JPH052567Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、形状記憶合金を保形枠として利用
したヘアピースに関する。

〔従来の技術〕

頭髪の脱毛個所又は無毛個所を覆うのには、そ
の脱毛の進行程度に応じて頭部を全体的に覆い隠
すために用いるかつらと、脱毛個所等を部分的に
覆い隠すために用いるヘアピースの如き部分かつ
ら等がある。

これ等は何れも合成ゴム、布等の柔軟性材料に
て使用者の頭部形状に適合するように形成された
ベース本体に人毛、擬毛等を植設したり、接着剤
を用いて接着させたものがあつた。

そしてかつら等を頭部に被着するのには、自毛
が頭部に残つている場合にはベース本体をピン等
の固定金具を用いて頭髪に固定したり、両面接着
テープを用いたり、接着剤を用いて頭皮にベース
本体を固定することにより被着していた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし上記従来のかつら等は、合成ゴム等の気
密性の材料を用いて形成したベース本体を接着剤
や両面テープ等を用いて頭皮に接着する構造であ
るので、通気性が悪く、汗等をかくとムレを生じ
て悪臭やかぶれの原因になるとともに不衛生であ
り、被着時に異物が頭部に載置されているような
違和感を生じていた。

通気性を確保するのにはベース本体が布等の繊
維状のものやネツト状のもので形成されることが
好ましいが、頭皮への固定手段はベース本体の上
面に浸み出てしまうので、接着剤を用いることは
できず、例えば両面テープによつて固定するほか
なかつた。従つて合成ゴム等によつてベース本体
を形成した場合のように違和感があつた。

このうちネツトベースによつて形成されたかつ
らは、通気性および柔軟性に豊む反面、軽量でし
かも固定部品を取付けるための設置面積に乏しい
からかつら等の被着状態が不安定になるため、ス
ポーツ等の激しい運動によりネツトベースがずれ
動いたり、例えば前方から風圧を受けてネツトベ
ースがめくり上がることがあつた。また擬毛等の
毛体の固りを接着剤でネツトベースに接着した
り、縫着する構造であるから外観的に不自然な毛
髪の生え方であつた。

また洗髪を行うのには上記従来のかつら等は、
何れもかつら等を頭部から取外して自己の頭部を
洗浄するとともにかつらを自己の頭部とは個別に
洗髪して手入れを行わなければならはかつた。し
かもベース本体が合成ゴム等、ある程度の剛性が
ないネツト等で形成されている場合には洗髪後、
保形が確実ではなく、形崩れが生じていた。

さらに上記従来のかつらでは、毛髪の蘇生およ
び回復が困難な壮年性脱毛症、すなわち後頭部お
よび側頭部に頭髪が残り、頭髪部および前頭部が
ハゲた状態の全面後退型においては勿論、いわゆ
る脱毛の初期の段階のいわゆる薄毛でもかつら等
を自毛の育毛に阻害になつて脱毛化を促進するこ
とになつていた。

そこでこの考案は、上記従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、ネツトベースを採用した場
合でも被着時における違和感が少なく保形を確実
になして激しい動きや風圧に対しても位置ずれや
めくり上がりがなく使用者の頭部に確実に被着で
き、しかもネツトベースを頭部に被着したままで
自毛および頭皮までも洗髪が行えて清潔に維持で
きるとともに、取外し後における専門家による本
格的な洗髪、整髪、手入時にネツトベースの形崩
れがした場合にも復元が容易且つ確実に行え、さ
らには残つた自毛の脱毛化が促進される障害が除
去され、自然に近い環境として残つた自毛をその
まま活用し、ネツトベースに結着した毛体と混在
させて不自然さを無くすようにしたヘアピースを
提供するのにある。

〔課題を解決するための手段〕

頭部に被着するネツトベースに毛体を被着し、
前記ネツトベースに形状記憶合金の線状材により
形成される保形枠を固着して成るヘアピースにし
て、前記ネツトベースは前記毛体が固着されると
ともに前記毛体に対して混在可能に自毛を外部に
引出可能となり且つ頭皮の露出を阻止する程度の
一辺が８〜15mmの大きさの網目を形成するベース
糸と、該ベース糸の周縁を支持し、自毛と重合可
能な面積を有する支持環とにより形成され、前記
保形枠は一部が少なくとも前額部の毛体に生え際
に位置して頭部形状に適合可能に前記ネツトベー
スに固着され、支持するという手段を採用した。

〔作用〕

毛体が固着されたベース糸により形成されたネ
ツトベースには、使用者の頭部に適合するように
少なくとも前額部の毛体の生え際に位置して適合
する形状に形状記憶合金の線状材により形成され
た保形枠の一部が固定されているので、被着した
際にネツトベースは使用者の頭部に密着して被着
され、スポーツ等の激しい運動を行つたり、特に
前からの強い風圧を受けた場合に、保形枠の保形
作用によりネツトベースのめくり上がりは阻止さ
れる。

