JPH05258248A - 多層磁気抵抗効果膜とそれを用いた磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置 - Google Patents
多層磁気抵抗効果膜とそれを用いた磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置Info
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- JPH05258248A JPH05258248A JP5509992A JP5509992A JPH05258248A JP H05258248 A JPH05258248 A JP H05258248A JP 5509992 A JP5509992 A JP 5509992A JP 5509992 A JP5509992 A JP 5509992A JP H05258248 A JPH05258248 A JP H05258248A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】磁性金属層3、反強磁性層4、および非磁性金
属層5を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の
磁気抵抗効果膜において、磁性金属層3のうちの少なく
とも2層以上を上記反強磁性層4に接して設け、磁性金
属層3が反強磁性層4との交換相互作用による交換バイ
アス磁界を受ける構造とした多層磁気抵抗効果膜。また
は、多層構造の磁気抵抗効果膜において、磁性金属層3
を反強磁性層4に接して設け、磁性金属層3が反強磁性
層4との交換相互作用による交換バイアス磁界を受け、
かつ磁性金属層3一層ごとに受ける交換バイアス磁界の
向きが異なる構造とした多層磁気抵抗効果膜。 【効果】高感度で磁界が検出できる磁気抵抗効果素子が
得られ、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘッドと組合
せて複合型磁気ヘッドとすることにより、実用上有利な
磁気ヘッドを得ることができる。
属層5を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の
磁気抵抗効果膜において、磁性金属層3のうちの少なく
とも2層以上を上記反強磁性層4に接して設け、磁性金
属層3が反強磁性層4との交換相互作用による交換バイ
アス磁界を受ける構造とした多層磁気抵抗効果膜。また
は、多層構造の磁気抵抗効果膜において、磁性金属層3
を反強磁性層4に接して設け、磁性金属層3が反強磁性
層4との交換相互作用による交換バイアス磁界を受け、
かつ磁性金属層3一層ごとに受ける交換バイアス磁界の
向きが異なる構造とした多層磁気抵抗効果膜。 【効果】高感度で磁界が検出できる磁気抵抗効果素子が
得られ、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘッドと組合
せて複合型磁気ヘッドとすることにより、実用上有利な
磁気ヘッドを得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低い磁界において高い磁
気抵抗効果を示す多層構造の磁気抵抗効果膜に関し、特
に磁気抵抗効果素子、磁界センサ、または磁気ディスク
装置などの情報の記録再生装置に用いられる磁気ヘッド
を構成するのに好適な高感度の多層磁気抵抗効果膜に関
する。
気抵抗効果を示す多層構造の磁気抵抗効果膜に関し、特
に磁気抵抗効果素子、磁界センサ、または磁気ディスク
装置などの情報の記録再生装置に用いられる磁気ヘッド
を構成するのに好適な高感度の多層磁気抵抗効果膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化に伴い、再生
用磁気ヘッドに用いられる磁気抵抗効果材料として、高
い磁気抵抗効果を示す材料が求められている。現在、使
用されているパ−マロイの磁気抵抗変化率は約3%であ
り、磁気抵抗効果を示す新材料としては、上記の磁気抵
抗変化率を上回る材料であることが要望されている。最
近、Baibichらによる、フィジカル・レビュ−・レタ−
ズ(Pysical ReviewLetters)、第61巻、第21号、2472
〜2475ペ−ジに記載の「Giant Magnetoresistance of
(001)Fe/(001)Cr Magnetic Superlattices」のよう
に、多層構造を持つ磁性膜(Fe/Cr多層膜)において、
約50%の磁気抵抗変化率(4.2Kにおいて)が観測さ
れている。また、一方、比較的低い磁界領域でパ−マロ
イよりも高い磁気抵抗効果を示す多層膜として、Dieny
らによる、フィジカル・レビュ−・B(Pysical Review
B)、第43巻、第1号、1297〜1300ペ−ジに記載の「Gia
nt Magnetoresistance inSoft Ferromagnetic Multilay
ers」のように、[Ag]/[Fe-Mn]/[Ni-Fe]/[Cu]/
[Ni-Fe]系の多層膜が知られている。
用磁気ヘッドに用いられる磁気抵抗効果材料として、高
い磁気抵抗効果を示す材料が求められている。現在、使
用されているパ−マロイの磁気抵抗変化率は約3%であ
り、磁気抵抗効果を示す新材料としては、上記の磁気抵
抗変化率を上回る材料であることが要望されている。最
近、Baibichらによる、フィジカル・レビュ−・レタ−
ズ(Pysical ReviewLetters)、第61巻、第21号、2472
〜2475ペ−ジに記載の「Giant Magnetoresistance of
(001)Fe/(001)Cr Magnetic Superlattices」のよう
に、多層構造を持つ磁性膜(Fe/Cr多層膜)において、
約50%の磁気抵抗変化率(4.2Kにおいて)が観測さ
れている。また、一方、比較的低い磁界領域でパ−マロ
イよりも高い磁気抵抗効果を示す多層膜として、Dieny
らによる、フィジカル・レビュ−・B(Pysical Review
B)、第43巻、第1号、1297〜1300ペ−ジに記載の「Gia
nt Magnetoresistance inSoft Ferromagnetic Multilay
ers」のように、[Ag]/[Fe-Mn]/[Ni-Fe]/[Cu]/
[Ni-Fe]系の多層膜が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の多層構造を
持つ磁性膜を、磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドなどに用
いるためには、外部磁界の変化する範囲内での抵抗変化
量が大きいことが要求され、Baibichらによる、フィジ
カル・レビュ−・レタ−ズ(Pysical Review Letter
s)、第61巻、第21号、2472〜2475ペ−ジに記載の「Gia
nt Magnetoresistanceof (001)Fe/(001)Cr Magneti
c Superlattices」に記載されている膜は、800kA
/m〔10kOe(キロ・エルステッド)〕程度の高い
磁界を印加しなければ、十分な磁気抵抗効果が得られな
いという問題がある。これは、磁性層間の交換相互作用
が強く、外部磁界によって磁性層の磁化の向きが変化し
にくいためであると考えられる。また、[Ag]/[Fe-M
n]/[Ni-Fe]/[Cu]/[Ni-Fe]系の多層膜は、Ni−
Fe系合金層の磁化容易方向に磁界を印加した時に磁気
抵抗効果を示す。これは、磁性層のうちの1層のみに、
反強磁性層からの交換相互作用による交換バイアス磁界
が印加されているためである。しかし、磁気ヘッドに用
いるためには、比透磁率の高いことが要求され、かつ比
透磁率の比較的高い磁化困難方向に磁界を印加した時に
磁気抵抗効果を示す必要があった。
持つ磁性膜を、磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドなどに用
いるためには、外部磁界の変化する範囲内での抵抗変化
量が大きいことが要求され、Baibichらによる、フィジ
カル・レビュ−・レタ−ズ(Pysical Review Letter
s)、第61巻、第21号、2472〜2475ペ−ジに記載の「Gia
nt Magnetoresistanceof (001)Fe/(001)Cr Magneti
c Superlattices」に記載されている膜は、800kA
/m〔10kOe(キロ・エルステッド)〕程度の高い
磁界を印加しなければ、十分な磁気抵抗効果が得られな
いという問題がある。これは、磁性層間の交換相互作用
が強く、外部磁界によって磁性層の磁化の向きが変化し
にくいためであると考えられる。また、[Ag]/[Fe-M
n]/[Ni-Fe]/[Cu]/[Ni-Fe]系の多層膜は、Ni−
Fe系合金層の磁化容易方向に磁界を印加した時に磁気
抵抗効果を示す。これは、磁性層のうちの1層のみに、
反強磁性層からの交換相互作用による交換バイアス磁界
が印加されているためである。しかし、磁気ヘッドに用
いるためには、比透磁率の高いことが要求され、かつ比
透磁率の比較的高い磁化困難方向に磁界を印加した時に
磁気抵抗効果を示す必要があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術における多
層構造の磁気抵抗効果膜の欠点および問題点を解消する
ものであり、微弱な磁界であっても検出することが可能
な高い磁気抵抗変化率を示す高感度の多層磁気抵抗効果
膜、それを用いた磁気抵抗効果素子、磁気センサ、磁気
ヘッドおよび磁気記録再生装置を提供することにある。
層構造の磁気抵抗効果膜の欠点および問題点を解消する
ものであり、微弱な磁界であっても検出することが可能
な高い磁気抵抗変化率を示す高感度の多層磁気抵抗効果
膜、それを用いた磁気抵抗効果素子、磁気センサ、磁気
