁気特性を確保することは不可能である。そ
こで本発明は、そのターゲツト材を、組成の均質な微細
粉末を原料とする焼結体として形成することにより、タ
ーゲツト材の肉厚内部の組成の均質性を確保し、併せて
高緻密性をもたせている。鋳造工程を経て製造されるタ
ーゲツト材では、熱間・冷間のいずれの塑性加工も困難
である(割れを生じ易い)のに対し、均質な組成と高緻
密質の焼結体として形成される本発明のターゲツト材
は、熱間または冷間の塑性加工を施すことができ、その
塑性加工の効果としてターゲツト材をより高緻密質のも
のとすることも可能である。
発明のターゲツト材を、焼結体として形成することとし
たのは、ターゲツト材の肉厚内部における構成元素の分
布のムラを防止し、板厚方向の全体に亘る組成の均質性
を得るためである。通常、ターゲツト材は、溶解・鋳造
による鋳塊として、また鋳塊を緻密化するための熱間も
しくは冷間での塑性加工(鍛造、圧延等)を加えて所要
形状に成形する工程を経て製造されるが、本発明の前記
組成を有するターゲツト合金は、そのB,Taの固溶限
が比較的低く、しかも工業的生産での鋳造工程では平衝
状態からのずれが生じるため、ミクロ的にB,Ta等の
富化した偏析、およびそれらの化合物の局所的な晶出・
偏在を不可避的に付随する。その組成の不均質性は、熱
間・冷間の塑性加工を施しても十分に解消することがで
きない。このような組成の不均一なターゲツト材を使用
して行うスパツタリングでは、基板上に蒸着形成される
磁性膜の組成が、スパツタリングの経過に伴つて変動
し、所期の磁気特性を確保することは不可能である。そ
こで本発明は、そのターゲツト材を、組成の均質な微細
粉末を原料とする焼結体として形成することにより、タ
ーゲツト材の肉厚内部の組成の均質性を確保し、併せて
高緻密性をもたせている。鋳造工程を経て製造されるタ
ーゲツト材では、熱間・冷間のいずれの塑性加工も困難
である(割れを生じ易い)のに対し、均質な組成と高緻
密質の焼結体として形成される本発明のターゲツト材
は、熱間または冷間の塑性加工を施すことができ、その
塑性加工の効果としてターゲツト材をより高緻密質のも
のとすることも可能である。
【0008】本発明のターゲツト材を、Cr:6〜17
%,B:0.8〜10%,およびNi:0.5〜36%
とTa:0.5〜8%の1種ないし2種(但し、Niと
Taの合計量は38%以下),残部実質的にCoからな
る組成としたのは、この組成範囲において、1600O
e以上の保磁力(Hc)を発現し、高密度記録を可能と
する改良された磁気特性が得られ、また耐候性も良く、
記録層として必要な安定性も確保されるからである。N
iとTaを同時に含有する場合の両元素の合計量の上限
を38%としたのは、それを越えると却つて保磁力が低
下するからである。なお、NiおよびTaの含有量は好
ましくは、Ni:2%以上、Ta:1%以上である。
%,B:0.8〜10%,およびNi:0.5〜36%
とTa:0.5〜8%の1種ないし2種(但し、Niと
Taの合計量は38%以下),残部実質的にCoからな
る組成としたのは、この組成範囲において、1600O
e以上の保磁力(Hc)を発現し、高密度記録を可能と
する改良された磁気特性が得られ、また耐候性も良く、
記録層として必要な安定性も確保されるからである。N
iとTaを同時に含有する場合の両元素の合計量の上限
を38%としたのは、それを越えると却つて保磁力が低
下するからである。なお、NiおよびTaの含有量は好
ましくは、Ni:2%以上、Ta:1%以上である。
【0009】本発明のターゲツトの緻密度を、相対密度
で98%以上としたのは、焼結体の緻密性が低いと、そ
れだけ焼結体に内蔵されるガス量が多く、スパツタリン
グ中のターゲツトからのガス放出に起因して異常放電が
生じ易くなり、基板上に形成される磁性膜の均質性が損
なわれ、磁気特性の改善効果を十分に発現させることが
できなくなるからであり、このため相対密度98%以上
として、スパツタリング中のガス放出とそれに付随する
上記弊害を防止している。
で98%以上としたのは、焼結体の緻密性が低いと、そ
れだけ焼結体に内蔵されるガス量が多く、スパツタリン
グ中のターゲツトからのガス放出に起因して異常放電が
生じ易くなり、基板上に形成される磁性膜の均質性が損
なわれ、磁気特性の改善効果を十分に発現させることが
できなくなるからであり、このため相対密度98%以上
として、スパツタリング中のガス放出とそれに付随する
