JPH05255746A - 耐サワー性の優れた鋼管用鋼板の製造方法 - Google Patents

耐サワー性の優れた鋼管用鋼板の製造方法

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JPH05255746A
JPH05255746A JP4055760A JP5576092A JPH05255746A JP H05255746 A JPH05255746 A JP H05255746A JP 4055760 A JP4055760 A JP 4055760A JP 5576092 A JP5576092 A JP 5576092A JP H05255746 A JPH05255746 A JP H05255746A
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steel plate
temperature
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Kazuomi Toyoda
和臣 豊田
Hiroshi Takezawa
博 竹澤
Toshiaki Haji
利昭 土師
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は耐サワー性が飛躍的に向上した引張
強さ55〜85キロ級高強度高靱性鋼管用鋼板を生産性
および経済性を過大に損なわないで確実に製造し得る方
法を提供する。 【構成】 C,Mn,P,S,Nb,V,Ti,Mo,
Crの含有量を特定して、Ni,Cu,Caを添加しな
い連鋳製鋼片を、750℃以上で圧延を終了して、直ち
に200℃以下の温度まで、平均冷却速度20〜80℃
/sec.で冷却して焼入れした後、450〜750℃で焼
戻しすることを特徴とする耐サワー性の優れた電縫鋼管
およびスパイラル鋼管用鋼板の製造方法。 【効果】 従来の製造法に比して、飛躍的に優れた品質
が経済性の阻害を伴わずに得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐水素誘起膨れ性、耐
水素誘起割れ性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れ、
且つ低温靭性に優れた、引張強さ55〜85kgf/mm2
高強度を有する電縫鋼管およびスパイラル鋼管用鋼板の
製造方法に関し、特に、硫化水素を含む湿潤環境(以下
サワー環境と言う)および寒冷地の低温環境で、高圧操
業される石油・天然ガス輸送用パイプライン等に適した
高品質で信頼性の高い鋼管用鋼材の製造方法に係るもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、サワー環境および寒冷地等の劣悪
環境での石油・天然ガスの採掘および輸送が増加してい
る。これに使用されるパイプライン等に於いて、サワー
環境では、応力が付加されない状態でも、鋼材表面の水
素誘起膨れおよび鋼材内面の水素誘起割れが生じること
があり、応力付加状態では硫化物応力腐食割れが生じる
ことがある。又、低温環境での脆性破壊が発生すること
もあり、パイプラインが大規模になり、高圧輸送化が進
むにつれて、より大きな被害を招くこれらの破壊に対す
る抵抗性の優れた鋼材開発が益々重要となっている。
【0003】これらの発生原因と防止方法については、
従来から数多くの研究開発が進められており、次のこと
が知られている。水素誘起膨れおよび水素誘起割れに関
しては、鋼材表面の腐食反応で生じた水素が鋼材内部に
侵入して、介在物と地鉄との界面で集積し、鋼材に外的
応力が無い場合でも、そのガス圧力で膨れおよび割れが
発生する。介在物が鋼材の表面近傍に存在する場合には
表面に水素誘起膨れとして現れ、中心偏析部等の鋼材内
部では水素誘起割れとして進展する。特に、鋼材製造法
の主流を占める連続鋳造法に於いては、鋼材の厚み中心
部に偏析(最終凝固部での成分元素濃化)が存在し、硬
化組織を生じやすいため、該部に沿って割れが伝播・拡
大しやすい。
【0004】しかして従来、このようなサワー環境での
膨れおよび割れ防止のために以下のような手段が用いら
れている。 (1) Cu,Ni,Cr等を添加して鋼の腐食を抑制或い
は水素侵入を抑制する方法(例えば特開昭50−975
15号公報参照)。 (2) Ca,REM等を添加して、割れの起点となるMn