ヘッドおよび磁気記録再生装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の磁
気抵抗効果を示す材料、および種々の膜厚の磁性金属
層、反強磁性層および非磁性金属層を、それぞれ1層以
上交互に積層した多層構造の磁気抵抗効果膜について、
鋭意研究を重ねた結果、磁性金属層に反強磁性層を接し
て設けて、上記磁性金属層に上記の反強磁性層との交換
相互作用による交換バイアス磁界を印加し、さらに上記
磁性金属層の一層ごとに上記交換バイアス磁界の向きを
変化させる構造にした多層磁気抵抗効果膜は、上記磁性
金属層の磁化困難方向に外部磁界を印加した時に、低い
磁界においても高い磁気抵抗効果を示すことを見出し
た。また、磁性金属層、反強磁性層、および非磁性金属
層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の磁気
抵抗効果膜において、上記磁性金属層のうちの少なくと
も2層以上が上記反強磁性層に接し、上記磁性金属層が
上記反強磁性層との交換相互作用による交換バイアス磁
界を受けている多層磁気抵抗効果膜においても、低い磁
界で高い磁気抵抗効果を示すことが分かった。さらに、
この多層磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドとして用いた時
に、バルクハウゼンノイズを示さない優れた再生用磁気
ヘッドが得られることが判明した。
気抵抗効果を示す材料、および種々の膜厚の磁性金属
層、反強磁性層および非磁性金属層を、それぞれ1層以
上交互に積層した多層構造の磁気抵抗効果膜について、
鋭意研究を重ねた結果、磁性金属層に反強磁性層を接し
て設けて、上記磁性金属層に上記の反強磁性層との交換
相互作用による交換バイアス磁界を印加し、さらに上記
磁性金属層の一層ごとに上記交換バイアス磁界の向きを
変化させる構造にした多層磁気抵抗効果膜は、上記磁性
金属層の磁化困難方向に外部磁界を印加した時に、低い
磁界においても高い磁気抵抗効果を示すことを見出し
た。また、磁性金属層、反強磁性層、および非磁性金属
層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の磁気
抵抗効果膜において、上記磁性金属層のうちの少なくと
も2層以上が上記反強磁性層に接し、上記磁性金属層が
上記反強磁性層との交換相互作用による交換バイアス磁
界を受けている多層磁気抵抗効果膜においても、低い磁
界で高い磁気抵抗効果を示すことが分かった。さらに、
この多層磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドとして用いた時
に、バルクハウゼンノイズを示さない優れた再生用磁気
ヘッドが得られることが判明した。
【0006】上記磁性金属層として、比較的、軟磁気特
性の優れているNi−Fe系合金を用いると、軟磁気特
性の優れた多層磁気抵抗効果膜を得ることができた。ま
た、磁性金属層にNi−Fe系合金を用いた場合には、
反強磁性層としてNi−Fe系合金と結晶構造がほぼ同
じで、格子定数の近いFe−Mn系合金を用いると、磁
性金属層であるNi−Fe系合金に効果的に交換バイア
ス磁界が印加された。なお、Fe−Mn系合金の組成と
しては、Mnが15〜70原子%、Feが30〜85原
子%の範囲内にあるものが好ましい。しかし、Fe−M
n系合金は耐食性が良好ではなく、多層磁気抵抗効果膜
の使用条件によっては腐食されることがあるので、耐食
性を向上させるために、Fe−Mn系合金にRu、P
t、Pdのうちから選ばれる少なくとも1種の元素を添
加することが有効である。この耐食性向上元素の添加量
は、少量、例えば0.1原子%以上添加しても耐食性の
効果が生じるが、添加量が18原子%を超えると交換バ
イアス磁界が低下するので好ましくない。より好ましい
範囲は、5.5〜18原子%で、最も好ましい範囲は
5.5〜15原子%である。また、耐食性の優れた酸化
ニッケルを反強磁性層として用いるのも効果的である。
そして、本発明の多層磁気抵抗効果膜の膜厚は薄いほど
良く、全体の膜厚として100nm以下が好ましい。膜
厚が厚過ぎるとセンス電流による昇温のためエレクトロ
マイグレーションが加速され磁気抵抗効果素子が破断さ
れるので好ましくない。 磁性金属層または反強磁性層
の単層としての膜厚は1〜4nmの範囲が好ましく、非
磁性金属層は0.8〜4nmの範囲が好ましい。これら
の薄膜層は、薄いほど好ましいが、あまり薄いと薄膜層
に欠陥が生じ易いので好ましくない。
性の優れているNi−Fe系合金を用いると、軟磁気特
性の優れた多層磁気抵抗効果膜を得ることができた。ま
た、磁性金属層にNi−Fe系合金を用いた場合には、
反強磁性層としてNi−Fe系合金と結晶構造がほぼ同
じで、格子定数の近いFe−Mn系合金を用いると、磁
性金属層であるNi−Fe系合金に効果的に交換バイア
ス磁界が印加された。なお、Fe−Mn系合金の組成と
しては、Mnが15〜70原子%、Feが30〜85原
子%の範囲内にあるものが好ましい。しかし、Fe−M
n系合金は耐食性が良好ではなく、多層磁気抵抗効果膜
の使用条件によっては腐食されることがあるので、耐食
性を向上させるために、Fe−Mn系合金にRu、P
t、Pdのうちから選ばれる少なくとも1種の元素を添
加することが有効である。この耐食性向上元素の添加量
は、少量、例えば0.1原子%以上添加しても耐食性の
効果が生じるが、添加量が18原子%を超えると交換バ
イアス磁界が低下するので好ましくない。より好ましい
範囲は、5.5〜18原子%で、最も好ましい範囲は
5.5〜15原子%である。また、耐食性の優れた酸化
ニッケルを反強磁性層として用いるのも効果的である。
そして、本発明の多層磁気抵抗効果膜の膜厚は薄いほど
良く、全体の膜厚として100nm以下が好ましい。膜
厚が厚過ぎるとセンス電流による昇温のためエレクトロ
マイグレーションが加速され磁気抵抗効果素子が破断さ
れるので好ましくない。 磁性金属層または反強磁性層
の単層としての膜厚は1〜4nmの範囲が好ましく、非
磁性金属層は0.8〜4nmの範囲が好ましい。これら
の薄膜層は、薄いほど好ましいが、あまり薄いと薄膜層
に欠陥が生じ易いので好ましくない。
【0007】本発明の多層構造の磁気抵抗効果膜を用い
た磁気抵抗効果素子は、低い磁界を高感度で検出するこ
とができる。したがって、磁界を検出する高性能の磁界
センサに用いることができる。そして、上記磁気抵抗効
果素子は低い磁界において高感度を示すため、情報の再
生用磁気ヘッドとして好適に用いられる。また、この再
生用磁気ヘッドと、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘ
ッドと組合せて複合型磁気ヘッドを構成することが、磁
気記録再生を行う上で実用上好ましい。そして、上記の
再生用磁気ヘッド、または複合型磁気ヘッドを用いて、
情報の記録または再生を行う装置を構成することによ
り、高性能の磁気記録再生装置を実現することができ
る。
た磁気抵抗効果素子は、低い磁界を高感度で検出するこ
とができる。したがって、磁界を検出する高性能の磁界
センサに用いることができる。そして、上記磁気抵抗効
果素子は低い磁界において高感度を示すため、情報の再
生用磁気ヘッドとして好適に用いられる。また、この再
生用磁気ヘッドと、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘ
ッドと組合せて複合型磁気ヘッドを構成することが、磁
気記録再生を行う上で実用上好ましい。そして、上記の
再生用磁気ヘッド、または複合型磁気ヘッドを用いて、
情報の記録または再生を行う装置を構成することによ
り、高性能の磁気記録再生装置を実現することができ
る。
【0008】
【作用】上述したごとく、種々の磁気抵抗効果を示す材
料および種々の膜厚の磁性金属層、反強磁性層、非磁性
金属層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の
磁気抵抗効果膜において、磁性金属層に反強磁性層を接
して設け、上記磁性金属層に上記反強磁性層との交換相
互作用による交換バイアス磁界を印加した構成とするこ
とにより、上記磁性金属層の磁化困難方向に外部磁界を
印加した時に、低い磁界においても高い磁気抵抗効果を
示す多層磁気抵抗効果膜を得ることができる。また、上
記の磁性金属層として、比較的軟磁気特性の良好なNi
−Fe系合金を用いることで、軟磁気特性に優れた多層
磁気抵抗効果膜を得ることができる。磁性金属層にNi
−Fe系合金を用いる場合には、 反強磁性層としてF
e−Mn系合金を用いることにより、磁性金属層である
Ni−Fe系合金に効果的に交換バイアス磁界を印加す
ることができる。しかし、Fe−Mn系合金(Mn15
〜70原子%、Fe30〜85原子%)は耐食性が良好
ではなく、多層磁気抵抗効果膜の使用条件によっては腐
食されることがあるので、Fe−Mn系合金の耐食性を
向上させるために、Ru、Pt、Pdのうちから選ばれ
る少なくとも1種の元素を添加することが有効である。
上記の元素の添加量は、微量添加しても効果は生じる
が、原子%で、0.1〜18%の範囲が好ましく、18
%を超えると交換バイアス磁界が低下するので好ましく
ない。より好ましい範囲は、5.5〜18%で、最も好
ましい範囲は、5.5〜15%である。また、反強磁性
層に酸化ニッケルを用いることも効果的である。そし
て、本発明の多層磁気抵抗効果膜の膜厚は、薄いほど性
能がよく、膜厚全体として100nm以下が好ましく、
膜厚が厚過ぎるとセンス電流による昇温のためにエレク
トロマイグレーションが加速され、素子が破断され易く
なる磁性金属層または反強磁性層の単層としての膜厚は
1〜4nmの範囲が好ましく、非磁性金属層は、0.8
〜4nmの範囲ので好ましい。これらの薄膜層は、薄い
ほど好ましいが、あまり薄いと薄膜層に欠陥が生じ易く
なるので好ましくない。また、本発明の多層磁気抵抗効
果膜を用いた磁気抵抗効果素子は、低い磁界を高感度で
検出することができので磁界センサとして用いることが
