JPH0525718A - 紡績機用ロータリーリングおよびその製造方法 - Google Patents

紡績機用ロータリーリングおよびその製造方法

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JPH0525718A
JPH0525718A JP11874291A JP11874291A JPH0525718A JP H0525718 A JPH0525718 A JP H0525718A JP 11874291 A JP11874291 A JP 11874291A JP 11874291 A JP11874291 A JP 11874291A JP H0525718 A JPH0525718 A JP H0525718A
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Japan
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rotary ring
layer
carburizing
nitriding
thickness
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JP11874291A
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Toshiro Anraku
敏朗 安楽
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】厚さ 300μm 以下の浸炭層または窒化層を有
し、その上に厚さ2〜10μm のセラミックス皮膜を有す
る炭素鋼あるいは低合金鋼からなる紡績機用ロータリー
リング。このロータリーリングは、炭素鋼あるいは低合
金鋼(S20C、SCM415、SUJ2など)の素材を用いて所定の
形状に成形し、これに浸炭または窒化処理を施し、次い
で、TiN 、TiC 、Al2O3 、BNなどのセラミックスを被覆
する処理を施すことにより製造する。浸炭処理あるいは
窒化処理とセラミックス被覆処理を雰囲気ガスをそれぞ
れ適正な雰囲気に変えて同一チャンバー内で連続して行
う方法が、特に有効である。 【効果】表面に高硬度で、かつ密着力に優れたセラミッ
クス皮膜を有する紡績用ロータリーリングを製造する
ことができる。このロータリーリングは紡糸の際のト
ラベラー7の摺動による激しい摩耗に耐え、寿命が飛躍
的に向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に高硬度のセラミ
ックスをコーティングした紡績機用ロータリーリング、
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紡績機械の巻糸機の要部は、図1に示す
ように、高速で回転するスピンドル6に取り付けられた
ボビン5と、ボビン5の外周を回転するロータリーリン
とからなっている。ロータリーリングには軸受機
構が組み込まれ、ホルダー3を介してリングレール4に
保持されており、リングローター−2の上部のリング
フランジ−1にはトラベラー7が取り付けられてい
る。2はダストカバーである。紡糸に際しては、スピン
ドル6が高速で回転し、トラベラー7を介して導かれた
糸8がボビン5に巻き取られるが、糸8の張力変動に追
従してロータリーリングが回転するとともに、トラベ
ラー7がリングフランジ−1に沿って摺動し、糸切れ
を起こさずに高速での紡糸が行われる。
【0003】しかし、紡糸の際、スピンドルの高速回転
に伴うトラベラーの摺動によりリングローター−2の
上部に激しい摩耗が生じる。そして、これにより生じた
摩耗粉は糸を変色させ、あるいは汚染し、生産効率を低
下させる。一方、摩耗したロータリーリングの交換に
は多くの工数を要する。
【0004】現在、ロータリーリングの耐摩耗性を向上
させるために、ロータリーリングの表面に浸炭あるいは
窒化処理を施して硬度を高める方法が用いられている
が、ロータリーリングの素材(以下、「基板材」ともい
う)として適用される鋼種では、上記の処理を施しても
表面硬度の上昇はいずれも Hv 700程度までで、ロータ
リーリングの耐摩耗性表面皮膜としては硬度不足であ
り、2〜3年に1回多大の費用を費やして交換せざる得
ない。
【0005】一方、CVDあるいはPVDにより TiN、
TiC 、Al2O3 等の高硬度のセラミックス皮膜でロータリ
ーリングの表面を被覆する方法も検討されつつあるが、
