JP4636394B2 - かつらの製造方法及びかつら - Google Patents
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Description
しかし、インナーキャップの使用は、二重になり小さめのインナーキャップであると圧迫感があり、緩くなると、外れたり、動いてしまうという問題が有った。そしてインナーキャップたるネット自体は、いくら締め付けても多少ゆるみがあるので、かつら自体がずれるという問題があった。又、金属アレルギーの人には金属のかつら止め具の使用は不快を生じることがあった。
又、インナーキャップを使用しないで装着するには頭皮に直接接着剤や両面テープで、かつらを固定する方法もあるが(特許文献3参照)、たえずその部分は皮膚呼吸ができない、また、人によってはかぶれる等の問題があった。また、少し毛髪が残っている場合は、その残っている毛髪を接着剤や両面テープで取付け取り外しの際に損失させる問題もあった。
又ホックを用いてかつらを装着する方法(特許文献4参照)や、マグネットを用いて装着する方法(特許文献5参照)があるが、皮膚を傷める、重く感じる、どうしても違和感があるという問題があった。
その他の方法としては、一人一人の頭の形状を採寸してオーダーメイドで一人一人に合わせて製作する事も行われているが、製作期間が長くかかる、また高額になってしまうという問題があり、広く普及する状態にはない。
又、上記細条体は0.001〜0.6mmの径が好ましい。この場合の径は細条体の断面形状で、最も長さのある方向の寸法を言う。
形状記憶合金は、体温による加温によって長さ方向に収縮するものである。
又、本発明方法は形状記憶合金および超弾性合金の細条体を、ベースに植毛した全頭用かつら半製品の下縁部付近の裏面側に複数条に亘り仮縫いを施したものを、人の頭に形どった型に嵌めて、その細条体で型を締め付けるように引っ張り、細条体同士を緊結するものである。又、形状記憶合金は,外力を加えることにより長さが延び、且つ外力を除去すると元の長さに戻るものである。
これらの合金の特性はある一定の設定した温度(変態温度)以下に冷却するとやわらかくなり伸ばしたり引っ張ったりすることができる。そして逆に、ある設定した温度以上に加熱すると当初の形状に変形し元に戻るという性質がある。
この特性は、形状記憶合金は冷却していくと、マルテンサイト変態という相変態が起きて、オーステナイト相(母相)から冷却して、ある温度(マルテンサイト変態開始温度)を通過すると、マルテンサイト変態してオーステナイト相からマルテンサイト相に変化する。
そのマルテンサイト相に変化した時には、オーステナイト相に比べて、非常にやわらかくなり、手で折り曲げたり、伸ばしたりすることができる。そして、形状記憶合金の組成を調整する事により、上記の変態開始温度を変化させる事ができる。
又、上記合金は、変態温度より高い温度のオーステナイト相領域において、外力を加えると応力誘起マルテンサイト変態し、最大7〜8%のひずみを発生させることが出来、外力を取り除くと元のオーステナイト相にもどる。このため上記合金は塑性変形せずゴムのような弾力性(超弾性効果)が得られる。
一本の細条体であると、伸ばした時に断線が生じる事があるので、複数本を撚り合わせた撚り糸にするのが好ましい。なお太い径の細条体は伸ばす時に非常に大きな力が必要になるが、細い径の細条体からなる撚り糸は伸ばす時の力は比較的小さいものにてできる。なお撚り糸は細条体が2本の撚りでも良いし 10本程度撚っても良い。
図1〜4は、本発明かつらを製作する過程を示している。まず図1に示すように、ベースのネットに植毛された太さ0.001〜0.6mm(好ましくは0.005〜0.3mm)の 細条体をかつらに、複数条縫い込んで結束する事なく、仮縫いをした状態にされてある。
なお、 図1では細条体は5条に示されているが、5条に限ることはなく、3〜15条程度が適当である。上記細条体は人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り,後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている。そして、仮縫いは一本の細条体を使ってもよく、あるいは数本の細条体を撚り合せた撚り糸により構成させても良い。さらには複数条の細条体又はその撚り糸同士を互いに絡め合わせたり、交差させてもよい。
