JP4134334B2 - 人毛髪束または人工毛髪束等の取付具およびその取付方法 - Google Patents

Description

本発明の人毛髪束または人工毛髪束等の取付具およびその取付方法は、美容業界ではエクステンションと称されるものであって、いわゆる付け毛の取付具およびその取付方法に関する。本発明においては、人毛髪束には自毛に限らず他人の毛髪を含み、人工毛髪束等には人工毛髪に限らず、革ひも、麻ひも等のほか、ビーズや鳥獣の羽根のような装飾的な効果のあるものであれば、いずれもエクステンションとして採択され得る。

美容業界でエクステンション（以下ＥＸと略称する。）と称されるこの技術は、人毛あるいは毛髪用繊維を頭髪の地毛に継ぎ足す技法である。このＥＸの技法は、例えばカラフルな毛髪用繊維をメッシュ風に用いるとか、あるいは毛量が少ない顧客に対しては他人の人毛束を増毛して毛髪にボリューム感をつけるために用いられる。そのため、ＥＸはヘアデザインの幅が大幅に拡大できるので、近年確かな流行のきざしがうかがえる。

従来、ＥＸの付け方には、三つ編み、四つ編み、あるいはチップと称される金属管を用いる方法が用いられている。三つ編みは、適当量に分け取った自毛束に、これに見合った量のＥＸ毛束の中心部を巻き付け、この巻き付け部より先端側のＥＸ毛束と、同じく巻き付け部より手元側のＥＸ毛束と、自毛束とで三つ編みを４〜６回施し、この三つ編み端をゴム糸で固定するものである。

四つ編みは、適当量に分け取った自毛束を二つに分束し、この自毛束の間にＥＸ毛束の中央を挟み、自束毛をクロスさせてＥＸ毛束を締め付ける。次いで、クロスした自束毛を挟んで、ＥＸ毛束の両端をクロスさせ、自束毛を締め付ける。後は二つに分束した自毛束と中央を締め付けたＥＸ毛束とで、適宜の長さの四つ編みを施し、四つ編み端は糸ゴム等で固定する。

チップを用いる方法は、ペンチ、専用ニードルおよびチップと称される押し潰し可能な短い金属管を必要とする。専用ニードルは図５に示すように、柄に取り付けた針金を中間で２本に分岐し、先端に向かって先の尖ったループ（２２）が形成されている。また、このループの一方の根本側は、ループから切り離され、その基端は分岐点に枢着されている。そのためループは一方の根本側がループの外側に向けて開閉自在な開閉部（２４）となっている（図６）参照）。ループそのものは、先端が尖った楕円形をしていて、開閉部（２４）を指で押さえて閉じて扁平にすれば、細い孔の中に自由に貫通することが出来る。

チップを用いる方法の手順は、まずニードルにチップを通し、ループの根本側の開閉部を開いて、自毛束をループの中に取り込む。次に、開閉部を指でおさえてループを細くした状態で、ニードルをチップから引き抜くことにより、ループの中に取り込んだ自毛束がチップの中に通される。続いて、チップの自毛束側からニードルを通し、ループを開いてＥＸ毛束を取り込み、ループを閉じてから自毛束側へニードルを引き抜くと、ＥＸ毛束がチップの中へ引き込まれる。最後はチップの位置を調整し、チップの上下をペンチで潰して自毛束とＥＸ毛束を固定する。

前記のＥＸ毛の付け方のうち、三つ編み法は、四つ編み法に比べて固定力は弱いが、一人で施術できるという利点がある。四つ編み法は三つ編み法に比べて、固定力が強く、太い毛束も可能であるが、一人で施術できないという欠点がある。一方、チップを用いる方法は、手間が少なくて地肌の表面近くに取り付けることができるが、比較的取れやすい欠点がある。

特許文献１は、発明の名称が「毛髪用繊維の取付方法」であるが、前記三つ編み法または四つ編み法の改善に関するものである。すなわち、特許文献１の発明では、自毛束の先端および人工毛髪用繊維束の両端側とで、三つ編みまたは四つ編みで編み合わせ、予め人工毛髪用繊維束から分束した毛束で、編み合わせ部分に巻き付けた後に、その終端を熱融着するものである。
特許第３３３８４３３号

