JPH0525941A - 建築構造体用内外材料搬入・搬出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 材料の搬入・搬出作業を効率良く行えて工期
の短縮および工費の低減を図るとともに、水平方向への
引っ張り込みを容易に行えるようにして安全性を向上す
る。 【構成】 建築構造体の床に設置可能な固定台３にガイ
ドレール１を備え、そのガイドレール１に材料搭載台４
を移動可能に設け、固定台３に正逆転可能な電動モータ
１５と、それにより回転される主動側スプロケット１７
と従動側スプロケット１８とに巻回されたチェーン１９
と材料搭載台４とを連動連結し、材料搭載台４をガイド
レール１に沿って駆動往復移動可能に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、多層階の建築構造体を
構築する建築現場において、躯体工事のために型枠や支
保工や鉄筋を建築構造体の外周部開口を通じて外部から
搬入したり、また、型枠や支保工を転用するために建築
構造体の内部から外周部開口を通じて外部に搬出した後
にその上部の階の床に外周部開口を通じて外部から内部
に搬入するとか、また、仕上げ工事のために、壁パネル
や設備用のダクトなどを建築構造体の外周部開口を通じ
て外部から搬入するなど、各種の材料を建築構造体の内
外に搬入・搬出するために使用する建築構造体用内外材
料搬入・搬出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】多層階の建築構造体、殊に、鉄骨造（Ｓ
造）や鉄骨鉄筋コンクリート造（ＳＲＣ造）の中小規模
の建築構造体Ｔを構築する場合、従来一般に、図７の概
略側面図に示すように、梁鉄骨０１…および柱鉄骨０２
…による鉄骨建方工事を先行し、その屋上０３上にクレ
ーン０４を設置する。

【０００３】次いで、各階それぞれに、屋上０３まで貫
通する仮設開口（いわゆる駄目穴）０５を設ける状態で
デッキプレートやコンクリートによる床を形成し、躯体
工事を終了した階の型枠や支保工などの材料を転用のた
めに盛替える場合、躯体工事を終了した階とそれより１
階分上の階とに平面視で位置を異ならせるとともに仮設
開口０５内に張り出す状態でステージ０６ａ，０６ｂを
設置し、下側の階のステージ０６ａ上に材料を出し、そ
れらの材料をクレーン０４で吊り下げて上側の階のステ
ージ０６ｂ上に搬送して搬入していた。

【０００４】また、鉄筋や、仕上げ工事に際しての壁パ
ネルや設備用のダクトなどの材料を所定階に搬入する場
合、仮設開口０５を通じて所定の階まで材料をクレーン
０４で吊り下げ、その材料を横方向に引っ張り込むなど
により搬入していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の場合、仕上げ工事のための材料を搬入し終わるまでの
間、仮設開口０５が残ったままになり、最終的に仮設開
口０５を埋める工事を行わなければならず、施工効率が
低下して工期および工費のいずれもが増大する欠点があ
った。

【０００６】また、材料の搬入時に、仮設開口０５部分
で吊り下げられた状態の材料を水平方向に引っ張り込む
ために、作業者に余分な労力がかかって施工効率が低下
するとともに危険を伴う欠点があり、そのうえ、雨天時
に仮設開口０５から雨が入り込んで作業がしづらくなる
欠点があった。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、材料の搬入・搬出作業を効率良く行え
て工期の短縮および工費の低減を図るとともに、水平方
向への引っ張り込みを容易に行えるようにして安全性を
向上できるようにすることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の建築構造体用内
外材料搬入・搬出装置は、上述のような目的を達成する
ために、建築構造体の床に設置可能な固定台にガイドレ
ールを備え、そのガイドレールに材料搭載台を移動可能
に設け、固定台に駆動機構を設けるとともに、材料搭載
台と駆動機構とを連動連結し、材料搭載台をガイドレー
ルに沿って駆動往復移動可能に構成する。

