JPH05262217A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JPH05262217A
JPH05262217A JP23496692A JP23496692A JPH05262217A JP H05262217 A JPH05262217 A JP H05262217A JP 23496692 A JP23496692 A JP 23496692A JP 23496692 A JP23496692 A JP 23496692A JP H05262217 A JPH05262217 A JP H05262217A
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JP
Japan
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pump
master cylinder
communication
brake fluid
valve
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Withdrawn
Application number
JP23496692A
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English (en)
Inventor
Kunihiro Matsunaga
邦洋 松永
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Tokico Ltd
Original Assignee
Tokico Ltd
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Publication date
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Priority to DE4244674A priority patent/DE4244674C2/de
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 マスタシリンダ2に連通するマスタシリンダ
連通室35と、ポンプ12の吸入側および吐出側にそれ
ぞれ連通するポンプ連通室34と、これらを連通させる
連通孔38と、連通孔38に挿通されるとともにポンプ
吐出連通ポート32を開閉する弁部材39,41と、マ
スタシリンダ連通室35側の液圧がポンプ連通室34側
の液圧より低い場合にポンプ連通室34側からマスタシ
リンダ連通室35側へのブレーキ液の流れを許容するカ
ップ44とを有するリリーフ弁31を具備している。 【効果】 アンチロックブレーキコントロール作動中に
ブレーキペダルが戻された際、ポンプ12を使用せずと
もリザーバ11内にブレーキ液を残存させることがなく
なり、次回の制御性が良好となる。しかも逆止弁ではな
く安価なカップで実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両等のブレーキ装置に
用いられるアンチロックブレーキコントロール用のブレ
ーキ液圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキング時にタイヤがロック状態に
陥るのを防ぐ目的で車両のブレーキ装置に採用されてい
るアンチロックブレーキコントロール用のブレーキ液圧
制御装置の一例として、一の開閉弁と後述の流路制御装
置(フローバルブ)を用いたものがあり、これは通常、
二系統のブレーキ液圧制御回路を有しており、各ブレー
キ液圧制御回路がそれぞれ、マスタシリンダに流路を介
して接続され、ブレーキ液圧により車輪を制動するホイ
ールシリンダと、前記流路に開閉弁を介して接続され、
ブレーキ液を貯蔵可能なリザーバと、吸入側が前記リザ
ーバに接続され、吐出側が前記流路の前記開閉弁接続位
置よりもマスタシリンダ側に接続されたポンプと、アン
チロックブレーキコントロールの作動時に、マスタシリ
ンダとホイールシリンダとの連通を制限するとともにポ
ンプから吐出されたブレーキ液を前記ホイールシリンダ
もしくは前記リザーバへほぼ一定流量で流す流路制御装
置(フローバルブ)とを有しており、アンチロックブレ
ーキコントロールの作動時にポンプ側から一定の流量で
マスタシリンダ側にブレーキ液を戻すようにこれらの間
にオリフィスを介在させている。
【0003】この構成のブレーキ液圧制御装置では、オ
リフィスが大きいとマスタシリンダにポンプの脈動を伝
えてしまうという問題があり、また該オリフィスが小さ
すぎると加工コストがアップしてしまう等の問題があっ
たため、本出願人は、ポンプの吐出側とフローバルブと
の間のブレーキ液圧が一定の所定値より高圧になった場
合にブレーキ液圧をポンプの吸入側に逃すリリーフ弁を
有する構成のブレーキ液圧制御装置で、しかもこのリリ
ーフ弁の開弁圧を常にマスタシリンダ側の圧力に応じて
該マスタシリンダ側の圧力より所定圧高くなるように変
化させる構成のものを提案している(特願平3−163
118)。…
【0004】また、他のアンチロックブレーキコントロ
ール用のブレーキ液圧制御装置として、2つ電磁開閉弁
を用いるものが知られている。このものにおいては、マ
スタシリンダとホイールシリンダとの間に設けられる電
磁常開弁よりもマスタシリンダ側にポンプの吐出側を接
続しているが、いわゆるキックバック現象を低減するた
め、ポンプ吐出側の接続位置とマスタシリンダとの間
に、ポンプ吐出側の圧力に応じてポンプ吐出側の液圧が
直接的にマスタシリンダに伝わらないように流路を絞る
弁装置を設けている。…
【0005】さらに、他のアンチロックブレーキコント
ロール用のブレーキ液圧制御装置として、実開昭61−
3059号公報に開示されているものがある。これは、
図4に示すように、アンチロックブレーキコントロール
の再加圧時に、電磁制御弁100がマスタシリンダ10
1とホイールシリンダ102とを接続するよう切り換え
られた状態で、リザーバ103からポンプ104により
吸入吐出されるブレーキ液を、経路105から切換弁1
06を介し経路107を通じてホイールシリンダ102
側に戻すようになっている。ここで、切換弁106は、
図5に示す構成をしており、ポンプ104から吐出され
たブレーキ液が経路105を介して流入し、ピストン1
08に形成された流路108aを通過する際に絞られて
ピストン108の両側に差圧を発生させ、これにより、
ピストン108が移動し弁体109がスプリング110
の付勢力に抗して移動して、ポンプ104の吐出側の経
路105とマスタシリンダ101側の経路111との連
通を制限して、キックバック現象を低減するようになっ
ている。そして、このブレーキ液圧制御装置において
は、ポンプ104の吐出圧が所定圧以上になると、ブレ
ーキ液の余圧をポンプ104の吸入側およびリザーバ1
03側に逃すリリーフ弁112がポンプ104の吸入側
と吐出側とをバイパスする経路113に設けられてお
り、また、リリーフ弁112とは別に、ブレーキが解除
されるとリザーバ103からマスタシリンダ101側に
ブレーキ液を戻す逆止弁114が設けられている。…
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
のブレーキ液圧制御装置のリリーフ弁は、アンチロック
ブレーキコントロールの作動中にブレーキベダルが戻さ
れると、リザーバ内にブレーキ液が残存してこれが次回
のアンチロックブレーキコントロールの制御性を悪化さ
せる可能性があった。また、このリザーバ内に残存した
ブレーキ液をポンプによりマスタシリンダ側に戻す方法
もあるが、この場合、アンチロックブレーキコントロー
ル作動時以外にもポンプの作動音が発生することにな
り、このポンプの作動音が耳障りになってしまうという
問題があった。これは、上述したのブレーキ液圧制御
装置でも同様である。
【0007】また、上記のブレーキ液圧制御装置は、
アンチロックブレーキコントロールの作動中にブレーキ
ベダルが戻されても、ポンプを駆動することなくとも逆
止弁を介してリザーバ内に残存したブレーキ液がマスタ
シリンダ側に戻されることになり、次回のアンチロック
ブレーキコントロールの制御性の悪化を防止することは
できるが、リリーフ弁とは別に逆止弁を設ける構成とな
っているため、コストがアップしてしまうという問題が
あった。
【0008】さらに、上記〜のブレーキ液圧制御装
置は、ポンプによりリザーバから吸入されポンプ連通ポ
ートを介して戻されるブレーキ液の脈動がマスタシリン
ダ連通ポートを介してマスタシリンダ側に伝達するのを
防ぐようになっているが、その効果がまだ十分ではな
く、さらに改良の余地があった。
【0009】したがって、本発明の第一の目的は、アン
チロックブレーキコントロール作動中にブレーキペダル