できる。さらに、上記磁気抵抗効果素子は低い磁界で高
感度を示すため、記録された情報を再生する再生用磁気
ヘッドとして好適に用いられる。この再生用磁気ヘッド
は、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘッドと組合せて
複合型磁気ヘッドを構成することが実用上好ましい。ま
たさらに、上記の再生用磁気ヘッド、あるいは複合型磁
気ヘッドを、磁気記録または再生を行う装置に装着する
ことにより、高性能の磁気記録、再生装置を実現するこ
とが可能となる。
料および種々の膜厚の磁性金属層、反強磁性層、非磁性
金属層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の
磁気抵抗効果膜において、磁性金属層に反強磁性層を接
して設け、上記磁性金属層に上記反強磁性層との交換相
互作用による交換バイアス磁界を印加した構成とするこ
とにより、上記磁性金属層の磁化困難方向に外部磁界を
印加した時に、低い磁界においても高い磁気抵抗効果を
示す多層磁気抵抗効果膜を得ることができる。また、上
記の磁性金属層として、比較的軟磁気特性の良好なNi
−Fe系合金を用いることで、軟磁気特性に優れた多層
磁気抵抗効果膜を得ることができる。磁性金属層にNi
−Fe系合金を用いる場合には、 反強磁性層としてF
e−Mn系合金を用いることにより、磁性金属層である
Ni−Fe系合金に効果的に交換バイアス磁界を印加す
ることができる。しかし、Fe−Mn系合金(Mn15
〜70原子%、Fe30〜85原子%)は耐食性が良好
ではなく、多層磁気抵抗効果膜の使用条件によっては腐
食されることがあるので、Fe−Mn系合金の耐食性を
向上させるために、Ru、Pt、Pdのうちから選ばれ
る少なくとも1種の元素を添加することが有効である。
上記の元素の添加量は、微量添加しても効果は生じる
が、原子%で、0.1〜18%の範囲が好ましく、18
%を超えると交換バイアス磁界が低下するので好ましく
ない。より好ましい範囲は、5.5〜18%で、最も好
ましい範囲は、5.5〜15%である。また、反強磁性
層に酸化ニッケルを用いることも効果的である。そし
て、本発明の多層磁気抵抗効果膜の膜厚は、薄いほど性
能がよく、膜厚全体として100nm以下が好ましく、
膜厚が厚過ぎるとセンス電流による昇温のためにエレク
トロマイグレーションが加速され、素子が破断され易く
なる磁性金属層または反強磁性層の単層としての膜厚は
1〜4nmの範囲が好ましく、非磁性金属層は、0.8
〜4nmの範囲ので好ましい。これらの薄膜層は、薄い
ほど好ましいが、あまり薄いと薄膜層に欠陥が生じ易く
なるので好ましくない。また、本発明の多層磁気抵抗効
果膜を用いた磁気抵抗効果素子は、低い磁界を高感度で
検出することができので磁界センサとして用いることが
できる。さらに、上記磁気抵抗効果素子は低い磁界で高
感度を示すため、記録された情報を再生する再生用磁気
ヘッドとして好適に用いられる。この再生用磁気ヘッド
は、別に記録能力を有する誘導型磁気ヘッドと組合せて
複合型磁気ヘッドを構成することが実用上好ましい。ま
たさらに、上記の再生用磁気ヘッド、あるいは複合型磁
気ヘッドを、磁気記録または再生を行う装置に装着する
ことにより、高性能の磁気記録、再生装置を実現するこ
とが可能となる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の一実施例を挙げ、図面を参照
しながら、さらに具体的に説明する。 〈実施例1〉多層磁気抵抗効果膜の作製には、高周波ス
パッタリング法を用いた。到達真空度は、1/105P
a、膜形成速度は、0.2〜0.6nm/sとした。基
板としては、Si(100)単結晶基板を用いた。作製
した多層磁気抵抗効果膜の断面構造を図1に示す。本実
施例では、図1に示すごとく、基板1の上にFeからな
る膜厚3nmのバッファ層2を形成し、このバッファ層
2の上に、磁性金属層3、反強磁性層4、非磁性金属層
5を順次、6周期積層した。磁性金属層3には、膜厚2
nmのNi−20原子%Fe合金、反強磁性層4には、
膜厚2nmのFe−50原子%Mn合金、非磁性金属層
5には、膜厚1nmのAuを用いた。磁性金属層3のみ
数えた場合、奇数層目の磁性金属層3、およびその上の
反強磁性層4を形成する時と、偶数層目の磁性金属層
3、およびその上の反強磁性層4を形成する時とでは、
スパッタリング時に印加する磁界の方向を180度変化
させた。本発明の多層磁気抵抗効果膜では、Ni−Fe
系合金層にFe−Mn系合金層との交換相互作用による
交換バイアス磁界が印加されている。上述のように、膜
作製時における印加磁界を180度変化させているの
で、多層磁気抵抗効果膜に外部磁界を印加しない時に
は、図2に示すように、奇数層目の磁性金属層3の磁化
の向き6と偶数層目の磁性金属層3の磁化の向き7は、
互いに反平行となる。このように、磁性金属層の磁化の
向きが互いに反平行である時には、多層磁気抵抗効果膜
の電気抵抗率は高い。この多層磁気抵抗効果膜に磁界を
印加し、奇数層目の磁性金属層の磁化の向き6と偶数層
目の磁性金属層の磁化の向き7を平行とすると、多層磁
気抵抗効果膜の電気抵抗率は低くなる。しかし、多層磁
気抵抗効果膜に印加する磁界の方向が、反強磁性層によ
る交換バイアス磁界の方向である場合は、磁性金属層の
磁化過程は主に磁壁移動に依存する。この場合、多層磁
気抵抗効果膜の比透磁率は低く、磁気ヘッドなどに用い
るには好ましくない。したがって、本発明の多層磁気抵
抗効果膜に印加する磁界の方向は、反強磁性層による交
換バイアス磁界と直角の方向が好ましい。外部磁界が印
加されていない場合は、上記の印加磁界の方向は、図3
に示すように、奇数層目の磁性金属層の磁化の向き6お
よび偶数層目の磁性金属層の磁化の向き7と直角とな
る。このような方向に磁界を印加すると、磁性金属層の
磁化過程は主に磁化回転に依存する。したがって、多層
磁気抵抗効果膜の比透磁率が比較的高くなる。
しながら、さらに具体的に説明する。 〈実施例1〉多層磁気抵抗効果膜の作製には、高周波ス
パッタリング法を用いた。到達真空度は、1/105P
a、膜形成速度は、0.2〜0.6nm/sとした。基
板としては、Si(100)単結晶基板を用いた。作製
した多層磁気抵抗効果膜の断面構造を図1に示す。本実
施例では、図1に示すごとく、基板1の上にFeからな
る膜厚3nmのバッファ層2を形成し、このバッファ層
2の上に、磁性金属層3、反強磁性層4、非磁性金属層
5を順次、6周期積層した。磁性金属層3には、膜厚2
nmのNi−20原子%Fe合金、反強磁性層4には、
膜厚2nmのFe−50原子%Mn合金、非磁性金属層
5には、膜厚1nmのAuを用いた。磁性金属層3のみ
数えた場合、奇数層目の磁性金属層3、およびその上の
反強磁性層4を形成する時と、偶数層目の磁性金属層
3、およびその上の反強磁性層4を形成する時とでは、
スパッタリング時に印加する磁界の方向を180度変化
させた。本発明の多層磁気抵抗効果膜では、Ni−Fe
系合金層にFe−Mn系合金層との交換相互作用による
交換バイアス磁界が印加されている。上述のように、膜
作製時における印加磁界を180度変化させているの
で、多層磁気抵抗効果膜に外部磁界を印加しない時に
は、図2に示すように、奇数層目の磁性金属層3の磁化
の向き6と偶数層目の磁性金属層3の磁化の向き7は、
互いに反平行となる。このように、磁性金属層の磁化の
向きが互いに反平行である時には、多層磁気抵抗効果膜
の電気抵抗率は高い。この多層磁気抵抗効果膜に磁界を
印加し、奇数層目の磁性金属層の磁化の向き6と偶数層
目の磁性金属層の磁化の向き7を平行とすると、多層磁
気抵抗効果膜の電気抵抗率は低くなる。しかし、多層磁
気抵抗効果膜に印加する磁界の方向が、反強磁性層によ
る交換バイアス磁界の方向である場合は、磁性金属層の
磁化過程は主に磁壁移動に依存する。この場合、多層磁
気抵抗効果膜の比透磁率は低く、磁気ヘッドなどに用い
るには好ましくない。したがって、本発明の多層磁気抵
抗効果膜に印加する磁界の方向は、反強磁性層による交
換バイアス磁界と直角の方向が好ましい。外部磁界が印
加されていない場合は、上記の印加磁界の方向は、図3
に示すように、奇数層目の磁性金属層の磁化の向き6お
よび偶数層目の磁性金属層の磁化の向き7と直角とな
る。このような方向に磁界を印加すると、磁性金属層の
磁化過程は主に磁化回転に依存する。したがって、多層
磁気抵抗効果膜の比透磁率が比較的高くなる。
【0010】図4に、本実施例で作製した多層磁気抵抗
効果膜の磁気抵抗効果曲線を示す。図に示すごとく、8
000A/m〔100エルステッド(Oe)〕程度の印
加磁界において、8%程度の磁気抵抗変化率を示す。ま
た、この多層磁気抵抗効果膜の比透磁率は300であっ
た。このような、比較的高い比透磁率は、Dienyらによ
る、フィジカル・レビュ−・B(Pysical Review B)、
第43巻、第1号、1297〜1300ペ−ジの「Giant Magnetore
sistance in Soft Ferromagnetic Multilayers」に記載
の[Ag/Fe]-[Mn/Ni]-[Fe/Cu/Ni]-[Fe]系の多層
膜のように、磁性金属層の磁化容易方向に(交換バイア
ス磁界の方向)に外部磁界を印加した場合には得られな
い。本実施例のように、すべての磁性金属層に反強磁性
層による交換バイアス磁界を印加し、かつその交換バイ
アス磁界の向きは磁性金属層ごとに異ならなければ、磁
性金属層の磁化困難方向に磁界を印加することができ
ず、高い比透磁率は得られない。また、磁性金属層が2
層以上存在すれば、多層構造による磁気抵抗効果が生じ
る。なお、本実施例ではFe−Mn系合金による交換バ
イアス磁界のために、Ni−Fe系合金の異方性磁界が
高くなっている。磁性金属層の異方性磁界を低くするた
めには、交換バイアス磁界を低くする必要がある。この
ためには、磁性金属層の1層当りの膜厚を厚くすること
が有効である。また、Fe−Mn系合金は耐食性が良好