S・非金属介在物を球状に形態制御する方法(例えば特
開昭53−14606号公報、および特開昭54−38
214号公報参照)。 (3) Mn,P等の含有量を低減し、或いは圧延用鋳片の
均熱拡散処理を施すことによって中心偏析部の偏析度を
低減する方法(例えば特開昭52−111815号公
報、および特開昭50−97517号公報参照)。 (4) 圧延後、再加熱を行い、焼入れ、焼戻し又は焼なら
しを施し、主として中心偏析部のミクロ組織を改善する
ことによって割れ感受性を低減する方法(例えば特公昭
58−18967号公報参照)。 (5) 特に、鋼材表面の水素誘起膨れを抑制するため、S
含有量低減とCa,REM等の添加で、鋼材の表層部を
含む単位重量当たりの介在物の大きさと個数を小さく制
限した鋼材(例えば特開昭58−221261号公報参
照)。
【0005】一方、硫化物応力腐食割れの防止手段とし
ては前記 (1)〜(5) は耐水素誘起膨れ・割れ性を改善す
るだけでなく、耐硫化物応力腐食割れ性の改善にも有効
なことが知られ、P,S,O,Nの低減と圧延・冷却条
件の適切な調整で同様の効果を得る方法(特開昭62−
112722号公報参照)等も提案されている。又、低
温靭性を改善する手段としては、C含有量制限とNb微
量添加等の成分調整、低目の圧延温度で大きい圧下率を
加える等の圧延法の調整等が一般に知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
方法に於いては、次のような問題点を有している。例え
ば、 (1)の方法についてはpHが低い厳しいサワー環境
では、Cu,Ni等の添加による水素の侵入を抑制する
効果が損なわれ、水素誘起膨れ・割れの抑制に十分な効
果を発揮し得ない。しかも、該合金の添加コストによる
経済的損失も大きい。そのため、係る鋼材の製造に於い
ては、 (2)および(3) の両手段を必須として、環境条件
に応じた水素侵入抑制効果を有する元素を添加する (1)
の手段を併用しているのが一般的な方法であるが、 (1)
のNiを添加する方法では、鋼材の表面から微小な局部
腐食が進行して、硫化物応力腐食割れを助長しやすい現
象も生じる。
【0007】又、 (4)の方法についても焼入れ、焼戻し
処理による工業生産上の経済的損失が大きいため広範な
実用には供し難く、経済性阻害の減少改善が必要であ
る。更に、 (5)の方法の如く、S含有量の低減とCa,
REM等の添加で鋼材中心部のMnS(硫化物系介在
物)を抑制又は形態制御し、加えて偏析を実質的に無害
なレベルに改善して水素誘起割れを防止すると共に、鋼
材表面の水素誘起膨れを実質的に消滅させるに必要な大
きさと個数まで表面近傍の微小な介在物を無くすこと
は、連鋳法による現在の工業的生産に於いて、極めて高
度な操業技術を必要とし、生産性およびコスト面の阻害
も大きく、これら品質特性の高位安定確保および経済性
の維持向上に大きな問題を残している。
【0008】その上、サワー環境や寒冷地での石油・天
然ガス採掘と高圧輸送の進展に伴い、パイプライン用鋼
管等の鋼材に対する所要性能は益々高度化しており、苛
酷なサワー環境でも、水素誘起膨れ、水素誘起割れ、硫
化物応力腐食割れが発生せず、且つ低温靭性に優れた高
強度鋼管の必要性が高まってきた。しかも、係る鋼管の
敷設現地での溶接性を劣化させないため、C等の強化元
素の含有量を低めることも同時に要求されることから、
例えば引張強さが70kgf/mm2 を超えるような高強度鋼
の製造は、従来方法による製造が極めて難しいものとな
っている。これらの動向に照らして、前記諸問題を解消
し、十分な信頼性と経済性を両立した方法をもって、高
度な品質特性を具備した鋼材を提供し得るに至っていな
いのが実情である。
【0009】本発明は、このような背景に於いて確立さ
れたものであり、前記問題点を解消して、苛酷なサワー
環境と低温環境での高圧輸送パイプライン等への使用に
適した、耐水素誘起膨れ性、耐水素誘起割れ性、耐硫化
物応力腐食割れ性、低温靭性および高強度等の所要性能
を高度に備えた品質信頼性の高い鋼管用鋼材を、生産性
および経済性阻害を減少改善した手段で得ることのでき
る製造方法を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために構成したものであって、重量%で、C:0.
04〜0.16%、Mn:0.6〜1.8%、P≦0.