図2は、型5に図1で示された仮縫いされた状態のかつら半製品1aを取り付けるイメージ図である。その型の寸法は、予め人の頭部の寸法を、複数種類、作成しておくと便利であり、少しきつめに仕上げる際は小さめの型を選択して仕上げることが出来る。又、型5は木質系素材や合成樹脂系素材などで製作してある。又、顧客の頭部を精密に採寸し、それを写し取った型を製作し、オーダーメイド的にかつらを作り上げることもできる。
図3は、型5に仮縫いされたかつら半製品1aが取り付けられて、圧縮して細条体又はその撚り糸を緊結するコネクター6等により形状記憶合金の細条体又はその撚り糸同士が結束された状態を示す側面図(1)と背面図(2)である。尚、結束する際には、細条体又は撚り糸4、4をゆるみがない様に、強く引っぱり、型5を締め付けるようにしながら、コネクター6により緊結する。強く引っ張られた細条体又は撚り糸4、4群が固定されたものがかつら保持部材7となり、かつら1が完成する。又、かつら保持部材のベースとしては伸縮するスパンデックスを併用してもよい。そして、かつら保持部材の付近にシリコンゴムの弾性体からなるシート体もしくは粒体をとりつけて、滑り止めとして、また、クッションとして使用してもよい。
なおコネクター6による結束でなお断線の恐れが生じる場合は、細条体又は撚り糸を本結びやたて結びなどにより結束しても良い。
又、全頭用かつらのベースに細条体又は撚り糸を編みこむ方法は仮縫いや結束作業により、よりやり易くきめ細かく行うことができる。
そして、人が装着した後は、人の体温やヘヤードライヤーなどの使用により、加温されて,形状記憶合金はマルテンサイト相からオーステナイト相に変態し元の形状に戻り、長さの方向に収縮し、復元されて、その人の頭部の形状に沿ってかつら保持部材7が頭部に密着し、はずれたり、ずれたりする事がなく、安心してかつらを使用出来る。
1 かつら
2 人毛及び人工毛
3 かつらベースネット
4 細条体又はその撚り糸
5 型
6 コネクター
7 かつら保持部材
Claims (5)
- 形状記憶合金の細条体又はその撚り糸を、ベースに植毛した全頭用かつら半製品の下縁部付近の裏面側に複数条に亘り、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようにして、互いに近接させながら、仮縫いを施し、この全頭用かつら半製品を人の頭をかたちどった型に嵌め、且つ前記細条体またはその撚り糸を、型を締め付けるようにして引っ張りつつ、細条体又はその撚り糸同士を緊結することを、特徴とするかつらの製造方法。
- 全頭用かつらのベースに、形状記憶合金の細条体又はその撚り糸を、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようにして、複数条互いに近結させながら、編みこんで、仮縫いを施した全頭用かつら半製品を人の頭を形どった型に嵌め、前記細条体又はその撚り糸を型を締め付ける様にして、細条体同士又はその撚り糸同士を緊結した後に、ベースに植毛することを特徴とするかつらの製造方法。
- 人の全頭用かつらの下縁部付近の裏面側に、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り,後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金からなる細条体が、互いに近接して複数条巻回して形成されたかつら保持部材が設けられ、前記細状体が長さ方向に伸ばすことができ、且つ長さ方向に収縮 するものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法により製せられてなるかつら。
- 人の全頭用かつらの下縁部付近の裏面側に、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金からなる細条体又は同一位置に設けられている複数撚り合わされた撚り糸が、互いに近接して複数条巻回して形成されたかつら保持部材が設けられ、前記細条体が長さ方向に伸ばすことができ、且つ長さ方向に収縮するものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法により製せられてなるかつら。
- 人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金の細条体又はその撚り糸同士が結び合わされて結束されてなる請求項3又は4のいずれかに記載のかつら。
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