ではない。この耐食性を向上させるために、第3の元素
を添加することが有効である。この第3元素添加によ
り、交換バイアス磁界が減少し、その結果、磁性金属層
の異方性磁界が低くなる。このような異方性磁界の低い
多層磁気抵抗効果膜では、高い比透磁率が得られる。ま
た、反強磁性層に酸化ニッケル(NiO)を用いると、
NiOは耐食性が良好であるため、腐食しにくい多層磁
気抵抗効果膜を得ることができる。また、NiOはFe
−Mn系合金のネール温度(約150℃)よりも高いネ
ール温度(約230℃)を有するため、高温のヘッド作
製プロセスによる特性劣化を起こしにくい。なお、上記
のNiOは、若干、化学量論的組成よりもずれた組成に
おいても、上記と同様の効果を示す。また、非磁性金属
層5としては、Au以外の材料でも同様の結果が得られ
る。Ni−Fe系合金などの3d遷移金属磁性層との結
晶格子の整合性の観点からは、非磁性層は3d遷移金属
であることが好ましい。特に、Cuは電気伝導率が高
く、多層磁気抵抗効果膜全体の電気伝導率を高くするた
めに好ましい。また、Agは、反強磁性層より上部に存
在する磁性金属層との交換相互作用を遮断したい時に有
効である。また、Fe−Mn系合金は酸化されやすいた
め、酸化を防ぐには、多層構造の最上部のFe−Mn系
合金の上に、保護膜を形成することが必要である。保護
膜として、本実施例ではFe、Cuを用いた。また、多
層膜の構造によっては、磁界が零(0)の付近で、抵抗
変化の勾配が低くなることがある。このような状態で
は、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いて磁気抵抗効果
素子を形成しても高い感度が得られない。この場合は、
磁界検出方向にバイアス磁界を印加し、抵抗変化の勾配
の高い領域を移動させることが有効である。これによ
り、磁界が零の近傍での感度を高くすることができる。
効果膜の磁気抵抗効果曲線を示す。図に示すごとく、8
000A/m〔100エルステッド(Oe)〕程度の印
加磁界において、8%程度の磁気抵抗変化率を示す。ま
た、この多層磁気抵抗効果膜の比透磁率は300であっ
た。このような、比較的高い比透磁率は、Dienyらによ
る、フィジカル・レビュ−・B(Pysical Review B)、
第43巻、第1号、1297〜1300ペ−ジの「Giant Magnetore
sistance in Soft Ferromagnetic Multilayers」に記載
の[Ag/Fe]-[Mn/Ni]-[Fe/Cu/Ni]-[Fe]系の多層
膜のように、磁性金属層の磁化容易方向に(交換バイア
ス磁界の方向)に外部磁界を印加した場合には得られな
い。本実施例のように、すべての磁性金属層に反強磁性
層による交換バイアス磁界を印加し、かつその交換バイ
アス磁界の向きは磁性金属層ごとに異ならなければ、磁
性金属層の磁化困難方向に磁界を印加することができ
ず、高い比透磁率は得られない。また、磁性金属層が2
層以上存在すれば、多層構造による磁気抵抗効果が生じ
る。なお、本実施例ではFe−Mn系合金による交換バ
イアス磁界のために、Ni−Fe系合金の異方性磁界が
高くなっている。磁性金属層の異方性磁界を低くするた
めには、交換バイアス磁界を低くする必要がある。この
ためには、磁性金属層の1層当りの膜厚を厚くすること
が有効である。また、Fe−Mn系合金は耐食性が良好
ではない。この耐食性を向上させるために、第3の元素
を添加することが有効である。この第3元素添加によ
り、交換バイアス磁界が減少し、その結果、磁性金属層
の異方性磁界が低くなる。このような異方性磁界の低い
多層磁気抵抗効果膜では、高い比透磁率が得られる。ま
た、反強磁性層に酸化ニッケル(NiO)を用いると、
NiOは耐食性が良好であるため、腐食しにくい多層磁
気抵抗効果膜を得ることができる。また、NiOはFe
−Mn系合金のネール温度(約150℃)よりも高いネ
ール温度(約230℃)を有するため、高温のヘッド作
製プロセスによる特性劣化を起こしにくい。なお、上記
のNiOは、若干、化学量論的組成よりもずれた組成に
おいても、上記と同様の効果を示す。また、非磁性金属
層5としては、Au以外の材料でも同様の結果が得られ
る。Ni−Fe系合金などの3d遷移金属磁性層との結
晶格子の整合性の観点からは、非磁性層は3d遷移金属
であることが好ましい。特に、Cuは電気伝導率が高
く、多層磁気抵抗効果膜全体の電気伝導率を高くするた
めに好ましい。また、Agは、反強磁性層より上部に存
在する磁性金属層との交換相互作用を遮断したい時に有
効である。また、Fe−Mn系合金は酸化されやすいた
め、酸化を防ぐには、多層構造の最上部のFe−Mn系
合金の上に、保護膜を形成することが必要である。保護
膜として、本実施例ではFe、Cuを用いた。また、多
層膜の構造によっては、磁界が零(0)の付近で、抵抗
変化の勾配が低くなることがある。このような状態で
は、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いて磁気抵抗効果
素子を形成しても高い感度が得られない。この場合は、
磁界検出方向にバイアス磁界を印加し、抵抗変化の勾配
の高い領域を移動させることが有効である。これによ
り、磁界が零の近傍での感度を高くすることができる。
【0011】本発明の多層磁気抵抗効果膜では、バイア
スは各磁性層に均一な磁界のかかる方法が好ましい。バ
イアスを印加する手段として、非磁性層を介して永久磁
石層を形成すると、比較的均一な永久磁石からの漏れ磁
界が多層磁気抵抗効果膜に印加される。この点で、永久
磁石方式は、多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果
素子におけるバイアス印加方式として好ましい。しか
し、反面、多層磁気抵抗効果膜と永久磁石層の間に厚い
非磁性層を形成しなくてはならないため、素子全体が厚
くなり、素子の上下に形成する2枚のシ−ルドの間隔を
狭くすることができない。このため、磁気抵抗効果素子
の分解能を高くすることに対しては若干の問題が生じ
る。また、一般のパ−マロイ磁気抵抗効果素子で知られ
ているシャントバイアス方式、ソフトバイアス方式、相
互バイアス方式などを用いても、バイアス磁界を印加す
ることが可能である。シャントバイアス方式は、多層磁
気抵抗効果膜上に直接、非磁性金属層を形成し、非磁性
金属に分流した電流により生じる誘導電流によってバイ
アス磁界を発生させる方式である。この方式は、多層磁
気抵抗効果膜上に直接、非磁性金属層を形成するため、
非常に簡便に素子を形成することができるプロセス上の
大きな利点がある。しかし、非磁性金属層に流れる電流
に対しては磁界による電気抵抗の変化は生じず、素子全
体の磁気抵抗変化率が減少するという欠点がある。ま
た、非磁性金属層に接触している磁性金属層には大きな
バイアス磁界が印加されるが、接触していない磁性金属
層に印加されるバイアス磁界は比較的小さいという問題
がある。上記のシャントバイアス方式の問題点を解決す
るために、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性絶縁層を形成
し、さらにその上に非磁性金属層を形成した。上記、非
磁性金属層に電流を流すことにより、バイアス磁界を発
生させた。この方法によると、上記のシャントバイアス
方式よりも均一な磁界を多層磁気抵抗効果膜に印加する
ことができる。多層磁気抵抗効果膜に比較的均一なバイ
アス磁界を印加するという観点から、ソフトバイアス方
式は好ましい。しかし、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性
絶縁層を形成する必要があるため素子全体が厚くなる傾
向にある。相互バイアス方式も、多層磁気抵抗効果膜に
比較的均一なバイアス磁界を印加するという観点から、
ソフトバイアス方式と同様に好ましい。また、2個の多
層磁気抵抗効果膜を用いるため、素子を2個形成して使
用することになり、2倍の出力を得たり、差動型素子と
することも可能であるが、素子全体の構造が複雑になる
という問題がある。また、以上述べた、ソフトバイアス
方式、シャントバイアス方式、相互バイアス方式、永久
磁石方式、電流による誘導磁界による方式から選ばれる
2種類以上の方式を併用することも可能である。
スは各磁性層に均一な磁界のかかる方法が好ましい。バ
イアスを印加する手段として、非磁性層を介して永久磁
石層を形成すると、比較的均一な永久磁石からの漏れ磁
界が多層磁気抵抗効果膜に印加される。この点で、永久
磁石方式は、多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果
素子におけるバイアス印加方式として好ましい。しか
し、反面、多層磁気抵抗効果膜と永久磁石層の間に厚い
非磁性層を形成しなくてはならないため、素子全体が厚
くなり、素子の上下に形成する2枚のシ−ルドの間隔を
狭くすることができない。このため、磁気抵抗効果素子
の分解能を高くすることに対しては若干の問題が生じ
る。また、一般のパ−マロイ磁気抵抗効果素子で知られ
ているシャントバイアス方式、ソフトバイアス方式、相
互バイアス方式などを用いても、バイアス磁界を印加す
ることが可能である。シャントバイアス方式は、多層磁
気抵抗効果膜上に直接、非磁性金属層を形成し、非磁性
金属に分流した電流により生じる誘導電流によってバイ
アス磁界を発生させる方式である。この方式は、多層磁
気抵抗効果膜上に直接、非磁性金属層を形成するため、
非常に簡便に素子を形成することができるプロセス上の
大きな利点がある。しかし、非磁性金属層に流れる電流
に対しては磁界による電気抵抗の変化は生じず、素子全
体の磁気抵抗変化率が減少するという欠点がある。ま
た、非磁性金属層に接触している磁性金属層には大きな
バイアス磁界が印加されるが、接触していない磁性金属
層に印加されるバイアス磁界は比較的小さいという問題
がある。上記のシャントバイアス方式の問題点を解決す