が戻されても、ポンプを使用せずともリザーバ内にブレ
ーキ液を残存させることがなく、次のアンチロックブレ
ーキコントロールの制御性の良好なブレーキ液圧制御装
置を低コストで提供することである。
【0010】また、本発明の第二の目的は、ポンプによ
り生じるブレーキ液の脈動を低減しマスタシリンダのス
トローク変動をさらに抑えることができ、ペダルキック
バックの少ないブレーキ液圧制御装置を提供することで
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために、本発明の請求項1記載のブレーキ液圧制御装
置は、ブレーキ液圧が発生されるマスタシリンダと、該
マスタシリンダに流路を介して接続され、ブレーキ液圧
により車輪を制動するホイールシリンダと、前記流路に
開閉弁を介して接続され、ブレーキ液を貯蔵可能なリザ
ーバと、吸入側が該リザーバに接続され、吐出側が前記
流路の前記開閉弁接続位置よりもマスタシリンダ側に接
続されたポンプとを有し、アンチロックブレーキコント
ロールの作動時に、前記ポンプの吐出側とマスタシリン
ダとの間のブレーキ液の流れを制限するものであって、
前記マスタシリンダに連通するマスタシリンダ連通ポー
トを有するマスタシリンダ連通室と、前記ポンプの吸入
側に連通するポンプ吸入連通ポートおよび前記ポンプの
吐出側に連通するポンプ吐出連通ポートを有するポンプ
連通室と、前記マスタシリンダ連通室および前記ポンプ
連通室を連通させる連通孔と、一端側を前記マスタシリ
ンダ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在に挿
通されるとともに他端側で前記ポンプ吐出連通ポートと
前記ポンプ吸入連通ポートとの連通を遮断可能な弁部材
と、該弁部材を前記ポンプ吐出連通ポートと前記ポンプ
吸入連通ポートとの連通を遮断する方向に付勢する付勢
部材と、前記マスタシリンダ連通室と前記ポンプ吸入連
通ポートに連通する前記ポンプ連通室との間に設けられ
るシール部材であって前記マスタシリンダ連通室側の液
圧が前記ポンプ連通室側の液圧より低い場合に該ポンプ
連通室側から前記弁部材と前記連通孔との隙間を介して
前記マスタシリンダ連通室側へのブレーキ液の流れを許
容するカップとを有するリリーフ弁を具備することを特
徴としている。
【0012】また、本発明の請求項2記載のブレーキ液
圧制御装置は、上記請求項1記載のものに加えて、ブレ
ーキ液圧が発生されるマスタシリンダと、該マスタシリ
ンダに流路を介して接続され、ブレーキ液圧により車輪
を制動するホイールシリンダと、前記流路に開閉弁を介
して接続され、ブレーキ液を貯蔵可能なリザーバと、吸
入側が該リザーバに接続され、吐出側が前記流路の前記
開閉弁接続位置よりもマスタシリンダ側に接続されたポ
ンプと、アンチロックブレーキコントロールの作動時
に、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとの連
通を制限するとともに前記ポンプから吐出されたブレー
キ液を前記ホイールシリンダもしくは前記リザーバへほ
ぼ一定流量で流す流路制御装置とを有するものであっ
て、前記マスタシリンダに連通するマスタシリンダ連通
ポートを有するマスタシリンダ連通室と、前記ポンプの
吸入側に連通するポンプ吸入連通ポートおよび前記ポン
プの吐出側に連通するポンプ吐出連通ポートを有するポ
ンプ連通室と、前記マスタシリンダ連通室および前記ポ
ンプ連通室を連通させる連通孔と、一端側を前記マスタ
シリンダ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在
に挿通されるとともに他端側で前記ポンプ吐出連通ポー
トと前記ポンプ吸入連通ポートとの連通を遮断可能な弁
部材と、該弁部材を前記ポンプ吐出連通ポートと前記ポ
ンプ吸入連通ポートとの連通を遮断する方向に付勢する
付勢部材と、前記マスタシリンダ連通室と前記ポンプ吸
入連通ポートに連通する前記ポンプ連通室との間に設け
られるシール部材であって前記マスタシリンダ連通室側
の液圧が前記ポンプ連通室側の液圧より低い場合に該ポ
ンプ連通室側から前記弁部材と前記連通孔との隙間を介
して前記マスタシリンダ連通室側へのブレーキ液の流れ
を許容するカップとを有するリリーフ弁を具備すること
を特徴としている。
【0013】さらに、本発明の請求項3記載のブレーキ
液圧制御装置は、上記請求項1または2記載のものに加
えて、前記カップは、前記弁部材と前記連通孔との隙間
を閉塞する位置に設けられていることを特徴としてい
る。
【0014】さらに、本発明の請求項4記載のブレーキ
液圧制御装置は、上記請求項1乃至3のいずれか記載の
ものに加えて、前記リリーフ弁の弁部材は、一端部を前
記マスタシリンダ連通室に臨ませかつ他端部を前記ポン
プ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在に挿通
されるピストンと、該ピストンの他端部に当接可能に設
けられるとともに前記ポンプ吐出連通ポートを開閉する
球形状の弁体とからなり、前記リリーフ弁の付勢部材
は、前記弁体により前記ポンプ吐出連通ポートを閉塞す
る方向に前記ピストンを付勢するピストン付勢部材と、
前記弁体を前記ポンプ吐出連通ポートを閉塞する方向に
付勢する弁体付勢部材とからなることを特徴としてい
る。
【0015】さらに、本発明の請求項5記載のブレーキ
液圧制御装置は、上記請求項1乃至3のいずれか記載の
ものに加えて、前記リリーフ弁の弁部材は、一端側が前
記マスタシリンダ連通室に臨みかつ他端側が前記ポンプ
連通室に挿入された状態で前記連通孔に摺動自在に挿通
されるピストンを有し、前記ポンプ吸入連通ポートは前
記ポンプ連通室のピストン挿入部分に設けられ、前記ポ
ンプ吐出連通ポートは前記ポンプ連通室のピストン非挿
入部分に設けられており、前記ピストンには、内部に前
記ポンプ吐出連通ポートと前記ポンプ吸入連通ポートと
を連通させる連通穴が形成され、前記弁部材は、前記ピ
ストンに当接して前記連通穴を閉塞可能な弁体と、該弁
体を前記ピストンに当接する方向に付勢する当接スプリ
ングとを有していて、前記ポンプ連通室には、前記ピス
トンが前記マスタシリンダ連通室側に所定距離移動する
と前記弁体を当接させ該弁体を前記ピストンから離間さ
せて前記連通穴を開状態にするストッパが設けられてい
ることを特徴としている。
【0016】さらに、上記第二の目的を達成するため
に、本発明の請求項6記載のブレーキ液圧制御装置は、
マスタシリンダからのブレーキ液圧が伝達される二系統
のブレーキ液圧制御回路を有し、該各ブレーキ液圧制御
回路がそれぞれ、マスタシリンダに流路を介して接続さ
れ、ブレーキ液圧により車輪を制動するホイールシリン
ダと、前記流路に開閉弁を介して接続され、ブレーキ液
を貯蔵可能なリザーバと、吸入側が該リザーバに接続さ
れ、吐出側が前記流路の前記開閉弁接続位置よりもマス
タシリンダ側に接続されたポンプと、アンチロックブレ
ーキコントロールの作動時に、前記マスタシリンダと前
記ホイールシリンダとの連通を制限するとともに前記ポ
ンプから吐出されたブレーキ液を前記ホイールシリンダ
もしくは前記リザーバへほぼ一定流量で流す流路制御装
置とを有し、前記各ブレーキ液圧制御回路のポンプのう
ち一方がブレーキ液を吸入する際に他方がブレーキ液を
吐出し前記一方がブレーキ液を吐出する際に前記他方が
ブレーキ液を吸入するように設定されたものであって、
前記各ブレーキ液圧制御回路がそれぞれ、他系統の前記
マスタシリンダに連通する他系統マスタシリンダ連通ポ
ートを有する他系統マスタシリンダ連通室と、前記ポン
プの吸入側に連通するポンプ吸入連通ポートおよび前記
ポンプの吐出側に連通するポンプ吐出連通ポートを有す
るポンプ連通室と、前記他系統マスタシリンダ連通室お
よび前記ポンプ連通室を連通させる連通孔と、一端部を
前記他系統マスタシリンダ連通室に臨ませた状態で前記
連通孔に摺動自在に挿通されるとともに他端部で前記ポ
ンプ吐出連通ポートを開閉する弁部材と、該弁部材を前
記ポンプ吐出連通ポートを閉塞する方向に付勢する付勢
部材とを有するリリーフ弁を具備することを特徴として
いる。
【0017】
【作用】本発明の請求項1または2記載のブレーキ液圧
制御装置によれば、アンチロックブレーキコントロール
中にブレーキペダルが戻された場合に、マスタシリンダ
からのブレーキ液圧の低下にともなって、リリーフ弁の
マスタシリンダ連通室側のブレーキ液圧がポンプ連通室
側のブレーキ液圧より低くなり、これによって、該リリ
ーフ弁に設けられたカップがポンプ連通室側からマスタ
シリンダ連通室側へのブレーキ液の流れを許容すること
になる。したがって、ブレーキペダルが戻されると、リ
リーフ弁のポンプ吸入連通ポート、連通孔と弁部材との
隙間およびマスタシリンダ連通ポートを介してリザーバ
側からマスタシリンダ側にブレーキ液が流れることにな