しかも通風性が良いとともに温度、湿度とも自
然に近い状態になり、育毛剤等の補給もヘアピー
スを被着したままネツトベースの網目から頭皮お
よび自毛に供給でき、自然に近い育毛環境を呈す
ることができるから、自毛の脱毛化が促進される
悪条件は改善される。

また月に定期的に専門家によつて本格的な洗髪
および整髪、手入等を必要とする場合に、ヘアピ
ースを頭部から取外して揉み洗いをしたり、ブラ
ツシング等による引張力が作用されてネツトベー
スが形崩れした場合に、被着時に湯、ドライヤー
の熱、体温等により形状記憶合金にて形成された
保形枠を温めると、自己の形状復元性により、保
形枠は使用者の頭部と合致した形状に復元する。

従つて形崩れしたネツトベースも保形枠の復元
により再び元の状態に保形され、使用者の頭部に
合致した状態になる。

またネツトベースに形成される網目からは頭部
に残存される自毛が引き出されてネツトベースに
結着された毛体と混在するので、擬毛だけで形成
されるヘアピース等と異なり不自然さはなくな
る。

〔実施例〕

以下図面に従つて本考案の詳細を説明する。先
ず第１図乃至第３図において後部後退型の壮年性
脱毛症の使用者に被着するヘアピースを一実施例
として説明する。

１はネツトベースで、このネツトベース１は使
用者の脱毛個所乃至は無毛個所が充分、隠れるよ
うに後頭部および側頭部に残つた自毛２と僅かに
重なる広さの面積の頭形状で、毛体３が数本束毎
に結着された適宜数のベース糸４と、該ベース糸
４の両端４ａ，４ａを結着、縫結、接着等の適宜
固着手段により固着して支持する支持環５とによ
り形成される。

ベース糸４は支持環５内において互いに半波ず
らして波状に配置され、且つネツトを形成するた
めに、それぞれ波の山と谷のところで互いに結着
されることにより網目１ａを有したネツトベース
１を形成する。この網目１ａは一辺が８〜15mm程
度に大きさが用いられて通風性、発汗性があり、
しかも温度、湿度、自然環境に近い育毛環境を呈
するようになつている。ベース糸４を半波ずらし
て波状に形成したのは、各個の網目１ａ相互に張
力を均等に使用させて網目１ａ個所がネツトベー
ス１の被着時において必要以上開かれることによ
り頭皮が丸見えになるのを防止するためであり、
しかも網目１ａの形状は方形、四辺形、六角形等
がある。

そしてベース糸４に結着された毛体は３は人毛
または擬毛が用いられ、使用者の自毛と同質、同
径、同色のものが選ばれ、その本数は残つている
自毛との関係で加減されて量が決定される。６は
形状記憶合金の線状材により使用者の頭部に適合
する形状に形成された保形枠であり、この保形枠
６は例えば縫い付けたり、または接着剤を用いて
接着する等の適宜固定手段によりネツトベース１
を支持する支持環５の前後間に跨がつて固定され
ることにより、ヘアピースを被着した場合に使用
者の頭部にベース糸４と支持環５とからなるネツ
トベース１が密接するとともに前方から風圧を受
けた場合に、最もめくり上がり易い傾斜のネツト
ベース１の前頭部からのめくり上がりは防止され
る。

この実施例では保形枠６は１本の形状記憶合金
の線状材を平面コ字状に形成して閉鎖端辺６ａを
支持環５の後部に支持面積を大きくして固着する
ことにより保形枠６の支持状態を確実になすとと
もに閉鎖端辺６ａから前方に平行に伸びる２本の
線状材の解放端部６ｂ側の切口としての先端部６
b₁，６b₁をネツトベース１に固着している毛体３
の想定される生え際に位置させて支持環５の前部
に縫着し、そして閉鎖端辺６ａから伸びる平行な
線状材の途中の適宜個所をネツトベース１に数個
所において縫着する等して保形枠６をネツトベー
ス１に固定している。そして形状記憶合金の形状
回復に要する設定温度は、例えば形状を維持し得
るように決められており、またヘアピースを頭部
に被着した状態で所定のままネツトベース１の上
から、又はヘアピースを取外してヘアピースを洗
髪することによつてネツトベース１が形崩れした
場合に、湯やドライヤーからの熱又は体温等によ
り記憶形状に回復し得るように26℃〜36℃の範囲
に設定される。そして被着に際しては、例えば頭
部に残つている自毛２を数十本宛に束ねて糸を用
いて後頭部から側頭部に横一線に網込むことによ
り形成される支持毛体２ａにネツトベース１の支
持環５を縫い付ける等して固定する。７は必要に
応じて支持毛体２ａ間に張設され、ネツトベース
１の前部を固定するための懸架糸である。