るために、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性絶縁層を形成
し、さらにその上に非磁性金属層を形成した。上記、非
磁性金属層に電流を流すことにより、バイアス磁界を発
生させた。この方法によると、上記のシャントバイアス
方式よりも均一な磁界を多層磁気抵抗効果膜に印加する
ことができる。多層磁気抵抗効果膜に比較的均一なバイ
アス磁界を印加するという観点から、ソフトバイアス方
式は好ましい。しかし、多層磁気抵抗効果膜上に非磁性
絶縁層を形成する必要があるため素子全体が厚くなる傾
向にある。相互バイアス方式も、多層磁気抵抗効果膜に
比較的均一なバイアス磁界を印加するという観点から、
ソフトバイアス方式と同様に好ましい。また、2個の多
層磁気抵抗効果膜を用いるため、素子を2個形成して使
用することになり、2倍の出力を得たり、差動型素子と
することも可能であるが、素子全体の構造が複雑になる
という問題がある。また、以上述べた、ソフトバイアス
方式、シャントバイアス方式、相互バイアス方式、永久
磁石方式、電流による誘導磁界による方式から選ばれる
2種類以上の方式を併用することも可能である。
【0012】ところで、多層磁気抵抗効果膜では、磁気
抵抗効果が図4に示すようなヒステリシスを示すことが
ある。この場合、磁気記録再生装置には、多層磁気抵抗
効果膜に高い磁界を印加し、磁化状態をイニシャライズ
できる機構を付加することが好ましい。これには、磁気
記録再生装置内に永久磁石を配置し、磁気抵抗効果素子
を接触させる方法が簡便である。また、磁気記録再生装
置内に微小なコイルを配置し、該コイル内部に磁気抵抗
効果素子を挿入し、コイルに電流を流す方法も有効であ
る。また、あらがじめ磁気抵抗効果素子にコイルを組み
込んでおく方法もある。また、Ni−Fe系合金の代わ
りに、Ni−Co系合金またはNi−Fe−Co系合金
を用いても、高い磁気抵抗効果を得ることができる。こ
れらの合金は、異方性的磁気抵抗効果が大きく、多層構
造に起因する磁気抵抗効果との合計の磁気抵抗効果が大
きくなるという利点がある。しかし、上記合金は、Ni
−Fe系合金よりも軟磁気特性が劣るため、磁気抵抗効
果が最大になる磁界が高くなるという問題が残る。ま
た、上記以外の磁性材料を用いても同様の効果が得られ
る。本実施例では、多層膜形成に高周波スパッタリング
法を用いたが、他の薄膜形成法を用いても上記と同様の
結果が得られる。
抵抗効果が図4に示すようなヒステリシスを示すことが
ある。この場合、磁気記録再生装置には、多層磁気抵抗
効果膜に高い磁界を印加し、磁化状態をイニシャライズ
できる機構を付加することが好ましい。これには、磁気
記録再生装置内に永久磁石を配置し、磁気抵抗効果素子
を接触させる方法が簡便である。また、磁気記録再生装
置内に微小なコイルを配置し、該コイル内部に磁気抵抗
効果素子を挿入し、コイルに電流を流す方法も有効であ
る。また、あらがじめ磁気抵抗効果素子にコイルを組み
込んでおく方法もある。また、Ni−Fe系合金の代わ
りに、Ni−Co系合金またはNi−Fe−Co系合金
を用いても、高い磁気抵抗効果を得ることができる。こ
れらの合金は、異方性的磁気抵抗効果が大きく、多層構
造に起因する磁気抵抗効果との合計の磁気抵抗効果が大
きくなるという利点がある。しかし、上記合金は、Ni
−Fe系合金よりも軟磁気特性が劣るため、磁気抵抗効
果が最大になる磁界が高くなるという問題が残る。ま
た、上記以外の磁性材料を用いても同様の効果が得られ
る。本実施例では、多層膜形成に高周波スパッタリング
法を用いたが、他の薄膜形成法を用いても上記と同様の
結果が得られる。
【0013】〈実施例2〉本実施例においては、Fe−
Mn系合金からなる反強磁性膜の耐食性の向上に関する
試験を行った。なお、試料の作製方法は実施例1と同様
である。まず、基板上に、膜厚40nmのNi−20原
子%Fe合金薄膜を形成し、その上に、膜厚50nmの
公知のFe−Mn系合金薄膜および本発明のFe−Mn
系合金にRu、Pt、Pdを添加した合金薄膜を形成し
た。Ru、Pt、Pdの添加量はそれぞれ、8.4、9.6、
9.2原子%とした。形成した薄膜を温度60℃、湿度9
0%の環境に置き、それぞれの耐食性を比較した。耐食
性は、耐食性試験前のFe−Mn系合金薄膜よりNi−
Fe系合金薄膜に印加される交換バイアス磁界と、耐食
性試験後の交換バイアス磁界との比よって評価した。こ
の比が1.0の時は、上記の恒温恒湿試験を行っても交
換バイアス磁界が変化しないことを示している。また、
この比が0の時は、上記の恒温恒湿試験によってFe−
Mn系合金薄膜が完全に腐食されて交換バイアス磁界が
完全に消失したことを示すものである。図5に、耐食性
試験前後のバイアス磁界の比と、試験時間との関係を示
す。図に示すごとく、Fe−Mn系合金は耐食性が良好
ではない。これに対し、本発明のRu、Pt、Pdを添
加したFe−Mn系合金薄膜(10、11、12)は耐
食性に優れていることが分かる。特に、Ruを添加した
Fe−Mn系合金薄膜(10)は、1000時間を超え
ても腐食されず、膜面に何ら変化が現われなかった。図
6に、添加したRu濃度と試験前後のバイアス磁界の比
との関係を示す。試験時間は1000時間とした。 図
に示すごとく、Ru濃度が0%、すなわち、Ruを添加
していないFe−Mn系合金は耐食性が悪く、恒温恒湿
試験によってバイアス磁界は30%程度に減少してい
る。これに対し、Ruを0.1原子%以上添加すると耐
食性は急激に向上する。また、Ruを5.5原子%以上
添加したFe−Mn系合金薄膜は全く腐食されず、パ−
マロイに印加される交換バイアス磁界の変化を示さなか
った。この点から、Ruの添加量は、5.5原子%以上
がより好ましい。Pt,Pdを添加したFe−Mn系合
金についても同様の試験を行ったところ、Ru添加の場
合と同様の結果が得られた。したがって、Pt、Pdの
添加量も5.5原子%以上がより好ましい。また、Fe
−Mn系合金薄膜は酸化され易いため、薄膜作製後に空
気中に放置することにより膜中に酸素が拡散される。こ
の場合においても、上記の添加元素による耐食性の向上
効果は上記と同様である。なお、上記のFe−Mn系合
金薄膜のFeとMnの組成比は約5:4であるが、Fe
−Mn系合金が反強磁性を示す限りFeとMnの組成比
が変化しても、上記の添加元素による耐食性の向上効果
は上記と同様である。次に、Fe−Mn系合金薄膜より
Ni−Fe合金薄膜に印加される交換バイアス磁界と、
添加したRu元素濃度との関係を図6に示す。図に示す
ごとく、Fe−Mn系合金薄膜にRuを添加すると交換
バイアス磁界は次第に減少する。交換バイアス磁界を零
(0)にしないためには、Ru濃度を18原子%以下に
する必要がある。また、Pt、Pdを添加したFe−M
n系合金薄膜についてもRu添加の場合と同様の結果が
得られた。すなわち、Pt、Pdの添加量も18原子%
以下とすることが必要である。
Mn系合金からなる反強磁性膜の耐食性の向上に関する
試験を行った。なお、試料の作製方法は実施例1と同様
である。まず、基板上に、膜厚40nmのNi−20原
子%Fe合金薄膜を形成し、その上に、膜厚50nmの
公知のFe−Mn系合金薄膜および本発明のFe−Mn
系合金にRu、Pt、Pdを添加した合金薄膜を形成し
た。Ru、Pt、Pdの添加量はそれぞれ、8.4、9.6、
9.2原子%とした。形成した薄膜を温度60℃、湿度9
0%の環境に置き、それぞれの耐食性を比較した。耐食
性は、耐食性試験前のFe−Mn系合金薄膜よりNi−
Fe系合金薄膜に印加される交換バイアス磁界と、耐食
性試験後の交換バイアス磁界との比よって評価した。こ
の比が1.0の時は、上記の恒温恒湿試験を行っても交
換バイアス磁界が変化しないことを示している。また、
この比が0の時は、上記の恒温恒湿試験によってFe−
Mn系合金薄膜が完全に腐食されて交換バイアス磁界が
完全に消失したことを示すものである。図5に、耐食性
試験前後のバイアス磁界の比と、試験時間との関係を示
す。図に示すごとく、Fe−Mn系合金は耐食性が良好
ではない。これに対し、本発明のRu、Pt、Pdを添
加したFe−Mn系合金薄膜(10、11、12)は耐
食性に優れていることが分かる。特に、Ruを添加した
Fe−Mn系合金薄膜(10)は、1000時間を超え
ても腐食されず、膜面に何ら変化が現われなかった。図
6に、添加したRu濃度と試験前後のバイアス磁界の比
との関係を示す。試験時間は1000時間とした。 図
に示すごとく、Ru濃度が0%、すなわち、Ruを添加
していないFe−Mn系合金は耐食性が悪く、恒温恒湿
試験によってバイアス磁界は30%程度に減少してい
る。これに対し、Ruを0.1原子%以上添加すると耐
食性は急激に向上する。また、Ruを5.5原子%以上
添加したFe−Mn系合金薄膜は全く腐食されず、パ−
マロイに印加される交換バイアス磁界の変化を示さなか
った。この点から、Ruの添加量は、5.5原子%以上
がより好ましい。Pt,Pdを添加したFe−Mn系合
金についても同様の試験を行ったところ、Ru添加の場
合と同様の結果が得られた。したがって、Pt、Pdの
添加量も5.5原子%以上がより好ましい。また、Fe
−Mn系合金薄膜は酸化され易いため、薄膜作製後に空
気中に放置することにより膜中に酸素が拡散される。こ
の場合においても、上記の添加元素による耐食性の向上
効果は上記と同様である。なお、上記のFe−Mn系合
金薄膜のFeとMnの組成比は約5:4であるが、Fe
−Mn系合金が反強磁性を示す限りFeとMnの組成比
が変化しても、上記の添加元素による耐食性の向上効果
は上記と同様である。次に、Fe−Mn系合金薄膜より
Ni−Fe合金薄膜に印加される交換バイアス磁界と、
添加したRu元素濃度との関係を図6に示す。図に示す
ごとく、Fe−Mn系合金薄膜にRuを添加すると交換
バイアス磁界は次第に減少する。交換バイアス磁界を零
(0)にしないためには、Ru濃度を18原子%以下に
する必要がある。また、Pt、Pdを添加したFe−M
