JPH05257159A - 液晶表示パネルの実装方法および圧着ツール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶デバイスの端子電極同士を確実に接続す
ることを目的とする。 【構成】 異方性導電接着膜５を介して駆動用ＩＣ３を
搭載した基板４を接続する実装方法において、熱圧着ツ
ール２１の圧着面２２ａの形状を湾曲形状とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置における
液晶表示パネルの実装方法およびその実装方法に用いら
れる圧着ツールに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】薄型平面表示装置の中で、液晶を用いた
平面表示装置は近年産業機器の多様化に伴い、超小型の
マイクロサイズから超大型のハイビジョン対応まで幅広
い用途に対しての展開が求められ、幅広い範囲での適用
検討がなされている。

【０００３】このような平面表示装置は、例えばテレビ
受像器やＯＡ機器および伝送機器の表示、もしくは映像
機器の表示デバイスとして現に用いられている。特に、
映像機器の表示デバイスとして用いるためには、高解像
度の液晶表示デバイスを実現する必要がある。このた
め、液晶表示デバイスでは、デバイス内の信号線を増や
し、また、画素数も増加させることが必要である。この
ように高解像度の液晶表示デバイスでは、画素数の増加
および信号線の増加による液晶表示パネルに配置される
画素の配置密度の増大および信号線の細密化に加え、端
子電極数の増加と、配置ピッチの高密度化、さらには端
子電極の細密化も余儀なくされる。

【０００４】しかしながら、このような高密度化等の進
行に伴い、液晶表示デバイスでは、液晶表示パネル内に
おける高い絶縁対策に問題が生じてくる。すなわち、例
えば駆動用ＩＣを装着した基板の液晶表示パネルの端子
電極と、これと対応する位置に製造された端子電極との
接続部においては、わずかな位置ずれが発生した場合で
も互いに接続すべきでない端子電極同士の接触による短
絡が発生し易くなり大きな課題となる。また、駆動用信
号電流のリークによる表示画質の低下も課題としてクロ
ーズアップされてくる。

【０００５】従来より、液晶表示パネルの端子電極と、
駆動用ＩＣを装着した基板の端子電極との接続方法（以
下ＯＬＢとよぶ）では、例えば図４に示すように、液晶
表示パネルを構成するガラス基板１に設けられた端子電
極２と、これに対向するように駆動用ＩＣ３が装着され
たフレキシブル基板４の端子電極とを、異方性導電接着
膜５を介して熱圧着していた。このような接続方法によ
る接続構造では、異方性導電接着膜５に含有されている
導電剤または導電体により導通を確保している。すなわ
ち、駆動用ＩＣ３からの出力信号はフレキシブル基板４
の配線、端子電極を経て異方性導電接着剤５中の導電剤
または導電体、端子電極２を通り液晶表示パネルに達す
るようになっている。

【０００６】そして、上記のＯＬＢ接続方法における熱
圧着は、図３に示す如く、均一に整面された圧着ツール
１０を、一定温度に加熱し、かつ一定時間、所定の圧力
をかけてフレキシブル基板４の上部より押圧することに
より行われる。圧着ツール１０は、図３に示すように熱
伝導性の良好な材料よりなる平板状の上部圧着部材１１
とこの部材１１の底面中央から下方に延出しかつ底部が
圧着面１２ａとされる平板状の下部圧着部材１２とから
概略構成されている。この熱圧着時の圧着ツール１０の
熱は、上部圧着部材１１上の図示しないヒータからその
上部圧着部材１１、下部圧着部材１２および保護シート
を介して間接的に被圧着物である端子電極に伝わるた
め、加熱温度は、ツールと端子電極間に挾持された異方
性導電接着膜５と共に、被圧着物の温度との間において
差をもちながら曲線を描いて上昇し、一定時間経過後、
同一温度となる。また、加圧力は、急峻に立ち上がった
後は一定の圧力となる。このように、加熱温度と加圧力
とを組合せて熱圧着の条件設定がなされており、異方性
導電接着膜５の保持温度を以て異方性導電接着膜５の種
類に適合した処理が行われていた。

【０００７】しかしながら、従来のＯＬＢでは、端子電
極同士を正対させたうえで、異方性導電接着膜５を介し
て画一的な加熱圧着により接続していただけであるため
に、端子電極が細密化し高密度化すると、フレキシブル
基板の基材の接続時における熱伸縮のため発生する接続
ずれを防ぐことができず、接続端子間での信号電流のリ
ークや短絡を防止することが困難であった。このため、
従来の液晶表示装置においては、液晶表示パネルの表示
画質の著しい低下をもたらすという問題点を有する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の技術
的課題を解決し、実装時に位置ずれを発生させることな
く、表示パネルを基板の正確な位置に実装しうる液晶表
示パネルの実装方法およびその実装に用いられる圧着ツ
ールを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液晶表示パネルの実装方法における圧着ツ
ールは熱源からの熱を受ける上部圧着部材と、該上部圧
着部材から下方に延出しかつ底部に圧着面を有する下部
圧着部材とを含む圧着ツールにおいて、前記下部圧着部
材の圧着面は圧着力を加えるべき方向に対して凹に湾曲
した形状を有することを特徴とする。