ロータリーリングを構成する基板材の硬度はいずれの適
用鋼種についても Hv 400 程度で、セラミックス皮膜の
硬度(Hv 1500 以上)との差が大きいため、トラベラー
の回転により軟質の基板側が変形し、セラミックス皮膜
の割れ、あるいは剥離が生ずる。また、基板と皮膜との
密着力が不足しており、トラベラーの高速回転で生ずる
剪断応力によりセラミックス皮膜が剥離するので、実用
に耐えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高硬
度で、かつ密着性に優れたセラミックス皮膜を有し、ト
ラベラーの摺動による摩耗に長期間耐えうる紡績機械用
のロータリーリング、およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素鋼ある
いは低合金鋼からなるロータリーリングに対して浸炭処
理または窒化処理を施し、次いで、その表面にCVD
法、あるいはPVD法により、TiN 、TiC 、Ti(C,N) あ
るいはAl2O3 などのセラミックスをコーティングしたロ
ータリーリングは、極めて良好な耐摩耗性を有し、コー
ティングしたセラミックス皮膜の密着性も優れていると
いう知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記
のロータリーリング、ならびに下記およびのロー
タリーリングの製造方法にある。
【0008】 表面に厚さ 300μm 以下の浸炭層また
は窒化層を有する炭素鋼あるいは低合金鋼からなり、前
記浸炭層または窒化層の上に厚さ2〜10μm のセラミッ
クス皮膜を有することを特徴とする紡績機用ロータリー
リング。
【0009】 炭素鋼あるいは低合金鋼の素材を用い
て所定形状に成形されたロータリーリングに対し、浸炭
または窒化処理を施してその表面に浸炭層または窒化層
を形成させ、次いで、前記浸炭層または窒化層上にセラ
ミックス被覆処理を施すことを特徴とする前記に記載
の紡績機用ロータリーリングの製造方法。
【0010】 浸炭または窒化処理とセラミックス被
覆処理とを、同一チャンバー内で連続して行うことを特
徴とする前記に記載の紡績機用ロータリーリングの製
造方法。
【0011】本発明の紡績機用ロータリーリングの基板
材である炭素鋼あるいは低合金鋼としては、JIS G 4051
(機械構造用炭素鋼鋼材)、JIS G 4105(クロムモリブ
デン鋼鋼材)、JIS G 4805(高炭素クロム軸受鋼鋼材)
に規定された鋼ならびにそれらに相当する鋼が使用可能
である。
【0012】セラミックス皮膜としては、前記のTiN 、
TiC 、Ti(C,N) あるいはAl2O3 の他に、BN、i-C(非晶質
炭素・・通称ダイヤモンドライクカーボン) 、SiC 、Si
3N4 などが好適である。
【0013】浸炭処理法としては、固体浸炭法、液体浸
炭法、ガス浸炭法、プラズマ浸炭法などいずれでもよい
が、ガス浸炭法およびプラズマ浸炭法が、雰囲気ガスを
変更するだけで後工程のセラミックス被覆処理を同一チ
ャンバー(炉)内で行うことができるので好適である。
特に、処理温度が低く、基板であるロータリーリングの
歪が小さいプラズマ浸炭法は、不良品の発生が少なく好
ましい。
【0014】窒化処理法としては、ガス窒化法、塩浴窒
化法、プラズマ窒化法などいずれでもよいが、ガス窒化
法およびプラズマ窒化法が、浸炭処理の場合と同様、雰
囲気ガスを変更するだけで後工程のセラミックス被覆処
理を同一チャンバー内で行うことができるので好適であ
る。処理温度が低く、基板の歪が小さいプラズマ窒化法
は、不良品の発生が少なく、特に好ましい。
【0015】セラミックスのコーティング方法として
は、CVD法やPVD法が適用できる。皮膜の付き回り
性の上からCVD法が好ましく、特に、プラズマCVD
法が、ロータリーリングを過度に加熱する必要がないの
で基板材の機械的特性が劣化せず、また、熱による変形
が少なく、好適である。
【0016】
【作用】本発明(の発明)のロータリーリングが有し
ているセラミックス皮膜が密着性に優れているのは、こ
のセラミックス皮膜と基板材との間に浸炭層または窒化
層が存在しているからである。すなわち、基板材よりも
硬度の高い浸炭層や窒化層が介在することによりセラミ
ックス皮膜との硬度差が減少し、また、浸炭層あるいは
窒化層の硬度が表面から連続的に減少して基板材の硬度
に至っており、トラベラーの摺動により生じた応力を連
続的に緩和するので、前記のような基板側の変形やセラ