上記弊害を防止している。
【0010】本発明のターゲツト材の焼結原料として使
用される前記組成を有するCo基合金粉末は、成分元素
の偏析等のない均質なものであることを要する。原料粉
末の組成の不均一は焼結体の組成の均質性を損なう原因
となるからである。このため本発明は原料粉末としてア
トマイズ粉末を使用することとした。アトマイズ法にお
ける合金溶湯の噴霧時に十分な急速冷却凝固を行なわせ
て得られる微細粉末は、その急冷効果として、固溶限の
低いBやTa等が均一に固溶し、またそれらの化合物が
晶出した場合でも、微細に分散晶出した均質性の高い組
織を有する。そのアトマイズ合金粉末を、粒径22メツ
シユ以下の微細粉末に限定したのは、十分な急冷効果に
よる粉末組成の均質性を確保するためである。アトマイ
ズ粉末は、ガスアトマイズ粉末、水アトマイズ粉末、ま
たは真空アトマイズ粉末等を適宜使用することができ
る。
用される前記組成を有するCo基合金粉末は、成分元素
の偏析等のない均質なものであることを要する。原料粉
末の組成の不均一は焼結体の組成の均質性を損なう原因
となるからである。このため本発明は原料粉末としてア
トマイズ粉末を使用することとした。アトマイズ法にお
ける合金溶湯の噴霧時に十分な急速冷却凝固を行なわせ
て得られる微細粉末は、その急冷効果として、固溶限の
低いBやTa等が均一に固溶し、またそれらの化合物が
晶出した場合でも、微細に分散晶出した均質性の高い組
織を有する。そのアトマイズ合金粉末を、粒径22メツ
シユ以下の微細粉末に限定したのは、十分な急冷効果に
よる粉末組成の均質性を確保するためである。アトマイ
ズ粉末は、ガスアトマイズ粉末、水アトマイズ粉末、ま
たは真空アトマイズ粉末等を適宜使用することができ
る。
【0011】上記アトマイズ粉末を、カプセル容器に充
填し、脱気密封したうえ、加圧焼結処理に付す。容器の
材種は、軟鋼、ステンレス鋼等、その選択は任意であ
る。容器内に充填した粉末は十分に脱気することが必要
であり、脱気不十分なまま焼結処理を行つて得られるタ
ーゲツト材は、スパツタリングにおいて、焼結体内に残
留した窒素、酸素の放出により、異常放電を生じ、基板
上に形成される磁性膜の健全性を損う原因となる。この
ため、0.1mmHg以下の真空下に密封することとし
た。
填し、脱気密封したうえ、加圧焼結処理に付す。容器の
材種は、軟鋼、ステンレス鋼等、その選択は任意であ
る。容器内に充填した粉末は十分に脱気することが必要
であり、脱気不十分なまま焼結処理を行つて得られるタ
ーゲツト材は、スパツタリングにおいて、焼結体内に残
留した窒素、酸素の放出により、異常放電を生じ、基板
上に形成される磁性膜の健全性を損う原因となる。この
ため、0.1mmHg以下の真空下に密封することとし
た。
【0012】加圧焼結処理に熱間静水等方加圧焼結法
(HIP焼結)法を適用するのは、高加圧力の均一な作
用下に生起する焼結反応により、均質・緻密性にすぐれ
た焼結体を形成するためである。その焼結処理は、温
度:800〜1200℃,加圧力:500〜2000K
gf/cm2 ,保持時間:0.5〜4Hrの条件下に首
尾よく達成される。温度:800℃以上、加圧力:50
0Kgf/cm2 以上、保持時間:0.5Hr以上とし
たのは、それに満たない処理条件では、相対密度98%
以上の緻密性を確保することが困難ないし不可能となる
からであり、他方、処理温度の上限を1200℃に規定
したのは、それを越えると、液相の生成とそれに伴う
B、Ta等の偏析が生起し、結果として、微細アトマイ
ズ粉末を使用したことの効果が失われ、得られる焼結体
の均質性を確保することができなくなるからである。ま
た、加圧力の上限を2000Kgf/cm2 とし、保持
時間の上限を4Hrとしたのは、それ以上の加圧力と時
間を適用することにより得られる利益はないからであ
る。
(HIP焼結)法を適用するのは、高加圧力の均一な作
用下に生起する焼結反応により、均質・緻密性にすぐれ
た焼結体を形成するためである。その焼結処理は、温
度:800〜1200℃,加圧力:500〜2000K
gf/cm2 ,保持時間:0.5〜4Hrの条件下に首
尾よく達成される。温度:800℃以上、加圧力:50
0Kgf/cm2 以上、保持時間:0.5Hr以上とし
たのは、それに満たない処理条件では、相対密度98%
以上の緻密性を確保することが困難ないし不可能となる
からであり、他方、処理温度の上限を1200℃に規定