【０００９】

【作用】本発明の建築構造体用内外材料搬入・搬出装置
の構成によれば、材料を搬入ならびに搬出しようとする
所定の階において、建築構造体の外周部開口の近くの床
に固定台を設置固定し、材料を搬入する場合であれば、
先ず、材料搭載台を外周部開口よりも外方まで駆動移動
しておき、各種の材料をクレーンで吊り下げて材料搭載
台上に搭載し、その後に材料搭載台を建築構造体の内部
側に駆動移動し、玉掛けワイヤーを外して建築構造体の
内部で材料を降ろして搬入し、一方、材料を搬出する場
合であれば、材料搭載台を建築構造体の内部側に駆動移
動しておき、転用のための型枠や支保工などの材料を材
料搭載台上に搭載し、その後に玉掛けワイヤーを材料に
掛けて材料搭載台を建築構造体の外周部開口より外方ま
で駆動移動し、クレーンにより吊り下げて搬出すること
ができる。

【００１０】そして、固定台の設置固定を解除した後、
次に材料を搬入ならびに搬出する所望の階に装置全体を
クレーンなどによって盛替え、前述同様にして材料の搬
入・搬出を行うことができる。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。

【００１２】図１は、建築構造体用内外材料搬入・搬出
装置の全体平面図、図２は一部切欠全体側面図、図３
（図１のＡ−Ａ線断面図）および図４（図１のＢ−Ｂ線
断面図）はそれぞれ要部の断面図であり、一対のガイド
レール１，１を板材２…で一体的に連結した固定台３
に、ガイドレール１，１に沿って移動可能に材料搭載台
４が設けられている。

【００１３】ガイドレール１，１それぞれは、その長手
方向の一端側から過半部にわたる部分が横断面形状チャ
ンネル状のチャンネル部１ａに、そして、チャンネル部
１ａから他端側に連なる部分が横断面形状アングル状の
アングル部１ｂに形成され、チャンネル部１ａの横側面
に長手方向に所定間隔を隔てて、固定台３を建築構造体
Ｔの床に設置固定するための固定用ブラケット５…が溶
接により一体連接されている。

【００１４】材料搭載台４は、鋼板製の載置台６の下面
に一対の支持材７，７が溶接により一体連接され、一
方、載置台６の上面の三方それぞれに、鋼管製のパイプ
８と金網９とから成る囲い１０が設けられ、搭載した材
料のこぼれを防止するように構成されている。

【００１５】支持材７，７それぞれは、載置台６の長手
方向の長さのほぼ二倍の長さを有し、載置台６の下面に
相当する部分が横断面形状チャンネル状のチャンネル部
７ａに、そして、チャンネル部７ａから他端側に連なる
部分が横断面形状アングル状のアングル部７ｂに形成さ
れ、かつ、チャンネル部７ａの下側の水平部分とそれに
連なるアングル部７ｂの水平部分の下向き面に、長手方
向に所定間隔を隔てて第１の支持ブラケット１１…が立
設されるとともに、その第１の支持ブラケット１１…そ
れぞれに走行用ガイド輪１２が回転自在に軸架され、ま
た、アングル部７ｂの水平部分の上向き面の所定箇所に
第２の支持ブラケット１３が立設されるとともに、その
第２の支持ブラケット１３に上下方向のガタツキを防止
するためのガイド輪１４が回転自在に軸架されている。

【００１６】固定台３の長手方向一端側に正逆転可能な
電動モータ１５が設けられ、一方、固定台３の長手方向
途中箇所の板材２に第３の支持ブラケット１６，１６が
立設され、電動モータ１５のモータ軸１５ａに主動側ス
プロケット１７，１７が取り付けられるとともに、第３
の支持ブラケット１６，１６それぞれに従動側スプロケ
ット１８が回転可能に軸架され、かつ、主動側スプロケ
ット１７，１７それぞれと従動側スプロケット１８，１
８それぞれとにわたってチェーン１９が巻回され、その
チェーン１９の途中箇所と、支持材７のアングル部７ｂ
に溶接により一体連接した連結プレート２０とが一体連
結され、電動モータ１５の正逆転により、材料搭載台４
を固定台３の長手方向に駆動往復移動できるように構成
されている。材料搭載台４を駆動往復移動するための上
述した電動モータ１５と主動側スプロケット１７と従動
側スプロケット１８とチェーン１９とから成る構成をし
て駆動機構と称する。図中、２１，２１は、材料搭載台
４の移動を規制するストッパーを示している。