ミックス皮膜の割れ、剥離が防止されるものと考えられ
る。さらに、浸炭層の場合はその表面には微細なセメン
タイトが形成され、また、窒化層の表面にはやはり微細
な窒化物が形成されて、それらの層の上にコーティング
されるセラミックスとのぬれ性が向上することも有効に
作用していると推測される。
【0017】このような密着性に優れたロータリーリン
グは、本発明方法(の発明)により容易に製造するこ
とができる。すなわち、前記の基板材を用いて成形され
たロータリーリング(ロータリーリングの基板)に対し
て、前記のような通常用いられる浸炭処理または窒化処
理を施し、次いで、同じく通常のCVD法やPVD法に
より前記のようなセラミックスをコーティングすればよ
い。
【0018】の発明は、の発明において、浸炭また
は窒化処理とセラミックス被覆処理とを同一チャンバー
内で連続して行う方法である。つまり、セラミックス被
覆処理にはCVD法やプラズマCVD法が用いられるの
で、このとき使用されるチャンバーを使って処理するこ
とが可能な浸炭処理法または窒化処理法を用いる方法で
ある。このような処理方法としては、ガス浸炭法やプラ
ズマ浸炭法、あるいはガス窒化法やプラズマ窒化法があ
げられ、例えば、ロータリーリングの基板に対し、プラ
ズマ浸炭処理あるいはプラズマ窒化処理を行った後、用
いたチャンバー内の雰囲気ガスを排除してプラズマCV
D法を実施できる雰囲気に変更し、引き続き(連続し
て)プラズマCVD法により浸炭層あるいは窒化層の上
にセラミックス皮膜を形成させる方法を採ることができ
る。この方法によれば、被処理物であるロータリーリン
グは常に酸素の存在しないチャンバー内に置かれること
になるので、浸炭層あるいは窒化層の最表面に存在する
FeがFe2O3 、Fe3O4 、FeO 等に酸化されるのを防ぐこと
ができ、このような浸炭層あるいは窒化層の上に形成さ
れたセラミックス皮膜は他の方法によるセラミックス皮
膜に比較して極めて優れた密着性を示す。
【0019】また、プラズマ浸炭法、プラズマ窒化法お
よびプラズマCVD法は他の方法、すなわち、ガス浸炭
法、ガス窒化法などに比較して低温度で行うことができ
るので、製造されるロータリーリングは、熱による変形
が少なく、不良品の発生が少ない。
【0020】浸炭層、あるいは窒化層の厚さは、 300μ
m を超えると、ロータリーリングの機械的特性、特に、
疲労強度が著しく低下するので、 300μm 以下とする。
【0021】セラミックス皮膜の厚さは、2μm 未満で
は耐摩耗性の向上効果が小さく、10μm を超えると、皮
膜の内部に発生する残留応力で皮膜割れを生ずるおそれ
があるので、2〜10μm とする。
【0022】
【実施例1】表1に示す成分のロータリーリング用素材
の板 (幅20mm×長さ50mm×厚さ5mm) を、木炭および炭
酸バリウム(BaCO3)からなる固体浸炭材中に埋設し、 9
00℃で1時間加熱してその表面に浸炭層を形成させ、次
いで、この浸炭層の上にPVD法によりそれぞれ厚さ2
μm の TiN、TiC 、Ti(C,N) の皮膜を形成させた。この
板を供試材として、往復型の摩擦試験機を用い、下記の
試験条件で焼付きが生じる回数 (焼付き回数) を測定し
た。また、真空中 700℃で1時間加熱後、水冷する熱衝
撃試験を行い、皮膜の剥離状況を光学顕微鏡で観察し
た。
【0023】〔試験条件〕 摩擦速度 0.17mm/sec 摩擦行程 3mm 往復回数 100 回 荷 重 0.39N 結果を表2に示す。この表から明らかなように、浸炭処
理を行った本発明例では、 100回の摺動でも焼付きは生
じず、良好な耐摩耗性を示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【実施例2】表1に示したS20Cの板 (幅20mm×長さ50mm
×厚さ5mm) を、40%N2、40%H2および20%CO2(いずれ
もvol.%、以下、単に%と記す)の混合ガス雰囲気中 9
30℃で1〜5時間加熱してその表面に浸炭層を形成さ
せ、次いで、浸炭処理後のチャンバー内の雰囲気ガスを
排除して TiCl4−CH4 −H2系のガスに変更し、1300℃で
2時間加熱して浸炭層の上に厚さ3μm のTiC を形成さ
せ、また、浸炭処理後の雰囲気ガスを AlCl3−CO2 −H2
系のガスに変更し、1500℃で2時間加熱して浸炭層の上
に厚さ3μm の Al2O3を形成させた。これらのコーティ
ング材に対して実施例1と同様の方法で摩擦試験を行
い、焼付き回数を測定した。また、ヘルツ応力120kgf/m