【００１０】また、前記下部圧着部材は前記上部圧着部
材から直接延出する第１分割部材と前記圧着面を有する
第２分割部材とに分割され、前記両分割部材は結合部材
により一体に結合可能とされたものでもよい。

【００１１】さらに、本発明の液晶表示パネルの実装方
法は液晶表示パネルを構成するガラス基板上に配された
端子電極と駆動用ＩＣを装着した基板に配されたる端子
電極とを、異方性導電接着膜を介して接続する方法にお
いて、上記の圧着ツールを用いて加熱圧着して端子電極
間同士を接続することを特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明においては、圧着面を湾曲としたので、
圧着時に圧着面のうち相対的に凸状となっている外側部
分が被圧着物に接解し、これを押さえることができるこ
とから、圧着面から被圧着物へ伝わる熱による被圧着物
の伸縮を防止できる。さらに押圧することにより被圧着
物の固定を確実に行える。

【００１３】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。

【００１４】（実施例１）図１は本発明の圧着ツールの
一実施例の構成を示す斜視図である。図１に示す本実施
例の圧着ツール２１は図３に示した従来の圧着ツール１
０と基本的構成の点で類似しているが、決定的に相違す
る点は圧着面の形状である。すなわち、圧着ツール２１
は上部圧着部材１１と下部圧着部材２２とから構成さ
れ、下部圧着部材２２はゆるやかな曲線状でかつツール
の中央から外側に向けて徐々に強くなる曲線を描く、言
い換えれば中央に比べて外側の半径が徐々に小さくなっ
ている湾曲状の圧着面２２ａを有している。このように
ツール２１の圧着面２２ａを構成することにより、圧着
面２２ａは外側が強く被圧着物に接触し、しかも中央部
より先にツールと載物台に挟まれるため、固定が早く行
われる。このことにより、ポリイミドテープの伸びを少
なくできるものである。

【００１５】（実施例２）図２は本発明の圧着ツールの
他の実施例の構成を示す断面図である。図２に示す本実
施例の圧着ツール３１と図１に示した実施例１の圧着ツ
ール２１との相違点は図２に示す下部圧着部材３２が２
分割された構成となっている点である。すなわち、下部
圧着部材３２は、上部圧着部材１１の底面から延出する
第１分割部材３３と、圧着面３４ａを有する第２分割部
材３４と、これら第１および第２の分割部材３３および
３４を一体に結合するように両分割部材３３および３４
に付勢力を与える結合部材としてのスプリング３５と、
このスプリング３５の付勢力により第２分割部材３４が
第１分割部材３３に対して進退移動する際に両分割部材
３３および３４の正確な結合位置を維持しかつ両分割部
材３３および３４の各対向面に設けられた係合部３６お
よび被係合部３７とから構成されている。

【００１６】上記係合部３６の凸状部の高さおよび被係
合部３７の凹状部の深さは、上記スプリング３５による
第１分割部材３３と第２分割部材３４との最大離間距離
またはストロークにより決められる。

【００１７】このような構成の圧着ツール３１にあって
は、後述するように圧着終了時においては、加圧が終了
し圧力が解放されると直ちに第１分割部材３３が引き戻
される。次いで、第２分割部材３４も被圧着物から離れ
て圧着が完了し、このとき、ツールの両サイドに設けら
れた反発用スプリング３５の働きにより僅かながら第２
分割部材３４の戻り時間が遅れることとなる。このた
め、第２分割部材３４は僅かな遅れ時間をもって圧着前
の状態である湾曲状態に戻ることができる。

【００１８】なお、本実施例では、上記結合部材として
スプリング３５を用いたが、２分割可能な構造である圧
着ツール３１の両分割部材３３および３４を離間状態か
ら結合状態に復帰させることができるものであれば、い
ずれも使用可能である。

【００１９】（実施例３）以下、本発明の液晶表示パネ
ルの実装方法の一実施例を図２および図４を参照して詳
しく説明する。

【００２０】図４に示すように、清浄に保たれたガラス
基板１に、ホトおよびパターニング技術を用いてＩＴＯ
（インジウムスズ酸化物）による画素電極と端子電極２
とを、６０００Åの厚さにパターニング形成した。この
とき、端子電極の幅は１２０μｍピッチの設定とした。
次に、ガラス基板１を素子基板として、他により製作し
た対向基板を用いて、パネル組立の工程により液晶表示
パネルを作製した。