【００１７】以上の構成により、鉄筋、型枠、支保工と
いった躯体工事に際しての材料や、壁パネル、設備用の
ダクトといった仕上げ工事に際しての材料などの搬入
や、型枠や支保工などの転用のための搬出を、上述建築
構造体用内外材料搬入・搬出装置Ｍを用い、次のように
して行うことができる。

【００１８】すなわち、図５の概略側面図に示すよう
に、梁鉄骨２２…および柱鉄骨２３…による鉄骨建方工
事を先行し、屋上２４を先に構築した後に、その屋上２
４上にクレーン２５を設置する。

【００１９】次いで、各階それぞれにデッキプレートや
コンクリートによる床を形成する。このとき、各階それ
ぞれの所定の外周部開口２６に近い箇所において、図１
および図２それぞれに示すように、梁鉄骨２２の長手方
向に所定間隔（固定用ブラケット５…のピッチに等しい
間隔）を隔てて支持鋼材２７…を溶接により一体連接し
ておく。

【００２０】そして、平行な梁鉄骨２２，２２の互いに
対応する支持鋼材２７…にＨ形鋼２８を架設し、支持鋼
材２７…にＨ形鋼２８…をボルト止めにより一体連結し
ておき、その後に、クレーン２５により建築構造体用内
外材料搬入・搬出装置Ｍを吊り下げて、躯体工事を行お
うとする階とそれよりも１階分上の階それぞれの外周部
開口２６，２６を通じて建築構造体Ｔ内に搬入し、ガイ
ドレール１のアングル部１ｂが外周部開口２６よりも外
方に突出する状態で固定用ブラケット５…をＨ形鋼２８
にボルト止めにより一体連結するとともに、ガイドレー
ル１，１それぞれのチャンネル部１ａのアングル部１ｂ
とは離れる側の端部と天井との間にサポート部材２９を
介装して突っ張り支持し、建築構造体用内外材料搬入・
搬出装置Ｍを設置固定する。このとき、躯体工事を行お
うとする階とそれよりも１階分上の階では、建築構造体
用内外材料搬入・搬出装置Ｍの設置固定位置を、図６の
一部省略平面図に示すように、平面視において重複しな
いようにしておく。

【００２１】その状態で、玉掛けワイヤーを外してクレ
ーン２５による吊り下げを解除するとともに、材料搭載
台４を外周部開口２６よりも外方に位置させておき、次
いで、鉄筋、型枠、支保工といった躯体工事用の材料を
クレーン２５で吊り下げて材料搭載台４上に搭載し、そ
の材料搭載台４を建築構造体Ｔの内部側に駆動移動し、
玉掛けワイヤーを外してクレーン２５による吊り下げを
解除するとともに材料を降ろし、その階の躯体工事を行
う。この躯体工事の間に、鉄筋をクレーン２５で吊り下
げ、１階分上の階の材料搭載台４により搬入しておく。

【００２２】その階の躯体工事を終了した後には、使用
済みの型枠や支保工といった転用のための材料を材料搭
載台４に積み込むとともに玉掛けワイヤーを掛け、材料
搭載台４を外周部開口２６よりも外方に移動させ、材料
をクレーン２５で吊り下げ、前述同様にして１階分上の
階の材料搭載台４の駆動移動により搬入してその階の躯
体工事を行う。

【００２３】しかる後、躯体工事を終了した下側の階に
おいて、壁パネルや設備用ダクトといった仕上げ工事用
の材料をクレーン２５で吊り下げ、前述同様にして、材
料搭載台４の駆動往復移動により搬入する。仕上げ工事
用の材料を搬入した後に、クレーン２５によって建築構
造体用内外材料搬入・搬出装置Ｍを吊り下げ、その階よ
りも２階分上の階の外周部開口２６を通じて搬入し、前
述同様にして床に設置固定する。