020%、S≦0.004%であって、Ni,Cu,C
aを実質的に添加していない基本成分と、更にNb≦
0.06%、V≦0.07%、Ti≦0.03%、Mo
≦0.50%、Cr≦0.50%の1種又は2種以上を
含有して、残部はFeおよび不可避不純物からなる連続
鋳造材を、750℃以上の温度で熱間圧延を終了して直
ちに、200℃以下の温度に達するまでの平均冷却速度
20〜80℃/sec.で冷却して焼入れした後、450〜
750℃の温度で焼戻しすることを特徴とする、耐水素
誘起膨れ性、耐水素誘起割れ性、耐硫化物応力腐食割れ
性、低温靭性に優れた高強度電縫鋼管およびスパイラル
鋼管用鋼板を、信頼性高く、経済性の阻害を減少した手
段で得ることができる製造方法である。
【0011】
【作用】以下に上記手段の作用について詳細に説明す
る。本発明は、次の考え方に立って種々実験検討を重ね
た結果から得られた知見に基づいて構成されたものであ
って、その根幹を成すところは、耐水素誘起割れ性を
向上させるためC,Mn等の含有量を極力減少し、そ
れらの強化成分元素の含有量を減じて高強度を得るため
焼入れした後、歪場や硬化組織の消失および炭化物の
微細化等のミクロ組織改善で、侵入水素集積場の減少と
膨れ・割れ抵抗性の向上を図り、耐水素誘起膨れ性、耐
水素誘起割れ性、耐硫化物応力腐食割れ性を向上させ、
低温靭性も高め、広範囲の強度調整をも可能とするた
め、焼戻しを行い、更には、コスト的不利益を軽減す
るため、Ni,CuおよびCaを添加せず、P,Sの低
減も過大な操業的負荷を要しないレベルとして、焼入れ
は再加熱コストを要しない、熱間圧延後の直接焼入れ法
を用いることにより、所要の品質特性を総て十分に満
足する高品質鋼材を安定して確実に得ることができる、
工業的生産方法として有効であることを知見したことで
ある。
【0012】本発明は主としてサワー環境および寒冷地
環境等で敷設・操業される石油・天然ガス輸送パイプラ
イン用のAPI規格X60〜X100級の電縫鋼管およ
びスパイラル鋼管に適した熱延鋼板の製造法を対象とし
たものである。先ず、本発明における各成分元素の限定
理由を以下に示す。
【0013】Cは、母材および溶接部の強度を確保する
ため0.04%以上とし、偏析による耐水素誘起割れ性
の劣化、溶接熱影響部靭性の劣化等を防止するため0.
16%以下としている。Mnは、母材および溶接部の強
度と靭性を確保するため0.6%以上とし、偏析による
耐水素誘起割れ性の劣化、溶接熱影響部靭性の劣化等を
防止するため、更には該成分元素添加コストを節減する
目的等も含めて1.8%以下とした。Pは、偏析劣化に
よる弊害を防止するため、極力低減することが有効であ
り、好ましくは0.010%以下であるが、操業上の高
負荷・生産性阻害を軽減する経済性の理由と、後述の焼
戻し処理による作用・効果で、耐水素誘起割れ性等の特
性が所要性能を保持できることから0.020%以下と
している。Sは、介在物を抑制して耐水素誘起割れ性等
の劣化を防止するため、極力低減し、0.0010%以
下とすることが好ましいが、前記のPと同様の理由か
ら、0.004%以下とした。
【0014】Ni,Cuを添加しない理由は、焼戻し処
理の作用・効果によって、高価な該成分元素を添加しな
くても、侵入水素量が減少し、耐水素誘起割れ性等の特
性が所要レベルを十分に保持できることを見出したこと
から、経済性の改善に寄与することができ、且つ、Ni
を添加する方法で生じることがある鋼材表面からの微小
な局部腐食の進行による硫化物応力腐食割れの助長も回
避できることから、これを限定したものである。又、C
aを添加しない理由は、前記S含有量の限定で過大なM
nS介在物は、かなり抑制され、焼戻し処理による割れ
抵抗性の向上効果と相乗して、耐水素誘起割れ性が十分
に保持でき、更には、Caを添加した場合に起きやすい
酸化物系介在物の増加による鋼材表面での水素誘起膨れ
の発生を無くすことにも有効で、加えて経済性も向上す
ることからNi,Cuと同様に、その添加を積極的に回
避することとした。
【0015】Nb,V,Ti,Mo,Crはそれぞれ、
強度、靭性を確保する目的から必要に応じて1種又は2
種以上を添加するが、その添加量が過大になると、靭性