n系合金薄膜についてもRu添加の場合と同様の結果が
得られた。すなわち、Pt、Pdの添加量も18原子%
以下とすることが必要である。
【0014】〈実施例3〉実施例1で述べた多層磁気抵
抗効果膜を用いて磁気抵抗効果素子を作製した。磁気抵
抗効果素子の構造を図8に示す。図において、磁気抵抗
効果素子はシ−ルド層13、14、多層磁気抵抗効果膜
15、電極16よりなる。シ−ルド層13、14には、
膜厚1μmのNi−20原子%Fe合金層を用いた。電
極16には、膜厚100nmのCu層を用いた。各層間
のギャップ材としては、Al2O3を用い、ギャップ層の
膜厚を100nmとした。上記磁気抵抗効果素子は、8
kA/m(100Oe)程度の磁界で、8%程度の磁気
抵抗効果を示した。このように、本発明の磁気抵抗効果
素子は低い磁界で高い磁気抵抗効果を示す高感度の素子
が得られる。また、シ−ルド層は磁気抵抗効果素子の分
解能を高める上で有効である。上記のパ−マロイ合金層
の代わりに、Co系非晶質合金を用いるとシ−ルド層の
厚さを薄くすることができる。これは、パ−マロイ合金
よりもCo系非晶質合金の方が飽和磁束密度が高いため
である。 Co系非晶質合金としては、Co−Nb−Z
r、Co−Ta−Zr、Co−Mo−Zr系合金などが
好適に用いられる。
抗効果膜を用いて磁気抵抗効果素子を作製した。磁気抵
抗効果素子の構造を図8に示す。図において、磁気抵抗
効果素子はシ−ルド層13、14、多層磁気抵抗効果膜
15、電極16よりなる。シ−ルド層13、14には、
膜厚1μmのNi−20原子%Fe合金層を用いた。電
極16には、膜厚100nmのCu層を用いた。各層間
のギャップ材としては、Al2O3を用い、ギャップ層の
膜厚を100nmとした。上記磁気抵抗効果素子は、8
kA/m(100Oe)程度の磁界で、8%程度の磁気
抵抗効果を示した。このように、本発明の磁気抵抗効果
素子は低い磁界で高い磁気抵抗効果を示す高感度の素子
が得られる。また、シ−ルド層は磁気抵抗効果素子の分
解能を高める上で有効である。上記のパ−マロイ合金層
の代わりに、Co系非晶質合金を用いるとシ−ルド層の
厚さを薄くすることができる。これは、パ−マロイ合金
よりもCo系非晶質合金の方が飽和磁束密度が高いため
である。 Co系非晶質合金としては、Co−Nb−Z
r、Co−Ta−Zr、Co−Mo−Zr系合金などが
好適に用いられる。
【0015】〈実施例4〉実施例3で作製した磁気抵抗
効果素子を用いて、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッド
の構成を図9に示す。なお、図9は記録再生分離型ヘッ
ドの一部分を切断した場合の斜視図である。図におい
て、多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子17
を、シ−ルド層18,19で挾んだ部分が再生ヘッドと
して働き、コイル20を挾む2つの記録磁極21,22
の部分が記録ヘッドとして働く。磁気抵抗効果素子17
は実施例1に記載の断面構造を持つ多層磁気抵抗効果膜
からなる。導体層24としては、Cuを用いた。以下に
このヘッドの作製方法を示す。Al2O3・TiCを主成
分とする焼結体を、スライダ用の基体23とした。シ−
ルド層18、19、記録磁極21、22は、スパッタリ
ング法で形成したNi−Fe合金薄膜を用いた。各磁性
膜の膜厚は、以下のようにした。上下のシ−ルド層1
8,19は1.0μm、記録磁極21,22は3.0μ
m、多層磁気抵抗効果膜全体の膜厚は100nmとし
た。各層間のギャップ材としては、スパッタリングで形
成したAl2O3を用いた。ギャップ層の膜厚は、シ−ル
ド層と磁気抵抗効果素子間で0.2μm、記録磁極間で
は0.4μmとした。さらに、再生ヘッドと記録ヘッド
との間隔を約4μmとし、このギャップ層もAl2O3で
形成した。コイル20には膜厚3μmのCuを使用し
た。上記の手法で作製した磁気ヘッドを用いて、記録再
生を行ったところ高い再生出力が得られた。これは、本
発明の磁気ヘッドに高比透磁率および高磁気抵抗効果を
示す多層膜を用いたためと考えられる。ところで、磁気
ヘッドが記録および再生能力を同時に保有している場合
は、基体に近い部分に記録用の素子を形成すると、記録
用素子の上部では、コイル、磁極などの形成のために大
きな段差が生じる。この段差の上に多層磁気抵抗効果膜
を形成すると、段差の影響で多層構造に乱れが生じるの
で好ましくない。これに対し、図9に示すように、基体
に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子を形成すると、
比較的段差の少ない部分に磁気抵抗効果素子の形成がで
きるため多層構造の乱れが生じにくい。これは、パ−マ
ロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子と比較して構造が
本質的に異なるところである。以上の観点から、磁気ヘ
ッドに記録および再生能力を同時に保有する場合に、基
体に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子を形成させる
ことが望ましい。また、同じ観点から、記録用の素子と
再生用の磁気抵抗効果素子とを同じ基体の他の場所に形
成させることにより、段差の少ない部分に磁気抵抗効果
素子を設けることができる。また、本発明の磁気抵抗効
果素子は、磁気ヘッド以外の磁界検出器にも用いること
ができる。さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録、再生を
行う装置に装着することにより、高性能の磁気記録再生
装置が得られる。
効果素子を用いて、磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッド
の構成を図9に示す。なお、図9は記録再生分離型ヘッ
ドの一部分を切断した場合の斜視図である。図におい
て、多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果素子17
を、シ−ルド層18,19で挾んだ部分が再生ヘッドと
して働き、コイル20を挾む2つの記録磁極21,22
の部分が記録ヘッドとして働く。磁気抵抗効果素子17
は実施例1に記載の断面構造を持つ多層磁気抵抗効果膜
からなる。導体層24としては、Cuを用いた。以下に
このヘッドの作製方法を示す。Al2O3・TiCを主成
分とする焼結体を、スライダ用の基体23とした。シ−
ルド層18、19、記録磁極21、22は、スパッタリ
ング法で形成したNi−Fe合金薄膜を用いた。各磁性
膜の膜厚は、以下のようにした。上下のシ−ルド層1
8,19は1.0μm、記録磁極21,22は3.0μ
m、多層磁気抵抗効果膜全体の膜厚は100nmとし
た。各層間のギャップ材としては、スパッタリングで形
成したAl2O3を用いた。ギャップ層の膜厚は、シ−ル
ド層と磁気抵抗効果素子間で0.2μm、記録磁極間で
は0.4μmとした。さらに、再生ヘッドと記録ヘッド
との間隔を約4μmとし、このギャップ層もAl2O3で
形成した。コイル20には膜厚3μmのCuを使用し
た。上記の手法で作製した磁気ヘッドを用いて、記録再
生を行ったところ高い再生出力が得られた。これは、本
発明の磁気ヘッドに高比透磁率および高磁気抵抗効果を
示す多層膜を用いたためと考えられる。ところで、磁気
ヘッドが記録および再生能力を同時に保有している場合
は、基体に近い部分に記録用の素子を形成すると、記録
用素子の上部では、コイル、磁極などの形成のために大
きな段差が生じる。この段差の上に多層磁気抵抗効果膜
を形成すると、段差の影響で多層構造に乱れが生じるの
で好ましくない。これに対し、図9に示すように、基体
に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子を形成すると、
比較的段差の少ない部分に磁気抵抗効果素子の形成がで
きるため多層構造の乱れが生じにくい。これは、パ−マ
ロイ単層膜を用いた磁気抵抗効果素子と比較して構造が
本質的に異なるところである。以上の観点から、磁気ヘ
ッドに記録および再生能力を同時に保有する場合に、基
体に近い部分に再生用の磁気抵抗効果素子を形成させる
ことが望ましい。また、同じ観点から、記録用の素子と
再生用の磁気抵抗効果素子とを同じ基体の他の場所に形
成させることにより、段差の少ない部分に磁気抵抗効果
素子を設けることができる。また、本発明の磁気抵抗効
果素子は、磁気ヘッド以外の磁界検出器にも用いること
ができる。さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録、再生を
行う装置に装着することにより、高性能の磁気記録再生
装置が得られる。
【0016】〈実施例5〉実施例1と同様の方法で、図
10に示す構成の多層磁気抵抗効果膜を作製した。 本
実施例では、Si(100)単結晶からなる基板25の
上に、Feからなる膜厚3nmのバッファ層26、バッ
ファ層26の上に、Ni−20原子%Fe合金からなる
結晶系制御層27を形成した。この結晶系制御層27
は、この上に形成させるFe−Mn系合金薄膜の結晶系
を面心立方格子にするためのものである。Fe−Mn系
合金薄膜は、面心立方格子の時に室温で反強磁性を示
す。さらに、図10のように、結晶系制御層27の上
に、Fe−50原子%Mn合金からなる膜厚2nmの反
強磁性層28を形成し、その上に、Ni−20原子%F
e合金からなる膜厚1.5nmの磁性金属層29、およ
びCuからなる膜厚2.1nmの非磁性金属層30を交
互に10周期積層した。また、最上部の磁性金属層29
の上には、膜厚2nmの反強磁性層28、およびFeか
らなる膜厚2nmの酸化防止層31を形成した。また、
比較例として、結晶系制御層27および反強磁性層28
を有さない多層磁気抵抗効果膜を形成した。上記多層磁
気抵抗効果膜の磁気異方性について調べたところ、本発
明の多層磁気抵抗効果膜は、膜面内に磁気異方性を有す
ることが分かった。これは、反強磁性層により磁性金属