【００２４】これらの動作を繰り返すことにより、全て
の階に対して、躯体工事用の材料の搬入・搬出、ならび
に、仕上げ工事用の材料の搬入を行う。

【００２５】上記実施例では、建築構造体用内外材料搬
入・搬出装置Ｍを建築構造体Ｔの床に設置固定するの
に、固定用ブラケット５…をＨ形鋼２８に一体連結する
構成に加え、サポート部材２９を介装して突っ張り支持
することにより、材料搭載台４が外方に移動したときに
建築構造体用内外材料搬入・搬出装置Ｍが転倒すること
を良好に防止できるようにしているが、固定用ブラケッ
ト５…をＨ形鋼２８に一体連結する構成のみ、あるい
は、サポート部材２９をガイドレール１の長手方向に多
数設ける構成によって設置固定するものでも良い。ま
た、転倒防止のために、固定台３上にバランスウェイト
を載置するようにしても良い。

【００２６】また、固定台３にウィンチを設け、そのウ
ィンチのワイヤーを外周部開口２６の上部などに取り付
けた滑車を介して材料搭載台４の先端側に連結し、ワイ
ヤーの繰り出し量を材料搭載台４の移動量に対応するよ
うに制御し、材料搭載台４の先端側をウィンチによって
引っ張り支持するように構成し、ガイドレール１の長さ
を短くできるようにしても良い。

【００２７】上記実施例では、ガイドレール１の材料搭
載台４側にアングル部１ｂを形成し、一方、支持材７の
材料搭載台４の下方から外れて突出した部分をアングル
部７ｂに形成し、支持材７をガイドレール１内に挿入し
やすくして製作が簡単になるようにしているが、ガイド
レール１および支持材７を、その長手方向全長にわたっ
てチャンネル状に形成するものでも良い。

【００２８】材料搭載台４を駆動往復移動するための機
構としては、上述実施例のような電動モータ１５と主動
側スプロケット１７と従動側スプロケット１８およびチ
ェーン１９の組み合わせから成る駆動機構に限らず、例
えば、油圧シリンダとか、あるいは、材料搭載台４にネ
ジ軸を連接し、そのネジ軸に外嵌螺合する内ネジ部材を
電動モータなどにより回転する構成など、各種の駆動機
構が適用できる。

【００２９】

【発明の効果】本発明の建築構造体用内外材料搬入・搬
出装置によれば、装置の盛替と、建築構造体の外周部開
口の近くでの固定台の固定あるいは固定解除とを行うだ
けで、仮設開口を設けずに、建築構造体の外周部開口を
通じて材料を搬入ならびに搬出することができ、仮設開
口に対する駄目工事が不用になり、材料の搬入・搬出作
業を効率良く行えて工期の短縮および工費の低減を図る
ことができるようになった。

【００３０】しかも、搭載した材料の建築構造体の内外
への水平方向の移動を、人手によらずに材料搭載台の駆
動移動によって行うことができ、水平方向への引っ張り
込みを機械力によって容易に行うことができ、作業者の
負担が少なくなって施工効率を向上できるとともに安全
性を向上できるようになった。

【００３１】また、従来のような仮設開口を設けずに済
むから、雨天時における雨の侵入を回避でき、雨天時で
も雨に煩わされずに作業を行うことができ、作業性を向
上できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】建築構造体用内外材料搬入・搬出装置の全体平
面図である。

【図２】一部切欠全体側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図５】材料の搬入・搬出動作を説明する概略側面図で
ある。

【図６】図６の一部省略平面図である。

【図７】従来例の材料の搬入・搬出動作を説明する概略
側面図である。

【符号の説明】

１…ガイドレール ３…固定台 ４…材料搭載台 １５…駆動機構を構成する電動モータ １７…駆動機構を構成する主動側スプロケット １８…駆動機構を構成する従動側スプロケット １９…駆動機構を構成するチェーン Ｔ…建築構造体

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 建築構造体の床に設置可能な固定台にガ
   イドレールを備え、前記ガイドレールに材料搭載台を移
   動可能に設け、前記固定台に駆動機構を設けるととも
   に、前記材料搭載台と前記駆動機構とを連動連結し、前
   記材料搭載台を前記ガイドレールに沿って駆動往復移動
   可能に構成したことを特徴とする建築構造体用内外材料
   搬入・搬出装置。