劣化や水素誘起膨れおよび割れ発生につながる粗大な析
出物が増加するのみならず、コスト面の不利益ともなる
ため各々、Nb0.06%,V0.07%,Ti0.0
3%,Mo0.50%,Cr0.50%としている。
【0016】次に、750℃以上の温度で熱間圧延を終
了して直ちに、200℃以下の温度に達するまで平均冷
却速度20〜80℃/sec.で焼入れした後、450〜7
50℃の温度で焼戻しすることを限定した理由について
述べる。焼入れ処理は、本発明の対象である鋼管用熱延
鋼板の製造に於いて、一般に用いられている圧延終了か
ら概ね500〜700℃の温度まで水冷した後放冷する
従来法に比べて、同一成分鋼で大幅に強度を上昇させる
ことができ、適切な条件で焼戻しを行えば、焼戻し後も
従来法を上回る高い強度レベルを維持できるため、M
n,Mo,Nb,Vその他の強化成分元素を従来法より
も低減することが可能であり、コスト面での利益を享受
でき、しかも溶接性を良好に保持するためにも好ましい
方向に合致する高強度化の手段と考えられるため、採用
するものである。先ず、圧延後直接焼入れを行うのは、
焼入れの冷却開始温度まで昇温するための再加熱に要す
るコスト上昇を回避し、経済性並びに生産性を改善する
ため限定したものである。次に、十分な焼入れ効果を得
るためには750℃以上の温度で熱間圧延を終了して直
ちに、平均冷却速度20℃/sec.以上で200℃以下の
温度まで冷却することが必要であり、これを外れる条件
では所要の効果が得られないため、又、平均冷却速度8
0℃/sec.超では過剰に硬化して割れを生じることもあ
るため、これらの条件を限定したものである。
【0017】しかしながら、焼入れ後の鋼材は、厚み中
心部で偏析した濃化成分に起因する部分的な硬化組織が
発生し、耐水素誘起割れ性が劣り、延性も低いため、そ
の後、焼戻しを行ってこれを改善するものであり、焼戻
し温度450℃以上で、厚み中心部に存在する島状マル
テンサイト等の硬化組織が消滅し、焼戻しベーナイト等
の均一な組織が得られ、延性も向上し、このミクロ組織
改善および歪み場の解消効果によって割れ抵抗性が高ま
り、前記の限定成分鋼で優れた耐水素誘起膨れ性、耐水
素誘起割れ性、耐硫化物応力腐食割れ性、低温靭性を有
する高強度鋼が得られることから、焼戻し温度の下限を
450℃以上とした。焼戻し温度の上限を750℃以下
としたのは、この温度を超えると強度の低下が大きく、
所望の高強度鋼が得られず、所期の効果を発揮し得ない
ため限定したものである。尚、焼戻し処理の副次効果と
して、焼戻し温度を適切に制御することによって、同一
の成分鋼で強度を広範囲に調整することもでき、これに
伴う経済的な随伴効果も得られる。
【0018】以上の如く、成分、圧延および熱処理条件
を限定した本発明は、水素侵入の抑制を目的とするN
i,Cuの添加を必要とせず、介在物と偏析を抑制する
目的でのS,Pの低減に要するコストも軽くてすみ、M
nS介在物形態制御のためのCa添加も不要となる等の
利益が得られ、熱処理コストの経済性阻害を大幅に減少
し、pH約3の厳しいサワー環境(pH値が小さいほど
割れが発生し易い)でも鋼材全体にわたって、水素誘起
膨れ、水素誘起割れおよび硫化物応力腐食割れが全く発
生しない、且つ低温靭性に優れた高強度鋼材が信頼性高
く得られるため、高度な性能を必要とする耐サワー・寒
冷地用パイプライン用の電縫鋼管やスパイラル鋼管に利
用できる鋼板の製造法として極めて有用である。
【0019】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。AP
I規格X60〜X100相当の耐サワーラインパイプ鋼
管用の熱延鋼板を主対象に、転炉−連鋳工程で製造した
表1の化学成分から成る鋼片を用いて、加熱−連続熱間
圧延−冷却プロセスにより板厚5〜19mmの鋼板を圧延
して直ちに焼入れした後、焼戻しを行ったものであり、
表2に加熱−圧延−焼入れ−焼戻しの条件並びに、鋼板
の機械的性質、低温靭性、耐サワー性を示す。又、生産
性および経済性を含む総合評価についても表2に併記し
た。
【0020】尚、水素誘起割れ試験は鋼板(又は鋼管)
の表裏面を各1mm切削した厚さで、幅20mm×長さ10
0mの試験片を製作し、温度25℃でH2 Sを飽和させ
