JP2001158936A - 耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板およびその製造方法

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JP2001158936A JP34170699A JP34170699A JP2001158936A JP 2001158936 A JP2001158936 A JP 2001158936A JP 34170699 A JP34170699 A JP 34170699A JP 34170699 A JP34170699 A JP 34170699A JP 2001158936 A JP2001158936 A JP 2001158936A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 板厚:約16.0mm以下、強度グレード: API5L
X56 以下の鋼板を、熱間圧延後に加速冷却を行って製造
しようとすると、鋼板形状が悪化し、生産性が極度に低
下する。 【解決手段】 連続鋳造スラブを、1000〜1200℃に加熱
した後、その表面温度が700 〜750 ℃の範囲内で最終仕
上圧延を行い、その後常温まで空冷する。これにより、
C:0.04〜0.06%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.80〜1.20
%、P:0.020 %以下、S:0.002 %以下、Ti:0.005
〜0.030 %、Al:0.060 %以下、Ca:0.001 〜0.004
%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有
し、板厚中心部におけるMn濃度の平均Mn濃度に対する比
であるMn偏析度が1.3 以下であり、板厚中心部における
P濃度の平均P濃度に対する比であるP偏析度が2.0 以
下であり、板厚が16.0mm以下であるとともに、強度グレ
ードが API5LX56 以下である薄肉鋼板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水素誘起割れ性
に優れた薄肉鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、開発される油井やガス井の環境が
過酷化するにともなって、採掘される石油や天然ガス中
に硫化水素が含まれる場合が多くなってきた。このた
め、これらの石油や天然ガスを輸送するラインパイプ
は、海水等の水が共存した硫化水素環境に晒されるよう
になってきた。かかる環境下では、鋼表面が腐食するこ
とによる鋼中への水素の侵入が、共存する硫化水素の触
媒作用により促進されるため、外部からの応力が作用し
ない場合にもいわゆる水素誘起割れを生じ易くなり、ラ
インパイプの寿命を低下させる。この水素誘起割れを防
止するため、これまで、以下に列記する対策(i) 〜(iv)
が適宜組み合わされて講じられてきた。
【0003】(i) S、Pの低減 鋼中のS含有量を低減することによりMnSの生成量を低
減し、またP含有量を低減することにより偏析部の硬度
を低減する。
【0004】(ii)マクロ中心偏析の低減 素材となる連続鋳造鋳片の凝固末端部におけるバルジン
グを防止することにより、鋼板のマクロ中心偏析を低減
する。
【0005】(iii) 硫化物の形態制御 二次精錬時にCa処理を行うことにより、硫化物の形態を
MnSから熱間圧延時に延伸し難いCaSに形態制御する。
【0006】(iv)制御圧延、加速冷却による組織制御 ラインパイプ用鋼板の圧延段階に、制御圧延や加速冷却
を行うことにより、金属組織を均一化して割れ抵抗性を
増大させる。
【0007】例えば、特許第2647302 号には、Mo:0.10
〜0.30% (本明細書においては特にことわりがない限り
「%」は「質量%」を意味するものとする。) 、5≦Ca
×(1−124 O)/1.25S≦7.0 を満足する鋼を、1100〜12
80℃に加熱し、950 ℃以下の累積圧下量60%以上、圧延
終了温度680 〜900 ℃で圧延した後、3〜40℃/ 秒の冷
却速度で350 〜600 ℃まで水冷し、その後放冷すること
により、引張強さ620MPaの高強度鋼板を製造する方法
が、提案されている。
【0008】また、特開平6−256894号公報には、鋼組
成を有し、Mnの濃度が平均Mn濃度の1.32以上の領域であ
るMn偏析スポットの大きさが 500μm未満、かつ偏析部
のPの濃度が0.035 未満、かつ有効Ca比が1.7 以上であ