したのは、それを越えると、液相の生成とそれに伴う
B、Ta等の偏析が生起し、結果として、微細アトマイ
ズ粉末を使用したことの効果が失われ、得られる焼結体
の均質性を確保することができなくなるからである。ま
た、加圧力の上限を2000Kgf/cm2 とし、保持
時間の上限を4Hrとしたのは、それ以上の加圧力と時
間を適用することにより得られる利益はないからであ
る。
【0013】上記工程を経て得られた焼結体はこれに適
宜の機械加工が加えられて所定形状のターゲツト材に仕
上げられる。また、その焼結体は、溶解・鋳造法による
ものと異なつて、熱間または冷間での鍛造、圧延等の塑
性加工が可能であり、従つて所望により、その緻密性を
更に高めるべく塑性加工に付して所定の板形状に成形す
ることもできる。
宜の機械加工が加えられて所定形状のターゲツト材に仕
上げられる。また、その焼結体は、溶解・鋳造法による
ものと異なつて、熱間または冷間での鍛造、圧延等の塑
性加工が可能であり、従つて所望により、その緻密性を
更に高めるべく塑性加工に付して所定の板形状に成形す
ることもできる。
【0014】本発明のターゲツト材を磁性膜材料とする
磁気記録媒体の製作は、常法に従つて行えばよい。例え
ば、面内記録用磁気デイスクについて述べれば、アルミ
ニウム合金板等を基体とし、その表面に無電解めつきに
より硬質のNi−Pめつき膜(膜厚:例えば15〜25
μm)を設け、めつき膜面にテキスチヤ処理を施したの
ち、磁性膜に面内異方性を与えるための下地層としてC
r膜を適宜の膜厚(例えば500〜3000Å)に形成
し、ついで本発明のターゲツト材を使用して、上記Cr
膜面上に磁性膜(膜厚は例えば500〜1000Å)を
形成する。上記磁性膜のスパツタ成膜過程において、基
板側に、負の電圧(約−40V以上、例えば−40〜−
250V)を印加するバイアススパツタを適用した場合
は、その効果として磁性膜に、より高い保磁力を付与す
ることも可能である。なお、上記磁性膜の膜面には、所
望により、その摩耗・損傷を防止するための保護膜とし
て、潤滑性と耐摩耗性を備えた被膜、例えば炭素質膜
(膜厚:例えば150〜600Å)が常法に従つて形成
される。
磁気記録媒体の製作は、常法に従つて行えばよい。例え
ば、面内記録用磁気デイスクについて述べれば、アルミ
ニウム合金板等を基体とし、その表面に無電解めつきに
より硬質のNi−Pめつき膜(膜厚:例えば15〜25
μm)を設け、めつき膜面にテキスチヤ処理を施したの
ち、磁性膜に面内異方性を与えるための下地層としてC
r膜を適宜の膜厚(例えば500〜3000Å)に形成
し、ついで本発明のターゲツト材を使用して、上記Cr
膜面上に磁性膜(膜厚は例えば500〜1000Å)を
形成する。上記磁性膜のスパツタ成膜過程において、基
板側に、負の電圧(約−40V以上、例えば−40〜−
250V)を印加するバイアススパツタを適用した場合
は、その効果として磁性膜に、より高い保磁力を付与す
ることも可能である。なお、上記磁性膜の膜面には、所
望により、その摩耗・損傷を防止するための保護膜とし
て、潤滑性と耐摩耗性を備えた被膜、例えば炭素質膜
(膜厚:例えば150〜600Å)が常法に従つて形成
される。
【0015】
[I]ターゲツト材の製造 所定の化学組成を有するCo基合金のガスアトマイズ粉
末を分級し、22メツシユアンダの微細粉末を焼結原料
とする。上記アトマイズ粉末を軟鋼製カプセル容器に充
填し、真空度0.08mmHgで真空密封したうえ、熱
間静水等方加圧焼結処理(HIP)を行つた(表1)。
焼結後、カプセル容器を機械加工により除去して板状焼
結体(板厚:40mm)を取出し、これに機械加工を加
えて複数枚のターゲツト材(板厚:2mm)に仕上げ
た。
末を分級し、22メツシユアンダの微細粉末を焼結原料
とする。上記アトマイズ粉末を軟鋼製カプセル容器に充
填し、真空度0.08mmHgで真空密封したうえ、熱
間静水等方加圧焼結処理(HIP)を行つた(表1)。
焼結後、カプセル容器を機械加工により除去して板状焼
結体(板厚:40mm)を取出し、これに機械加工を加
えて複数枚のターゲツト材(板厚:2mm)に仕上げ
た。
【0016】表1に供試ターゲツト材の相対密度、およ
び表面と板厚中心部の化学組成分析値を示す。表中、T
1〜T4は発明例の焼結体ターゲツト、T5およびT6
は比較例である。比較例T5のターゲツト材は、発明例
と同一のHIP処理により製造された焼結体であるが、