るため、ポンプを作動させることなくリザーバ内のブレ
ーキ液をマスタシリンダ側に戻すことになる。しかも、
リリーフ弁とは別に逆止弁を設けるのではなく、コスト
の低いカップをリリーフ弁に設けるという構成で実現で
きる。
【0018】本発明の請求項3記載のブレーキ液圧制御
装置によれば、上記請求項1または2記載のものの作用
に加えて、必ずシール部材が必要な弁部材と連通孔との
隙間を閉塞する位置にカップを設けるため、コストが低
減できる。
【0019】また、本発明の請求項4記載のブレーキ液
圧制御装置によれば、上記請求項1乃至3のいずれか記
載のものの作用に加えて、リリーフ弁の弁部材が、ピス
トンと、該ピストンの他端部に当接可能に設けられた球
形状の弁体とからなるため、精度が必要な弁体を一般の
球形状の鋼球等を使用することができるため、製作コス
トをさらに低減できることになる。
【0020】さらに、本発明の請求項5記載のブレーキ
液圧制御装置によれば、上記請求項1乃至3のいずれか
記載のものの作用に加えて、ポンプの吐出圧が所定値以
上に上昇すると、ピストンがマスタシリンダ連通室側に
所定量移動することにより、マスタシリンダ連通室の容
積が減少するとともに、当接スプリングにより付勢され
た弁体がストッパに当接して該ピストンから離間してピ
ストンに形成された連通穴を開状態とし、ポンプ吐出連
通ポートとポンプ吸入連通ポートとを連通させてブレー
キ液圧の余圧を逃す。そして、ポンプの吐出がなくなる
と、ピストンがポンプ連通室側に移動し弁体に当接して
連通穴が閉塞された状態で、さらに所定量移動すること
になる。この連通穴の閉塞状態でピストンが移動するこ
とにより、ポンプ連通室内にあったブレーキ液がポンプ
吐出連通ポートから流れ出ることになる。これにより、
ポンプが断続的にブレーキ液を吐出する場合において
も、ポンプ吐出が停止する瞬間に上記ブレーキ液の流出
が発生し、ポンプ吐出側のブレーキ液の連続流を維持す
ることになる。
【0021】さらに、本発明の請求項6記載のブレーキ
液圧制御装置によれば、各ブレーキ液圧制御回路のポン
プは一方がブレーキ液を吸入する際に他方がブレーキ液
を吐出し前記一方がブレーキ液を吐出する際に前記他方
がブレーキ液を吸入するように設定されており、しか
も、リリーフ弁の開弁圧を、他系統のマスタシリンダ側
の圧力に応じて変化させるようになっている。すなわ
ち、一方のブレーキ液圧制御回路のポンプがブレーキ液
を吐出すべく最大吸入位置から最大吐出位置に移行する
ときには、他方のブレーキ液圧制御回路のポンプがブレ
ーキ液を吸入すべく最大吐出位置から最大吸入位置に移
行する(すなわち該他方のブレーキ液圧制御回路のマス
タシリンダ側の圧力が低下傾向にある)ため、この他方
のブレーキ液圧制御回路のマスタシリンダ側に連通して
いる一方のブレーキ液圧制御回路のリリーフ弁の他系統
マスタシリンダ連通室内の圧力が低下傾向となり、これ
に応じて該一方のブレーキ液圧制御回路のリリーフ弁の
開弁圧も低下傾向となる。したがって、該リリーフ弁は
同系統のポンプの吐出圧の上昇に応じてその開弁量を徐
々に大きくし、ポンプの吸入側へ逃すブレーキ液量を徐
々に大きくすることになる。逆に、前記一方のブレーキ
液圧制御回路のポンプがブレーキ液を吸入すべく最大吐
出位置から最大吸入位置に移行するときには、前記他方
のブレーキ液圧制御回路のポンプがブレーキ液を吐出す
べく最大吸入位置から最大吐出位置に移行する(すなわ
ち該他方のブレーキ液圧制御回路のマスタシリンダ側の
圧力が上昇傾向にある)ため、この他方のブレーキ液圧
制御回路のマスタシリンダ側に連通している一方のブレ
ーキ液圧制御回路のリリーフ弁の他系統マスタシリンダ
連通室内の圧力が上昇傾向となり、これに応じて該一方
のブレーキ液圧制御回路のリリーフ弁の開弁圧は上昇傾
向となる。したがって、これにより該リリーフ弁は同系
統のポンプの吐出圧の下降に応じてその開弁量を徐々小
さくし、ポンプの吸入側に逃すブレーキ液量を徐々に小
さくすることになる。このようにして、ポンプによるブ
レーキ液の脈動を低減することになる。
【0022】
【実施例】本発明の第1実施例によるブレーキ液圧制御
装置について図1を参照して以下に説明する。なお、こ
の第1実施例においては、ブレーキ液圧制御装置がブレ
ーキ液圧制御回路をA,B二系統有するものであるが、
両系統とも同様の構成であるため一方の系統Aについて
図示説明する。また、以下の説明において用いる上下は
図面における上下を便宜上用いるものである。
【0023】図中符号1はアンチロックブレーキコント
ロール用のブレーキ液圧制御装置、符号2はブレーキペ
ダル3に連結し該ブレーキペダル3の踏込み等に応じて
液圧を発生させ、これをそれぞれ二系統のブレーキ液圧
制御回路A,Bの流路Rに伝達するマスタシリンダ、符
号4は流路Rを介してマスタシリンダ2に接続されブレ
ーキ液圧により車輪を制動するホイールシリンダをそれ
ぞれ示している。
【0024】このブレーキ液圧制御装置1には、流路制
御装置であるフローバルブ5が設けられており、このフ
ローバルブ5は、上下方向に延在する円筒状のシリンダ
部6と該シリンダ部6の外側に設けられた複数のポート
とを有するケーシング7を具備している。ここで、前記
ポートは、マスタシリンダ2に連通するようシリンダ部
6の軸線に直交して設けられた第一ポート8、該第一ポ
ート8の所定量下側にこれと平行に設けられホイールシ
リンダ4に連通する第二ポート9、シリンダ部6の下端
に該シリンダ部6の軸線方向に沿って設けられ電磁常閉
弁(開閉弁)10を介してリザーバ11および該リザー
バ11内のブレーキ液を吸入吐出するポンプ12の吸入
側に連通する第三ポート13、第一ポート8と対向して
設けられポンプ12の吐出側に連通する第四ポート14
であり、前記第二ポート9は第一ポート8の所定量下側
に設けられた上部ポート9aと該上部ポート9aの所定
量下側に設けられ外側で該上部ポート9aに連通する下
部ポート9bとを有している。そして、ケーシング7の
シリンダ部6内には円柱状のスプール15が摺動自在に
嵌入されている。
【0025】上記スプール15は、その上端部から中間
部分まで中央に軸方向に沿って穿設された所定径の上部
穴16と、その下端部から中間部分まで該上部穴16と
同軸同径に穿設されるとともに常に第三ポート13に連
通する所定径の下部穴17とを有しており、これら上部
穴16および下部穴17はこれらの間に介在するこれら
よりも所定量小径の小径穴18で相互に連通している。
なお、下部穴17の下端の開口部19は径が他の部分よ
り所定量大きくなっており、この開口部19にはスプー
ル15を上側に向けて所定の付勢力で付勢するスプリン
グ20の上端が当接するよう挿入されている。
【0026】また、スプール15には、上部穴16およ
び下部穴17に直交して複数の孔が穿設されている。こ
れらの孔は、スプール15の上端から所定量下側に設け
られるとともに該スプール15がスプリング20により
付勢され上側位置(図1に示す状態)にあるときに上部
穴16と第一ポート8とを連通させる第一孔21、該第
一孔21から所定量下側に設けられスプール15が上記
と同位置にあるときに上部穴16と第二ポート9の上部
ポート9aとを連通させる第二孔22、該第二孔22か
ら所定量下側に設けられスプール15が上記状態から下
側に所定量移動したときに下部穴17と第二ポート9の
下部ポート9bとを連通させる第三孔23および上記第
一孔21に対向して設けられスプール15が上記上側位
置にあるときに上部穴16と第四ポート14とを連通さ
せる第四孔24である。ここで、便宜上、第一孔21と
第四孔24とは別々のものとして述べたが、スプール1
5の外周に溝が設けてあるので両者に差異はなく、勿論
一方のみを設けてもよい。
【0027】なお、上記リザーバ11は容量可変となる
ようにシリンダ25と、該シリンダ25内に摺動可能に
収納されたリザーバピストン26と、これを所定の付勢
力で付勢するリターンスプリング27とを有しており、
また、ポンプ12はポンプ本体12aと、そのリザーバ
11側に設けられたリザーバ11からポンプ本体12a
への液の流れのみを許容する吸入弁12bと、その反リ
ザーバ11側に設けられたポンプ本体12aから第四ポ
ート14への液の流れのみを許容する吐出弁12cとを
有している。
【0028】そして、本実施例においては、ポンプ12
の吸入側と吐出側とをバイパスするバイパス経路30が
設けられており、このバイパス経路30にポンプ12と
フローバルブ5との間の圧力が所定の圧力より高圧にな
った場合に圧力をポンプ12の吸入側に逃すリリーフ弁
31が設けられている。
【0029】このリリーフ弁31は、概略円筒状のハウ
ジング50を有しており、このハウジング50には、そ
の軸線方向に直交して所定位置に設けられたマスタシリ
ンダ連通ポート45と、このマスタシリンダ連通ポート