m2で 106回の疲労試験を行い、破断が生じる回数 (破断
回数) を測定した。
【0027】結果を表3に示す。この表から明らかなよ
うに、浸炭層の厚さが300μm 以下である本発明例では
良好な耐摩耗性を示し、また、疲労特性の劣化も認めら
れなかった。
【0028】
【表3】
【0029】
【実施例3】表1に示したSUJ2の板 (幅20mm×長さ50mm
×厚さ5mm) を、 NH3−H2−N2系のガス雰囲気中で 500
℃に加熱して種々の厚さの窒化層を形成させ、次いで、
窒化処理後のチャンバー内の雰囲気ガスを TiCl4−CH4
−H2系のガスに変更し、 500℃で加熱して窒化層の上に
厚さ約2μm の TiCを形成させ、また、窒化処理後の雰
囲気ガスを AlCl3−CO2 −H2系のガスに変更し、 500℃
で加熱して窒化層の上に厚さ約3μm の Al2O3を形成さ
せた。これらのコーティング材に対し実施例1と同様の
摩擦試験を行い、焼付き回数を測定した。また、ヘルツ
応力120kgf/mm2で 106回の疲労試験を行い、破断が生ず
る回数 (破断回数) を測定した。
【0030】結果を表4に示す。この表から明らかなよ
うに、窒化層の厚さが300μm 以下である本発明例では
良好な耐摩耗性を示し、また、疲労特性の劣化も認めら
れなかった。
【0031】
【表4】
【0032】
【実施例4】表1に示した各鋼種の板 (幅20mm×長さ50
mm×厚さ5mm) に対し、40%N2、40%H2および20%CO2
の混合ガスを通気させながらグロー放電を起こさせてイ
オン浸炭を行い、約 100μm の浸炭層を形成させた。次
いで、チャンバー内の混合ガスを排除して、それぞれ、
TiCl4−NH3 −H2系、 TiCl4−CH4 −H2系、TiCl
4−NH3 −CH4 −H2系および AlCl3−CO2 −H2系のガ
スに変更し、プラズマCVD法により浸炭層の上に、そ
れぞれ、TiN 、TiC 、Ti(C,N) およびAl2O3
各皮膜を形成させた。これらのコーティング材に対して
実施例1と同様の方法で摩擦試験を行い、焼付き回数を
測定した。
【0033】結果を表5に示す。この表から明らかなよ
うに、厚さ2〜10μm のセラミックス皮膜を有する本発
明例では、 100回の摺動でも焼付きは生じず、良好な耐
摩耗性を示した。
【0034】
【表5】
【0035】
【実施例5】表1に示した各鋼種の板 (幅20mm×長さ50
mm×厚さ5mm) に対し、 NH3−H2−N2系のガス中でグロ
ー放電を起こさせてプラズマ窒化を行い、約 200μm の
窒化層を形成させた。次いで、チャンバー内のガスを排
除して、それぞれ実施例4と同様のガスに変更し、プラ
ズマCVD法により窒化層の上に、それぞれ、TiN、
TiC 、Ti(C,N) およびAl2O3 の各皮膜を形成させ
た。これらのコーティング材に対して実施例1と同様の
方法で摩擦試験を行い、焼付き回数を測定した。
【0036】結果を表6に示す。この表から明らかなよ
うに、厚さ2〜10μm のセラミックス皮膜を有する本発
明例では、 100回の摺動でも焼付きは生じず、良好な耐
摩耗性を示した。
【0037】
【表6】
【0038】
【実施例6】表1に示したS20Cの板 (幅20mm×長さ50mm
×厚さ5mm) を、40%N2、40%H2および20%CO2 の混合
ガス雰囲気中 930℃で2時間加熱してその表面に約40μ
m の浸炭層を形成させた。次いで、チャンバー内の混合
ガスを排除して、それぞれ、BCl4−N2−H2系、 CH4
−H2系、 SiCl4−CH4 −H2系および SiCl4−NH3
H2系のガスに変更し、プラズマCVD法により浸炭層の
上に、それぞれ、BN、 i-C(ダイヤモンドライクカ
ーボン)、SiC およびSi3N4 の各セラミックス皮膜
を約2μm の厚さで形成させた。これらのコーティング
材に対して実施例1と同様の方法で摩擦試験を行い、焼
付き回数を測定した。
【0039】結果を表7に示す。この表から明らかなよ
うに、浸炭処理を行った本発明例では、 100回の摺動で
も焼付きは生じず、良好な耐摩耗性を示した。
【0040】
【表7】
【0041】
【実施例7】表1に示したS20Cの板 (幅20mm×長さ50mm
×厚さ5mm) を、 NH3−H2−N2系のガス中でグロー放電
を起こさせてプラズマ窒化を行い、約40μm の窒化層を
形成させた。次いで、チャンバー内のガスを排除して、
それぞれ実施例6と同様のガスに変更し、プラズマCV