る高強度ラインパイプが提案されている。
【0009】さらに、特開平6−271974号公報には、鋼
組成を有し、Mnの濃度が平均Mn濃度の1.32以上の領域で
あるMn偏析スポットの大きさが 400μm未満、かつ偏析
部のPの濃度が0.035 未満、かつ有効Ca比が1.7 以上で
ある高強度ラインパイプが提案されている。
【0010】このように、この種の耐水素誘起割れ性に
優れた鋼板は、一般的に、圧延中に中心部に濃化して硬
化組織を形成するC、MnさらにはP等を制御されるとと
もにCa処理を行われたスラブに熱間圧延を行い、熱間圧
延終了後直ちに、例えば水冷等の加速冷却を行うことに
よって、製造されてきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、板厚が
約16.0mm以下であって強度グレードが API5LX56 以下で
ある鋼板を、かかる方法により製造しようとすると、圧
延後の水冷によって鋼板形状が悪化してしまい、生産性
が極度に低下してしまう。このため、板厚が約16.0mm以
下であって強度グレードが API5LX56 以下である耐水素
誘起割れ性に優れた鋼板の製造コストの上昇原因にもな
っていた。
【0012】ここに、本発明の目的は、板厚が約16.0mm
以下であって強度グレードが API5LX56 以下である耐水
素誘起割れ性に優れた鋼板を、形状不良によるコスト上
昇を伴うことなく提供することができる技術を提供する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、C:0.04〜0.
06%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.80〜1.20%、P:0.02
0 %以下、S:0.002 %以下、Ti:0.005 〜0.030 %、
Al:0.060 %以下、Ca:0.001 〜0.004 %、必要に応じ
てCr:0.05〜0.20%およびNb:0.010 〜0.050%の少な
くとも1種、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組
成を有し、板厚中心部におけるMn濃度の平均Mn濃度に対
する比であるMn偏析度が1.3 以下であり、板厚中心部に
おけるP濃度の平均P濃度に対する比であるP偏析度が
2.0 以下であり、板厚が16.0mm以下であるとともに、強
度グレードが API5LX56 以下であることを特徴とする耐
水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板である。
【0014】別の面からは、本発明は、C:0.04〜0.06
%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.80〜1.20%、P:0.020
%以下、S:0.002 %以下、Ti:0.005 〜0.030 %、A
l:0.060 %以下、Ca:0.001 〜0.004 %、必要に応じ
てCr:0.05〜0.20%およびNb:0.010 〜0.050 %の少な
くとも1種、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組
成を有する鋼片、例えば連続鋳造スラブを、1000〜1200
℃に加熱した後、この鋼片の表面温度が700 〜750 ℃の
範囲内で最終仕上圧延を行い、その後常温まで空冷する
ことにより、板厚が16.0mm以下であるとともに強度グレ
ードが API5LX56以下である薄肉鋼板を製造することを
特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板の製造方
法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。まず、本発明にかかる耐水素誘起割れ性に
優れた薄肉鋼板の製造方法において用いる鋼片の組成を
限定する理由を説明する。なお、以降の説明では、「鋼
片」が「連続鋳造スラブ」である場合を例にとる。
【0016】(C:0.04〜0.06%)C含有量が0.04%未満
であると所定の強度を得難く、一方C含有量が0.06%を
超えてしまうと鋼板の仕上圧延におけるパーライト変態
に伴ってCが過度に濃化し、局部的な硬度上昇の原因と
なり、耐水素誘起割れ性が低下する。そこで、本発明で
は、C含有量は0.04%以上0.06%以下と限定する。同様
の観点から、C含有量の上限は0.05%であることが望ま
しい。
【0017】(Si:0.10〜0.40%)Siは、脱酸剤として、
また鋼を強化する成分として効果がある。Si含有量が0.