45に平行して所定量下側に設けられたポンプ吸入連通
ポート33と、該ハウジング50の下部中央にその軸線
方向に沿って設けられたポンプ吐出連通ポート32とを
有している。ここで、上記マスタシリンダ連通ポート4
5はマスタシリンダ2とフローバルブ5との間の経路か
ら分岐した経路46に、ポンプ吐出連通ポート32はバ
イパス経路30のポンプ12の吐出側に、ポンプ吸入連
通ポート33はバイパス経路30のポンプ12の吸入側
にそれぞれ連通している。また、ハウジング50の上端
内周部にはメスネジ部52が形成されている。
【0030】ハウジング50内にはポンプ吐出連通ポー
ト32側から順に第一部材53、第二部材54、第三部
材55および第四部材56が設けられている。
【0031】第一部材53はポンプ吐出連通ポート32
に当接する先細テーパ状のテーパ部57と該テーパ部5
7より上側の円板状のフランジ部58とを有しており、
その中心には軸線方向に沿って貫通する貫通孔59(ポ
ンプ吐出連通ポート32の一部を構成)が設けられてい
る。
【0032】第二部材54は、その下端に設けられた、
上記第一部材53のフランジ部58を嵌合させる凹部6
0と、その中央に軸線方向に沿って下側から所定深さ穿
設された、後述する弁体41が移動自在に挿入される弁
体挿入穴61と、ハウジング50のポンプ吸入連通ポー
ト33とほぼ同一高さ位置に設けられたポンプ吸入連通
孔62と、該第二部材54の外周面の所定位置に設けら
れたシール溝63と、上部から所定径かつ所定深さで軸
線方向に沿って設けられたカップ溝64と、該カップ溝
64と弁体挿入穴61とを連通させるこれらより所定径
小径の連通孔38とを有している。
【0033】第三部材55はその下端にその軸線方向に
沿って設けられた、上記第二部材54の上部を嵌合させ
る嵌合凹部66と、該嵌合凹部66の所定量上側にマス
タシリンダ連通ポート45とほぼ同一高さ位置に穿設さ
れたマスタシリンダ連通孔67と、該マスタシリンダ連
通孔67と嵌合凹部66とを連通させる所定径の貫通穴
68と、マスタシリンダ連通孔67の上側にこれと直交
する方向に所定深さ設けられた、後述のスプリング69
の一端が挿入される挿入穴70と、マスタシリンダ連通
孔67より上側の外周部に設けられたシール溝71とを
有している。
【0034】第四部材56はその外周部に、ハウジング
50のメスネジ部52に螺合するオスネジ部72が形成
されており、これらを螺合させることにより、上記第一
部材53をハウジング50のポンプ吐出連通ポート32
に当接させつつ、該第一部材53、第二部材54、第三
部材55および第四部材56をそれぞれ所定の部分を嵌
合あるいは当接させた状態とする(図1に示す状態)。
【0035】また、第一部材53が嵌合された状態の第
二部材54の弁体挿入穴61には下側に球形状の鋼球等
からなる弁体41が、その上側に該弁体41をポンプ吐
出連通ポート32の一部である貫通孔59を閉塞する方
向に所定の付勢力で付勢するスプリング(弁体付勢部
材)42が設けられている。なお、この弁体41の開弁
圧は、経路46から導入され後述するピストン39の挿
入部76に軸線方向に沿って加わるマスタシリンダ2側
の圧力よりスプリング42および後述するスプリング6
9の所定の付勢力分だけ高圧となる。
【0036】加えて、第二部材54の連通孔38には、
ピストン39が所定量摺動自在で、かつピストン39と
連通孔38との間に若干の隙間が形成されるように挿入
されており、このピストン39は下から順に先細テーパ
状の先端部74と軸部75と後述するスプリング69の
他端に挿入される挿入部76とが設けられた形状をなし
ている。このピストン39の挿入部76と第三部材55
の挿入穴70との間には所定の付勢力のスプリング(ピ
ストン付勢部材)69が設けられており、このスプリン
グ69の付勢力によってピストン39はその先端部74
を弁体41に当接させ、さらにこれをポンプ吐出連通ポ
ート32側に押圧することになる。また、第二部材54
のシール溝63にはシール部材(Oリング)77が設け
られており該シール部材77はシール溝63とハウジン
グ50との間で挾持されている。
【0037】そして、第二部材54のカップ溝64とピ
ストン39とで構成される空間には折り曲げ側を下にし
た断面概略U字状の円形のカップ44が嵌入されてい
る。このカップ44は、後述するマスタシリンダ連通室
35側の液圧が後述するポンプ連通室34側の液圧より
高い場合には拡開してマスタシリンダ連通室35とポン
プ連通室34との連通を遮断し、マスタシリンダ連通室
35側の液圧がポンプ連通室34側の液圧より低い場合
にはポンプ連通室34側からピストン39と連通孔38
との隙間を介してマスタシリンダ連通室35側へのブレ
ーキ液の流れを許容するようになっている。また、第三
部材55のシール溝71にはシール部材78が設けられ
ており該シール部材78はシール溝71とハウジング5
0との間で挾持されている。
【0038】なお、上記したポンプ吸入連通孔62およ
び弁体挿入穴61が、ハウジング50内でポンプ12側
に連通するポンプ連通室34を主に構成するものであ
り、上記マスタシリンダ連通孔67およびカップ溝64
が、ハウジング50内でマスタシリンダ2側に連通する
マスタシリンダ連通室35を主に構成するものである。
【0039】次に、以上のような構成の第1実施例のブ
レーキ液圧制御装置1の作動について以下に順を追って
説明する。
【0040】まず、図1に示す状態の時に、フローバル
ブ5のスプール15は、第一ポート8、第一孔21、上
部穴16、第二孔22および第二ポート9の上部ポート
9aを介してマスタシリンダ2とホイールシリンダ4と
を連通させ、通常の作動すなわちホイールシリンダ4を
ブレーキペダル3の踏込み等に応じて加圧するようにな
っている。ここで、このとき下部穴17に設けられた第
三孔23は外周側のいずれのポートとも連通が遮断され
た状態となっている。なお、このとき、マスタシリンダ
2により生じるブレーキ液圧は第四ポート14等を介し
てリリーフ弁31に作用することになるが、上記したよ
うにこのリリーフ弁31の開弁圧はマスタシリンダ2側
の圧力より常に所定量高圧となるよう設定されているた
め、該リリーフ弁31は開弁しないのである。
【0041】次に、上記ブレーキ時に車輪がロック状態
に陥るのを防ぐためにホイールシリンダ4のブレーキ液
圧を減圧するアンチロックブレーキコントロールの減圧
時には、電磁常閉弁10が開かれることによって下部穴
17とケーシング7の下部とで囲まれた部分内にあった
ブレーキ液がリザーバ11内への流れ込み、これによる
スプール15の両側(上部穴16側と下部穴17側)の
差圧で該スプール15は下方に移動して第一ポート8と
第二ポート9との連通を制限すなわち微小連通もしくは
遮断をし、かつホイールシリンダ4とリザーバ11とを
第二ポート9の下部ポート9bと第三孔23とを介して
連通させホイールシリンダ4内のブレーキ液をリザーバ
11に流入させてホイールシリンダ4のブレーキ液圧を
減圧させるようになっている。
【0042】ここで、アンチロックブレーキコントロー
ル時においてはポンプ12は常に駆動状態であり、その
減圧時においてポンプ12により吸入吐出されるリザー
バ11内のブレーキ液は、フローバルブ5の第四ポート
14、スプール15の第四孔24、上部穴16、小径穴
18、下部穴19および第三ポート13を介してほぼ一
定流量でリザーバ11へと循環するようになっており、
また、その一部は、上部穴16から第一孔21(正確に
は第一孔21、第四孔24およびスプール15の外周の
溝)および第一ポート8を介してマスタシリンダ2側に
戻されることになる。
【0043】そして、車輪のロック傾向が所定量回避さ
れた状態になると、ホイールシリンダ4を再加圧するこ
とになるが、この再加圧時には、電磁常閉弁10が閉じ
られることにより、リザーバ11へのブレーキ液の流出
が止められ、下部穴17とケーシング7の下部で囲まれ
た部分内の圧力が上昇することによりスプール15が上
方向に微小移動し、ポンプ12で吐出されるブレーキ液
をホイールシリンダ4へ、第四ポート14、第四孔2
4、上部穴16、小径穴18、第三孔23および第二ポ
ート9の下部ポート9bを介してほぼ一定流量で供給す
ることになり、またその一部は、上部穴16から第一孔
21および第一ポート8を介してマスタシリンダ2側に
戻されることになる。なお、この状態においては、スプ
ール15の第二孔22と第二ポート9の上部ポート9a
との連通は遮断されている。
【0044】そして、ポンプ12から吐出されたブレー
キ液はフローバルブ5を介してリザーバ11もしくはホ
イールシリンダ4にほぼ一定量のブレーキ液が流される
ことになるため、ポンプ12の吐出圧の変化はマスタシ
リンダ2側に伝達されることになって、マスタシリンダ
2にペダルキックバックを生じてしまう。しかしなが
ら、第1実施例のリリーフ弁31は、マスタシリンダ2