合金元素としてBの含有を欠いている例であり、T6は
溶解鋳造により鋳片(板厚40mm)として製造した例
(但し、合金組成は本発明の規定を満足している)であ
る。鋳片として製造された供試ターゲツト材T6は、そ
の表面と板厚中心部とにおけるBおよびTaの含有量に
大きな差異があるのに対し、微細なアトマイズ合金粉末
を使用しHIP処理による焼結体として形成された供試
ターゲツト材T1〜T5の板厚方向の偏析は軽微で均質
性にすぐれている。なお、鋳片として形成された供試材
T6は、鋳造および熱間圧延工程で割れを生じ、ターゲ
ツト材としての所定形状への成形は不可能であつた。
び表面と板厚中心部の化学組成分析値を示す。表中、T
1〜T4は発明例の焼結体ターゲツト、T5およびT6
は比較例である。比較例T5のターゲツト材は、発明例
と同一のHIP処理により製造された焼結体であるが、
合金元素としてBの含有を欠いている例であり、T6は
溶解鋳造により鋳片(板厚40mm)として製造した例
(但し、合金組成は本発明の規定を満足している)であ
る。鋳片として製造された供試ターゲツト材T6は、そ
の表面と板厚中心部とにおけるBおよびTaの含有量に
大きな差異があるのに対し、微細なアトマイズ合金粉末
を使用しHIP処理による焼結体として形成された供試
ターゲツト材T1〜T5の板厚方向の偏析は軽微で均質
性にすぐれている。なお、鋳片として形成された供試材
T6は、鋳造および熱間圧延工程で割れを生じ、ターゲ
ツト材としての所定形状への成形は不可能であつた。
【0017】[II]磁気デイスクの製作 アルミニウム合金基板(表面に膜厚20μmのNi−P
合金無電解めつき膜形成)に、直流マグネトロンスパツ
タリング法を使用し、スパツタ雰囲気:5×10-3To
rrArガス,基板温度:250℃,基板バイアス電
圧:−150Vのスパツタ条件下に、Cr膜(膜厚:1
000Å)、磁性膜(膜厚:600Å)、および炭素質
膜(膜厚:250Å)をこの順に積層成膜して面内異方
性磁気デイスクを製作した。磁性膜のスパツタ成膜には
前記供試ターゲツト材T1〜T5を使用した。各供試磁
気デイスクについて、磁性膜のスパツタ成膜に使用した
ターゲツト材とそのスパツタリング層位、および磁気特
性の測定結果を表2に示す。
合金無電解めつき膜形成)に、直流マグネトロンスパツ
タリング法を使用し、スパツタ雰囲気:5×10-3To
rrArガス,基板温度:250℃,基板バイアス電
圧:−150Vのスパツタ条件下に、Cr膜(膜厚:1
000Å)、磁性膜(膜厚:600Å)、および炭素質
膜(膜厚:250Å)をこの順に積層成膜して面内異方
性磁気デイスクを製作した。磁性膜のスパツタ成膜には
前記供試ターゲツト材T1〜T5を使用した。各供試磁
気デイスクについて、磁性膜のスパツタ成膜に使用した
ターゲツト材とそのスパツタリング層位、および磁気特
性の測定結果を表2に示す。
【0018】表2に示したように、ターゲツト材T5
(Bを含有しない)を使用して磁性膜を形成した磁気デ
イスクD9およびD10に比べ、本発明のターゲツト材
T1〜T4を使用して磁性膜を形成した磁気デイスクD
1〜D8は、そのいずれも約1600Oe以上の高保磁
力(Hc)を有し、かつ保磁力角型比S* の値も相対的
に低いレベルにある。保磁力角型比S* は、記録媒体ノ
イズとの関連を有し、その値が低い程、媒体ノイズは小
さくなるとされている特性値であり、供試磁気デイスク
D1〜D8と磁気デイスクD9,D10との比較から、
本発明のターゲツト材を使用することにより、高密度記
録に適した磁気特性を有する記録媒体が得られることが
わかる。また、同一のターゲツト材を使用し、その表面
層をスパツタリングして磁性膜を形成した磁気デイスク
と、その板厚中央層をスパツタリングして磁性膜を形成
した磁気デイスクとの比較から、スパツタリングの経過
に伴う磁性膜の特性の変動は少なく、ターゲツト材の使
用開始当初から、その寿命に到るまで、磁気特性の安定
した磁性膜を形成できることがわかる。
(Bを含有しない)を使用して磁性膜を形成した磁気デ
イスクD9およびD10に比べ、本発明のターゲツト材
T1〜T4を使用して磁性膜を形成した磁気デイスクD
1〜D8は、そのいずれも約1600Oe以上の高保磁
力(Hc)を有し、かつ保磁力角型比S* の値も相対的
に低いレベルにある。保磁力角型比S* は、記録媒体ノ
イズとの関連を有し、その値が低い程、媒体ノイズは小
さくなるとされている特性値であり、供試磁気デイスク