前記の如く、チップと称する金属管を使用するＥＸの取付方法は、取付が簡単で施術時間も短いのであるが、耐久力に乏しく三つ編み法が１〜１．５月、四つ編み法が２〜３月であるのに対し、チップを用いる方法では、１週間〜１月である。チップを用いてＥＸ毛束を自毛束に取り付ける方法は、自毛束にＥＸ毛束を固定するため金属製のチップを押し潰すため、どうしても金属製の鋭い角が地肌の近くにできてしまう。そのため、ブラッシングの際に毛髪が引っ掛かりやすく、毛髪に何らかの衝撃が加わったときに、たまたまその部位に先の尖ったチップが存在すると、地肌を傷めるおそれがある。本発明はＥＸの前記のごとき欠点を解決すべくなされたものであって、ＥＸ毛束を自毛束に強固に取付け、しかも耐久性に優れ、地肌を傷めるおそれがない、人工毛髪束の取付具およびその取付方法を提供することを目的とする。

本発明の請求項１に記載の人工毛髪束取付具の発明は、中心部に毛髪保持孔が貫通する弾性材料からなる筒状体の表面に中央部から前記毛髪保持孔の両端開口部に向かって縮径するテーパ面を形成し、テーパ面が前記筒状体の肉厚を前記中央部で厚く前記両端開口部で薄くなるように変化させていることを特徴とする。

本発明の請求項２に記載の人工毛髪束取付具の発明は、請求項１に記載の人工毛髪束取付具において、前記筒状体の表面に中央部から前記毛髪保持孔の両端開口部に向かって縮径する段差帯を連続させたことを特徴とする。

本発明の請求項３に記載の人工毛髪束の取付方法の発明は、中心部に毛髪保持孔を貫設した弾性材料からなる筒状の人工毛髪束取付具に自毛束を前記毛髪保持孔の一端から他端へ貫通する工程と、毛髪保持孔に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束の一端を接着剤で固め適宜長さと硬さの人工毛髪固定端を形成する工程と、前記人工毛髪固定端を前記毛髪保持孔の自毛束引出端側に嵌着し、人工毛髪固定端により毛髪保持孔を押し広げ、自毛束を前記人工毛髪固定端と前記毛髪保持孔との間に挟み付ける工程とからなることを特徴とする。

本発明の請求項４に記載の人工毛髪束の取付方法の発明は、中心部に毛髪保持孔を貫設した弾性材料からなる筒状の人工毛髪束取付具に自毛束を前記毛髪保持孔の一端から他端へ貫通する工程と、毛髪保持孔に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束の一端に熱収縮性の樹脂管を加熱により固着し適宜長さと硬さの人工毛髪固定端を形成する工程と、前記人工毛髪固定端を前記毛髪保持孔の自毛束引出端側に嵌着し、人工毛髪固定端により毛髪保持孔を押し広げ、自毛束を前記人工毛髪固定端と前記毛髪保持孔との間に挟み付ける工程とからなることを特徴とする。

本発明の人工毛髪束取付具は、中心部に毛髪保持孔が貫通する弾性材料からなる筒状体の表面に、請求項１においては中央部から前記毛髪保持孔の両端開口部に向かって縮径するテーパ面を形成し、請求項２においては中央部から前記毛髪保持孔の両端開口部に向かって縮径する段差帯を連続させたので、人工毛髪束を毛髪保持孔へ抜き差しするに際して、表面の摩擦抵抗が大きくなり、手が滑ることなく容易に着脱が可能である。なお、テーパ面の形状は、円錐形状に限定されるものでなく、階段状のものやラグビーボール形状でも良い。