た0.5%CH3 COOH−5%NaCl水溶液(pH
約3)に4日間浸漬した後に超音波探傷を行い、検出さ
れた割れの面積率をもって耐水素誘起割れ性の評価指標
とし、表面膨れの大きさと個数を目視判定して耐水素誘
起膨れ性の評価指標とした。
【0021】硫化物応力腐食割れ試験はNACE Standard
TM-90 に規定されたMethod AによるProof ringタイプ
定荷重引張試験法で降伏応力の50〜100%相当応力
を試験片に付加して水素誘起割れ試験と同様の溶液およ
び温度条件で30日間、途中破断した場合はその時点ま
で浸漬して、硫化物応力腐食割れが発生しない最小の付
加応力と降伏応力の比(割れ発生限界応力比)をもって
評価指標とした。強度および靭性は一般に行われている
引張試験、シャルピー試験、DWTT(落重試験)を行
って評価した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】鋼番1〜9は引張強さ約55〜85kgf/mm
2 の本発明例である。鋼番10〜20は比較鋼の例であ
る。本発明の鋼番1〜9は水素誘起割れが無く、表面の
水素誘起膨れも皆無であり、耐硫化物応力腐食割れ性も
優れている上に、高強度と低温高靭性をも具備してい
る。更には、経済性の阻害も改善された、信頼度の高
い、高性能鋼材の製造法総合的に高い評価が得られてい
る。
【0026】比較鋼中、鋼番10は焼戻しを行っていな
いため、鋼番11は焼戻し温度が低過ぎるため、その他
の条件が適正条件範囲にあるにもかかわらず、強度は高
いが耐サワー性が劣化しており、靭性も劣る。鋼番12
の焼戻し温度が高過ぎるため、強度が低下しており、焼
入れおよび適切な温度での焼戻しにより、強化成分を少
なくして高強度材を得ようとする本発明の狙いに照らし
て好ましくない例である。鋼番13は冷却停止温度が高
過ぎるため、鋼番14は平均冷却速度が低過ぎるため、
十分な焼入れ効果が得られず、それらの条件が適正条件
範囲にある場合に比べて強度が低く、本発明の狙いとす
る効果が得られていない。鋼番15は圧延終了温度が低
過ぎるため、圧延で延伸したMnS介在物が中心偏析部
に存在しており、適正条件範囲での焼戻しを行っても水
素誘起割れが発生している。鋼番16〜18はMn,
P,Sがそれぞれ高過ぎるため、中心偏析および介在物
の悪影響を相殺する焼戻し効果をもってしても、水素誘
起割れが発生しており、耐硫化物応力腐食割れ性も劣化
している。
【0027】
【発明の効果】以上に説明した本発明は、極めて厳しい
サワー環境下でも、優れた耐水素誘起膨れ性、耐水素誘
起割れ性および耐硫化物応力腐食割れ性を有し、且つ低
温靭性と高強度等の性能も優れた、信頼性の高い鋼材を
生産性および経済性の阻害を改善して安定・確実に製造
する方法であり、これを苛酷なサワー環境および寒冷地
での高圧操業に適した石油・天然ガス輸送パイプライン
用等の鋼管に使用することができて、その工業的効果は
極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.04〜0.16%、
    Mn:0.6〜1.8%、P≦0.020%、S≦0.
    004%であって、Ni,Cu,Caを実質的に添加し
    ていない基本成分と、更にNb≦0.06%、V≦0.
    07%、Ti≦0.03%、Mo≦0.50%、Cr≦
    0.50%の1種又は2種以上を含有して、残部はFe
    および不可避不純物からなる連続鋳造材を、750℃以
    上の温度で熱間圧延を終了して直ちに、200℃以下の
    温度に達するまでの平均冷却速度20〜80℃/sec.で
    冷却して焼入れした後、450〜750℃の温度で焼戻
    しすることを特徴とする耐サワー性の優れた鋼管用鋼板
    の製造方法。
JP4055760A 1992-03-13 1992-03-13 耐サワー性の優れた鋼管用鋼板の製造方法 Withdrawn JPH05255746A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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