D1〜D8と磁気デイスクD9,D10との比較から、
本発明のターゲツト材を使用することにより、高密度記
録に適した磁気特性を有する記録媒体が得られることが
わかる。また、同一のターゲツト材を使用し、その表面
層をスパツタリングして磁性膜を形成した磁気デイスク
と、その板厚中央層をスパツタリングして磁性膜を形成
した磁気デイスクとの比較から、スパツタリングの経過
に伴う磁性膜の特性の変動は少なく、ターゲツト材の使
用開始当初から、その寿命に到るまで、磁気特性の安定
した磁性膜を形成できることがわかる。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】本発明のターゲツト材を使用することに
より、高密度記録に適した磁気特性を有する磁性膜を形
成することができる。そのターゲツト材は、板厚方向の
組成変動が少なく良好な均質性を有しているので、ター
ゲツト材の使用開始当初から寿命に到るまで、そのスパ
ツタリングにより形成される磁性膜は、所定の合金組成
とそれに基づく改良された一定の磁気特性を有し、磁気
記録層としての信頼性にすぐれている。
より、高密度記録に適した磁気特性を有する磁性膜を形
成することができる。そのターゲツト材は、板厚方向の
組成変動が少なく良好な均質性を有しているので、ター
ゲツト材の使用開始当初から寿命に到るまで、そのスパ
ツタリングにより形成される磁性膜は、所定の合金組成
とそれに基づく改良された一定の磁気特性を有し、磁気
記録層としての信頼性にすぐれている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 隆 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内
Claims (2)
- 【請求項1】 原子%で、Cr:6〜17%,B:0.
8〜10%,Ni:0.5〜36%または/およびT
a:0.5〜8%(但し、NiとTaの合計量は38%
を越えない),残部実質的にCoからなり、相対密度:
98%以上である焼結体であることを特徴とするターゲ
ツト材。 - 【請求項2】 原子%で、Cr:6〜17%,B:0.
8〜10%,Ni:0.5〜36%または/およびT
a:0.5〜8%(但し、NiとTaの合計量は38%
を越えない),残部実質的にCoからなる、粒径22メ
ツシユ以下のアトマイズ合金粉末を金属容器に充填し、
脱気密封した後、熱間静水等方加圧焼結することを特徴
とする請求項1に記載のターゲツト材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9222592A JP2802850B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | ターゲツト材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9222592A JP2802850B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | ターゲツト材およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05263230A true JPH05263230A (ja) | 1993-10-12 |
JP2802850B2 JP2802850B2 (ja) | 1998-09-24 |
Family
ID=14048501
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9222592A Expired - Lifetime JP2802850B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | ターゲツト材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2802850B2 (ja) |
-
1992
- 1992-03-17 JP JP9222592A patent/JP2802850B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2802850B2 (ja) | 1998-09-24 |
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