10%未満では脱酸が不十分となり、一方Si含有量が0.40
%を超えると溶接熱影響部に縞状マルテンサイトが多く
生成し靱性を極度に劣化させる。そこで、本発明では、
Si含有量は0.10%以上0.40%以下と限定する。さらに、
鋼板の板厚とのバランスを考慮すると、Si含有量の上限
は0.30%であることが望ましい。
【0018】(Mn:0.80〜1.20%)Mnは、鋼を強化かつ強
靱化する元素である。Mn含有量が0.80%未満であると所
定の強度が得られず、降伏応力も不十分になって水素誘
起割れが発生し易くなる。一方、Mn含有量が1.20%を超
えると、特に連続鋳造スラブの場合には中心偏析が増大
して、仕上圧延においてCが濃化し低温変態硬化組織を
形成し易くなり、水素誘起割れが多く発生する。そこ
で、本発明では、Mn含有量は0.80%以上1.20%以下と限
定する。同様の観点から、Mn含有量の下限は0.85%であ
ることが、上限は1.15%であることが、それぞれ望まし
い。
【0019】(P:0.020 %以下)Pは、鋼板の中心部に
濃化して硬化組織を形成する元素である。P含有量が0.
020 %を超えるとスラブ中の中心偏析度が水素誘起割れ
発生限界を超え、局部的な硬度の上昇が生じ水素誘起割
れが発生し易くなる。そこで、本発明では、P含有量は
0.020 %以下と限定する。同様の観点から、P含有量の
上限は0.018 %であることが望ましい。
【0020】(S:0.002 %以下、Ca:0.001 〜0.004
%)Sは、鋼中においてMnと結合してMnSを形成するた
め、できるだけ少ないほうが好ましい元素である。ま
た、本発明ではCaを添加して介在物の形態制御を行う
が、同時に介在物の個数も抑制する必要がある。かかる
観点から、本発明では、S含有量は0.002 %以下、Ca含
有量は0.001 %以上0.004 %以下に限定する。
【0021】(Ti:0.005 〜0.030 %)Tiは、0.005 %以
上含有することにより、鋼の強度を向上させてスラブの
品質を安定させる元素である。しかし、Ti含有量が0.03
0 %を超えると、溶接熱影響部(HAZ)の靱性を劣化
させる。そこで、本発明では、Ti含有量は0.005 %以上
0.030 %以下と限定する。
【0022】(Al:0.060 %以下)Alは、脱酸剤として溶
製段階で用いられるが、Al含有量が0.060 %を超えると
母材中の介在物量が増加し、鋼の清浄性を低下させる。
そこで、本発明では、Al含有量は0.060 %以下と限定す
る。
【0023】本実施形態では、連続鋳造スラブがこれら
の成分以外に、CrおよびNbの少なくとも一種を任意添加
元素として含有してもよい。以下、これらの任意添加元
素についても説明する。
【0024】(Cr:0.05〜0.20%)Crは、0.05%以上添加
されることにより鋼板の強度を上昇させる効果がある。
しかし、Cr添加量が0.20%を超えると、通常のラインパ
イプ敷設における現地溶接性を低下させるとともにコス
トが上昇する。そこで、Crを添加する場合には、その含
有量は、0.05%以上0.20%以下と限定することが望まし
い。
【0025】(Nb:0.010 〜0.050 %)Nbは、スラブ加熱
時の固溶強化により鋼の強度および靱性を向上させる元
素である。Nb添加量は、成品厚と強度さらには靱性バラ
ンスに応じて、決定する必要があるが、Nb添加量が0.01
0 %未満であるとこれらの効果が事実上得られない。一
方、Nb添加量が0.050 %を超えると、スラブ加熱時に固
溶が不完全になるとともにコスト高になる。そこで、Nb
を添加する場合には、その含有量は0.010 %以上0.050
%以下と限定することが望ましい。上記以外は、Feおよ
び不可避的不純物である。