層に交換バイアス磁界が印加されているためである。こ
れに対し、比較例の反強磁性層を有さない多層磁気抵抗
効果膜は、磁気異方性が明確ではなく、印加磁界の方向
による磁化曲線の変化が観測されなかった。また、上記
多層磁気抵抗効果膜には、いずれも、非磁性金属層にC
uを用いているために、非磁性層の伝導電子を介した交
換相互作用が磁性金属層間に働いている。
10に示す構成の多層磁気抵抗効果膜を作製した。 本
実施例では、Si(100)単結晶からなる基板25の
上に、Feからなる膜厚3nmのバッファ層26、バッ
ファ層26の上に、Ni−20原子%Fe合金からなる
結晶系制御層27を形成した。この結晶系制御層27
は、この上に形成させるFe−Mn系合金薄膜の結晶系
を面心立方格子にするためのものである。Fe−Mn系
合金薄膜は、面心立方格子の時に室温で反強磁性を示
す。さらに、図10のように、結晶系制御層27の上
に、Fe−50原子%Mn合金からなる膜厚2nmの反
強磁性層28を形成し、その上に、Ni−20原子%F
e合金からなる膜厚1.5nmの磁性金属層29、およ
びCuからなる膜厚2.1nmの非磁性金属層30を交
互に10周期積層した。また、最上部の磁性金属層29
の上には、膜厚2nmの反強磁性層28、およびFeか
らなる膜厚2nmの酸化防止層31を形成した。また、
比較例として、結晶系制御層27および反強磁性層28
を有さない多層磁気抵抗効果膜を形成した。上記多層磁
気抵抗効果膜の磁気異方性について調べたところ、本発
明の多層磁気抵抗効果膜は、膜面内に磁気異方性を有す
ることが分かった。これは、反強磁性層により磁性金属
層に交換バイアス磁界が印加されているためである。こ
れに対し、比較例の反強磁性層を有さない多層磁気抵抗
効果膜は、磁気異方性が明確ではなく、印加磁界の方向
による磁化曲線の変化が観測されなかった。また、上記
多層磁気抵抗効果膜には、いずれも、非磁性金属層にC
uを用いているために、非磁性層の伝導電子を介した交
換相互作用が磁性金属層間に働いている。
【0017】上記本実施例の多層磁気抵抗効果膜、およ
び比較例の多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果の磁界依
存性を、それぞれ、図11および図12に示す。なお、
本実施例の多層磁気抵抗効果膜に対しては磁化困難方向
に測定磁界を印加した。図11に示すように、本発明の
多層磁気抵抗効果膜は、8kA/m(100Oe)程度
の印加磁界においても6%程度の磁気抵抗変化率を示し
た。また、膜面内に磁気異方性を有するため磁化困難方
向の比透磁率が比較的高い。さらに、反強磁性層による
交換バイアス磁界のため、磁化過程において、反強磁性
層に接する磁性金属層に磁壁が発生しない。この影響
で、他の磁性金属層にも磁壁が発生しにくく、したがっ
てバルクハイゼンノイズが生じない。これに対し、比較
例の反強磁性層を有さない多層磁気抵抗効果膜は、磁気
異方性が明確ではないために、比透磁率が低く、また図
12に示すように、磁気抵抗効果曲線に不連続な部分が
生じる。これは、磁化過程における磁壁移動により生じ
るバルクハイゼンノイズであると考えられる。以上述べ
たように、本実施例の多層磁気抵抗効果膜は、2層の磁
性金属層に反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加さ
れている。このため、膜面内に磁気異方性を生じ、磁化
困難方向に磁界を印加した時の比透磁率が高い。また、
磁性金属層にも磁壁が発生しにくく、バルクハイゼンノ
イズが生じない。また、実施例1で述べた多層磁気抵抗
効果膜の場合と同様に、磁性金属層、非磁性金属層、お
よび反強磁性層の材料に他の材料を用いても同様の効果
が得られる。反強磁性層を構成する他の材料としては、
酸化ニッケル(NiO)が特に効果的である。また、N
iOを用いる時は、結晶系制御層27は必要ない。さら
に、永久磁石層を用いて、2層以上の磁性金属層にバイ
アス磁界を印加することにより、本実施例と同様のバル
クハウゼンノイズを生じない多層磁気抵抗効果膜を得る
こともできる。また、本発明の多層磁気抵抗効果膜は、
実施例1の多層磁気抵抗効果膜と同様に、高比透磁率を
示すため、磁気ヘッド、磁界センサ等に適している。ま
た、さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録再生装置に用い
ることにより、高性能磁気記録再生装置を実現すること
ができる。
び比較例の多層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果の磁界依
存性を、それぞれ、図11および図12に示す。なお、
本実施例の多層磁気抵抗効果膜に対しては磁化困難方向
に測定磁界を印加した。図11に示すように、本発明の
多層磁気抵抗効果膜は、8kA/m(100Oe)程度
の印加磁界においても6%程度の磁気抵抗変化率を示し
た。また、膜面内に磁気異方性を有するため磁化困難方
向の比透磁率が比較的高い。さらに、反強磁性層による
交換バイアス磁界のため、磁化過程において、反強磁性
層に接する磁性金属層に磁壁が発生しない。この影響
で、他の磁性金属層にも磁壁が発生しにくく、したがっ
てバルクハイゼンノイズが生じない。これに対し、比較
例の反強磁性層を有さない多層磁気抵抗効果膜は、磁気
異方性が明確ではないために、比透磁率が低く、また図
12に示すように、磁気抵抗効果曲線に不連続な部分が
生じる。これは、磁化過程における磁壁移動により生じ
るバルクハイゼンノイズであると考えられる。以上述べ
たように、本実施例の多層磁気抵抗効果膜は、2層の磁
性金属層に反強磁性層からの交換バイアス磁界が印加さ
れている。このため、膜面内に磁気異方性を生じ、磁化
困難方向に磁界を印加した時の比透磁率が高い。また、
磁性金属層にも磁壁が発生しにくく、バルクハイゼンノ
イズが生じない。また、実施例1で述べた多層磁気抵抗
効果膜の場合と同様に、磁性金属層、非磁性金属層、お
よび反強磁性層の材料に他の材料を用いても同様の効果
が得られる。反強磁性層を構成する他の材料としては、
酸化ニッケル(NiO)が特に効果的である。また、N
iOを用いる時は、結晶系制御層27は必要ない。さら
に、永久磁石層を用いて、2層以上の磁性金属層にバイ
アス磁界を印加することにより、本実施例と同様のバル
クハウゼンノイズを生じない多層磁気抵抗効果膜を得る
こともできる。また、本発明の多層磁気抵抗効果膜は、
実施例1の多層磁気抵抗効果膜と同様に、高比透磁率を
示すため、磁気ヘッド、磁界センサ等に適している。ま
た、さらに、上記磁気ヘッドを磁気記録再生装置に用い
ることにより、高性能磁気記録再生装置を実現すること
ができる。
【0018】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の種
々の磁気抵抗効果材料および種々の膜厚の磁性金属層、
反強磁性層、非磁性金属層を、設定の順序で交互に積層
した多層磁気抵抗効果膜は、磁性金属層に反強磁性層を
接して設けて、上記磁性金属層に上記反強磁性層との交
換相互作用による交換バイアス磁界を加え、さらに上記
磁性金属層一層ごとに上記交換バイアス磁界の向きを変
える構成とすることにより、該多層磁気抵抗効果膜の磁
性金属層の磁化困難方向に外部磁界を印加した時に、低
い磁界であっても高い磁気抵抗効果を示す多層磁気抵抗
効果膜を得ることができる。また、2層以上の磁性金属
層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加した多層
磁気抵抗効果膜は高い比透磁率を示す。そして、この多
層磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドに用いるとバルクハウゼ
ンノイズを示さない効果がある。また、上記磁性金属層
としては、比較的、軟磁気特性の良好なNi−Fe系合
金薄膜を用いるだけで軟磁気特性の優れた多層磁気抵抗
効果膜が得られる。そして、磁性金属層にNi−Fe系
合金を用いた場合に反強磁性層としてFe−Mn系合金
を用いることにより、Ni−Fe系合金薄膜に効果的に
交換バイアス磁界を印加することができる。さらに、F
e−Mn系合金薄膜の耐食性を向上させるために、R
u、Pt、Pdを添加することにより効果的に耐食性の
良好な多層磁気抵抗効果膜が得られる。また、反強磁性
層として酸化ニッケルを用いることも効果的である。ま
た、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果
素子は、低い磁界を高感度で検出することができるので
磁界センサとして好適である。さらに、上記磁気抵抗効
果素子は、低い磁界で、高感度を示すため再生用磁気ヘ
ッドとして最適である。さらに、別に記録能力を有する
誘導型磁気ヘッドと組合せて複合型磁気ヘッドを構成す
ることにより、高性能の磁気記録再生装置を実現するこ
とができる。
々の磁気抵抗効果材料および種々の膜厚の磁性金属層、
反強磁性層、非磁性金属層を、設定の順序で交互に積層
した多層磁気抵抗効果膜は、磁性金属層に反強磁性層を
接して設けて、上記磁性金属層に上記反強磁性層との交
換相互作用による交換バイアス磁界を加え、さらに上記
磁性金属層一層ごとに上記交換バイアス磁界の向きを変
える構成とすることにより、該多層磁気抵抗効果膜の磁
性金属層の磁化困難方向に外部磁界を印加した時に、低
い磁界であっても高い磁気抵抗効果を示す多層磁気抵抗
効果膜を得ることができる。また、2層以上の磁性金属
層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加した多層
磁気抵抗効果膜は高い比透磁率を示す。そして、この多
層磁気抵抗効果膜を磁気ヘッドに用いるとバルクハウゼ
ンノイズを示さない効果がある。また、上記磁性金属層
としては、比較的、軟磁気特性の良好なNi−Fe系合
金薄膜を用いるだけで軟磁気特性の優れた多層磁気抵抗
効果膜が得られる。そして、磁性金属層にNi−Fe系