【００２１】次に、ポリイミドを基材としたフレキシブ
ル基板上に１２０μｍピッチの端子電極と相対性を有す
るように設計されたパターンを形成し、フレキシブル基
板に駆動用ＩＣ３を実装し駆動用の基板４とした。駆動
用ＩＣ３を装着した基板４の端子電極に異方性導電接着
膜５を仮圧着せしめた後に、液晶表示パネルを構成すべ
きガラス基板１の端子電極２と位置合わせを行い、充分
にアライメントをして図１または図２のごとく構成した
圧着ツールを用いて熱圧着し接続した。

【００２２】詳しくは、まず、初段の圧力条件を５Ｋｇ
・ｆ／ｃｍ² とし、加圧時間を５秒間とした。次いで圧
力を速やかに上昇させ、２秒間経過後、所定の圧力とし
て３０Ｋｇ・ｆ／ｃｍ² に保ちながら、総圧着時間とし
て２５秒間保った。このときの加熱温度はツールの保持
温度とし、２７０℃を選択した。このようにして異方性
導電接着膜５に含有している導電材は、熱と圧力により
押しつぶされて各々の端子電極間で導通は保持される。
また、端子電極間の接続保持は、異方性導電接着膜５の
接着力により保たれる。

【００２３】二体構造からなる実施例２の圧着ツール
は、圧着時において一体構造の実施例１の圧着ツールの
ごとく各々が完全に接触し、しかも加熱温度は、伝導に
より速やかに第１分割部材３３より第２分割部材３４に
伝わり加熱もほとんどロスもなく保持できる。また、圧
着終了時においては、加圧が終了し圧力が解放されると
直ちに第１分割部材３３が引き戻される。次いで、第２
分割部材３４も被圧着物から離れて圧着が完了する。こ
のとき、ツールの両サイドに設けられた反発用スプリン
グ３５の働きにより僅かながら第２分割部材３４の戻り
時間が遅れることとなる。このため、第２分割部材３４
は僅かな遅れ時間をもって圧着前の状態である湾曲状態
に戻ることができる。

【００２４】このように基材の伸び量を、加熱ツールに
より極限まで抑え込むように構成することにより、駆動
用ＩＣ３からの信号は基板４の配線から端子電極へさら
に液晶表示パネルを構成すべきガラス基板１上に配され
た端子電極２へ、そして画素へと確実に伝わり液晶表示
パネルの表示が行われ、信号電流は接続端子間でのリー
クを発生させずに伝えることができる。また、このよう
な製造方法により製作された液晶表示パネルを用いた液
晶表示体は高解像度の表示を実現でき、高品位の製品と
しての位置ずけが確立できるものである。

【００２５】前記製造条件によりでき上がった液晶表示
デバイスをライトバルブとして液晶表示テレビ、車載用
に搭載したところ、高解像度の表示を実現できる液晶表
示デバイスであることが確認された。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明のように本発明によれば、特
定形状の圧着ツールにより表示パネルの端子電極と基板
の端子電極とを強い接着力で接続でき、各接続端子間で
の端子ずれを防止することができる。特に、液晶表示パ
ネルの最外部における接着ずれを防止し、短絡やリーク
を確実に防ぐことができるので、ハイレベルの画質が得
られるといった効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧着ツールの一実施例の構成を示す斜
視図である。

【図２】本発明の圧着ツールの他の実施例の構成を示す
断面図である。

【図３】従来の接続方法に用いられていた圧着ツールの
構成を示す側面図である。

【図４】液晶表示デバイスの接続後の状態を示す主要断
面図である。

【符号の説明】

１ ガラス基板 ２ ガラス基板に配された端子電極 ３ 駆動用ＩＣ ４ フレキシブル基板 ５ 異方性導電接着膜 １０ 圧着ツール １１ 上部圧着部材 １２ 下部圧着部材 １２ａ 圧着面 ２１ 圧着ツール（実施例１） ２２ 下部圧着部材 ２２ａ 圧着面 ３１ 圧着ツール（実施例２） ３２ 下部圧着部材 ３３ 第１分割部材 ３４ 第２分割部材 ３４ａ 圧着面 ３５ スプリング（結合部材） ３６ 係合部 ３７ 被係合部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱源からの熱を受ける上部圧着部材と、
   該上部圧着部材から下方に延出しかつ底部に圧着面を有
   する下部圧着部材とを含む圧着ツールにおいて、 前記下部圧着部材の圧着面は圧着力を加えるべき方向に
   対して凹に湾曲した形状を有することを特徴とする圧着
   ツール。
2. 【請求項２】 前記下部圧着部材は前記上部圧着部材か
   ら直接延出する第１分割部材と前記圧着面を有する第２
   分割部材とに分割され、前記両分割部材は結合部材によ
   り一体に結合可能とされたことを特徴とする請求項１記
   載の圧着ツール。
3. 【請求項３】 液晶表示パネルを構成するガラス基板上
   に配された端子電極と駆動用ＩＣを装着した基板に配さ
   れたる端子電極とを、異方性導電接着膜を介して接続す
   る方法において、請求項１または２の圧着ツールを用い
   て加熱圧着して端子電極間同士を接続することを特徴と
   する液晶表示パネルの実装方法。