側のブレーキ液圧に応じてその開弁圧が変化し、しかも
その開弁圧が常にマスタシリンダ2側の圧力より所定圧
大きくなるように構成されているため、フローバルブ5
側に戻されるブレーキ液圧はマスタシリンダ2側の圧力
より所定圧高圧となるレベルで抑えられることになる。
【0045】すなわち、マスタシリンダ2側の圧力は経
路46を介してリリーフ弁31のマスタシリンダ連通室
35に導入され、ピストン39の挿入部76にその軸線
方向に沿って作用することになる。そして、このピスト
ン39にはこのマスタシリンダ2側の圧力とスプリング
69の付勢力とが作用することになり、このピストン3
9の先端部74に当接している弁体41には、上記マス
タシリンダ2側の圧力およびスプリング69の付勢力に
加えてスプリング42の付勢力が作用することになり、
ポンプ12から吐出され弁体41に作用するブレーキ液
の圧力が、上記したマスタシリンダ2側の圧力、スプリ
ング69の付勢力およびスプリング42の付勢力を加え
た弁体41に作用する力より大きくなれば、リリーフ弁
31はポンプ吐出連通ポート32を開き余圧をポンプ吸
入連通ポート33、バイパス経路30を介してポンプ1
2の吸入側へ逃すことになる。したがって、フローバル
ブ5側に戻されるブレーキ液圧はマスタシリンダ2側の
圧力より所定圧(スプリング69の付勢力およびスプリ
ング42の付勢力を加えた分)高圧となるレベルで抑え
られることになる。
【0046】よって、具体的に例示すれば、マスタシリ
ンダ2側の圧力が比較的低圧のときはリリーフ弁31の
開弁圧が低いため容易に開弁してブレーキ液をポンプ1
2の吸入側に逃し、一方マスタシリンダ2側の圧力が高
圧のときはリリーフ弁31の開弁圧が高いため容易には
開弁せずブレーキ液をポンプ12の吸入側に容易には逃
さないことになる。このようにリリーフ弁31の開弁圧
をマスタシリンダ2の圧力に応じてほぼリニアに変化さ
せることによって、ポンプ12からフローバルブ5にほ
ぼ一定流量のブレーキ液が流されることになるため、マ
スタシリンダ2側に戻されるブレーキ液量がほぼ一定す
ることになり、ペダルキックバックが低減されることに
なる。
【0047】そして、アンチロックブレーキコントロー
ル中、リザーバ11内にブレーキ液がある状態で、ブレ
ーキペダル3の踏込みが弱められマスタシリンダ2側の
圧力が低下しリリーフ弁31のマスタシリンダ連通室3
5側の圧力がポンプ連通室34側の圧力より低くなる
と、カップ44は連通孔38とピストン39との隙間の
閉塞を解除し、よって、リザーバ11内のブレーキ液
は、リザーバ11からバイパス経路30、リリーフ弁3
1のポンプ吸入連通ポート33、ポンプ連通室34、連
通孔38とピストン39との隙間、マスタシリンダ連通
室35、マスタシリンダ連通ポート45および経路46
を介してマスタシリンダ2側に戻されることになる。し
たがって、ポンプ12を作動させることなくリザーバ1
1内のブレーキ液をマスタシリンダ2側に戻すことがで
きる。しかも、リリーフ弁31とは別に逆止弁を用いる
のではなく、リリーフ弁31に安価なカップ44を設け
る構成であるため、低コストで実現できることになる。
さらに、カップ44は、必ずシール部材が必要な箇所に
設けられるため、シールのためのコストが低減できる。
【0048】なお、この第1実施例のようにリリーフ弁
31の弁部材をピストン39と該ピストン39の先端部
74に当接可能に設けられた球形状の弁体41とにより
構成するのではなく一体とすることも勿論可能である
が、別体とすることにより、精度が必要な弁体41を一
般の球形状の鋼球等を使用することができ、製作コスト
を低減できることになる。また、ピストン39および弁
体41をスプリング69およびスプリング42によりそ
れぞれ別々に付勢する構成とするのではなく、一つのス
プリングにより付勢する構成とすることも勿論可能であ
るが、別々に付勢する構成とすることにより、一つより
別々の方が付勢力を小さくできるためコンパクトに設計
でき、またピストン39を常に所定の位置へ戻しておく
ことが可能となりペダルフィーリングの悪化を防ぐとい
うメリットがある。
【0049】また、第一ポート8と第四ポート14とは
同一高さ位置に設けたが、第一ポート8が先に閉塞され
るように、第一ポート8は若干第四ポート14よりも高
くしたり、第一ポート8および第二ポート14の中心の
高さ位置は変えないで、第一ポート8の径を小さくして
もよい。
【0050】次に、本発明の第2実施例について図2を
参照して以下に説明する。なお、この第2実施例は、上
記第1実施例に対してリリーフ弁の構成が相違している
ため、この相違部分を中心に説明し、上記第1実施例と
同様の部分にはこれと同一の符号を付してその説明は略
す。
【0051】第2実施例のブレーキ液圧制御装置のリリ
ーフ弁31は、概略円筒状のハウジング50を有してお
り、このハウジング50の上部にはハウジング50の軸
線方向に直交して、該ハウジング50内をマスタシリン
ダ2に連通させるマスタシリンダ連通ポート45が形成
されている。また、ハウジング50の中間所定位置には
ハウジング50の軸線方向に直交して、該ハウジング5
0内をポンプ12の吸入側およびリザーバ11に連通さ
せるポンプ吸入連通ポート33が設けられており、さら
に、ハウジング50の下端部にはハウジング50の軸線
方向に沿って該ハウジング50内をポンプ12の吐出側
に連通させるポンプ吐出連通ポート32が設けられてい
る。
【0052】ハウジング50のポンプ吸入連通ポート3
3より下側の所定位置には径方向内方に突出する環状の
ストッパ81が形成されており、このストッパ81の上
側にはピストン39が所定範囲摺動自在に挿通されてい
る。このピストン39は、ハウジング50の内周面に摺
接する円柱状の摺接部82と、該摺接部82から上方に
突出する該摺接部82より小径の棒部83とを有してお
り、棒部83の中間所定位置には該棒部83より大径か
つ摺接部82より小径のフランジ部84が形成されてい
る。また、ピストン39の摺接部82には、その中心軸
線方向に沿って下端部から中間所定位置まで穿設された
のち直交方向に該摺接部82を貫通する連通穴85が形
成されており、この連通穴85が開口する位置の、摺接
部82の外周部には環状の溝部86が形成されている。
この溝部86により連通穴85は、ピストン39の移動
位置によらず常にポンプ吸入連通ポート33に連通する
ようになっている。そして、連通穴85により、ポンプ
吐出連通ポート32とポンプ吸入連通ポート33とが連
通可能となっている。
【0053】さらに、摺接部82の溝部86と下端部と
の間の外周部には、環状のシール溝87が形成されてい
る。ここで、ピストン39の摺接部82とフランジ部8
4との間の棒部83には、折り曲げ側を下にした断面概
略U字状の円形のカップ44が嵌入されており、また、
ピストン39のシール溝87には、折り曲げ側を上にし
た断面概略U字状の円形のカップ88が嵌入されてい
る。
【0054】なお、第2実施例においては、ハウジング
50とピストン39の上部およびカップ44で画成され
た部分がマスタシリンダ連通室35を構成しており、カ
ップ44の上端部に摺接する位置からポンプ吸入連通ポ
ート33の上端部までのハウジング50の内周面が連通
孔38を構成し、ポンプ吸入連通ポート33から下側の
ハウジング50の内部がポンプ連通室34を構成してい
る。ここで、連通孔38はピストン39の移動により変
化することになる。
【0055】そして、上記により、前記ポンプ吸入連通
ポート33はポンプ連通室34のピストン39挿入部分
に設けられ、ポンプ吐出連通ポート32はポンプ連通室
34のピストン39非挿入部分に設けられる。
【0056】上記カップ44は、上記第1実施例と同様
にマスタシリンダ連通室35の液圧が下がった場合に、
ポンプ吸入連通ポート33側からマスタシリンダ連通室
35側へのブレーキ液の流れを許容するものであり、ま
た、カップ88は、ポンプ連通室34とピストン39と
で画成されたバルブ室89の圧力が高い場合に、バルブ
室89からポンプ吸入連通ポート33側への、ピストン
39の外周面に沿うブレーキ液の流れを防止するように
なっている。
【0057】ピストン39のフランジ部84とハウジン
グ50の上端面との間には、付勢部材を構成するスプリ
ング69が内側に棒部83を挿入させた状態で設けられ
ており、このスプリング69の付勢力によってピストン
39はその下端面をストッパ81に当接させている。
【0058】バルブ室89内には、ハウジング50の内
周面より若干小径のフランジ部90と該フランジ部90
のピストン39側に形成された該フランジ部90より所
定量小径の支持部91と該フランジ部90のポンプ吐出
連通ポート32側に形成された該フランジ部90より所
定量小径の凸部92とを有する弁体41が設けられてお
り、支持部91には、ピストン39側に若干突出する球