D法により窒化層の上に、それぞれ、BN、i-C 、
SiC およびSi3N4 の各セラミックス皮膜を形成させ
た。これらのコーティング材に対して実施例1と同様の
方法で摩擦試験を行い、焼付き回数を測定した。
【0042】結果を表8に示す。この表から明らかなよ
うに、窒化層を形成させた本発明例では、 100回の摺動
でも焼付きは生じず、良好な耐摩耗性を示した。
【0043】
【表8】
【0044】
【実施例8】表1に示したS20Cの板を用いてロータリー
リング 100個を作製し、このうちの50個に対して、N2
H2−CO2 系のガス中で 500℃でグロー放電を行い、厚さ
約20μm の浸炭層を形成させた。次いで、同一チャンバ
ー内でガスをN2−H2−TiCl4 系のガスに変更し、 550℃
でプラズマCVD法により浸炭層の上に TiN皮膜を形成
させた。また、残りの50個に対しては、N2−H2−CO2
のガス中で 930℃、2時間の浸炭処理を行って厚さ20μ
m の浸炭層を形成させた後、チャンバー内のガスをN2
H2−TiCl4 系のガスに変更し、1500℃で2時間加熱する
熱CVD法により浸炭層の上に TiN皮膜を形成させた。
これらのロータリーリングについて、フランジ部の直径
の歪みが 5/100mm以上となったものの数量を調査した。
【0045】調査結果を表9に示す。この表から明らか
なように、プラズマ浸炭法およびプラズマCVD法によ
り処理したロータリーリングは、高温で加熱する熱CV
D法に比較して歪みが小さく、不良品の発生は皆無であ
った。
【0046】プラズマ窒化法およびプラズマCVD法に
より処理した場合も、歪みが小さく、同様の結果が得ら
れた。
【0047】
【表9】
【0048】
【発明の効果】本発明の紡績機用ロータリーリングは、
表面に高硬度で、かつ密着力に優れたセラミックス皮膜
を有しており、紡糸の際のトラベラーの摺動による激し
い摩耗に耐え、寿命が飛躍的に向上する。このロータリ
ーリングは、本発明方法を適用することにより容易に製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻糸機の要部を示す外観図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に厚さ 300μm 以下の浸炭層または窒
    化層を有する炭素鋼あるいは低合金鋼からなり、前記浸
    炭層または窒化層の上に厚さ2〜10μm のセラミックス
    皮膜を有することを特徴とする紡績機用ロータリーリン
    グ。
  2. 【請求項2】炭素鋼あるいは低合金鋼の素材を用いて所
    定形状に成形されたロータリーリングに対し、浸炭また
    は窒化処理を施してその表面に浸炭層または窒化層を形
    成させ、次いで、前記浸炭層または窒化層上にセラミッ
    クス被覆処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の
    紡績機用ロータリーリングの製造方法。
  3. 【請求項3】浸炭または窒化処理とセラミックス被覆処
    理とを、同一チャンバー内で連続して行うことを特徴と
    する請求項2に記載の紡績機用ロータリーリングの製造
    方法。
JP11874291A 1991-05-23 1991-05-23 紡績機用ロータリーリングおよびその製造方法 Pending JPH0525718A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0861922A1 (de) * 1997-02-24 1998-09-02 Betonwerk C. Schmidt GmbH Abt. C. Hofmann - Entwicklung, Erprobung und Produktion von Textilmaschinenkomponenten Spinnring und Läufer für Ringspinnmaschinen
JP2014005562A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Murata Mach Ltd 中空ガイド軸体、空気紡績装置、及びこれを備える糸巻取機
CN106435873A (zh) * 2016-08-29 2017-02-22 无锡益联机械有限公司 一种防蚀抗剥落纺纱机钢丝圈

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