本発明の請求項３に記載の人工毛髪束の取付方法は、中心部に毛髪保持孔を貫設した弾性材料からなる筒状の人工毛髪束取付具に適宜の太さに取り分けた自毛束を前記毛髪保持孔の一端から貫通する工程により、毛髪保持孔に自毛束が貫通して保持される。次いで毛髪保持孔に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束の一端を接着剤で固着し適宜長さと硬さの人工毛髪固定端を形成する工程により、人工毛髪束は毛髪保持孔に容易に着脱できる状態となる。

続いて人工毛髪固定端を前記毛髪保持孔の自毛束引出端側に挿入する工程により、自毛束が人工毛髪固定端と毛髪保持孔との間に固定され、人工毛髪固定端は毛髪保持孔に嵌着される。このように本願発明の人工毛髪束の取付方法は、従来のＥＸと比較して容易に取り付け取り外しができる。そして髪そのものに対しても、接着剤、固定金具やアイロン等の加熱器具を用いないので、取付負荷がかからず（髪が傷まない）、安全性に優れている。

本願請求項４に記載の人工毛髪束の取付方法の発明は、中心部に毛髪保持孔を貫設した弾性材料からなる筒状の人工毛髪束取付具に適宜の太さに取り分けた自毛束を前記毛髪保持孔の一端から貫通する工程により、毛髪保持孔に自毛束が貫通して保持される。次いで毛髪保持孔に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束の一端に熱収縮性の樹脂管を加熱により固着し適宜長さと硬さの人工毛髪固定端を形成する工程により、人工毛髪束は毛髪保持孔に容易に着脱できる状態となる。

続いて人工毛髪固定端を前記毛髪保持孔の自毛束引出端側に挿入する工程により、自毛束が人工毛髪固定端と毛髪保持孔との間に固定され、人工毛髪固定端は毛髪保持孔に嵌着される。このように本願発明の人工毛髪束の取付方法は、従来のＥＸと比較して容易に取り付け取り外しができる。そして髪そのものに対しても、接着剤、固定金具やアイロン等の加熱器具を用いないので、取付負担がかからず（髪が傷まない）、安全性に優れている。

本発明の好適な実施の形態を以下図面に従って説明する。図１は本発明の一実施例である人工毛髪束取付具１０の断面図である。人工毛髪束取付具１０は筒状体であり、中心部を毛髪保持孔１２が貫通している。また、この毛髪束取付具１０の表面１４は中心部１６から毛髪保持孔１２の両端入り口に向けて、次第に縮径するテーパ面１８が形成されている。また、この毛髪束取付具１０は、弾性材料例えばシリコンゴムからなる。

ＥＸを取り付けるには、図５に示したニードル２０を用い、毛髪保持孔１２の付け毛側から地肌側に向けて、ニードル２０のループ部２２を貫通する。その際、ループ部２２の開閉部２４は指でおさえてループ２２を細くした状態で貫通する。毛髪保持孔１２をループ部２２が貫通したら、図６に示すようにループ２２の開閉部２４を開いて自毛束２６をループ２２内に取り込む。

次いで、ループを閉じてからループ部２２の開閉部２４は指でおさえてループを細くした状態で付け毛側へニードル２０を引き抜くと、図４に示すように自毛束２６が毛髪保持孔１２の中へ引き込まれ、人工毛髪束取付具１０の毛髪保持孔１２の地肌側から自毛束２６が挿通される。

続いて、ＥＸとして取り付ける人工毛髪束２８は、図４に示すように自毛束２６が挿通された毛髪保持孔１２の自毛束２６の取り出し側から嵌着出来るように、適当量の人工毛髪を取り分け、図２に示すように接着剤で固めて人工毛髪固定端２８ａを形成する。或いは図３に示すように、取り分けた人工毛髪束２８の一端に熱収縮性の樹脂管３０を嵌着し加熱することにより樹脂管３０を固着し適宜長さと硬さの人工毛髪固定端３０ａを形成しても良い。