状の弁部93が固定支持されている。そして、この弁体
41のフランジ部90とハウジング50の下端面との間
には内側に凸部92を挿入させた状態で当接スプリング
94が設けられている。弁体41は、図2に示すよう
に、ピストン39がストッパ81に当接した状態におい
て、当接スプリング94に付勢され弁部93を該ピスト
ン39に当接させて連通穴85を閉塞しており、この状
態でフランジ部90とストッパ81との間には、所定距
離の隙間が維持されている。なお、第2実施例において
は、ピストン39、弁体41および当接スプリング94
が弁部材を構成している。
【0059】このような構成の第2実施例のブレーキ液
圧制御装置1によれば、ピストン39に上方向に加わる
ポンプ12の吐出圧による力が、マスタシリンダ連通室
35に導入されピストン39に下方向に加わるマスタシ
リンダ2側のブレーキ液圧とスプリング69による付勢
力とを合せた力を超えると、ピストン39がマスタシリ
ンダ連通室35側に移動する。ここで、ストッパ81と
弁体41のフランジ部90との隙間分ピストン39が移
動するまで、弁体41は当接スプリング94の付勢力に
よってピストン39に当接し連通穴85を閉塞した状態
でピストン39と一体に移動し、これによりマスタシリ
ンダ連通室35の容積が減少する。この容積減少により
マスタシリンダ2側にブレーキ液が若干戻されブレーキ
ペダル3が少し戻されて、アンチロックブレーキコント
ロールが作動していることを運転者に知らせることにな
る。そして、当接スプリング94により付勢された弁体
41がストッパ81に当接してその移動が規制された状
態で、さらにピストン39が移動すると、弁体41から
ピストン39が離間して該ピストン39に形成された連
通穴85が開状態となり、ポンプ吐出連通ポート32と
ポンプ吸入連通ポート33とが連通してブレーキ液圧の
余圧をポンプ12の吸入側に逃すことになる。
【0060】一方、ポンプ12の吐出がなくなると、ピ
ストン39がバルブ室89側に移動し、ストッパ81に
当接していた弁体41に当接して連通穴85が閉塞さ
れ、この状態で、ピストン39および弁体41は一体
に、ピストン39がストッパ81に当接するまで所定量
移動することになる。そして、この連通穴85の閉塞状
態でのピストン39の移動により、バルブ室89の容積
が減少し、バルブ室89内にあったブレーキ液がポンプ
吐出連通ポート32から流れ出ることになる。これによ
り、ポンプ12が断続的にブレーキ液を吐出する場合に
おいても、ポンプ12の吐出が停止する瞬間に上記ブレ
ーキ液の流出が発生し、ポンプ12の吐出側のブレーキ
液の連続流を維持することになる。したがって、ポンプ
12の吐出液流をフラット化して供給することになるた
め、ポンプ12の実効率の向上が図れることになる。
【0061】また、弁体41は、通常液圧の高いポンプ
吐出側の液圧を受けてピストン39に押し付けられてい
るので、シール性が高く、ポンプ12の吐出側からポン
プ12の吸入側への不測のリークの発生を確実に防止す
ることができる。また同様にピストン39の溝部86と
下端部との間の外周部に、バルブ室89側からポンプ吸
入連通ポート33側へのセルフシールとなる向きにカッ
プ88が設けられているため、この部分を介してのポン
プ12の吐出側からポンプ12の吸入側への不測のリー
クの発生も防止できる。
【0062】なお、第2実施例において、ポンプ12の
実効率の向上および弁体41のシール性の確保を主目的
とする場合には、カップ44を別の位置に設けたりある
いはカップ44を設けない構成とすることも可能であ
る。
【0063】次に、本発明の第3実施例について図3を
参照して以下に説明する。なお、この第3実施例は、上
記第1実施例に対してリリーフ弁の構成等が相違してい
るため、この相違部分を中心に説明し、上記第1実施例
と同様の部分にはこれと同一の符号を付してその説明は
略す。また、この第3実施例においては、ブレーキ液圧
制御装置がブレーキ液圧制御回路を二系統有するもので
あるが、両系統ともほぼ同様の構成であるため一方の系
統について図示説明し、他方の系統は必要な部分のみ図
示説明することとする。
【0064】第3実施例においては、ブレーキ液圧制御
装置1の系統Aのポンプ12のポンプ本体12aが、他
系統Bに同様に設けられたポンプ12のポンプ本体12
a(図3において二点鎖線で示す)とともに、同一のモ
ータ28およびカム29により駆動されるようになって
おり、この系統Aのポンプ本体12aがブレーキ液を吸
入する際に他系統Bのポンプ本体12aはブレーキ液を
吐出し、系統Aのポンプ本体12aがブレーキ液を吐出
する際に他系統Bのポンプ本体12aはブレーキ液を吸
入するようになっている。
【0065】そして、この第3実施例も上記第1実施例
と同様に、ポンプ12の吸入側と吐出側とをバイパスす
るバイパス経路30が設けられており、このバイパス経
路30にポンプ12とフローバルブ5との間の圧力が所
定の圧力より高圧になった場合に圧力をポンプ12の吸
入側に逃すリリーフ弁31が設けられている。
【0066】この第3実施例のリリーフ弁31は、ポン
プ12の吐出側に連通するポンプ吐出連通ポート32と
ポンプ12の吸入側に連通するポンプ吸入連通ポート3
3とを有するポンプ連通室34と、このポンプ連通室3
4の上側に並列かつ離間されて設けられた、マスタシリ
ンダ連通室35と、このマスタシリンダ連通室35の上
側に並列かつ離間されて設けられたシール室36と、該
シール室36の上側に並列かつ離間されて設けられた他
系統マスタシリンダ連通室37とを有しており、これら
ポンプ連通室34、マスタシリンダ連通室35、シール
室36および他系統マスタシリンダ連通室37間には連
通孔38が貫通していて、該連通孔38には円柱状のピ
ストン39が上下に所定量移動自在に嵌挿されている。
【0067】ここで、上記ポンプ連通室34には、ポン
プ吐出連通ポート32とポンプ連通室34内との境界部
分の着座部40に着座した時にこれを閉塞するとともに
ポンプ吐出連通ポート32からのブレーキ液圧が所定値
より高圧になった場合に上方向に移動して開弁しポンプ
吸入連通ポート33を介してポンプ12の吸入側にブレ
ーキ液を流すことを可能とする球状の弁体41が設けら
れている。ここで、この弁体41には、上端がポンプ連
通室34の反ポンプ吐出連通ポート32側に当接し該弁
体41を下方向に付勢するスプリング42の下端が当接
し、かつピストン39の下端が当接している。なお、こ
の弁体41の開弁圧は、後述する分岐経路43から導入
されピストン39の上端部に加わるマスタシリンダ2側
の圧力よりスプリング42の所定の付勢力分だけ高圧に
なっている。
【0068】また、上記マスタシリンダ連通室35には
その下側にカップ44が挿入されており、該カップ44
の上側に設けられたマスタシリンダ連通ポート45には
マスタシリンダ2とこの系統Aのフローバルブ5との間
の経路から分岐した経路46が接続している。なお、カ
ップ44は、経路46側の圧力がポンプ連通室34側の
圧力より高いとマスタシリンダ連通室35とポンプ連通
室34との連通を遮断し、経路46側の圧力がポンプ連
通室34側の圧力より低いとマスタシリンダ連通室35
とポンプ連通室34とを、連通孔38とピストン39と
の間の隙間を介して連通させるようになっている。
【0069】そして、上記シール室36にはシールリン
グ47が設けられており、該シールリング47によって
マスタシリンダ連通室35と他系統マスタシリンダ連通
室37との連通は遮断されている。
【0070】また、上記他系統マスタシリンダ連通室3
7内には、ピストン39の上端部が突出しており、ま
た、該他系統マスタシリンダ連通室37に設けられた他
系統マスタシリンダ連通ポート80にはマスタシリンダ
2と他方のブレーキ液圧制御回路系統Bの図示せぬフロ
ーバルブとの間の経路から分岐した分岐経路43が接続
している。
【0071】ここで、上記アンチロックブレーキコント
ロール作動時においては、ポンプ12が吸入・吐出を交
互に繰り返すため、ポンプ12からフローバルブ5の第
四ポート14に向けて吐出されるブレーキ液にこの吸入
・吐出による脈動を生じることがあるが、第3実施例の
ブレーキ液圧制御装置1においては、ポンプ12と第四
ポート14との間に設けられたリリーフ弁31がこの脈
動を低減させることになる。すなわち、このブレーキ液
圧制御回路系統Aのポンプ12がブレーキ液を吐出すべ
く最大吸入位置から最大吐出位置に移行するときには、
他系統Bのポンプ12がブレーキ液を吸入すべく最大吐
出位置から最大吸入位置に移行するため、分岐経路43
を介して系統Aのリリーフ弁31のピストン39の上端
部に作用する他系統Bのマスタシリンダ2側の圧力が低
下傾向となり、これにより系統Aのリリーフ弁31は同
系統のポンプ12の吐出圧の上昇に応じてその開弁圧を
低下させその開弁量を徐々に大きくして該ポンプ12の