【0026】(鋼片)本実施形態では、かかる鋼組成を有
する鋼片として、連続鋳造スラブを用いる。造塊−分塊
スラブに比較して、連続鋳造スラブは、製造効率、歩留
りおよび省エネルギーの点で、はるかに有利だからであ
る。ただし、本実施形態とは異なり、造塊−分塊スラブ
を用いてもよい。
【0027】(スラブ加熱)本実施形態では、かかる鋼組
成を有する連続鋳造スラブを、1000℃以上1200℃以下に
加熱する。スラブ加熱温度は、鋼板の靱性を確保するた
めには低いほうが好ましいが、スラブ加熱温度が1000℃
を下回ると、得られる鋼板がAPI5LX56以下の所望の強度
グレードを得られないおそれがある。一方、スラブ加熱
温度が1200℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化して
鋼板の靱性を劣化させる可能性がある。そこで、本発明
では、スラブ加熱温度は1000℃以上1200℃以下に限定す
る。
【0028】(熱間圧延、空冷)このような温度域にスラ
ブを加熱した後に、慣用の条件により熱間圧延を行うこ
とにより所望の板厚とするが、本実施形態では、この熱
間圧延に際し、連続鋳造スラブの表面温度が700 〜750
℃の範囲内で最終仕上圧延を行って、その後、常温まで
空冷する。
【0029】これにより、仕上圧延時のフェライト−パ
ーライト変態において、板厚中心部におけるMn濃度の平
均Mn濃度に対する比であるMn偏析度を1.3 以下に、また
板厚中心部におけるP濃度の平均P濃度に対する比であ
るP偏析度を2.0 以下に、それぞれ制御することができ
る。最終仕上圧延時の連続鋳造スラブの表面温度が700
℃を下回ると、中心偏析部にはC、Mn、Pが濃集した転
位密度の高いベイナイト−マルテンサイト組織が形成さ
れて水素誘起割れ感受性を高くし、一方、750℃を超え
ると、所定の鋼板強度が得られなくなるおそれがある。
本実施形態では、熱間圧延後に、水冷等の加速冷却を行
うことなく、常温まで空冷することにより、所望の鋼板
を得る。
【0030】このようにして、C:0.04〜0.06%、Si:
0.10〜0.40%、Mn:0.80〜1.20%、P:0.020 %以下、
S:0.002 %以下、Ti:0.005 〜0.030 %、Al:0.060
%以下、Ca:0.001 〜0.004 %、必要に応じてCr:0.05
〜0.20%およびNb:0.010 〜0.050 %の少なくとも1
種、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有
し、板厚中心部におけるMn濃度の平均Mn濃度に対する比
であるMn偏析度が1.3 以下であり、板厚中心部における
P濃度の平均P濃度に対する比であるP偏析度が2.0 以
下であり、板厚が16.0mm以下であるとともに、強度グレ
ードが API5LX56 以下である鋼板、すなわちYS:54
9N/mm2 以上、TS:696N/mm2以上の強度
を有する鋼板が得られる。
【0031】この鋼板は、熱間圧延後に空冷を行われる
ことによる組織、すなわちフェライト−パーライト−ベ
イナイトからなる複合組織を有する。
【0032】この鋼板は、C含有量が0.06%以下である
ために鋼板の仕上圧延におけるパーライト変態に伴うC
の濃化に起因した局部的な硬度の上昇が抑制されるこ
と、Mn含有量が0.80%以上であるために降伏応力が充分
であるとともにMn含有量が1.20%以下であるために仕上
圧延においてMnの濃化に起因した低温変態硬化組織が形
成され難いこと、P含有量が0.020 %以下であるために
局部的な硬度の上昇が抑制されること、さらに、熱間圧
延の最終仕上圧延に際し、連続鋳造スラブの表面温度を
700 〜750 ℃の範囲内とすることにより、Mn偏析度:1.