合金を用いた場合に反強磁性層としてFe−Mn系合金
を用いることにより、Ni−Fe系合金薄膜に効果的に
交換バイアス磁界を印加することができる。さらに、F
e−Mn系合金薄膜の耐食性を向上させるために、R
u、Pt、Pdを添加することにより効果的に耐食性の
良好な多層磁気抵抗効果膜が得られる。また、反強磁性
層として酸化ニッケルを用いることも効果的である。ま
た、本発明の多層磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗効果
素子は、低い磁界を高感度で検出することができるので
磁界センサとして好適である。さらに、上記磁気抵抗効
果素子は、低い磁界で、高感度を示すため再生用磁気ヘ
ッドとして最適である。さらに、別に記録能力を有する
誘導型磁気ヘッドと組合せて複合型磁気ヘッドを構成す
ることにより、高性能の磁気記録再生装置を実現するこ
とができる。
【図1】本発明の実施例1で例示した多層磁気抵抗効果
膜の断面構造を示す模式図。
膜の断面構造を示す模式図。
【図2】図1に示す多層磁気抵抗効果膜の磁化の向きを
示す模式図。
示す模式図。
【図3】図2に示す多層磁気抵抗効果膜の磁界印加方向
を示す模式図。
を示す模式図。
【図4】本発明の実施例1で例示した多層磁気抵抗効果
膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例2で例示したFe−Mn系合金
にRu、Pt、Pdを添加した時の耐食性の向上を示す
グラフ。
にRu、Pt、Pdを添加した時の耐食性の向上を示す
グラフ。
【図6】本発明の実施例2で例示したFe−Mn系合金
にRuを添加した場合のRu濃度による耐食性の変化を
示すグラフ。
にRuを添加した場合のRu濃度による耐食性の変化を
示すグラフ。
【図7】本発明の実施例2で示したFe−Mn系合金に
Ruを添加した場合のRu濃度による交換バイアス磁界
の変化を示すグラフ。
Ruを添加した場合のRu濃度による交換バイアス磁界
の変化を示すグラフ。
【図8】本発明の実施例3で例示した磁気抵抗効果素子
の構造の一例を示す斜視図。
の構造の一例を示す斜視図。
【図9】本発明の実施例4で例示した磁気ヘッドの構造
の一例を示す斜視図
の一例を示す斜視図
【図10】本発明の実施例5で例示した多層磁気抵抗効
果膜の断面構造を示す模式図。
果膜の断面構造を示す模式図。
【図11】本発明の実施例5で例示した多層磁気抵抗効
果膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
果膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
【図12】比較例として示した反強磁性層を有さない多
層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
層磁気抵抗効果膜の磁気抵抗効果を示すグラフ。
1…基板 2…バッファ層 3…磁性金属層 4…反強磁性層 5…非磁性金属層 6…奇数層目の磁性金属層の磁化の向き 7…偶数層目の磁性金属層の磁化の向き 8…外部磁界の印加方向 9…多層磁気抵抗効果膜 10…Ru添加の時の耐食性の変化 11…Pt添加の時の耐食性の変化 12…Pd添加の時の耐食性の変化 13、14…シ−ルド層 15…多層磁気抵抗効果膜 16…電極 17…磁気抵抗効果素子 18、19…シ−ルド層 20…コイル 21、22…記録磁極 23…基体 24…導体層 25…基板 26…バッファ層 27…結晶系制御層 28…反強磁性層 29…磁性金属層 30…非磁性金属層 31…酸化防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥田 清美 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内
Claims (10)
- 【請求項1】磁性金属層、反強磁性層、および非磁性金
属層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の磁
気抵抗効果膜において、上記磁性金属層のうちの少なく
とも2層以上を上記反強磁性層に接して設け、上記磁性
金属層が上記反強磁性層との交換相互作用による交換バ
イアス磁界を受ける構造としたことを特徴とする多層磁
気抵抗効果膜。 - 【請求項2】磁性金属層、反強磁性層、および非磁性金
属層を、それぞれ1層以上交互に積層した多層構造の磁
気抵抗効果膜において、上記磁性金属層を上記反強磁性
層に接して設け、上記磁性金属層が上記反強磁性層との
交換相互作用による交換バイアス磁界を受け、かつ上記
磁性金属層一層ごとに受ける交換バイアス磁界の向きが
異なる構造としたことを特徴とする多層磁気抵抗効果
膜。 - 【請求項3】請求項1または請求項2記載の多層磁気抵
抗効果膜において、 磁性金属層がNi−Fe系合金か
らなり、反強磁性層がFe−Mn系合金もしくは酸化ニ
ッケルからなることを特徴とする多層磁気抵抗効果膜。 - 【請求項4】請求項3記載の多層磁気抵抗効果膜におい
て、反強磁性層がFe−Mn系合金に、Ru、Pt、P
dの群のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を添加
した反強磁性合金からなることを特徴とする多層磁気抵
抗効果膜。 - 【請求項5】請求項4記載の多層磁気抵抗効果膜におい
て、反強磁性層がFe−Mn系合金にRuを添加した反
強磁性合金からなることを特徴とする多層磁気抵抗効果
膜。 - 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれか1項記
載の多層磁気抵抗効果膜を、磁気抵抗効果素子の少なく
とも一部に用いて磁気抵抗効果素子を構成したことを特
徴とする磁気抵抗効果素子。 - 【請求項7】請求項6記載の磁気抵抗効果素子を、磁界
を検出するセンサの少なくとも一部に用いて磁界センサ
を構成したことを特徴とする磁界センサ。 - 【請求項8】請求項6記載の磁気抵抗効果素子を、記録
した情報を再生する磁気ヘッドの少なくとも一部に用い
て再生用磁気ヘッドを構成したことを特徴とする磁気ヘ
ッド。 - 【請求項9】請求項8記載の再生用磁気ヘッドと、情報
を記録する誘導型磁気ヘッドとを組み合わせて情報の記
録、再生を行う複合型磁気ヘッドを構成したことを特徴
とする磁気ヘッド。 - 【請求項10】請求項8記載の再生用磁気ヘッド、もし
くは請求項9記載の複合型磁気ヘッドを、情報の記録も
しくは再生を行う装置に装着し、磁気記録再生装置を構
成したことを特徴とする磁気記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5509992A JPH05258248A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 多層磁気抵抗効果膜とそれを用いた磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5509992A JPH05258248A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 多層磁気抵抗効果膜とそれを用いた磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05258248A true JPH05258248A (ja) | 1993-10-08 |
Family
ID=12989303
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5509992A Pending JPH05258248A (ja) | 1992-03-13 | 1992-03-13 | 多層磁気抵抗効果膜とそれを用いた磁気ヘッドおよび磁気記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05258248A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5283778A (en) * | 1991-11-12 | 1994-02-01 | Pioneer Electronic Corporation | Pickup device |
JPH07169026A (ja) * | 1993-10-15 | 1995-07-04 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 磁気抵抗スピン・バルブ・センサおよびこのセンサを使用した磁気記録システム |
JPH0855312A (ja) * | 1993-06-11 | 1996-02-27 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 磁気抵抗センサ装置 |
-
1992
- 1992-03-13 JP JP5509992A patent/JPH05258248A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5283778A (en) * | 1991-11-12 | 1994-02-01 | Pioneer Electronic Corporation | Pickup device |
JPH0855312A (ja) * | 1993-06-11 | 1996-02-27 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 磁気抵抗センサ装置 |
JPH07169026A (ja) * | 1993-10-15 | 1995-07-04 | Internatl Business Mach Corp <Ibm> | 磁気抵抗スピン・バルブ・センサおよびこのセンサを使用した磁気記録システム |
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