吸入側に逃すブレーキ液量を徐々に大きくすることにな
る。逆に、この系統Aのポンプ12がブレーキ液を吸入
すべく最大吐出位置から最大吸入位置に移行するときに
は、他系統Bのポンプ12がブレーキ液を吐出すべく最
大吸入位置から最大吐出位置に移行するため、分岐経路
43を介して系統Aのリリーフ弁31のピストン39の
上端部に作用する他系統Bのマスタシリンダ2側の圧力
が上昇傾向となり、これにより系統Aのリリーフ弁31
は同系統のポンプ12の吐出圧の下降に応じてその開弁
圧を上昇させその開弁量を徐々に小さくして該ポンプ1
2の吸入側に逃すブレーキ液量を徐々に小さくすること
になる。このようにして、フローバルブ5の第四ポート
14に吐出されるブレーキ液の脈動を低減することにな
る。なお、このことはブレーキ液圧制御回路の他系統B
についても同様であり、したがって、吸入吐出の位相が
逆である両系統A,Bの両ポンプ12の脈動を利用して
相互の脈動を相殺するようになっている。しかも、その
構成は簡単で部品点数も少なく低コストでできることに
なるのである。ここで、上記説明においては、説明の便
宜上、系統Aのポンプ12と系統Bのポンプ12とが、
吸入および吐出の位相を完全に逆転させるものを例にと
り説明したが、これらが完全に逆転せず、若干ずれを生
じていても勿論良好な効果を発揮する。
【0072】そして、リザーバ11内にブレーキ液があ
る状態で、ブレーキペダル3の踏込みが弱められマスタ
シリンダ2側の圧力が低下すると、このブレーキ液はリ
リーフ弁31のポンプ吸入連通ポート33からポンプ連
通室34、ポンプ連通室34とマスタシリンダ連通室3
5との間の連通孔38とピストン39との隙間、マスタ
シリンダ連通室35、マスタシリンダ連通ポート45お
よび経路46を介してマスタシリンダ2側に戻されるこ
とになる。
【0073】なお、カップ44の機能のみを果たさせる
ためには、制御ピストン39へ系統B側の圧力を作用さ
せないで同系統Aの圧力を作用させればよい。すなわ
ち、制御ピストン39は、カップ室35の途中までの長
さとし、カップ室35で系統Aの圧力を作用させればよ
いのである。また、第1実施例のシール部材77として
Oリングを用いるのではなく、第2実施例において用い
たカップ44と同様のものを用いてもよい。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の請求項1
または2記載のブレーキ液圧制御装置によれば、アンチ
ロックブレーキコントロール作動中にブレーキペダルが
戻されても、ポンプを作動させることなくリザーバ内の
ブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すことができる。し
たがって、次回のアンチロックブレーキコントロール作
動時の制御性能に悪影響をおよぼすことがなく、また、
アンチロックブレーキコントロールの作動制御時以外で
のポンプの駆動が不要となり不快感(ポンプの作動音の
発生等による)を無くすことができる。しかも、リリー
フ弁とは別に逆止弁を設けるのではなく、コストの低い
カップをリリーフ弁に設けるという構成で実現できるた
め、低コストとなる。
【0075】本発明の請求項3記載のブレーキ液圧制御
装置によれば、上記請求項1または2記載のものの作用
に加えて、必ずシール部材が必要な弁部材と連通孔との
隙間を閉塞する位置にカップを設けるため、シールのた
めのコストが低減できる。
【0076】また、本発明の請求項4記載のブレーキ液
圧制御装置によれば、上記請求項1乃至3のいずれか記
載のものの効果に加えて、リリーフ弁の弁部材が、ピス
トンと、該ピストンの他端部に当接可能に設けられた球
形状の弁体とからなるため、精度が必要な弁体を一般の
球形状の鋼球等を使用することができるため、製作コス
トをさらに低減できることになる。
【0077】さらに、本発明の請求項5記載のブレーキ
液圧制御装置によれば、上記請求項1乃至3のいずれか
記載のものの効果に加えて、ポンプの吐出がなくなる
と、ピストンは弁体により連通穴を閉塞した状態で所定
量移動し、ブレーキ液がポンプ吐出連通ポートから流れ
出ることになる。これにより、ポンプが断続的にブレー
キ液を吐出する場合においても、ポンプ吐出が停止する
瞬間に上記ブレーキ液の流出が発生し、ポンプ吐出側の
ブレーキ液の連続流を維持することになる。したがっ
て、ポンプの吐出液流をフラット化して供給することに
なるため、ポンプの実効率の向上が図れることになる。
【0078】さらに、本発明の請求項6記載のブレーキ
液圧制御装置によれば、マスタシリンダ側に伝達される
ポンプの吸入・吐出により生じる脈動を低減することが
できるため、マスタシリンダのストローク変動いわゆる
ペダルキックバックをさらに低減させることができ、ポ
ンプ脈動により生じる不快な作動音をも低減させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるブレーキ液圧制御装
置を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の第2実施例によるブレーキ液圧制御装
置を概略的に示す構成図である。
【図3】本発明の第3実施例によるブレーキ液圧制御装
置を概略的に示す構成図である。
【図4】従来のブレーキ液圧制御装置の一例を示す構成
図である。
【図5】従来のブレーキ液圧制御装置の一例の切換弁を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 ブレーキ液圧制御装置 2 マスタシリンダ 3 ブレーキペダル 4 ホイールシリンダ 5 フローバルブ(流路制御装置) 10 電磁常閉弁(開閉弁) 11 リザーバ 12 ポンプ 31 リリーフ弁 32 ポンプ吐出連通ポート 33 ポンプ吸入連通ポート 34 ポンプ連通室 35 マスタシリンダ連通室 37 他系統マスタシリンダ連通室 38 連通孔 39 ピストン(弁部材) 41 弁体(弁部材) 42 スプリング(付勢部材,弁体付勢部材) 44 カップ 45 マスタシリンダ連通ポート 59 貫通孔(ポンプ吐出連通ポート) 69 スプリング(付勢部材,ピストン付勢部材) 80 他系統マスタシリンダ連通ポート 81 ストッパ 85 連通穴 94 当接スプリング A,B ブレーキ液圧制御回路 R 流路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ液圧が発生されるマスタシリン
    ダと、 該マスタシリンダに流路を介して接続され、ブレーキ液
    圧により車輪を制動するホイールシリンダと、 前記流路に開閉弁を介して接続され、ブレーキ液を貯蔵
    可能なリザーバと、 吸入側が該リザーバに接続され、吐出側が前記流路の前
    記開閉弁接続位置よりもマスタシリンダ側に接続された
    ポンプとを有し、 アンチロックブレーキコントロールの作動時に、前記ポ
    ンプの吐出側とマスタシリンダとの間のブレーキ液の流
    れを制限するブレーキ液圧制御装置において、 前記マスタシリンダに連通するマスタシリンダ連通ポー
    トを有するマスタシリンダ連通室と、前記ポンプの吸入
    側に連通するポンプ吸入連通ポートおよび前記ポンプの
    吐出側に連通するポンプ吐出連通ポートを有するポンプ
    連通室と、前記マスタシリンダ連通室および前記ポンプ
    連通室を連通させる連通孔と、一端側を前記マスタシリ
    ンダ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在に挿
    通されるとともに他端側で前記ポンプ吐出連通ポートと
    前記ポンプ吸入連通ポートとの連通を遮断可能な弁部材
    と、該弁部材を前記ポンプ吐出連通ポートと前記ポンプ
    吸入連通ポートとの連通を遮断する方向に付勢する付勢
    部材と、前記マスタシリンダ連通室と前記ポンプ吸入連
    通ポートに連通する前記ポンプ連通室との間に設けられ
    るシール部材であって前記マスタシリンダ連通室側の液
    圧が前記ポンプ連通室側の液圧より低い場合に該ポンプ
    連通室側から前記弁部材と前記連通孔との隙間を介して
    前記マスタシリンダ連通室側へのブレーキ液の流れを許
    容するカップとを有するリリーフ弁を具備することを特
    徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 ブレーキ液圧が発生されるマスタシリン
    ダと、 該マスタシリンダに流路を介して接続され、ブレーキ液
    圧により車輪を制動するホイールシリンダと、 前記流路に開閉弁を介して接続され、ブレーキ液を貯蔵
    可能なリザーバと、 吸入側が該リザーバに接続され、吐出側が前記流路の前
    記開閉弁接続位置よりもマスタシリンダ側に接続された