3 以下、およびP偏析度:2.0 以下をともに実現できる
こと等の相乗作用により、優れた耐水素誘起割れ性を備
える。
【0033】また、この鋼板は、C含有量が0.04%以上
であること、Si含有量が0.40%以下であること、Mn含有
量が0.80%以上であること、さらに、スラブ加熱温度が
1000℃以上1200℃以下であること等の相乗作用により、
API5LX56 以下の強度グレードを備える。
【0034】さらに、この鋼板は、熱間圧延後に水冷を
行わずに常温まで空冷することにより得られる。このた
め、圧延後の水冷による鋼板形状の悪化を生じることが
ない。このため、このような形状悪化に起因した生産性
の低下が防止される。
【0035】
【実施例】(実施例1)さらに、本発明を実施例を参照し
ながら、より具体的に説明する。表1に示す鋼組成を有
する連続鋳造スラブを、1100℃に加熱した後、この連続
鋳造スラブの表面温度を、760 ℃、750 ℃、740 ℃、72
0 ℃、710 ℃、700 ℃および680 ℃の7水準で変化させ
て最終仕上圧延を行い、その後常温まで空冷することに
より、板厚が15.0mmである薄肉鋼板を製造した。なお、
トータル仕上圧延のパス回数は12パスであった。
【0036】
【表1】
【0037】そして、最終仕上圧延時における連続鋳造
スラブの表面温度が、MnおよびPの中心偏析度に及ぼす
影響を調査した。結果を表2にまとめて示す。
【0038】
【表2】
【0039】表2に示すように、最終仕上圧延時におけ
る連続鋳造スラブの表面温度が700℃以上であれば、Mn
偏析度:1.3 以下およびP偏析度:2.0 以下をいずれも
達成できることがわかる。
【0040】(実施例2)表3に示す鋼組成を有する9種
の連続鋳造スラブA、B、C、A1、A2、A3、A
4、A5およびA6を、表4に示すスラブ加熱温度に加
熱した後、この連続鋳造スラブの表面温度を表4に示す
仕上温度として最終仕上圧延を行い、その後常温まで空
冷することにより、X52 相当の板厚が12.0mmまたは15.0
mmである薄肉鋼板を製造し、これらの薄肉鋼板から試料
No.1〜試料No.30 を得た。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】これらの試料No.1〜試料No.30 について、
機械試験性能(X52強度) および水素誘起割れ性(NACE)を
評価した。なお、NACEとは、TM0177−90 Method A に
規定するPH約3の環境で各試料の水素誘起割れの発生率
の評価結果であり、0%を合格とした。試験結果を表4
にまとめて示す。
【0044】表4における試料No.1、試料No.3、試料N
o.4、試料No.7、試料No.10 、試料No.13 および試料No.
16 は、いずれも、本発明の範囲を全て満足する本発明
例である。これらは、いずれも、X52 強度(YS:51
0N/mm2 以上、TS:647N/mm2 以上) およ
び水素誘起割れ性(NACE)をともに満足した。また、これ
らの試料1 、試料No.3、試料No.4、試料No.7、試料No.1
0 、試料No.13 および試料No.16 は、いずれも、熱間圧
延後に水冷を行わずに常温まで空冷することにより得ら
れるため、圧延後の水冷による鋼板形状の悪化を生じな
かった。
【0045】これに対し、試料No.2、試料No.5、試料N
o.8、試料No.11 、試料No.14 および試料No.17 は、い
ずれも、仕上温度が本発明の範囲を上回っているため、
機械試験性能(X52強度) が不芳であった。
【0046】試料No.6、試料No.9、試料No.12 、試料N
o.15 および試料No.18 は、いずれも、仕上温度が本発
明の範囲を下回っているため、水素誘起割れ性(NACE)が
不芳であった。
【0047】試料No.19 および試料No.20 はC含有量が
本発明の範囲を上回り、試料No.21および試料No.22 はS
i含有量が本発明の範囲を上回り、試料No.23 および試
料No.24 はMn含有量が本発明の範囲を上回り、試料No.2
5 および試料No.26 はP含有量が本発明の範囲を上回
り、試料No.27 および試料No.28 はS含有量およびCa含
有量がともに本発明の範囲を上回り、試料No.29 および
試料No.30 はCa含有量が本発明の範囲を上回るため、い
ずれも、水素誘起割れ性(NACE)が不芳であった。これ
は、過剰な成分による硬化組織とCa系の介在物とに起因
して、割れを生じたためである。
【0048】(実施例3)表3中の鋼種Aに類似したCrま