被着後は、ネツトベース１の網目１ａから残つ
ている自毛２を引き出してネツトベース１に結着
した毛体３と混在させることにより自然感を発揮
させる。

なお上記実施例において保形枠６は形状記憶合
金に線状材によつて形成されているが、その太さ
は製作加工上の容易性；伸び、圧縮、靭性、硬度
等の機械的強度の強弱；製作コストの高低等を考
慮して最適なものを使用者に合わせて任意に選択
する。

第４図乃至第６図は保形枠６をヘアピースに形
態に合致するように、用途毎に種々の形状に形成
した各実施例であり、ネツトベース１部分につい
ては前記第１実施例と同様構造である。

このうち、第４図は、後部後退型の壮年性脱毛
症の使用者に残在する自毛２により形成された支
持毛体２ａに充分な接触面積で重合し、固定され
るように、形状記憶合金である保形枠６の形状
を、前額部の想定される毛体２の生え際に位置し
て先端部６b₁，６b₁を配置するのに限らずに、残
存する自毛２により形成される支持毛体２ａに重
合する支持環５に沿つた部分にも環状部６ｃとな
して配置したものであり、前後方向に平行に伸び
る保形枠６によつて前後方向に保形効果を発揮さ
せるのに限らず環状部６ｃを後頭部から側頭部に
までも及ぼして前記第１実施例よりも保形効果を
高めたものである。

また第５図は前頭部の左右の側面部がハゲ上が
つた場合に使用されるもので形状記憶合金の横線
材６ｆにて前方からネツトベース１が風圧を受け
た場合にネツトベース１が最もめくり上がり易い
前額部に位置して保形枠６を横渡しに形成した第
３実施例を示し、前方から風圧を受けると、スポ
ーツ等激しい運動に対して形状記憶合金の横線材
６ｆの保形によりネツトベース１のめくり上がり
を確実に防止するものである。

さらに第６図はケガ等によつて側頭部、前頭部
から頭上部にそれぞれ形成された複雑な形状の無
毛個所を覆うためのヘアピースに使用する保形枠
６を示す第４実施例を示し、無毛個所に沿つて植
生する自毛２の生え際に沿つて形状記憶合金の線
状材を屈曲した環状材６ｉによつて保形枠６を形
成することにより、ヘアピースを自毛２を利用し
た支持毛体２ａに確実に固定し、複雑な形状の無
毛部分を完全にヘアーピースにて覆うものであ
る。

〔考案の効果〕

この考案のネツトベースは頭部に残つた自毛に
よる支持毛体に固定されるので、被着時における
違和感が少なく、強固に固定される。またネツト
ベースに一部が少なくとも前額部の毛体の生え際
に位置して固定された形状記憶合金の線状材から
なる保形枠によつて激しい動きやめくり上がり易
い傾向の前方からの風圧に対しても軽量なネツト
ベースの位置ずれやめくり上がりが防止され、ネ
ツトベースを使用者の頭部に確実に被着できる。
しかもネツトベースを頭部に被着したままの状態
で頭部を、またはネツトベースを頭部から取外す
ことによつて頭部およびネツトベースの洗髪が行
なえるとともに洗髪等によつてネツトベースの形
崩れがした場合の形状の復元が容易且つ確実に行
なえる。そしてネツトベースには頭皮の露出を阻
止するのに一辺が８〜15mmの充分な大きさの網目
が形成されているので、通風が良いことは勿論、
温度、湿度を自然に近い環境で感知でき、また育
毛剤等の補給もヘアピースを被着したままネツト
ベースの網目から頭皮および自毛に供給できるの
で、自毛の脱毛化が促進される悪条件は改善され
るとともに網目から自毛を外部に引き出してベー
ス糸に固着した毛体と混在できるので外観上の不
自然さを一掃できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘアピースの第１実施例を示
す下面図、第２図は上記実施例のネツトベースを
構成するベース糸の側面図、第３図は被着時の使
用状態を示した斜面図、第４図は本考案の第２実
施例の背面図、第５図は第３実施例の平面図、第
６図は第４実施例の平面図である。 １……ネツトベース、１ａ……網目、２……自
毛、２ａ……支持毛体、３……毛体、４……ベー
ス糸、５……支持環、６……保形枠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 頭部に被着するネツトベースに毛体を装着し、
   前記ネツトベースに形状記憶合金の線条材により
   形成される保形枠を固着してなるヘアピースにし
   て、前記ネツトベースは前記毛体が固着されると
   ともに前記毛体に対して混在可能に自毛を外部に
   引出可能となり且つ頭皮の露出を阻止する程度の
   一辺が８〜15mmの大きさの網目を形成するベース
   糸と、該ベース糸の周縁を支持し自毛と重合可能
   な面積を有する支持環とにより形成され、前記保
   形枠は一部が少なくとも前額部の毛体の生え際に
   位置して頭部形状に適合可能に前記ネツトベース
   に固着され、支持することを特徴としたヘアピー
   ス。