    ポンプと、 アンチロックブレーキコントロールの作動時に、前記マ
    スタシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を制限す
    るとともに前記ポンプから吐出されたブレーキ液を前記
    ホイールシリンダもしくは前記リザーバへほぼ一定流量
    で流す流路制御装置とを有するブレーキ液圧制御装置に
    おいて、 前記マスタシリンダに連通するマスタシリンダ連通ポー
    トを有するマスタシリンダ連通室と、前記ポンプの吸入
    側に連通するポンプ吸入連通ポートおよび前記ポンプの
    吐出側に連通するポンプ吐出連通ポートを有するポンプ
    連通室と、前記マスタシリンダ連通室および前記ポンプ
    連通室を連通させる連通孔と、一端側を前記マスタシリ
    ンダ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在に挿
    通されるとともに他端側で前記ポンプ吐出連通ポートと
    前記ポンプ吸入連通ポートとの連通を遮断可能な弁部材
    と、該弁部材を前記ポンプ吐出連通ポートと前記ポンプ
    吸入連通ポートとの連通を遮断する方向に付勢する付勢
    部材と、前記マスタシリンダ連通室と前記ポンプ吸入連
    通ポートに連通する前記ポンプ連通室との間に設けられ
    るシール部材であって前記マスタシリンダ連通室側の液
    圧が前記ポンプ連通室側の液圧より低い場合に該ポンプ
    連通室側から前記弁部材と前記連通孔との隙間を介して
    前記マスタシリンダ連通室側へのブレーキ液の流れを許
    容するカップとを有するリリーフ弁を具備することを特
    徴とする請求項1記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 【請求項3】 前記カップは、前記弁部材と前記連通孔
    との隙間を閉塞する位置に設けられていることを特徴と
    する請求項1または2記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 【請求項4】 前記リリーフ弁の弁部材は、一端部を前
    記マスタシリンダ連通室に臨ませかつ他端部を前記ポン
    プ連通室に臨ませた状態で前記連通孔に摺動自在に挿通
    されるピストンと、該ピストンの他端部に当接可能に設
    けられるとともに前記ポンプ吐出連通ポートを開閉する
    球形状の弁体とからなり、 前記リリーフ弁の付勢部材は、前記弁体により前記ポン
    プ吐出連通ポートを閉塞する方向に前記ピストンを付勢
    するピストン付勢部材と、前記弁体を前記ポンプ吐出連
    通ポートを閉塞する方向に付勢する弁体付勢部材とから
    なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
    のブレーキ液圧制御装置。
  5. 【請求項5】 前記リリーフ弁の弁部材は、一端側が前
    記マスタシリンダ連通室に臨みかつ他端側が前記ポンプ
    連通室に挿入された状態で前記連通孔に摺動自在に挿通
    されるピストンを有し、 前記ポンプ吸入連通ポートは前記ポンプ連通室のピスト
    ン挿入部分に設けられ、前記ポンプ吐出連通ポートは前
    記ポンプ連通室のピストン非挿入部分に設けられてお
    り、 前記ピストンには、内部に前記ポンプ吐出連通ポートと
    前記ポンプ吸入連通ポートとを連通させる連通穴が形成
    され、 前記弁部材は、前記ピストンに当接して前記連通穴を閉
    塞可能な弁体と、該弁体を前記ピストンに当接する方向
    に付勢する当接スプリングとを有していて、 前記ポンプ連通室には、前記ピストンが前記マスタシリ
    ンダ連通室側に所定距離移動すると前記弁体を当接させ
    該弁体を前記ピストンから離間させて前記連通穴を開状
    態にするストッパが設けられていることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかに記載のブレーキ液圧制御装
    置。
  6. 【請求項6】 マスタシリンダからのブレーキ液圧が伝
    達される二系統のブレーキ液圧制御回路を有し、該各ブ
    レーキ液圧制御回路がそれぞれ、 マスタシリンダに流路を介して接続され、ブレーキ液圧
    により車輪を制動するホイールシリンダと、 前記流路に開閉弁を介して接続され、ブレーキ液を貯蔵
    可能なリザーバと、 吸入側が該リザーバに接続され、吐出側が前記流路の前
    記開閉弁接続位置よりもマスタシリンダ側に接続された
    ポンプと、 アンチロックブレーキコントロールの作動時に、前記マ
    スタシリンダと前記ホイールシリンダとの連通を制限す
    るとともに前記ポンプから吐出されたブレーキ液を前記
    ホイールシリンダもしくは前記リザーバへほぼ一定流量
    で流す流路制御装置とを有し、 前記各ブレーキ液圧制御回路のポンプのうち一方がブレ
    ーキ液を吸入する際に他方がブレーキ液を吐出し前記一
    方がブレーキ液を吐出する際に前記他方がブレーキ液を
    吸入するように設定されたブレーキ液圧制御装置におい
    て、 前記各ブレーキ液圧制御回路がそれぞれ、 他系統の前記マスタシリンダに連通する他系統マスタシ
    リンダ連通ポートを有する他系統マスタシリンダ連通室
    と、前記ポンプの吸入側に連通するポンプ吸入連通ポー
    トおよび前記ポンプの吐出側に連通するポンプ吐出連通
    ポートを有するポンプ連通室と、前記他系統マスタシリ
    ンダ連通室および前記ポンプ連通室を連通させる連通孔
    と、一端部を前記他系統マスタシリンダ連通室に臨ませ
    た状態で前記連通孔に摺動自在に挿通されるとともに他
    端部で前記ポンプ吐出連通ポートを開閉する弁部材と、
    該弁部材を前記ポンプ吐出連通ポートを閉塞する方向に
    付勢する付勢部材とを有するリリーフ弁を具備すること
    を特徴とするブレーキ液圧制御装置。
JP23496692A 1991-11-07 1992-09-02 ブレーキ液圧制御装置 Withdrawn JPH05262217A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE4244675A DE4244675C2 (de) 1991-11-07 1992-11-06 Antiblockiersystem
DE4244674A DE4244674C2 (de) 1991-11-07 1992-11-06 Antiblockiersystem
DE19924237561 DE4237561C2 (de) 1991-11-07 1992-11-06 Antiblockiersystem

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29177291 1991-11-07
JP3-291772 1991-11-07
JP3-332296 1991-12-16
JP33229691 1991-12-16

Publications (1)

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JPH05262217A true JPH05262217A (ja) 1993-10-12

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JP23496692A Withdrawn JPH05262217A (ja) 1991-11-07 1992-09-02 ブレーキ液圧制御装置

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0826088A (ja) * 1994-07-08 1996-01-30 Mando Mach Corp 車両用アンチスキッド制動装置
JP2006182095A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Honda Motor Co Ltd ブレーキ液圧制御装置
KR20120086554A (ko) * 2011-01-26 2012-08-03 현대모비스 주식회사 차량용 제동장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006182095A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Honda Motor Co Ltd ブレーキ液圧制御装置
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