人工毛髪固定端２８ａは、図４に示すように、人工毛髪束取付具１０の毛髪保持孔１２の付け毛側から押し込むと、毛髪保持孔１２内に引き込まれている自毛束２６は毛髪保持孔１０と人工毛髪固定端２８ａの間に挟まれて毛髪保持孔１２の中に固定されると共に、人工毛髪束２８が人工毛髪固定端２８ａを介して人工毛髪束取付具１０に取り付けられる。この人工毛髪束２８は着脱自在であって、強く引っ張ることにより人工毛髪束取付具１０の毛髪保持孔１２から引き抜くことができる。

また、ＥＸとして用いる人工毛髪等は、整髪作業と関係なく予め人工毛髪固定端２８ａを加工してストックすることができるので、ＥＸの取付が簡単かつ短時間に完了することが可能である。さらに、ＥＸの取付に金具を用いたり、ＥＸの固定に際してアイロン等の加熱器具を用いないので、極めて安全である。

人工毛髪束取付具の断面図である。 人工毛髪の一端に人工毛髪固定端を形成した人工毛髪束の斜視図である。 人工毛髪の一端に樹脂管を嵌めて人工毛髪固定端を形成し人工毛髪束の斜視図である。 人工毛髪束取付具の毛髪保持孔に自毛束を保持した状態で人工毛髪固定端を毛髪保持孔に嵌着した状態の断面図である。 ニードルの側面図である。 ループを開口した状態のニードルの側面図である。

符号の説明

１０・・・・・人工毛髪束取付具
１２・・・・・毛髪保持孔
１４・・・・・表面
１６・・・・・中心部
１８・・・・・テーパ面
２０・・・・・ニードル
２２・・・・・ループ部
２４・・・・・開閉部
２６・・・・・自毛束
２８・・・・・人工毛髪束
２８ａ・・・・人工毛髪固定端
３０・・・・・樹脂管
３０ａ・・・・人工毛髪固定端

Claims (4)

1. 中心部に毛髪保持孔（１２）が貫通する弾性材料からなる筒状体の表面に中央部から前記毛髪保持孔（１２）の両端開口部に向かって縮径するテーパ面（１８）を形成し、テーパ面（１８）が前記筒状体の肉厚を前記中央部で厚く前記両端開口部で薄くなるように変化させていることを特徴とする人工毛髪束取付具。
2. 前記筒状体の表面に中央部から前記毛髪保持孔（１２）の両端開口部に向かって縮径する段差帯を連続させたことを特徴とする請求項１に記載の人工毛髪束取付具。
3. 請求項１記載の人工毛髪束取付具（１０）を使用し、人工毛髪束取付具（１０）に自毛束（２６）を前記毛髪保持孔（１２）の一端から他端へ貫通する工程と、毛髪保持孔（１２）に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束（２８）の一端を接着剤で固め適宜長さと硬さの人工毛髪固定端（２８ａ）を形成する工程と、前記人工毛髪固定端（２８ａ）を前記毛髪保持孔（１２）の自毛束引出端側に嵌着し、人工毛髪固定端（２８ａ）により毛髪保持孔（１２）を押し広げ、自毛束（２６）を前記人工毛髪固定端（２８ａ）と前記毛髪保持孔（１２）との間に挟み付ける工程と、
   からなることを特徴とする人工毛髪束の取付方法。
4. 請求項１記載の人工毛髪束取付具（１０）を使用し、人工毛髪束取付具（１０）に自毛束（２６）を前記毛髪保持孔（１２）の一端から他端へ貫通する工程と、毛髪保持孔（１２）に嵌着できる太さになるように取り分けた人工毛髪束（２８）の一端に熱収縮性の樹脂管を加熱により固着し適宜長さと硬さの人工毛髪固定端（３０ａ）を形成する工程と、前記人工毛髪固定端（３０ａ）を前記毛髪保持孔（１２）の自毛束引出端側に嵌着し、人工毛髪固定端（３０ａ）により毛髪保持孔（１２）を押し広げ、自毛束（２６）を前記人工毛髪固定端（３０ａ）と前記毛髪保持孔（１２）との間に挟み付ける工程と、
   からなることを特徴とする人工毛髪束の取付方法。

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