たはNbの任意添加元素を有する、表5に示す鋼組成を有
する3種の連続鋳造スラブD、EおよびFを、表6に示
すスラブ加熱温度に加熱した後、この連続鋳造スラブの
表面温度を表6に示す仕上温度として最終仕上圧延を行
い、その後常温まで空冷することにより、5LB 相当の板
厚が12.0mmまたは15.0mmである薄肉鋼板を製造し、これ
らの薄肉鋼板から試料No.1〜試料No.18 を得た。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】これらの試料No.1〜試料No.18 について、
機械試験性能(5LB強度) および水素誘起割れ性(NACE)を
評価した。試験結果を表6にまとめて示す。
【0052】表6における試料No.1、試料No.4、試料N
o.7、試料No.10 、試料No.13 および試料No.16 は、い
ずれも、本発明の範囲を全て満足する本発明例である。
これらは、いずれも、 5LB強度(YS:343N/mm
2 以上、TS:588N/mm 2 以上) および水素誘起
割れ性(NACE)をともに満足した。また、これらの試料N
o.1、試料No.4、試料No.7、試料No.10 、試料No.13 お
よび試料No.16 は、いずれも、熱間圧延後に水冷を行わ
ずに常温まで空冷することにより得られるため、圧延後
の水冷による鋼板形状の悪化を生じなかった。
【0053】これに対し、試料No.2、試料No.5、試料N
o.8、試料No.11 、試料No.14 および試料No.17 は、い
ずれも、仕上温度が本発明の範囲を上回っているため、
機械試験性能(5LB強度) が不芳であった。
【0054】また、試料No.3、試料No.6、試料No.9、試
料No.12 、試料No.15 および試料No.18 は、いずれも、
仕上温度が本発明の範囲を下回っているため、水素誘起
割れ性(NACE)が不芳であった。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、板厚が16.0mm以下であって強度グレードがAPI5LX
56以下である耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板を、熱
間圧延後に水冷等の加速冷却を行うことなく、安価かつ
高能率で生産できる。かかる効果を有する本発明の意義
は、極めて著しい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.04〜0.06%、Si:0.10
    〜0.40%、Mn:0.80〜1.20%、P:0.020 %以下、S:
    0.002 %以下、Ti:0.005 〜0.030 %、Al:0.060 %以
    下、Ca:0.001 〜0.004 %、残部Feおよび不可避的不純
    物からなる鋼組成を有し、板厚中心部におけるMn濃度の
    平均Mn濃度に対する比であるMn偏析度が1.3 以下であ
    り、板厚中心部におけるP濃度の平均P濃度に対する比
    であるP偏析度が2.0 以下であり、板厚が16.0mm以下で
    あるとともに、強度グレードが API5LX56 以下であるこ
    とを特徴とする耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板。
  2. 【請求項2】 さらに、重量%で、Cr:0.05〜0.20%お
    よびNb:0.010 〜0.050 %の少なくとも1種を含有する
    請求項1に記載された耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼
    板。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された鋼
    組成を有する鋼片を、1000〜1200℃に加熱した後、該鋼
    片の表面温度が700 〜750 ℃の範囲内で最終仕上圧延を
    行い、その後常温まで空冷することにより、板厚が16.0
    mm以下であるとともに強度グレードが API5LX56 以下で
    ある薄肉鋼板を製造することを特徴とする耐水素誘起割
    れ性に優れた薄肉鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記鋼片は、連続鋳造スラブである請求
    項3に記載された耐水素誘起割れ性に優れた薄肉鋼板の
    製造方法。
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